コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「サザビー (ガンダムシリーズ)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
削除された項目へのリンクを解除
Cewbot (会話 | 投稿記録)
27行目: 27行目:
}}
}}


新生ネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルの搭乗機。基礎設計は[[ハマーン・カーン]]時代の[[ネオ・ジオン#アクシズ(ネオ・ジオン)|旧ネオ・ジオン軍]]ニュータイプ研究機関が担当しているが、製造と実験用の施設が不足していたことから、旧[[ジオン公国]]と縁の深いグラナダ工場を有する[[アナハイム・エレクトロニクス]]に製造が委託されている<ref name="144_n04" /><ref name="mg_n04" />。開発のメインスタッフには、[[一年戦争]]からシャアに従ってきた[[ニュータイプ]]のエンジニアである、[[機動戦士ガンダム Twilight AXIS#アルレット・アルマージュ|アルレット・アルマージュ]]も参加している<ref>配信アニメ『[[機動戦士ガンダム Twilight AXIS]]』</ref>。
新生ネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルの搭乗機。基礎設計は[[ハマーン・カーン]]時代の[[ネオ・ジオン#アクシズ(ネオ・ジオン)|旧ネオ・ジオン軍]]ニュータイプ研究機関が担当しているが、製造と実験用の施設が不足していたことから、旧[[ジオン公国]]と縁の深いグラナダ工場を有する[[アナハイム・エレクトロニクス]]に製造が委託されている<ref name="144_n04" /><ref name="mg_n04" />。開発のメインスタッフには、[[一年戦争]]からシャアに従ってきた[[ニュータイプ]]のエンジニアである、[[機動戦士ガンダム Twilight AXIS#アルレット・アルマージュ|アルレット・アルマージュ]]も参加している<ref>配信アニメ『[[機動戦士ガンダム Twilight AXIS]]』</ref>。


当初は[[ギラ・ドーガ]]をベースとした[[ヤクト・ドーガ]]の開発が進められていたが、基礎骨格である[[ムーバブルフレーム|ムーバブル・フレーム]]のサイズが[[サイコミュ]]機器を内装するのに不足していたため、試行錯誤の末に要求に適合したサイズをもつサザビーが新規に開発される。当初はMAサイズの機体となる案も存在したが、のちにその案は[[α・アジール]]に引き継がれる<ref name="mg_n04" />。
当初は[[ギラ・ドーガ]]をベースとした[[ヤクト・ドーガ]]の開発が進められていたが、基礎骨格である[[ムーバブルフレーム|ムーバブル・フレーム]]のサイズが[[サイコミュ]]機器を内装するのに不足していたため、試行錯誤の末に要求に適合したサイズをもつサザビーが新規に開発される。当初はMAサイズの機体となる案も存在したが、のちにその案は[[α・アジール]]に引き継がれる<ref name="mg_n04" />。

2020年11月7日 (土) 11:24時点における版

サザビー (SAZABI) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」 (MS) のひとつ。初出は、1988年に公開されたアニメーション映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』。

作中の軍事勢力のひとつである「新生ネオ・ジオン軍」の総帥「シャア・アズナブル」の専用機。特殊な人間であるニュータイプ用に開発された高性能機で、歴代のガンダム作品に登場するジオン系MSの集大成とされる[1][2]。作中のMSのなかでも大柄な体躯と、シャアのパーソナルカラーである赤い機体色が特徴。背部上段に装備された2基のコンテナには、「ファンネル」と呼ばれる遠隔誘導ビーム砲台を合計6基搭載している。

『逆襲のシャア』終盤において、主人公「アムロ・レイ」が搭乗する「νガンダム」と死闘を繰り広げる。

メカニックデザイン出渕裕が担当。

当記事では、小説機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』でのサザビー的位置づけにある機体「ナイチンゲール」、漫画機動戦士ムーンガンダム』に登場する原型機「バルギル」とその改修機「ムーンガンダム」についても記述する。

機体解説

諸元
サザビー
Sazabi
型式番号 MSN-04
全高 25.6m[3]
頭頂高 23.0m[4]
本体重量 30.5t[4]
全備重量 71.2t[4]
装甲材質 ガンダリウム合金[4]
出力 3,960kW[4]
推力 13,300kg×2[4]
14,000kg×2[4]
9,800kg×8[4]
総推力:133,000kg [3]
センサー
有効半径
22,600m[4]
武装 ビーム・ショット・ライフル
ビーム・トマホーク
ビーム・サーベル×2
ミサイル×3
ファンネル×6
メガ粒子砲
搭乗者 シャア・アズナブル
その他 アポジモーター×28[4]

新生ネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルの搭乗機。基礎設計はハマーン・カーン時代の旧ネオ・ジオン軍ニュータイプ研究機関が担当しているが、製造と実験用の施設が不足していたことから、旧ジオン公国と縁の深いグラナダ工場を有するアナハイム・エレクトロニクスに製造が委託されている[4][2]。開発のメインスタッフには、一年戦争からシャアに従ってきたニュータイプのエンジニアである、アルレット・アルマージュも参加している[5]

当初はギラ・ドーガをベースとしたヤクト・ドーガの開発が進められていたが、基礎骨格であるムーバブル・フレームのサイズがサイコミュ機器を内装するのに不足していたため、試行錯誤の末に要求に適合したサイズをもつサザビーが新規に開発される。当初はMAサイズの機体となる案も存在したが、のちにその案はα・アジールに引き継がれる[2]

内部構造の一部にはヤクト・ドーガにも採用されたサイコ・フレームを配置し、高い追従性を獲得[6]。サイコ・フレームは機体の軽量化とにも寄与し、軽量かつ高強度の新ガンダリウム系装甲の採用と相まって、各部に推進器を増設可能なほどのスペースの余裕も生まれている[1]。バックパックのスラスターは3基で初期型のリック・ドム1機分に相当する推進力を発生し、下段左右に接続された2基のプロペラント・タンクによって最大戦闘出力時間が90秒以上延長されている[2]

四肢の完成度も高く、徒手空拳での格闘戦も想定されている。ネオ・ジオン総帥がみずから搭乗する機体であることから、脚部は余分な機能を排した耐久性重視の構造となっている[2]。コクピットは頭部に内蔵されており、脱出用の分離機能と推進用アポジモーターによって、被撃墜時の早急な戦線離脱が可能[6]。メインカメラにはモノアイが採用されているが、これはグリプス戦役時代の機体に採用されていたものに改良を加えたものである[4]

ジェネレーターは内蔵型メガ粒子砲の稼働に対応した高出力型を採用しており、分類上は高火力型の第4世代MSに相当する[6][7]。機体色は当初よりシャアの搭乗を想定していたために赤を基調とした赤系統で塗装されている[8][注 1]。機動力や運動性を重視したνガンダムと比較した場合、サザビーは攻撃力を重視した対照的な機体である[7]

武装

ビーム・ショット・ライフル
10.2メガワットもの高出力を発揮する大型火器。本体下部にショットガンのようなグリップを備え、先端上部に収束射撃用、下部に拡散射撃用の2門の銃口をもつ[4]
ビーム・トマホーク / 大型ビーム・サーベル
専用の接近戦用武装。通常は片刃のビーム・トマホーク[注 2]、最大出力では大型ビーム・サーベルとして使用する。また、エネルギー消費を抑えたヒート・ホークとしても使用可能[4]。ビーム・トマホークは漫画版で使用する場面があるが、ヒート・ホークは映像を含めて使用場面はない。
未使用時は柄を縮めた状態でシールド裏面に搭載され、スカート・アーマーに装備することも可能。宇宙世紀0090年代のビーム・サーベルの標準的な機構であるアイドリング・リミッター機能を備える。映画劇中では大型ビーム・サーベルを投げ付け、νガンダムのビーム・ライフルを破壊する。
カトキハジメによるデザインリファインが行われたプラモデル『マスターグレード サザビー Ver.Ka』(2013年発売)では、左右分割して片刃のビーム・トマホーク2刀流や、それを連結してビーム・ナギナタとして使用できるようになっている。
ビーム・サーベル
通常の機体のサーベルと同等の出力で、柄が短縮化された状態で手首に収納される。斬撃の瞬間にビーム刃を発生させるアイドリング・リミッター機能を採用している[2]。ビーム・トマホークに出力で劣るぶん、使い勝手に優れている[4]
シールド
裏面にビーム・トマホークと小型ミサイル3発を装備し、表面にはネオ・ジオンの紋章があしらわれている。本体装甲と同様ガンダリウム合金が用いられており、表面には強力なコーティングが施されている[2]
ファンネル
ヤクト・ドーガと同型のサイコミュ誘導兵器[4]。本機ではバックパック上部左右のコンテナに各3基ずつ収納され、電力と燃料を補充しての再使用が可能となっている[2]
メガ粒子砲
腹部に装備された本機唯一の内蔵火器。腹部左右の動力パイプを介して背部のジェネレーターに直結している。出力8.8メガワット[4]。ビームを広範囲に拡散することで、複数の標的を同時撃破することが可能。エネルギー消費が激しいため、機体がパワーダウンすると威力は激減する[10]
ロング・ライフル
作中未登場で、イメージボードにのみ描かれた武器。『マスターグレードサザビー Ver.Ka』に付属。
ハンド・キャノン
作中未登場。『B-CLUB』よりガレージキットが発売されたのみで、ほぼ詳細不明。

作中での活躍

物語冒頭から最終盤までシャアの愛機として活躍。序盤ではアムロ・レイが乗るリ・ガズィを圧倒し、ロンド・ベルアクシズ破壊のために放った核ミサイルを全弾撃墜する。

サイコフレーム技術を横流し、ほぼ互角の性能となったνガンダムとの一騎討ちとなり、双方が武器を失い格闘戦となるが、背部から攻撃を喰らいアクシズ表面に激突する。この際に脱出装置が作動し、射出されたコックピット・ブロックはトリモチランチャーを用いたνガンダムに捕らえられ、地球に向け降下していくアクシズの表面に押し付けられる。そして、サザビーのコックピットとνガンダムのサイコ・フレームが共振現象を引き起こし、奇跡を起こすこととなる。

デザインなど

西洋甲冑の要素を取り入れながらも、シャアが今までに乗ったMSの集大成としてデザインされているほか、重MSということでジ・Oのイメージも追加されている[11]。また、企画段階の名称は「ザ・ナック」だったが、同名のテレビゲームソフトが存在したため取りやめられた[12]。コックピットが頭部にあるのは監督の富野由悠季による指示。頭部は小さめにデザインされていたため、コックピットのサイズに合わせると相当巨大なMSとなるはずだが、機体設定には反映されず劇中でもνガンダムと同程度のサイズに描かれている[11]

2000年7月にバンダイからプラモデル『1/100スケール マスターグレード サザビー』が発売されている。さらに2008年6月には1/144HGUCキットが発売され、その後2013年12月にカトキハジメによるリファイン版キット『マスターグレードサザビー Ver.Ka』が発売された。Ver.kaでは新たに機体各部の装甲が開閉・スライドしてフレームが露出するギミックが加えられている。2018年8月には『1/144リアルグレードサザビー』がνガンダムに先んじて発売される。

サザビー・プロトタイプ

小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』で登場。作中では、単に「サザビー」としか呼称されない。

ラー・ザイムから出撃したアムロのジェダを発見したことをライルから聞かされたシャアは、ナナイ・ミゲルを同乗させて出撃する。サザビーはテスト中の状態だったため、正式なコックピット・コアを装備しておらず、従来のMSのコックピットの位置と同様、腹部に複座のコックピット・コアを取り付けている。サザビーの仮設コックピットに使われている360度モニターは、ギラ・ドーガの流用だが、性能は悪くなかった[13]

戦場でアムロのジェダと遭遇したシャアのサザビーは背後を取りつつ「性能は圧倒的にこちらが上だ」と警告をおこない、それを聞いたアムロはサザビーの火力も出力も圧倒的と見てジェダでは簡単に敗北すると理解して、交戦はおこなわれない[14]。シャアはアムロへ宣戦布告すると、サザビーに急速加速をかけて、星々の光の間に消えていった。今の夢のような再会が本当のものかと疑うアムロの脇で、カニンガムの搭乗したジェダが追撃しようと数本のミサイルを発射するが、静止しようとしたアムロの言葉が言い終わらないうちにミサイルは前方の空域で全弾狙撃される[15]

模型誌『B-CLUB』30号にて、『B-CLUB』28号に掲載された出渕裕によるサザビーの初期デザインが、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』のテスト中のサザビーに相当する「MSN-04X サザビー・プロトタイプ(試作型)」として立体化された。出渕による初期デザインでは、右腕に大型ハンド式メガ粒子砲が装備されているほか、腹部アーマー(後方)にキュベレイ式の試作型ファンネル・コンテナを装備している。背面にはプロペラント・タンクを搭載。小林とおるによれば、頭部はシャアのヘルメットをイメージして、フェイスマスクは百式を取り入れるつもりだったと考察している[16](決定稿ではフェイスデザインは変更されている)。また、模型作例では小説の設定と同様に、コックピットは腹部に複座型のものを仮設しているとされている。

ハイパーサザビー

ゲーム『バトルロボット烈伝』に登場するオリジナル機体で、シャアの搭乗するサザビーがハイパー化した状態。

ナイチンゲール

諸元
ナイチンゲール
Nightingale
型式番号 MSN-04II
全高 27.8m
頭頂高 22.5m
本体重量 48.2t
全備重量 105.7t
出力 6,760kW
センサー
有効半径
23,420m
武装 大型メガ・ビーム・ライフル
胸部バルカン砲
ビーム・トマホーク
腹部メガ粒子砲
隠し腕(接近戦用マニピュレーター)
ビーム・サーベル×4
シールド
ファンネル×10
マイクロミサイル
搭乗者 シャア・アズナブル

小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場し、後に『CCA-MSV (逆襲のシャア・モビルスーツ・バリエーション)』に分類されたシャア・アズナブル専用機。サザビーの強化発展機[17][18]

サザビーよりも頭頂高がやや低く、体勢も前傾姿勢で、胴体部は前後に伸びるように大型化されているほか、四肢の関節もカバーのようなもので覆っている。巨大な肩部バインダーにはα・アジールのものを小型軽量化したファンネルを10基搭載している。後部アーマーに2基、背部に3基、計5基のプロペラント・タンクが接続されており、稼働時間の延長が図られている。スカートアーマー内には、グリプス戦役時代の重MSジ・Oにも装備された隠し腕(接近戦用マニピュレーター)が仕込まれており、MAクラスの巨躯でありながら近接戦闘能力を備える。シールドはサザビーとほぼ同一形状のものを携行。

のちに本機の延長線上の機体としてβ・アジールが開発される[19]

武装

当初はメガ・ビーム・ライフルとビーム・サーベルおよびファンネルのみとされ、ゲームなどで登場する際[20]には独自設定として胸部にメガ粒子砲が存在し、シールドにサザビーと同様にミサイルが装備されている場合があった。しかしその後、プラモデル「RE/100 1/100 ナイチンゲール」においてシールド裏にビーム・トマホークとミサイルが配置され、漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』においてはさらに腹部のメガ粒子砲の存在が描かれるなど、サザビーと同様の豊富な武装とギミックをもつ機体としてあつかわれるようになっている。
胸部バルカン砲
中〜近距離用の実体弾を発射する。
ビーム・サーベル
通常のビーム・サーベル。サザビーと同じく両手首に格納される。隠し腕を使用することで計4本のビーム・サーベルを同時に使用可能。
マイクロミサイル
シールド裏面に3発装備する。ターゲットを光学的に認識し、追尾可能。
ビーム・トマホーク
ビーム・トマホーク、片刃のビーム・アックスとしても使用可能。最大出力時には大型ビーム・サーベルとして使用可能。シールド裏面にマウントする。
シールド
サザビーのものとほぼ同一の武装。ガンダリウム合金製であり、裏面にビーム・トマホークとマイクロミサイルをマウント可能。
隠し腕(接近戦用マニピュレーター)
フロントスカート内に格納されている。
腹部メガ粒子砲
通常は装甲に覆われており、カバーを展開して使用する。
大型メガ・ビーム・ライフル
収束と拡散ビームを任意に切り替え可能。拡散ビームは散弾状に連射も可能。長距離精密射撃のためのバイポットを備える。
ファンネル
両肩のファンネル・ポッドに計10基装備する。α・アジール搭載型のファンネルをリサイズしたもので、大型コンデンサーを内臓。ファンネル・ポッドでのエネルギーとプロペラントの再チャージも可能。

『ベルトーチカ・チルドレン』での活躍

小説ではライバル機のνガンダム(漫画ではデザインのみリファイン版Hi-νガンダム)と戦い、最終局面では赤熱化するアクシズ岩盤上にて、MS史上初の長時間の肉弾戦を演じるも腕部フレームを粉砕され、頭部フロー・システムが作動する。射出されたコクピット・カプセルはνガンダムによって捕獲、機体は岩盤に叩きつけられ沈黙する。

『CCA-MSV』としてのナイチンゲール

サザビーの強化発展機とされる[21]。シャアはサザビーを使用したため、本機の公式記録は残されていない[21]

デザインと公式化への経緯

デザインは出渕裕、永野護の初期デザインをまとめるかたちでデザインされた。『ベルトーチカ・チルドレン』は映画版シナリオの初期稿を文庫化したため、サザビーではなく「ナイチンゲール」、ナナイ・ミゲルではなく「メスタ・メスア」、ギュネイ・ガスではなく「グラーブ・ガス」など映画版とは名称が異なっている。ナイチンゲールという名前の響きから、出渕は劇場版のサザビーそのままでなく、モビルアーマー的にアレンジしたと語っている[22]。ただし、末弥純による口絵カラーイラストは映画版のサザビーのデザインそのままでナイチンゲールの解説が入っている。その後、人気が出たためB-CLUB誌でカラー画稿が掲載され、ガレージキットとして発売されるなどして認知度が上がり、公式化されている。

ナハトガル

諸元
ナハトガル
Nahatgall
型式番号 MAN-104
全高 45.5m
重量 612t
装甲材質 ディアス・シリコン
推進機関 プロトンドライブ・モーター×8
バックロード・フレアエジェクター×68
出力 8,700,000kw/h(930,000hp)
武装 50mmガトリング・ビームキャノン
ファンネル×6
660mmプロトン砲
250mmビームマシンガン

永野護による初期デザインのナイチンゲールは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のスタッフを降板した際にのちのデザインの原型になったが、全身のデザイン画は公開されておらず、『月刊ニュータイプ』1998年6月号付録の「まるごと富野」内にて「ナイチンゲール・ジオン」という名前で頭部デザインだけが公開されていた。

その後も全身像は不明のままだったが、『月刊ニュータイプ』2007年1月号にて「ナハトガル (Nahatgall)」という名称とともに、最新のラインで描き直されたものが公開された後、2011年には自身の単行本である『ファイブスター物語 リブート』第2巻に「NAITIENGEAILE」と記載されている設定画の一部が改めて掲載されている。また、永野の想定した設定も付記されており、この機体はグリプス戦役後のハマーン・カーン率いるネオ・ジオン軍の使用する重MSとしてアナハイム・ジュピターが開発を行っていたもので、データが月のアナハイム社に流出した際に誤って英語で読み取られ“ナイチンゲール”と呼ばれるようになったとされている。

おもな任務は対艦強襲・駆逐戦闘でMAに近い運用を想定しており、その巨体に高い機動力を与えるプロトンドライブの放熱板が頭部から背部にかけて取り付けられている。

また、MAN-104の型式番号の他「MAN-104/MSae-39-20001-X-19D( - 20006-X-19D)」というアナハイム社内での統一コードが設定されており、キュベレイは「MANae-103-10001-X-15B」であるとされる。

なお、機体のカラーリングは緑色であったが、後に『機動戦士ガンダム30周年画集 天地創造』に掲載された際には赤に変更されている。

サザビー(陸戦用重装型)

諸元
サザビー
SAZABI
型式番号 MSN-04B[23] / AMS-04B[24]
頭頂高 23.0m[24]
本体重量 32.5t[24]
全備重量 73.7t[24]
装甲材質 ガンダリウム合金[24]
出力 3,830kW[24]
推力 12,800kg×2[24]
13,800kg×2[24]
総推力:53,200kg
センサー
有効半径
18,600m[24]
武装 バルカン・ショットライフル
ミサイル×3
搭乗者 ヨハン・ブリッツ[24]
クルツ
マーシ
その他 アポジモーター×23[24]

近藤和久の漫画作品に登場。名称はムックホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』による。

サザビーを通常指揮官用として試験的に生産した機体。ファンネル・ポッドを廃してウェイト・バランスを調整し、地上での運動性が高められている。さらに全身の装甲を大型化、火力も強化されている。89機が生産され、北米大陸やアジア・アフリカ方面と広く配備されている。武装はスペックに記されていないものの原型機と同様のシールドの携行が確認されており、外観から腹部メガ粒子砲も残されている(使用例は確認できない)。塗装はオレンジやオリーブドラブを基調とするものや迷彩塗装など4種類が確認されている[25]

作中での活躍
機動戦士ガンダム ジオンの再興』では、クルツ大尉が搭乗し部隊を率いてウィルボトン基地を襲撃する。増援のPX-00531からの攻撃を受け、右腕を失いながらもシールド裏のシュツルムファウストにより撃破し、基地の陥落に成功する。その後、同基地からの地球撤収作戦の護衛のためブラウン大尉のブレッダやマイヤー小尉のG-3とともに、ΖΖガンダムA/FMSZ-007II ZETAからなる大部隊と交戦し、大損害を与えたのちにザンジバルに回収され、宇宙へ脱出する。
『機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』や『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』収録の短編「SIDE OPERATION OF ZION 0092」ではマーシが搭乗。後方奇襲撹乱作戦のため、フレデリック・F・ブラウン大尉のジャギュアとともにガウに曳航される輸送機に搭載されるが、目標ポイント到着前に連邦軍の試作MA、G-RAYの攻撃を受けて脱出するも、輸送機の墜落に巻き込まれ爆発する。
機動戦士ガンダム 新ジオンの再興』では3機が確認できるが、うち2機はGコマンダーの攻撃を受け撃破される。

バルギル

諸元
バルギル
VARGUIL
型式番号 AMS-123X[26]
全高 20.9m[26]
21.7m(ガンダム・ヘッド搭載型)[27]
全備重量 57.6t[26]
51.8t(ガンダム・ヘッド搭載型)[27]
武装 ビーム・ライフル(グレネード・ランチャー)
ロング・ライフル
ビーム・トマホーク兼用ビーム・サーベル
ファンネル×6
搭乗者 アゴス・ラガート[26]

宇宙世紀0092年を舞台とする漫画『機動戦士ムーンガンダム』に登場。メカニックデザインは形部一平が担当。

ヤクト・ドーガと同時期に開発されたニュータイプ専用機で、のちのサザビーのプロトタイプ。パイロットは、偽装貨物船「アタラント3」に所属するニュータイプ研究所出身の強化人間「アゴス・ラガート」[26]

サザビーを細身かつ直線的にしたような外見で、機体色は紫色。ギラ・ドーガの1.5倍に強化されたジェネレーターとガンダリウム合金装甲を採用、多数の推進器を配置しつつ軽量化を施すことで、ほかの実験機を上回る運動性能を発揮する。一方で、サイコミュ・システムの性能はサイコ・フレーム搭載機であるヤクト・ドーガに劣っており、安定性を欠いた失敗作とされている[26]。アトランタ3所属機からは次世代サイコミュ技術が取り外され、操縦席とファンネルは従来のサイコミュ式に換装されている[26]

武装の形状や機能、配置もサザビーに似ており、グレネード・ランチャー内蔵型ビーム・ライフル、ビーム・トマホーク兼用ビーム・サーベル、背部上段左右のコンテナに内蔵されたファンネル計6基に加えて[28]、長銃身のロング・ライフルを装備する[26]

「バルギル」とは『ムーンガンダム』の原作者である福井晴敏が考えた命名案のひとつで、ほかに挙げた候補のなかから形部一平の息子が選んだものが採用された。形部は「サザビーに繋がるような機体名にしっくり来るものがなかったため、意味をもたず語感のみを重視した名称に決めた」と語っている[29]

作中での活躍(バルギル)

『ムーンガンダム』第2話で、ロンド・ベル所属ラー・ギルス隊を撃退すべく初出撃するが、アゴスはファンネルを起動させることができず[注 3]、敵機のシータプラスに苦戦を強いられる。そこで、みずから切り落とした右ファンネル・ラックを投擲して牽制し、頭部の左顔面を潰されつつもアタラント3の窮地を救う。戦闘後は充分な修理を受けられず、損傷部分も放置されたままで運用される[27][注 4]。第6話では、戦場で遭難したジオン皇女「ミネバ・ラオ・ザビ」の捜索中、同じく宇宙を漂流中だった光族の少年ユッタ・カーシムを回収。このとき機体のサイコミュがユッタの意思を感知し、左ラック側のファンネルが起動。次いでミネバの回収にも成功する。

第9話、第10話では、ムーン・ムーンに漂着したティターンズ残党のサイコミュ搭載型MS「G-ドアーズ」の頭部(ガンダム・ヘッド)を解析する目的で、同じサイコミュ搭載機である本機に頭部が移植され、「ガンダム・ヘッド搭載型」として応急修理される[27]。その際、起動した頭部の干渉を受け、機体のサイコミュ・システムを乗っ取られたことから、アゴスは、もう自分には乗りこなせないだろうと述べている[31]

ムーンガンダム

諸元
ムーンガンダム
MOON GUNDAM
型式番号 AMS-123X-X[32]
全高 21.7m[28]
全備重量 不明[28]
装甲材質 不明[28]
出力 不明[28]
推力 不明[28]
武装 ビーム・ライフル
ビーム・トマホーク
60mmバルカン
バタフライ・エッジ×2
サイコプレート×8
搭乗者 ユッタ・カーシム

バルギル(ガンダム・ヘッド搭載型)に、ムーン・ムーンへ漂着したG-ドアーズの頭部とそのサイコミュ・ユニット「サイコプレート」を組み込んだ姿[32]。機体の背面に装着されたサイコプレートには研究段階にあったサイコフレームが組み込まれており[33][34]、パイロットの感応波を機体の操縦に反映させる受信装置としての機能を持つほか[35]、自在に分割してそれ自体をオールレンジ攻撃用の武器として使用することができる。サイコプレートは16枚のうち8枚[35]が戦闘により欠損しており、残りの8枚が欠けた月を想起させるシルエットを形成する[33][注 5]

ネオ・ジオン軍過激派シュランゲ隊の襲撃で身動きが取れなくなったアゴスに代わり、ムーン・ムーンに住む少年「ユッタ・カーシム」が搭乗する。身分を隠してユッタに接触したクランゲル隊の上官「リュース・クランゲル」が、「ムーン・ムーンで生まれ、ムーン・ムーンの民であるユッタが動かすガンダム」という意味を込めて「ムーンガンダム」と命名する[35]。このとき機体名称と型式番号も正式に変更された[36]

当初の機体色はそれぞれの改修前と同じとなっており、設定資料などでは「バルギル(ガンダムヘッド&サイコ・プレート搭載型)」と呼称されるが[33]、その後地球連邦軍への心理的効果を意図したリュースの意向により、第23話でガンダムを想起させる赤白青のトリコロールへと塗り替えられている[注 6]。当初はゲム・カモフのような運用が想定されており[36]、第24話では所属を偽るために利用された。

武装は改修前と同じビーム・ライフルやビーム・トマホークに加え、もともとバルギル用の武装であった[36]左右の前腕後部に内蔵された折り畳み式格闘用ビーム刃発生器「バタフライ・エッジ」2基、G-ドアーズの頭部に内蔵された60ミリバルカン砲2門、G-ドアーズから移植されたムラサメ研究所由来の遠隔式サイコミュ兵器「サイコプレート」8基。ビーム式トライブレードの一種と位置づけられるバタフライ・エッジは短時間のみサイコミュによる遠隔操作が可能で、ブーメランのような使い方が可能[36]。サイコプレートは、バックパック左側に連結状態の4基を二重に重ねた収納形態と、赤い発光部を露出させた三日月形態の二つの待機形態をもち、分離後はパイロットの脳波コントロールで攻防どちらにも使用可能となっている[28]

脚注

注釈

  1. ^ フロントアーマーには本名のキャスバル・ダイクン(もしくは通り名としてのシャア・ダイクン、またはその両方)のイニシャルCDト音記号風にアレンジしたマーキングが入っている。
  2. ^ 片刃の形態を「ビーム・アックス」としている資料もあり、ガンプラ「HGUC サザビー」の説明書では武装自体の呼称を「ビーム・トマホーク」、片刃のみビームを形成した形態を「ビーム・アックス」、両刃および中央部先端にビームを形成した形態を「大型ビーム・サーベル」としている[9]
  3. ^ アゴスは機体の不具合であると主張するが、仲間からは「半人前」などと非難を浴び、以降もからかわれる原因となる。
  4. ^ 損傷した頭部の不気味さから、作中ではユッタから「悪霊を乗せた顔なしの巨人」と誤認される[30]
  5. ^ 「ジオン系の胴体にガンダムの頭が乗っていて、背中に月を背負っている」というコンセプトは福井晴敏の提案によるもので、そこにデザイナーの形部一平が「満月状のファンネル集合体が偶発的な要因で欠損し、欠けた月のシルエットを構成する」という設定を組み込んだ[33]
  6. ^ 『機動戦士ムーンガンダム』の連載開始号である『月刊ガンダムエース』2017年11月号の表紙や、2018年に発売されたガンプラでは、本編の展開に先んじてトリコロールで配色されており[28]、のちの展開でガンダムらしい配色に塗り替えられることが予告されていた[29]

出典

  1. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編』バンダイ、1989年6月、44頁。(ISBN 978-4891890193)
  2. ^ a b c d e f g h 『マスターグレード MSN-04 サザビー』付属説明書、バンダイ、2000年7月。
  3. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE .3 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.4 アクシズ戦争編】』バンダイ、1989年6月、52-53頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q プラモデル『1/144 MSN-04 サザビー』付属説明書、バンダイ、1988年2月。
  5. ^ 配信アニメ『機動戦士ガンダム Twilight AXIS
  6. ^ a b c 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編』バンダイ、1989年6月、70頁。(ISBN 978-4891890193)
  7. ^ a b 『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店、1998年8月15日初版発行、59-60頁。(ISBN 4-8402-0912-X)
  8. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編』バンダイ、1989年6月、138頁。(ISBN 978-4891890193)
  9. ^ プラモデル『HGUC MSN-04 サザビー』付属説明書、2008年6月。
  10. ^ 『ガンダム パーフェクト・ファイル36号』ディアゴスティーニ・ジャパン、2012年5月。
  11. ^ a b 『出渕裕メカニカルデザインワークス』ムービック、2000年8月、12頁。(ISBN 978-4896014907)
  12. ^ 『B-CLUB』22号、バンダイ、1987年8月、49頁。
  13. ^ 小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』207ページ
  14. ^ 小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』218ページ
  15. ^ 小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』223ページ
  16. ^ 『B-CLUB』30号、バンダイ、1988年4月、88-91頁。
  17. ^ 『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店、1998年8月15日初版発行、20-23頁。(ISBN 4-8402-0912-X)
  18. ^ 『B-CLUB』30号、バンダイ、1988年4月、16-17頁。
  19. ^ 『1/550 NZ-333 α-アジール』バンダイ、1988年8月、組立説明書。
  20. ^ 第2次スーパーロボット大戦α』 など
  21. ^ a b ガンダムモビルスーツバイブル 5号 (MSN-04 サザビー). デアゴスティーニ・ジャパン. (2019/3/5) 
  22. ^ 『モデルグラフィックス』2017年3月号、大日本絵画。
  23. ^ 近藤和久『ジオンの再興』角川書店、1996年2月、18頁。(ISBN 404713127X)
  24. ^ a b c d e f g h i j k 『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』1988年、45頁。
  25. ^ 『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』1988年、55頁。
  26. ^ a b c d e f g h 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2018年2月、138-139頁、JAN 4910124010389。 
  27. ^ a b c d 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2018年7月、68頁、JAN 4910124010785。 
  28. ^ a b c d e f g h 『ハイグレードユニバーサルセンチュリー AMS-123X-X ムーンガンダム』付属説明書、バンダイ、2018年9月。
  29. ^ a b 虎哉孝征; 形部一平 (26 March 2019). "虎哉孝征&形部一平 ダブルインタビュー" (Interview). Interviewed by 鈴木康道. {{cite interview}}: 不明な引数|program=は無視されます。 (説明)
  30. ^ 『機動戦士ムーンガンダム』第1巻、258,261頁、第6話。
  31. ^ 「機動戦士ムーンガンダム Episode.20」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2019年8月、85-126頁、JAN 4910124010990。 
  32. ^ a b HGUC1/144 ムーンガンダム|バンダイホビーサイト 2018年9月17日閲覧
  33. ^ a b c d 「ムーンガンダム メカニカルワークス Vol.12 バルギル(ガンダムヘッド&サイコ・プレート搭載型)」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2018年12月、116-117頁、JAN 4910124011287。 
  34. ^ 「ムーンガンダム メカニカルワークス Vol.13 G-ドアーズ」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2019年1月、112-113頁、JAN 4910124010198。 
  35. ^ a b c 「機動戦士ムーンガンダム Episode.21」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2019年9月、131-170頁、JAN 4910124010990。 
  36. ^ a b c d 「ムーンガンダム メカニカルワークス Vol.20 ムーンガンダム」『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2020年1月、32-33頁、JAN 4910124010105 

参考文献

関連項目