「方言字」の版間の差分
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「{{lang|zh|煲}}」、「{{lang|zh|焗}}」などは、広東語の方言字であったが、比較的近年になって中国全土で用いられるようになり、2013年の『[[通用規範漢字表]]』に採用されるに至った。 |
「{{lang|zh|煲}}」、「{{lang|zh|焗}}」などは、広東語の方言字であったが、比較的近年になって中国全土で用いられるようになり、2013年の『[[通用規範漢字表]]』に採用されるに至った。 |
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閩南語の例としては「埕」(てい、{{unicode|tiâⁿ}})があり、「場」を意する。客家語の「壢」(れき、{{unicode|lak1}})は「原」の意味。台湾には[[車テイ駅|車埕駅]]、[[ |
閩南語の例としては「埕」(てい、{{unicode|tiâⁿ}})があり、「場」を意する。客家語の「壢」(れき、{{unicode|lak1}})は「原」の意味。台湾には[[車テイ駅|車埕駅]]、[[中壢駅]]という駅がある。 |
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上海語の例では、「{{lang|zh|𠼢}}」(口偏に「強」、jian2)と書いて、値段が「安い」という意味の字や、「{{lang|zh|𠲎}}」(口偏に「伐」、va)と書く文末助詞などの例がある。 |
上海語の例では、「{{lang|zh|𠼢}}」(口偏に「強」、jian2)と書いて、値段が「安い」という意味の字や、「{{lang|zh|𠲎}}」(口偏に「伐」、va)と書く文末助詞などの例がある。 |
2020年8月16日 (日) 07:05時点における版
方言字(ほうげんじ)とは、方言を表記するために作られた文字。中国語の方言を表記するための漢字が代表的であるが、日本語の方言を表記するための国字や、中国語の方言を表記するために拡張された注音符号、ラテン文字なども使われている。
漢字 | ||||||||||||||||||||
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書体 | ||||||||||||||||||||
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字体 | ||||||||||||||||||||
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漢字文化圏 | ||||||||||||||||||||
中・日・朝・越・台・琉・新 | ||||||||||||||||||||
派生文字 | ||||||||||||||||||||
国字 方言字 則天文字 | ||||||||||||||||||||
仮名 古壮字 字喃 女書 | ||||||||||||||||||||
契丹文字 女真文字 西夏文字 | ||||||||||||||||||||
→字音 |
漢字系方言字
中国語用の方言字
中国語を表記するための漢字には、広東語、閩南語、上海語、客家語、贛語などの方言を書き表すための方言字が多くある。
中でも最も広く使用されている広東語の例を挙げると、「来る」という意味をあらわす場合、口語で「lai4」という語を用いるが、語源が同じ「來」という漢字は文語音で「loi4」と発音するので、「来る」という意味に「來」という漢字を使うと正しく読めない可能性が高い。そのため、必ず「lai4」と発音させたい場合、「lai4」と同じ発音の「黎」という字に口偏をつけた「嚟」という字を新たに作り、「来る」の意味で使用している。このように、広東語では口偏と音を表す旁(音符)を組み合わせて作られる場合が多いが、鶏卵を表す「膥」(ceon1)のように会意によって作られた方言字[1]もある。
「煲」、「焗」などは、広東語の方言字であったが、比較的近年になって中国全土で用いられるようになり、2013年の『通用規範漢字表』に採用されるに至った。
閩南語の例としては「埕」(てい、tiâⁿ)があり、「場」を意する。客家語の「壢」(れき、lak1)は「原」の意味。台湾には車埕駅、中壢駅という駅がある。
上海語の例では、「𠼢」(口偏に「強」、jian2)と書いて、値段が「安い」という意味の字や、「𠲎」(口偏に「伐」、va)と書く文末助詞などの例がある。
方言字は、市井で作られて広まったものが多く、正書法として定まっておらず、俗字と扱われる場合が多い。
日本語用の方言字
日本語においても茨城県の地名や姓に使われている「圷」(あくつ)、京都府の地名に使われている「岼」(ゆり)、岡山県の地名に使われている「逧」(さこ)、愛知県で使われている「杁」(いり)など、国字としてひとまとめにされているものも漢字圏全体からみれば日本の方言字であると考えることができる。
また、沖縄県にある名字として「𤘩宮城」(ぐしみやぎ、ぐしなーぐすく)というのがあり、この「𤘩」(ぐし:𤘩、双の下に牛)はこの他に用例がなく方言字と思われる。
方言訓
漢字の場合、同じ字を使っても、読み方が方言特有の訓読である場合がある。
例えば、台湾語では、禁止を表す語「mài」を方言字「嘜」で表すほか、既存の「勿」、「莫」などを訓読させることで表記する例がある。
日本でも沖縄県では琉球方言を書く際に、「美ら海」と書いて「ちゅらうみ」、「島人」と書いて「しまんちゅ」、地名で「西表」と書いて「いりおもて」、「城」と書いて「ぐすく、ぐしく」、「小」と書いて「ぐわー」と訓読するような例が豊富にある。ただし、日本語と同系言語の琉球語というとらえ方をすると「方言」の訓読とは言えなくなる。
漢字の地域変体
方言を書くための方言字ではないが、ある地域でのみ特異な異体字が使用される場合がある。例えば「潟」という漢字は、新潟県においては「泻」(さんずいに写と書く。常用漢字の「写」同様、横棒が右に突き出る)と書かれる頻度が高いが、他の地域ではあまり見られない[2]。「泻」は、潟でなく「瀉」の簡体字である。中国語圏で新潟は誤って「新泻」と表記されることがある。
また、中国湖北省武漢周辺では、「價(価、价)」を「伝」と書く俗字が使用されている[3]。これも他地域ではまず目にすることはない地域変種で、方言現象である。他に、方言音(訛)を基準にして、同音の部品を使うような例もある。例えば、台湾では、「讓(譲)」(ràng)を「誏」と書く俗字がある[4]。旁に使っている「良」(liáng)が、声調は違うものの、同音のためである。他の方言では音が合わないので、こういう表記になるのは台湾語地域に限られ、地方独特のものである。なお、「讓」に対応する簡体字で、「让」と旁を「上」に換えているのは、古い時代に同音字を使った名残で、現代では同音ではない。
方言用の注音符号
有声子音など、台湾語、客家語などにはあるが、標準的な中国語にない発音を表すために注音符号を拡張している方言用の字がある。例えば、有声軟口蓋破裂音([g])を表す「ㆣ」(U+31A3)などがこれに相当する。zh:台灣方言音符號を参照。
女書
中国湖南省の江永県などには「女書」と呼ばれる、漢字を崩して作られた音節文字がある。漢字と違って、同音異義の字を区別しない点で仮名と似ている。女性たちが暗号的に使い出し、継承され、広まったもので、男性には読めなかった。方言の音節に合わせて作られていることと、成年女性という社会階層のみが使用した文字であることから、方言字の一種とみることもできる。
脚注
- ^ “方言字(2)”. Yoshio Yoshida (2012年2月). 2016年11月23日閲覧。
- ^ “漢字にも「方言」 早大教授が100以上の地域文字発見”. 朝日新聞 (2007年4月16日). 2017年1月15日閲覧。
- ^ “交換略字(1) 人部4画” (2000年9月). 2017年1月15日閲覧。
- ^ “音符書換字 言部7画” (2006年5月). 2017年1月15日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 香港増補字符集に含まれる広東方言字を組み込んだMicrosoft香港のWindowsフォントダウンロードページ (Windows Vista以降はダウンロード不要)
- 方言字筆画索引(中華民国教育部国家教育研究院。中国語)
- 『漢字の写真字典』の方言字