コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「猿投山の球状花崗岩」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m Bot作業依頼: 草かんむり記事の改名に伴うリンク修正依頼2 (薭田野の菫青石仮晶) - log
65行目: 65行目:
{{Commonscat|Granito Orbicular rock on Mount Sanage}}
{{Commonscat|Granito Orbicular rock on Mount Sanage}}
* [[閃緑岩#球状閃緑岩|球状閃緑岩]]([[宮城県]][[白石市]]にある国指定天然記念物。閃緑岩の間に[[斜長石]]と[[角閃岩]]が同心円状に配列されて風化し菊花状に見える球状岩のひとつ。)
* [[閃緑岩#球状閃緑岩|球状閃緑岩]]([[宮城県]][[白石市]]にある国指定天然記念物。閃緑岩の間に[[斜長石]]と[[角閃岩]]が同心円状に配列されて風化し菊花状に見える球状岩のひとつ。)
* [[田野の菫青石仮晶]]([[京都府]][[亀岡市]]にある[[菫青石]](アイオライト)[[仮晶]]の産出地。)
* [[田野の菫青石仮晶]]([[京都府]][[亀岡市]]にある[[菫青石]](アイオライト)[[仮晶]]の産出地。)


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2020年8月17日 (月) 10:03時点における版

猿投山の球状花崗岩。河床に直径4センチから8センチほどの球体が多数並んでいる。2019年12月24日撮影。

猿投山の球状花崗岩(さなげやまのきゅうじょうかこうがん)とは、愛知県豊田市加納町および猿投町にある[† 1]、国の天然記念物に指定された、花崗岩の岩体中に含まれる球体構造[1]、いわゆる球状岩[2]の一種である[3]

花崗岩の中に直径4cmから8cmほどの藍色を帯びた球状の部分があり、球体の中心部分に有色鉱物が集まっている。この有色鉱物の多い部分と少ない部分とが交互に現れて放射状に並び、断面菊の花のように見えることから[4]、地元では古くより菊石と呼んで大切にされてきた[1][5][6]1931年昭和6年)2月20日に国の天然記念物に指定された[7]

解説

猿投山の球状花崗岩の位置(愛知県内)
猿投山の 球状花崗岩
猿投山の
球状花崗岩
猿投山の球状花崗岩の位置
指定エリアは金網で保護されている。2019年12月24日撮影。
豊田市井郷交流館図書室の菊石[† 2]。2019年12月24日撮影

猿投山(さなげやま)は愛知県豊田市瀬戸市にまたがる標高629mの山で、愛知県東北部に広がる美濃三河高原の西端付近に位置しており、周辺は愛知高原国定公園に含まれている。猿投山の球状花崗岩として国の天然記念物に指定されているのは、猿投山の山頂から南南西方向の豊田市側へ下った、広沢川上流部の渓流河床とその周辺で、標高約300メートルから350メートル付近、東海環状自動車道の猿投山トンネルの直上付近に位置している。広沢川は一級河川矢作川の3次支流にあたる小規模な河川で、最上流部の渓流沿いには「菊石・猿投七滝遊歩道」が整備されており[5]、天然記念物に指定された球状花崗岩は、乙女滝付近の遊歩道沿い河床と、右岸側斜面の露頭にあり、いずれも金網で囲まれ厳重に保護されている[6]

猿投山の球状花崗岩は、領家変成帯の伊奈川型花崗岩のひとつ猿投型花崗岩と呼ばれる花崗岩体の中にあり[1]、球体同士は決して結合せずに単体で球体を形成している[5]。この球状構造を断面で見ると、色の濃い部分と色の薄い白っぽい部分が同心円状に交互に並んでいて、球体中心部から放射状の構造も見られる[4]。色の濃いところは黒雲母を多く含み、色の薄い白っぽいところは長石石英が多い部分である[1]

こうした球状構造が形成される岩質は、塩基性の強い花崗閃緑岩であることが多く[1]マグマであった花崗岩が冷えて固まり貫入した際に、周囲の堆積岩を巻き込みながら球体を形成したものと考えられており、花崗岩の中には時々見られるが[3]、ここ猿投山のものは肉眼で確認できるほど大きくなり、かつ形状が整い美しく、多数存在するという、極めて珍しいものであるため[5]1931年昭和6年)2月20日に国の天然記念物に指定された[7]

天然記念物指定エリアは盗掘防止のため金網で厳重に囲まれ保護され、金網越しでしか球状花崗岩を見ることが出来ないが、地元では菊石と呼ばれ古くより親しまれ、猿投山の南麓の猿投村(現豊田市四郷)にある1864年元治元年)創業の浦野酒造では、猿投神社より拝受した「菊石」の名を冠した地酒が造られている[8][9]。また、豊田市井郷(いさと)交流館に併設された図書室には、旧猿投町役場の屋外に設置されていた「菊石」が2009年平成21年)に移設され展示されている[10]

交通アクセス

所在地
  • 愛知県豊田市猿投町・加納町。
交通

脚注

注釈

  1. ^ 所在地について。文化庁の国指定データベースと愛知県庁ホームページ[1]では、豊田市加納町、豊田市の公式観光サイトツーリストとよた[2]では、豊田市猿投町、また、天然記念物指定当時の文部省告示昭和6年2月20日 文部省告示第45号(参照:国立国会図書館デジタルコレクション、2コマ目)では、愛知県西加茂郡猿投村大字猿投字白瀧(現豊田市猿投町)、同大字加納字廣澤(現豊田市加納町)であるため、本記事での所在地は双方の住所を表記した。
  2. ^ 豊田市井郷コミュニティーセンター。撮影承諾済み。2019年12月24日撮影

出典

  1. ^ a b c d e 黒田(1995)、pp.999-1001。
  2. ^ 球状岩 コトバンク、2019年12月29日閲覧。
  3. ^ a b 球状花崗岩 三重県総合博物館ウェブサイト、2019年12月29日閲覧。
  4. ^ a b 文化庁文化財保護部監修(1971)、p.248。
  5. ^ a b c d 中部地質調査業協会(2016)。
  6. ^ a b 白井他(2000)、pp.58-59。
  7. ^ a b 猿投山の球状花崗岩(国指定文化財等データベース) 文化庁ウェブサイト、2019年12月29日閲覧。
  8. ^ 豊田の地酒【菊石】 浦野合資会社ホームページ、2019年12月29日閲覧。
  9. ^ 清酒『菊石』浦野合資会社 豊田市公式観光サイト ツーリズム豊田、2019年12月29日閲覧。
  10. ^ 館報 いさと 令和元年12月1日号 施設紹介10特別編 (PDF) 豊田市井郷交流館井郷地区コミュニティ会議 2019年12月29日閲覧。
  11. ^ a b 猿投山の球状花崗岩 豊田市公式観光サイト ツーリズム豊田、2019年12月29日閲覧。

参考文献・資料

  • 加藤陸奥雄他監修・黒田吉益、1995年3月20日 第1刷発行、『日本の天然記念物』、講談社 ISBN 4-06-180589-4
  • 文化庁文化財保護部監修、1971年5月10日 初版発行、『天然記念物事典』、第一法規出版
  • 白井伸昴・志賀靖二・岡田文士、2000年1月20日 第1版発行、『東海の天然記念物』、風媒社 ISBN 4-8331-0081-9
  • 身近な地質スポット 愛知県豊田市/猿投山-球状花崗岩(菊石)” (PDF). 一般社団法人中部地質調査業協会 (2016年5月9日). 2019年12月29日閲覧。

関連項目

外部リンク


座標: 北緯35度11分35.8秒 東経137度9分31.7秒 / 北緯35.193278度 東経137.158806度 / 35.193278; 137.158806