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フィンランドは[[徴兵制]]を採用しており、18歳以上の全ての男性に6か月から12か月の[[兵役]]を課している。
フィンランドは[[徴兵制]]を採用しており、18歳以上の全ての男性に6か月から12か月の[[兵役]]を課している。


また、多くの訓練された[[予備役]]軍人がいる。[[冷戦]]終結後、軍事ドクトリンの変化や[[ソ連崩壊]]の余波での混乱などもあって予備役軍人数は減らされた。予備役の総数は百万名弱だが、戦時動員で部隊に配備されるのは約35万人。全ての軍は武官である国防軍司令官の指揮下にあり、国防軍司令官は大統領直隷となっている。
また、多くの訓練された[[予備役]]軍人がいる。[[冷戦]]終結後、軍事ドクトリンの変化や[[ソビエト邦の崩壊]]の余波での混乱などもあって予備役軍人数は減らされた。予備役の総数は百万名弱だが、戦時動員で部隊に配備されるのは約35万人。全ての軍は武官である国防軍司令官の指揮下にあり、国防軍司令官は大統領直隷となっている。


== 組織 ==
== 組織 ==

2020年12月26日 (土) 00:14時点における版

フィンランド国防軍のシンボル、塔と獅子

フィンランド国防軍(フィンランドこくぼうぐん、フィンランド語: Suomen puolustusvoimat, スウェーデン語: Försvarsmakten)は、陸海空の三軍からなる、フィンランド軍隊

職業軍人16,500人のうち士官が8,700人であり、常備軍として34,700人の成員を持つ。

フィンランドは徴兵制を採用しており、18歳以上の全ての男性に6か月から12か月の兵役を課している。

また、多くの訓練された予備役軍人がいる。冷戦終結後、軍事ドクトリンの変化やソビエト連邦の崩壊の余波での混乱などもあって予備役軍人数は減らされた。予備役の総数は百万名弱だが、戦時動員で部隊に配備されるのは約35万人。全ての軍は武官である国防軍司令官の指揮下にあり、国防軍司令官は大統領直隷となっている。

組織

フィンランド国防軍は陸海空三軍と参謀本部からなっている。国境警備隊フィンランド語版英語版内務省の下にあり、有事には国防軍の一部として組み込むことができる。

陸軍は東部方面、西部方面、北部方面の3つの防衛管区に分けられており、各防衛管区は数個旅団で構成され、担当地域における防衛責任を有している。また、各防衛管区は合わせて19防衛地区に分割され、各地区ごとに郷土防衛計画を策定・訓練を行っており、徴兵および予備役召集の単位にもなっている。

海軍は海軍本部のほか、多島海管区、フィンランド湾管区からなっている。ミサイル艇掃海艇機雷敷設艦が主力である。警備用艦船のほか、海岸防備地上部隊を有し、海兵隊組織としてウーシマー旅団が編成されている。

空軍は空軍本部、支援部隊とサタクンタ管区、ラップランド管区、カレリア管区の3つの管区からなっている。平時はフィンランドの領空警備を行い、戦時には航空戦を実施する責任を負っている。

2008年1月の初め、フィンランド陸軍は再編され、3つの防衛管区が4つの防衛管区に再編成された。新しいシステムでは、各防衛管区司令部は防衛地区組織を指揮し、各防衛管区で編成された旅団をも指揮する。各防衛地区は徴兵、予備役召集・訓練、有事の際の郷土防衛を行う。各防衛地区は行政単位と対応しており、軍民の協力を容易にし、「総力での防衛(トータル・ディフェンス)」を実施する。

軍務

兵員の多くは一般的に男性の徴兵に基づいている。年間約27000人の徴兵された兵士が訓練されており、80%が兵役を完了させる。全ての18歳以上の男性が6,9,12か月のいずれかの期間の兵役の義務を持っている。また、1995年から女性が志願して兵役につくことや将校となることも認められるようになった。

兵役は満18歳から始められる。とはいえ学業や仕事、その他の個人的な理由で兵役を28歳まで遅らせることもできる。 兵士は宿泊所、食料、衣服、健康のケアのために、兵役時には一日3.9から9ユーロを報酬として受け取っており、国は家賃と電気代も支払っている。志願兵の女性には下着その他の品のために追加の給付金がある。また、兵役者に家族がいれば、給付金の権利も与えている。労働者の権利をまもるために従業員を兵役や再訓練のための休暇などで解雇することは違法としている。

兵士は最初に基礎訓練を受け、その後各々の特別訓練のため種々の部隊に割り当てられる。特別な訓練や技能を必要としない軍務に割り当てられた兵卒は6か月で兵役を終える。技術の為に訓練の必要な軍務の場合は9か月から12か月を要する。また、NCO(下士官)や士官訓練を選択すると兵役は12か月に伸びる。これらの兵役の完了時に功績によって兵長、伍長、軍曹、少尉などの予備役階級を取得する。

兵役は、学科、実地訓練、種々の清掃、義務の維持、フィールドエクササイズなどである。起床は6時であり、食事と休憩を含み軍務は12時間、午後には少しの自由時間もある。午後9時には点呼があり、10時に消灯、この後は騒いではならない。週末、金曜日から日曜の夜は大多数の兵員には兵舎を出る許可が下り、自由な時間を与えられる。兵員の一部は週末も切迫した状況の民間機関の援助や、校内の守衛、有事の際の兵力維持のため引き留められる。フィールドエクササイズは時間や日を問わずに続けることができる。

兵役のあとは予備役となり、階級によって50歳か60歳に予備役を終える。また、予備役兵は階級によって総計40、75、100日の軍の再訓練に加わる義務がある。さらに、全ての予備役兵はフィンランドに対して軍事的恫喝があったときや大規模な悪性流行病が蔓延した際には、戦時体制をとり緊急に動員される。特定の議会決議があった場合、50歳をこえた予備役に属さない男性も含め完全に徴集される。

兵員の訓練はjoukkotuotanto-principle(兵力生産)に基づく。この計画に基づいて80%の兵員は戦時下において個々の役割を果たす訓練をする。旅団規模の部隊は兵役時から任務を割り当て、任務を果たせる予備役兵を供給する責任を負っている。有事の際は予備役兵は兵役時の訓練によって部隊への配置をうけ、兵役中であれば部隊に新しく供給され様々な軍務や設備へ配置される。一般的に、有事の際、予備役兵になってからの5年までであれば前線部隊に配置され、それよりあとはだんだんと被害の少なくなる軍務へ配置されることが多い。部隊での勤務が不可能な者は配置外で勤務させる。再訓練時、これらの義務によって新しい訓練を与えられ、防衛力はこれによって成り立っている。

フィンランドは徴兵制を施行する国であるが、兵役を免除される場合もある。非武装地域であるオーランド諸島の居住者は兵役を免除されている。1950年代の徴兵法では、沿岸警備の為に地元で兵役につくことになった。しかしながら、この制度は現在廃止され、兵役の義務からは解放されている。しかしオーランド諸島でも非軍事のボランティアの義務は変わっておらず、変更の計画もない。オーランド諸島の住民はいつでも志願して本土での兵役につくことができる。その他の理由で兵役から免除された人の多くは宗教団体エホバの証人の信者である。また、良心的兵役拒否が可能であり、徴兵を受ける代わりに270日から362日の非武装での軍役や12か月のボランティアで代替役務が制度化されている。しかし、いかなる形でも国防に協力しない男性(代替役務も完全に拒否)には法律で197日の懲役刑が与えられる。

階級

フィンランドの士官の階級は西側諸国で使われているものと同等であるが、フィンランドの特徴として、英語のLieutenantにあたる階級(Luutnantti)が1段階多く、尉官が4ランクある(少尉、中尉、上級中尉、大尉。海軍の場合は少尉、中尉、大尉、上級大尉となる。)ことが挙げられる。少尉は予備役士官の階級であり、現役の場合中尉に任官になる。

下士官階級はドイツ式であるが、いくらかの違いもある。

  • 准士官待遇のままであっても大尉相当まで昇進できる。
  • 職業下士官は准士官まで昇進できる。
  • 在郷予備役は下士官および少尉待遇で扱われる。
  • 徴兵されたものは兵、軍曹、士官学校生徒の扱いである。

戦時は予備役下士官も下士官義務を負う。

関連項目

外部リンク