「窪田空穂賞」の版間の差分
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2020年6月18日 (木) 12:11時点における版
早稲田大学国文学会窪田空穂賞(わせだだいがくこくぶんがっかいくぼたうつほしょう)は、早稲田大学国文学会が設けている、日本文学研究に対して与えられる学会賞。学内学会でありながら、多くの著名な日本文学者を輩出していることで知られる。窪田空穂賞、早稲田大学国文学会賞、空穂賞とも。
沿革
1968年(昭和43年)、早稲田大学教授・窪田空穂の遺族より早稲田大学国文学会へ多額の寄付が寄せられ、この寄付を空穂先生記念事業基金として活用することが決まった。その記念事業の一部として、早稲田大学国文学会窪田空穂賞が設置された。受賞基準は、「学部卒業後約10年位までの研究者で、学会に印刷によって発表された論文・著書のうち、もっとも優れたもの1編(原則)」である[1]。ただし、複数の研究成果を「~の研究」として受賞対象とすることが多い。
受賞者
受賞年度 | 受賞者 | 受賞対象 |
---|---|---|
1968年度(第1回) | 堀切実 | 各務支考の研究 |
杉野要吉 | 堀辰雄・中野重治の研究 | |
1969年度(第2回) | 松野陽一 | 千載和歌集に関する研究 |
1970年度(第3回) | 中野三敏 | 近世中期文学の研究 |
1971年度(第4回) | 雲英末雄 | 貞門談林俳諧の研究 |
町田栄 | 志賀直哉の研究 | |
1972年度(第5回) | 該当者なし | |
1973年度(第6回) | 復本一郎 | 「芭蕉における「さび」の構造」 |
1974年度(第7回) | 該当者なし | |
1975年度(第8回) | 該当者なし | |
1976年度(第9回) | 日下力 | 金比羅本『平治物語』の研究 |
1977年度(第10回) | 該当者なし | |
1978年度(第11回) | 菅谷廣美 | 『修辞及華文』の研究 |
徳田武 | 読本の研究 | |
竹本幹夫 | 能の演出史の研究 | |
1979年度(第12回) | 関口安義 | 豊島与志雄研究 |
1980年度(第13回) | 小峯和明 | 今昔物語集天竺部の研究 |
三田村雅子 | 枕草子の研究 | |
1981年度(第14回) | 加藤定彦 | 初期俳諧における季語・季寄の研究 |
1982年度(第15回) | 渡辺秀夫 | 平安朝初期散文と漢詩文の研究 |
1983年度(第16回) | 三宅晶子 | 能の作者別脚本構造の研究 |
中嶋隆 | 西村本の書誌的研究 | |
1984年度(第17回) | 石川一 | 『拾玉集』伝本研究 |
1985年度(第18回) | 高橋世織 | 大正期文学の研究―朔太郎・春夫・浩二など |
吉田茂 | 『四条宮下野集 注釈と研究』 | |
1986年度(第19回) | 棚橋正博 | 黄表紙の研究 |
吉原浩人 | 八幡縁起の研究 | |
1987年度(第20回) | 該当者なし | |
1988年度(第21回) | 坂本清恵 | 近松浄瑠璃における胡麻章の研究 |
1989年度(第22回) | 吉井(小森)美弥子 | 源氏物語の研究 |
前田雅之 | 今昔物語集の構造に関する研究 | |
1990年度(第23回) | 野中哲照 | 保元物語の研究 |
佐藤勝明 | 天和期蕉門の研究 | |
1991年度(第24回) | 小野恭晴 | 中世歌謡の研究 |
池澤一郎 | 大田南畝を中心とする近世漢詩文の研究 | |
1992年度(第25回) | 今井明 | 藤原定家を中心とする中世和歌・歌学の研究 |
倉員正江 | 浮世草子を中心とする近世小説の研究 | |
1993年度(第26回) | 上野順子 | 新古今時代和歌の研究 |
十重田裕一 | 横光利一における映画的方法の研究 | |
1994年度(第27回) | 浅田徹 | 平安後期和歌に関する研究 |
今野真二 | 中世国語資料を対象とした表記史的研究 | |
1995年度(第28回) | 該当者なし | |
1996年度(第29回) | 河野貴美子 | 日本霊異記と中国の伝承についての研究 |
菊池真 | 平安時代散文作品における歴史意識の研究 | |
井上和人 | 西沢一風の研究 | |
1997年度(第30回) | 井上優 | 森鷗外研究―小説生成の磁場と表現方法をめぐる考察― |
1998年度(第31回) | 該当者なし | |
1999年度(第32回) | 該当者なし | |
2000年度(第33回) | 藤巻和宏 | 長谷寺・室生寺縁起をめぐる研究 |
井田太郞 | 酒井抱一の研究 | |
2001年度(第34回) | 寺島徹 | 暁台の研究 |
2002年度(第35回) | 平田英夫 | 神仏をめぐる中世和歌の研究 |
土屋有里子 | 『沙石集』の翻刻と研究 | |
2003年度(第36回) | 土佐秀里 | 上代和歌の研究 |
永田英理 | 俳諧の研究 | |
2004年度(第37回) | 金子俊之 | 『奥の細道』研究 |
名木橋忠大 | 立原道造研究 | |
2005年度(第38回) | 該当者なし | |
2006年度(第39回) | 小村宏史 | 古代神話の研究 |
藤巻(田中)尚子 | 三国志享受の研究 | |
2007年度(第40回) | 山本亮介 | 横光利一の研究 |
平浩一 | 昭和初年代の文学状況の研究 | |
2008年度(第41回) | 伊藤剣 | 風土記の編纂と叙述の研究 |
2009年度(第42回) | 錺武彦 | 鎌倉中期和歌に関する研究 |
小財陽平 | 菅茶山を中心とする近世漢詩文の研究 | |
2010年度(第43回) | 黒川桃子 | 広瀬淡窓を中心とする近世後期漢詩人の研究 |
2011年度(第44回) | 該当者なし | |
2012年度(第45回) | 滝口明祥 | 井伏鱒二研究 |
2013年度(第46回) | 該当者なし | |
2014年度(第47回) | 有馬義貴 | 源氏物語と物語文学教材の研究 |
位田将司 | 横光利一の文学理論及び創作の研究 | |
2015年度(第48回) | 山中悠希 | 堺本を中心とした『枕草子』の研究 |
2016年度(第49回) | 長田和也 | 戯作の研究 |
2017年度(第50回) | 小林賢太 | 平安後期私家集の研究 |
滝澤みか | 流布本『保元物語』『平治物語』の研究 | |
2018年度(第51回) | 柳川響 | 「藤原頼長の研究」 |
脚注
- ^ 早稲田大学国文科「空穂賞設立される」『わせだ国文ニュース』第12巻、早稲田大学国文学会、1968年12月、10頁。