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「スペンサー伯爵」の版間の差分

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その長男である8代伯爵[[エドワード・スペンサー (第8代スペンサー伯爵)|エドワード]]<small>(1924-1992)</small>も若い頃、陸軍軍人だった<ref name="海保(1999)23">[[#海保(1999)|海保(1999)]] p.23</ref>。また王室に侍従として仕えた<ref name="thepeerage.com">{{Cite web |url= http://thepeerage.com/p10089.htm#i100886 |title= Edward John Spencer, 8th Earl Spencer |accessdate= 2014-12-03 |last= Lundy |first= Darryl |work= [http://thepeerage.com/ thepeerage.com] |language= 英語 }}</ref>。彼の三女である[[ダイアナ (プリンセス・オブ・ウェールズ)|ダイアナ]]<small>(1961-1997)</small>は[[チャールズ (プリンス・オブ・ウェールズ)|チャールズ皇太子]]に嫁いだことで知られる。
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伯爵家の本宅は、ノーサンプトンシャーの{{仮リンク|オルソープ|en|Althorp}}([[ノーサンプトン]]の北西8キロ)にあるオルソープ・ハウスである。同屋敷は[[1508年]]に建築されたが、摂政皇太子[[ジョージ4世 (イギリス王)|ジョージ]]の時代に建築家[[ヘンリー・ホランド (建築家)|ヘンリー・ホランド]]による改築で現在の姿となった。伯爵家はその屋敷を中心にノーサンプトンシャーに1万3000エーカーもの土地を所有する大地主である<ref name="キャンベル(1998)14">[[#キャンベル(1998)|キャンベル(1998)]] p.14</ref>。[[ノーフォーク]]のノース・クリーク村も伯爵家が所有する。
伯爵家の本宅は、ノーサンプトンシャーの{{仮リンク|オルソープ|en|Althorp}}([[ノーサンプトン]]の北西8キロ)にあるオルソープ・ハウスである。同屋敷は[[1508年]]に建築されたが、摂政皇太子[[ジョージ4世 (イギリス王)|ジョージ]]の時代に建築家[[ヘンリー・ホランド (建築家)|ヘンリー・ホランド]]による改築で現在の姿となった。伯爵家はその屋敷を中心にノーサンプトンシャーに1万3000エーカーもの土地を所有する大地主である<ref name="キャンベル(1998)14">[[#キャンベル(1998)|キャンベル(1998)]] p.14</ref>。[[ノーフォーク]]のノース・クリーク村も伯爵家が所有する。

2020年12月4日 (金) 05:04時点における版

スペンサー伯爵
Earl Spencer
Quarterly argent and gules in the second and third quarters a fret or overall on a bend sable three escallops argent
創設時期1765年11月1日
創設者ジョージ3世
貴族グレートブリテン貴族
初代ジョン・スペンサー
現所有者チャールズ・スペンサー(9代スペンサー伯)
相続人ルイス・スペンサー英語版(オールトラップ子爵)
相続資格初代伯爵の嫡出男系男子
付随称号スペンサー子爵、オールトラップのオールトラップ子爵、グレート・ブリントンのオールトラップ子爵、オールトラップのスペンサー男爵
邸宅オルソープ・ハウス英語版
スペンサー・ハウス

スペンサー伯爵 (スペンサーはくしゃく、英語: Earl Spencer)は、イギリス伯爵位。グレートブリテン貴族1765年スペンサー家の分流でホイッグ党所属庶民院議員のジョン・スペンサーオールトラップ子爵 (Viscount Althorp) [注釈 1]位とともに授爵されたのにはじまる。伯爵家の法定推定相続人は、儀礼称号として従属爵位の一つオールトラップ子爵を名乗る。2017年現在のスペンサー伯爵は第9代スペンサー伯爵チャールズ・スペンサーである。

歴史

オルソープ・ハウス英語版
1822年のオルソープ・ハウス邸内を描いた絵画
ロンドンにあるスペンサー伯爵家の邸宅スペンサー・ハウス(2009年撮影)。現在はRIT・キャピタル・パートナーズ英語版に賃貸中。

初代スペンサー伯に叙されるジョン・スペンサー(1734-1783)は、第3代サンダーランド伯チャールズ・スペンサー(1675–1722)の三男ジョン・スペンサー英語版(1708–1746)の息子であり、ホイッグ党所属の庶民院議員を務めていたが、1761年4月3日グレートブリテン貴族爵位「オールトラップのスペンサー子爵(Viscount Spencer of Althorp)」及び「オールトラップのスペンサー男爵(Baron Spencer of Althorp)」に叙せられて、貴族院議員に転じ、さらに1765年11月1日にグレートブリテン貴族「スペンサー伯爵(Earl Spencer)」及び「オールトラップ子爵(Viscount Althorp)」に叙せられた[1]。これがスペンサー伯爵家の創始だった。

初代伯爵は政界において庶民院・貴族院議員以上の存在にはならなかったが、その長男である2代伯爵ジョージ(1758-1834)王璽尚書海軍大臣英語版内務大臣などの閣僚職を歴任した。党派は父同様ホイッグ党であったが、トーリー党政権の小ピット内閣にも海相として入閣しており、ネルソン提督を抜擢したのは彼であった[2]

その長男である3代伯爵ジョン(1782-1845)は、襲爵前に庶民院ホイッグ党の幹部として活躍し、1830年から1834年のホイッグ党政権下で庶民院院内総務大蔵大臣を務め、第一次選挙法改正の実現に貢献した[3]

3代伯爵の弟である4代伯爵フレデリック(1798-1857)は主に海軍軍人として活躍した[4]

4代伯爵の長男である5代伯爵ジョン(1835-1910)自由党の政治家としてアイルランド総督や枢密院議長や海軍大臣などの閣僚職を歴任した。第3次グラッドストン内閣においてアイルランド自治法案を支持した数少ないホイッグ貴族の一人であった[3]

政界の中枢として活躍した当主は5代伯爵が最後であり、20世紀以降の当主は廷臣や軍人になったり、地主業に専念する例が増えていく[3]。5代伯爵の弟である6代伯爵チャールズ(1857-1922)副宮内長官英語版宮内長官英語版を務めた[5]。彼はスペンサー伯爵位を襲爵する前の1905年12月19日連合王国貴族爵位「ノーサンプトンシャーのグレート・ブリントンのオールトラップ子爵(Viscount Althorp, of Great Brington in the County of Northampton)」に叙されており[6]、以降この爵位もスペンサー伯爵位の従属爵位に加わった。

その長男である7代伯爵アルバート(1892-1975)は43年にわたって国防義勇軍の軍人として活躍した[7]。彼は自分の屋敷への思い入れが強く、邸宅に飾られている全ての絵画や家具の由来を説明できたので「館長伯爵」と呼ばれていたという[8]

その長男である8代伯爵エドワード(1924-1992)も若い頃、陸軍軍人だった[9]。また王室に侍従として仕えた[10]。彼の三女であるダイアナ(1961-1997)チャールズ皇太子に嫁いだことで知られる。

2017年現在の当主は8代伯爵の次男(長男は早世)でダイアナ妃の弟にあたる第9代スペンサー伯爵チャールズ・スペンサー(1964-)である[11][12]

伯爵家の本宅は、ノーサンプトンシャーのオルソープノーサンプトンの北西8キロ)にあるオルソープ・ハウスである。同屋敷は1508年に建築されたが、摂政皇太子ジョージの時代に建築家ヘンリー・ホランドによる改築で現在の姿となった。伯爵家はその屋敷を中心にノーサンプトンシャーに1万3000エーカーもの土地を所有する大地主である[13]ノーフォークのノース・クリーク村も伯爵家が所有する。

8代伯爵の代からオルソープの屋敷の維持費の捻出に苦しむようになり、屋敷内に飾られていた様々な美術品の売却を行うようになった。こうした傾向は現在の9代伯爵の代も続いている[14]

伯爵家のロンドンの邸宅スペンサー・ハウスも維持困難になったため、1985年から96年契約で第4代ロスチャイルド男爵ジェイコブ・ロスチャイルドの経営するRIT・キャピタル・パートナーズ英語版に賃貸している。ロスチャイルド卿は2000万ポンドもの巨費を投じてその内装を18世紀の状態に復元した[15]。この修復作業はダイアナ妃からも高く評価された[16]

現当主の全保有爵位

現当主である第9代スペンサー伯爵チャールズ・スペンサーは以下の爵位を保有している[11][12]

  • 第9代スペンサー伯爵 (9th Earl Spencer)
    1765年11月1日勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)
  • ノーサンプトン州におけるオールトラップの第9代スペンサー子爵 (9th Viscount Spencer, of Althorp in the County of Northampton)
    1761年4月3日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)
  • ノーサンプトン州におけるオールトラップの第9代オールトラップ子爵 (9th Viscount Althorp, of Althorp in the County of Northampton)
    (1765年11月3日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)
  • ノーサンプトン州におけるグレート・ブリントンの第4代オールトラップ子爵 (4th Viscount Althorp, of Great Brington in the County of Northampton)
    1905年12月19日の勅許状による連合王国貴族爵位)
  • ノーサンプトン州におけるオールトラップのオールトラップの第9代スペンサー男爵 (9th Baron Spencer of Althorp, of Althorp in the County of Northampton)
    (1761年4月3日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)

一覧

スペンサー子爵(1761年)

肖像 爵位の代数
名前
(生没年)
受爵期間 役職 他の称号
初代スペンサー伯爵
ジョン・スペンサー
(1734-1783)
1761年4月3日
- 1783年10月31日
庶民院議員(1756-1761)
貴族院議員(1761-1783)
スペンサー男爵(1761)
1765年11月1日にスペンサー伯爵に叙される。以降スペンサー伯爵位と継承者が同じ。下記のスペンサー伯爵の欄参照。

スペンサー伯爵(1765年)

肖像 爵位の代数
名前
(生没年)
受爵期間 続柄 役職 他の称号
初代スペンサー伯爵
ジョン・スペンサー
(1734-1783)
1765年11月1日
- 1783年10月31日
庶民院議員(1756-1761)
貴族院議員(1761-1783)
スペンサー子爵(1761)
オールトラップ子爵(1765)
スペンサー男爵(1761)
第2代スペンサー伯爵
ジョージ・ジョン・スペンサー
(1758-1834)
1783年10月31日
- 1834年11月10日
先代の息子 王璽尚書(1794)
海軍大臣英語版(1794-1801)
内務大臣(1806-1807)
庶民院議員(1780-1783)
貴族院議員(1783-1834)
第3代スペンサー伯爵
ジョン・チャールズ・スペンサー
(1782-1845)
1834年11月10日
- 1845年10月1日
先代の息子 財務大臣(1830-1834)
庶民院院内総務(1830-1834)
庶民院議員(1804-1834)
貴族院議員(1834-1845)
第4代スペンサー伯爵
フレデリック・スペンサー
(1798-1857)
1845年10月1日
- 1857年12月27日
先代の弟 庶民院議員(1831-1835,1837-1841)
貴族院議員(1845-1857)
第5代スペンサー伯爵
ジョン・ポインツ・スペンサー
(1835-1910)
1857年12月27日
- 1910年8月13日
先代の息子 アイルランド総督(1868-1874,1882-1885)
枢密院議長(1880-1883,1886)
海軍大臣(1892-1895)
庶民院議員(1857)
貴族院議員(1857-1910)
第6代スペンサー伯爵
チャールズ・ロバート・スペンサー
(1857-1922)
1910年8月13日
- 1922年9月26日
先代の弟 宮内長官英語版(1905-1912)
庶民院議員(1880-1895,1900-1906)
貴族院議員(1905-1922)
スペンサー子爵(1761)
オールトラップ子爵(1765)
オールトラップ子爵(1905)
スペンサー男爵(1761)
第7代スペンサー伯爵
アルバート・エドワード・ジョン・スペンサー
(1892-1975)
1922年9月26日
- 1975年6月9日
先代の息子 貴族院議員(1922-1975)
第8代スペンサー伯爵
エドワード・ジョン・スペンサー
(1924-1992)
1975年6月9日
- 1992年3月29日
先代の息子 貴族院議員(1975-1992)
第9代スペンサー伯爵
チャールズ・エドワード・モーリス・スペンサー
(1964-)
1992年3月29日
- 受爵中
先代の息子 貴族院議員(1992-1999)

法定推定相続人は、第9代スペンサー伯の長男、オールトラップ子爵ルイス・フレデリック・ジョン・スペンサー英語版(1994年 - )である。

家系図

スペンサー伯爵スペンサー家系図
 
 
 
 
 
 
 
 
1603年
(ウォームレイトンの)スペンサー男爵
 
 
 
 
 
 
 
 
初代スペンサー男爵
ロバート・スペンサー
(1570-1627)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2代スペンサー男爵
ウィリアム・スペンサー英語版
(1591-1636)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1643年サンダーランド伯爵
 
 
 
 
 
 
 
 
初代サンダーランド伯
3代スペンサー男爵
ヘンリー・スペンサー
(1620-1643)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1702年マールバラ公爵
 
 
 
 
 
 
 
 
初代マールバラ公爵
ジョン・チャーチル
(1650-1722)
 
 
 
2代サンダーランド伯
4代スペンサー男爵
ロバート・スペンサー
(1641-1702)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2代マールバラ女公
ヘンリエッタ・ゴドルフィン
(1681-1733)
 
アン・スペンサー英語版
(1683-1716)
 
3代サンダーランド伯
5代スペンサー男爵
チャールズ・スペンサー
(1675–1722)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
4代サンダーランド伯
6代スペンサー男爵
ロバート・スペンサー
(1701-1729)
 
3代マールバラ公
5代サンダーランド伯
7代スペンサー男爵
チャールズ・スペンサー
(1706–1758)
 
ジョン・スペンサー英語版
(1708–1746)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
マールバラ公爵家へ
 
1765年スペンサー伯爵
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
初代スペンサー伯
ジョン・スペンサー
(1734-1783)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2代スペンサー伯
ジョージ・スペンサー
(1758-1834)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3代スペンサー伯
ジョン・スペンサー
(1782-1845)
 
4代スペンサー伯
フレデリック・スペンサー
(1798-1857)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1905年オールトラップ子爵
 
 
 
 
 
 
5代スペンサー伯
ジョン・スペンサー
(1835-1910)
 
6代スペンサー伯
初代オールトラップ子爵
チャールズ・スペンサー
(1857-1922)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
7代スペンサー伯
2代オールトラップ子爵
アルバート・スペンサー
(1892-1975)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
8代スペンサー伯
3代オールトラップ子爵
エドワード・スペンサー
(1924-1992)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ダイアナ
(1961-1997)
 
9代スペンサー伯
4代オールトラップ子爵
チャールズ・スペンサー
(1964-)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オールトラップ子爵(儀礼称号)
ルイス・スペンサー英語版
(1994-)
 
 
 

脚注

注釈

  1. ^ Althorpは、称号としては"áwl-trop"と読み、ノーサンプトンシャーの地名としては"all-thorp"と読む。

出典

  1. ^ Lundy, Darryl. “John Spencer, 1st Earl Spencer” (英語). thepeerage.com. 2014年12月3日閲覧。
  2. ^ 海保(1999) p.21-22
  3. ^ a b c 海保(1999) p.22
  4. ^ Lundy, Darryl. “Vice-Admiral Frederick Spencer, 4th Earl Spencer” (英語). thepeerage.com. 2014年12月3日閲覧。
  5. ^ Lundy, Darryl. “Charles Robert Spencer, 6th Earl Spencer” (英語). thepeerage.com. 2014年12月3日閲覧。
  6. ^ "No. 27868". The London Gazette (英語). 29 December 1905. p. 9319.
  7. ^ Albert Edward John Seventh Earl Spencer” (英語). Spencer of Althorp. 2014年12月3日閲覧。
  8. ^ モートン(1992) p.41
  9. ^ 海保(1999) p.23
  10. ^ Lundy, Darryl. “Edward John Spencer, 8th Earl Spencer” (英語). thepeerage.com. 2014年12月3日閲覧。
  11. ^ a b Heraldic Media Limited. “Spencer, Earl (GB, 1765)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2016年2月21日閲覧。
  12. ^ a b Lundy, Darryl. “Charles Edward Maurice Spencer, 9th Earl Spencer” (英語). thepeerage.com. 2013年12月1日閲覧。
  13. ^ キャンベル(1998) p.14
  14. ^ キャンベル(1998) p.50
  15. ^ 横山(1995) p.23
  16. ^ モートン(1992) p.291

参考文献

関連項目