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2020年8月30日 (日) 21:56時点における版
レキシントン(Lexington)は、アメリカ合衆国ケンタッキー州中央部、ブルーグラス地方(Bluegrass region)と呼ばれる地域に位置する工業都市。地域の中心都市で、ルイビル市に次いで市域・都市圏とも州第2の都市である。人口は268,080人(2005年、アメリカ合衆国統計局推計)。北西約35kmに位置する州都フランクフォートと共にレキシントン・フランクフォート・リッチモンド大都市圏を形成する。レキシントン大都市圏全体では人口40万人を超える。レキシントン大都市圏に周辺7郡を加えた広域大都市圏では635,547人を数える(2005年推計)。
レキシントンおよびその周辺は競走馬の生産で広く知られている。また、工業が盛んで州の特産物であるバーボン・ウイスキーなどの醸造を始め、食肉、機械、化学など多様な業種が揃う。1775年に町が創設され、1832年に市制施行。1974年にはフェーエット郡と合併してレキシントン・フェーエット統合市郡(consolidated city-county)となった。
また、レキシントンはケンタッキー大学(University of Kentucky)、トランシルバニア大学(Transylvania University)をはじめとする14校の大学の所在地で、学術都市としての性格も見せる。ケンタッキー大学は男子バスケットボールの名門として知られ、これまでNBAに多数の人材を輩出してきた。また、同校はハリウッド女優、アシュレー・ジャドの出身校である。
歴史
レキシントンは1775年、バージニア植民地の野営地として創設された。ウィリアム・マッコーネル(William McConnell)に率いられた開拓者の一行がエルクホーン川(Elkhorn Creek)の分流点に野営地を設けた。同年4月19日、独立戦争の戦いのひとつ、レキシントン・コンコードの戦いでの勝利を耳にすると、野営地の名は戦場となったマサチューセッツ州レキシントンにちなんでレキシントンと改名された。しかし、周辺のネイティブ・アメリカンたちによる攻撃のおそれがあったことから、常住のための町の建設開始は4年遅れた。1779年にロバート・パターソン大佐(Robert Patterson)率いる25名の一行がこの地に防塞を建設した。その3年後、1782年には州議会での議決により、レキシントンがバージニア州の正式な町となった。1792年にはバージニア州から分離独立する形でレキシントンを含む州西部がケンタッキー州として州に昇格した。
1820年頃には、レキシントンはアルゲイニー山地(Allegheny Mountains)の西側で最大で、最も裕福な町のひとつになった。文化水準も高かったことから、レキシントンは「西のアテネ」という別名を持つようになっていた。レキシントンの初期の有名な住民としては、地元実業家のジョン・ウェスレー・ハント(John Wesley Hunt)が挙げられる。ハントはアルゲイニー山地の西側では初の億万長者であった。1832年にはレキシントンは市に昇格した。
南北戦争前のケンタッキー州は奴隷州であり、レキシントンにも大量の黒人奴隷が労働に従事させられていた。1850年には、州の人口の1/5が奴隷であり、レキシントンはケンタッキー州最大の奴隷人口を抱えていた。しかし南北戦争においては、ケンタッキー州は中立の立場を取った。当時のアメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンとアメリカ連合国大統領ジェファーソン・デービスは両者ともケンタッキー州出身で、レキシントンに地縁がある。デービスは1823-24年にかけてレキシントンのトランシルバニア大学に在籍していた。リンカーンの妻、メアリー・トッド・リンカーン(Mary Todd Lincoln)はレキシントン出身であり、1842年に結婚したのち、幾度もこのレキシントンを夫婦で訪れていた。
1935年、レキシントンに中毒リサーチセンター(Addiction Research Center)と呼ばれる全米最初の麻薬中毒更生施設がつくられた。[1].
1974年、レキシントンは属していたフェーエット郡と行政統合し、レキシントン・フェーエット郡市となった。
地理
レキシントン・フェーエット郡市は、ケンタッキー州中央部のブルーグラス地方に位置している。フェーエット郡の面積は733km²(283mi²)である。この地域は自然の美しさ、肥沃な土壌、優れた牧草地、牧場で知られる。また、何本もの小川がこの地域を源とし、ケンタッキー川(Kentucky River)に合流する。ケンタッキー川はオハイオ川、ひいてはミシシッピ川に合流し、遠くニューオーリンズの下流でメキシコ湾に注ぐ。
気候
レキシントンの年間平均気温は摂氏13度(華氏54.9度)、年間降水量は1,392mmである。四季折々の変化に富んだ気候で、暑さ、寒さ、雨、風、雪のいずれも長く続くことはない。アメリカ合衆国東部の多くの都市同様、ケッペンの気候区分ではCfa(温暖湿潤気候)に属する。
レキシントンは春の花粉症にかかりやすい都市の全米ワースト1とされている。[2] ちなみに州内のルイビルはワースト4位である。
経済
レキシントンは古くから競走馬の生産とタバコ産業によって支えられてきた。しかし1950年以降産業の多様化が進み、工業と大学を中心とする経済に変わっていった。市内にはケンタッキー大学をはじめとする3校の州立大学を含めて14校の大学が存在し、市の重要な雇用主となっている。
企業のフォーチュン500では、ゼロックス(2013年の従業員数:3000人)、プリンターメーカーのレックスマークインターナショナル(本社および工場、2800人)、ロッキード・マーティン(1705人)、IBM(552人[1])がある。またアマゾン.com、ゼネラル・エレクトリック、トヨタ自動車、ユナイテッド・パーセル・サービスといったいくつかの大企業もレキシントンに拠点を置いている。
ケンタッキー州の消費税率は6%である。日用品は課税対象外となる。ホテルの宿泊料にはさらに6%のホテル税が上乗せされる。
交通
レキシントンの玄関口となる空港は、ブルーグラス空港である。主要航空会社のハブ空港からの直行便があるほか、乗り継ぎ便を利用して全米約100都市から航空路によるアクセスが可能である。
- 現地2006年8月27日午前6時(日本時間同日午後7時)ごろ、ブルーグラス空港からジョージア州アトランタに向かったコミューター便(コムエアー(デルタ航空の子会社)5191便)が離陸直後に墜落する事故が発生、日本人2人を含む49人の死亡を確認(コムエアー5191便墜落事故)。
レキシントンでは2本の州間高速道路、I-64とI-75が交わる。I-64は市の北東を環状道路のように通っている。セントルイスとバージニア州を結ぶ高速道路で、ケンタッキー州内においては州の最大都市ルイビルとレキシントンを結ぶ重要な道路である。I-75はミシガン州とフロリダ州を結んで南北に走る幹線で、デトロイト・シンシナティ・アトランタ・タンパなど主要都市へと通じ、フロリダ州フォートローダーデールでI-95に合流する。
グレイハウンドのバスターミナルがあり、ルイビルやシンシナティをはじめ、セントルイスやノックスビルなど主要都市へのバスの便がある。アムトラックの駅はない。
公共交通機関としては、レックストラン(LexTran)の運営する路線バスがレキシントン市内およびフェーエット郡内を広くカバーしている。レックストランはレキシントン市とフェーエット郡が共同で運営している合弁の交通局である。
メディア
レキシントンの主要な新聞はレキシントン・ヘラルド・リーダー紙(Lexington Herald-Leader)である。このほか、週刊のACE Weekly紙や月刊のNougat Magazine紙[3]がレキシントンのニュースを伝えている。ケンタッキー大学の新聞、KY Kernel紙[4]も学内で読まれている。
主要テレビ局各社がレキシントンに支局を置いている。また、AM3局、FM16局のラジオ局を市内に有している。
名所
- ケンタッキー航空博物館(Aviation Museum of Kentucky)
- アシュランド・ヘンリー・クレイ・エステート(Ashland: The Henry Clay Estate)
- ヘッドレイ・ホイットニー博物館(The Headley-Whitney Museum)
- ハント・モーガン・ハウス(The Hunt-Morgan House)
- キーンランド競馬場(Keeneland)
- ケンタッキー・ホース・パーク(Kentucky Horse Park)
- マリー・トッド・リンカーン・ハウス(Mary Todd Lincoln House)
- レッドマイル・ハーネス・トラック(The Red Mile Harness Track)
- サザン・ライツ(Southern Lights) - 11月18日~12月31日の期間限定
- ケンタッキー大学野球博物館(UK Basketball Museum)
- ウエーブランド州立史跡(Waveland State Historic Site)
- レキシントン墓地(Lexington Cemetery)
- ケンタッキー大学/レキシントン・フェーエット郡市植物園(University of Kentucky/Lexington-Fayette Urban County Government Arboretum)
- ラップ・アリーナ(Rupp Arena) - ケンタッキー大学の男子バスケットボールチームがホームの試合を開催している。
- マコーネル・スプリングス(McConnell Springs)
- レキシントン歴史センター(Lexington History Center)
人口動勢
基礎データ
- 人口: 260,512人
- 世帯数: 108,288世帯
- 家族数: 62,915家族
- 人口密度: 353.5人/km²(915.6人/mi²)
- 住居数: 116,167軒
- 住居密度: 157.6軒/km²(408.3軒/mi²)
同年の推計では、7郡にまたがる都市圏の人口は424,778人である。また、同市は2005年に形成されたレキシントン・フランクフォート・リッチモンド大都市圏の中心都市である。[5]
人種別人口構成
- 白人: 81.04%
- アフリカン・アメリカン: 13.48%
- ネイティブ・アメリカン: 0.19%
- アジア人: 2.46%
- 太平洋諸島系: 0.03%
- その他の人種: 1.21%
- 混血: 1.58%
- ヒスパニック・ラテン系: 3.29%
年齢別人口構成
- 18歳未満: 21.3%
- 18-24歳: 14.6%
- 25-44歳: 33.2%
- 45-64歳: 20.9%
- 65歳以上: 10.0%
- 年齢の中央値: 33歳
- 性比(女性100人あたり男性の人口)
- 総人口: 96.5
- 18歳以上: 94.3
世帯と家族(対世帯数)
- 18歳未満の子供がいる: 27.3%
- 結婚・同居している世帯: 43.5%
- 未婚・離婚女性が世帯主である世帯: 11.5%
- 非家族世帯: 41.9%
- 単身世帯: 31.7%
- 65歳以上の老人1人暮らし: 7.5%
- 平均構成人数
- 世帯: 2.29人
- 家族: 2.90人
収入と家計
- 収入の中央値
- 世帯: 39,813米ドル
- 家族: 58,677米ドル
- 性別
- 男性: 36,166米ドル
- 女性: 26,964米ドル
- 人口1人あたり収入: 23,109米ドル
- 貧困線以下
- 対人口: 12.9%
- 対家族数: 8.2%
- 18歳未満: 14.3%
- 65歳以上: 8.6%
宗教
レキシントンには230棟のキリスト教教会、イスラム教のモスク、およびユダヤ教のシナゴーグがある。
日本との関わり
- 北海道日高郡新ひだか町がレキシントン市と姉妹都市提携を結んでいる。
- トヨタ自動車の工場がレキシントン郊外のジョージタウン(Georgetown)に立地している。トヨタに連動する形で日本の自動車部品関連企業など300社近くが進出し、日本人が1000人程度(2007年)居住しているといわれている。日本人が多いエリアは市南部。 だいたいTatesCreekとHalloads間でMan-o-War近くが多い。日本食材店「ひばり」や大型ショッピングモール「ファイエットモール」が近所にあるためだと考えられる。 このため市北部郊外のトヨタ工場に通う日本人は比較的長い通勤時間を課せられることになる。
姉妹都市
脚注
- ^ かつてはIBM Typewriter、キーボードなどの工場があり、1985年には従業員数は6000人を超えていた。参照:Lex History - IBM
参考文献
- Lexington, Kentucky 8/28/2006 0:45 (UTC)
外部リンク
- Official city web page(英語版)
- Official web page of Fayette Co. Public Schools(英語版)
- Official web page of Fayette Co. Sheriff(英語版)
- 500's on the Main
- Artek Lofts(英語版)
- Main & Rose(英語版)
- Nunn Building Lofts(英語版)
- Urban Life & Style Tour 2005(英語版)
- Smiley Pete Publishing(英語版) - コミュニティの新聞
- Lexington, KY(Yahoo!Map地図)