「ゴブリンスレイヤー」の版間の差分
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== スマートフォンゲーム == |
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;ゴブリンスレイヤー THE ENDLESS REVENGE |
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スマートフォン向けゲームアプリとして、[[Android]]版が2019年12月28日、[[iOS]]版が2020年1月1日に、[[SHOWGATE]]より配信開始。4人のパーティーを編成し、スワイプとタップの操作でゴブリンを倒す爽快アクションRPG。原作者監修の元、制作されたゲームオリジナルキャラも登場する。基本プレイ無料のアイテム課金制。 |
スマートフォン向けゲームアプリとして、[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]版が2019年12月28日、[[iOS]]版が2020年1月1日に、[[SHOWGATE]]より配信開始。4人のパーティーを編成し、スワイプとタップの操作でゴブリンを倒す爽快アクションRPG。原作者監修の元、制作されたゲームオリジナルキャラも登場する。基本プレイ無料のアイテム課金制。 |
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ゴブリンスレイヤー | |
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ジャンル | ダーク・ファンタジー[1] ハイ・ファンタジー |
小説 | |
著者 | 蝸牛くも |
イラスト | 神奈月昇 |
出版社 | SBクリエイティブ |
レーベル | GA文庫 |
刊行期間 | 2016年2月 - |
巻数 | 既刊12巻(2020年2月現在) |
小説:ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン | |
著者 | 蝸牛くも |
イラスト | 足立慎吾 |
出版社 | SBクリエイティブ |
レーベル | GA文庫 |
刊行期間 | 2018年3月 - |
巻数 | 既刊2巻(2018年11月現在) |
小説:ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》 | |
著者 | 蝸牛くも |
イラスト | lack |
出版社 | SBクリエイティブ |
掲載サイト | ガンガンONLINE |
レーベル | GAノベル |
連載期間 | 2018年9月 - |
巻数 | 既刊1巻(2019年8月現在) |
漫画 | |
原作・原案など | 蝸牛くも(原作) 神奈月昇(キャラクター原案) |
作画 | 黒瀬浩介 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
掲載誌 | 月刊ビッグガンガン |
レーベル | ビッグガンガンコミックス |
発表号 | 2016年Vol.06 - |
発表期間 | 2016年5月25日 - |
巻数 | 既刊9巻(2020年2月現在) |
漫画:ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン | |
原作・原案など | 蝸牛くも(原作) 足立慎吾/神奈月昇 (キャラクター原案) |
作画 | 栄田健人 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
掲載誌 | ヤングガンガン |
レーベル | ヤングガンガンコミックス |
発表号 | 2017年19号 - |
発表期間 | 2017年9月15日 - |
巻数 | 既刊5巻(2019年11月現在) |
漫画:ゴブリンスレイヤー:ブランニュー・デイ | |
原作・原案など | 蝸牛くも(原作) 神奈月昇(キャラクター原案) |
作画 | 池野雅博 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
掲載誌 | 月刊ビッグガンガン |
レーベル | ビッグガンガンコミックス |
発表号 | 2018年Vol.06 - 2019年Vol.06 |
発表期間 | 2018年5月25日 - 2019年5月25日 |
巻数 | 全2巻 |
漫画:ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》 | |
原作・原案など | 蝸牛くも(原作) lack(キャラクター原案) |
作画 | 水口鷹志 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
掲載サイト | ガンガンONLINE |
発表期間 | 2019年2月14日 - 2019年4月25日 |
漫画:ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》 | |
原作・原案など | 蝸牛くも(原作) lack(キャラクター原案) |
作画 | 青木翔吾 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
掲載サイト | マンガUP! |
発表期間 | 2019年8月30日 - |
巻数 | 既刊1巻(2020年2月現在) |
アニメ | |
原作 | 蝸牛くも |
監督 | 尾崎隆晴 |
シリーズ構成 | 倉田英之 |
キャラクターデザイン | 永吉隆志 |
音楽 | 末廣健一郎 |
アニメーション制作 | WHITE FOX |
製作 | ゴブリンスレイヤー製作委員会 |
放送局 | AT-Xほか |
放送期間 | 2018年10月7日 - 12月30日 |
話数 | 全12話 |
OVA:ゴブリンスレイヤー -GOBLIN'S CROWN- | |
原作 | 蝸牛くも |
監督 | 尾崎隆晴 |
脚本 | 倉田英之 |
キャラクターデザイン | 永吉隆志 |
アニメーション制作 | WHITE FOX |
発売日 | 2020年7月29日 |
発表期間 | 2020年2月1日 - (劇場上映) |
収録時間 | 60分 |
話数 | 全1話 |
その他 | PG12指定 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル・漫画・アニメ |
ポータル | 文学・漫画・アニメ |
『ゴブリンスレイヤー』(GOBLIN SLAYER!)は、蝸牛くもによる日本のオンライン小説およびライトノベル。文庫版はGA文庫(SBクリエイティブ)より2016年2月から刊行され、イラストは神奈月昇。略称は「ゴブスレ」[2]。
元はWEB作品であるが、一般的なオンライン小説ではなく、いわゆる「やる夫スレ」(やる夫参照)でAA(アスキーアート)と組み合せて公開されていた作品であり[3]、これを一般小説化した作品である。「このライトノベルがすごい!2017」の新作部門で1位[4]。
概要
一般的には下級モンスターとして知られるゴブリンのみを狩る青年・ゴブリンスレイヤーを主人公とした作品である。
初刊の刊行前にコミカライズが決まっており、黒瀬浩介によって『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス)にて、2016年6月号から連載中。また、同じWEB発の『まおゆう魔王勇者』に見られるように、登場人物には固有名が登場せず、すべて肩書で描写される。ただし受付嬢などが役職で呼ばれる時を除き、登場人物の名前として扱われることはない。これは作中の登場人物は「テーブルトークRPG」(TRPG)のキャラクターであるから、読者が好きに名前を考えてくれれば良いという考えに基づく[3]。
初刊は発売数日で重版が決まった。『このライトノベルがすごい!2017』の2016年度集計では、新作部門で1位(全体では5位)を獲得した。2020年7月時点で、シリーズの累計発行部数は700万部を突破している[5]。
2017年2月に、外伝『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン』の刊行とコミカライズが発表された[6]。コミカライズが小説に先行して『ヤングガンガン』2017年19号(9月15日発売)より連載開始し、小説1巻は『ガンガンONLINE』内の『ガンガンGA』で連載された。短編集である原作第4巻のコミカライズが『ゴブリンスレイヤー:ブランニュー・デイ』のタイトルで『月刊ビッグガンガン』にて2018年5月25日から2019年5月25日まで連載。2018年9月27日より、2作目の外伝小説『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》』が『ガンガンGA』で連載されている。さらに『鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》』のコミカライズがマンガUPやガンガンONLINEで連載された。
2017年12月にはグループSNEによるテーブルトークRPG化が発表[7](2019年5月15日に発売)、2018年2月18日に幕張メッセで開催されたワンダーフェスティバルにてTVアニメ化が発表された[8]。 このTVアニメは海外でも高く評価され、2020年8月にドイツアニメ雑誌AnimaniAが主催するAnimaniA賞2020のTVシリーズ賞、監督賞を受賞した[9]。
物語の内容
この物語は、最下級モンスターとされるゴブリンのみを狩る冒険者・ゴブリンスレイヤーの活躍を描く作品である。 この作品に登場するゴブリンは、一般的なファンタジー作品に登場するものとほぼ同じであるが、世界観に立脚してリアルに描かれる。
ゴブリン1~2匹であれば力自慢の村人でも倒せるほど弱いが、群れをなして残忍狡猾なやり口で人間の集落や冒険者たちを陥れる存在であり、油断すれば村を滅ぼすことすらある脅威となる。知恵や統率力に秀でたゴブリンロードや、英雄級の戦闘力をもつゴブリンチャンピオンといった強力なリーダー格が統率する群れは、大きな街にとっても脅威になりうる。
特に、ゴブリンは群れの数の多さから冒険者ギルドへの依頼が多いことに反して、依頼者の多くは「貧しい村」であることから報酬は少なく、一般に弱いと認識されるゴブリンを殲滅しても名声は得られない。そのため、熟練の冒険者は依頼を受けず、代わりに新米の冒険者が依頼を受けることが多い…という社会問題がある。
しかし、熟練の冒険者でも場合によっては死に至る可能性がある危険な依頼にも関わらず、新米の冒険者は知識不足・経験不足から舐めてかかることが多く、結果としてゴブリンたちの餌食となってしまう事例も多い。その際、男性は虐殺され、女性は拉致監禁されて陵辱され、ゴブリンたちの繁殖のための苗床にされてしまう。
そのような社会において、決して油断せず、様々な技巧や知識を駆使し、ただ淡々とゴブリンのみを狩る存在として、ゴブリンスレイヤーが描かれる。
制作背景
作品のアイディアは、ネット上の雑談において対ゴブリン剣術があるならゴブリンだけを退治する冒険者がいるのでは?という疑問から生まれたという[10][3]。ただ、骨子としてはアメリカンコミックの『バットマン』や『グリーンアロー』のような地元で延々と犯罪者を退治している常人のヒーローとしており、それを典型的なファンタジー世界(『指輪物語』やTRPGに用いられる様な世界)へ展開したものである[3]。また、その世界観などには『ソーサリー』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』『異界戦記カオスフレア』といったゲームの影響も受けているといい、それら含めてTRPGの要素も大きい。倒した敵の武器を奪ってまた次の敵に向かっていく、「敵は武器庫だ」というような概念は「Halo」の影響を強く受けている[11][10][3]。
2012年10月から「やる夫スレ」にてAA(アスキーアート)との組み合わせで本作の公開を始めたが、友人の勧めを受けて公開中に小説版を執筆することを決めて作業に入り、最終的には小説版の方が先に完成していた[3]。AA版の方は読者の反応をダイレクトに受けて即興で話を作る面もあるため、出来上がっていた小説版をAA版の展開に合わせて改訂したという[3]。この時の小説版は第27回富士見ファンタジア大賞に投稿したが三次選考で落選[12]。その後、今川氏真を主人公とした小説『天下一蹴 氏真無用剣』を第7回GA文庫大賞(後期)に応募したところ最終選考で落選[13](後に書籍化)、その際に過去作である本作がGA文庫編集者の目に止まり、2016年2月の刊行が決まった。さらに出版前にコミカライズ版も決定という異例のこととなり、5月25日発売の『月刊ビッグガンガンVol.06』から掲載が開始されている[10][14]。
初刊の刊行は2月13日だったが、2月19日には早くも重版が決定し、2巻の刊行も決まった[14]。GA文庫の編集部からも「GA文庫新作として異例のヒット」と紹介された[14]。
登場人物
主要人物
- ゴブリンスレイヤー
- 声 - 梅原裕一郎[16][17]
- 本作の主人公。仇名「小鬼(ゴブリン)を殺す者」の通り、最弱級モンスターとされるゴブリンのみを狩る赤い瞳の青年。そして、その功績だけで銀等級の冒険者として認められた戦士[18]。20歳[19]。
- 他の登場人物と同じく「ゴブリンスレイヤー」は肩書・異名であって本名ではないが、ほぼ全ての登場人物からゴブリンスレイヤーと呼ばれ、自らもそのように名乗っている。が、牛飼娘からは「君」「彼」と、異種族の仲間からはゴブリンスレイヤーに相当するそれぞれの種族の呼び方で呼ばれている。
- 常に薄汚れた鉄兜と革鎧、鎖帷子を纏った寡黙な青年[注 1]。ぶっきらぼうな淡々とした口調が特徴で、「そうか」「そうなのか?」「ああ」「いや」といった応答詞だけで会話する癖がある。ゴブリン退治用に、臭いを誤魔化す目的で意図的に薄汚れた装備を纏っており、彼を知らない者からは異様な、若しくは装備が揃えられない新米の冒険者と見られ嘲笑されてしまうこともある。
- 「ゴブリン殲滅」を行動原理としており、これに対し常軌を逸した執着を持つ。その執着の強さは、ゴブリンを殺すためなら地形や建造物を破壊するような戦術も躊躇なく実行する、高価で貴重な魔法のアイテム等もゴブリン相手に惜しみなく消費する、などの行動に表れている。ゴブリンが最弱の魔物だからと侮ることはなく、自分が敗北する可能性も考慮から外すことはない。このため他の冒険者なら喉から手が出るほど欲しがる魔法の武器や防具も、自分が倒れゴブリンの手に渡ることを危惧し手にしない[注 2]。また冒険中以外もゴブリンからの奇襲を警戒しており、街中でも装備を外そうとしないのはこのためである。他者からの評価にも報酬にも無頓着で、ゴブリン退治と聞いただけで報酬額を確認せずに引き受けてしまうので周りに呆れられたり怒られることもしばしばである。名声や冒険の楽しみのためではなく義務的にゴブリン退治を続ける姿に近しい者たちからは心配を向けられている。
- ゴブリン殲滅のために調査を重ねた結果として、その生態に関して深い知識を有しているが、一方でゴブリン以外の怪物に対しては関心が薄く、名前すら覚えようとしない。
- 戦闘では主にゴブリンのいる狭い洞窟で振るうのに適した中途半端な長さの剣、それ自体も打撃武器となる小振りな円盾、「ただひたすらに正確で素早い」と評される投擲攻撃を多用する。剣を主に用いてはいるが特定の武器への拘りはなく、鈍らになれば躊躇なく使い捨ててゴブリンから武器を奪い戦闘を継続するため、斧、槍、鉈、棍棒、弓矢など大抵の武器を不自由なく扱える。ゴブリンを確実に倒すために鍛えてはいるが、その能力はあくまでも人間・戦士・男の範疇に収まっており、純粋な戦闘能力は高くない[注 3]。しかし、彼の強みはそういった自身の実力を理解した上で、知略・戦略を駆使して徹底的に偶然性を排除し、勝つために手段を選ばない点にある[注 4]。また物語開始時点までずっとソロで活動を続けていたため、戦士職にしては探索能力に長け、専門にはおよばないが宝箱の開錠も行える[23]。
- その独特の佇まいとゴブリン退治のみで銀等級になった点から、物語開始当初は有名人であるものの他の冒険者たちからの心象は良くなく、同じ銀等級の冒険者の間でもギルドの審査を疑う声もあった。食事中すら兜を外さないことで素顔は知られておらず、正体を巡って賭けの対象になっていたほどだった。兜を外した時にはギルド中が大騒ぎになり、その容貌は「意外と悪くない」「いい面構え」「戦士の相」などと評された[24]。兜が壊れた時や寝るとき等は鎧と兜は外す。
- 一見してゴブリン退治以外の事柄は一切気にしないように見受けられるが、彼なりに他者を気遣っており、女神官ら一党の仲間達からは「意外と気配り」と評される。また牛飼娘や受付嬢からは明確な好意を向けられているが、どう対応するべきか苦慮している描写が見受けられる。
- 過去については外伝などで断片的に語られている。物心つく前に野伏(レンジャー)の父と薬師の母を流行り病で亡くし姉(声 - 上田麗奈)に育てられたが、10年前に故郷の村をゴブリンに滅ぼされ、この際に自分を庇って姉が惨殺される一部始終を目の当たりにしていた。自身もゴブリンに殺害されそうになるが間際に「先生」によって救われ、その後5年のあいだ彼によって鍛えられた。「先生」が旅立った後、辺境の街に現れ冒険者登録をし、ゴブリン退治を始めた。その後再会した牛飼娘の仲介で牧場の納屋で暮らすようになり、それからは牧場の周りにゴブリンの痕跡が無いか確認することが日課となった。テレビアニメ版ではゴブリンの襲撃を受ける前までは冒険者になって世界各地を冒険し、例え勇者にはなれなくとも魔物から人々を守りたかったと少年時代に夢見ていたと語っている。
- 前述の通り物語開始当初は他の冒険者たちからの心象は良くなかったが、一方で熟練した冒険者が避けるゴブリン討伐を率先して引き受けてくれるためにギルドからの評価は高かった。「辺境最強」の槍使い、「辺境最高」の一党を率いる重戦士との対比で「辺境最優」と称されることもある。
- 毎年、新年の祝いの際には1人辺境の街から少し離れた場所で、ゴブリンの報復に備えて泊まり込みで見張りをしている[25]。
- 彼の功績は吟遊詩人によって各地で謳われているため、ゴブリン討伐のため軍を送ってもらえない辺境の村々からは損得勘定抜きで救いにきてくれる者として英雄譚が広まっている。
- キャラクター造形に当たっては『七人の侍』の久蔵と勘兵衛やレイモンド・チャンドラーなどのハードボイルド小説の影響を、敵の武器を奪って使う所は『Halo』の影響を受けていると作者は語っている[11]。
- 女神官
- 声 - 小倉唯[16][17]
- ゴブリンスレイヤーと行動を共にする少女。物語開始当初は15歳[26]。当初は白磁等級の新人冒険者だったが、冒険の中で黒曜等級[27]、鋼鉄等級[28]と昇級を重ね、3年目には中堅である青玉等級へと至る[29][30]。
- 神殿で育った孤児で、独立するにあたって冒険者となることを選んだ[31]。最初の冒険で彼女を残して後述のパーティー3名が全滅したところをゴブリンスレイヤーに救われた。 ゴブリンスレイヤーに助けられてからは彼のゴブリン退治に同行するようになり徐々に彼のことを知っていくが、姉のことを話し始めた彼の口調が過去形を取っていることの意味には気づいていない。
- 武器は錫杖。華奢な身体に神官衣を纏っている。ゴブリンスレイヤーのアドバイスに従い、その下に鎖帷子を身に着けるようになっており、修繕してまで使い続けるほど愛着を持っている[32]。後に投石紐の練習も積んで、ゴブリンスレイヤーの援護を行うようにもなっている[33]。
- やや臆病ながら健気で慈愛に満ちた少女であり、虜囚がどんなに汚されていても躊躇なく救護し、分け隔てなく死者の冥福を祈るなど、聖職者に相応しい性格の持ち主。しかし、死にかけたことを受付嬢の前で話し、彼女にショックを与えるなど配慮に欠けることもある。
- 最初は仲間が次々に殺害・凌辱される姿を見た末にゴブリンに狙われた恐怖で失禁してしまったほどであったが、ゴブリンスレイヤーたちと冒険を重ねる中で成長してゆく。しかし、エルフ娘たちとゴブリン退治に行った際にも失禁しており、失禁癖は治っていない。
- 第9巻時点ではゴブリンスレイヤー不在の一党を的確に指揮して、彼さながらの知略や機転も駆使して難敵に対処している。一方、窮地に陥った際には《浄化(ピュアリファイ)》の奇跡を攻撃的に使用[注 5]し、地母神に「二度とそのように使ってはならない」と釘を刺されるなど、良くも悪くもゴブリンスレイヤーの影響を強く受けている。
- 使用可能な奇跡は、物語開始当初は《小癒(ヒール)》[35]《聖光(ホーリーライト)》[36]。後に《沈黙(サイレンス)》[37]《聖壁(プロテクション)》[38][注 6]、鋼鉄等級に昇格したあたりで《浄化》[40]も加わる。奇跡の回数は3回[41]。
- 牛飼娘
- 声 - 井口裕香[16][17]
- 牧場主の妹の一人娘(姪)で、ゴブリンスレイヤーの幼馴染。18→19歳[42]。
- 明るく元気な娘で、大柄な上に胸が大きく肉感的な身体を持ち、イヤーワンの時点では発育が良すぎることを気にしていた。寝るときは下着を付けず全裸である。物語開始時点からのゴブリンスレイヤーの素顔を知っている数少ない理解者であり、彼に好意を抱いている。
- 10年前に自身とゴブリンスレイヤーの故郷の村がゴブリンに襲撃された際、伯父の牧場に牛のお産の手伝いという名目で遊びに行かせて貰っていたことで難を逃れ、その後伯父に引き取られた。村ではゴブリンスレイヤーと隣家同士で仲が良かったが、直前に村の外に行くことを巡って彼と言い争いから喧嘩になって以来、謝ることも仲直りも出来ないままとなり、彼が生死不明となった事を気に病み続けていた。この時期は髪を長く伸ばして右目を隠し、5年ものあいだ半ば牧場に引きこもり外の世界と関わることを拒んでいた。
- 本編開始5年前、初のゴブリン退治を終えたゴブリンスレイヤーが牧場の傍を通りがかったところを偶然目撃し、兜を被っていて顔も見えないにも関わらず彼だと気付き呼び止めた。彼が生存していたことに涙を流して安堵し、伯父の許可を得て彼を牧場に下宿させた[43]。以降、彼の食事などの世話を焼く形で共に暮らすようになる。表面的には大きく変わってしまった彼に当初は戸惑いを抱くが、奥底の人格は大きく変わっていないことに気づいてからは徐々に彼との距離を縮めていった。また彼の仕事である冒険者という職業を少しでも理解するためにと、冒険者ギルドと関わることになる食料配達の仕事を引き受けるようになり、引きこもり状態から脱することとなった。
- ゴブリンスレイヤーも彼女と過ごす日常を大切にしており、冒険後はギルドでの手続きを終えるとほぼ寄り道せずに牧場に帰るのが彼の習慣で、それを優しく出迎えるのが彼女の習慣である。彼女の作った食事を食べるためにと、冒険後に酒場で仲間たちと宴会をすることになっても食事を摂ろうとしない彼に獣人女給がやきもきさせられたこともある。
- 伯父への恩義もあるが、ゴブリンロード率いるゴブリンの大軍が牧場を狙っているとゴブリンスレイヤーに聞かされ、避難を促されても「君の帰る場所がなくなる」と拒否するなど、芯の強い一面を見せることもある。
- 恋のライバルとして女神官と受付嬢を認めており、フェアであろうとしている。
- ゴブリンスレイヤーと2人で配達におもむいた際にオーガ(弟)率いるゴブリンの群れの襲撃に遭い、生還後は伯父に外出禁止を言い渡された。その際、ゴブリンスレイヤーを訪ねてきた圃人の老爺と出会うが、彼が逃避行の最中に聞いたゴブリンスレイヤーの「先生」だとは気づかなかった。
- 受付嬢
- 声 - 内田真礼[16][17]
- 冒険者ギルドの窓口担当の女性。年齢は22 - 23歳[44]。
- いつも笑顔で優しい。物語開始時点からのゴブリンスレイヤーの数少ない理解者であり、彼に好意を抱いている。数は多いが、熟練者は参加せず、新人では失敗することも多いゴブリン退治を率先して引き受け完了させてくれるゴブリンスレイヤーに深く感謝している。
- 5年前、都での研修を終えて辺境の街に赴任。その時、冒険者登録のためギルドを訪れたゴブリンスレイヤーの対応を行い、そのまま担当官となる。(この時ゴブリンスレイヤーの素顔を見ているが全く気付いていない。)
- 時折ギルドの人間としての毅然とした一面を見せる時があり、ゴブリンスレイヤーが己の凄惨な戦いぶりを偽悪的に形容したことに対して銀等級の冒険者らしく堂々とするよう諭したり、不正を犯した圃人斥候を徹底的に査問するなどしている。しかし、圃人斥候が退席した直後にへたりこんで弱音を吐くなど素の人格まで冷徹ではない模様。
- 元々ストイックな男が好みだったが、ゴブリンスレイヤーの仕事ぶりに次第に惹かれていった。ゴブリンスレイヤーが牧場に寝泊まりしている事や女神官を連れ歩くことにやきもきもする。研修時代の体験から言い寄ってくる男性を苦手としており、熱烈にアプローチしてくる槍使いのことは冒険者としての実力は認めつつも恋愛対象としては見ておらず、職分以上の応対はせずにすげなくあしらうことも多い。
- ゴブリンスレイヤーがゴブリンロード軍から牧場と街を守るため冒険者を募っていた時には、支部長と掛け合ってギルドからも「ゴブリン一匹に付き金貨一枚」という破格の特別報酬を引き出してその一助としている。
- 妖精弓手
- 声 - 東山奈央[16][17]
- 森人(エルフ)の中でも妖精に近いとされる「上の森人(ハイエルフ)」の野伏(レンジャー)。銀等級[45]。鉱人道士や蜥蜴僧侶と行動を共にする。
- エルフらしく、すらりと背が高く細身の麗人。ただし胸は小さく、鉱人道士には容赦なく金床扱いされることもあって、大いにコンプレックスとなっている。見た目は17、18歳だが、上の森人ゆえの長命で実際は2000歳ほど[46]。
- 鉱人道士とは種族的に仲が悪いとされ、口喧嘩をよくする他、年齢に対して驚くほど子供っぽいふるまいが目立つが、等級相応に卓越した弓の腕前を持つ他、近接武器として黒曜石の短刀を使用する。外の世界に憧れ、生涯を森の中で送りたくないと冒険者になった経緯がある。
- ゴブリンスレイヤーを「オルクボルグ」と呼ぶ[47]。当初は多くの冒険者と同様にゴブリンスレイヤーを軽んじていたが、共に行ったゴブリン退治の後は彼を気にかけ、鉱人道士・蜥蜴僧侶と共に彼のパーティーメンバーとなる。彼女の理想とする冒険とはかけ離れたゴブリン退治を続けるゴブリンスレイヤーに「本当の冒険」をさせるのが目標になっていて、ゴブリンロード軍からの防衛戦では「一緒に(彼女の望む形の)冒険に出ること」を報酬として要求している。
- 女神官とは冒険を通じて仲の良い姉妹のような関係を構築しており、小説4巻の限定版付属ドラマCDでは2人で冒険に繰り出している。
- 従兄である輝ける兜の森人からは「星風(ほしかぜ)の娘」と呼ばれる[48]。
- 鉱人道士
- 声 - 中村悠一[16][17]
- 鉱人(ドワーフ)の精霊使い(シャーマン)。銀等級[49]。妖精弓手や蜥蜴僧侶と行動を共にする。107歳[50]。独身[51]。
- 禿頭に長い白ひげ、ずんぐりむっくりした体型。ゴブリンスレイヤーを「かみきり丸」と[52]、女神官を「娘っ子」と[53]、妖精弓手を「耳長の」「耳長娘」などと[54]、蜥蜴僧侶を「鱗の」と呼ぶ[55]。外の世界で美味しいものを食べながら気ままに冒険したいと冒険者になった経緯がある。
- 様々な触媒を使って、石礫を放つ呪文以外にも補助的な呪文を多く会得しており、また種族の肉体を活かして手斧で近接戦闘も行う。ゴブリンスレイヤーの無骨な態度を気に入っており、初対面から彼を評価した珍しい人物。また鉱物学にも通じ、洞窟内などの構造などの分析に長けている。鉱人秘伝の火酒を常に落ち歩いており、対ゴブリンロード軍戦においては火酒を樽単位で報酬として求めている。
- 使用可能な呪文は《酩酊(ドランク)》[56]《石弾(ストーンブラスト)》[57]。《降下(フォーリング・コントロール)》[58]。《風化(ウェザリング)》[59]。《霊壁(スピリットウォール)》[60]。《追風(テイルウィンド)》[61]。《恐怖》(フィアー)[62]。《水歩(ウォーターウォーク)》[63]。
- 呪文の回数は4、5回[64]。
- 蜥蜴僧侶
- 声 - 杉田智和[16][17]
- 蜥蜴人(リザードマン)の神官戦士。銀等級[65]。妖精弓手や鉱人道士と行動を共にする。
- 見上げるような体躯に全身を覆う鱗が特徴の男性。見た目に反してとても常識人で丁寧な振る舞いであり、パーティのまとめ役。自らを「拙僧」、ゴブリンスレイヤーを「小鬼殺し殿」[66]、女神官を「巫女殿」[67]、妖精弓手を「野伏殿」、鉱人道士を「術師殿」と[68]呼ぶ。
- 蜥蜴人の宗教の教えで「異端(モンスター)の命を奪って位階を高め竜へ転身する」と出家し冒険者になった経緯がある。身体的特徴を使った近接戦闘の他、先祖である恐るべき竜の力を使って武器などを生み出し戦う。
- ゴブリンスレイヤーから(彼が居候する牧場で作られた)チーズを貰って食した時に「甘露!」と声を上げるほど大いに気に入り[69]、以降、度々チーズに舌鼓を打つ姿が恒例となる。ゴブリンロード軍の襲撃に際しては、チーズを産する牧場を守るためとして二つ返事で防衛に馳せ参じている[注 7]。
- 使用可能な奇跡は《竜牙兵(ドラゴントゥースウォリアー)》[70]《竜牙刀(シャープクロー)》[71]《治療(リフレッシュ)》[72]。《擬竜(パーシャルドラゴン)》[73]《念話(コミュニケート)》[74]《腐食(ラスト)》[75]。
- 奇跡の回数は4回[76]。
辺境の街の冒険者
- 槍使い
- 声 - 松岡禎丞[16][17]
- 鍛え抜いた肉体が強さを表すような青年。銀等級[77]。「辺境最強」の異名をとる冒険者[78]。魔女と行動を共にする。
- 軟派。受付嬢に恋慕して自分の功績を誇ったり声を掛けたりしているが、彼女がそのような男性を苦手としていることに気づいておらず毎回かわされてしまう。彼女に信頼されているゴブリンスレイヤーを一方的にライバル視している。共に同行する魔女に対しては頼りになる仲間だと信頼を寄せているが、好意を持たれていることに気付かない朴念仁な所も。オーガ戦でダメージを受けた甲冑を修理に出したゴブリンスレイヤーに出くわすが、彼だとは認識できず、ゴブリンの大軍から牧場を守った後の宴で貴重なゴブリンスレイヤーの素顔を見ても工房で出会った青年だと気づかなかった。
- 客観的に見て自分が強いということは理解しているが、同時に自分よりずっと強い存在が数多くいることも理解している。武技に限らず魔法や美容に至るまで個人の努力は認めるなど態度とは裏腹に、うぬぼれているわけではない。ゴブリンスレイヤーがゴブリンロード軍の襲撃に対応するために冒険者ギルドで協力者を募っていた時には、冒険者には依頼と報酬を提示するように指摘し、「後で一杯奢れ」と言いながら一番最初に参加、先頭に立って冒険者たちに指示を出しつつ戦う。テレビアニメ版ではさらにゴブリンチャンピオンとの一騎打ちのシーンが追加され、敵の武器である鎖付き分銅の鎖上を疾走するなど常人離れした動きを見せる。
- 基本装備はその通り名そのままの槍、そして青い鎧。予備の武器もあるが、どれも魔法の武器である。
- あらゆる状況に対応するために呪文も習っており、本職ではないが使うことができる[79]。
- 使用呪文は《停滞(スロウ)》、《粘糸(スパイダーウェブ)》、《抗魔(カウンター・マジック)》と補助系が多い。呪文の限度回数は2回[80]。
- 魔女
- 声 - 日笠陽子[16][17]
- 肉感的で妖艶な美女。銀等級[81]。片言のような、間延びした独特のしゃべり方をする[注 8]。青年槍使いと行動を共にする。喫煙者。
- 白磁等級のころは火打石を使っていたが、銀等級となっている現在では貴重なはずの魔術で煙管に火を点けるなど、多少の無駄遣いを気にしないほどの魔力を有する。
- スクロールの書き換えなど、当初からゴブリンスレイヤーに協力している人物で、周りの状況をよく観察しており、彼の素顔を知る数少ない人物でもある。また、彼と一党を組む女神官のことも気にかけており、彼女からは理想の女性像として密かに憧れを抱かれている。
- 槍使いと臨時にパーティーを組んだことがきっかけで彼に好意を持ったが上手く話しかけられず、受付嬢に仲介してもらって槍使いとパーティーを組むことが出来た。
- 受付嬢とは彼女がゴブリンスレイヤーを慕っている事を知っているため良好な関係を築いており、女神官や妖精弓手といった他の女性冒険者ともよく話している。
- 重戦士
- 声 - 濱野大輝
- 見掛け倒しにも見える重装備でも平然と振る舞う厳つい顔立ちの男性[82]。銀等級[83]。女騎士らと共に「辺境最高」と称される5人組の一党を組む。
- 装備は両手持ちの大剣と黒い鎧で、大物狙いを好む。しかし決して力任せの戦士というわけでもない。昔はどこかの王になりたいという野望を夢見ていたが、冒険者になるための鍛錬と王になるための勉学に励む時間を両立できないことで挫折。さらに女騎士をはじめ守るべき存在が増えたことで、子供のころの夢を持ち続けることの難しさを感じている。次世代育成として少年斥候達を鍛えており、その稽古の場に居合わせた新米戦士にも同じように稽古を付けてやっている。
- 故郷をゴブリンスレイヤーに救って貰ったことがあり、内心そんなに悪感情を抱いていない。対ゴブリンロード軍戦には懸賞金目当てと言いながらも一党共々参戦、ゴブリンチャンピオンとの対決では女騎士との見事な連携を見せた[84]。
- 重戦士と槍使い、そしてゴブリンスレイヤーの銀等級只人男三人で臨時の一党を組んで、国王署名入りの依頼に応じて魔術師の塔を攻略したこともある[85]。
- 女騎士
- 声 - 藤井ゆきよ
- 白銀の騎士甲冑に身を包む見目麗しい女[86]。銀等級[87]。重戦士と行動を共にする。
- ゴブリンスレイヤーを同じ銀等級の冒険者と見られることを良く思っていなかったが、後に態度を改める。重戦士のことが好きで、十分な美人だが、女冒険者特有の引け目[注 9]がある。
- 装備は騎士甲冑と大盾、両手持ちも可能な長剣。盾で敵の攻撃を受け流しつつ剣で的確な反撃を繰り出すなど、確かな技量を持つ。また、白磁等級の時点で《祝福(ブレス)》と《聖光》の奇跡を授かっている他、癒やしの奇跡も授かっているという自己申告がある。回数は少なくとも2回以上[88]。
- 聖騎士を目指しているが脳筋気質なところがあり、面白そうなことには嬉々として首を突っ込んだり、酒乱の気もあることから「これで秩序にして善なのか」と重戦士を呆れさせている。
- 重戦士があまりに鈍感なため、収穫祭では露出過多のビキニアーマーを着るべきか真剣に悩んでいたが、偶然出会ったゴブリンスレイヤーに正気を疑われる可能性を指摘され、反省する。彼のアドバイスを受け、騎士甲冑ではない普段着というギャップのある恰好で重戦士と収穫祭を楽しむことに成功する。
- 半森人の軽戦士・少年斥候・圃人の少女巫術師
- 声 - 竹田海渡(軽戦士)、若山晃久(少年斥候)、原田彩楓(少女巫術師)
- 重戦士の一党のメンバー。
- 半森人の軽戦士は男性で、一党の会計役でもある。少年斥候と少女巫術師は年齢制限をごまかして登録した若年の冒険者。重戦士らの下で鍛えられている。
- 少年斥候と少女巫術師は冒険以外でもよく一緒に行動しており、収穫祭の時にも新米戦士・見習い聖女の二人と一緒に四人で祭りを楽しんでいた。
- 新米戦士・見習聖女 → 棍棒剣士・至高神の聖女
- 声 - 前田誠二(新米戦士)、伊藤彩沙(見習聖女)
- 冒険者となって数ヶ月の新米冒険者[89]。2人とも白磁等級[90]。少年斥候や少女巫術師と同様に重戦士たちに鍛えられている。
- 新米であるため、安物や中古の装備を纏っている。見習聖女の使える奇跡は《聖撃(ホーリースマイト)》だけであり、日に1回が限度[91]。
- ゴブリンスレイヤーの悪い噂を鵜呑みにしてしまった結果、彼が新人である女神官を囮として引きずり回しているのではないかと勘違いし、彼女を助けようと自分達の元へ引き抜こうとしたが、怒った彼女に拒絶されている。後に彼女と再会した際は自分たちの勘違いを謝罪しているが、その時に同じ白磁等級だった彼女のプレートが黒曜等級に変わっていた事実に気づき、自分達が成長していない現実を突きつけられる。 ジャイアントローチとの戦いで失った剣を取り戻すべく、ゴブリンスレイヤーのアドバイスを参考にして新米戦士は棍棒を武器にして再度挑み、ジャイアントラット等を撃退していき、最終的には剣を飲み込んだジャイアントローチを撃破して剣を取り戻すことに成功。この経験から、新米戦士は自分がまだ剣を扱いきれる程一人前ではなかった事を痛感したものの、それでも一歩ずつ進んでいつかはドラゴンを倒せる程の冒険者になることを目指すことになる[92]。
- 対ゴブリンロード軍戦には初ゴブリン退治の機会として参戦、漫画版では手負いのゴブリンに新米戦士が刺されかけたところを女戦士に救われ、加えてアニメ版では別の死んだふりをしたゴブリンが見習聖女に不意打ちを仕掛けたところを新米戦士が倒している。
- 冒険者になってから1年以上が経過したころ、白磁等級から黒曜等級への昇格が内定したが、それに伴って見習聖女が至高神から託宣(ハンドアウト)を受け、女神官、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶らと共に北方の雪山に挑むことになった[93]。そこで出会った白兎猟兵と共に雪男退治に挑み、女神官の機転や三人の銀等級の戦いぶりに驚嘆するも、吸血鬼にけしかけられたジャイアントラットの大群相手には2人で奮戦する。新米戦士は右手に棍棒、左手に長剣[注 10]と括り付けた小振りな盾で前衛を務め、見習聖女は後方から投石紐での援護と指示出しを担当して見事に戦い抜き、その成長ぶりを伺わせた。また、見習聖女の《聖撃》が瀕死の氷の魔女(吸血鬼)へのとどめとなった。
- 一件の終了後は山を下りた白兎猟兵を加え、三人組の一党となった。女神官からは「もう新米とは呼べない」と評された。
- 圃人の少女 → 圃人剣士
- 第6巻より登場。白磁等級の新米の冒険者。
- 当初はパーティを組んで順調に経験を積んでいたが、頭目が貴族の跡取りに選ばれてしまうという予想外の出来事により、パーティが解散。単独(ソロ)となってしまい、しばらくは訓練場で女騎士に修行をつけてもらっていた[94]。
- 訓練場の戦いを生き残った後は、旅に出る少年魔術師に何かと理由を付けて同行する[95]。
- 雪山で新米戦士たちと再会した際には、圃人剣士へと表記が改められた[96]。
- 少年魔術師
- 第6巻より登場。赤毛が特徴の新人冒険者。新人だった女神官とパーティーを組み、ゴブリンに襲われて死んだ女魔法使いの弟[97]。姉と同じく「賢者の学院」で学んでいたが、姉の死をきっかけに学院を休学し、冒険者になった。
- 使用可能な呪文は《火球(ファイアボール)》のみであり、呪文の使用回数は1回[98]。当初は自尊心だけが高く周囲を見下していたが、かつてのゴブリンスレイヤーを想起させる部分もあったことから彼が預かることになる。待望していたゴブリンとの戦いでは、罠にはまってゴブリン達に自分たちの存在を教えてしまうばかりか、魔法を無為に使ってしまう失態を犯し、パーティを危機に陥れてしまう。自身の幸運と仲間の尽力で無事に生還したが、初冒険で何一つまともにできなかったことで自尊心を徹底的に砕かれる。帰還後の酒場ではすでに亡き姉への思いを吐露、失われた姉の名誉回復と姉を奪ったゴブリンへの復讐心が過大な自尊心に繋がっていたことが明らかになる。
- その後しばらく訓練場で修行を行い、また新人としては厳しい戦いを経たことで己の非力さを痛感し、自分を鍛えなおすため旅に出ることを決意する。ゴブリンスレイヤーに自分はドラゴンスレイヤーになることを宣言し旅立つ[99]。なお、学院へ戻る意志は薄い様子。
- その後は、旅立つ際にゴブリンスレイヤーから紹介された老圃人に無事弟子入りし、圃人剣士と共に鍛えられている[100]。
- 圃人斥候
- 声 - 岩中睦樹
- 第2・3巻に登場。圃人の冒険者で斥候役。男性。鋼鉄等級[101]。
- とある迷宮探索で斥候としてパーティに先駆けてダンジョンに入った際、メンバーに無断で宝箱をくすねていた。しかし、金銭的に苦しいパーティであるにも関わらず彼だけが新品の装備であること、任務達成時のパーティからの報告と彼の装備に必要な費用が全く見合っていないことなどから、ギルドに疑われる事になり、等級昇格試験の際に《看破》の魔法を交えて追及を受ける。結果、嘘と不正を見抜かれ、追放処分となった[102]。
- そのため、降格を言い渡した受付嬢と昇格試験の立会人だったゴブリンスレイヤーを逆恨みするようになる。収穫祭で二人を毒塗り武器にて闇討ちしようと企てるが、返り討ちにされ、殺された[103]。敏捷さに優れ、武器を使う技量もあったが、相手が最初から奇襲目当てで斃された演技をしても気づかず不意打ちをまともに受けるなど、斥候らしからぬ失態も多い。
- 彼個人としてはゴブリンという小物だけ殲滅して銀等級にまで上り詰めたゴブリンスレイヤーを自分と同じ安全志向の冒険者と誤解し、勝手な同族意識を持っていたが、ゴブリンスレイヤーからは「その冒険者を騙したのではないか」と断じられただけだった。
- 白兎猟兵
- 第9巻より登場。兎人で一人称は「ぼく」。腰に山刀を帯びた直立した白兎のような姿[注 11]で、石弓も使う。
- 雪山で出会った見習聖女や女神官たちを至高神様の御使いとして兎人の里に案内し、そこに現れた雪男たちを撃退してもらったことから、雪男退治に同行する。そして雪男のねぐらである洞窟で父が殺された際に奪われた銀の矢を取り返し、雪男の親玉である氷の魔女に文字通りの一矢を報いた。
- その後、警戒を呼びかけるために里へと急ぐ際に出会った勇者の指摘で少女であることが判明し、彼女を男だと思い込んでいた新米戦士を驚愕させた[104]。
- 雪山の一件が解決した後は山を下り、冒険者として新米戦士たちと一党を組んだ。
- 女戦士
- 声 - 菊池紗矢香
- 漫画版およびアニメ版で登場。筋骨隆々な体格をした大女。槍使いや重戦士と同様熟練の冒険者であり、大戦斧を武器としている。
- 若い戦士
- 外伝『イヤーワン』に登場する只人の戦士。男性。
- ゴブリンスレイヤーと同日に冒険者登録をし、半森人の野伏、鉱人の戦士、知識神の僧侶と一党を結成した。別々の依頼で同じ場所に居合わせたゴブリンスレイヤーと協力したこともある。
- 工房で装備を揃える際には、魔剣を欲する一方で顔が隠れるのを嫌って兜を買わないなど、典型的な英雄に憧れる青年であったが、ロックイーターとの遭遇が原因となりパーティが壊滅したことで冒険者の現実を思い知る羽目になった。
- それからしばらくは酒浸りであったが、ロックイーター討伐を目的とした50人を超える徒党が組まれることを知り参加。岩盤を破って現れたロックイーターに一撃を入れて気絶したが、討伐の大きな一助となった。
- 仲間の仇をとって心情に一区切りをつけた後、ギルドでかつての自分たちのような新人パーティを見て放っておけなくなり、わずかながらも経験を積んだ先達として参加することとなった。最初のころの根拠のない自信や勢いまかせな部分は鳴りをひそめ、気がついたことも押し付けがましくならないように気をつけながら提案するなど、精神的な面での成長が見られる。
- アニメ版11話では小説版・漫画版の彼と酷似した容貌の冒険者が、ゴブリンスレイヤーと同じ日に冒険者になったと語って防衛戦に参加、冒険者たちに合図を出している。
辺境の街の住人
- 監督官
- 声 - 日岡なつみ
- ギルドの職員であり、至高神の司祭でもある女性[105]。仕事が暇なときには本を隠しながら読んでいる[106]。
- 《看破(センス・ライ)[107]》の奇跡が使用可能。
- 翁 / 老爺
- 声 - 高橋伸也
- ギルド内の武具店の店主[108]。ゴブリンスレイヤーが冒険者となったころから付き合いがあり、物語開始当初では彼の素顔を知る貴重な人間の1人。高い武具を買い求める他の冒険者と違い、幾度も防具を修理しながら使っているゴブリンスレイヤーを気に入っており、時折変型ダガーなどの試作武器を実戦テストという形でゴブリンスレイヤーに提供する。
- アニメでのクレジットは「鍛冶職人」となっている。
- 丁稚(でっち)
- 声 - 内田修一
- ギルド内の武具店で修行中の少年[109]。見習いであるため、自分で打った武具は店頭には並べてもらえず修行に励んでいる。
- 数打ちとはいえ、翁の打った剣を使い捨てるように扱うゴブリンスレイヤーに少々思うところがあり、その愚痴を酒場のまかないを持ってくる女給に語っている。
- アニメでのクレジットは「丁稚奉公」となっている。
- 料理長
- ギルド内の酒場を切り盛りする圃人の男性[110]。酒場での料理はもっぱら彼が1人で作っている。
- 女給
- ギルド内の酒場で働く獣人の女性[111]。女給の仕事に誇りを持っており、酒場の残り物を丁稚の少年に持っていくのが日課となっている。
- 支部長
- 声 - ボルケーノ太田
- 受付嬢の上司。彼女の私情だと承知の上で、銀等級のゴブリンスレイヤーからの依頼だから問題ないだろうと判断し[112]、ギルドからの依頼として「ゴブリン一匹に金貨一枚」の懸賞金を出すことを許可した[注 12]。
水の街
- 剣の乙女(つるぎのおとめ)
- 声 - 遠藤綾[114]
- 10年前に魔神王を倒した冒険者「六人の英雄」の一人で金等級[115]。水の街で至高神の大司教(アーク・ビショップ)で、西方辺境一帯の法を負って立つ人物[116]。両目を覆う帯を着けた美女[117]。
- 高位の奇跡に加えて魔術師の呪文、さらには物品鑑定の技能も有する[118]。
- 非常に扇情的かつ肉感的なプロポーションを持つ(さらに服装がそれを際立たせている)が、冒険者だった10年前はそこまで成長しておらず、登場時の女神官に似た容姿だった。
- 冒険者として駆け出しのころの失敗で、ゴブリンたちに陵辱された挙句に両目を焼かれるという凄惨な経験をしている。その後遺症で、失明は辛うじて免れたものの視力が大きく衰え、輪郭を認識する程度しかできなくなり、その身体も一見白く傷ひとつない綺麗な肌をしているが入浴などで体温が上がるとゴブリンに穢された時の傷痕が全身に浮かび上がる。ゴブリンによる陵辱がトラウマとなっており、ゴブリン相手では恐怖で戦えないが、親しい間柄の者でもこの事実を知る者は多くない。
- 勇者によって潰された邪神教団の残党であるゴブリン達が水の街に人為的に送り込まれた末に地下水道に潜んでいることを知り、使徒である沼竜によりゴブリン達が地下水道から出てこれないよう封じ込めるが、前述のトラウマで自ら討伐に赴くことはできず、街の人々にゴブリンの危険性を理解してもらうため、すでに斃された邪神教団の闇人による事件をゴブリンによる事件であると報じる情報操作を行いゴブリンに対する対策を促そうとするも、街の住人は誰も重大な問題と捉えず何も変わらぬ日々が続いていることに絶望させられる。
- やむをえず水の街の冒険者へ依頼するも平和慣れしていたことが災いし、逆に地下水道で全滅させられてしまう。こうした状況を経て、吟遊詩人の英雄譚に歌われるゴブリンスレイヤーを指名してゴブリン討伐を依頼する。
- そして、地下水道に潜んでいたゴブリンたちはゴブリンスレイヤーの一行に殲滅されるが、状況を訝しんだ彼に対面で剣の乙女自身による情報操作を指摘される。剣の乙女はそれを認めるも彼は咎めることはせず、剣の乙女の悲惨な経験を聞いても同情することはなかったが、ただ、ゴブリンが出たなら自分がたとえ夢の中でも殺しに行くとだけ告げる。その答えに救いを見出した剣の乙女は、去っていく彼の背中に涙ながらに愛を告白し、彼を慕うようになった。
- ゴブリンスレイヤーが帰還した後は悪夢に魘されることもなくなり、以前よりも健康的な生活を送っているが、同時にゴブリンスレイヤーに情熱的な手紙を送ったりするようにもなり、周囲をやきもきさせている。
- 王都への会議に出席する際、急な会議なために旅団を編成する時間が間に合わない上に、旅路にゴブリンの一団が出没するという報を聞いた剣の乙女は辺境のギルドまで侍女と共に訪れ、ゴブリンスレイヤーに護衛を依頼。無事に王都に辿り着くも、その翌日に王妹がゴブリンにより死の迷宮へ誘拐されるという事件が起きる。彼女のトラウマを知らない王より解決を依頼されそうになるが、すんでの所でゴブリンスレイヤー一党が代わりを申し出たことでトラウマの露見を回避した。ゴブリンスレイヤーらが出立した後に事件の黒幕が邪教団であることを突き止め、「これはゴブリン退治ではなく邪教団の討伐である」と宣言し神官戦士団を編成、ゴブリンに怯える自身を奮い立たせながら一団の先頭に立ち、多勢相手に苦戦していたゴブリンスレイヤーたちを救出した。
- 侍女
- 剣の乙女の身の周りを世話をする女性神官。女武僧(モンク)でもあり、その実力は剣の乙女に信頼される程である。
エルフ王の森
- 輝ける兜の森人
- 妖精弓手の従兄。真面目で頑固な性格の森人で次世代のエルフの長になることが決まっている。妖精弓手に弓の扱い方を教えた人物であり、彼女のことを実の妹のように大切に想っている。花冠の森姫へ恋文を書くはずが自分の武勲伝を書いてしまったため妖精弓手に引っ叩かれた過去をもつ。
- 妖精弓手が娘らしくなるように2000年かけて楽器や歌などを教えたが失敗に終わっている[119]。当初はゴブリンスレイヤーたちを快く思っていなかったが、対話や戦闘を共にした後は態度が軟化、妖精弓手を託せる者たちとして認めた。
- 花冠の森姫
- 妖精弓手の実姉。瞳は金色[120]。輝ける兜の森人との婚約が決まっている。妹と違い非常に豊かな胸の持ち主。
- 妖精弓手の身を心配しており、冒険者を辞めるように忠告している。その上、種族同士で対立している鉱人や武勲詩とは印象の違うゴブリンスレイヤーと一緒にいることを反対していた[121]。エルフ王の森に侵攻を企むゴブリンたちの襲撃後はゴブリンスレイヤーたちの生き様に多少歩み寄りを見せ、基本的に不死に近い森人が有限の寿命しかもたない者たちと共に生きることの難しさを妖精弓手に再び語る。それでも笑顔を見せる妹を見て安堵した。
- なお、せわしない妹と比べて落ち着きがある貴人という雰囲気を纏っているが、妹と同じく片付けをしないらしく、ゴブリンスレイヤーに「森人には片付けの習慣がないというのは本当か」と問われた輝ける兜の森人は「ない姉妹もいる」と疲れ切った表情で答えていた[122]。
- 女森人 → 侍女
- 声 - 長谷川育美
- 古代遺跡を根城にしたオーガとゴブリン軍に捕らえられていた森人の女冒険者。ゴブリンスレイヤーたちによって救出された。
- 虜囚とされていた間には嬲り者・慰み者にされるばかりか、嘲る意味合いで右半身を葡萄のように腫れ上がるほど痛めつけられており、救出される際、自分の救出よりもゴブリンたちの殲滅を優先するよう懇願するほど、ゴブリンたちを憎んでいた。
- 後に花冠の森姫の結婚式に参加すべく訪問した際に、その侍女として再登場。腫れ上がっていた右頬も癒えており、彼女の素性に気が付いたゴブリンスレイヤーがオーガとゴブリンたちを皆殺しにしたことを告げた際には涙を流して感謝した[123]。
王都
- 国王
- 王国を治める君主。一見すると優男風な風貌をしているが、金剛石の武具を纏って冒険者として死の迷宮に挑んでいた経験の持ち主でもあり、優れた王政により領民から慕われている。剣の乙女と同年齢で、かつての魔神王出現時に交流があった。しかし、彼女が最初の冒険に失敗し、その際にゴブリンから陵辱を受けたことやトラウマについてまでは知らなかった。
- 10年前、剣の乙女たちが死の迷宮最下層に挑んだ際には、地上にて《秩序》の軍勢を率いる大将の一人として《混沌》の軍勢と対峙し、彼女たちをサポートしていた。
- 冒険者を引退し国王になった現在でも、時折剣の乙女の下に赴いており[124]、冒険者達の訓練所の建設にも協力している。
- 妹の王妹が城を出て女神官から追い剥ぎを行って都を出てしまった挙句、自らを追い落とす事を目論んだ貴族と邪教徒に操られたゴブリン達に誘拐された際は、身勝手な妹が原因で起こった問題の為に国軍を動かす訳にはいかず、元・冒険者である剣の乙女に王妹の救出とゴブリン討伐を依頼しようとするが、女商人となっていた令嬢剣士から話を聞いたゴブリンスレイヤー一行が救出に名乗り出たことで、彼等に託すことにする。
- 為政者としての自分の役割をしっかり自覚しつつもかつての冒険者時代の自由さを懐かしく思い、竜退治をすれば国庫が潤うなどと口にしては赤毛の枢機卿と影の薄い銀髪の従者にたしなめられている。
- 王妹
- 王の妹で第一王女。女神官に似た容姿をしているが、彼女よりも背が高い上にスタイルも良く、女神官自身からも自分の上位互換と評され、神は不公平と嘆かせている。
- 一方、箱入りで世間知らずな面が目立ち、国王である兄の苦労を理解せず、自分の行動が周囲にどの様な影響をもたらすかについても想像できていない。
- 城の中での退屈な生活を嫌い、兄の様に冒険者になる事を望んでいるが、自らの我侭ぶりを理解している兄からは断固として反対されている。その事への反発や、市井に生きる女子が年頃になると家出をするという噂を真に受けた結果、友人でもある使用人の従兄を利用して都を出ることを画策。兵士に扮して城を抜け出し、浴場で自分に似た容姿をしている女神官に目をつけ、脱衣所の籠にある彼女の衣服や装備品、冒険者の認識票を盗んでしまう。一応、代わりに高価な宝石を残しているが、ゴブリンスレイヤーとの大切な思い出の品である鎖帷子も盗まれたことで女神官の怒りを買ってしまう。その後、女神官に成りすまして使用人の従兄を利用して都から出る事に成功するも自らの行動を知っていた貴族や邪教徒によって王を追い落とす為の陰謀に利用されてしまい、彼等に操られたゴブリンに誘拐されて死の迷宮にまで連行され、ゴブリン達のリーダー格であるゴブリンプリーストによって魔神復活の生贄にされそうになる。この際、衣服を剥ぎ取られ直接的な暴行は受けたが、凌辱されたか否かは明記されていない。しかし、駆けつけたゴブリンスレイヤーたちの活躍ですんでのところで救出され、自分の身勝手な行いによって被害を受けてもなお優しく介抱しようとした女神官に対し、泣きながら謝罪し続けていた[125]。
- 救出後、事実をそのまま公にすれば国の存亡に関わる程の問題になりかねないため、公式にはゴブリンスレイヤーらの活動は「貴族の令嬢の救出」として処理されている[126]。しかし、自らの身勝手な行動によって、王族として致命的な汚点を残してしまった責任もあり、修道院に入るわけではないものの地母神に帰依することになった。将来については分からないながらも自らを許し救ってくれた女神官のようになりたいと願い、その旨に関する話を受付嬢から聞いた女神官は安堵している[127]。
- その後、地母神の信徒となり、兄王と地母神の寺院の間を繋ぐ連絡役となった。周囲を気遣ってか過酷な経験を伺わせない明るい振る舞いをしており、兄である王にはその成長を内心で喜ばれている[128]。
- 金剛石の騎士(ナイト・オブ・ダイヤモンド)
- 市井で噂される謎の人物。「都市の騎士(ストリート・ナイト)」とも呼ばれ、闇の中でも白く輝く魔法の武具に身を固め、闇の中で悪を討つという。市井に蔓延る諸悪を討つべく、素性を隠して活動している。しばらく姿を見せていなかったが王妹拉致事件の最後で邪神の教徒や悪徳貴族のアジトを強襲、殲滅している。その際、よく見知った顔であるらしく、貴族たちは驚愕していた。
- 黒装束の密偵
- 金剛石の騎士に付き従い、諜報活動をしている黒装束の女性。
その他
- 女神官の初パーティの3人
- 冒険者になったばかりの女神官が最初にパーティを組んだ3人の冒険者[129]。いずれも駆け出しの白磁等級。個々の冒険者としての意気込みと才能は低くはなかったが、ゴブリンを甘く見た結果、女神官を残して全滅の憂き目に遭う。
- 鉢巻きをした若者(青年剣士)
- 声 - 内匠靖明
- 女神官の初パーティの中心的存在。村の近くに出現したゴブリンを追い払ったという大人達の武勇伝を聞き、自分も皆を守る存在となりたいと奮起、ゴブリン出現を知るや即断即決で討伐に名乗り出るなど義侠心も持ち合わせている。
- だが一方で、決断と無謀、勇気と蛮勇の区別はついておらず、思慮も足りない、経験不足なありふれた駆けだし冒険者。女神官をパーティに加えたのもポーション代の節約のためといった程度の認識しか持っておらず、鍛錬も自分自身で積んだ程度で正式に誰かに師事したわけではない。ゴブリンの群れに吶喊して数匹を倒すものの、振り回した長剣を洞窟にぶつけた隙を突かれ、ゴブリンたちによって惨殺される。
- 髪を束ねた胴着姿の少女(女武闘家)
- 声 - 石上静香
- 女神官の初パーティの一人。鉢巻きをした若者(青年剣士)の暴走を制止することが多い。また、仲間一人一人に対する配慮を怠らずに状況全体を判断できるなど、他の面子に比べれば冷静な女性。求めるものは地位や名声ではなく、皆を守るために自身の力を使うことを何よりも尊んでいる。
- 亡き父の正式な師事により武闘の鍛錬を積んでおり実力もそれなりにあったが、あくまで駆け出しの冒険者に過ぎず、青年剣士の死を受けて女神官に負傷した女魔法使いと撤退するように指示した後、数匹のゴブリンを倒すものの、圧倒的な体格差があるホブゴブリンには歯が立たず、戦闘不能にされる。
- 身動きが取れなくなったところをゴブリンたちから袋叩きにされた上、凌辱されてしまうが、悲鳴を上げながら女神官に自分を見捨てて逃げるように告げ、結果、女神官は窮地を脱することができた。
- 後にゴブリンスレイヤーの助力によって駆け付けた女神官によって救助されるも、凌辱によって精神崩壊しており、無反応のまま涙を流すだけだった。救助された他の女性達と運ばれていった後は、故郷に引きこもった様子。
- 眼鏡を掛けて杖を手に持つ女性の魔術師(女魔法使い)
- 声 - 小岩井ことり
- 女神官の初パーティの一人。都市にある「賢者の学院」の卒業生で、自身の才幹を世に知らしめることに重きを置いている。パーティの面子にはそれほど親身に接していないが、自身の才幹を評価する人々には一転して敬服しており、自分の優秀さの証明として与えられた杖を非常に大切にしている。日に術を2つ使える[130]など、才能はある人物。
- 当初からゴブリンを甘く見ており、女神官の警告にも耳を貸さなかったことで、ゴブリンの集団による背後からの奇襲を許してしまう。自身の魔法で一匹は倒したものの、物量に押し切られて次の魔法行使をする前に引き倒され、杖を奪われてへし折られる。激昂し冷静さを失ったところに毒の刃を腹部に受けて戦闘不能になってしまい、女神官に支えられて何とか逃走する。
- しかし、女神官の小癒の奇跡も虚しく、ゴブリンスレイヤーと女神官が出会った時には全身に毒が回って手遅れの状態になっており、朦朧とする意識の中でゴブリンスレイヤーからの介錯の申し出を受け、落命した。
- この一件で「賢者の学院」では恥晒しと嘲笑されるようになり、実弟の少年魔術師は彼女の名誉回復とゴブリンへの復讐を誓うようになった。
- その墓は王都の墓地にある[131]。
- 牧場主 / 伯父
- 声 - 林大地
- 街の郊外で牧場を経営している。牛飼娘の母方の伯父。亡き妹(声 - 菊池沙也花)の忘れ形見である姪を我が子のように慈しんでいる。時折、ゴブリンスレイヤーに「あの子はいい子に育ってくれた」と話す。
- 牛飼娘を引き取り、ゴブリンスレイヤーに住居として納屋を提供している。常識人であるため、けじめだと下宿代を取る。タガが外れているゴブリンスレイヤーのことを良く思っていないが、その事情を知っているので複雑な心境を抱いている。牛飼娘が物思いに沈んだりした際、ゴブリンスレイヤーが何かしたと誤解することも少なくない。
- 第1巻の原作小説の初版や漫画版の初期、アニメで初登場の際のクレジットでは「叔父」となるも後に「伯父」に訂正された。
- 貴族令嬢の率いるパーティ
- 全員が鋼鉄等級冒険者の女性で構成された4人組のパーティ[132]。リーダーは只人(ヒューム)の貴族令嬢出身の自由騎士でその他只人の僧侶、圃人(レーア)の野伏、森人(エルフ)の魔術師で構成されている。放棄された森人の山砦を根城にしているゴブリンたちに拉致された村娘の救出依頼を義憤に駆られて挑む。
- 全員鋼鉄等級相応の十分な経験を持っているパーティで前準備を怠ることもせず、ゴブリンに対する知識も熟知していたためゴブリンの活動が鈍る昼間を狙って山砦に潜入し、村娘の救出を最優先に行動するも山砦に仕掛けられた罠の多さの前に対応しきれずに仕掛けられた警報を作動させてしまい、ゴブリンの大群と戦闘を強いられる。多数のゴブリンを倒すも、想定以上の数に消耗し敗北。全員捕縛された挙句、野伏は生きたまま射的の的に、僧侶は嬲り殺しにされ、魔術師も生きたまま火炙りとなり、リーダーの貴族令嬢は一部始終を見させられ精神崩壊した所を憤るゴブリン達に三日三晩徹底的に弄ばれ事切れ、最終的に全員死亡し、リーダーの遺体だけは人とは思えぬほどの姿にされた上で川に投げ捨てられた。
- コミカライズ版ではパーティがゴブリンたちに取り囲まれ、リーダーが投石によって昏倒して場面が暗転した直後に全員が死亡し、リーダーと僧侶も屍姦され続けているという短い描写にされており、アニメ版に至っては既に全員死亡している状況のみの描写にとどまっている。
- 吟遊詩人
- 声 - 速水奨
- 妖精弓手らがゴブリンスレイヤーの居場所を教わった吟遊詩人。
- 伝聞で知ったゴブリンスレイヤーの活躍を詩にするが、その内容はかなりの美化・脚色が入っている。ゴブリンスレイヤーと面識は無い。
- 勇者
- 声 - 島袋美由利
- 各巻の間章などに登場する小柄な黒髪の少女。太陽のような笑顔を浮かべる。魔神王を倒した功績によって史上10人目の白金等級に認定された。15歳。一人称がボク。
- 孤児院を出て冒険者となるが、当初から呪文を連射できるなど規格外の能力を持っていた。そして遭遇した魔神王の幹部である魔神将をゴブリンの親玉程度の存在だと思い、ちょっと追い詰められるが偶々手にした聖剣を手に入れて討ち果たしたことで「勇者」となった。
- パーティーとして剣聖[注 13](声 - 戸松遥)と賢者(声 - 井上ほの花)という女性冒険者と組んでいる。
- ゴブリンスレイヤーの仕掛けた罠の上に立ちながらこれが作動しない[133]、北の雪山の事件で里に警戒を呼び掛けようと下山する途中の新米戦士・見習聖女・白兎猟兵に遭遇した際に直前まで彼らは存在を感知できなかった[134]などの奇妙な能力も有する。
- 神からの啓示(ハンドアウト)を受けるなどして、ゴブリンスレイヤーの知らないところで世界を左右するような大物の敵と戦っている。彼とは冒険者になる前に一度[135]、勇者となってからも収穫祭の折に一度出会っている[136]が、お互いの素性には気づかずじまいである。ニアミスが多く出会う機会は少ないが、相互の戦いの結果が知らない所でリンクしている。
- アニメでは赤毛になっており、ゴブリンを集団性と狡猾さを持つ恐ろしい怪物と熟知しており、例え世界を救ったとしても村が滅ぼされるのは嫌なもので、ゴブリンスレイヤーのおかげで救われる人たちがいると彼に感謝している。
- 先生
- 声 - 飛田展男
- 圃人の老爺。背丈は10歳当時のゴブリンスレイヤーの半分くらいの低身長であり、浅黒い肌と金色の瞳、出杭歯の男性[137]。白金の鎖帷子を纏う。忍びの者であり、「往還せし者」といった呼び名を複数持っている[138]。
- 10年前、ゴブリンスレイヤーをゴブリンから救った後に彼を殴り倒して半ば誘拐同然に連れ去り、彼を指導した人物。極めて口が悪く乱暴で、その教育方針は虐待に近い。姿隠しの術を得意とする。5年後、突如として「旅に出る」と言って姿を消した。
- 現在は、少年魔術師と圃人剣士に修行をつけている[139]。さらに仕事帰りに牧場にゴブリンスレイヤーを訪ねてきた際は、ゴブリンスレイヤーは不在だったものの牛飼娘と言葉を交わし、彼女を「やさしき西の邑の健気な子」と賞した[140]。
- 作者のコメントによれば特訓などではなく、実際は口プロレス好きで和マンチキンな先輩プレイヤーに振り回されただけだという。
- 令嬢剣士 → 女商人
- 声 - 上坂すみれ[141][142]
- 第5巻より登場。只人の冒険者で女神官とほぼ同年齢の女性。蜂蜜色と称される金髪。魔法戦士。白磁等級[143]。
- 名高い貴族の令嬢だったが、両親の言われるままの人生に嫌気が差し、自由な人生を送りたいと家伝の軽銀の宝剣大小一組を持ち出し出奔し冒険者となる。元々剣の才能がある上に雷撃の魔法も使えたため、初任務を華々しく飾ろうと過信するあまりに即席で募った仲間と共に雪山の城砦に巣食うゴブリン退治に赴く。ゴブリンたちが誇る圧倒的な数を利用して兵糧攻めを行い当初はゴブリンたちを各個撃破するなど戦果を挙げるが、兵糧攻めを見抜いた小鬼聖騎士が逆に兵糧攻めに転じたことで失敗してしまう。パーティは補給物資不足で体調を崩し仲間割れ、最悪の士気の中で彼女が補給のために離れた隙に仲間は惨殺されてしまう。宝剣も小鬼聖騎士に奪われた挙句にゴブリンたちに凌辱され、覚知神への生贄としてうなじに呪いの焼印[144]を押され、祭壇に奉納された。少人数での兵糧攻めは逆に飢えて殺意の高揚したゴブリンたちに襲撃されるのがオチで、安心しきってバレてない内に速攻で殲滅すべきだったとゴブリンスレイヤーは指摘した。
- 後に令嬢剣士の両親から捜索の依頼を、剣の乙女の経由で受けたゴブリンスレイヤーたちに救助され、宝剣を取り戻してゴブリンを殲滅したいと依頼料代わりに自ら髪を斬り落としてゴブリンスレイヤーに同行[145]。相手がゴブリンでも弔おうとする女神官の祈りを不要だと妨げ、憎悪に駆られてゴブリンの叙勲式に必要なシャーマンを殺してしまいゴブリンスレイヤーたちを窮地に追い込んでしまう。後に過ちを悟り、共闘の末に宝剣を取り戻すことに成功する。両親に宝剣を返却してこれからのことを考えると帰郷した。
- 女神官と妖精弓手との手紙のやりとりは続いており、呪いの治療のために剣の乙女の元に通っている[146]。
- 治療が一段落した所で実家の資産を元手に女商人として活動を始め成功し、ギルド訓練所の運営担当者も兼ねて御前会議に招集されるまでに至る[147]。ゴブリンによる王妹拉致事件の際には、剣の乙女の護衛として王都に滞在していたゴブリンスレイヤーとその一党を王に紹介する[148]。
- 使用可能な呪文は《稲妻(ライトニング)[149]》で回数は2回[150]。
- 六人の英雄(オールスターズ)
- 六英雄とも。10年前、「死の迷宮」の奥底に挑み、魔神王を討った冒険者たち。
- 湾刀の術理を極めた頭目[注 14]、その従姉の女魔術師、槍使いの女戦士、半森人の斥候、蟲人(むしびと)僧侶、そして後に剣の乙女と呼ばれる女司教の6人。
- 小説8巻の冒頭および外伝『イヤーワン』の冒頭でその冒険の一部が語られた他、外伝『鍔鳴の太刀』ではパーティ結成からの物語が綴られる。
- 孤電の術士(アークメイジ)
- 外伝『イヤーワン』2巻に登場した只人の魔術師。女性。辺境の街の外れにある小屋に住んでいる。
- くすんだ金髪で眼鏡をかけ、豊満な肉体に継ぎ接ぎだらけのローブを纏っている魔術師然とした人物で、様々な絵の描かれた札の束を魔術に用いる。かつては蜥蜴人に師事して幻惑や付与など様々な魔術を身に付けたようで、ゴブリンスレイヤーは自分よりもかなり高いレベルにあると見ている。
- 《界渡り(プレインズウォーカー)》と呼ばれる、神々の盤である四方世界の外へ至る存在になることを目指しており、その鍵である《灯(スパーク)》を探し求めていた。
- ゴブリンスレイヤーがゴブリンの巣で手に入れた《灯》の指輪を持ち込んだことで知り合うが、その指輪を譲るよう頼み込んだ彼女に対し、ゴブリンスレイヤーが求めた報酬が「ゴブリンを殺すのに役立つもの」であったため、想定外の事にひとしきり爆笑。その後、ギルドから依頼されていた怪物辞典のゴブリンの項を改訂するためと称してゴブリン退治とそれに同行する自身の護衛を依頼し、そこで得られる情報を真っ先に提供することを提案した。
- 学者肌で、必要とあらばゴブリンの血を用いた臭い消しもためらわず、普通なら当たり前だと流してしまうような些細なことでも追求する。彼女の依頼に同行する中で、ゴブリンスレイヤーはゴブリンに関する多くの知識を身に付け、考え方にも影響を受けることになった。
- こうして何度もゴブリンスレイヤーと同行していたが、関係を誤解して嫉妬していた牛飼娘に対してはそのような関係ではないと謝罪し、彼は話せばちゃんと通じる相手だと伝えた。牛飼娘にはそれ以上の印象は残っていないが、ゴブリンスレイヤーと牛飼娘の関係に少なくない影響を与えている。
- 最後の依頼では、ゴブリンスレイヤーと共に《界渡り》に至るための場所である暗黒の塔へ向かう。無限に湧くゴブリンをゴブリンスレイヤーが殺し、扉の鍵であるこの世ならざる立体を彼女が解き明かすという分担で塔を登り続け、3桁におよぶゴブリンを殺した末に屋上へと辿り着く。そこで彼女は、ゴブリンスレイヤーに謝辞を述べると共に、彼が小鬼を殺す者であることを肯定し、《灯》が消えた《呼気》の指輪と小屋に残されたものを報酬とすることを告げ、虚空に身を躍らせて姿を消した。
神
- 《幻想》と《真実》
- 物語世界を管理している存在で高名な神々[151]。舞台(盤)を構築し、駒を用意してサイコロを振り、世界の支配をかけて「勝負」している。TRPGにおけるゲームマスター (GM) とプレイヤー (PL) を模した存在であり、この二柱以外にも《時》や《死》など、多くの神々が存在することが示唆されている。その日の気分次第で駒の一党を故意に安全な、あるいは過酷な冒険へ放り込んだりもするが、駒のことは愛しており、神々の意図に反して彼らが不幸にも全滅すると落ち込むこともある。
- サイコロ(宿命や偶然)を排して確実にゴブリンを殺すゴブリンスレイヤーには手をこまねきつつも、その結果に一喜一憂する。
- 無名神
- 高名な神々によって作られ、四方世界の盤上に半ば座している神々[152]。
- 四方世界の人々によって信仰され、彼らに力を与える存在である。
- 至高神
- 司法を司る神でもあり、神殿は裁判所を兼ねる。シンボルは天秤と剣を組み合わせたもので、剣の乙女らは同様のデザインの杖を持つ。
- 地母神
- 主に農村で信仰される神。女神官はこの神殿に属している。
- その他の神殿と神々
- 知識神、交易神、戦女神などの存在が描写されている。
- 覚知神
- 知識神と似て異なり、突発的に邪悪な智恵を授ける邪神の一柱。祈る者のみならずゴブリンにさえも智恵を授けてしまう。授けられる智恵は実現性があり、かつ即実行可能な物である。例えば世界征服したいという者に具体的な方法や手順を授ける。そして実行させてしまう。
- 覚知神を表すシンボルは「神の目」である。
祈らぬ者
祈らぬ者(ノンプレイヤーキャラクター[注 15])と呼ばれる存在。祈る者、つまり冒険者(プレイヤーキャラクター、PC)に敵対する存在でもある。
- ゴブリン
- 声 - 竹田海渡、小倉大輔、虎島貴明、高橋信、若山晃久、森嶋秀太、葉山翔太、渡邉允瑠
- 本作に登場する怪物のうち、最下級とされる小鬼。エルフ語では「オルク」と呼ばれている。
- 成体でも人間の子供程度の身体に膂力と知能しか持っておらず、単体ではあまり強くないうえに討伐報奨金も低く玄人からは獲物扱いされないため、新人冒険者などには侮られることが多い。しかし、動きが素早いうえに悪知恵が利き、暗闇でも見える目と高い嗅覚を持って絶えず闇間から徒党を組んで襲いかかるため、実は最も多くの新人を殺害している存在でもある。
- 性格はきわめて残忍かつ身勝手で、自分たちの悦楽のために標的とした人物を拷問したり食料としたりするほか、女性の場合は強姦する(場合によってはその後に殺害するか、もしくは後述の「孕み袋」にする)などの行為を好む。仲間意識や連帯感はあるが、一方で友愛や義理はほぼ皆無で、自分たちの群れが攻撃されたことには怒りを抱いても、殺された仲間については嘲りの念しか抱かない。そして、攻撃してきた冒険者や村人には、鬱憤を晴らすために苛烈な報復が行われる。
- 「略奪する」という発想しか持たず自分たちで新たなものを作り出すことはないが学習能力は持っているため、身動きの取りやすい短剣や棍棒を装備して自分たちで毒を作ったり遺跡の罠を活用したり、船を用いて水路を移動したりするなどの行動を取る。生命力が高く、不衛生な場所でも活動できるうえ、致命傷を負っても死ぬ直前まで襲いかかったり、死んだフリをして奇襲をかけたりする。そういった生態から、ゴブリンスレイヤーには「奴ら(ゴブリン)は馬鹿だが、間抜けじゃない」[153]と評されており、侮ることを厳に戒められている。
- 単独行動中の数匹程度ならば腕自慢の村人でも追い払うことは可能であり、それで自信を付けた若者が冒険者を志すことも少なくない。しかし、数十匹の群れともなれば村1つを滅ぼすこともあり得る。後述のホブゴブリンやゴブリンシャーマンに率いられた群れはさらに危険性が高く、ゴブリンロード、またはオーガや闇人などの別種族に率いられて組織化した場合、街でも陥れかねないほどの脅威的な存在となる。
- 性別は雄しか存在せず繁殖には人間やエルフなどの別の人型種族の女性を必要とする。それらは「孕み袋」と呼ばれ、道具扱いされる。誕生する際にはすべてが母体の要素を受け継がずゴブリンとなるほか、妊娠期間は人間よりきわめて短く成長も早いため、1つの巣に3 - 4人も孕み袋がいれば、短期間のうちに軍勢ができるほどの危険性がある。子供の個体といえども危険である[注 16]うえ、相手への恨みを決して忘れず知恵を付けていくため、ゴブリンスレイヤーは一切の躊躇無くゴブリンの子供も処分している。
- 只人の王国においては軍隊がゴブリン討伐に赴くことはない。これは国がその脅威を認識していないのではなく、それ以上に脅威となる怪物や勢力が数多いためと、冒険者を用いることで十分対処可能と目されているためである。国は国営機関でもある冒険者ギルドを用いて依頼斡旋や派遣業務を行うことにより、その支援としている。
- 渡り
- 巣穴をさまざまな理由で追われ、渡り歩くはぐれゴブリンたちのこと。多くは食いはぐれてやせ細っているが、中には傭兵の真似事のようなことをしている個体もいる。渡りを続けながら知恵と経験を積んだゴブリンは、巣穴の長や用心棒となる。
- ホブゴブリン
- 声 - 山根雅史
- ゴブリンのうち、先祖返りによって大型の肉体を手に入れた上位種あるいは変異種。戦闘力は通常のゴブリンなど比ではなく、多少の戦闘技術も身に付けている。しばしば巣穴の長や用心棒となっている。
- ゴブリンシャーマン
- 声 - 中西尚也
- ゴブリンのうち、妖術を身につけた呪文使い。多数のゴブリンのみならずホブゴブリンを従えることもあるうえに知能が高く、冒険者を罠にかけることもある。危険性の割りに知名度が低く、下級の冒険者が知らない場合も多い。骨などを組み合わせたトーテムを好んで作るのが特徴。
- ゴブリンライダー
- オオカミに騎乗したゴブリンの騎兵。余裕のあるゴブリンの群れはオオカミを番犬として飼い慣らしているうえ、大規模な群れになると騎乗して突撃してくる場合がある。ちなみに、食糧事情が悪化するとオオカミは即座に餌とされてしまう。
- 小鬼王(ゴブリンロード)
- 声 - 井上和彦
- ゴブリンのうち、統率力に特化して進化した個体。ゴブリンとしては異常に高い知性と統率力を持ち、多数の上位種をも擁する大規模な群れを作るうえ、祈る者たちの共通語を理解して話すことさえある。ゴブリンたちにとっては白金等級に該当する存在にして戦闘力や魔力ではなく統率力に特化した個体であるため、小鬼王に率いられたゴブリンたちは統率のとれた軍として驚異的な力を発揮し、捕らえていた女性たちを板に括り付けた「肉の盾」を用いて敵の攻撃を思いとどまらせる、ゴブリンライダーで敵の側面を突くなどといった戦術も用いる。
- 作中に登場した個体はかつて冒険者に見逃されたゴブリンが経験を積みながら成長したもので、100匹近いゴブリンたちを率い、辺境の街を襲う拠点として牧場を狙うが、事態に気づいたゴブリンスレイヤーが目撃した大量の足跡から存在を推測され、彼の呼びかけに応じた冒険者たちに迎撃されたうえ、自分の策をゴブリンスレイヤーにことごとく読み切られて群れは全滅する。最後は再起を謀って逃走したところをゴブリンスレイヤーと女神官に待ち伏せされ、倒される[154]。
- 小鬼英雄(ゴブリンチャンピオン)
- 声 - 山根雅史
- ホブゴブリン以上に大型に成長し、より戦闘経験を経たゴブリンの戦士。小鬼王同様に白金等級に該当する存在。小鬼王ほどの高い知性と統率力はないが、強力な筋力や防御力を持っているため、単純な戦闘力だけなら小鬼王や熟練した冒険者たちさえ上回る。戦闘の際にはさらに残忍となり、他のゴブリンを巻き添えに攻撃することや盾にすることすらいとわない。
- ゴブリンロード軍に存在した個体は、重戦士と女騎士の連携によって倒された。アニメ版では1体が追加されたが、そちらは槍使いとの一騎打ちで討ち取られている。
- 地下水道に現れた個体はゴブリンスレイヤーたちを一室に追い詰め、ゴブリンスレイヤーに致命傷を負わせるも決死の反撃で首を絞め上げられ、片目をえぐり取られる。布に血で目のような落書きを描いて報復を宣言していたが、決戦の場となった祭祀場の天井を崩されて手下もろとも生き埋めにされて倒される。
- 小鬼聖騎士(ゴブリンパラディン)
- 雪山の城砦に巣食うゴブリンを統括するゴブリンの聖騎士。甲冑を着てマントを纏い、令嬢騎士から略奪した宝剣と盾を装備する。覚知神によるものか知識も相応に持っており、数々の冒険者との闘いで剣技を学習しているため、只人の騎士にこそおよばないものの剣と盾を巧みに使い、攻撃する。
- その剣技によりゴブリンたちをまとめ上げ、近隣の村々から娘を攫っては孕み袋として酷使してゴブリンの数を50体以上も増やし、令嬢剣士を捕縛したうえ、只人を真似た叙勲式で統括力の向上を目論むが、ゴブリンスレイヤーたちの活躍によって失敗する。最後はゴブリンスレイヤーとの一騎討ちの最中、合図を受けた令嬢剣士の呪文によって敗れる。それまでの行動により、城砦の豊富な鉱石資源から金属精錬を試み、武具を生産してゴブリンたちに装備させて軍隊の結成を目論んでいた可能性が示唆されている[155]。
- 小鬼邪神官(ゴブリンプリースト)
- 死の迷宮を根城にするゴブリンたちの首魁。奇怪な手の文様の入れ墨を施されたゴブリンたちを率い、王妹を生贄に魔神の復活を謀る。格好だけ聖職者を真似たゴブリンなら小鬼聖騎士の手下にもいたが、こちらは神官の遺体から「血抜き」を行い、血液を触媒に利用するという外道な手段によって実際に《聖壁》の奇跡を用いることができる。
- その奇跡の力を媒介するものを女神官の浄化によって消滅させられて敗れ、残された大量のゴブリンたちもゴブリンスレイヤーに頼まれた剣の乙女が率いる神官戦士たちの軍団によって殲滅される。
- トロル
- 巨人(トロル)。小鬼英雄よりも大きな巨体と腕力を持っているが、知能は小鬼以下で本能の赴くままに行動する。極稀に小鬼と協調して行動する個体も存在し、主に門番や盾役として行動する。
- 巨大鼠(ジャイアントラット)
- 人間の子供の大きさほどある巨大な鼠で、街の下水道などに大量発生する。群れで行動するが個々の攻撃力は低いため、ギルドは福祉も兼ねた新人冒険者向けの依頼として掲示しているが、生命力が高いうえにゴブリンと違って雌も存在するために繁殖率や成長率がきわめて高いうえ、病原体を保菌している群れで襲いかかるため、新人冒険者でも油断すると重傷を負わされることはおろか捕食されることすらある。
- 大黒蟲(ジャイアントローチ)
- 人間の子供の大きさほどある巨大なゴキブリで、巨大鼠と同環境での生息や群れ、病原体といった理由から、時には新人冒険者すら捕食対象にする。巨大鼠以上にグロテスクな外見や動き、群れで襲いかかるおぞましさから、上級冒険者すら生理的に遭遇したくないと評され、短時間ながら羽を広げて飛びかかる姿はしばらく夢に出るほどであり、絶対遭遇したくないモンスターの上位に挙げられている。
- 竜牙兵(ドラゴントゥースウォリアー)
- 竜の牙より作り出された兵士。ボーンゴーレムに近い存在。単純な戦闘以外にも盾を持って特定の誰かを守らせる、救助した人物を街まで運ばせる、踊らせるなど、幅広い命令が可能。高位の魔術師が、あるいは蜥蜴人が祖霊の力を借りて作り出す[156]。
- オーガ
- 人喰鬼(オーガ)。銀等級冒険者一党でも苦戦を強いられる強力な怪物。只人を圧倒する肉体と筋肉、只人の言葉も理解して流暢に喋れるほどの知力に加え、眼を潰されてもすぐに回復可能な再生能力を持つため、肉弾戦で胴体を真っ二つにされて大量の血液を失わない限り、負けることはない。盾で身を守ろうとした冒険者を盾ごと粉砕したり、冒険者との一騎打ちでは百日間無傷で勝利するなど、数々の逸話でその強さが伝えられている。
- オーガ(兄)
- 声 - 各務立基
- 第2巻に登場。魔神将の部下。使用可能な呪文は《火球》。古代遺跡を根城にゴブリン軍を編成し、背後から秩序の軍勢を襲おうとしていたが、ゴブリンスレイヤーたちによって手下であるゴブリンたちを皆殺しにされ、計画を妨害される。ゴブリンスレイヤーたちをあと一歩のところまで追い詰めるも、最後はゴブリンスレイヤーの用いた転移の巻物による海水の高圧水流噴射で両断され、敗れる[157]。
- オーガ(弟)
- 第9巻に登場。魔神王勢力残党に唆され、兄の仇であるゴブリンスレイヤーへの復讐を企ててゴブリンの群れを指揮し、遠方へ配達に向かうゴブリンスレイヤーと牛飼娘を襲わせて冬の廃村へ誘い込むが、知恵を駆使して逃げ回るゴブリンスレイヤーに翻弄される。業を煮やし、捕えていた他の冒険者を人質にゴブリンスレイヤーを誘い出して正面から殺害しようとするが、窮地に駆け付けた彼の一党と、彼の地形を利用した戦術の前に敗れる。得物としていた戦鎚は戦利品として持ち帰られ、辺境の街のギルドに飾られている。
- 沼竜(アリゲイタ)
- 水の都の地下水路でゴブリンスレイヤーたちが遭遇した巨大な白いワニ。ゴブリンスレイヤーたちを追い払おうとする一方、ゴブリン達の船を襲っている[158]。正体は剣の乙女の使徒(ファミリア)であり、地下水路を守りながら巨大鼠なども駆除していた。感覚を剣の乙女と共有しているため、ゴブリンと戦っている時の感覚も彼女に伝わってしまう[159]。剣の乙女と神官戦士団が「死の迷宮」から脱出するゴブリンスレイヤーたちを救援に向かった際にも、彼女に同伴している。
- 大目玉(ベム)
- 声 - 高橋伸也
- 水の都の地下水路に繋がる祭祀場で、巨大な鏡を守っていた怪物。巨大な目玉に無数の触手が生え、その先端に小さい目玉が付いた見るからに混沌の眷属。「名前を呼んではならない存在」と言われていたところにゴブリンスレイヤーが適当に名付けてしまう。《分解(ディスインテグレート)》の術で攻撃し、《解呪(ディスペル)》で相手の術を妨害する難敵となるが、ゴブリンスレイヤーの起こした粉塵爆発によって倒される[160]。
- 魔神の信徒
- 水の都の地下で魔神復活を謀っていた人物。生贄をさらうためにゴブリンを大量に呼び出していたが、ゴブリンスレイヤーたちに計画を妨害されてうろたえていたところを勇者一行に倒される。
- アニメ版では、似たような状況で邪神官(声 - 野瀬育二)らが勇者たちに滅ぼされるシーンが描かれている。
- 闇人(ダークエルフ)
- 闇人の邪教徒の男性。
- 邪悪な神々より託宣(ハンドアウト)を授かり、呪物を用いて暗躍する。最終的にゴブリンの軍勢を率い、神話の時代の千の手の巨人(ヘカトンケイル)を召喚して収穫祭を襲撃しようとするが、巨人は勇者に、ゴブリンの軍勢と自身はゴブリンスレイヤーに撃退される[161]。
- 作中において使用した術は《分解》[162]。闇人は森人と同様に能力において只人を凌駕しており、その技量も含めて実力的にはゴブリンスレイヤーを圧倒するが、知略方面においては数を頼みとするゴブリンを分散させて運用するなど想像力の働かせ方が甘いうえにからめ手や計算外の事態に弱いなど粗も多く、ゴブリンスレイヤーには「素人(ヌーブ)め」[163]と評されている。
- 種族の中には人間と共存する道を選んだ者もおり、水の街では只人を相手に店舗を構えている者も存在する。
- 樋嘴(ガーゴイル)
- 石の体と翼を持ち、飛行する石像の魔物。混沌に属する魔術師に使役されることが多い。石像でありながらも羽ばたくことで空を飛んでいるため、それを阻害すると墜落する。
- 魔神王
- いわゆる魔王のような存在。勇者が1人ではなく複数存在するように、魔神王も複数存在する。世界の存亡に関わる存在は定期的に出現するらしく、一般に最上位の白金等級冒険者とは、魔神王とその軍勢を倒すことを期待されている存在である。勇者によって討伐された[164]ため、現在は空位。10年前にも「六人の英雄」が倒した1体がいる。
- 魔神将
- 魔神王の配下の中でも特に力を持つ者たちで、詳細は不明だが複数存在する。魔神王の復活を目論んでおり、配下を操って暗躍している。
- ブロブ
- 外伝『イヤーワン』に登場。強酸性の粘液の塊のような魔物。洞窟の天井などにへばりつき、下を通った生物を目がけて落下して取り付き、肉を溶かして捕食する。兜などをかぶっていれば脱ぎ捨てることで逃れることができるが、そうでない場合は致命傷となりうる。
- 当初はロックイーターに追われて鉱山に沸いたものと思われていたが、ロックイーターの通り道から見つかる金を目当てにした人間を狙って共生している可能性が、半森人の軽戦士によって指摘されている。
- 岩喰怪虫(ロックイーター)
- 外伝『イヤーワン』に登場した、岩のような甲殻を持った巨大な百足の如き魔物。その名の通り、岩を喰らいながら岩盤の中を移動する。
- 岩のみならず、途中で見つけた生物は人間であれ強酸性のブロブであれ捕食するが、通り道に金鉱脈が見つかることがあり、採掘する人の手で住処を追われる個体も存在する。
- 鉱山のブロブ退治に赴いた若い戦士の一党を襲い、半妖精の野伏を捕食して鉱人の戦士の片腕を奪った後、銅等級から白磁等級まで50人を超える徒党が送り込まれ、死傷者を多数出す激戦の末に討伐される。
- 氷の魔女
- 9巻に登場。北の雪山の冬を長期化させ、王都でも問題になる異常な冬の元凶である1人。雪男(サスカッチ)を率いて冷気を操る吸血鬼であり、髪も肌も衣裳も装身具も白いが、瞳だけは血のように赤い。
- 別行動中のゴブリンスレイヤーと牛飼娘がオーガ(弟)の報復から逃げているために不在の状況であったが、女神官たち残る4人に加え至高神の託宣を受けた新米戦士・見習聖女、そして父の仇討ちを願う白兎猟兵と対決。女神官の《小癒》[注 17]・白兎猟兵の銀の矢・見習聖女の《聖撃》の連続攻撃で倒される。
主な用語
地理・国家・組織
- 四方世界
- 《秩序》と《混沌》に属する神々が、世界の支配を巡って勝負をするために創り上げた「盤」。そこに生きる冒険者や怪物といった存在は「駒」であり、《宿命》と《偶然》のサイコロによって全ては左右される。ただし、神々の遊び道具ということではなく、さまざまな冒険や物語を引き起こす「駒」たちの存在を神々は心から愛しており、サイコロの結果に一喜一憂している。
- 辺境の街
- ゴブリンスレイヤーが拠点としている都市。
- 地母神の神殿、冒険者ギルド支部、牧場などがあり、それなりに栄えている。秋には収穫祭が行われ、この時は見物客などで賑わう。地母神神殿の神官による奉納演舞、天灯が名物。
- 水の街
- 西方の辺境では最大の都市。裁判所を兼ねた至高神の神殿があるほか、街中と地下には水路が張り巡らされている。剣の乙女が暮らしている都市でもある。様々な種族が共存しており、説法をする蜥蜴人や店を構えている闇人が只人と普通に生活している。
- 雪山の城砦
- 北方の雪山に位置する城砦。大昔に鉱人により建設され、地方の領主が住んでいたが、領主が亡くなり廃砦となった所を小鬼聖騎士が率いるゴブリン達の巣となった。
- 王都
- 王国の首都。最大級の都市。
- 死の迷宮
- 王都の北に位置する迷宮。地下10階まである。10年前にはその最深部に魔神王が座して、死を撒き散らしたという。
- これに対抗する冒険者の拠点として城塞都市が築かれたが、魔神王が討たれてからは放棄されている。
- 冒険者ギルド
- 冒険者たちを管理する組織。史実のギルドと異なり職業組合・互助会ではなく、事実上の無頼漢である冒険者たちを管理統制するために設置された、国営組織である。
- ギルドの業務は冒険者たちの身元保証と査定、依頼の仲介と斡旋に留まり、それ以上の強制力はない。冒険者たちの間に自己責任の風潮が高いこともあり、ギルドは冒険者を保護・教育する組織ではない[165]。
- 冒険者ギルドの等級
- ギルドの等級評価は、上から順に白金・金・銀・銅・紅玉(こうぎょく)・翠玉(すいぎょく)・青玉(せいぎょく)・鋼鉄・黒曜(こくよう)・白磁(はくじ)の十段階評価となっており[166]、その等級に応じた色の認識票を与えられ首から提げている[167]。このうち、白金等級はいわゆる「伝説の勇者」というべきレベルであり、歴史上に数える程度しか存在しない。また、金等級も国家レベルの難事に関わる存在であるため、在野での最高位は銀等級となる。
- 冒険者はギルドに登録した段階では最低等級(第10位)である白磁等級として扱われ、冒険を重ねて「社会への貢献」「獲得した報酬総額」「面談による人格査定」などを評価され(これらを全部まとめて「経験点」と呼ぶ者もいる)、等級を上げていく[168]。すなわち等級は、その冒険者の力量を判断する基準であるとともに社会的信用度の目安でもある。圃人斥候のように、実力があっても人格が伴わなければ低い等級から昇進が望めない場合もありうる[169]。
- 冒険者
- 様々な理想、或いは野心を持ってギルドに所属している者達。種族を問わず、彼らはみなギルドに登録をして、周辺の都市や村の依頼を受けて報酬を受け取ることで生計を立てている。
- 等級によって身分を保証しており、等級が低い者は一般人からすればならず者と同じ扱いを受けてしまう場合もある。
- 女性冒険者が多いのは娼婦や農奴、親の決めた相手の嫁になりたくないため[170]。
- 訓練場
- 辺境の街に近くに設置された訓練施設。その場所にはゴブリンスレイヤーと牛飼娘が住んでいた村があった。現役・退役問わず冒険者の面々が、新人の育成に励んでいる。上記の通りギルドは新人の教育については業務外であるのだが、数少ないベテランと経験の浅い初級者ばかりで中堅がなかなか育たないという問題があった。そのため前々から訓練場を造る案は出ていたが、令嬢剣士からの寄付でようやく完成の目処がたち、建設された。
- 緑の月
- 四方世界には2つの月が存在しており、その一方。草も木も水も無い荒れ果てた場所だという。ゴブリンスレイヤーの姉によるとゴブリンはここからやってくる[171]。
- 連合軍
- 多発するデーモンの出現に、封印された魔神王(デーモンロード)の復活を予測した只人の諸王・森人の長・鉱人の長・蜥蜴人の族長が魔神王並びにデーモンの軍勢の殲滅を目標に結成した多種族軍隊。
種族
- 只人(ヒューム)
- 人類。物語の世界で最も人口が多く、主に王政による統治で国家が成り立っている。15歳で成人し、寿命は80歳ほど。「祈る者」の中では最も長い距離を歩き、また投擲の技能において只人の右に出る者はないとされる。
- 第10巻で、多種多様であることが説明される。
- 鉱人(ドワーフ)
- 主に鉱山地帯に生息する種族。低身(150cmほど)で筋骨隆々な体躯を持ち、また手先が器用で様々な武具や工芸品を製作する。寿命は森人よりは短いが3、400歳と只人よりは長命で、30歳で成人を迎える。また対称的な体躯や思想の違いなどから森人とはあまり仲が良くない[172]。
- 神代には炎を物ともしない上古の鉱人(ハイラードワーフ)がいたと言われるが、現在では伝説として謳われるのみである[173]。
- 森人(エルフ)
- 主に森林などに生息する種族。只人が見惚れるほど美しい容姿を持つ。弓術に長けている他、精霊魔法も使え、寿命は1000歳と遥かに長命な上に成長も遅く、青年期が長い。鉱人と同じ理由から鉱人とはあまり仲が良くない。
- 不老長寿であるがゆえに成人の概念はなく、各々の技術試験に合格した分野でのみ一人前として扱われる[174]。
- 上の森人(ハイエルフ)
- 森人の中でも特に妖精に近いとされる種族。寿命も通常の森人より遥かに長く、2000歳程度では子供としか見做されぬ程である。長や古老ともなると、神代の出来事を直に見知っているとも言われる。
- 闇人(ダークエルフ)
- 森人の亜種で、褐色肌以外は森人と変わらぬ容姿をしており、魔神などを信仰する「闇の側の住人」。魔神王復活を目的に世界各地で暗躍している。中には「祈る者」として冒険者をしたり、街に定住している者もいる。
- 圃人(レーア)
- 平原の丘や川辺にある荘園で暮らす、只人の子供と同程度の身長の小柄な体を持つ種族。低身を活かした体術を使い[175]、基本的に裸足で行動する。成人年齢は30歳、寿命は160歳程度と只人のおよそ倍ほどで[176]、心地よい住居を作ることに定評がある[177]。
- 蜥蜴人(リザードマン)
- 主に南方の密林や沼地に生息する、戦争に長けた種族。族長制の社会を形成し、部族ごとに生活している。13歳で成人するが、ほとんどのものが戦死するためにはっきりとした寿命は不明[178]。
- 「恐るべき竜」の末裔を称し、「海の塵が魚となり、海より出でて蜥蜴となった」「恐るべき竜は世界が極寒に覆われて滅びた」など独自の神話を持っており[179]、「祈らぬ者」を倒して功徳を積み、いずれは竜になることを目指している。また、混沌に属している部族も存在する。
- 獣人
- 人と獣をかけ合わせたような姿をした種族の総称で、犬や猫、その他様々な動物をベースとしたものが存在している。容姿も、只人に耳や尻尾が生えている程度のものから直立する獣の如きものまで多種多様で、成人年齢や寿命は只人に近いものも多い。
- 主に毛皮を持つ人々は「肉球持ち(パットフット)」と呼ばれる[180]が、そうでない人々も一括りにそう呼称されることがある[181]。冒険者として活動している者がいれば、酒場で給仕として働いている者もいる。
- 鳥人(ハルピュイア)
- 獣人の一種で鳥の特徴を大きく持つ者たちだが、外見的特徴や飛行能力の有無などは様々。只人の価値観では美麗なものが多いが、10歳で成人、寿命は50年ほどと短命。そのためか恋愛行動に熱心で一途な性質である[182]。
- 蟲人(ミュルミドン)
- 獣人の一種で昆虫の特徴を多く持った種族。女王を中心とした管理社会を築き、一族の生存のためならば己を含めた個体の死をいとわない精神性を持つ[183]。
- 鰓人(ギルマン)
- 魚の顔をした水棲の種族。「海ゴブリン」と呼ばれるが差別であると主張する。星の海より来たる大いなる蛸神を祖として崇めているらしい[184]。
魔法
- 呪文・奇跡
- 呪文や奇跡は、力のある文言によって世界の法則を改変したり、精霊に呼びかけて超常現象を引き起こしたり、神々や祖先に嘆願して奇跡を起こしてもらうなど様々な形式が存在する。
- 授かることのできる奇跡は、自分では決めることができず、神様まかせである[185]。
- 共通して精神力や体力、触媒などを消耗するため、多くても一日に数回しか行使できない貴重なものという描写がされている。
- これは本作が近年のコンピュータRPGに類似する大量のマジックポイントを活用する作品ではなく、『ソーサリー』『D&D』『ウィザードリィ』のような呪文回数がシビアな作品をオマージュしているため。
受賞歴・評価
既刊一覧
ライトノベル
- 蝸牛くも(著) / 神奈月昇(イラスト)、SBクリエイティブ〈GA文庫〉、既刊12冊(2020年2月14日現在)
- 『ゴブリンスレイヤー』2016年2月15日発売[186]、ISBN 978-4-7973-8615-8
- 『ゴブリンスレイヤー2』2016年5月14日発売[187]、ISBN 978-4-7973-8752-0
- 『ゴブリンスレイヤー3』2016年9月15日発売[188]、ISBN 978-4-7973-8834-3
- 『ゴブリンスレイヤー4』2017年1月14日発売[189]、ISBN 978-4-7973-8955-5
- 『ゴブリンスレイヤー4 ドラマCD付き限定特装版』同日発売[190]、ISBN 978-4-7973-8956-2
- 『ゴブリンスレイヤー5』2017年5月15日発売[191]、ISBN 978-4-7973-9158-9
- 『ゴブリンスレイヤー6』2017年9月15日発売[192]、ISBN 978-4-7973-9159-6
- 『ゴブリンスレイヤー6 ドラマCD付き限定特装版』同日発売[193]、ISBN 978-4-7973-9160-2
- 『ゴブリンスレイヤー7』2018年3月15日発売[194]、ISBN 978-4-7973-9161-9
- 『ゴブリンスレイヤー7 ドラマCD付き限定特装版』同日発売[195]、ISBN 978-4-7973-9529-7
- 『ゴブリンスレイヤー8』2018年10月15日発売[196]、ISBN 978-4-7973-9809-0
- 『ゴブリンスレイヤー8 ドラマCD付き限定特装版』同日発売[197]、ISBN 978-4-7973-9808-3
- 『ゴブリンスレイヤー9』2018年12月15日発売[198]、ISBN 978-4-7973-9812-0
- 『ゴブリンスレイヤー9 ゴブスレ事典(完全版)付き限定版』同日発売[199]、ISBN 978-4-7973-9811-3
- 『ゴブリンスレイヤー10』2019年3月15日発売[200]、ISBN 978-4-8156-0095-2
- 『ゴブリンスレイヤー10 ドラマCD付き限定特装版』同日発売[201]、ISBN 978-4-8156-0094-5
- 『ゴブリンスレイヤー11』2019年9月13日発売[202]、ISBN 978-4-8156-0330-4
- 『ゴブリンスレイヤー12』2020年2月14日発売[203]、ISBN 978-4-8156-0333-5
- 『ゴブリンスレイヤー12 ドラマCD&メタルフィギュア限定特装版』同日発売[204]、ISBN 978-4-8156-0332-8
- 蝸牛くも(著) / 足立慎吾(イラスト)、SBクリエイティブ〈GA文庫〉、既刊2冊(2018年11月15日現在)
- 『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン』2018年3月15日発売[205]、ISBN 978-4-7973-9041-4
- 『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 2』2018年11月15日発売[206]、ISBN 978-4-7973-9810-6
- 蝸牛くも(著)/ lack(イラスト)、SBクリエイティブ〈GAノベル〉、既刊1冊(2019年8月9日現在)
- 『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》 上』2019年8月9日発売[207]、ISBN 978-4-7973-9835-9
漫画
- 蝸牛くも(著)・黒瀬浩介(作画)・神奈月昇(キャラクター原案) 『ゴブリンスレイヤー』 スクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックス〉、既刊9巻(2020年2月12日現在)
- 2016年9月13日発売[208]、ISBN 978-4-7575-5116-9
- 2017年2月25日発売[209]、ISBN 978-4-7575-5258-6
- 2017年9月13日発売[210]、ISBN 978-4-7575-5471-9
- 2018年3月13日発売[211]、ISBN 978-4-7575-5603-4
- 2018年9月25日発売[212]、ISBN 978-4-7575-5860-1
- 2018年12月13日発売[213]、ISBN 978-4-7575-5944-8
- 2019年6月25日発売[214]、ISBN 978-4-7575-6175-5
- 2019年11月25日発売[215]、ISBN 978-4-7575-6388-9
- 2020年2月12日発売[216]、ISBN 978-4-7575-6521-0
- 蝸牛くも(著)・栄田健人(作画)・神奈月昇(キャラクター原案) 『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン』 スクウェア・エニックス〈ヤングガンガンコミックス〉、既刊5巻(2019年11月25日現在)
- 2018年3月13日発売[217]、ISBN 978-4-7575-5653-9
- 2018年9月25日発売[218]、ISBN 978-4-7575-5861-8
- 2018年12月13日発売[219]、ISBN 978-4-7575-5945-5
- 2019年6月25日発売[220]、ISBN 978-4-7575-6176-2
- 2019年11月25日発売[221]、ISBN 978-4-7575-6389-6
- 蝸牛くも(著)・池野雅博(作画)・神奈月昇(キャラクター原案) 『ゴブリンスレイヤー:ブランニュー・デイ』 スクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックス〉、全2巻
- 2018年9月25日発売[222]、ISBN 978-4-7575-5862-5
- 2019年6月25日発売[223]、ISBN 978-4-7575-6177-9
- 蝸牛くも(著)・青木翔吾(作画)・lack(キャラクター原案) 『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》』 スクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックス〉、既刊1巻(2020年2月12日現在)
- 2020年2月12日発売[224]、ISBN 978-4-7575-6522-7
アニメ
2018年10月7日から12月30日までAT-Xほかにてテレビアニメが放送された[15]。ナレーションは悠木碧が担当する。原作小説第1巻から第2巻(11章)までの内容が映像化された。基本的に原作に準じたものになっているが、一部エピソードの順序が変更されたり、一部サブキャラクターの登場が簡略化されるなど、細部の内容には差異がある。
アニメ中の台詞からの流行語では、ゴブリンスレイヤーの「ゴブリンか?」が3位となっている[225]。同じくニコニコ動画の2018年秋(10月-12月)のアニメを対象としたアンケートでは『ゾンビランドサガ』『SSSS.GRIDMAN』に次ぐ3位となっている[226]。
2020年2月1日には、新作エピソード『ゴブリンスレイヤー -GOBLIN'S CROWN-』(ゴブリンスレイヤー ゴブリンズクラウン)がショウゲートの配給により劇場上映された[17][227][228][229]。PG12指定[229][230]。
スタッフ
- 原作 - 蝸牛くも[231][16]
- キャラクター原案 - 神奈月昇[231][16]
- 監督 - 尾崎隆晴[231][16]
- シリーズ構成 - 倉田英之[231][16]
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 永吉隆志[231][16]
- ゲストモンスターデザイン - 戸田麻衣
- プロップデザイン - 岩畑剛一、鈴木典孝
- デザインワークス - 加藤千恵、コレサワシゲユキ、灯夢
- 美術設定 - 大山裕之、由利聡
- 美術監督 - 甲斐政俊
- 色彩設計 - 佐藤美由紀
- 撮影監督 - 峰岸健太郎
- 3Dディレクター - 軽部優
- 編集 - 後藤正浩
- 音響監督 - 明田川仁
- アフレコ演出 - 濱野高年
- 音楽 - 末廣健一郎[15][16]
- 音楽プロデューサー - 岡田こずえ
- 音楽制作 - アーティスト・マネージメント・オフィス
- チーフプロデューサー - 山崎史紀、宮崎誠司
- プロデューサー - 深尾聡志、秋田規行、小倉充俊、菊地洋平、和泉勇一、礒谷徳知、相田剛
- アニメーションプロデューサー - 吉川綱樹
- アニメーション制作 - WHITE FOX[15][16]
- 製作 - ゴブリンスレイヤー製作委員会(博報堂DYミュージック&ピクチャーズ、SBクリエイティブ、グッドスマイルフィルム、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、ブシロード、エー・ティー・エックス、フロンティアワークス)[232]
主題歌
- 「Rightfully」[231]
- Miliによるオープニングテーマ。作詞はmomocashew、作曲はmomocashewとYamato Kasai、編曲はYamato Kasaip、Yukihito Mitomo、Shoto Yoshida。
- 「銀の祈誓」[233]
- そらるの作詞・作曲・歌によるエンディングテーマ。編曲は大西省吾。
- 「Though Our Paths May Diverge」
- Miliによる第7話挿入歌。作詞はmomocashew、作曲はmomocashewとYamato Kasai、編曲はYamato Kasai。
- 「Within」
- Miliによる第12話挿入歌。作詞はmomocashew、作曲はmomocashewとYamato Kasai、編曲はYamato Kasai。
- 「Static」
- Miliによる『ゴブリンスレイヤー -GOBLIN'S CROWN-』主題歌。作詞はCassie Wei、作曲はYamato KasaiとCassie Wei、編曲はYamato Kasai。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 初放送日 |
---|---|---|---|---|---|---|
第一話 | ある冒険者たちの結末 | 倉田英之 | 尾崎隆晴 | 永吉隆志 | 2018年 10月7日 | |
新人冒険者4人のパーティーは洞窟内のゴブリン退治に臨むが、油断と慢心からゴブリンの奇襲を受けて壊滅する。女魔術師は毒の短剣で瀕死となって剣士は斬殺され、女武闘家は強姦される。唯一残った女神官を救った「ゴブリンスレイヤー」と名乗る銀等級の冒険者は女魔術師をためらわず介錯すると、倒したゴブリンから次々に武器を奪って持ち替え、女神官に残された奇跡も活用しながら着実にゴブリンを始末してゆくと、最後に残された子供のゴブリンたちをも容赦なく撲殺する。生還した女神官は冒険者を続け、ゴブリンスレイヤーと行動を共にすることになる。 | ||||||
第二話 | 小鬼を殺す者 | 黒田洋介 | 尾崎隆晴 | 宮原秀二 |
| 10月14日 |
ゴブリンスレイヤーと共に辺境の街の冒険者ギルドへ納品に訪れた牛飼娘は、他の冒険者たちが先を争ってより評価の高い冒険依頼を手にする中、最後に残ったゴブリン退治を引き受けるゴブリンスレイヤー、彼の異様な風体と行動を軽蔑する他の冒険者、そしてゴブリンスレイヤーに付きそう女神官の姿を目にする。北の山砦に棲み着き、先行した冒険者たちを惨殺したゴブリンたちを仕留めるゴブリンスレイヤーの姿に彼のモノローグが重なる──ゴブリンに故郷を滅ぼされ、姉を虐殺された彼がゴブリンへの復讐にのめり込むうち、それが「楽しくなってくる」という──。そんなゴブリンスレイヤーの活躍を美化して伝える吟遊詩人にその所在を尋ねたのは、上の森人の少女・妖精弓手だった。 | ||||||
第三話 | 思いがけない来客 | 倉田英之 | 古賀一臣 |
| 10月21日 | |
妖精弓手・鉱人道士・蜥蜴僧侶の銀等級冒険者3人組が人捜しに辺境の街の冒険者ギルドを訪れるが、「オルクボルグ」やら「かみきり丸」やらと言うばかりで話が通じない末、ようやくゴブリンスレイヤーのことと判明する。その一方、女神官は「辺境最強」の槍使いに同行する魔女から、これからどうするかを決めるよう諭される。妖精弓手らはゴブリンスレイヤーに「森人の領地の遺跡に巣くったゴブリンたちの退治」を依頼し、その奇妙な性格に翻弄されながらも、女神官を加えた5人で旅立つこととなる。 | ||||||
第四話 | 強き者ども | 倉田英之 | 迫井政行 |
| 10月28日 | |
遺跡に進入したゴブリンスレイヤー一行は途中で女森人を救出し、奥底近くへ到達する。鉱人道士の術で大勢のゴブリンたちを眠らせ、女神官の奇跡による無音の中、他の3人が黙々とゴブリンたちを始末してゆく。そしてさらに奥へ進もうとした一行の前に、巨大なオーガが立ちはだかる。その圧倒的な戦闘能力と回復能力により、一行は全滅寸前まで追い詰められるが、ゴブリンスレイヤーは転移の巻物を広げて深海の海底へ繋げ、その海水による高圧水流でオーガの身体を切り刻み、辛勝を得る。
| ||||||
第五話 | 冒険と日常と | 黒田洋介 | 古賀一臣 |
| 11月4日 | |
辺境の街の下水道では、新米剣士と見習聖女が巨大鼠退治に臨んでいたが、大黒蟲の襲撃で巨大鼠に刺さった剣を回収できないまま逃げ帰る羽目になってしまう。他の冒険者に相談した2人は魔女から無くし物を捜す蝋燭を貰い、ゴブリンスレイヤーから代わりに棍棒を持つことを助言され、どうにか剣を回収する。その後、ゴブリンスレイヤーはギルドの受付嬢から圃人斥候の昇級審査の立ち会いを求められる。お宝をくすねていたことを見破られて降格処分を言い渡された圃人斥候は、怒りで受付嬢を襲おうとするもゴブリンスレイヤーに睨まれて捨て台詞を残し、立ち去る。そんなゴブリンスレイヤーのもとに、遠方から特別な様式での依頼書が届けられる。 | ||||||
第六話 | 水の街の小鬼殺し | 黒田洋介 | 高木啓明 |
| 11月11日 | |
辺境の街のギルドでは勇者の話題で盛り上がる中、ゴブリンスレイヤーが他の4人に水の都でのゴブリン退治の依頼を相談する。相談というより二択を迫っているだけのゴブリンスレイヤーに呆れつつ、結局は5人で水の都へ向かうと、依頼主はかつて魔神王を討った「六人の英雄」の1人にして至高神の大司教である剣の乙女だった。地下水路に入った一行は大量のゴブリン、ゴブリンの乗った船団、そしてこれを襲う巨大な沼竜(アリゲイタ)と遭遇する。沼竜に襲われる状況でゴブリンが船を使っているという不自然さから、ゴブリンスレイヤーはゴブリンを誰かが操っていると疑う。 | ||||||
第七話 | 死へ進め | 黒田洋介 | 尾崎隆晴 |
| 11月18日 | |
至高神の神殿の大浴場で休息する女神官は剣の乙女と一緒になるが、その様子から彼女がゴブリンのことを身をもって知っているのではと考える。その後、再び地下水路に入った一行は、ある一室に閉じ込められて毒気攻めに遭う。ゴブリンスレイヤーの機転で危機を脱した一行に、今度はゴブリンチャンピオン率いる大勢のゴブリンが襲いかかる。チャンピオンの凄まじい戦闘力によってゴブリンスレイヤーを圧倒され、一行は瓦解寸前の危機に陥る。辛うじて立ち上がったゴブリンスレイヤーはチャンピオンを絞殺すべく組み付き、さらにその片目をえぐり取る。その鬼気迫る様子にゴブリンたちも恐れを成して逃走するが、ゴブリンスレイヤーは瀕死の危機に陥ってしまう。 | ||||||
第八話 | 囁きと祈りと詠唱 | 倉田英之 | 久保雄介 |
| 11月25日 | |
「先生」と呼ばれる圃人による虐待同然の指導を夢で思い出していたゴブリンスレイヤーは、処女同衾の奇跡「蘇生《リザレクション》」を発動した剣の乙女や女神官により、至高神の神殿の一室で無事に目覚める。剣の乙女は、冒険者として駆け出しのころにゴブリンに強姦された記憶を語る。ゴブリンスレイヤーと女神官は別に地下水路の探索を行っていた3人と合流して装備を修理し、槍使いと魔女に持参させた目の細かい小麦粉を受け取る。地下水路の奥、街を外れたところの一室に陣取って強力な術を用いる正体不明の大目玉を、ゴブリンスレイヤーは小麦粉を利用しての粉塵爆発で葬り去る。 | ||||||
第九話 | 往きて、還りし | 倉田英之 | おざわかずひろ | 路比塚俳優人 |
| 12月2日 |
大目玉が守っていたのは巨大な鏡で、どうやら遠く離れたゴブリンの住処と繋がった転移の鏡であるらしい。大爆発の音を聞きつけたゴブリンチャンピオン率いるゴブリンたちによる襲撃を阻塞(バリケード)を作って食い止めながら、蜥蜴僧侶が怪力で鏡を引きはがして頭上に掲げながら鉱人道士が術で天井を崩落させ、ゴブリンたちを全滅させる。事件解決の報告に剣の乙女のもとを訪れたゴブリンスレイヤーは、彼女による情報操作を指摘して真意を問いただす。ゴブリンに陵辱されて眼を焼かれた過去のトラウマから、毎晩うなされる苦しみを街の皆に分かって欲しかったが分かってもらえなかったという剣の乙女に、ゴブリンスレイヤーはゴブリンが現れたならたとえ夢の中でもそれを殺しに行くと告げて別れる。
| ||||||
第十話 | まどろみの中で | 黒田洋介 | 神谷純 | 宮原秀二 |
| 12月9日 |
水の都から辺境の街へ戻ったゴブリンスレイヤーは一見いつもと変わらない淡々とした生活を送るが、仲間や他の冒険者たちとの交流を通して少しずつ心情に変化が生まれる。勇者が魔神王を討ち倒したという知らせに街は沸き立ち、剣の乙女からはゴブリンの悪夢を見なくなったことへの感謝の手紙が届く。しばらくゴブリン退治の依頼の無い平和な日々が続いていたが、ある朝、牧場の近くに大量のゴブリンの足跡が見つかる。 | ||||||
特別編 | - | 12月16日 | ||||
牛飼娘の目線で第1話から第10話までをまとめた総集編。 | ||||||
第十一話 | 冒険者の饗宴 | 倉田英之 | 川村賢一 |
| 12月23日 | |
ゴブリンロード率いる百匹を超えるゴブリンの軍勢の襲撃を予見し、逃亡を指示するも牛飼娘に牧場に踏みとどまると言われたゴブリンスレイヤーは、ギルドの冒険者たちに牧場の防衛への参加を求める。懸命の依頼にまず槍使いが、続いて普段からの仲間たちと魔女が応える。さらには受付嬢の説得に応えた支部長からも「ゴブリン1匹に金貨1枚」の懸賞金が出て、居合わせた他の冒険者たちも決起する。その夜、ゴブリンの大軍が押し寄せるが、事前にゴブリンスレイヤーが立てた作戦が功を奏し、大勢の冒険者たちは的確に対応して殲滅する。劣勢に焦ったゴブリンロードは上位種に後始末を押しつけて逃走するが、その目の前にゴブリンスレイヤーが立ちはだかる。
| ||||||
第十二話 | ある冒険者の結末 | 倉田英之 | 尾崎隆晴 |
| 12月30日 | |
他の上級冒険者たちによって上位種のゴブリンたちが殲滅されていく一方、ゴブリンスレイヤーとゴブリンロードの決戦が始まる。知力も体力も並みのゴブリンを凌駕するロードの猛攻の前にゴブリンスレイヤーは剣を折られて圧倒され、止めを刺されそうになるが、ロードは女神官による《聖壁(プロテクション)》の二重掛けに挟まれ、押し潰される。拙い言葉で命乞いをして隙を突こうとするロードの喉にゴブリンスレイヤーは折れた剣を突き当て、息の根を止める。冒険者たちがギルドで祝杯を挙げ、ゴブリンスレイヤーやギルドからの報酬を手にする中、自らの本来の願望として「冒険者になりたいんだと思う」と語るゴブリンスレイヤーに、女神官は兜を取ってほしいと願う。それに応えてゴブリンスレイヤーが兜を脱ぐと、周りの冒険者たちは祝杯を放り出して彼の素顔を一目見ようと集まってくる。 |
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 [235] | 備考 |
---|---|---|---|---|
2018年10月7日 - 12月30日 | 日曜 0:30 - 1:00(土曜深夜) | AT-X | 日本全域 | 製作参加 / CS放送 / リピート放送あり |
日曜 1:30 - 2:00(土曜深夜) | TOKYO MX | 東京都 | ||
サンテレビ | 兵庫県 | |||
BS11 | 日本全域 | BS放送 / 『ANIME+』枠 |
配信開始日 | 配信時間 | 配信サイト |
---|---|---|
2018年10月7日 | 日曜 1:30 - 2:00(土曜深夜) | |
日曜 1:30(土曜深夜) 更新 | ||
2018年10月9日 | 火曜 0:00(月曜深夜) 更新 | Netflix |
火曜 12:00 更新 | ||
火曜 更新 |
|
|
2018年10月11日 | 木曜 12:00 更新 | ふらっと動画 |
不明 | 不明 | Hulu |
BD / DVD
巻 | 発売日[236] | 収録話 | 規格品番 | ||
---|---|---|---|---|---|
BD限定版 | BD通常版 | DVD通常版 | |||
1 | 2019年2月20日 | 第1話 - 第4話 | BJS-81415 | JDD-81415 | |
2 | 2019年3月20日 | 第5話 - 第8話 | BJS-81416 | JDD-81416 | |
3 | 2019年4月17日 | 第9話 - 第12話 | BJS-81417 | JDD-81417 | |
OVA | 2020年7月29日 | -GOBLIN'S CROWN- | BJSL‐81630 | BJS‐81630 | JDD‐81630 |
ゴブリンスレイヤーTRPG
この節の加筆が望まれています。 |
2019年5月15日にSBクリエイティブが発売。ソード・ワールドシリーズなどで知られるグループSNEが開発を担当。
原作における魔法の強力性とその発動可能数の制約、ならびにランダムだがキャラ作成段階での全魔法のいずれかが習得可能、「継戦カウンター」という疲労度によるリスクと即時回復手段(スタミナポーションなど)などのシステムが盛り込まれている。なお当作においては、登場人物の肩書の様な名前など、原作に縛られないようにPC・GMの判断で難易度・設定の適宜調整が出来るようになっている(例をあげると前述の名前は固有名詞を付けてもよいなど)。
同年8月には原作者の蝸牛くもが参加したリプレイが、GA文庫より発売。
- ゴブリンスレイヤーTRPGリプレイ 死と罠の街ランサペール
2020年1月29日には、4Gamer.netの企画としてリプレイ動画連載を全12回の予定で開始。リプレイの模様はYoutubeおよびニコニコ動画で公開されている。
スマートフォンゲーム
- ゴブリンスレイヤー THE ENDLESS REVENGE
スマートフォン向けゲームアプリとして、Android版が2019年12月28日、iOS版が2020年1月1日に、SHOWGATEより配信開始。4人のパーティーを編成し、スワイプとタップの操作でゴブリンを倒す爽快アクションRPG。原作者監修の元、制作されたゲームオリジナルキャラも登場する。基本プレイ無料のアイテム課金制。
脚注
注釈
- ^ 兜の側面にあしらわれていた「飾り角」が折れたままになっているが、鉱人道士は狭い洞窟内でも動き易いよう配慮した、対ゴブリンに特化した装備と高く評価している。[20]
- ^ ただしゴブリンではとても使いこなせないような武器や道具、例えば魔法のアイテムでもゴブリンの指には嵌まらない指輪(効果は「水中呼吸」)や、魔法の品では無いが扱い方が特殊な投げナイフならば身に帯びている。
- ^ 闇人と相対した際、接近戦の技量を「大方、第五位の紅玉――否、第六位の翠玉程度と見た!」と評されている。[21]。ただし、あくまで闇人個人による主観的評価であり、客観的事実かどうかは不明。また、想定外の事態に非常に弱かった彼に[22]本質を見抜く目があったかどうかも定かでは無い。
- ^ TRPGのプレイスタイルに照らし合わせると、和マンチと呼ばれるものに相当
- ^ ゴブリンシャーマンの体内の血を不浄と見なして真水に浄化した。[34]
- ^ 白磁等級のころから奇跡が4種類使えるのは才能ある方だと魔女は評している[39]。
- ^ アニメでは追加であいすくりんを所望していた。
- ^ アニメ版では主語と述語を区切った上で、独特のイントネーションで会話をする。
- ^ 女としては強すぎるゆえに一般男性との結婚は難しく、一党内での恋愛は不和を招きやすいなど。
- ^ それぞれにローチキラーツー、チェストバスターと名付けており、見習聖女に呆れられている。
- ^ 挿絵では白い兎の耳が生えた人間に近い獣人として描かれている。
- ^ ただし、ゴブリンチャンピオンもロードも等しく金貨一枚という落ちで、女騎士はさすがに不満であった[113]。
- ^ 一部の巻では剣豪と記される部分もある。
- ^ 外伝『鍔鳴の太刀』の作中では名前の代わりに(ゲームブック風に)「君」と称される。
- ^ 「祈る」 (Prayer) と、「プレイヤー」 (Player) のかばん語。
- ^ 自分を見逃した冒険者を背後から撲殺する、命乞いしながら毒の短剣を隠して構えるなど。
- ^ 治療の奇跡が不死の存在には強力な攻撃手段となるため。
出典
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- ^ 公式Twitterのハッシュタグから。
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- ^ “グッズ”. TVアニメ「ゴブリンスレイヤー」公式サイト. 2020年4月29日閲覧。
外部リンク
- GA文庫|「ゴブリンスレイヤー」特設サイト
- GA文庫「ゴブリンスレイヤー」公式 (@goblinslayer_ga) - X(旧Twitter)
- ゴブリンスレイヤー | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX
- ゴブリンスレイヤー:ブランニュー・デイ | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX
- ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX
- ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》 ガンガンONLINE | SQUARE ENIX
- TVアニメ「ゴブリンスレイヤー」公式サイト
- ゴブリンスレイヤー THE ENDLESS REVENGE公式サイト