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「四川料理」の版間の差分

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四川料理では「三椒」と呼ばれる3種類の[[香辛料]]が重用される<ref name="jetro" />。「三椒」とは辣椒([[トウガラシ|唐辛子]])・[[カホクザンショウ|花椒]]([[サンショウ|山椒]]の同属異種)・胡椒([[コショウ]])のことである<ref name="jetro" />。ただし、四川に唐辛子が伝来するのは明朝末期以降のことである(後述)<ref name="jetro" />。
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他の[[調味料]]では、[[ソラマメ]]の加工品である[[豆板醤]](トウバンジャン)、[[ダイズ|黒大豆]]の加工品である[[豆チ|豆豉]](トウチ)、[[コメ|米]]を発酵させた[[酒醸]](ジュウニヤン)などが頻繁に用いられる。[[五味]]をあわせもつ[[怪味|怪味ソース]]というものもある。
他の[[調味料]]では、[[ソラマメ]]の加工品である[[豆板醤]](トウバンジャン)、[[ダイズ|黒大豆]]の加工品である[[豆豉]](トウチ)、[[コメ|米]]を発酵させた[[酒醸]](ジュウニヤン)などが頻繁に用いられる。[[五味]]をあわせもつ[[怪味|怪味ソース]]というものもある。


このように中国の他の地方の料理に比べて[[香辛料]]を多用するが、辛い料理が多い理由として、四川の成都は[[盆地]]で湿気が多く、唐辛子に含まれる[[カプサイシン]]の効果によって発汗を促すことで健康を保つためだという説がある。スパイスを多く使う[[インド料理]]や[[タイ料理]]と同様、高温多湿の地域ならではの食の工夫がみられる。
このように中国の他の地方の料理に比べて[[香辛料]]を多用するが、辛い料理が多い理由として、四川の成都は[[盆地]]で湿気が多く、唐辛子に含まれる[[カプサイシン]]の効果によって発汗を促すことで健康を保つためだという説がある。スパイスを多く使う[[インド料理]]や[[タイ料理]]と同様、高温多湿の地域ならではの食の工夫がみられる。

2020年7月6日 (月) 21:49時点における版

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四川料理(しせんりょうり、中国語: 四川菜 Sìchuān cài川菜 Chuān cài)は、狭義には、中国四川省郷土料理。広義には、もともと四川省の一部であった重慶市はもとより、雲南省貴州省などの周辺地域をも含めた、共通する特徴をもつ郷土料理の系統を指す。

中国四大料理(ないし八大料理)の一つ[1]。中国での一般的な呼称は「川菜 チュアンツァイ、Chuān cài」。

概要

四川料理は、酸(酸味)・辣(辛味)・麻(しびれ)・苦(苦味)・甜(甘味)・香(香り)・鹹(塩味)の7つの味のうち、特に痺れるような辛さを意味する「麻辣」(マーラー málà)を味の特徴とする中華料理として知られる[1]

四川料理では「三椒」と呼ばれる3種類の香辛料が重用される[1]。「三椒」とは辣椒(唐辛子)・花椒山椒の同属異種)・胡椒(コショウ)のことである[1]。ただし、四川に唐辛子が伝来するのは明朝末期以降のことである(後述)[1]

他の調味料では、ソラマメの加工品である豆板醤(トウバンジャン)、黒大豆の加工品である豆豉(トウチ)、を発酵させた酒醸(ジュウニヤン)などが頻繁に用いられる。五味をあわせもつ怪味ソースというものもある。

このように中国の他の地方の料理に比べて香辛料を多用するが、辛い料理が多い理由として、四川の成都は盆地で湿気が多く、唐辛子に含まれるカプサイシンの効果によって発汗を促すことで健康を保つためだという説がある。スパイスを多く使うインド料理タイ料理と同様、高温多湿の地域ならではの食の工夫がみられる。

これとは逆に、宴会料理では、砂糖を大量に使った極端に甘い料理や箸休めが出されることもある。内陸という地域性を反映して海産品を食材として使うことは少なく、野菜、鳥獣肉、穀類を主体としているが、近年は冷凍食品も普及していることから、海産食材も取り入れられている。

なお、4千とも6千ともいわれる四川料理のうち3〜4割は特段辛味をもつ料理ではないといわれている[1]

四川省の中でも成都を本場とする。四川料理は中国各地に専門店が存在しており、「正真正銘・正統派の四川料理」という意味の「正宗川味」という看板をよく見かける。なお、現在の行政区分では四川省でも、西部の山岳地域はもともとチベットが領土を有していた時代のカム、そして西北部はアムドであり、それぞれ後に四川省と青海省に分割されたものの、料理はチベット料理が主体の地域となっている。

歴史

四川料理の形式が形成されたのは始皇帝の時代から三国時代にかけてといわれている[1]。三国時代には、食材の選択や切り方、調味料の使用、調理時間、調理方法などがほぼ出来上がった[1]の時代には宮廷にも知られるようになり中華料理の中で重要なものになっていったといわれている[1]

ただし、四川に唐辛子が伝来するのは明朝末期から清朝の初頭にかけてで、それまで四川料理は辛みを特徴とする料理ではなかった[1]。もともと四川はサトウキビ栽培をはじめとする砂糖生産が盛んで、特に唐から宋の時代にかけて四川では甘いものが好まれたといわれている[1]。さらに元から明の時代にかけて四川南部の自貢で製塩が盛んになり次第に濃い味付けに変化したといわれている[1]

代表料理

麻婆豆腐
担担麺
辣子鶏
宮保鶏丁
魚香肉絲

福建料理広東料理が先に広まり、ついで満洲料理(東北料理中国語版)が広まっていた日本においては、戦後まで四川料理へのなじみは薄かったが、東京で四川料理店を開いた陳建民NHKの料理番組『きょうの料理』で日本人の口に合い、入手しやすい材料に代えるなどの工夫を加えた料理を紹介したことにより、日本各地に四川料理が広まった。これらの料理の中には、辛さが抑えられているだけではなく、キャベツ入りの回鍋肉や汁ラーメン式の担担麺など、オリジナルの四川料理に比べて大きなアレンジが加えられているものもある。以下は、陳建民のレシピによって日本に広まった料理で、四川系ではない中華料理店でもメニューに加えられているほどポピュラーなものとなっている。料理名はいずれも中国語の呼び名がそのまま使われている。

他に、次のようなものも中華圏では有名である。

トピック

火鍋

四川料理の火鍋(四川火鍋)は辛味のあるスープと辛味のないスープの2種類からなる一般的なものから、地元で食べられている辛いスープだけのものなどがあり特徴的な料理として知られる[1]

夜明砂のスープ

世界の最たる珍味として四川料理に「の目玉のスープ(夜明砂のスープ)」という料理があるとされ、それはコウモリのたくさんいる洞窟で蚊を食べるコウモリの排泄物を採取し、それを水で洗うと小さな眼玉だけは、固いキチン質なので消化されずに残っていて、それを裏ごしで集めてスープ仕立てにした料理で、風味やコリコリとした食感の絶品だとされている。

実在の漢方薬(生薬)の一種に「夜明砂」(ヤメイシャ 中国古典には「蝙蝠屎也 食蚊 砂皆蚊眼 故治目疾」『本草備要[2]、「蝙蝠食蚊而眼不化 其屎為夜明砂」『醫方集解』、「夜明砂 是蚊被蝙蝠食後所化之糞 蚊食人血 蝙蝠食蚊 故糞能去血」『血証論』とある)がある。「蚊の目玉のスープ」は、夜明砂を使って作ったスープであるの「夜明菜心湯」、「夜明谷精湯」などのことと推測されるものの、夜明砂で作った四川料理は存在するかどうか疑わしい[3]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 4.食 四川料理”. 日本貿易振興機構. 2020年2月11日閲覧。
  2. ^ Chinese Text Project 本草備要
  3. ^ *「蚊の目玉のスープ」存在調査顛末記渡部亮次郎

外部リンク

関連項目