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サイコフレームの採用によって機体の駆動系にパイロットの意思を直接伝える事が可能となり、コクピット周辺や機体各所へ分散配置することで追従性の大幅な向上が実現{{Sfn|機動戦士ガンダム MS大図鑑Part3|p=42}}。同時にサイコミュ装置の搭載スペースの大幅な削減に貢献しているため、本体重量の軽量化にも繋がった<ref>ガンダム パーフェクト・ファイル15号</ref>。チップ単体では実効的な効果を持たないためサイコミュシステムとして機能させるにはメインとなる装置が別途必要になるが{{Sfn|機動戦士ガンダム MS大図鑑Part3|p=54}}、サイコ・フレーム単体でフル規格サイコミュと同等の性能を発揮した事例も挙がっており、相乗効果も含めてサイコミュという概念を一変させるポテンシャルを秘めている<ref>ガンダム パーフェクト・ファイル15号</ref>。開発は[[シャア・アズナブル]]自身が行った{{Sfn|小説『逆襲のシャア(後篇)』|p=250}}{{Refnest|group="注"|漫画『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア#機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME|機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME]]』では、シャアの部下の[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#ナナイ・ミゲル|ナナイ・ミゲル]]が開発を行ったとアレンジされている。}}。
サイコフレームの採用によって機体の駆動系にパイロットの意思を直接伝える事が可能となり、コクピット周辺や機体各所へ分散配置することで追従性の大幅な向上が実現{{Sfn|機動戦士ガンダム MS大図鑑Part3|p=42}}。同時にサイコミュ装置の搭載スペースの大幅な削減に貢献しているため、本体重量の軽量化にも繋がった<ref>ガンダム パーフェクト・ファイル15号</ref>。チップ単体では実効的な効果を持たないためサイコミュシステムとして機能させるにはメインとなる装置が別途必要になるが{{Sfn|機動戦士ガンダム MS大図鑑Part3|p=54}}、サイコ・フレーム単体でフル規格サイコミュと同等の性能を発揮した事例も挙がっており、相乗効果も含めてサイコミュという概念を一変させるポテンシャルを秘めている<ref>ガンダム パーフェクト・ファイル15号</ref>。開発は[[シャア・アズナブル]]自身が行った{{Sfn|小説『逆襲のシャア(後篇)』|p=250}}{{Refnest|group="注"|漫画『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア#機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME|機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME]]』では、シャアの部下の[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#ナナイ・ミゲル|ナナイ・ミゲル]]が開発を行ったとアレンジされている。}}。


構造材そのものに[[サイコミュ]]能力を持たせることに成功したが、この技術には未解明の部分が多く{{Sfn|機動戦士ガンダム MS大図鑑Part3|p=70}}、[[宇宙世紀|U.C.]]0096に生じた「ラプラス事変」において、[[アナハイム・エレクトロニクス]]からビスト財団へ出向してきていた[[機動戦士ガンダムUC#アーロン・テルジェフ|アーロン・テルジェフ]]も、[[ユニコーンガンダム]]の装甲から露出したサイコ・フレームが発光する理由は造った自分達ですら分からないと語っている<ref>『[[機動戦士ガンダムUC|機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096]]』第8話「ラプラス、始まりの地」</ref>。ただし、サイコフレーム自体は「さして精製が難しいものではない」とされる{{Sfn|Twilight AXIS(1)|2017|p=123}}。
構造材そのものに[[サイコミュ]]能力を持たせることに成功したが、この技術には未解明の部分が多く{{Sfn|機動戦士ガンダム MS大図鑑Part3|p=70}}、[[宇宙世紀|U.C.]]0096に生じた「ラプラス事変」において、[[アナハイム・エレクトロニクス]]からビスト財団へ出向してきていた[[機動戦士ガンダムUC#アーロン・テルジェフ|アーロン・テルジェフ]]も、[[ユニコーンガンダム]]の装甲から露出したサイコ・フレームが発光する理由は造った自分達ですら分からないと語っている<ref>『[[機動戦士ガンダムUC|機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096]]』第8話「ラプラス、始まりの地」</ref>。ただし、サイコフレーム自体は「さして精製が難しいものではない」とされる{{Sfn|Twilight AXIS(1)|2017|p=123}}。


以上のように様々な“機能”を内包する設定だが、『[[機動戦士ガンダムNT]]』を製作した小形尚弘サンライズ第一スタジオ[[プロデューサー]](2018年当時)は、インタビューにおいて「(ナラティブガンダム=サイコフレーム非搭載機は)性能的にはフェネクス(=フル・サイコフレーム機)には劣る位置づけなのでしょうか?」と、問われた際に「まったく別の系統というか。どちらが上かの性能比較というのは難しい」<ref>[https://web.archive.org/web/20181210092111/https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1544197578 『機動戦士ガンダムNT』小形尚弘プロデューサー&吉沢俊一監督インタビュー――富野由悠季監督にまつわる仰天エピソードから、『閃光のハサウェイ』についても直撃]</ref>と返答している。
以上のように様々な“機能”を内包する設定だが、『[[機動戦士ガンダムNT]]』を製作した小形尚弘サンライズ第一スタジオ[[プロデューサー]](2018年当時)は、インタビューにおいて「(ナラティブガンダム=サイコフレーム非搭載機は)性能的にはフェネクス(=フル・サイコフレーム機)には劣る位置づけなのでしょうか?」と、問われた際に「まったく別の系統というか。どちらが上かの性能比較というのは難しい」<ref>[https://web.archive.org/web/20181210092111/https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1544197578 『機動戦士ガンダムNT』小形尚弘プロデューサー&吉沢俊一監督インタビュー――富野由悠季監督にまつわる仰天エピソードから、『閃光のハサウェイ』についても直撃]</ref>と返答している。
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** 『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]』
** 『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]』
: 劇中で[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#オクトバー・サラン|オクトバー・サラン]]が[[アムロ・レイ]]と[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#チェーン・アギ|チェーン・アギ]]に対して最初に説明していたのは、[[νガンダム]]搭載の[[サイコミュ]]を使い敵の脳波を強化して受信し対応を早めるというアムロのアイデアを元に、アナハイムの材質開発部がサイコフレームを開発したという経緯だった。しかしオクトバーはチェーンに向けた手紙で、実際にはこの技術はアナハイムの材料開発部門が開発したものではなく、ネオ・ジオンから提供された技術であるということを明かしている。
: 劇中で[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#オクトバー・サラン|オクトバー・サラン]]が[[アムロ・レイ]]と[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#チェーン・アギ|チェーン・アギ]]に対して最初に説明していたのは、[[νガンダム]]搭載の[[サイコミュ]]を使い敵の脳波を強化して受信し対応を早めるというアムロのアイデアを元に、アナハイムの材質開発部がサイコフレームを開発したという経緯だった。しかしオクトバーはチェーンに向けた手紙で、実際にはこの技術はアナハイムの材料開発部門が開発したものではなく、ネオ・ジオンから提供された技術であるということを明かしている。
: 新生ネオ・ジオンの総帥である[[シャア・アズナブル]]は宿敵である[[地球連邦軍]]の[[アムロ・レイ]]が新型のガンダムを開発している事を察知した為、技術格差を是正するために[[アナハイム・エレクトロニクス]]の[[フォン・ブラウン市|フォン・ブラウン]]工場側へサイコフレーム技術を意図的にリークしたのだった。またシャアの真意としては、アムロとMS戦で互角に戦いたかったというだけでなく、地球を自らの手で汚染することに恐れを覚えたことから、アムロに自分を止めてもらうべく、技術を与えたのだと真実を打ち明けている{{Sfn|小説『逆襲のシャア(後篇)』|p=250}}。
: 新生ネオ・ジオンの総帥である[[シャア・アズナブル]]は宿敵である[[地球連邦軍]]の[[アムロ・レイ]]が新型のガンダムを開発している事を察知した為、技術格差を是正するために[[アナハイム・エレクトロニクス]]の[[フォン・ブラウン市|フォン・ブラウン]]工場側へサイコフレーム技術を意図的にリークしたのだった。またシャアの真意としては、アムロとMS戦で互角に戦いたかったというだけでなく、地球を自らの手で汚染することに恐れを覚えたことから、アムロに自分を止めてもらうべく、技術を与えたのだと真実を打ち明けている{{Sfn|小説『逆襲のシャア(後篇)』|p=250}}。
: 結果として、アムロの白いMS・[[νガンダム]]とシャアの赤いMS・[[サザビー (ガンダムシリーズ)|サザビー]]に搭載されたサイコフレーム、そしてオクトバーの手紙に同封されたサイコフレーム試料が'''人類史上最大規模の“奇跡”'''を引き起こし、[[地球]]を救ったのだった。
: 結果として、アムロの白いMS・[[νガンダム]]とシャアの赤いMS・[[サザビー (ガンダムシリーズ)|サザビー]]に搭載されたサイコフレーム、そしてオクトバーの手紙に同封されたサイコフレーム試料が'''人類史上最大規模の“奇跡”'''を引き起こし、[[地球]]を救ったのだった。



2020年11月7日 (土) 11:23時点における版

サイコフレーム (Psycho Frame) は、アニメ作品群『ガンダムシリーズ』に登場する、架空の技術および工業部材。

設定概要

サイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを、金属粒子レベルで鋳込んだモビルスーツ(MS)用の構造部材[1][2]新生ネオ・ジオンにより開発された技術で、「MSN-03 ヤクト・ドーガ」を設計する際、サイコミュに必要とされる装置自体を小型化した事で省略された機能を代替するために開発された[3]

サイコフレームの採用によって機体の駆動系にパイロットの意思を直接伝える事が可能となり、コクピット周辺や機体各所へ分散配置することで追従性の大幅な向上が実現[1]。同時にサイコミュ装置の搭載スペースの大幅な削減に貢献しているため、本体重量の軽量化にも繋がった[4]。チップ単体では実効的な効果を持たないためサイコミュシステムとして機能させるにはメインとなる装置が別途必要になるが[5]、サイコ・フレーム単体でフル規格サイコミュと同等の性能を発揮した事例も挙がっており、相乗効果も含めてサイコミュという概念を一変させるポテンシャルを秘めている[6]。開発はシャア・アズナブル自身が行った[7][注 1]

構造材そのものにサイコミュ能力を持たせることに成功したが、この技術には未解明の部分が多く[8]U.C.0096に生じた「ラプラス事変」において、アナハイム・エレクトロニクスからビスト財団へ出向してきていたアーロン・テルジェフも、ユニコーンガンダムの装甲から露出したサイコ・フレームが発光する理由は造った自分達ですら分からないと語っている[9]。ただし、サイコフレーム自体は「さして精製が難しいものではない」とされる[10]

以上のように様々な“機能”を内包する設定だが、『機動戦士ガンダムNT』を製作した小形尚弘サンライズ第一スタジオプロデューサー(2018年当時)は、インタビューにおいて「(ナラティブガンダム=サイコフレーム非搭載機は)性能的にはフェネクス(=フル・サイコフレーム機)には劣る位置づけなのでしょうか?」と、問われた際に「まったく別の系統というか。どちらが上かの性能比較というのは難しい」[11]と返答している。

機能と特性

感応波の受信

サイコミュの基本機能。パイロットの感応波だけでなく周囲の人間の感応波も受信し、パイロットにフィードバックすることで反応速度を向上させた。サイコフレームでは従来のサイコミュより受信許容量や速度が大きく向上し、機器の安定性も高まった。感応度の向上などニュータイプの脳波の増幅・送受信機としての機能が想定されていたが、微弱なオールドタイプの脳波も送受する作用が存在し、感知能力を先鋭化させたり、遠く離れた人に意思を伝えたり、人の意思が集中する接点となる現象が起きている。アムロ・レイのようなニュータイプがサイコフレームを使えば、敵のパイロットの意思まで読み取れることを期待されていた[12]

軽量性

サイコ・フレームは従来のフレーム材よりも軽量で、νガンダムがコクピット周辺の素材を換装した際には、本体重量が3kg軽量化された[13]

高い強度

感応波を受けて稼働状態となったサイコフレームは高い強度を発揮する。例としてアニメ版『機動戦士ガンダムUC』において、フル・サイコフレーム機であるユニコーンガンダムがサイコフレームを緑色に輝かせた状態では、同機のマニピュレーターネオ・ジオングのアーム・ユニットとの激突に一方的に競り勝っている。また、サイコフレーム搭載のシールドは、ビーム・ガトリングガン用Eパックの爆発に巻き込まれても稼働に支障をきたさなかった。

しかしながら『破壊されない』というわけではなく、ユニコーンガンダム(サイコフレームが赤色に発光)のシールドは表面からバルカンを、裏面からEパックの爆発を受けた際には爆散している。他にもバンシィ・ノルンの各アームド・アーマー、そしてムーバブル・フレームは、こちらもサイコフレームの輝く稼働状態であっても破壊されている[14]。劇場用アニメ『機動戦士ガンダムNT』では、サイコフレーム資材を外装したナラティブガンダム(C装備)が、デストロイモードと見紛うばかりに赤く輝いていたが、シールドがビーム・ライフルの直撃で吹き飛んだのを皮切りに、最終的には撃墜にまで追い込まれている。

制作側のコメントとしては、アニメ版『機動戦士ガンダムUC』のストーリー(脚本)担当として福井晴敏が、インタビュー「MG フルアーマーユニコーンガンダム Ver.Ka ハイパー・ビーム・ジャベリンの理由」において、キットオリジナル武装であるハイパー・ビーム・ジャベリンにサイコフレームを最初からリクエストしていたのかを聞かれた際には「サイコフレームというのは、発動状態になると、いわゆる物理法則を飛び越えて異常に固くなるなど、オリハルコン的金属である。」[15]と応えている。

バリアー機能と出力の増大

旧来のサイコミュでも見られた機能だが、対ビーム・バリアーの形成、機体の出力増大が認められる。実際、サイコ・フレーム試料を身に着けていたチェーン・アギはα・アジールからのビーム攻撃を無効化した。また、ユニコーンガンダム(デストロイモード)のジェネレーター出力、スラスター総推力が測定不能と記述されているのはこの為であると考えられている。

思考による機体操作とファンネル操作難度の緩和

旧来のサイコミュでも部分的に実現していた機能だが、サイコフレームはより高度化しており、パイロットの脳波(思考)を直接駆動系に伝達できるため、機体の追従性が大幅に向上している。理論上では、操縦桿を介さずにMSの操縦が可能である。事実、ユニコーンガンダム1号機においては機体からかなり離れた位置にいるバナージ・リンクスの意思によってコクピットが無人にも関わらず起動、行動している。

ファンネルに代表されるサイコミュ制御式攻撃端末の操縦難易度も、サイコフレームの力により大幅に下がることになった。開発当初の段階では、普通の人間がサイコミュを使うと生理的な強迫観念にとらわれて自滅してしまう欠点があったが、サイコミュとサイコフレームの併用により一般的なパイロットでも脳波誘導できることを期待されていた[12]

共鳴効果

サイコミュにも見られた機能だが[16]、サイコフレームも他者の思考を共鳴させる機能が備わっている。

シャア・アズナブルはこの機能を使って、人類全体に謙虚さを教示することも考えていた。またナナイ・ミゲルはそのプランに対して、冗談交じりにサイコフレームで地球を包めれば、可能かもしれないと語った[17]

アクシズに取り付いたνガンダムサザビーのコクピット・ブロックから発せられたサイコ・フレームの光は、地球の向こうにいた地球連邦軍の88艦隊を洗脳して、アクシズジムIIIジェガンを取り付かせた。これにブライト・ノアは「今頃になってどういうことなんだ?」と動揺を隠せなかった[13]

共振現象

サイコフレーム同士は共振を起こす[13][18]

νガンダムのサイコフレームに反応して、サザビーのカプセル内のサイコフレームも共振を起こし[13]、ガンダムとカプセルの接触部が発光し[19]、その光は拡大して行き、他のMSを跳ね飛ばしていった。

発光現象(人間の意思をエネルギーに転化)

人の意思が集中し過ぎて、オーバーロードを起こしたサイコフレームは発光する[13]。その光は、オーロラに似た鮮やかなもので[20]、シャア曰く、恐怖を感じさせない、暖かさと安心を感じさせた[13]

逆襲のシャア』では、戦闘中にサザビーやνガンダムが緑色に発光した。νガンダムがアクシズに取り付いた際には、そんなエネルギーがどこにあるのか、機体そのものが光の化身になったかのように、地球光が色褪せる程に発光を強めた[21]。この現象は、「人類が観測した最初で最大の規模」であったとされる[22]

小説版『UC』においては、サイコ・フレームが発する光の正体は、感応波のオーバーロード、つまりユニコーンガンダムのサイコ・フレームは、パイロットであるバナージ・リンクスをエネルギー源として集積された感応波を光に変え、最終的には物理エネルギーに転換する装置でもあると、アナハイム社のアーロン・テルジェフがユニコーンガンダムのデストロイ・モード発動時のデータを再検証することで解明している[23]。「赤」「青」「黄」といった発光色については、『NT』で監督を務めた吉沢俊一が「ナラティブガンダムとC装備が赤く光るのは福井(晴敏)さんのオーダーでした」とし、他の機体の発光色はスタッフ全体で相談しながら決めた[24]という、“デザインありき”であることを語っている。


『機動戦士ガンダムNT』×『機動戦士ガンダムオンライン』コラボレーション第二回の対談の場に、『機動戦士ガンダムNT』の脚本担当として招かれた福井晴敏は、発光現象の詳細を段階に分けて「第一段階では、サイコフレームが発動状態になると、人間の意思をエネルギーに転化する。第二段階では、サイコフレームの中に生きた人間が丸ごと入ってそれを己の肉体とすると、我々が住んでいるレベルの次元とは違う力を引き出せてしまうらしい」と語っている[25]。 福井晴敏は本対談において、同様の現象が過去のガンダム作品でも見られることも述べている。例として、『機動戦士ガンダム』の最終決戦でアムロがニュータイプでない者に向けても脱出を呼びかけることが出来る、たくさんの幽霊達と一緒にΖガンダムが突っ込んでいった。どういう理屈か自分のエネルギー砲口が壊れるくらいビームを撃てるようになったΖΖガンダムは明らかに別世界の何かが流れ込んでいてそうなったという描写だと受け取り、ユニコーンガンダムはそれを踏まえた上で更に次の上の段階であるという、独自の見解を語っている[26]

サイコフレームで作られた道具

サイコフレーム試料

劇場用アニメおよび小説版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する。事前通知なしでアナハイム側がνガンダムに搭載した新素材サイコフレームをテストするため、ロンド・ベルに合流したチェーン・アギの元へνガンダムの開発担当オクトバー・サランから送られたT字型の金属。

これをノーマルスーツの腰元に装着したチェーンは、ラー・カイラムの機銃を手動で操作してレズン・シュナイダーが操縦するギラ・ドーガの激しい機動を読んで撃墜、α・アジールのビームに対してバリアーを貼るなど不思議な現象が起こった。劇中終盤、少しでもサイコフレームが多い方がアムロが有利になるとの理由で、チェーンが戦場に届けようとしたが彼女は機体を撃破され戦死、チェーンの元から離れたサイコフレーム試料は戦場を彷徨うことになった。しかし、チェーンが残したサイコフレームの資料片が契機となり、戦場に集う人々の意識が繋ぎ合わされ、ついに地球に落下しつつあるアクシズを引き戻すほどの力を発揮した[27]

小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 中篇』では、サイコ・フレーム試料をテストしている様子が描写された。疲労テストデータは一万時間までは保証されていたが、これを見たアムロは「これでは俺を殺す気だ、もっと長い時間のデータが要る」とオクトバーに言った。倍加強度は80Gまでは確認済みで上限は120G、試料によって多少のバラツキが観察されていた。これに対しアムロは最大値で揃えるように注文を出し、オクトバーは焼き込みの時の重力制御が甘かったのだろうと考察し、脳波変換のアクセス・チップの並べ方を詰めて改善する事を提案した[28]。サイコフレームの試料は、νガンダムに採用するためモビルスーツ二、三機分のテストを行うなど大量に作られていた。アムロはサイコフレーム技術が、軍以外に使ってはいけない性格のものだと感じ、一技術者レベルで取り扱っていいものではないと評した。オクトバー曰く、サイコフレームは全社的に核兵器と同じレベルでの機密管理を行っており、サイコフレーム試料も封印して破棄を行っている。だがこれに不信感を持ったアムロは、極秘事項として軍からもチェックさせるとチェーンに言った[29]

サイコプレート

漫画『機動戦士MOONガンダム』に登場する。G-ドアーズムーンガンダムに装備されているサイコミュ兵装[30]

それぞれがサイコフレームで構成されたファンネルの集合体で[31]、「ミスター・エンキドゥ」なる人物の技術協力を受けたティターンズ残党が、「サイコガンダムMk-II」のリフレクター・ビットを発展させ完成された[30]。技術協力を行った人物の正体はシャア・アズナブルであるとされる[32]

発展元のリフレクター・ビットと異なってメガ粒子砲が排されたが、ニュータイプ能力者との共振関係にあった場合、非常に硬度が上がるサイコフレームの特性に着目して、シールド並の堅牢さを持っている。推進機も備わっており、パイロットのアイディア次第で分割・合体、レイアウトを思いのままに変えられ、時には盾にも矛にもなる攻防一体の装備である[33]

単なる兵器ではなく、それ自体が機体本体の操縦性や反応速度を向上させる外付け式のサイコミュ装置としての役割も持つが、これはサイコプレートが後のサイコフレームのような小型化には至っていないため、操縦席に張り込むことができないという技術的な限界によるものであるという設定[32]

サイコ・スーツ

劇場用アニメおよび小説版『機動戦士ガンダムNT』に登場する。サイコフレームが仕込まれたパイロットスーツ[34]

劇中では、ナラティブガンダムに搭乗する際、ヨナ・バシュタが着用している。ナラティブガンダム A装備の複合特殊兵装サイコ・キャプチャーは、サイコ・スーツの力を借りて起動させる[35]。装着者、もしくは外部のサイコ・ウェーブ(感応波)に反応して、スーツのサイコフレーム部分が赤く発光し、ヘルメットのバイザーにニュータイプ特有の閃きのような光が煌めく[34]

ヘルメット部分の分厚いバイザーなど、かなりの重量を持った重装備で、着ているだけで装着者の体力を激しく奪う。また、着脱は1人では重過ぎてできないので、ルオ商会専属のメカニックの介助を必要としていた[36]

終盤、ヨナがナラティブのコア・ファイターからフェネクスへ移動する際、宇宙空間に破棄された[37]

サイコフレーム技術の応用

改良型サイコフレーム

νガンダム ヘビー・ウェポン・システム装備型の駆動系に採用された。詳細不明。

フルサイコフレーム

「シャアの反乱」後にアナハイム・エレクトロニクス社は極秘裏に研究、開発したことで新型のサイコフレームを開発した。このサイコフレームは以前の物と比べムーバブル・フレーム全身に使うことへの強度と生産性の問題をクリアしている。これを用いてユニコーンガンダムではムーバブル・フレームそのものを、サイコフレームを使って構築した「フルサイコフレーム構造」を実現しており、サイコミュオペレーションシステム「NT-D」と連動させることで、宇宙世紀0096年時においては測定不能な程の出力と高機動性を実現している。ただし、パイロット自体の肉体的・精神的負荷も甚大であるため、NT-D発動時間は5分という制限(通常時はレスポンスにリミッターがかかる)が設けられている。ユニコーンガンダム1号機は発光色が赤、2号機バンシィは金、そして後に搭乗者のバナージとリディがニュータイプとして覚醒した際には両機とも緑色へと変化した。なお、本編未登場の3号機は青に発光する。

サイコフレーム機にはサイコミュ母機との連携が解説された資料もあるが、フルサイコフレーム機についての母機の設定は判明していない。

インテンション・オートマチック・システム

機動戦士ガンダムUC』に登場するサイコミュ思考操縦システム。「UC計画」によって誕生したユニコーンガンダムシナンジュ[38]に搭載された、機体の操縦にニュータイプ・パイロットが思い描く操縦イメージを直接反映させるサイコミュシステムであり、パイロットの思考が機体の動きにダイレクトに反映され、通常の手動のみの操縦を遥かに凌駕する反応速度と動作精度を誇る。この機体制動システムとフル・サイコフレーム機を組み合わせることにより開発された、ユニコーンガンダムに搭載される「NT-Dシステム(ニュータイプ・デストロイヤー・システム)」はMSの機動性を極限にまで高め、まるで瞬間移動をしているかのような機動が行われる。その動きは、対峙した相手がニュータイプのパイロットであっても容易には察知することができないほどの機動性を誇る。

F91のサイコミュの主増幅器

小説・劇場用アニメ『機動戦士ガンダムF91』の劇中では言及されていないが、映画公開当時に出版された書籍では、ガンダムF91は操縦席の背にサイコミュのサブ受信機を設け、サイコミュの主増幅器としてコクピット周辺のフレームにサイコフレームを装備しているとするものも見られる[39][40][注 2]。2020年の漫画『機動戦士ガンダムF91 プリクエル』ではF91のMCA装甲(後述)としてサイコフレームも鋳込まれてロールアウトしており、これを含めたサイコミュ系がパイロットの思考をバイオコンピュータへと伝達するためのデバイスとして機能する旨が語られている[43]。ただし『F91プリクエル』では第1話の時点で、サイコフレームを含めたサイコミュ搭載が「ニュータイプでなければ性能を引き出せず、操縦者を選ぶ機体では困る」と軍関係者から難色を示され[注 3]、オールドタイプのパイロットでも安定するようサイコミュ系はデチューンされたという経緯が語られている[44]

デアゴスティーニが発行している分冊百科類では、F91がサイコフレーム機の発展・系統図[45]、サイコフレーム搭載MS[46]一覧には含まれておらず、「サイコフレームに代わる新素材としてMCA装甲が誕生した」との記載[47]にとどまっている。

マルチプル・コンストラクション・アーマー

マルチプル・コンストラクション・アーマー(Multiple Construction Armor、MCA=多機能装甲)構造とは従来のムーバブル・フレーム構造材に代わるもので、それぞれの部材を単機能にはせず、構造材、電子機器、装甲としての機能を合わせ持つ部材にする技術である[48]

これはサイコフレーム製造で確立された「構造材にコンピュータ・チップを金属粒子並みの大きさで盛り込む技術」を応用し、情報伝達及び処理を行うとともにエネルギー伝達回路としても働く多機能で複雑な構造材が開発された[48][49][50]。なおこの構造はフレームだけでなく、装甲材にも使用されている。結果、小型MSは機体強度を維持したままで機体内の容積自体が激減して飛躍的な軽量化を達成し、既存のMSを遥かに超える高い機動性を獲得することに成功した[48][50]

U.C.0097以降のサイコフレームを取り巻く状況については、後述の「サイコフレーム技術の流転」項を参照。

サイコ・フィールド

サイコフレームが作り出す力場。その発生には二人以上の意思の共鳴が必須である[51]波動、若しくは白熱した波動とも描写される[52][18]。 オーロラ状に広がる光の帯を伴いながら莫大なエネルギーを無尽蔵に発生させ、人智を超えた数々の不思議な現象を引き起こす。

宇宙世紀0093年、小惑星アクシズに取り付いたνガンダムが白熱し、そのオーバーロードした光より発する白い光の波で初めて確認された[53]。約1億トンの質量が引力圏に引かれて落下するエネルギーは1.4×10の22乗J(ジュール)(メガトン級水爆300万発、コロニーレーザーソーラ・レイ照射200万日分のエネルギーに相当)[54]という天文学的な数値に達しており、これを押し返したνガンダムの輝きは人類が観測した最初にして最大のサイコ・フィールドとなった[55]。 後に「アクシズ・ショック」と命名されるこの現象以降、サイコフレーム搭載機により度々、規模は小さいとは言え同様の現象が確認される事となる。

劇場アニメ『機動戦士ガンダムNT』では、89式ベース・ジャバーに乗ったミシェル・ルオがサイコフレームの資材を戦闘宙域にばら撒き、フェネクスの放ったサイコ・ウェーブ(感応波)がベース・ジャバーを介してサイコフレームと共鳴することでミシェルの命を依代にしてサイコ・フィールドをナラティブガンダムの周囲に発生させ、IIネオ・ジオングの大型ビーム・ソードに叩き割られるまでヨナ・バシュタを守り続けている。

サイコシャード

サイコシャードとは、サイコフレームを搭載したモビルスーツモビルアーマーニュータイプパイロットとの交感能力を最大限にまで高めた際に生成する、疑似的なサイコフレームである[56]。その外観から「光の結晶体」とも表現される[57]。サイコシャードは、サイコフレームの中に封じ込められた金属粒子並みのコンピュータ・チップ(ナノサイズの集積回路)が周辺空間に散布され、更にそれらがサイコフレームが作り出す力場(フィールド)の中で結晶化して生成されるとされる[58][59]。機能面では、通常のサイコフレーム(フレーム部材)に準じる[59]ため、サイコフレーム同様にニュータイプパイロットと同調することで力場(サイコ・フィールド)を発生させる[57]が、IIネオ・ジオングの光輪型サイコシャードは、サイコフレームがオーバーロード状態に入ったフェネクス[60]ビーム・サーベルによって両断され、そのまま崩壊しているため、こちらも『破壊されない』というわけではない。

この技術はユニコーンガンダムの開発試験中に発生した偶然の産物[61]であるとされ、ネオ・ジオングのサイコシャード発生器はその際のデータが「袖付き」に流出しそれを用いて完成したとされている。アニメ及び小説『機動戦士ガンダムNT』によれば、「袖付き」内では、シャアの亡霊に取り憑かれたフル・フロンタルが、この世ならざる知識でネオ・ジオングのサイコシャードを造り出したと噂が流れており、現にIIネオ・ジオングのサイコ・シャードは、動きはするがなぜ動くのかが分からないという有様で、解析作業は進んでいなかったとされている[57](後述)。

サイコシャードによるサイコ・フィールド

サイコシャードはサイコフレームと同様に、ニュータイプパイロットと同調することで「サイコ・フィールド」を発生させるが、サイコシャードを発生させた機体は、端的に言うならばサイコフレームが一時的に増量されたような状態のため、サイコ・フィールドを発生させるのに有利な条件を揃える事が出来る。また、サイコシャードはサイコフレームと違い二人以上の意思の共鳴は必要とせず、単独でサイコ・フィールドを恣意的に作り出すことが可能。そのサイコ・フィールドは使用者の意思を具現化する精神の力場であるという[62]。ただし上述した史上最大のサイコ・フィールド「アクシズ・ショック」を生じさせたνガンダムのサイコフレーム積載量は、決して多くはなかった事実から、サイコ・フィールドの“強度”そのものを決めるわけではない。

アニメ版『機動戦士ガンダムUC』に登場するネオ・ジオングのサイコシャードは、操縦者が望む脳内イメージや想念を実現・具現化できてしまう[63][64]とまで言われており、アニメ版劇中では「敵の火力を奪う」というイメージを実際の現象として具現化し、敵機体の武装類に干渉して自壊に追い込んだり[63][64]バナージ・リンクスに自身の人類への諦念を理解させたいと望んだ際には、一年戦争時のアムロ・レイララァ・スンのように、二人のニュータイプとしての認識能力を拡大させ“”を形象として垣間見せるという奇跡まで引き起こした[65][66]。具体的にパイロットが望む脳内イメージをどこまで実現可能なのかなど、未だ数多くの謎を含んでいる[61]

さらにコロニーレーザーを防ぐ為に、バナージとリディはユニコーンガンダムとバンシィ・ノルンのサイコフレームを共振させ、二機のユニコーンガンダムによって発生したサイコ・フィールドにより、照射中のコロニーレーザーを無効化した[67]。その際、バナージの強い想いからサイコフレームが結晶化[68]、白いアーマーの部分も破られて変化してしまった究極形態“ユニコーンガンダム(光の結晶体)”へと変化している[69]。1分間のレーザー照射[70]をバンシィ・ノルンとの連携で防いだ後は、事態の収集に現れた部隊単位[71]地球連邦軍MSへ手を振るって波動を送る事で、各機の核融合エンジンを停止させている。アニメ版『UC』の続編となる劇場用アニメ『機動戦士ガンダムNT』では、この時起こった現象が調査されており、ユニコーンガンダムの放出した波動を受けて機能を停止したジェガンA2型のジェネレーターは“まるで組み立て前に戻ったよう”に分解された事が判明している(福井晴敏は、この現象について「刻が巻き戻った」と独自のコメントをしている[72])。

ゾルタン・アッカネンが操縦するIIネオ・ジオングはサイコシャードを搭載している。サイド6におけるゼネラル・レビル艦隊との戦闘で使用し、ヘリウム3貯蔵タンク1基をサイコ・フィールドで包み込むとそのまま投げつけ、内部のヘリウム3ガスを臨界状態にして大爆発を引き起こしゼネラル・レビルを含めた艦隊を一網打尽にした。後にこの戦闘はヘリウム3備蓄基地臨界爆発事故として報告・処理されている。ヘリウム3が臨界爆発を起こした原因は、サイコシャードのサイコ・フィールドによるものなのだが、劇中において事故の真相が公表されることはなかった。ジャーナリストのカイ・シデンがまとめたレポートによれば、臨界状態でないヘリウム3は単なるガスであるから、タンクに流れ弾が当たってもガス爆発が起こるだけであるという。また、ヘリウム3を臨界状態にしてエネルギーを取り出すには、融合反応が起こるだけの超高圧環境となっている密閉された融合炉が必要となるから、戦闘中に散布されたミノフスキー粒子がヘリウム3の原子核と結びつくという事態は物理的に起こりえない。タンク1基分のヘリウム3を臨界させるにしても、地球連邦軍全軍のミノフスキー粒子散布装置を集めてもまだ足りないくらいなのである[73]

サイコフレーム技術の流転

意図的な技術の流出

劇中でオクトバー・サランアムロ・レイチェーン・アギに対して最初に説明していたのは、νガンダム搭載のサイコミュを使い敵の脳波を強化して受信し対応を早めるというアムロのアイデアを元に、アナハイムの材質開発部がサイコフレームを開発したという経緯だった。しかしオクトバーはチェーンに向けた手紙で、実際にはこの技術はアナハイムの材料開発部門が開発したものではなく、ネオ・ジオンから提供された技術であるということを明かしている。
新生ネオ・ジオンの総帥であるシャア・アズナブルは宿敵である地球連邦軍アムロ・レイが新型のガンダムを開発している事を察知した為、技術格差を是正するためにアナハイム・エレクトロニクスフォン・ブラウン工場側へサイコフレーム技術を意図的にリークしたのだった。またシャアの真意としては、アムロとMS戦で互角に戦いたかったというだけでなく、地球を自らの手で汚染することに恐れを覚えたことから、アムロに自分を止めてもらうべく、技術を与えたのだと真実を打ち明けている[7]
結果として、アムロの白いMS・νガンダムとシャアの赤いMS・サザビーに搭載されたサイコフレーム、そしてオクトバーの手紙に同封されたサイコフレーム試料が人類史上最大規模の“奇跡”を引き起こし、地球を救ったのだった。

表向きの研究開発の中止

『機動戦士ガンダムUC』本編から2年前にあたるエピソード「戦後の戦争」では、『シャアの反乱』から一年後のサイコフレームの扱いが描かれた。サイコフレームは『シャアの反乱』で実戦に供されて以後、連邦軍では研究開発が中止された曰く付きの代物となっていた。それは開発側にも想定しきれない未知の特性が確認され、制御がきかなくなる可能性が指摘されたからである。だが、そんな公式発表の裏側で、軍とアナハイム・エレクトロニクスはUC計画をプロジェクトし、開発中止の例外[74]として、サイコフレームの研究開発を継続、UC計画の一環として試験機のスタイン01ことシナンジュを開発、ネオ・ジオン軍に譲渡する計画が仕組まれていた[75]。サイコフレームのアイデアはネオ・ジオンからアナハイムへもたらされたものだが、ネオ・ジオンにはサイコフレームを生産する設備がなく、アナハイムに委託せざるを得なかった事情があった。『シャアの反乱』が失敗に終わった宇宙世紀0094年では、アナハイム社がネオ・ジオンに義理立てをする義務はなく、いくらネオ・ジオン原産の素材であったとしてもサイコフレームを譲渡する理由もない。地球連邦にとっても、未知の特性を秘めた素材を流出させるのは危険極まりなく、強奪事件に見せかけ、シナンジュをネオ・ジオンへと譲渡した。

フル・サイコフレーム機の実戦投入

本項では、『逆襲のシャア』と『NT』を繋ぐためアニメ版について記述する(小説版『UC』は、『NT』に繋がらないため)。
U.C.0096においても、公式発表では表向き開発は中止されていることになっている。アナハイムの材料開発部に所属するアーロン・テルジェフも開発中止の理由は「サイコフレームは未知の領域が大きすぎたからだ」と聞かされていた[76]。また、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ではνガンダムを建造する際にフォン・ブラウン工場側に技術がリークされていたが、この時代はサイコフレームの製造設備は月のグラナダ側にしかなく、グラナダ工場側が機密保持も含めて一括管理している事も彼により説明された。
技術を発展させたことで新型のサイコフレームが完成、ムーバブルフレームそのものをサイコフレームにしたフル・サイコフレーム構造が可能となり、それを採用したユニコーンガンダムは計三機開発された。最終的にユニコーンガンダム1号機と2号機(総合性能向上仕様:バンシィ・ノルン)の二機は、連携することでコロニーレーザーの無効化を達成し、更に1号機は自己再生や未知の波動など、不可思議な現象をみせた。
この「ラプラス事変」を経て、1号機と2号機の二機は「U.C.0096時点の人類には扱い切れない」と見なされ、技術的特異点(シンギュラリティ・ワン)と呼称されることとなった。

秘匿されたサイコフレーム技術の捜索

「ラプラス事変」から数ヶ月経ったこの時代、未だに連邦へともたらされたサイコフレームの精製法は連邦が厳重に管理していた。しかし、地球圏から離れつつあるアクシズの残骸にはまだ研究資料が残されている可能性があり、あるいは何者かがそれを入手することでサイコフレームを再開発、使用する懸念が残っていた。サイコフレーム技術を入手しようとブッホ・コンツェルンは私兵武装集団「バーナム」をアクシズの残骸へと差し向け、連邦側は特殊部隊マスティマをアクシズの残骸へと派遣し技術の漏洩を防ごうとしたのだった。
本作の漫画版(サンライズ編集協力)では、裏でサナリィがブッホ・コンツェルンに協力(情報、MS提供の見返りに、サイコフレーム関連情報を入手できた場合の共有を依頼)していた背景[77]と、「バーナム」のヴァルター・フェルモがアクシズ研究施設から基礎研究資料の一部を秘密裏に回収していた[78]事が描かれている。

サイコフレームの封印と継続使用

『ラプラスの箱』が開かれ、ニュータイプの存在とその権利に言及した『宇宙世紀憲章』の存在が明かされて一年後、世界の枠組みが大きく変化することはなかった。『ラプラス事変』と呼ばれるU.C.0096年の争乱の最後の戦闘で、人知を超えた力を示した白き一角獣黒き獅子は封印され人々の意識から遠ざけられ忘れ去られようとしていた[79]
一方、水面下ではミネバ・ラオ・ザビ一党はユニコーンガンダム1号機、地球連邦軍は2号機というそれぞれが保有する「シンギュラリティ・ワン」を提出。双方の監査人立ち会いのもとに解体・封印し、サイコフレーム研究、製造も禁止する協定を結んでいた[80]
この協定は、ジオン共和国(サイド3)軍大尉であるゾルタン・アッカネンが存在について指摘する[81]レベルで周知されているが、実際には極秘裏にサイコフレームの研究が継続されたのだった[82]。このためU.C.0097時点で既に、複数の組織が「協定違反」を承知でサイコフレームを搭載した機体・新技術を戦場に登場させている[83]。特にルオ商会は民間企業でありながら、秘密裏にフル・サイコフレーム素体、及びハル・ユニットの予備パーツをまとめて蒐集していた上に他組織への横流しまで行っており、事態は混乱し続けた[84]

劇中での内容

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

劇中では、サザビーとフィン・ファンネルバリアー使用時のνガンダムで機体に発光現象が確認されている。試料用のサイコフレーム(T字型)を宇宙服の腰に着けていたチェーン・アギは感知能力を一時的に先鋭化させてラー・カイラムの機銃をギラ・ドーガ(レズン機)に直撃させ撃墜した、また、リ・ガズィ搭乗時には眼の前にバリアーを形成してα・アジールのメガ粒子砲をも防いだ。しかし、その後激昂したハサウェイ・ノアの攻撃に対してはバリアーは発生しなかった。これはチェーンの憎悪が彼女を守る光を消した為であるとされる[85]アクシズ落下の最終段階には、チェーンから離れた試料型サイコフレームとアムロ、シャアそれぞれの機体に搭載されたサイコ・フレームが共振現象を起こし、発生した大規模なサイコ・フィールドが地球へ落下しつつあったアクシズを宇宙へ押し戻すという奇跡的な現象を起こしている。これは『機動戦士ガンダムUC』でアナハイムのスタッフから、「アクシズ・ショック」と呼ばれることになった。

『機動戦士ガンダムUC』

小説版

ユニコーンガンダムの戦闘中にたびたびサイコ・フィールドの展開が確認されており、最大で半径数百キロメートル以上のフィールドを展開させた。地球から大気圏を突破しようとするネオ・ジオンの偽装貨物船ガランシェールと、それを救出するために大気圏近くまで降下してきたロンド・ベルネェル・アーガマが接触した際には、小規模なアクシズ・ショックが発生している。ガランシェールとネェル・アーガマの接触を補助するため、自らをケーブルのつなぎ目としたユニコーンガンダムのフルサイコフレームが、MSでは到底引き寄せられないはずの質量(アクシズとは比べ物にならないほどに軽いが)を持つ2隻を接合させるという現象を引き起こした。この他にも、サイコ・フィールドに巻き込まれたガルダ級超大型空中輸送機(当時でも最大級の空中艦艇)が瞬時に粉砕されたり、触れるだけで誘爆させられている。

OVA版(小説版からの変更)

シャンブロとの戦闘の際に発生したサイコ・フィールドがぶつかり合ったことで周りの建物が破壊されており、終盤では1号機のバナージと2号機のリディが共にニュータイプとして覚醒した結果、フルサイコフレームの色が赤と金から、緑へ変化した上、1号機は更にサイコフレーム搭載シールドが、推進器も無しに自在に防御と攻撃を行う“シールドファンネル”となった。最終的にはバナージとリディがサイコフレームを共鳴させる事で、二機のユニコーンガンダムがコロニーレーザー照射を1分間防ぎきる事に成功した。その後、1号機は迫ってきた連邦艦隊の機体(20機~)を機能停止にさせている。

サイコフレームを採用したMS

旧型サイコフレーム採用機
新型サイコフレーム採用機
資料によってサイコフレーム搭載か分かれる機体
サイコフレーム改造機
サイコフレーム外装機

脚注

注釈

  1. ^ 漫画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME』では、シャアの部下のナナイ・ミゲルが開発を行ったとアレンジされている。
  2. ^ サイコフレームを搭載と記述した資料もみられる[41][42]
  3. ^ この際には軍関係者から、バイオコンピュータをオミットし、搭載済みのサイコフレームを単なる装甲材とする提案も受けている[43]
  4. ^ 当初の設計には含まれていなかったが、建造中にサイコフレームが持ち込まれたことで搭載機として完成。小説『ベルトーチカ・チルドレン』版では鹵獲したサイコ・ギラ・ドーガからサイコフレームを移植。
  5. ^ νガンダム同様に搭載されているとされるが、漫画『ラスト・サン』等非搭載とする記述もあり。
  6. ^ 採用しているとする資料とサイコフレーム搭載機に含めない資料の両方有り。
  7. ^ 小説やラジオドラマ版ではサイコフレームについては言及されない。
  8. ^ 「袖付き」より技術提供。本来多人数で行う操作をメインパイロットのみで行えるようになった。

出典

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  4. ^ ガンダム パーフェクト・ファイル15号
  5. ^ 機動戦士ガンダム MS大図鑑Part3, p. 54.
  6. ^ ガンダム パーフェクト・ファイル15号
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  8. ^ 機動戦士ガンダム MS大図鑑Part3, p. 70.
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  19. ^ 小説『逆襲のシャア(後篇)』, p. 212.
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  24. ^ 『機動戦士ガンダムNT』のBlu-rayが5月24日発売!記念企画第2弾 監督 吉沢俊一氏スペシャルインタビュー
  25. ^ 『機動戦士ガンダムNT』×『機動戦士ガンダムオンライン』 コラボレーション対談 #02 13:56~14:26
  26. ^ 『機動戦士ガンダムNT』×『機動戦士ガンダムオンライン』 コラボレーション対談 #02 14:27~15:07
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参考文献

関連項目