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「関西共通語」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2014年7月}}
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'''関西共通語'''(かんさいきょうつうご)とは近年均質化しつつある[[近畿方言]]のことで、[[近畿地方]]の広範囲で用いられる地域共通語。「関西共通語」「関西標準語」「関西弁共通語」など名称は確立していないが、その概念はできあがりつつある。
'''関西共通語'''(かんさいきょうつうご)とは近年{{いつ|date=yyyy年m月}}均質化しつつある[[近畿方言]]のことで、[[近畿地方]]の広範囲で用いられる地域共通語。「関西共通語」「関西標準語」「関西弁共通語」など名称は確立していないが、その概念はできあがりつつ{{どうやって|具体的に=|date=yyyy年m月}}ある。


== 概要==
== 概要==
近畿地方の方言は「関西弁」とひとくくりにされやすいが、他地方と同様に近畿地方内部でも地域ごとに特徴ある異なった方言が存在する<ref>{{Cite journal|author=ロング・ダニエル|year=1992|title=日本語教育における「方言教育」の問題点|journal=日本語教育|volume=76|page=46-54}}</ref>。ところが現在の[[京阪神]]とその周辺では、若年層を中心に各方言の特徴が均質化しつつある。
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近畿方言は以前からある程度の共通性を持ってきた。これは大阪・京都の周辺地域への強い文化的・経済的影響力に由来するものだが、例えば「行けへん」は大阪では「行かない」、京都では「行けない」と意味が変わるなど、誤解を生む場面がどうしてもある。そのような方言の違いによる誤解は現代の活発な人的交流の妨げとなり、ビジネス的な要因からも互いの共通言語が必要となる。通常であればそうした場面(とりわけビジネス環境)では全国共通語([[標準語]])が用いられることが多いが、近畿地方では方言は矯正されるべきだとの考えが他地方と比べて弱く、方言を利用する方がさまざまなコミュニケーションの場面において不利益よりもむしろ利益となることがある。また[[在阪テレビジョン放送局|在阪局]]を中心とする[[広域放送|近畿地方の広域放送圏]]では、漫才などの演芸文化に支えられ、ローカルバラエティ番組などで全国共通語や各地の近畿方言が混合した大阪弁を多用する。そうした背景が、全国共通語(もしくは[[首都圏方言]])でもなく、誤解を生む旧来の方言でもない、関西共通語を生んだ要因の一つとして考えられる。
近畿方言は以前{{いつ|date=yyyy年m月}}からある程度の共通性を持ってきた。<s>これは</s>大阪・京都の周辺地域への強い文化的・経済的影響力に由来するものだが、<s>例えば</s>「行けへん」は大阪では「行かない」、京都では「行けない」と意味が変わる<s>など</s>、誤解を生む場面が<s>どうしても</s>ある。<s>そのような</s>方言の違いによる誤解は現代の活発な人的交流の妨げとなり、ビジネス的な要因からも互いの共通言語が必要となる。通常であれば<s>そうした</s>場面<s>(とりわけビジネス環境)</s>では全国共通語<s>([[標準語]])</s>が用いられることが多いが、近畿地方では方言は矯正されるべきだとの考え{{誰|date=2020年6月11日 (木) 15:47 (UTC)}}が他地方と比べて弱く、方言を利用する方がさまざまなコミュニケーションの場面において不利益よりもむしろ利益となることがある。<s>また</s>[[在阪テレビジョン放送局|在阪局]]を中心とする[[広域放送|近畿地方の広域放送圏]]では、漫才などの演芸文化に支えられ、ローカルバラエティ番組などで全国共通語や各地の近畿方言が混合した大阪弁を多用する。<s>そうした</s>背景が、全国共通語(もしくは[[首都圏方言]])でもなく、誤解を生む旧来の方言でもない、関西共通語を生んだ要因の一つとして考え{{誰|date=2020年6月11日 (木) 15:47 (UTC)}}られる。


== 関西共通語の例 ==
== 関西共通語の例 ==
以下「大阪では」などと言う場合、「元来大阪方言的な表現が使われていた地域では」のような意味とする。
以下「大阪では」<s>など</s>と言う場合、「元来大阪方言的な表現が使われていた地域では」の<s>ような</s>意味とする。
* 「来る」の否定形は大阪では「けえへん」、京都では「きいひん」(どちらも「きやへん」の転)と2種類あるが、共通語「来ない」の影響を受けた「こおへん」が若年層を中心に使われ始めている。元は神戸方面から広まり出したという。
* 「来る」の否定形は大阪では「けえへん」、京都では「きいひん」(どちらも「きやへん」の転)と2種類あるが、共通語「来ない」の影響を受けた「こおへん」が若年層を中心に使われ始めている。元は神戸方面から広まり出したという。
* 神戸では尊敬語表現に「て(や)」(例:行ってや 行ってです)を用い、大阪や京都の「はる」(例:行かはる 行かはります)と対比されてきたが、現在では神戸でも「はる」を用いる者が増えている。<ref name="osaka-u">{{Cite journal |和書 |author = 中井精一 |authorlink = 中井精一 |title = 関西共通語化の現状 : 大阪型待遇表現形式の伝播をめぐって |date = 1992-03 |publisher = 大阪大学文学部日本学科(言語系) |journal = 阪大日本語研究 |volume = 4 |issn = 09162135 |ncid = AN10106606 |pages = 17-32 |url = http://hdl.handle.net/11094/4150 |ref = harv}}</ref>
* 神戸では尊敬語表現に「て(や)」(例:行ってや 行ってです)を用い、大阪や京都の「はる」(例:行かはる 行かはります)と対比されてきたが、現在では神戸でも「はる」を用いる者が増えている。<ref name="osaka-u">{{Cite journal |和書 |author = 中井精一 |authorlink = 中井精一 |title = 関西共通語化の現状 : 大阪型待遇表現形式の伝播をめぐって |date = 1992-03 |publisher = 大阪大学文学部日本学科(言語系) |journal = 阪大日本語研究 |volume = 4 |issn = 09162135 |ncid = AN10106606 |pages = 17-32 |url = http://hdl.handle.net/11094/4150 |ref = harv}}</ref>
*京都では尊敬語表現の「はる」を身内や動物等共通語では通常敬語を用いられない対象に用いられるが、現在では京都でも目上の人にのみ「はる」を用いる者が増えている
*京都では尊敬語表現の「はる」を身内や動物等共通語では通常敬語を用いられない対象に用いられるが、現在{{いつ|date=yyyy年m月}}では京都でも目上の人にのみ「はる」を用いる者が増えている
* 前述の「行けへん」に関して、元来「行かない」を「行けへん」というのが大阪的ではあるが、実際は大阪では「行けへん」と「行かへん」のどちらの表現も使われるので、京都的な表現と衝突しない後者が優勢になりつつある。なお非関西の方言話者からすれば単に「ない」を「へん」に変えた京都の表現のほうが理解されやすいことも、こちらが優勢になる一因となっている。なお、無論これらは「行く」に特有ではなく五段動詞全般の話である。
* 前述の「行けへん」に関して、元来「行かない」を「行けへん」というのが大阪的ではあるが、実際は大阪では「行けへん」と「行かへん」のどちらの表現も使われるので、京都的な表現と衝突しない後者が優勢になりつつある{{いつ|date=yyyy年m月}}<s>なお</s>非関西の方言話者からすれば単に「ない」を「へん」に変えた京都の表現のほうが理解されやすいことも、<s>こちらが</s>優勢になる一因となっている。<s>なお</s>、無論これらは「行く」に特有ではなく五段動詞全般の話<s>である</s>
** 太字が元来の形、細字が通用する形。大阪では衝突を避けた形に移行しつつある。一方、京都ではいわゆる標準語の影響もあり従来の形も根強く残っているが、「行かれへん」の形はあとから入ってきたものであり、関西共通語の形成の一環と捉えられる。
** 太字が元来の形、細字が通用する形。大阪では衝突を避けた形に移行しつつある{{いつ|date=yyyy年m月}}。一方、京都では<s>いわゆる</s>標準語の影響もあり従来の形も根強く残っているが、「行かれへん」の形はあとから入ってきたもので<s>あり</s>、関西共通語の形成の一環と捉えられる。
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!標準語!!大阪的表現!!京都的表現!!衝突を避けた形、関西共通語
!標準語!!大阪的表現!!京都的表現!!衝突を避けた形、関西共通語
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|'''行けない'''||'''行かれへん'''||'''行けへん'''<br>行かれへん||'''行かれへん'''
|'''行けない'''||'''行かれへん'''||'''行けへん'''<br>行かれへん||'''行かれへん'''
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* 京阪神などの都市部では、原因・理由を表す「さかい」が衰退する傾向にあり、共通語の「から」に取って代わられつつある。 (例)雨やさかい、傘持ってこか。 → 雨やから、傘持ってこか。
* 京阪神などの都市部では、原因・理由を表す「さかい」が衰退する傾向にあり、共通語の「から」に取って代わられつつある{{いつ|date=yyyy年m月}}。 (例)雨やさかい、傘持ってこか。 → 雨<u>やから</u>、傘持ってこか。
* 「赤くて」「悪くて」のような形容詞連用形は、元来はウ音便を伴って「あこーて」「わるーて」と言っていたが、「赤かった」「悪かった」などの過去形に影響されて、「赤かって」「悪かって」のような言い方が優勢になりつつある。
* 「赤くて」「悪くて」のような形容詞連用形は、元来はウ音便を伴って「あこーて」「わるーて」と言っていたが、「赤かった」「悪かった」などの過去形に影響されて、「赤かって」「悪かって」のような言い方が優勢になりつつある{{いつ|date=yyyy年m月}}
* 大阪では「見ない」「しない」「来ない」などの否定表現として「めえへん/みーひん」「せえへん」「けえへん/こおへん(比較的近年)」があるが、それとは別に「みやん」「しやん」「こやん」と言う者が若年層の中に現れてきている。三重県・和歌山県・奈良県などの方言が大阪へ流入したものとみられている。<ref>{{cite web
* 大阪では「見ない」「しない」「来ない」などの否定表現として「めえへん/みーひん」「せえへん」「けえへん/こおへん(比較的近年)」があるが、<s>それとは別に</s>「みやん」「しやん」「こやん」と言う者が若年層{{いつ|date=yyyy年m月}}の中に現れてきている{{いつ|date=yyyy年m月}}。三重県・和歌山県・奈良県<s>など</s>の方言が大阪へ流入したものとみられている{{誰|date=2020年6月11日 (木) 15:47 (UTC)}}。<ref>{{cite web
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| author = 鳥谷善史
| author = 鳥谷善史

2020年6月11日 (木) 15:47時点における版

関西共通語(かんさいきょうつうご)とは近年[いつ?]均質化しつつある近畿方言のことで、近畿地方の広範囲で用いられる地域共通語。「関西共通語」「関西標準語」「関西弁共通語」など名称は確立していないが、その概念はできあがりつつ[どうやって?]ある。

概要

近畿地方の方言は「関西弁」とひとくくりにされやすい[誰によって?]、他地方[どこ?]と同様に近畿地方内部[どこ?]でも地域[どこ?]ごとに特徴ある異なった方言が存在する[1]ところが現在の京阪神とその周辺では、若年層[いつ?]を中心に各方言の特徴が均質化しつつある[どうやって?]

近畿方言は以前[いつ?]からある程度の共通性を持ってきた。これは大阪・京都の周辺地域への強い文化的・経済的影響力に由来するものだが、例えば「行けへん」は大阪では「行かない」、京都では「行けない」と意味が変わるなど、誤解を生む場面がどうしてもある。そのような方言の違いによる誤解は現代の活発な人的交流の妨げとなり、ビジネス的な要因からも互いの共通言語が必要となる。通常であればそうした場面(とりわけビジネス環境)では全国共通語標準語が用いられることが多いが、近畿地方では方言は矯正されるべきだとの考え[誰?]が他地方と比べて弱く、方言を利用する方がさまざまなコミュニケーションの場面において不利益よりもむしろ利益となることがある。また在阪局を中心とする近畿地方の広域放送圏では、漫才などの演芸文化に支えられ、ローカルバラエティ番組などで全国共通語や各地の近畿方言が混合した大阪弁を多用する。そうした背景が、全国共通語(もしくは首都圏方言)でもなく、誤解を生む旧来の方言でもない、関西共通語を生んだ要因の一つとして考え[誰?]られる。

関西共通語の例

以下「大阪では」などと言う場合、「元来大阪方言的な表現が使われていた地域では」のような意味とする。

  • 「来る」の否定形は大阪では「けえへん」、京都では「きいひん」(どちらも「きやへん」の転)と2種類あるが、共通語「来ない」の影響を受けた「こおへん」が若年層を中心に使われ始めている。元は神戸方面から広まり出したという。
  • 神戸では尊敬語表現に「て(や)」(例:行ってや 行ってです)を用い、大阪や京都の「はる」(例:行かはる 行かはります)と対比されてきたが、現在では神戸でも「はる」を用いる者が増えている。[2]
  • 京都では尊敬語表現の「はる」を身内や動物等共通語では通常敬語を用いられない対象に用いられるが、現在[いつ?]では京都でも目上の人にのみ「はる」を用いる者が増えている
  • 前述の「行けへん」に関して、元来「行かない」を「行けへん」というのが大阪的ではあるが、実際は大阪では「行けへん」と「行かへん」のどちらの表現も使われるので、京都的な表現と衝突しない後者が優勢になりつつある[いつ?]なお非関西の方言話者からすれば単に「ない」を「へん」に変えた京都の表現のほうが理解されやすいことも、こちらが優勢になる一因となっている。なお、無論これらは「行く」に特有ではなく五段動詞全般の話である
    • 太字が元来の形、細字が通用する形。大阪では衝突を避けた形に移行しつつある[いつ?]。一方、京都ではいわゆる標準語の影響もあり従来の形も根強く残っているが、「行かれへん」の形はあとから入ってきたものであり、関西共通語の形成の一環と捉えられる。
標準語 大阪的表現 京都的表現 衝突を避けた形、関西共通語
行かない 行けへん
行かへん
行かへん 行かへん
行けない 行かれへん 行けへん
行かれへん
行かれへん
  • 京阪神などの都市部では、原因・理由を表す「さかい」が衰退する傾向にあり、共通語の「から」に取って代わられつつある[いつ?]。 (例)雨やさかい、傘持ってこか。 → 雨やから、傘持ってこか。
  • 「赤くて」「悪くて」のような形容詞連用形は、元来はウ音便を伴って「あこーて」「わるーて」と言っていたが、「赤かった」「悪かった」などの過去形に影響されて、「赤かって」「悪かって」のような言い方が優勢になりつつある[いつ?]
  • 大阪では「見ない」「しない」「来ない」などの否定表現として「めえへん/みーひん」「せえへん」「けえへん/こおへん(比較的近年)」があるが、それとは別に「みやん」「しやん」「こやん」と言う者が若年層[いつ?]の中に現れてきている[いつ?]。三重県・和歌山県・奈良県などの方言が大阪へ流入したものとみられている[誰?][3]

参考文献

  1. ^ ロング・ダニエル (1992). “日本語教育における「方言教育」の問題点”. 日本語教育 76: 46-54. 
  2. ^ 中井精一関西共通語化の現状 : 大阪型待遇表現形式の伝播をめぐって」『阪大日本語研究』第4巻、大阪大学文学部日本学科(言語系)、1992年3月、17-32頁、ISSN 09162135NCID AN10106606 
  3. ^ 鳥谷善史 (2014年11月25日). “リレー連載:おくにことばの底力! 第12回 大阪弁から”. WEB国語教室. 大修館書店. 2015年6月13日閲覧。

関連項目