「オーロラ (歌手)」の版間の差分
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[[ファイル:Os, Norway - panoramio (19).jpg|サムネイル|355x355ピクセル|オーロラが育った町オスの風景|左]]<!-- タブレット横向き表示などを考慮し左寄せ --> |
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オーロラ・アクスネスは[[1996年]][[6月15日]]にノルウェーの[[スタヴァンゲル]]で、[[助産師]]の母と[[セールスマン]]の父の間に3人姉妹の末妹として生まれた{{sfn|Universal Music Japan, Bio|p=}}{{sfn|Página/12|2019}}{{sfn|Sandnesposten|2016}}{{Sfn|Paste|2016}}。3歳まで住んでいた小さな町の家で、自然や歌うこと、長いスカートや帽子などの伝統衣装への好みを育んだ{{sfn|Sandnesposten|2016}}<!-- 翻訳時出典未確認 -->。その後一家は、ホルダラン県[[ベルゲン]]近くの辺境の町{{仮リンク|オス (ホルダラン県)|en|Os, Hordaland|label=オス}}の外れにある海を見下ろす森のなかの家に引っ越した{{sfn|Sandnesposten|2016}}{{sfn|The Independent|2016}}{{Sfn|Coupe de Main|2017}}{{Sfn|Paste|2016}}。オーロラは、この土地について「車はほとんど見かけなくて、道は狭くて凸凹で、どこに行っても木があって、とっても静かでインターネットは繋がりにくい」と描写し{{Sfn|W Magazine|2016}}<!-- 英語版にはナルニア国に喩えているとあるが、確認したところ、別の町についての発言と思われる。 -->、家についてはノルウェーの民話のようだと述べている{{Sfn|Culture Trip|2018}}。後のインタビューにおいてオーロラは、子供のころからひとりでいるのが好きで、木々や茂みの中でただ座って考えているのが好きだったと述懐している{{Sfn|Interview|2015}}。オーロラの2人の姉{{efn2|2人は後に[[服飾デザイナー]]と[[メイクアップアーティスト|メイクアップ・アーティスト]]になり、オーロラともコラボレートしている{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}。}}はいつもオーロラのことを心配していて、たとえば高校生のころにはその性格と奇妙な服装のせいで他の学生たちから苛められるのではないか気が気でなかった(しかしそれは杞憂だった)と後に語っている{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}<ref>{{harvnb|YouTube|The Fader|2016}}, 3m31s〜.</ref>。 |
オーロラ・アクスネスは[[1996年]][[6月15日]]にノルウェーの[[スタヴァンゲル]]で、[[助産師]]の母と[[セールスマン]]の父の間に3人姉妹の末妹として生まれた{{sfn|Universal Music Japan, Bio|p=}}{{sfn|Página/12|2019}}{{sfn|Sandnesposten|2016}}{{Sfn|Paste|2016}}。3歳まで住んでいた小さな町の家で、自然や歌うこと、長いスカートや帽子などの伝統衣装への好みを育んだ{{sfn|Sandnesposten|2016}}<!-- 翻訳時出典未確認 -->。その後一家は、ホルダラン県[[ベルゲン]]近くの辺境の町{{仮リンク|オス (ホルダラン県)|en|Os, Hordaland|label=オス}}の外れにある海を見下ろす森のなかの家に引っ越した{{sfn|Sandnesposten|2016}}{{sfn|The Independent|2016}}{{Sfn|Coupe de Main|2017}}{{Sfn|Paste|2016}}。オーロラは、この土地について「車はほとんど見かけなくて、道は狭くて凸凹で、どこに行っても木があって、とっても静かでインターネットは繋がりにくい」と描写し{{Sfn|W Magazine|2016}}<!-- 英語版にはナルニア国に喩えているとあるが、確認したところ、別の町についての発言と思われる。 -->、家についてはノルウェーの民話のようだと述べている{{Sfn|Culture Trip|2018}}。後のインタビューにおいてオーロラは、子供のころからひとりでいるのが好きで、木々や茂みの中でただ座って考えているのが好きだったと述懐している{{Sfn|Interview|2015}}。オーロラの2人の姉{{efn2|2人は後に[[服飾デザイナー]]と[[メイクアップアーティスト|メイクアップ・アーティスト]]になり、オーロラともコラボレートしている{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}。}}はいつもオーロラのことを心配していて、たとえば高校生のころにはその性格と奇妙な服装のせいで他の学生たちから苛められるのではないか気が気でなかった(しかしそれは杞憂だった)と後に語っている{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}<ref>{{harvnb|YouTube|The Fader|2016}}, 3m31s〜.</ref>。 |
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オーロラの家族には他に音楽を |
オーロラの家族には他に音楽を嗜む人はいない{{Sfn|Popular TV|2015}}。次姉は[[電子ピアノ]]をもっていたが、オーロラが6歳のときには弾かなくなっていた<!-- Chris2016,Darwin2015 -->。ピアノの音が恋しくなり、屋根裏部屋にそのピアノを探しに行ったオーロラは、見つけたピアノの鍵盤を偶然押したことを切っ掛けに、自分でお気に入りの[[クラシック音楽|クラシック]]の曲を弾けることに気づいた{{Sfn|Paste|2016}}{{Sfn|Popular TV|2015}}。その時のことをオーロラは「自分で演奏できるってことには、特別ななにかがあって……その中の感情的ななにかで、私は演奏し続けたいと思ったんです」と述懐している{{Sfn|Popular TV|2015}}。しばらくすると自分でクラシックの曲を作るようになり、英語をうまく扱えるようになった9歳のとき、曲に歌詞をつけるようになった{{Sfn|Paste|2016}}{{Sfn|W Magazine|2016}}。彼女の最初のオリジナル曲は「アイ・ハド・ア・ドリーム<small>({{Lang-en|I Had a Dream}}、訳: 私は夢見ていた)</small>」という題の世界がいかに過酷でありうるかを主題としたものだった{{Sfn|The Telegraph|2015}}{{Sfn|Interview|2015}}。同じ時期には虐めや死を主題とした歌詞も書いていたという{{Sfn|Coupe de Main|2017}}。「{{仮リンク|アイ・ウェント・トゥ・ファー|en|I Went Too Far|label=}}<small>(訳: 遠くに来すぎた)</small>」は9歳のときの、後に[[ビリー・アイリッシュ]]に影響を与えることになる「ラナウェイ<small>({{Lang-en|Runaway|links=no}}、訳: 逃亡)</small>」を含むいくつかの曲は11歳のときの作品である{{sfn|The Independent|2016}}{{Sfn|Billboard JAPAN|2019}}。また、6歳から16歳のころはダンスにも取り組んでいたという{{Sfn|NME|2019b}}。 |
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オーロラは、もともとはプロのミュージシャンになるつもりはなく、医師や物理学者になるつもりだったという{{Sfn|Popular TV|2015}}{{sfn|Reuters|2015}}{{efn2|{{harvtxt|The Verge|2016}} においては、ダンサーや画家、あるいは宇宙飛行士になっていたかもしれないとも語っている。}}。彼女はただ曲を書きたかっただけで、長らくの間自分の曲を家族を含め誰にも聴かせることはなかった{{Sfn|Paste|2016}}{{sfn|Reuters|2015}}。オーロラが自分の曲を初めて披露したのは、16歳のときである<!-- Chris2016, Levin2016 -->。中学校最後の日{{efn2|[[ノルウェーの教育|ノルウェーの教育制度]]は6歳からの7-3-3制で、新学期は8月から始まる(1997年以降2019年現在)<ref>{{Cite web |author= |website=せかいじゅうライフ |publisher=シェルトン |date=2019.10.03 |url=https://sekai-ju.com/life/nor/life/nor-education/|title=ノルウェーの教育システムと実際。早期英語教育と教育費無料が大きな特徴 |accessdate=2021-02-04}}</ref>。}}、オーロラは音楽の授業でギターを弾きながら「アイ・ハド・ア・ドリーム」を歌い、それを動画に撮った同級生が[[Facebook]]にアップロードした{{Sfn|Paste|2016}}{{Sfn|Vice|2016}}。同年の12月には両親へのクリスマス・プレゼントとして録音した「パペット<small>({{Lang-en|Puppet}}</small>、<small>訳: 操り人形)</small>」を友人が音楽共有サイトにアップロードした{{Sfn|Paste|2016}}{{Sfn|W Magazine|2016}}。わずか数時間で、2つの歌は数千のアクセスを受けた{{Sfn|Popular TV|2015}}。そしてその2曲をノルウェーの |
オーロラは、もともとはプロのミュージシャンになるつもりはなく、医師や物理学者になるつもりだったという{{Sfn|Popular TV|2015}}{{sfn|Reuters|2015}}{{efn2|{{harvtxt|The Verge|2016}} においては、ダンサーや画家、あるいは宇宙飛行士になっていたかもしれないとも語っている。}}。彼女はただ曲を書きたかっただけで、長らくの間自分の曲を家族を含め誰にも聴かせることはなかった{{Sfn|Paste|2016}}{{sfn|Reuters|2015}}。オーロラが自分の曲を初めて披露したのは、16歳のときである<!-- Chris2016, Levin2016 -->。中学校最後の日{{efn2|[[ノルウェーの教育|ノルウェーの教育制度]]は6歳からの7-3-3制で、新学期は8月から始まる(1997年以降2019年現在)<ref>{{Cite web |author= |website=せかいじゅうライフ |publisher=シェルトン |date=2019.10.03 |url=https://sekai-ju.com/life/nor/life/nor-education/|title=ノルウェーの教育システムと実際。早期英語教育と教育費無料が大きな特徴 |accessdate=2021-02-04}}</ref>。}}、オーロラは音楽の授業でギターを弾きながら「アイ・ハド・ア・ドリーム」を歌い、それを動画に撮った同級生が[[Facebook]]にアップロードした{{Sfn|Paste|2016}}{{Sfn|Vice|2016}}。同年の12月には両親へのクリスマス・プレゼントとして録音した「パペット<small>({{Lang-en|Puppet}}</small>、<small>訳: 操り人形)</small>」を友人が音楽共有サイトにアップロードした{{Sfn|Paste|2016}}{{Sfn|W Magazine|2016}}。わずか数時間で、2つの歌は数千のアクセスを受けた{{Sfn|Popular TV|2015}}。そしてその2曲をノルウェーのマネジメント会社が見つけ、2013年の初めにオーロラをオフィスに招いた<!-- Levin 2016 -->。オーロラは初め「NO」と思ったと述懐している。しかしその後、母親に「自分の音楽を世界にシェアするっていうアイデアについて考えてみなさい、だってきっとどこかのだれかがあなたの音楽をどうしようもなく必要としているから。それはきっといいことのはず」だと言われた<!-- Levin 2016 -->。そして彼女は、1年あまりにわたる曲作りに取り組みはじめ、1年後のノルウェーの[[ロック・フェスティバル|音楽フェスティバル]]において<q>最初の本格的なライヴ・パフォーマンス</q>をおこなった{{Sfn|Vice|2016}}。 |
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=== 2013年-2016年: デビューとファースト・アルバム === |
=== 2013年-2016年: デビューとファースト・アルバム === |
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=== 2016年–2019年: 2部構成のアルバム === |
=== 2016年–2019年: 2部構成のアルバム === |
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[[ファイル:Aurora_in_Paris_by_Maeva_Damas.jpg|サムネイル|272x272ピクセル| 2018年3月に[[フランス|フランスの]][[パリ]]にあるクラブで撮影されたオーロラ。|左]] |
[[ファイル:Aurora_in_Paris_by_Maeva_Damas.jpg|サムネイル|272x272ピクセル| 2018年3月に[[フランス|フランスの]][[パリ]]にあるクラブで撮影されたオーロラ。|左]] |
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オーロラは、デビュー・アルバム発表の翌日、すでに自作に収録されることになる曲を作り始めていたという{{Sfn|L’officiel|2018}}。2018年の1月、オーロラは[[南フランス]]の[[録音スタジオ|スタジオ]]兼[[シャトー]]に入り、1ヶ月かけて新作の録音をおこなった{{Sfn|L’officiel|2018}}{{Sfn|Standard|2018}}{{sfn|The Line of Best Fit|2018a}}。プロデュースには、{{訳語疑問点範囲|アスクイェル|Askjell|date=2021年1月|cand_prefix=原語}}・ソルストラン<small>([[:en:Askjell|英語版]])</small>、{{仮リンク|フリーランス・ヘルライザー|en|The Freelance Hellraiser|label=ロイ・カー}}、{{仮リンク|ティム・ブラン|en|Tim Bran|label=}}が参加し、オーロラ自身もプロダクションに関わった{{Sfn|Standard|2018}}。新しいアルバムについてオーロラは、同年5月の{{harvtxt|YouTube|LDN|2018|loc=18m19s〜}} において、前作のストーリーのいくつかを持ち越しているとともに、感情的で、すこし政治的で、そして官能性を主題としていると述べた。また9月の{{harvtxt|L’officiel|2018}} においては、(前作の主題として示したように)自分自身の戦士となり、自らの内なるデーモンと折り合いをつけてより勝った能力を手に入いれたリスナーを、<q>自分には物事を気にかける能力がないという感覚</q>から解き放ち、その能力で<q>他の人のための戦士にもなれる</q>のだと示すことが主題となると語っている。 |
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同年5月の時点でオーロラは次の作品は11曲入りのアルバムになると語っていたが{{Sfn|Standard|2018}}、9月に2部構成のアルバムの前半として8曲入りの『{{仮リンク|インフェクション・オブ・ア・ディファレント・カインド(ステップ1)|en|Infections of a Different Kind (Step 1)|label=}}<small>[訳: 異種感染症(第一段階)]</small>』{{efn2|本記事においては、『インフェクション・オブ・ア・ディファレント・カインド(ステップ1)』を『ステップ1』、『ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン(ステップ2)』を『ステップ2』と略す。なお、日本国内盤は『ステップ1』と『ステップ2』をまとめボーナス・トラックを追加した『インフェクションズ・オブ・ア・ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン』として2020年9月に発売されている{{sfn|NME Japan|2020}}{{sfn|Universal Music Japan, IoDKoH}}。|name=日本国内盤}}をサプライズ的に発表した{{Sfn|NME|2018}}{{Sfn|Live in Limbo|2018}}。この作品についてオーロラは「とっても力を与えるもの<small>({{Lang-en|empowering|links=no}})</small>」であり「多くの曲は、人々が自分自身のために選び取ったり、復讐のために戻ってきたりすることについて」であると語っている{{Sfn|NME|2018}}。オーロラ自身はタイトル・ソングをこれまでで最も重要な曲と位置付けているが、最も話題を呼んだのは「クイーンダム<small>({{Lang-en|Queendom|links=no}}、訳: 女王国)</small>」である{{Sfn|the Music|2019}}{{Sfn|Live in Limbo|2018}}。この「クイーンダム」のミュージック・ビデオについてのインタビューでは、[[ゲイ]]・コミュニティへの共感を語っており{{Sfn|i-D|2018}}、内省的な前作に比べより外向きな作風になったことは、初めてのツアーにおいてファンとの間でおこなった交流に起因するとも述べている{{Sfn|Idolator|2018}}。 |
同年5月の時点でオーロラは次の作品は11曲入りのアルバムになると語っていたが{{Sfn|Standard|2018}}、9月に2部構成のアルバムの前半として8曲入りの『{{仮リンク|インフェクション・オブ・ア・ディファレント・カインド(ステップ1)|en|Infections of a Different Kind (Step 1)|label=}}<small>[訳: 異種感染症(第一段階)]</small>』{{efn2|本記事においては、『インフェクション・オブ・ア・ディファレント・カインド(ステップ1)』を『ステップ1』、『ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン(ステップ2)』を『ステップ2』と略す。なお、日本国内盤は『ステップ1』と『ステップ2』をまとめボーナス・トラックを追加した『インフェクションズ・オブ・ア・ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン』として2020年9月に発売されている{{sfn|NME Japan|2020}}{{sfn|Universal Music Japan, IoDKoH}}。|name=日本国内盤}}をサプライズ的に発表した{{Sfn|NME|2018}}{{Sfn|Live in Limbo|2018}}。この作品についてオーロラは「とっても力を与えるもの<small>({{Lang-en|empowering|links=no}})</small>」であり「多くの曲は、人々が自分自身のために選び取ったり、復讐のために戻ってきたりすることについて」であると語っている{{Sfn|NME|2018}}。オーロラ自身はタイトル・ソングをこれまでで最も重要な曲と位置付けているが、最も話題を呼んだのは「クイーンダム<small>({{Lang-en|Queendom|links=no}}、訳: 女王国)</small>」である{{Sfn|the Music|2019}}{{Sfn|Live in Limbo|2018}}。この「クイーンダム」のミュージック・ビデオについてのインタビューでは、[[ゲイ]]・コミュニティへの共感を語っており{{Sfn|i-D|2018}}、内省的な前作に比べより外向きな作風になったことは、初めてのツアーにおいてファンとの間でおこなった交流に起因するとも述べている{{Sfn|Idolator|2018}}。 |
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2019年6月には前作のフォローアップである『{{仮リンク|ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン(ステップ2)|en|A Different Kind of Human (Step 2)}}<small>[訳: 別の種類の人間(第ニ段階)]</small>』{{efn2|name=日本国内盤}}が発表された |
2019年6月には前作のフォローアップである『{{仮リンク|ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン(ステップ2)|en|A Different Kind of Human (Step 2)}}<small>[訳: 別の種類の人間(第ニ段階)]</small>』{{efn2|name=日本国内盤}}が発表された{{sfn|NME|2019a}}。{{harvtxt|RIFF|2019}} はこの作品について、人生を向上させるよう内的に促すものであった『ステップ1』に対し、世界の変革を後押しするものであると評した。オーロラ自身によると、この作品は「より深く私たちの内的な過程について扱った」ものであり、また自身の感情の振れ幅の大きさが反映されており、そして[[#感情と政治について|後述]]するように、その感情には変革への備えであるような怒りが含まれているのだという。そのような変革の対象の一つである自然は、この作品の主要な主題に含まれている{{sfn|NME|2019a}}{{Sfn|Gay Times|2019}}。また同時期の{{harvtxt|the Music|2019}} においてオーロラは、自身が以前よりもはっきりと政治的になっていると述べている。 |
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この間、2018年12月にはドキュメンタリー『オーロラ 私の歌を探して<small>({{Lang-no|''En gang Aurora''|links=no}}</small>、<small>{{Lang-en|''Once Aurora''|links=no}})</small>』が公開されている{{sfn|NRK|2018}}{{sfn|ナタリー|2020}}。 |
この間、2018年12月にはドキュメンタリー『オーロラ 私の歌を探して<small>({{Lang-no|''En gang Aurora''|links=no}}</small>、<small>{{Lang-en|''Once Aurora''|links=no}})</small>』が公開されている{{sfn|NRK|2018}}{{sfn|ナタリー|2020}}。また、2019年4月に発表された[[ケミカル・ブラザーズ]]の『{{仮リンク|ノー・ジオグラフィー|en|No Geography|label=}}』には3曲提供し、みずからボーカルも担当している{{sfn|AllMusic, NG}}。その他、子供向けの[[アンソロジー]]番組『{{仮リンク|世にもおぞましい物語|en|Creeped Out|label=}}』でナレーターを務めたり、実写版『[[ダンボ (2019年の映画)|ダンボ]]』の予告編で「{{仮リンク|ベイビー・マイン|en|Baby Mine (song)|label=}}」を歌うなど、活動を多様化させてる{{Sfn|the Music|2019}}。 |
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=== 2019年以降 === |
=== 2019年以降 === |
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== 音楽性 == |
== 音楽性 == |
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ジャンルは[[エレクトロ・ポップ]]に分類されることが多いほか{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}、[[フォーク (音楽)|フォーク]]との関連もしばしば指摘される。ファースト・アルバムについて、{{harvtxt|Paste|2016}} は、ほとんどの曲の旋律や構造はフォークを土台としており、それをエレクトロニックな感触が装飾していると述べ、{{harvtxt|Vice|2016}} は、讃歌的な[[ポップ・ミュージック|ポップ・ソング]]と[[フォークソング|フォーク]]的な素材の曲が含まれており、両者がブレンドされていると評した。{{harvtxt|CR Fashion Book|2019}} は、「逃避感」のある「巧妙に<small>({{Lang-en|slickly|links=no}})</small>プロデュースされたポップス」で |
ジャンルは[[エレクトロ・ポップ]]に分類されることが多いほか{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}、[[フォーク (音楽)|フォーク]]との関連もしばしば指摘される。ファースト・アルバムについて、{{harvtxt|Paste|2016}} は、ほとんどの曲の旋律や構造はフォークを土台としており、それをエレクトロニックな感触が装飾していると述べ、{{harvtxt|Vice|2016}} は、讃歌的な[[ポップ・ミュージック|ポップ・ソング]]と[[フォークソング|フォーク]]的な素材の曲が含まれており、両者がブレンドされていると評した。{{harvtxt|CR Fashion Book|2019}} は、「逃避感」のある「巧妙に<small>({{Lang-en|slickly|links=no}})</small>プロデュースされたポップス」であると記述している。 |
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[[ボーカル]] |
神秘的に<!--uD,HMV-->冷たく<!--ind-->透きとおり<!--uD-->高く純粋<!--NYT,CR-->に響き渡る<!--ind-->[[ボーカル]]は{{Sfn|The Independent|2018}}{{sfn|uDiscovermusic|2020}}{{sfn|HMV|2020}}{{sfn|New York Times|2016}}{{sfn|CR Fashion Book|2019}}、天衣無縫であるとも{{sfn|HMV|2020}}、<q>穏やかな信念が染み込んでいる</q>{{sfn|New York Times|2016}}ともされ、そのテクニックやハーモニーはポップ・ミュージックとしては異例なほどに多様である{{Sfn|The Independent|2019}}{{sfn|The Line of Best Fit|2018b}}。[[シンセサイザー]]と[[ドラムセット|ドラム]]、[[キーボード]]の[[メロディ|メロディー]]を特徴とする{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}サウンドは、ポップかつダーク{{sfn|HMV|2020}}、エレクトロニックかつオーケストラル{{Sfn|RIFF|2019}}であると評される。{{harvtxt|New York Times|2016}} は[[ケルト音楽]]やアジア音楽を想起させるとしており、『ステップ2』においては民族的な打楽器も用いられている{{Sfn|The Independent|2019}}。 |
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サウンドは、[[シンセサイザー]]と[[ドラムセット|ドラム]]、[[キーボード]]の[[メロディ|メロディー]]を特徴としており{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}、「エレクトロニックであると同時にオーケストラル」{{Sfn|RIFF|2019}}な「大自然を思わせる幻想的なサウンド」{{Sfn|CR Fashion Book|2019}}であると描写されている。{{harvtxt|New York Times|2016}} は[[ケルト音楽]]やアジア音楽を想起させるとしており、『ステップ2』においては民族的な打楽器も用いられている{{Sfn|The Independent|2019|p=}}。そのほか、{{harvtxt|The Independent|2018}} は「暗い[[叙情|叙情性]]と陽気な性格」とオーロラを紹介しており、{{harvtxt|The Line of Best Fit|2018b}} はオーロラの[[音楽プロデューサー|プロデューサー]]としての能力を高く評価している。 |
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⚫ | 自らの曲については、<q>自分自身の経験というよりも世界の経験についての物語</q>であるとも語っている{{sfn|MYP Magazine|2019}}。また、母語である[[ノルウェー語]]ではなく[[英語]]で歌詞を書く理由は、自分の言葉を伝える先をノルウェー語を理解する人だけに留めたくなかったからだと述べている{{Sfn|L’officiel|2018}}。なお、「フォーガトゥン・ラブ<small>({{Lang-en|Forgotten Love}}、訳: 忘れられた愛)</small>」においては、セカンド・[[コーラス (ポピュラー音楽)|コーラス]]にオリジナル言語を使用しており、それはオーロラの感情を反映したものであるという{{Sfn|L’officiel|2018}}。 |
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そのほか、{{harvtxt|The Independent|2018}} は<q>暗い[[叙情|叙情性]]と陽気な性格</q>とオーロラを紹介し、{{harvtxt|The Line of Best Fit|2018b}} はオーロラの[[音楽プロデューサー|プロデューサー]]としての能力を高く評価している。 |
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⚫ | 自らの曲については、 |
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=== 他のミュージシャンとの影響関係など === |
=== 他のミュージシャンとの影響関係など === |
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=== 感情と政治について === |
=== 感情と政治について === |
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オーロラは、怒りや悲しみを含んだ感情の表現に対して肯定的である{{Sfn|Paste|2016}}。 |
オーロラは、怒りや悲しみを含んだ感情の表現に対して肯定的である{{Sfn|Paste|2016}}。{{harvtxt|L’officiel|2018}} においては「怒り」について、 |
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と述べている。その後、{{harvtxt|NME|2019a}} において自らの作品の中にある[[怒り]]について問われた際には、「それはとても特殊な種類の怒り」であると答え、続けてつぎのように述べている。 |
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[[環境問題]] |
たとえば「ザ・シード<small>({{Lang-en|The Seed|links=no}}、訳: 種)</small>」は、環境についての怒りを表現しているという{{sfn|NME|2019a}}。{{harvtxt|RIFF|2019}} は、オーロラの歌について<q>人類が地球上に残してきたものを守ることについて思い出させてくれる</q>ものであると評しており、オーロラ自身は{{harvtxt|Billboard JAPAN|2019}} において[[環境問題]]への関心を表明し、それはすべての人に関わる[[持続可能性|持続的]]で感情的かつ政治的なものであると述べている。また、いまが[[連帯|団結]]して行動を起こすためには最適のときであるとの考えを述べ、{{harvtxt|NME|2019a}} では、諸々の問題の答えは言われているよりも単純であり、自分たちの世代においては人々が互いにバラバラになってしまっていると感じていたが、いまではそれぞれの力を繋ぎ合わせれば大きな力になることを知っていると語った。 |
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その他、[[動物虐待]]や[[女性に対する暴力]]といった問題にも関心を払っているという{{sfn|The Verge|2016}}。 |
その他、[[動物虐待]]や[[女性に対する暴力]]といった問題にも関心を払っているという{{sfn|The Verge|2016}}。 |
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=== セクシャリティーについて === |
=== セクシャリティーについて === |
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前述のとおりオーロラは、ブラジル訪問後に[[同性愛]]を巡る政治的立場は場所によって非常に劣悪であることに気付かされたと語り、2018年に次の作品の主題の一つとして政治性と官能性を挙げている<!-- 前述の要約につき、出典略 -->。同じ時期、「クイーンダム<small>({{Lang-en|Queendom|links=no}}、訳: 女王国)</small>」の[[ミュージック・ビデオ]]についてのインタビューでは、次のように語っている{{Sfn|i-D|2018}}。 |
前述のとおりオーロラは、ブラジル訪問後に[[同性愛]]を巡る政治的立場は場所によって非常に劣悪であることに気付かされたと語り、2018年に次の作品の主題の一つとして政治性と官能性を挙げている<!-- 前述の要約につき、出典略 -->。同じ時期、「クイーンダム<small>({{Lang-en|Queendom|links=no}}、訳: 女王国)</small>」の[[ミュージック・ビデオ]]についてのインタビューでは、次のように語っている{{Sfn|i-D|2018}}。 |
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{{Quote|私の女王国では、あらゆる種類の愛が受容されられ許容されていることを明らかにしたかったんです。キスすることは、あなたができることの中で最も脆く<small>({{Lang-en|vulnerable|links=no}})</small>美しいことの一つだと、私は考えています。それから私はキスをダンサーの一人に……とってもきれいな人にしています。これは、私からファンへの小さなメッセージのようなもので、なぜなら私のファンのとても多くが[[ゲイ・コミュニティ]]から来ているからです。彼女らや彼らが進む道にはいろんな障碍があることを知っているので、そのことを考えると私は落ち着いていられませんし、怒りを覚えずにはいられないんです。 |
{{Quote|私の女王国では、あらゆる種類の愛が受容されられ許容されていることを明らかにしたかったんです。キスすることは、あなたができることの中で最も脆く<small>({{Lang-en|vulnerable|links=no}})</small>美しいことの一つだと、私は考えています。それから私はキスをダンサーの一人に……とってもきれいな人にしています。これは、私からファンへの小さなメッセージのようなもので、なぜなら私のファンのとても多くが[[ゲイ・コミュニティ]]から来ているからです。彼女らや彼らが進む道にはいろんな障碍があることを知っているので、そのことを考えると私は落ち着いていられませんし、怒りを覚えずにはいられないんです。}} |
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{{harvtxt|The Independent|2018}} においては、自分は女性なのでフェミニストであるが、同性愛は自分の曲に対して[[フェミニズム]]以上に大きな触発を与えたと述べている。このインタビューでは、いま自分にはマニッシュなボーイフレンドがいるが、以前はガールフレンドがいたこともあるとも語り、以下のように続けている。 |
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{{Quote|私はそこにあるものを享受し、そして探求したいんです。自分の周りの全てを愛しましょう、それだけで、あなたは自分自身を愛しているんです。 |
{{Quote|私はそこにあるものを享受し、そして探求したいんです。自分の周りの全てを愛しましょう、それだけで、あなたは自分自身を愛しているんです。}} |
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その後{{harvtxt|Gay Times|2019}} において、自らが[[LGBT|LGBTQ]]コミュニティーの一員であることを肯定するとともに、他人が自分を定義したりカテゴライズすることは構わないが、自分で自分を定義する必要があるとは思わないと述べている。また、神話時代のようなあるがままの愛や性における快楽の享受を称揚し{{sfn|Gay Times|2019}}、 |
その後{{harvtxt|Gay Times|2019}} においては、自らが[[LGBT|LGBTQ]]コミュニティーの一員であることを肯定するとともに、他人が自分を定義したりカテゴライズすることは構わないが、自分で自分を定義する必要があるとは思わないと述べている。また、神話時代のようなあるがままの愛や性における快楽の享受を称揚し<!--{{sfn|Gay Times|2019}}-->、{{harvtxt|MYP Magazine|2019}} においては[[ジェンダー]]や種族を超えた尊敬や愛の重要性についても語っている。 |
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=== 死について === |
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[[死]]はオーロラの作品においてしばしば取り上げられる主題であり、2019 |
[[死]]はオーロラの作品においてしばしば取り上げられる主題であり{{Sfn|Billboard JAPAN|2019}}、{{harvtxt|CR Fashion Book|2019}} においてオーロラは、今後のアルバムにおいてこの主題についてさらに掘り下げたいと述べている。また、彼女は死を恐れることに否定的であり、死について考えると心が安らぐ、あるいは正気になれるとも語っている{{Sfn|CR Fashion Book|2019}}{{Sfn|Billboard JAPAN|2019}}。 |
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=== 各国の文化について === |
=== 各国の文化について === |
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オーロラは、自分の曲のいくつかがもつ暗さは、[[ノルウェー]]の気候や文化の暗さ、ノルウェー人の内向性に由来していると述べている{{Sfn|Vice|2016}}。 |
オーロラは、自分の曲のいくつかがもつ暗さは、[[ノルウェー]]の気候や文化の暗さ、ノルウェー人の内向性に由来していると述べている{{Sfn|Vice|2016}}。 |
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オーロラのスタイルは、[[日本]]の伝統的なファッションや美学からも影響を受けている{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}。2019年のアジア・ツアーにおける訪日時のインタビューでは、[[スタジオジブリ|ジブリ]]映画や[[村上春樹]]といった[[日本の文化|日本文化]]が好きで、神秘的なものへの信仰や[[もったいない]]文化などの国民性を尊敬しており、[[日本語]]の勉強もしていると語っている<!-- |
オーロラのスタイルは、[[日本]]の伝統的なファッションや美学からも影響を受けている{{Sfn|The Stanford Daily|2020}}。2019年のアジア・ツアーにおける訪日時のインタビューでは、[[スタジオジブリ|ジブリ]]映画や[[村上春樹]]といった[[日本の文化|日本文化]]が好きで、神秘的なものへの信仰や[[もったいない]]文化などの国民性を尊敬しており、[[日本語]]の勉強もしていると語っている<!--DIGLE2019-->。また、[[和服|着物]]が好きで、ヘア・スタイルやファッションは[[アニメ]]を含む日本文化からインスピレーションを受けているという{{Sfn|DIGLE|2019}}。 |
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[[ネイティヴ・アメリカン]]の音楽は幼少時より好きで、ネイティヴ・アメリカンにずっと憧れているとも語っている{{Sfn|L’officiel|2018}}。たとえば「ザ・シード」は、[[ネイティブ・アメリカン]]の文化に触発された曲である{{Sfn|KEXP|2019}}。 |
[[ネイティヴ・アメリカン]]の音楽は幼少時より好きで、ネイティヴ・アメリカンにずっと憧れているとも語っている{{Sfn|L’officiel|2018}}。たとえば「ザ・シード」は、[[ネイティブ・アメリカン]]の文化に触発された曲である{{Sfn|KEXP|2019}}。 |
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== コンサートやファンとの関係 == |
== コンサートやファンとの関係 == |
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前述のとおり、初めてのツアーにおけるファンとの交流が、作品がより外向的になる切っ掛けとなったと述べている{{Sfn|Idolator|2018}}。オーロラは自分の[[ファン]]{{efn2|オーロラは、「ファン」という表現が好きではないという{{harvtxt|MYP Magazine|2019}} のインタビュワーの言葉に同意し、「サポーター」という表現を代わりに使うことを提案している。また{{harvtxt|Gay Times|2019}} においても、「サポーター」という表現を用いている。}}のことを「ウォーリアー<small>({{Lang-en|warriors|links=no}}、訳: 戦士)</small>」や「ウィアード<small>({{Lang-en|weirdos|links=no}}、訳: 奇人)</small>」と呼ぶ{{efn2|2016年にはファンを念頭において作った「ウィアード」という曲を発表している{{Sfn|Coupe de Main|2017}}{{sfn|AllMusic, Warrior}}。}}が、名付けることによってファンが自分に属するかのように扱うことには否定的である{{Sfn|Paste|2016}}{{sfn|フロントロウ|2020}}{{Sfn|Coupe de Main|2017}}。両者の繋がりは、ファンが自発的に作り上げていった、互いに必要としあう双方向の関係であり、オーロラはその関係について魔法のようで愛すべきものであると語っている{{sfn|MYP Magazine|2019}}{{Sfn|Coupe de Main|2017}}。 |
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コンサートについては、2014年のインタビューにおいて、はじめはステージに立つのが怖かったが、いまでは毎回コンサートが待ち遠しく、ファンに最高の体験をしてもらうことだけを考えていると語っている{{Sfn|Ja Ja Ja|2014}}。 |
コンサートについては、2014年のインタビューにおいて、はじめはステージに立つのが怖かったが、いまでは毎回コンサートが待ち遠しく、ファンに最高の体験をしてもらうことだけを考えていると語っている{{Sfn|Ja Ja Ja|2014}}。 |
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2021年4月8日 (木) 06:13時点における版
オーロラ | |
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2018年のスタヴェルンフェスティバル(ノルウェー)出演時のオーロラ | |
基本情報 | |
原語名 | AURORA |
出生名 | オーロラ・アクスネス |
生誕 | 1996年6月15日(28歳) |
出身地 | ノルウェー ローガラン県スタヴァンゲル |
ジャンル | |
職業 | |
担当楽器 | |
活動期間 | 2013年 - |
レーベル | |
公式サイト | AURORA | OFFICIAL WEBSITE |
オーロラ(AURORA、1996年6月15日[8] - )は、 ノルウェーのシンガー・ソングライター[9]兼音楽プロデューサー[10]。本名はオーロラ・アクスネス[9](ノルウェー語: Aurora Aksnes)[11]。ジャンルはエレクトロ・ポップに分類されることが多く、フォークとの関連もしばしば指摘される。主な作品の主題としては、感情や政治、セクシャリティー、死などが挙げられる。
生まれはローガラン県スタヴァンゲルで、ホルダラン県の自然豊かな町に育った。音楽を初めたのは6歳のころで、友人がアップロードした音源を切っ掛けとし17才(2013年)でデビューした。その後2014年以降2020年現在までデッカより作品を発表しており、自国にとどまらずヨーロッパやアメリカのチャートにランクインしている。その他、『アナと雪の女王2』のサウンドトラックへの参加、ケミカル・ブラザーズの作品への客演などでも知られる[3]。
影響を受けたアーティストとしてはエンヤやレナード・コーエン、ボブ・ディランなどが挙げられ、ビリー・アイリッシュはオーロラからの影響を語っている。音楽やファッションは、自国ノルウェーのほか、日本やネイティブ・アメリカンの文化の影響も受けているという。自らのファンのことは「ウォーリアー」や「ウィアード」と呼ぶ。
来歴
デビュー以前
オーロラ・アクスネスは1996年6月15日にノルウェーのスタヴァンゲルで、助産師の母とセールスマンの父の間に3人姉妹の末妹として生まれた[8][12][13][5]。3歳まで住んでいた小さな町の家で、自然や歌うこと、長いスカートや帽子などの伝統衣装への好みを育んだ[13]。その後一家は、ホルダラン県ベルゲン近くの辺境の町オスの外れにある海を見下ろす森のなかの家に引っ越した[13][14][15][5]。オーロラは、この土地について「車はほとんど見かけなくて、道は狭くて凸凹で、どこに行っても木があって、とっても静かでインターネットは繋がりにくい」と描写し[16]、家についてはノルウェーの民話のようだと述べている[17]。後のインタビューにおいてオーロラは、子供のころからひとりでいるのが好きで、木々や茂みの中でただ座って考えているのが好きだったと述懐している[18]。オーロラの2人の姉[注 1]はいつもオーロラのことを心配していて、たとえば高校生のころにはその性格と奇妙な服装のせいで他の学生たちから苛められるのではないか気が気でなかった(しかしそれは杞憂だった)と後に語っている[2][19]。
オーロラの家族には他に音楽を嗜む人はいない[20]。次姉は電子ピアノをもっていたが、オーロラが6歳のときには弾かなくなっていた。ピアノの音が恋しくなり、屋根裏部屋にそのピアノを探しに行ったオーロラは、見つけたピアノの鍵盤を偶然押したことを切っ掛けに、自分でお気に入りのクラシックの曲を弾けることに気づいた[5][20]。その時のことをオーロラは「自分で演奏できるってことには、特別ななにかがあって……その中の感情的ななにかで、私は演奏し続けたいと思ったんです」と述懐している[20]。しばらくすると自分でクラシックの曲を作るようになり、英語をうまく扱えるようになった9歳のとき、曲に歌詞をつけるようになった[5][16]。彼女の最初のオリジナル曲は「アイ・ハド・ア・ドリーム(英語: I Had a Dream、訳: 私は夢見ていた)」という題の世界がいかに過酷でありうるかを主題としたものだった[21][18]。同じ時期には虐めや死を主題とした歌詞も書いていたという[15]。「アイ・ウェント・トゥ・ファー(訳: 遠くに来すぎた)」は9歳のときの、後にビリー・アイリッシュに影響を与えることになる「ラナウェイ(英語: Runaway、訳: 逃亡)」を含むいくつかの曲は11歳のときの作品である[14][22]。また、6歳から16歳のころはダンスにも取り組んでいたという[23]。
オーロラは、もともとはプロのミュージシャンになるつもりはなく、医師や物理学者になるつもりだったという[20][1][注 2]。彼女はただ曲を書きたかっただけで、長らくの間自分の曲を家族を含め誰にも聴かせることはなかった[5][1]。オーロラが自分の曲を初めて披露したのは、16歳のときである。中学校最後の日[注 3]、オーロラは音楽の授業でギターを弾きながら「アイ・ハド・ア・ドリーム」を歌い、それを動画に撮った同級生がFacebookにアップロードした[5][25]。同年の12月には両親へのクリスマス・プレゼントとして録音した「パペット(英語: Puppet、訳: 操り人形)」を友人が音楽共有サイトにアップロードした[5][16]。わずか数時間で、2つの歌は数千のアクセスを受けた[20]。そしてその2曲をノルウェーのマネジメント会社が見つけ、2013年の初めにオーロラをオフィスに招いた。オーロラは初め「NO」と思ったと述懐している。しかしその後、母親に「自分の音楽を世界にシェアするっていうアイデアについて考えてみなさい、だってきっとどこかのだれかがあなたの音楽をどうしようもなく必要としているから。それはきっといいことのはず」だと言われた。そして彼女は、1年あまりにわたる曲作りに取り組みはじめ、1年後のノルウェーの音楽フェスティバルにおいて最初の本格的なライヴ・パフォーマンス
をおこなった[25]。
2013年-2016年: デビューとファースト・アルバム
2013年に17才でペトローリアウム・レコードよりデビュー・シングルとなる「アウェイキング(英語: Awaking、訳: 目覚め)」を発表[3]。翌2014年11月、グラスノートおよびデッカから「アンダー・スターズ(英語: Under Stars、訳: 星々の下)」を、2015年4月にはEP『ランニング・ウィズ・ウルブズ(訳: 狼たちと走る)』を発表した[3]。このころオーロラは、自分の音楽を薬のようなもの、とくに「多くの闘いを戦う人たち」のためのものにしたいと語っている[1]。
2015年にはそのほか、ノーベル平和賞の記念コンサートに出演している[26]。また年末には、ジョン・ルイスのクリスマスCMのためにオアシスの「ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ(訳: 世界の反対側)」のカヴァーを録音し、イギリスで評判を呼んだ[4][27]。翌2016年1月には、スペルマン賞の新人賞およびグラモ[訳語疑問点](ノルウェー語版)奨学金を授与されている[28]。
2016年3月にはデビュー・アルバムの『オール・マイ・ディーモンズ・グリーティング・ミー・アズ・ア・フレンド(訳: 私のデーモンはみな私を友として迎える)』を発表した。オーロラはこのアルバムについて「A面はレコード会社の面で、B面は私の面みたいな感じ」であると述べている[25]。またこのアルバムの目的は、すべての物事の良い面と悪い面を見ようとすることであり[14]、「人々に自分自身の内面を見つめ、自分自身のために時間を費やす価値があると知り、なぜ自分が悲しんでいるかを問い、なぜそういった感情を押しやれないのかを受けれてほしかった」から、このアルバムを「あなた自身の戦士(英語: warrior)であることについてのものにしたかった」のだと語っている[29]。このアルバムに収録された、「ウォーリアー(英語: Warrior、訳: 戦士)」と「コンカラー(訳: 征服者)」は、2020年現在、多くのファンから古典とされている[2]。またアルバムに先立って、短編ドキュメンタリー『イントゥ・ザ・ライト(英語: Into the Light)』が公開されている[30]。
その後彼女はヨーロッパ・ツアーに乗り出し、前後にはアメリカのテレビ番組にも複数出演した[31]。ブラジルにも公演で訪れており、同性愛を巡る政治的立場は場所によって非常に劣悪であることに気付かされたと語っている[2][32]。同年8月には、フェーダーによるドキュメンタリー『ナッシング・イズ・エターナル(英語: Nothing is Eternal、訳: なにも永遠ではない)』が公開されている[32][33]。
2016年–2019年: 2部構成のアルバム
オーロラは、デビュー・アルバム発表の翌日、すでに自作に収録されることになる曲を作り始めていたという[29]。2018年の1月、オーロラは南フランスのスタジオ兼シャトーに入り、1ヶ月かけて新作の録音をおこなった[29][34][6]。プロデュースには、アスクイェル[訳語疑問点]・ソルストラン(英語版)、ロイ・カー、ティム・ブランが参加し、オーロラ自身もプロダクションに関わった[34]。新しいアルバムについてオーロラは、同年5月のYouTube & LDN (2018, 18m19s〜) において、前作のストーリーのいくつかを持ち越しているとともに、感情的で、すこし政治的で、そして官能性を主題としていると述べた。また9月のL’officiel (2018) においては、(前作の主題として示したように)自分自身の戦士となり、自らの内なるデーモンと折り合いをつけてより勝った能力を手に入いれたリスナーを、自分には物事を気にかける能力がないという感覚
から解き放ち、その能力で他の人のための戦士にもなれる
のだと示すことが主題となると語っている。
同年5月の時点でオーロラは次の作品は11曲入りのアルバムになると語っていたが[34]、9月に2部構成のアルバムの前半として8曲入りの『インフェクション・オブ・ア・ディファレント・カインド(ステップ1)[訳: 異種感染症(第一段階)]』[注 4]をサプライズ的に発表した[37][38]。この作品についてオーロラは「とっても力を与えるもの(英語: empowering)」であり「多くの曲は、人々が自分自身のために選び取ったり、復讐のために戻ってきたりすることについて」であると語っている[37]。オーロラ自身はタイトル・ソングをこれまでで最も重要な曲と位置付けているが、最も話題を呼んだのは「クイーンダム(英語: Queendom、訳: 女王国)」である[4][38]。この「クイーンダム」のミュージック・ビデオについてのインタビューでは、ゲイ・コミュニティへの共感を語っており[39]、内省的な前作に比べより外向きな作風になったことは、初めてのツアーにおいてファンとの間でおこなった交流に起因するとも述べている[40]。
2019年6月には前作のフォローアップである『ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン(ステップ2)[訳: 別の種類の人間(第ニ段階)]』[注 4]が発表された[10]。RIFF (2019) はこの作品について、人生を向上させるよう内的に促すものであった『ステップ1』に対し、世界の変革を後押しするものであると評した。オーロラ自身によると、この作品は「より深く私たちの内的な過程について扱った」ものであり、また自身の感情の振れ幅の大きさが反映されており、そして後述するように、その感情には変革への備えであるような怒りが含まれているのだという。そのような変革の対象の一つである自然は、この作品の主要な主題に含まれている[10][41]。また同時期のthe Music (2019) においてオーロラは、自身が以前よりもはっきりと政治的になっていると述べている。
この間、2018年12月にはドキュメンタリー『オーロラ 私の歌を探して(ノルウェー語: En gang Aurora、英語: Once Aurora)』が公開されている[42][43]。また、2019年4月に発表されたケミカル・ブラザーズの『ノー・ジオグラフィー』には3曲提供し、みずからボーカルも担当している[44]。その他、子供向けのアンソロジー番組『世にもおぞましい物語』でナレーターを務めたり、実写版『ダンボ』の予告編で「ベイビー・マイン」を歌うなど、活動を多様化させてる[4]。
2019年以降
2019年11月に、初のアジア・ツアーを実施[45][46]。同月には、オーロラがバック・ボーカルを務めた「イントゥ・ジ・アンノウン」を収録する『アナと雪の女王2』のサウンドトラックが発表され、翌2020年2月の第92回アカデミー賞授賞式において、イディナ・メンゼルとともに同曲を披露した[47][注 5]。同曲は、第63回グラミー賞(2021年)の最優秀ビジュアルメディア向けソングライティング部門にノミネートされている[49]。また、マーク・ミュンデン監督の映画『ザ・シークレット・ガーデン』(2020年)には、同名の主題歌を提供している[35]。
音楽性
ジャンルはエレクトロ・ポップに分類されることが多いほか[2]、フォークとの関連もしばしば指摘される。ファースト・アルバムについて、Paste (2016) は、ほとんどの曲の旋律や構造はフォークを土台としており、それをエレクトロニックな感触が装飾していると述べ、Vice (2016) は、讃歌的なポップ・ソングとフォーク的な素材の曲が含まれており、両者がブレンドされていると評した。CR Fashion Book (2019) は、「逃避感」のある「巧妙に(英語: slickly)プロデュースされたポップス」であると記述している。
神秘的に冷たく透きとおり高く純粋に響き渡るボーカルは[32][50][9][51][11]、天衣無縫であるとも[9]、穏やかな信念が染み込んでいる
[51]ともされ、そのテクニックやハーモニーはポップ・ミュージックとしては異例なほどに多様である[52][53]。シンセサイザーとドラム、キーボードのメロディーを特徴とする[2]サウンドは、ポップかつダーク[9]、エレクトロニックかつオーケストラル[54]であると評される。New York Times (2016) はケルト音楽やアジア音楽を想起させるとしており、『ステップ2』においては民族的な打楽器も用いられている[52]。
歌詞については、Paste (2016) が哀愁を帯びたロマンティシズム
と評したほか、後述するように「怒り」などの感情を表すものや、政治やセクシャリティー、死を主題とするものが多い。音楽と政治との関係については次のように語っている[41]。
みんな、とくにポップ・ミュージックにおいては、政治的であることをとても怖がっています。[……]だからこそ私は、良質かつ知的で感情的なポップ・ミュージックを、ちゃんとみんなに届いて、なにか大切なことを伝えてくれて、そして自分たちが本当は気にしていない取るに足らないあれやこれや以外のなにかを思い出させてくれるような、そういうポップ・ミュージックを作りたいんです。
自らの曲については、自分自身の経験というよりも世界の経験についての物語
であるとも語っている[55]。また、母語であるノルウェー語ではなく英語で歌詞を書く理由は、自分の言葉を伝える先をノルウェー語を理解する人だけに留めたくなかったからだと述べている[29]。なお、「フォーガトゥン・ラブ(英語: Forgotten Love、訳: 忘れられた愛)」においては、セカンド・コーラスにオリジナル言語を使用しており、それはオーロラの感情を反映したものであるという[29]。
そのほか、The Independent (2018) は暗い叙情性と陽気な性格
とオーロラを紹介し、The Line of Best Fit (2018b) はオーロラのプロデューサーとしての能力を高く評価している。
他のミュージシャンとの影響関係など
幼少時はレナード・コーエン、ボブ・ディラン、エンヤ、後に客演することになるケミカル・ブラザーズ[56]を聴いていたほか[17]、3歳のころには『タイタニック』の主題歌であるセリーヌ・ディオンの「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」を歌っていたという[5]。2014年のインタビューではディランとコーエンを自身のヒーローとして挙げている[57][1]。2019年のインタビューにおいては、ラジオもテレビもないところで育ったため、ビヨンセを知ったのも6年前であると語っている[58]。
オーロラは、他のことをしているときは雑音になるため、あまり音楽を聴くのは好きではないが、より雑音の酷い鉄道や空港においては音楽を好んで聴くという[32]。2018年のインタビューにおいてはエンヤとアンダーワールドとコーエンを[32]、2019年のインタビューにおいては、エンヤ、ケミカル・ブラザーズ、コーエンおよびヘビー・メタルをもっぱら聴く音楽として挙げている[10]。また、同時期の別のインタビューにおいては「エンヤだけが好きなアーティスト」であると述べている[59]。ヘビー・メタルについては、自身にとってプリミティブであり、その外向性や算術性、複雑性と本能性、ジャズにもつうじるパーカッシブな部分が好きであると語っている[54]。クラシック音楽への嗜好もあり、エドヴァルド・グリーグの「朝の気分」(『ペール・ギュント』)を好きな曲として挙げている[5]。
レビューにおいては、ディランやコーエンからの影響が指摘され[26]、その他、ビョークや リッキ・リーといった北欧の歌手、オブ・モンスターズ・アンド・メンやシーア、 ロードといったフォーク・ポップの巨人、あるいはフローレンス・ウェルチとも比較されている[17][51][60]。
初期にオーロラについて言及したアーティストとしては、ケイティ・ペリーとジェイデン・スミスが挙げられる[20][25]。また前述のとおり、ビリー・アイリッシュは、音楽を始めたときにオーロラの「ラナウェイ」に影響を受けたと発言している[22][23]。カバーしたことのあるアーティストしては、デヴィッド・ボウイ、コーエン、オアシスなどが挙げられる[17][29]。また、「イン・ボトルズ(英語: In Bottles、訳: 瓶の中に)」(『ステップ2』収録)ではケルシュとコラボレートしている[4]。訪日時のインタビューにおいてコラボレートしてみたい日本のアーティストを問われた際には、日向坂46と水曜日のカンパネラを挙げている[61]。
思想や価値観
感情と政治について
オーロラは、怒りや悲しみを含んだ感情の表現に対して肯定的である[5]。L’officiel (2018) においては「怒り」について、
私の身体の内側には新しいエネルギーがあって、それを私は怒りと勘違いしてしまいそうです。それは怒りとは違いますが、同じような輝きをもっていて……それは私を目覚めさせ、私に警告してくれるなにかなんです。
と述べている。その後、NME (2019a) において自らの作品の中にある怒りについて問われた際には、「それはとても特殊な種類の怒り」であると答え、続けてつぎのように述べている。
それは、全と無に同時に向けられるような種類の怒りではありません。それは、とても明らかで、あなたが変えたいと思う物事に……環境やこの地球上や政治に向けられるものです。それはむしろ、あなたが目覚め続け、目指し続け、そしてなにか重要なことのために力を使えるようになる、そうさせるための火のようなものなんです。
たとえば「ザ・シード(英語: The Seed、訳: 種)」は、環境についての怒りを表現しているという[10]。RIFF (2019) は、オーロラの歌について人類が地球上に残してきたものを守ることについて思い出させてくれる
ものであると評しており、オーロラ自身はBillboard JAPAN (2019) において環境問題への関心を表明し、それはすべての人に関わる持続的で感情的かつ政治的なものであると述べている。また、いまが団結して行動を起こすためには最適のときであるとの考えを述べ、NME (2019a) では、諸々の問題の答えは言われているよりも単純であり、自分たちの世代においては人々が互いにバラバラになってしまっていると感じていたが、いまではそれぞれの力を繋ぎ合わせれば大きな力になることを知っていると語った。
その他、動物虐待や女性に対する暴力といった問題にも関心を払っているという[7]。
セクシャリティーについて
前述のとおりオーロラは、ブラジル訪問後に同性愛を巡る政治的立場は場所によって非常に劣悪であることに気付かされたと語り、2018年に次の作品の主題の一つとして政治性と官能性を挙げている。同じ時期、「クイーンダム(英語: Queendom、訳: 女王国)」のミュージック・ビデオについてのインタビューでは、次のように語っている[39]。
私の女王国では、あらゆる種類の愛が受容されられ許容されていることを明らかにしたかったんです。キスすることは、あなたができることの中で最も脆く(英語: vulnerable)美しいことの一つだと、私は考えています。それから私はキスをダンサーの一人に……とってもきれいな人にしています。これは、私からファンへの小さなメッセージのようなもので、なぜなら私のファンのとても多くがゲイ・コミュニティから来ているからです。彼女らや彼らが進む道にはいろんな障碍があることを知っているので、そのことを考えると私は落ち着いていられませんし、怒りを覚えずにはいられないんです。
The Independent (2018) においては、自分は女性なのでフェミニストであるが、同性愛は自分の曲に対してフェミニズム以上に大きな触発を与えたと述べている。このインタビューでは、いま自分にはマニッシュなボーイフレンドがいるが、以前はガールフレンドがいたこともあるとも語り、以下のように続けている。
私はそこにあるものを享受し、そして探求したいんです。自分の周りの全てを愛しましょう、それだけで、あなたは自分自身を愛しているんです。
その後Gay Times (2019) においては、自らがLGBTQコミュニティーの一員であることを肯定するとともに、他人が自分を定義したりカテゴライズすることは構わないが、自分で自分を定義する必要があるとは思わないと述べている。また、神話時代のようなあるがままの愛や性における快楽の享受を称揚し、MYP Magazine (2019) においてはジェンダーや種族を超えた尊敬や愛の重要性についても語っている。
死について
死はオーロラの作品においてしばしば取り上げられる主題であり[22]、CR Fashion Book (2019) においてオーロラは、今後のアルバムにおいてこの主題についてさらに掘り下げたいと述べている。また、彼女は死を恐れることに否定的であり、死について考えると心が安らぐ、あるいは正気になれるとも語っている[11][22]。
各国の文化について
オーロラは、自分の曲のいくつかがもつ暗さは、ノルウェーの気候や文化の暗さ、ノルウェー人の内向性に由来していると述べている[25]。
オーロラのスタイルは、日本の伝統的なファッションや美学からも影響を受けている[2]。2019年のアジア・ツアーにおける訪日時のインタビューでは、ジブリ映画や村上春樹といった日本文化が好きで、神秘的なものへの信仰やもったいない文化などの国民性を尊敬しており、日本語の勉強もしていると語っている。また、着物が好きで、ヘア・スタイルやファッションはアニメを含む日本文化からインスピレーションを受けているという[58]。
ネイティヴ・アメリカンの音楽は幼少時より好きで、ネイティヴ・アメリカンにずっと憧れているとも語っている[29]。たとえば「ザ・シード」は、ネイティブ・アメリカンの文化に触発された曲である[62]。
英語圏の作品については、8歳のころから愛読している『ハリー・ポッター』に加え『スター・ウォーズ』のファンであることが公然となっている[5]。
コンサートやファンとの関係
前述のとおり、初めてのツアーにおけるファンとの交流が、作品がより外向的になる切っ掛けとなったと述べている[40]。オーロラは自分のファン[注 6]のことを「ウォーリアー(英語: warriors、訳: 戦士)」や「ウィアード(英語: weirdos、訳: 奇人)」と呼ぶ[注 7]が、名付けることによってファンが自分に属するかのように扱うことには否定的である[5][64][15]。両者の繋がりは、ファンが自発的に作り上げていった、互いに必要としあう双方向の関係であり、オーロラはその関係について魔法のようで愛すべきものであると語っている[55][15]。
コンサートについては、2014年のインタビューにおいて、はじめはステージに立つのが怖かったが、いまでは毎回コンサートが待ち遠しく、ファンに最高の体験をしてもらうことだけを考えていると語っている[57]。
ディスコグラフィー
※シングルは省略する。また、原題のリンク先は原則として英語版ウィキペディアである。
タイトル / 原題 | 発売日 / レーベル | 出典・備考 |
---|---|---|
オール・マイ・ディーモンズ・グリーティング・ミー・アズ・ア・フレンド |
|
[65] |
ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン(ステップ2) |
|
[66][注 4] |
タイトル / 原題 | 発売日 / レーベル | 出典・備考 |
---|---|---|
ランニング・ウィズ・ウルブズ |
|
[67][20] |
インフェクション・オブ・ア・ディファレント・カインド(ステップ1) |
|
[68][69][注 4] |
楽曲提供・客演
年 | アーティスト | アルバム / 原題 | 提供・参加楽曲(原題) | 担当 | 出典・備考 |
---|---|---|---|---|---|
2019 | ケミカル・ブラザーズ | ノー・ジオグラフィー | 1. イヴ・オブ・デストラクション(Eve of Destruction)
2. バンゴ(Bango) 6. ザ・ユニヴァース・セント・ミー(The Universe Sent Me) |
|
[44][70] |
フィルモグラフィー
年 | タイトル / 原題 | 役名 / 原語役名 | 監督 / 制作 | 出典・備考 |
---|---|---|---|---|
2019 | アナと雪の女王2 | 不思議な声
The Voice |
[71] |
年 | タイトル / 原題 | 監督 / 制作 | 出典・備考 |
---|---|---|---|
2016 | ナッシング・イズ・エターナル
Nothing Is Eternal |
|
[33] |
2018 | オーロラ 私の歌を探して
ノルウェー語: En gang Aurora、英語: Once Aurora |
[42][43] |
脚注
- ^ 2人は後に服飾デザイナーとメイクアップ・アーティストになり、オーロラともコラボレートしている[2]。
- ^ The Verge (2016) においては、ダンサーや画家、あるいは宇宙飛行士になっていたかもしれないとも語っている。
- ^ ノルウェーの教育制度は6歳からの7-3-3制で、新学期は8月から始まる(1997年以降2019年現在)[24]。
- ^ a b c d 本記事においては、『インフェクション・オブ・ア・ディファレント・カインド(ステップ1)』を『ステップ1』、『ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン(ステップ2)』を『ステップ2』と略す。なお、日本国内盤は『ステップ1』と『ステップ2』をまとめボーナス・トラックを追加した『インフェクションズ・オブ・ア・ディファレント・カインド・オブ・ヒューマン』として2020年9月に発売されている[35][36]。
- ^ 2020年3月には同曲のソロ・バージョンも発表している[48]
- ^ オーロラは、「ファン」という表現が好きではないというMYP Magazine (2019) のインタビュワーの言葉に同意し、「サポーター」という表現を代わりに使うことを提案している。またGay Times (2019) においても、「サポーター」という表現を用いている。
- ^ 2016年にはファンを念頭において作った「ウィアード」という曲を発表している[15][63]。
- ^ エド・シモンズらと連名[44]。
出典
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参考資料
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外部リンク
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