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「著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)」の版間の差分

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{{Pathnav|知的財産権|著作権|著作権法 (アメリカ合衆国)|frame=1}}
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[[File:Oscar Wilde Sarony.jpg|thumb|Oscar Wilde Sarony|作家[[オスカー・ワイルド]]を撮影した写真の著作権侵害を巡る裁判。最高裁は1884年、この写真に著作物性を認めた{{Sfn|山本|2008|pp=52–54}}。]]
'''アメリカ合衆国著作権法の判例一覧''' ({{Lang-en|List of United States copyright case law}}) では、[[著作権法 (アメリカ合衆国)|米国著作権法]]に関連した[[判例]]のうち、特筆性のあるものを解説する。
'''アメリカ合衆国著作権法の判例一覧''' ({{Lang-en|List of United States copyright case law}}) では、[[著作権法 (アメリカ合衆国)|米国著作権法]]に関連した[[判例]]のうち、特筆性のあるものを解説する。


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2008年からの10年間を見ると、米国内で年3000件前後の著作権侵害案件が提訴されている<ref group="註">アダルト映画製作Malibu Mediaの1社だけで2012年から2016年の間に累計5000件以上提訴していることから、この5年間の総件数の上振れ特殊要因となっている。</ref>。特にメディア・エンターテイメント業界が集積する[[カリフォルニア州]] (C.D. Cal. およびN.D. Cal.) と[[ニューヨーク州]] (S.D. N.Y. およびE.D. N.Y.) の件数が多い<ref name=BloombergBNA>{{Cite web |url=https://www.bna.com/patent-copyright-lawsuit-n73014449878/ |title=Patent, Copyright Lawsuit Volumes Fall in 2016 |last=Nayak |first=Malathi |publisher=[[Bloomberg]] BNA |date=2017-01-17 |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=SyracuseU>{{Cite web |url=https://trac.syr.edu/tracreports/civil/483/ |title=Fewer Copyright Infringement Lawsuits Filed |publisher=[[シラキューズ大学]] |date=2017-09-29 |accessdate=2019-05-13}}</ref>。
2008年からの10年間を見ると、米国内で年3000件前後の著作権侵害案件が提訴されている<ref group="註">アダルト映画製作Malibu Mediaの1社だけで2012年から2016年の間に累計5000件以上提訴していることから、この5年間の総件数の上振れ特殊要因となっている。</ref>。特にメディア・エンターテイメント業界が集積する[[カリフォルニア州]] (C.D. Cal. およびN.D. Cal.) と[[ニューヨーク州]] (S.D. N.Y. およびE.D. N.Y.) の件数が多い<ref name=BloombergBNA>{{Cite web |url=https://www.bna.com/patent-copyright-lawsuit-n73014449878/ |title=Patent, Copyright Lawsuit Volumes Fall in 2016 |last=Nayak |first=Malathi |publisher=[[Bloomberg]] BNA |date=2017-01-17 |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=SyracuseU>{{Cite web |url=https://trac.syr.edu/tracreports/civil/483/ |title=Fewer Copyright Infringement Lawsuits Filed |publisher=[[シラキューズ大学]] |date=2017-09-29 |accessdate=2019-05-13}}</ref>。


判例の多い争点として、[[フェアユース]] (fair use、公正利用) が挙げられる。一般的には、著作権者に無断で著作物を第三者が利用した場合、著作権侵害となる。しかし合衆国法典第17編[http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section107&num=0&edition=prelim 第107条]に基づき「批評、解説、ニュース報道、教育、研究または調査」などの利用シーンで
米国著作権法に特徴的な判例として、[[フェアユース]] (fair use、公正利用) が挙げられる{{Sfn|作花|2018|pp=853&ndash;870}}。一般的には、著作権者に無断で著作物を第三者が利用した場合、著作権侵害となる。しかし合衆国法典第17編[http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section107&num=0&edition=prelim 第107条]に基づき「批評、解説、ニュース報道、教育、研究または調査」などの利用シーンで
#「使用の目的」(非営利の教育など)
#「使用の目的・性質」(非営利の教育など)
#「著作物の内容」
#「著作物の内容」
#「量・質の両側面から著作物が使用された割合」
#「量・質の両側面から著作物が用された割合」
#「使用によって著作物の市場価値にどの程度影響を及ぼすか」
#「用によって著作物の市場価値にどの程度影響を及ぼすか (市場代替性)
の4基準などを総合的に考慮して、著作権侵害に当たらないフェアユースであると判示されることがある。このうち第1基準については、原著作物を利用したいわゆる[[パロディ#パロディに対する法的取り扱い|パロディ]]の著作権侵害を巡って、被告側がフェアユースで抗弁することもある。これは第1基準で「{{仮リンク|変形的利用|en|Transformativeness}}」(transformative use、transformativeness) が認められているからである。
の4基準などを総合的に考慮して、著作権侵害に当たらないフェアユースであると判示されることがある。第1基準については、原著作物を利用したいわゆる[[パロディ#パロディに対する法的取り扱い|パロディ]]などの著作権侵害を巡って、被告側がフェアユースで抗弁することもある。これは第1基準で「{{仮リンク|変形的利用|en|Transformativeness}}」(transformative use、transformativeness) が認められているからである{{Sfn|山本|2008|pp=113&ndash;114}}


4基準のうち、第1基準の変形的利用、および第4基準の市場代替性の2点セットが他基準に優先して重視されているとの指摘がある。これは、元となった著作物とは異なる目的に変形されることで、元の著作物と市場で競合して経済的利益を損ねることなく併存できるためである。つまり、第1基準で営利活動だと認められても、変形度が高く第4基準に影響しなければ、フェアユース判定されることがある{{Sfn|作花|2018|p=854}}(例: 「[[#キャンベル対アカフ・ローズ・ミュージック裁判]]」など)。
フェアユース以外では、著作権の保護対象物の定義を問う判例もある。その代表例が、[[特許権]]や[[商標権]]などの[[産業財産権]]と、著作権とを線引きする「[[アイディア・表現二分論]]」である。産業財産権は、産業の発展のためのアイディア・思想そのものを強い独占性で保護する。一方アイディアそのものではなく、その文化的で創的な表現を対象に緩い排他性で保護するのが著作権である。しかし米国著作権法では、産業的・実用的コンピュタ・プログラムなども著作権範疇で論じられがあり、アイディアと表現境界線にグレゾーンが存在する。


フェアユース以外では、著作権の保護対象物の定義を問う判例もある。その代表例が、[[特許権]]や[[商標権]]などの[[産業財産権]]と、著作権とを線引きする「[[アイディア・表現二分論]]」である。産業財産権は、産業の発展のためのアイディア・思想を強い独占性で保護する。一方アイディアそのものではなく、その文化的で創的な表現を対象に緩い排他性で保護するのが著作権である (例: 「[[#ベーカー対セルデン裁判]]」など)。しかし実際には、アイディアと表現が一体化していて切り離せいケあり、表現に著作権の独占を認めると、その大元となるアイディアまで独占され、産業発展が阻害されうる。このようなケースで「[[マジ理論]]」で抗弁することもある (例: 「[[#モリシー対P&G裁判]]」、「[[#サイエントロジー対ラーマ裁判]]」など)
判例の年代別に見ると、米国著作権法には大きな転換期が3度ある。1度目は1891年制定・同年施行の国際著作権改正法 (International Copyright Act of 1891) である。これにより、米国内で流通する国際著作物も米国著作権法の保護対象となり、海賊出版時代が終焉を迎えた。2度目は1976年制定の改正法 (Copyright Act of 1976) が施行開始となった1978年1月である。当改正法によって未発表の著作物であっても著作権保護の対象となったほか、フェアユースの概念が初めて成文化された。3度目の転換期は1998年10月制定・同年施行の[[デジタルミレニアム著作権法]] (通称DMCA) である。DMCAによりデジタル著作物に対する著作権侵害の罰則と免責が明文化された。インターネットの普及によりデジタル著作物が国際的に容易に流通するようになったため、大規模な著作権侵害の訴訟に発展しやすい。

判例の年代別に見ると、米国連邦著作権法にはいくつか転換期がある。
{{Seealso|著作権法の歴史 (アメリカ合衆国)}}
{{Seealso|著作権法の歴史 (アメリカ合衆国)}}
* 1891年制定・同年施行の国際著作権改正法 (International Copyright Act of 1891、通称: チェース法) -- 米国内で流通する国際著作物も米国著作権法の保護対象となり、米国裁判所の取り扱う案件の幅が広がった (例: 日英米にまたぐ「[[#データイースト対エピックス裁判]]」、タイから米への逆輸入で争った「[[#カートサン対ワイリー裁判]]」など)。
* 1976年制定・1978年1月施行の改正法 (Copyright Act of 1976) -- 未発表の著作物であっても連邦法下で著作権保護の対象となったほか、フェアユースの概念が初めて成文化された{{Sfn|作花|2018|p=853}}。
* 1998年10月制定・同年施行の[[デジタルミレニアム著作権法]] (通称: DMCA) -- デジタル著作物に対する著作権侵害の罰則と免責が明文化された。インターネットの普及によりデジタル著作物が国際的に容易に流通するようになったため、大規模な著作権侵害の訴訟に発展しやすい (例: 「[[#全米作家協会他対Google裁判]]」、約1兆円の損害賠償を請求した「[[#Oracle対Google裁判]]」など)。


== 判例の読み方 ==
== 判例の読み方 ==
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* 二審の[[合衆国控訴裁判所]] (連邦控訴裁)
* 二審の[[合衆国控訴裁判所]] (連邦控訴裁)
* 三審の[[合衆国最高裁判所]] (連邦最高裁)
* 三審の[[合衆国最高裁判所]] (連邦最高裁)
で構成されている。なお、米国著作権法には州法も一部存在していることから、これらは[[州裁判所 (アメリカ合衆国)|州裁判所]]の管轄となるが、特筆性の観点から州裁判所の判例が引用されることは少ない。
で構成されている。なお、米国著作権法には州法も一部存在していることから、これらは[[州裁判所 (アメリカ合衆国)|州裁判所]]の管轄となるが、特筆性の観点から州裁判所の判例が引用されることは少ない{{Refnest|group="註"|州政府の作成した法令や判例集が著作権保護の対象となるか問われた判例が一部存在する{{Sfn|山本|2008|p=34}}。}}


判例名は一般的に「原告名 (著作権者) v. 被告名」で記されるが、被告が二審や三審に[[上訴]]した場合は、原告名と被告名の順が逆転して表記されるため注意が必要である{{Refnest|group="註"|例えば最高裁の判例 (2001年) ''New York Times Co. v. Tasini'' (正式名は''The New York Times Company, Inc., et al., Petitioners v. Jonathan Tasini, et al.'') の場合<ref name=Justia-Tasini-2001>{{Cite web |url=https://supreme.justia.com/cases/federal/us/533/483/ |title=New York Times Co. v. Tasini, 533 U.S. 483 (2001) |publisher=Justia |accessdate=2019-05-06}}</ref>、著作権者を代表して{{仮リンク|ジョナサン・タシーニ|en|Jonathan Tasini}}らが新聞社[[ニューヨーク・タイムズ]]などを著作権侵害で提訴している。しかし二審の合衆国控訴裁 (1997年) までは''Tasini v. New York Times Co.''と表記されている<ref name=Justia-Tasini-1997>{{Cite web |url=https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/972/804/1486523/ |title=Tasini v. New York Times Co., 972 F. Supp. 804 (S.D.N.Y. 1997) |publisher=Justia |accessdate=2019-05-06}}</ref>。その後、被告ニューヨーク・タイムズなどが二審の判決を不服として上訴したことから、最高裁での裁判名は順番が逆転している。}}。
判例名は一般的に「原告名 (著作権者) v. 被告名」で記されるが、被告が二審や三審に[[上訴]]した場合は、原告名と被告名の順が逆転して表記されるため注意が必要である{{Refnest|group="註"|例えば最高裁の判例 (2001年) ''New York Times Co. v. Tasini'' (正式名は''The New York Times Company, Inc., et al., Petitioners v. Jonathan Tasini, et al.'') の場合<ref name=Justia-Tasini-2001>{{Cite web |url=https://supreme.justia.com/cases/federal/us/533/483/ |title=New York Times Co. v. Tasini, 533 U.S. 483 (2001) |publisher=Justia |accessdate=2019-05-06}}</ref>、著作権者を代表して{{仮リンク|ジョナサン・タシーニ|en|Jonathan Tasini}}らが新聞社[[ニューヨーク・タイムズ]]などを著作権侵害で提訴している。しかし二審の合衆国控訴裁 (1997年) までは''Tasini v. New York Times Co.''と表記されている<ref name=Justia-Tasini-1997>{{Cite web |url=https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/972/804/1486523/ |title=Tasini v. New York Times Co., 972 F. Supp. 804 (S.D.N.Y. 1997) |publisher=Justia |accessdate=2019-05-06}}</ref>。その後、被告ニューヨーク・タイムズなどが二審の判決を不服として上訴したことから、最高裁での裁判名は順番が逆転している。}}。

また、過去の改正により著作権法の条文体系が大きく変更しているため、判例の年代によりその判例が引用する条文が指し示す内容が異なる点にも注意が必要である。たとえば1947年改正法以前の第25条は、1947年改正法の第101条であり、これは1976年改正法で第412および第501 – 第504条に継承されている<ref group="註">1947年以前、1947年改正法、および1976年改正法における条文対比表は[https://uscode.house.gov/tables/usctable1.htm;jsessionid=D069095EB45E6421235B672E5B8DEBFC#TITLE17 政府公式サイト]を参照のこと。</ref>。


== 連邦最高裁判所の判例 ==
== 連邦最高裁判所の判例 ==
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! style="width:16%" | 判例の通称 !! style="width:11%" | 判決年<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:9%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 判決 !! style="width:49%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
! style="width:16%" | 判例の通称 !! style="width:11%" | 判決年<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:9%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 判決 !! style="width:49%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
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| data-sort-value="Baker v. Selden"|{{Visible anchor|[[ベーカー対セルデン裁判]]}}<br>([[:en: Baker v. Selden|Baker v. Selden]]) || 1879<br>({{ussc|101|99}}) || [[アイディア・表現二分論]] || 合法 || 書籍で紹介した[[簿記]]の手法が酷似。簿記の手法そのものに独占性を主張するには、特許を取得しなければならず、手法そのものは著作性がないと判示された。同様に新薬や耕作用具の論文も文字による表現は著作物だが、発明の新規性は特許法の範疇だと例示され、後の国内外の判例に多大な影響を与えたリーディング・ケース。 || {{Sfn|山本隆司|2008|pp=12&ndash;13}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=107&ndash;111}}
| data-sort-value="Baker v. Selden"|{{Visible anchor|[[ベーカー対セルデン裁判]]}}<br>([[:en: Baker v. Selden|Baker v. Selden]]) || 1879<br>({{ussc|101|99}}) || [[アイディア・表現二分論]] || 合法 || 書籍で紹介した[[簿記]]の手法が酷似。簿記の手法に対して独占性を主張するには、特許を取得しなければならず、手法そのものは著作性がないと判示された。同様に新薬や耕作用具の論文も文字による表現は著作物だが、発明の新規性は特許法の範疇だと例示され、後の国内外の判例に多大な影響を与えたリーディング・ケース。 || {{Sfn|山本|2008|pp=12&ndash;13}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=107&ndash;111}}
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| data-sort-value="Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony"|{{Visible anchor|[[バローガイルズ・リトグラフィック対サロニー裁判]]}}<br>([[:en: Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony|Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony]]) || 1884<br>({{ussc|111|53}}) || 写真の保護要件 || 違法 || 作家[[オスカー・ワイルド]]を被写体にした写真が無断で[[リトグラフ]]化されたことから、写真家{{仮リンク|ナポレオン・サロニー|en|Napoleon Sarony}}がリトグラフ販売事業者を提訴した。最高裁は被写体のポーズ、衣装、装飾品、明暗などの選択は、写真家の創造的な選択・配置であると指摘し、写真の著作権保護を認めた。なお、米国著作権法は1865年の法改正で写真を保護対象に追加{{Sfn|山本|2008|p=22}}している。 || {{Sfn|山本|2008|pp=52&ndash;54}}
| data-sort-value="Mazer v. Stein"|{{Visible anchor|[[メイザー対ステイン裁判]]}}<br>([[:en: Mazer v. Stein|Mazer v. Stein]]) || 1954<br>({{Ussc|347|201}}) || アイディア・表現二分論 || 違法 || 実用品デザインの著作権保護を巡るリーディング・ケース。原告の卓上ランプの台には、[[バリ島]]のダンサー男女の像が用いられていたことから、実用品の「機能」面でのランプには著作権性はないが、ダンサー像には「表現」の著作権性があるとして、卓上ランプの模倣が著作権侵害と判定された。本件以降も、旧式電話機型の鉛筆削り、犬形の貯金箱、繊維製品のグラフィックデザインに著作権性が認められる判決が続いている<ref group="註">鉛筆削りはTed Arnold Ltd. v. Silvercraft Co. (259 F.Supp 733 (S.D.N.Y. 1956))、貯金箱はRoyalty Designs, Inc. v. Thrifticheck Serv. Corp. (204 F.Supp 702 (S.D.N.Y. 1962))、繊維製品はPeter Pan Fabrics, Inc. v. Martin Weiner Corp. (274 F.2d 489 (2nd Cir. 1960)) などが挙げられる。</ref>。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=164&ndash;166}}
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| data-sort-value="Bleistein v. Donaldson Lithographing Co."|{{Visible anchor|[[ブライシュタイン対ドナルドソン・リトグラフィング裁判]]}}<br>([[:en: Bleistein v. Donaldson Lithographing Co.|Bleistein v. Donaldson Lithographing Co.]]) || 1903<br>({{ussc|188|239}}, 251) || [[応用美術]]の保護要件 || 違法 || サーカスの広告用に多色石版刷りされたポスターが無断複製され、このポスターが著作権保護の対象かが問われた。ポスターに描かれたのは実在する人物であり、実際のサーカスでよく見られる情景であった。当判決以前は著作権の保護要件に審美性 (aesthetic merit) を求める判決も存在したものの、当判決によって審美性は保護要件とならないと判示された。ただしこの原則は実用品には適用されず、審美性の質を主観的に判断して保護要件に含めうる余地を残している。 || {{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|p=193}}
| data-sort-value="Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc."|{{Visible anchor|[[ソニー・アメリカ他対ユニバーサル・シティ・スタジオ他裁判]]}}<br>([[:en: Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.|Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.]]) || 1984<br>({{ussc|464|417}}) || フェアユース第3・第4基準 || 合法 || 通称「[[ベータマックス#その他|ベータマックス]]訴訟」。テレビ番組の家庭用録画機器ベータマックスなどの合法性が問われた。著作物 (番組) 全量を複製しているにも関わらずフェアユースが認められたレアケース。利用者の多くが家庭での使用であり、後日視聴 (time-shifting) を目的としていることから、録画が番組著作権者の収益に影響を及ぼさないと判示された。21世紀に入ってからはインターネット視聴や音楽などのファイル共有ソフトウェアなどを巡って類似訴訟が発生しており、度々ベータマックス訴訟が引き合いに出される。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[シェルドン対メトロ・ゴールドウィン・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp.|Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp.]]) || 1940<br>({{ussc|309|390}}) || [[アイディア・表現二分論]] (物語)、{{仮リンク|3ステップ・テスト|label=抽象化テスト|en|Abstraction-Filtration-Comparison test#Abstraction}} || 違法 || {{仮リンク|エドワード・シェルドン (劇作家)|label=エドワード・シェルドン|en|Edward Sheldon}}脚本『{{仮リンク|Dishonored Lady|en|Dishonored Lady}}』は実在の殺人事件被疑者{{仮リンク|マデリン・スミス|en|Madeleine Smith}}を題材にした作品。[[MGM|メトロ・ゴールドウィン]] (現MGM) がシェルドンとの間で映画化権の交渉を行うも決裂したことから、同じ題材の別小説を原作として映画『[[令嬢殺人事件]]』を製作した。これを受け、シェルドンが映画の差止と損害賠償 (興行収入のシェア) を求めて提訴した。物語の[[プロット]]はアイディアに過ぎないが、人物関係や情景設定と情景描写、詳細な出来事などはアイディアの「表現」だとし、損害賠償金額の算出対象を絞り込んだ。また[https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/81/49/1475281/ 二審]では抽象化テストを用いたことでも知られる。抽象化テストの手法を確立した「[[#ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判]]」(1930年) も参照のこと。 || {{Sfn|山本|2008|p=52}}{{Sfn|McGee|2005|pp=104&ndash;105}}
| data-sort-value="Harper & Row v. Nation Enterprises"|{{Visible anchor|[[ハーパー & ロー対Nation誌裁判]]}}<br>([[:en: Harper & Row v. Nation Enterprises|Harper & Row v. Nation Enterprises]]) || 1985<br>({{ussc|471|539}}) || フェアユース第1・第4基準、アイディア・表現二分論 || 違法 || [[ハーパーコリンズ|ハーパー]]社が出版権を獲得して書籍化を計画していた[[ジェラルド・R・フォード|フォード元大統領]]の未発表回想録を、雑誌『Nation』が引用して先に出版した。フォード元大統領が公人であることから「公共性」を理由に被告はフェアユースで抗弁したが、公人か否かはフェアユースの判断基準外と判示された。また最初の出版権を誰が有するかを重要視された。引用されたのは元原稿20万語のうちわずか300語だったが、決定的な箇所だとの判示。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|山本隆司|2008|p=111}}{{Sfn|Leaffer|2008|p=682}}
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| data-sort-value="Mazer v. Stein"|{{Visible anchor|[[メイザー対ステイン裁判]]}}<br>([[:en: Mazer v. Stein|Mazer v. Stein]]) || 1954<br>({{Ussc|347|201}}) || アイディア・表現二分論、応用美術の保護要件 || 違法 || 実用品デザインの著作権保護を巡るリーディング・ケース。原告の卓上ランプの台には、[[バリ島]]のダンサー男女の像が用いられていたことから、実用品の「機能」面でのランプには著作権性はないが、ダンサー像には「表現」の著作権性があるとして、卓上ランプの模倣が著作権侵害と判定された。本件以降も、旧式電話機型の鉛筆削り、犬形の貯金箱、繊維製品のグラフィックデザインに著作権性が認められる判決が続いている<ref group="註">鉛筆削りはTed Arnold Ltd. v. Silvercraft Co. ([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/259/733/2293601/ 259 F.Supp 733 (S.D.N.Y. 1956)])、貯金箱はRoyalty Designs, Inc. v. Thrifticheck Serv. Corp. ([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/204/702/1417949/ 204 F.Supp 702 (S.D.N.Y. 1962)])、繊維製品はPeter Pan Fabrics, Inc. v. Martin Weiner Corp. ([https://casetext.com/case/peter-pan-fabrics-inc-v-martin-weiner-corp 274 F.2d 487 (2nd Cir. 1960)]) などが挙げられる。</ref>。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=164&ndash;166}}{{Sfn|山本|2008|pp=55&ndash;57}}
| data-sort-value="Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co."|{{Visible anchor|[[ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判]]}}<br>([[:en: Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.|Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.]]) || 1991<br>({{ussc|499|340}}) || [[アイディア・表現二分論]] (額の汗の法理) || 合法 || {{仮リンク|額の汗の法理|en|Sweat of the brow}}が最高裁で初めて否定された判決。ルーラル社は[[カンザス州]]北西の一部地域で独占営業を認められた電話サービス事業者で、加入者の電話番号を電話帳として編纂して無料配布する法令義務を負っていた。一方のファイスト社は、カンザス州広域で電話帳の発行を専業とする出版社である。ファイストがルーラルの無料電話帳から自社の発行する電話帳に電話番号を転載したことから、著作権侵害が問われた。一審と二審は侵害を認めたが、最高裁では一転し、著作権保護には単なるデータ配列 (額に汗をかいてデータ収集すること) だけでなく独自の創造性 (オリジナリティを持つ表現性) が必要だと合衆国憲法の{{仮リンク|著作権条項|en|Copyright Clause}}が解釈された結果、電話帳に著作権は認められずファイストの行為は合法と判示された。 || <ref name=Telephone-Cornell>{{Cite web |url=https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/499_US_340.htm |title=FEIST PUBLICATIONS, INC. v. RURAL TELEPHONE SERVICE CO., 499 U.S. 340 (1991) |publisher=[[コーネル大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=SfB-Ito>{{Cite web |url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8745244 |title=Feist出版社対Rural電話サービス会社 |author=伊藤博文 |work=[[豊橋創造大学]]短期大学部研究紀要. (17) |publisher=[[国立国会図書館]]デジタルコレクション |date=2000 |accessdate=2019-04-23}}</ref>
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| data-sort-value="Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc."|{{Visible anchor|[[キャンベル対アカフ・ロミューック裁判]]}}<br>([[:en: Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.|Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.]]) || 1994<br>({{ussc|510|569}}) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 合法 || 1990年公開映画『[[プリティ・ウーマン]]』[[オー・プリティ・ウーマン|主題歌]] (歌手[[ロイ・オーソン]]) を使して、[[ヒプホップ]]グループ[[ツー・ライヴ・クルー|The 2 Live Crew]]がパロディを製、25万枚のセールスを記録した。一審はフェアユース認二審は否定し、最高裁再び認定した。フェアースの定める変形的利用問わた裁判。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc."|{{Visible anchor|[[ソニー・メリ他対ユニバサルシティ・スタオ他裁判]]}}<br>([[:en: Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.|Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.]]) || 1984<br>({{ussc|464|417}}) || フェアユース第3・第4基準 || 合法 || 通称「[[ックス#そ他|ベックス]]訴訟」。テレ番組の家庭録画機器ベータマクスなど合法性が問われた。著作物 (番組) 全量製しているにも関わらずフェアユースめられたレアケース。利用者の多くが家庭での使用であり後日視聴 (time-shifting) を目的とていることから録画番組著作権者の収益に影響を及ぼさないと判示された。21世紀に入ってからはインターネット視聴や音楽などのァイル共有ソフトウェアなどを巡って類似訴訟が発生しており、度々ベタマック訴訟引き合いに出さ。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|山本|2008|pp=112&ndash;113}}
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| data-sort-value="Harper & Row v. Nation Enterprises"|{{Visible anchor|[[ハーパー & ロー対Nation誌裁判]]}}<br>([[:en: Harper & Row v. Nation Enterprises|Harper & Row v. Nation Enterprises]]) || 1985<br>({{ussc|471|539}}) || フェアユース第1・第4基準、アイディア・表現二分論 || 違法 || [[ハーパーコリンズ|ハーパー]]社が出版権を獲得して書籍化を計画していた[[ジェラルド・R・フォード|フォード元大統領]]の未発表回想録を、雑誌『Nation』が引用して先に出版した。フォード元大統領が公人であることから「公共性」を理由に被告はフェアユースで抗弁したが、公人か否かはフェアユースの判断基準外と判示された。また最初の出版権を誰が有するかを重要視された。引用されたのは元原稿20万語のうちわずか300語だったが、決定的な箇所だとの判示。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|山本|2008|p=111}}<br>{{Sfn|Leaffer|2008|p=682}}{{Sfn|作花|2018|pp=853&ndash;856}}
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| data-sort-value="Community for Creative Non-Violence v. Reid"|{{Visible anchor|[[職務著作#アメリカ合衆国|CCNV対リード裁判]]}}<br>([[:en: Community for Creative Non-Violence v. Reid|Community for Creative Non-Violence v. Reid]]) || 1989<br>({{ussc|490|730}}) || [[職務著作]] || 訴訟概要を参照 || 「職務」の要件を定義したリーディング・ケース。ホームレス問題に取り組む慈善団体の{{仮リンク|CCNV|en|Community for Creative Non-Violence}}が彫刻家リードに作品を依頼。完成した彫像は職務著作として委託者CCNVに著作権が認められるのかが問われた。当判決では{{仮リンク|代理法|en|Law of agency}}における「独立の契約者」(independent contractor) の概念が判断基準として用いられた。 || {{Sfn|山本|2008|pp=76&ndash;78}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=270&ndash;272}}<br>{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|pp=254&ndash;256}}
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| data-sort-value="Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co."|{{Visible anchor|[[ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判]]}}<br>([[:en: Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.|Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.]]) || 1991<br>({{ussc|499|340}}) || [[アイディア・表現二分論]] (額の汗の法理) || 合法 || {{仮リンク|額の汗の法理|en|Sweat of the brow}}が最高裁で初めて否定された判決。ルーラル社は[[カンザス州]]北西の一部地域で独占営業を認められた電話サービス事業者で、加入者の電話番号を電話帳として編纂して無料配布する法令義務を負っていた。一方のファイスト社は、カンザス州広域で電話帳の発行を専業とする出版社である。ファイストがルーラルの無料電話帳から自社の発行する電話帳に電話番号を転載したことから、著作権侵害が問われた。一審と二審は侵害を認めたが、最高裁では一転し、著作権保護には単なるデータ配列 (額に汗をかいてデータ収集すること) だけでなく独自の創造性 (オリジナリティを持つ表現性) が必要だと合衆国憲法の{{仮リンク|特許・著作権条項|en|Copyright Clause}}が解釈された結果、電話帳に著作権は認められずファイストの行為は合法と判示された。 || <ref name=Telephone-Cornell>{{Cite web |url=https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/499_US_340.htm |title=FEIST PUBLICATIONS, INC. v. RURAL TELEPHONE SERVICE CO., 499 U.S. 340 (1991) |publisher=[[コーネル大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=SfB-Ito>{{Cite web |url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8745244 |title=Feist出版社対Rural電話サービス会社 |author=伊藤博文 |work=[[豊橋創造大学]]短期大学部研究紀要. (17) |publisher=[[国立国会図書館]]デジタルコレクション |date=2000 |accessdate=2019-04-23}}</ref>
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| data-sort-value="Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc."|{{Visible anchor|[[キャンベル対アカフ・ローズ・ミュージック裁判]]}}<br>([[:en: Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.|Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.]]) || 1994<br>({{ussc|510|569}}) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 合法 || 1990年公開映画『[[プリティ・ウーマン]]』の[[オー・プリティ・ウーマン|主題歌]] (歌手[[ロイ・オービソン]]) を使用して、[[ヒップホップ]]グループの[[ツー・ライヴ・クルー|The 2 Live Crew]]がパロディを製作し、25万枚のセールスを記録した。一審はフェアユース認定、二審は否定し、最高裁が再び認定した。フェアユース第1基準の定める変形的利用が、同じく第1基準で例示される非営利性に勝ると解される裁判。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|山本|2008|pp=113&ndash;115}}<br>{{Sfn|作花|2018|pp=853&ndash;855}}
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| data-sort-value="Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc."|{{Visible anchor|[[ロータス・デベロップメント対ボーランド裁判]]}}<br>([[:en: Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc.|Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc.]]) || 1996<br>({{ussc|516|233}}) || 著作物の定義 || 合法 || [[ロータス・デベロップメント]] (現[[IBM]]) 製の表計算ソフト[[Lotus 1-2-3]]で使用されているコマンド469個 (コピー、印刷等) と同じものをボーランドが自社開発した表計算ソフトのメニューに組み込んだ。ロータスの既存ユーザがボーランド製に乗り換えやすくなったことから、ロータスが提訴。しかし、コマンドのメニュー体系は著作権保護の対象に当たらないと判示された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=112&ndash;114}}
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| data-sort-value="New York Times Co. v. Tasini"|{{Visible anchor|[[全米作家協会#フリーランサー訴訟|ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判]]}}<br>([[:en: New York Times Co. v. Tasini|New York Times Co. v. Tasini]]) || 2001<br>({{ussc|533|483}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#第201条|集合著作物]]、[[二次的著作物]]、[[職務著作]]、[[著作権#方式主義と無方式主義|著作物の登録]] || 違法 || 通称「フリーランサー訴訟」。[[フリーランサー]]の著作物が[[ニューヨーク・タイムズ]]などに寄稿され、それが[[レクシスネクシス]]などのオンラインデータベースに無断転載されたため、{{仮リンク|全米作家労働組合|en|National Writers Union}}のタシーニ会長らが[[集団訴訟]]を起こした。データベース化はフェアユースの定める翻案化には該当しないことから2001年に原告勝訴となった。しかし訴訟には事前に著作物の登録が必須とされている (米国著作権法第412条) ことから、和解金を受け取れなかった未登録の著作物の著作者らが別途裁判を継続し、最終的に総額1800万米ドルの和解金で2014年に決着。 || <ref name=CA1411>{{Cite web |title=米国最高裁,出版社に著者無許諾の電子化の特権を認めず |url=http://current.ndl.go.jp/ca1411 |author=越田崇夫 |work=カレントアウェアネス・ポータル |publisher=[[国立国会図書館]] |date=2001-08-20 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
| data-sort-value="New York Times Co. v. Tasini"|{{Visible anchor|[[全米作家協会#フリーランサー訴訟|ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判]]}}<br>([[:en: New York Times Co. v. Tasini|New York Times Co. v. Tasini]]) || 2001<br>({{ussc|533|483}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#第201条|集合著作物]]、[[二次的著作物]]、[[職務著作]]、[[著作権#方式主義と無方式主義|著作物の登録]] || 違法 || 通称「フリーランサー訴訟」。[[フリーランサー]]の著作物が[[ニューヨーク・タイムズ]]などに寄稿され、それが[[レクシスネクシス]]などのオンラインデータベースに無断転載されたため、{{仮リンク|全米作家労働組合|en|National Writers Union}}のタシーニ会長らが[[集団訴訟]]を起こした。データベース化はフェアユースの定める翻案化には該当しないことから2001年に原告勝訴となった。しかし訴訟には事前に著作物の登録が必須とされている (米国著作権法第412条) ことから、和解金を受け取れなかった未登録の著作物の著作者らが別途裁判を継続し、最終的に総額1800万米ドルの和解金で2014年に決着。 || <ref name=CA1411>{{Cite web |title=米国最高裁,出版社に著者無許諾の電子化の特権を認めず |url=http://current.ndl.go.jp/ca1411 |author=越田崇夫 |work=カレントアウェアネス・ポータル |publisher=[[国立国会図書館]] |date=2001-08-20 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
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| data-sort-value="Eldred v. Ashcroft"|{{Visible anchor|[[エルドレッド対アシュクロフト司法長官裁判]]}}<br>([[:en: Eldred v. Ashcroft|Eldred v. Ashcroft]]) || 2003<br>({{ussc|537|186}}) || [[著作権延長法|ソニー・ボノ著作権延長法]]の合憲性、[[永久著作権#アメリカ合衆国|永久著作権]] || 合法 || 通称「ミッキーマウス訴訟」。著作権保護期間を延長する改正立法によって著作物の社会利用が妨げられ、[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|合衆国憲法修正第1条]]が保障する表現の自由に抵触するとの主張。しかし、フェアユースによって既存著作物の翻案が認められていることから原告の主張を棄却。 || <ref name=TsukubaU>{{Cite web |url=http://coi-sec.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/pdf/survey_h27/201508.pdf |title=著作権の保護期間はどうあるべきか -- TPP交渉を契機に考える |author=新谷由紀子 |coauthor=菊本虔 |work=知財管理 Vol. 65 No. 8 |publisher=筑波大学 |date=2015 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
| data-sort-value="Eldred v. Ashcroft"|{{Visible anchor|[[エルドレッド対アシュクロフト司法長官裁判]]}}<br>([[:en: Eldred v. Ashcroft|Eldred v. Ashcroft]]) || 2003<br>({{ussc|537|186}}) || [[著作権延長法|ソニー・ボノ著作権延長法]]の合憲性、[[永久著作権#アメリカ合衆国|永久著作権]] || 合法 || 通称「ミッキーマウス訴訟」。著作権保護期間を延長する改正立法によって著作物の社会利用が妨げられ、[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|合衆国憲法修正第1条]]が保障する表現の自由に抵触するとの主張。しかし、フェアユースによって既存著作物の翻案が認められていることから原告の主張を棄却。 || <ref name=TsukubaU>{{Cite web |url=http://coi-sec.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/pdf/survey_h27/201508.pdf |title=著作権の保護期間はどうあるべきか -- TPP交渉を契機に考える |author=新谷由紀子 |coauthor=菊本虔 |work=知財管理 Vol. 65 No. 8 |publisher=筑波大学 |date=2015 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
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| data-sort-value="Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp."|{{Visible anchor|[[ダスター対20世紀フォックス裁判]]}}<br>([[:en: Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.|Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.]]) || 2003<br>({{ussc|539|23}}) || [[商標権]]と著作権の関係性 || 合法 || 元軍人・後の大統領[[ドワイト・D・アイゼンハワー|アイゼンハワー]]による戦争回想録 (1948年出版) のテレビ化権を[[20世紀フォックス]]が獲得。著作権期限切れ前に更新せず、テレビ番組は1977年にパブリックドメインに帰す。ダスター社がテレビ番組の映像を購入して複製し、{{仮リンク|パッシングオフ|label=リバース・パッシングオフ|en|Passing off}} (他者の商品を自分名義で偽って販売する「逆詐称通用」) を行った。これが{{仮リンク|ランハム法|en|Lanham Act}} (米国の連邦商標法であり、日本の[[不正競争防止法]]の要素も含む) に抵触するとしてフォックスが提訴。リバース・パッシングオフの非を認めつつも、パブリックドメインに帰していることからダスターの著作権侵害は棄却。 || <ref name=NotreDame-Dastar>{{Cite web |url=https://scholarship.law.nd.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1610&context=law_faculty_scholarship |title=Dastar's Next Stand |last=McKenna |first=Mark |publisher=[[ノートルダム大学]]ロースクール |date=2012 |accessdate=2019-05-06 |language=en}}</ref>
| data-sort-value="Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp."|{{Visible anchor|[[ダスター対20世紀フォックス裁判]]}}<br>([[:en: Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.|Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.]]) || 2003<br>({{ussc|539|23}}) || [[商標権]]と著作権の関係性 || 合法 || 元軍人・後の大統領[[ドワイト・D・アイゼンハワー|アイゼンハワー]]による戦争回想録 (1948年出版) のテレビ化権を[[20世紀フォックス]]が獲得。著作権期限切れ前に更新せず、テレビ番組は1977年にパブリックドメインに帰す。ダスター社がテレビ番組の映像を購入して複製し、{{仮リンク|パッシングオフ|label=リバース・パッシングオフ|en|Passing off}} (他者の商品を自分名義で偽って販売する「逆詐称通用」) を行った。これが{{仮リンク|ランハム法|en|Lanham Act}} (米国の連邦商標法であり、[[不正競争防止法]]の要素も含む) に抵触するとしてフォックスが提訴。リバース・パッシングオフの非を認めつつも、パブリックドメインに帰していることからダスターの著作権侵害は棄却。 || <ref name=NotreDame-Dastar>{{Cite web |url=https://scholarship.law.nd.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1610&context=law_faculty_scholarship |title=Dastar's Next Stand |last=McKenna |first=Mark |publisher=[[ノートルダム大学]]ロースクール |date=2012 |accessdate=2019-05-06 |language=en}}</ref>{{Sfn|山本|2008|pp=102&ndash;104}}
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| data-sort-value="Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd."|{{Visible anchor|[[Morpheus#モーフィアス事件(モーフィアス・グロクスター事件)|MGMスタジオ対グロクスター裁判]]}}<br>([[:en: Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.|Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.]]) || 2005<br>({{ussc|545|913}}) || 著作権侵害の技術提供者の二次責任 || 合法 || 著作権侵害の技術提供の文脈で、[[ベータマックス#その他|ベータマックス裁判]]と比較されることが多い訴訟。[[Peer-to-peer]]ファイル共有ソフトの[[Morpheus]]が著作権侵害に利用されているとして、開発会社グロクスター等を相手取り、[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]] (MGM) など計28の原告団が提訴。Morpheusの頒布者には二次責任を認めたが、その開発者の責までは問わなかった。 || <ref name=Bunka-Mitsui>{{Cite web |url=http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/chosakuken/pdf/h18_chitekizaisan_chosakenkyu.pdf |title=情報通信技術の進展に対応した海外の著作権制度について |work=文化庁委託事業: 知的財産立国に向けた著作権制度の改善に関する調査研究 |author=三井情報開発株式会社 総合研究所 |publisher=文化庁 |date=2006-03 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
| data-sort-value="Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd."|{{Visible anchor|[[Morpheus#モーフィアス事件(モーフィアス・グロクスター事件)|MGMスタジオ対グロクスター裁判]]}}<br>([[:en: Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.|Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.]]) || 2005<br>({{ussc|545|913}}) || 著作権侵害の技術提供者の二次責任 || 合法 || 著作権侵害の技術提供の文脈で、[[ベータマックス#その他|ベータマックス裁判]]と比較されることが多い訴訟。[[Peer-to-peer]]ファイル共有ソフトの[[Morpheus]]が著作権侵害に利用されているとして、開発会社グロクスター等を相手取り、[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]] (MGM) など計28の原告団が提訴。Morpheusの頒布者には二次責任を認めたが、その開発者の責までは問わなかった。 || <ref name=Bunka-Mitsui>{{Cite web |url=http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/chosakuken/pdf/h18_chitekizaisan_chosakenkyu.pdf |title=情報通信技術の進展に対応した海外の著作権制度について |work=文化庁委託事業: 知的財産立国に向けた著作権制度の改善に関する調査研究 |author=三井情報開発株式会社 総合研究所 |publisher=文化庁 |date=2006-03 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
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| data-sort-value="Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp."|{{Visible anchor|[[オメガ対コストコ裁判]]}}<br>([[:en: Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.|Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.]]) || 2010<br>({{ussc|562|40}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#消尽論|消尽論]] || 合法 || 「カートサン対ワイリー裁判」とセットで論じられることが多い。スイス高級腕時計メーカーの[[オメガ]]は正規販売ルートのみに商品を卸していたが、安価大量販売で知られる[[コストコ]]が非正規ルートでオメガの時計を入手して販売。時計デザインが著作権保護の対象であることから、オメガがコストコを提訴した。しかし米国著作権法[http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section109&num=0&edition=prelim 第109条]では、複製した商品の購入者は自由に中古売買でき、著作権者の排他的な権利は所有者まで及ばない消尽論をとっており、コストコの行為は合法と判示された。 || <ref name=Omega-Harvard>{{Cite web |url=https://h2o.law.harvard.edu/cases/4412 |title=Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp. |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref>
| data-sort-value="Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp."|{{Visible anchor|[[オメガ対コストコ裁判]]}}<br>([[:en: Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.|Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.]]) || 2010<br>({{ussc|562|40}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#消尽論|消尽論]] || 合法 || 「カートサン対ワイリー裁判」とセットで論じられることが多い。スイス高級腕時計メーカーの[[オメガ]]は正規販売ルートのみに商品を卸していたが、安価大量販売で知られる[[コストコ]]が非正規ルートでオメガの時計を入手して販売。時計デザインが著作権保護の対象であることから、オメガがコストコを提訴した。しかし米国著作権法[http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section109&num=0&edition=prelim 第109条]では、複製した商品の購入者は自由に中古売買でき、著作権者の排他的な権利は所有者まで及ばない消尽論をとっており、コストコの行為は合法と判示された。 || <ref name=Omega-Harvard>{{Cite web |url=https://h2o.law.harvard.edu/cases/4412 |title=Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp. |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Golan v. Holder"|{{Visible anchor|[[ウルグアイ・ラウンド協定法#著作権回復への異議|ゴラン対ホルダー司法長官裁判]]}}<br>([[:en: Golan v. Holder|Golan v. Holder]]) || 2012<br>({{ussc|565|302}}) || 権利回復著作物、[[ウルグアイ・ラウンド協定法]]の合憲性 || 合法 || 過去にパブリックドメインに帰していた外国著作物が、1994年制定のウルグアイ・ラウンド協定法により著作権保護対象となった (これを権利回復著作物と呼ぶ)。権利回復によって著作物の社会利用が妨げられることから、表現の自由を保障する[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|合衆国憲法修正第1条]]に反するとの主張がなされたが、合憲の判示となった。 || <ref name=Golan-Stanford>{{Cite web |url=http://cyberlaw.stanford.edu/our-work/cases/golan-v-holder |title=GOLAN V. HOLDER |publisher=[[スタンフォード大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref>
| data-sort-value="Golan v. Holder"|{{Visible anchor|[[ウルグアイ・ラウンド協定法#著作権回復への異議|ゴラン対ホルダー司法長官裁判]]}}<br>([[:en: Golan v. Holder|Golan v. Holder]]) || 2012<br>({{ussc|565|302}}) || 権利回復著作物、[[ウルグアイ・ラウンド協定法]]の合憲性 || 合法 || 過去にパブリックドメインに帰していた外国著作物が、1994年制定のウルグアイ・ラウンド協定法により著作権保護対象となった (これを権利回復著作物と呼ぶ)。権利回復によって著作物の社会利用が妨げられることから、表現の自由を保障する[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|合衆国憲法修正第1条]]に反するとの主張がなされたが、合憲の判示となった。 || <ref name=Golan-Stanford>{{Cite web |url=http://cyberlaw.stanford.edu/our-work/cases/golan-v-holder |title=GOLAN V. HOLDER |publisher=[[スタンフォード大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc."|{{Visible anchor|[[カートサン対ワイリー裁判]]}}<br>([[:en: Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.|Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.]]) || 2013<br>({{ussc|568|519}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#消尽論|消尽論]] || 合法 || [[タイ王国|タイ人]]留学生スパップ・カートサンは、学術出版大手[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ]] (略称ワイリー) の出版する教科書がタイと比べて米国で高額に販売されていると知り、タイから米国に逆輸入してオークションサイトの[[eBay]]で販売し、約120万米ドルの収益を得たとされる。第2巡回控訴裁の判決を覆す形で、最高裁はカートサン無罪の判決を下した。この判決により、米国の著作物が米国外で複製印刷・販売され、再び米国内に逆輸入した際にも、米国著作権法第109条が定める消尽論が適用されることが判示された。 || <ref name=Bunka-H27Rep/><ref name=Wiley-CNN>{{Cite web |url=https://edition.cnn.com/2012/10/26/justice/court-student-copyright/index.html |title=Supreme Court to hear arguments in case of student who resold books |trans-title=学生が中古販売した書籍を巡って最高裁が聴聞 |first=Bill |last=Mears |publisher=[[CNN]] |date=2012-10-27 |accessdate=2019-04-23 |language=en}}</ref>
| data-sort-value="Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc."|{{Visible anchor|[[カートサン対ワイリー裁判]]}}<br>([[:en: Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.|Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.]]) || 2013<br>({{ussc|568|519}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#消尽論|消尽論]] || 合法 || [[タイ王国|タイ人]]留学生スパップ・カートサンは、学術出版大手[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ]] (略称ワイリー) の出版する教科書がタイと比べて米国で高額に販売されていると知り、タイから米国に逆輸入してオークションサイトの[[eBay]]で販売し、約120万米ドルの収益を得たとされる。第2巡回控訴裁の判決を覆す形で、最高裁はカートサン無罪の判決を下した。この判決により、米国の著作物が米国外で複製印刷・販売され、再び米国内に逆輸入した際にも、米国著作権法第109条が定める消尽論が適用されることが判示された。 || <ref name=Bunka-H27Rep/><ref name=Wiley-CNN>{{Cite web |url=https://edition.cnn.com/2012/10/26/justice/court-student-copyright/index.html |title=Supreme Court to hear arguments in case of student who resold books |trans-title=学生が中古販売した書籍を巡って最高裁が聴聞 |first=Bill |last=Mears |publisher=[[CNN]] |date=2012-10-27 |accessdate=2019-04-23 |language=en}}</ref>
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| data-sort-value="Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc."|{{Visible anchor|[[ペトレラ対MGM裁判]]}}<br>([[:en: Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.|Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.]]) || 2014<br>({{ussc|572|12-1315}}) || [[懈怠 (法学)#英米法における懈怠 (laches) の法理|ラッチェスの法理]] || 訴訟概要を参照 || プロボクサーの[[ジェイク・ラモッタ]]の自伝に基づき、ラモッタと友人ペトレラが脚本2版と小説本をそれぞれ執筆した。後に[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGM]]傘下[[ユナイテッド・アーティスツ]]が映画化権を獲得して『[[レイジング・ブル]]』を1980年に製作・公開。ペトレラの相続人は1991年、脚本の旧版のみ著作権期限更新を行ったが、脚本の新版と小説本は更新を怠った。1997年にペトレラの相続人はMGMが著作権侵害だと訴え、後に訴訟へと発展した。<br>米国著作権法では民事訴訟は発生から3年以内の提訴が認められている (いわゆる出訴制限)。また判例では「ラッチェス抗弁」(懈怠の法理) が一部認められる。これは原告が出訴を遅らせることで不当に損害請求額を積み増してはならないとする考え方である。従来はラッチェスの法理は損害賠償請求のみに適用され、差止命令は適用外と解されてきたが、二審の控訴裁では差止および3年以内に発生した侵害分の損害賠償全ての原告請求を棄却した。しかし最高裁では一転し、著作権法で規定しているのは出訴制限のみで、衡平に欠く場合でなければ、原則は損害賠償や差止などの侵害救済にまでラッチェスの法理は及ばないと判示した。 || <ref name=Yamamoto-Petrella>{{Cite web |url=https://system.jrrc.or.jp/topics_info/%EF%BD%8A%EF%BD%92%EF%BD%92%EF%BD%83%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E7%AC%AC81%E5%8F%B7%EF%BC%88%E3%83%A9%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%B3%95%E7%90%86%EF%BC%89/ |title=ラチェスの法理 |publisher=公益社団法人 [[日本複製権センター]] |work=JRRCマガジン第81号 |author=山本隆司 (米国著作権法弁護士) |date=2016-11-24 |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=Stanford-Petrella>{{Cite web |url=https://fairuse.stanford.edu/case/petrella-v-metro-goldwyn-mayer-inc/ |title=Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc. |publisher=[[スタンフォード大学]]図書館 |date=2014-05-19 |accessdate=2019-05-08}}</ref><ref name=Innoventier-Petrella>{{Cite web |url=https://innoventier.com/archives/2017/06/3557 |title=特許法上の期間制限内に生じた損害賠償請求に対するラッチェス(懈怠)抗弁の適用を否定した米国連邦最高裁判所判決について |author=町野静 |publisher=イノベンティア |date=2017-06-27 |accessdate=2019-05-08}}</ref>
| data-sort-value="Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc."|{{Visible anchor|[[ペトレラ対MGM裁判]]}}<br>([[:en: Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.|Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.]]) || 2014<br>({{ussc|572|12-1315}}) || [[懈怠 (法学)#英米法における懈怠 (laches) の法理|ラッチェスの法理]] || 訴訟概要を参照 || プロボクサーの[[ジェイク・ラモッタ]]の自伝に基づき、ラモッタと友人ペトレラが脚本2版と小説本をそれぞれ執筆した。後に[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGM]]傘下[[ユナイテッド・アーティスツ]]が映画化権を獲得して『[[レイジング・ブル]]』を1980年に製作・公開。ペトレラの相続人は1991年、脚本の旧版のみ著作権期限更新を行ったが、脚本の新版と小説本は更新を怠った。1997年にペトレラの相続人はMGMが著作権侵害だと訴え、後に訴訟へと発展した。<br>米国著作権法では民事訴訟は発生から3年以内の提訴が認められている (いわゆる出訴制限)。また判例では「ラッチェス抗弁」(懈怠の法理) が一部認められる。これは原告が出訴を遅らせることで不当に損害請求額を積み増してはならないとする考え方である。従来はラッチェスの法理は損害賠償請求のみに適用され、差止命令は適用外と解されてきたが、二審の控訴裁では差止および3年以内に発生した侵害分の損害賠償全ての原告請求を棄却した。しかし最高裁では一転し、著作権法で規定しているのは出訴制限のみで、衡平に欠く場合でなければ、原則は損害賠償や差止などの侵害救済にまでラッチェスの法理は及ばないと判示した。 || <ref name=Yamamoto-Petrella>{{Cite web |url=https://system.jrrc.or.jp/topics_info/%EF%BD%8A%EF%BD%92%EF%BD%92%EF%BD%83%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E7%AC%AC81%E5%8F%B7%EF%BC%88%E3%83%A9%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%B3%95%E7%90%86%EF%BC%89/ |title=ラチェスの法理 |publisher=公益社団法人 [[日本複製権センター]] |work=JRRCマガジン第81号 |author=山本隆司 (米国著作権法弁護士) |date=2016-11-24 |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=Stanford-Petrella>{{Cite web |url=https://fairuse.stanford.edu/case/petrella-v-metro-goldwyn-mayer-inc/ |title=Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc. |publisher=[[スタンフォード大学]]図書館 |date=2014-05-19 |accessdate=2019-05-08}}</ref><br><ref name=Innoventier-Petrella>{{Cite web |url=https://innoventier.com/archives/2017/06/3557 |title=特許法上の期間制限内に生じた損害賠償請求に対するラッチェス(懈怠)抗弁の適用を否定した米国連邦最高裁判所判決について |author=町野静 |publisher=イノベンティア |date=2017-06-27 |accessdate=2019-05-08}}</ref>
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| data-sort-value="American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc."|{{Visible anchor|[[ABC対Aereo裁判]]}}<br>([[:en: American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.|American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.]]) || 2014<br>({{ussc|573|13-461}}) || 複製権、公衆実演権 || 違法 || {{仮リンク|Aereo|en|Aereo}}は各地に小型アンテナを数千基設置し、各ユーザがアンテナにインターネット経由でアクセスすることで、TV番組の見逃し配信を提供するストリーミング動画サービス。「ベータマックス訴訟」では家庭内での後日視聴が合法と判示されたことから、Aereoも同様の抗弁を行った。ベータマックスは各ユーザが個々人で複製し、家庭内で視聴していることから著作権法が定める公衆実演権を侵害していないとされる。しかしAereoの場合、各ユーザ向けに複製を行っているのはアンテナを有するAereoであることから、著作権侵害と判示された。この結果、Aereoは2014年に[[連邦倒産法第11章]]に基づき破産申請している<ref name=TechCrunch-Aereo>{{Cite web |url=https://jp.techcrunch.com/2014/11/22/20141121aereo-files-for-chapter-11-bankruptcy/ |title=Aereoが破産申請を提出 |last=Crook |first=Jordan |publisher=[[TechCrunch]] |date=2014-11-22 |accessdate=2019-05-13}}</ref>。 || <ref name=Aereo-WIPO>{{Cite web |url=https://www.wipo.int/wipo_magazine/en/2014/05/article_0003.html |last=Wasoff |first=Lois F. (マサチューセッツ州弁護士) |title=The Aereo Decision – Exploring the Implications |date=2014-09 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
| data-sort-value="American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc."|{{Visible anchor|[[ABC対Aereo裁判]]}}<br>([[:en: American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.|American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.]]) || 2014<br>({{ussc|573|13-461}}) || 複製権、公衆実演権 || 違法 || {{仮リンク|Aereo|en|Aereo}}は各地に小型アンテナを数千基設置し、各ユーザがアンテナにインターネット経由でアクセスすることで、TV番組の見逃し配信を提供するストリーミング動画サービス。「ベータマックス訴訟」では家庭内での後日視聴が合法と判示されたことから、Aereoも同様の抗弁を行った。ベータマックスは各ユーザが個々人で複製し、家庭内で視聴していることから著作権法が定める公衆実演権を侵害していないとされる。しかしAereoの場合、各ユーザ向けに複製を行っているのはアンテナを有するAereoであることから、著作権侵害と判示された。この結果、Aereoは2014年に[[連邦倒産法第11章]]に基づき破産申請している<ref name=TechCrunch-Aereo>{{Cite web |url=https://jp.techcrunch.com/2014/11/22/20141121aereo-files-for-chapter-11-bankruptcy/ |title=Aereoが破産申請を提出 |last=Crook |first=Jordan |publisher=[[TechCrunch]] |date=2014-11-22 |accessdate=2019-05-13}}</ref>。 || <ref name=Aereo-WIPO>{{Cite web |url=https://www.wipo.int/wipo_magazine/en/2014/05/article_0003.html |last=Wasoff |first=Lois F. (マサチューセッツ州弁護士) |title=The Aereo Decision – Exploring the Implications |date=2014-09 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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== 連邦下級裁判所の判例 ==
== 連邦下級裁判所の判例 ==
[[File:US Court of Appeals and District Court map.svg|thumb|連邦地方裁と連邦控訴裁の管轄マップ]]
{{Main2|一審と二審の地域対比表|:en: List of United States district and territorial courts#Active courts}}
{{Main2|一審と二審の地域対比表|:en: List of United States district and territorial courts#Active courts}}
下級裁判所の判例であっても、後の類似訴訟で引用参照されることが多いなど、研究機関や専門家が特筆性があると言及した判例に絞り、一覧化している。
下級裁判所の判例であっても、後の類似訴訟で引用参照されることが多いなど、研究機関や専門家が特筆性があると言及した判例に絞り、一覧化している。
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裁判所名に "D" が表記される場合、一審の連邦地方裁判所 (District Court) の意味である。Dの後ろには州の略称がつく (例: [[マサチューセッツ州]]連邦地方裁であれば "D. Mass")。
裁判所名に "D" が表記される場合、一審の連邦地方裁判所 (District Court) の意味である。Dの後ろには州の略称がつく (例: [[マサチューセッツ州]]連邦地方裁であれば "D. Mass")。


"Cir" は二審の合衆国控訴裁判所 (United States Courts of Appeals) の意味で、第1~11の巡回区 (Circuit) および[[ワシントンD.C.]]の計12拠点が配置されており、訴訟の発生地域ごとに区割りしている。なお控訴裁には連邦巡回区控訴裁判所もあるが、合衆国全土に関連する特許や関税など扱う案件が限られており、著作権法のみの訴訟は連邦巡回区控訴裁では取り扱われない。
"Cir" は二審の合衆国控訴裁判所 (United States Courts of Appeals) の意味で、第1-第11の巡回区 (Circuit) および[[ワシントンD.C.]]の計12拠点が配置されており、訴訟の発生地域ごとに区割りしている。なお控訴裁には連邦巡回区控訴裁判所もあるが、合衆国全土に関連する特許や関税など扱う案件が限られており、著作権法のみの訴訟は連邦巡回区控訴裁では取り扱われない。

なお、建国当初は三審の連邦最高裁判所判事が二審の連邦巡回裁判所 (Circuit Court) にも参加する形をとっていたが、1891年に二審が連邦控訴巡回裁判所 (Circuit Court of Appeals) に改組されたタイミングで、専任の裁判官のみで二審が構成されるようになった。さらに1948年、二審を第XX巡回区連邦裁判所 (Court of Appeals for the XX Circuit) に改称している{{Sfn|山本|2008|p=111}}。


=== フェアユース関連 ===
=== フェアユース関連 ===
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! style="width:18%" | 判例の通称 !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" class=unsortable | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:41%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
! style="width:18%" | 判例の通称 !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" class=unsortable | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:41%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
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| data-sort-value="Folsom v. Marsh"|{{Visible anchor|[[フォルサム対マーシュ裁判]]}}<br>([[:en: Folsom v. Marsh|Folsom v. Marsh]]) || 1841 || C.C.D. Mass.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/folsom-marsh-ccmass1841.pdf 9. F.Cas. 342]) || フェアユース第1-第4基準全て || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || フェアユースの法理を確立した米国初の判例として知られる。歴史家{{仮リンク|ジャレッド・スパークス|en|Jared Sparks}}が初代大統領[[ジョージ・ワシントン]]の書簡などの著作権を獲得し、12巻から成る『''The Writings of George Washington''』を上梓して{{仮リンク|チャールズ・フォルサム|label=フォルサム社|en|Charles Folsom}}{{Refnest|group="註"|Folsom, Wells and Thurstonが正式社名<ref name=USCO-ForlsomMarsh>{{Cite web |url=https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/folsom-marsh-ccmass1841.pdf |title=Folsom v. Marsh, 9 F. Cas. 342 (C.C.D. Mass. 1841) |publisher=[[アメリカ合衆国著作権局]] |accessdate=2019-10-23}}</ref>。}}から出版。うち2巻は『''The Life of Washington in the Form of an Autobiography''』として別途{{仮リンク|ベラ・マーシュ|label=マーシュ社|en|Bela Marsh}}{{Refnest|group="註"|Marsh, Capen and Lyonが正式社名<ref name=USCO-ForlsomMarsh/>。}}から後に出版したことから、無断転載でフォルサムが提訴した。当判決では、現代のフェアユース第107条の第1-第4基準に類似する観点が全て含まれる形で判示された。以降、1976年改正法でフェアユースが成文化されるまでの間、米国ではもっぱら司法判断に基づいてきた。|| {{Sfn|山本|2008|pp=111&ndash;112}}{{Sfn|作花|2018|p=853}}
| data-sort-value="Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm."|{{Visible anchor|[[トムソン知事対ギャレン候補裁判]]}}<br>(Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm.) || 1978 || D. N.H.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/457/957/2347248/ 457 F.Supp. 957]) || フェアユース第1・第3基準 || 音楽<br>(実演) || 合法 || [[ニューハンプシャー州]]知事選において共和党現職{{仮リンク|メルドリム・トムソン・ジュニア|en|Meldrim Thomson Jr.}}の選挙キャンペーンソング15秒分を民主党候補{{仮リンク|ヒュー・ガレン|en|Hugh Gallen}}が自身の選挙広告に流用。使用量が少なく、かつ政治討論目的のためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse>{{Cite web |title=Summaries of Fair Use Cases |url=https://fairuse.stanford.edu/overview/fair-use/cases/ |work="Getting Permission" by Richard Stim (October 2016) |publisher=[[スタンフォード大学]]図書館 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm."|{{Visible anchor|[[トムソン知事陣営対ギャレン候補陣営裁判]]}}<br>(Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm.) || 1978 || D. N.H.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/457/957/2347248/ 457 F.Supp. 957]) || フェアユース第1・第3基準 || 音楽<br>(実演) || 合法 || [[ニューハンプシャー州]]知事選において[[共和党 (アメリカ)|共和党]]現職{{仮リンク|メルドリム・トムソン・ジュニア|en|Meldrim Thomson Jr.}}の選挙キャンペーンソング15秒分を[[民主党 (アメリカ)|民主党]]候補{{仮リンク|ヒュー・ガレン|en|Hugh Gallen}}が自身の選挙広告に流用。使用量が少なく、かつ政治討論目的のためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse>{{Cite web |title=Summaries of Fair Use Cases |url=https://fairuse.stanford.edu/overview/fair-use/cases/ |work="Getting Permission" by Richard Stim (October 2016) |publisher=[[スタンフォード大学]]図書館 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co."|{{Visible anchor|[[イタリアン・ブック対ABC裁判]]}}<br>(Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co.) || 1978 || S.D. N.Y.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/458/65/1875667/ 458 F.Supp. 65]) || フェアユース第1・第3・第4基準 || 音楽<br>(テレビ) || 合法 || ニューヨークで開催されたイタリア祭を現地取材してテレビでニュース報道したところ、祭で演奏されていた楽曲まで報道映像に含まれてしまった。使用量が限定的、また収録は故意ではない、かつ作詞作曲家の潜在市場価値を毀損していないためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co."|{{Visible anchor|[[イタリアン・ブック対ABC裁判]]}}<br>(Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co.) || 1978 || S.D. N.Y.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/458/65/1875667/ 458 F.Supp. 65]) || フェアユース第1・第3・第4基準 || 音楽<br>(テレビ) || 合法 || ニューヨークで開催されたイタリア祭を現地取材してテレビでニュース報道したところ、祭で演奏されていた楽曲まで報道映像に含まれてしまった。使用量が限定的、また収録は故意ではない、かつ作詞作曲家の潜在市場価値を毀損していないためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc."|{{Visible anchor|[[リングゴールド対ブラック・エンターテイメント裁判]]}}<br>([[:en: Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.|Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.]]) || 1997 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/ringgold-blackentm%E2%80%99t-2dcir1997.pdf 126 F.3d 70]) || フェアユース第1・第2基準 || 美術<br>(テレビ) || 違法 || 原告である芸術家の教会用[[キルト]]作品がTVコメディ『{{仮リンク|ロック (テレビ番組)|label=ロック|en|Roc (TV series)}}』内の背景映像で27秒使われた。キルト作品の著名性、TV背景セット上の重要性に加え、TV業界では許諾を取る慣習が存在することから、著作権侵害が認められた。[[:en: Faith Ringgold#Copyright suit against BET]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc."|{{Visible anchor|[[リングゴールド対ブラック・エンターテイメント裁判]]}}<br>([[:en: Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.|Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.]]) || 1997 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/ringgold-blackentm%E2%80%99t-2dcir1997.pdf 126 F.3d 70]) || フェアユース第1・第2基準 || 美術<br>(テレビ) || 違法 || 原告である芸術家の教会用[[キルト]]作品がTVコメディ『{{仮リンク|ロック (テレビ番組)|label=ロック|en|Roc (TV series)}}』内の背景映像で27秒使われた。キルト作品の著名性、TV背景セット上の重要性に加え、TV業界では許諾を取る慣習が存在することから、著作権侵害が認められた。[[:en: Faith Ringgold#Copyright suit against BET]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc."|{{Visible anchor|[[ドクター・スース対ペンギン・ブックス裁判]]}}<br>(Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc.) || 1997 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/drseuss-penguinbooks-9thcir1997.pdf 109 F.3d 1394]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 元フットボール選手[[O・J・シンプソン事件|O・J・シンプソンによる殺人容疑裁判]]を、[[ドクター・スース]]の児童文学『キャット イン ザ ハット』の設定で物語る二次的著作物を巡るケース。ドクター・スースへの皮肉や悪ふざけの要素がないことからパロディとは見なされず、また非営利性および変形的利用に該当しないことから、著作権侵害の判示となった。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc."|{{Visible anchor|[[ドクター・スース対ペンギン・ブックス裁判]]}}<br>(Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc.) || 1997 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/drseuss-penguinbooks-9thcir1997.pdf 109 F.3d 1394]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 元フットボール選手[[O・J・シンプソン事件|O・J・シンプソンによる殺人容疑裁判]]を、[[ドクター・スース]]の児童文学『キャット イン ザ ハット』の設定で物語る二次的著作物を巡るケース。ドクター・スースへの皮肉や悪ふざけの要素がないことからパロディとは見なされず、また非営利性および変形的利用に該当しないことから、著作権侵害の判示となった。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|山本|2008|pp=123&ndash;124}}
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| data-sort-value="Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc."|{{Visible anchor|[[キャッスル・ロック・エンターテインメント対キャロル出版裁判]]}}<br>([[:en: Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.|Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.]]) || 1998 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/castlerock-carolpubl%E2%80%99g-2dcir1998.pdf 150 F.3d 132]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 人気コメディTV『[[となりのサインフェルド]]』のトリビアをクイズ形式で書籍にまとめて無断で出版。原著作のうち84話相当から引用し、また番組製作者の[[二次的著作物]]作成権を侵害したと判示された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc."|{{Visible anchor|[[キャッスル・ロック・エンターテインメント対キャロル出版裁判]]}}<br>([[:en: Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.|Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.]]) || 1998 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/castlerock-carolpubl%E2%80%99g-2dcir1998.pdf 150 F.3d 132]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 人気コメディTV『[[となりのサインフェルド]]』のトリビアをクイズ形式で書籍にまとめて無断で出版。原著作のうち84話相当から引用し、また番組製作者の[[二次的著作物]]作成権を侵害したと判示された。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|山本|2008|p=132}}
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| data-sort-value="Leibovitz v. Paramount Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[リーボヴィッツ対パラマウント・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.|Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.]]) || 1998 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/leibovitz-paramount-2dcir1998.pdf 137 F.3d 109]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 写真<br>(デジタル以外) || 合法 || 写真家[[アニー・リーボヴィッツ]]が妊婦姿の女優[[デミ・ムーア]]を撮影。これを映画『[[裸の銃を持つ男]] PART33 1/3 最後の侮辱』がパロディ化して映画の宣伝に利用。パロディ利用に伴うライセンス料を原告は請求したが、フェアユースとして棄却された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Leibovitz v. Paramount Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[リーボヴィッツ対パラマウント・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.|Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.]]) || 1998 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/leibovitz-paramount-2dcir1998.pdf 137 F.3d 109]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 写真<br>(デジタル以外) || 合法 || 写真家[[アニー・リーボヴィッツ]]が妊婦姿の女優[[デミ・ムーア]]を撮影。これを映画『[[裸の銃を持つ男]] PART33 1/3 最後の侮辱』がパロディ化して映画の宣伝に利用。パロディ利用に伴うライセンス料を原告は請求したが、フェアユースとして棄却された。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Kelly v. Arriba Soft Corp"|{{Visible anchor|[[ケリー他対アリバ・ソフト裁判]]}}<br>([[:en: Kelly v. Arriba Soft Corp|Kelly v. Arriba Soft Corp]]) || 2003 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/kelly-arriba-9thcir2003.pdf 336 F.3d. 811]) || フェアユース第1~第4基準全て || 画像<br>(デジタル) || 合法 || アリバ・ソフトが運営する検索エンジンが画像を収集してサムネイル表示しており、自身のウェブサイトで写真画像を有料販売していたプロ写真家ケリーの作品も含まれていた。サムネイルは画像サイズが小さく解像度も低いことから第1基準 (変形的利用) は被告有利、インターネット公開写真も著作権対象であることから第2基準は原告有利、第3基準は中立、第4基準は被告有利。総合してフェアユースが認められた。[[Perfect 10対Amazon.com事件#サムネイル]]および[[:en: Transformativeness#Arriba Soft, Perfect 10, and Authors Guild|:en: Transformativeness]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Kelly v. Arriba Soft Corp"|{{Visible anchor|[[ケリー他対アリバ・ソフト裁判]]}}<br>([[:en: Kelly v. Arriba Soft Corp|Kelly v. Arriba Soft Corp]]) || 2003 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/kelly-arriba-9thcir2003.pdf 336 F.3d. 811]) || フェアユース第1-第4基準全て || 画像<br>(デジタル) || 合法 || アリバ・ソフトが運営する検索エンジンが画像を収集してサムネイル表示しており、自身のウェブサイトで写真画像を有料販売していたプロ写真家ケリーの作品も含まれていた。サムネイルは画像サイズが小さく解像度も低いことから第1基準 (変形的利用) は被告有利、インターネット公開写真も著作権対象であることから第2基準は原告有利、第3基準は中立、第4基準は被告有利。総合してフェアユースが認められた。[[Perfect 10対Amazon.com事件#サムネイル]]および[[:en: Transformativeness#Arriba Soft, Perfect 10, and Authors Guild|:en: Transformativeness]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="BMG Music v. Gonzalez"|{{Visible anchor|[[BMGミュージック対ゴンザレス裁判]]}}<br>([[:en: BMG Music v. Gonzalez|BMG Music v. Gonzalez]]) || 2005 || 7th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/bmg-gonzalez-7thcir2005.pdf 430 F.3d 888 ]) || フェアユース第4基準 || 音楽<br>(デジタル) || 違法 || 被告女性ゴンザレスは、[[Peer to Peer]]のファイルシェア[[Kazaa]]を利用して楽曲を大量ダウンロード。後に楽曲を購入するか判断するための試聴であり、ベータマックス裁判の[[タイムシフト]] (Time-shifting、後日視聴) との類似性を持ち出して抗弁した。しかし推定ダウンロード数は1370曲、うち30曲以上は被告のハードドライブに残っていた。またiTunesなど楽曲の一部のみ視聴できる合法サービスが別に存在することから、被告の抗弁の正当性が否定された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="BMG Music v. Gonzalez"|{{Visible anchor|[[BMGミュージック対ゴンザレス裁判]]}}<br>([[:en: BMG Music v. Gonzalez|BMG Music v. Gonzalez]]) || 2005 || 7th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/bmg-gonzalez-7thcir2005.pdf 430 F.3d 888 ]) || フェアユース第4基準 || 音楽<br>(デジタル) || 違法 || 被告女性ゴンザレスは、[[Peer to Peer]]のファイルシェア[[Kazaa]]を利用して楽曲を大量ダウンロード。後に楽曲を購入するか判断するための試聴であり、ベータマックス裁判の[[タイムシフト]] (Time-shifting、後日視聴) との類似性を持ち出して抗弁した。しかし推定ダウンロード数は1370曲、うち30曲以上は被告のハードドライブに残っていた。またiTunesなど楽曲の一部のみ視聴できる合法サービスが別に存在することから、被告の抗弁の正当性が否定された。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd."|{{Visible anchor|[[ビル・グラハム・アーカイブズ対ドーリング・キンダーズレー裁判]]}}<br>([[:en: Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.|Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.]]) || 2006 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/billgraham-dorling-2dcir2006.pdf 448 F.3d 605]) || フェアユース第1・第3基準 || 画像<br>(印刷書籍) || 合法 || ロックバンドの[[グレイトフル・デッド]]のポスターを別の書籍に流用。サムネイルサイズであり、かつ経歴解説の文脈内での利用のためフェアユース判定。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd."|{{Visible anchor|[[ビル・グラハム・アーカイブズ対ドーリング・キンダーズレー裁判]]}}<br>([[:en: Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.|Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.]]) || 2006 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/billgraham-dorling-2dcir2006.pdf 448 F.3d 605]) || フェアユース第1・第3基準 || 画像<br>(印刷書籍) || 合法 || ロックバンドの[[グレイトフル・デッド]]のポスターを別の書籍に流用。サムネイルサイズであり、かつ経歴解説の文脈内での利用のためフェアユース判定。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|作花|2018|p=855}}
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| data-sort-value="Field v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[フィールド対Google事件|フィールド対Google裁判]]}}<br>([[:en: Field v. Google, Inc.|Field v. Google, Inc.]]) || 2006 || D. Nev.<br>([https://docs.justia.com/cases/federal/district-courts/nevada/nvdce/2:2004cv00413/18321/64/ 412 F.Supp.2d 1106]) || フェアユース第1基準 || 文章および画像<br>(デジタル) || 合法 || Google検索のキャッシュ表示が著作権侵害か問われた裁判。サイト運営者は任意でキャッシュON/OFF設定ができるため、Googleに非がないとして棄却された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Field v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[フィールド対Google事件|フィールド対Google裁判]]}}<br>([[:en: Field v. Google, Inc.|Field v. Google, Inc.]]) || 2006 || D. Nev.<br>([https://docs.justia.com/cases/federal/district-courts/nevada/nvdce/2:2004cv00413/18321/64/ 412 F.Supp.2d 1106]) || フェアユース第1基準 || 文章および画像<br>(デジタル) || 合法 || Google検索のキャッシュ表示が著作権侵害か問われた裁判。サイト運営者は任意でキャッシュON/OFF設定ができるため、Googleに非がないとして棄却された。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc."|{{Visible anchor|[[Perfect 10対Amazon.com事件|Perfect 10対Amazon.com他裁判]]}}<br>([[:en: Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.|Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.]]) || 2007 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/perfect10-amazon-9thcir2007.pdf 508 F.3d 1146]) || フェアユース第1・第4基準 || 画像<br>(デジタル) || 合法 || 「ケリー他対アリバ・ソフト裁判」の類似ケース。成人向け雑誌『Perfect 10』はヌード画像を有料会員に閲覧提供していたが、検索エンジンのGoogleがその画像を自動サムネイル化。またそのサムネイル画像をGoogleがAmazonに提供する業務契約を締結していたことから、Amazonの顧客も無料で画像が閲覧できる状態であったことから、Googleの行為に対し一時差止命令を請求した。サムネイルが小型・低解像であったことから変形的利用が認められ、また元サイト (Perfect 10) の出典表記とリンクによって閲覧者が誘導される仕組みであることから、損害性もないと判示された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc."|{{Visible anchor|[[Perfect 10対Amazon.com事件|Perfect 10対Amazon.com他裁判]]}}<br>([[:en: Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.|Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.]]) || 2007 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/perfect10-amazon-9thcir2007.pdf 508 F.3d 1146]) || フェアユース第1・第4基準 || 画像<br>(デジタル) || 合法 || 「ケリー他対アリバ・ソフト裁判」の類似ケース。成人向け雑誌『Perfect 10』はヌード画像を有料会員に閲覧提供していたが、検索エンジンのGoogleがその画像を自動サムネイル化。またそのサムネイル画像をGoogleがAmazonに提供する業務契約を締結していたことから、Amazonの顧客も無料で画像が閲覧できる状態であ、Googleの行為に対し一時差止命令を請求した。サムネイルが小型・低解像であったことから変形的利用が認められ、また元サイト (Perfect 10) の出典表記とリンクによって閲覧者が誘導される仕組みであることから、損害性もないと判示された。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|山本|2008|pp=127&ndash;128}}
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| data-sort-value="Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books"|{{Visible anchor|[[ワーナー・ブラザーズ対RDRブックス裁判]]}}<br>([[:en: Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books|Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books]]) || 2008 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/warnerbros-rdrbooks-sdny2008.pdf 575 F.Supp.2d 513]) || フェアユース第1基準 (二次的著作物) || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 『[[ハリー・ポッター]]』シリーズの用語などを収録した百科事典。複数シリーズの用語を1冊の事典にまとめていることから「若干の変形性」は認められたものの、逐語的な引用が多いことからフェアユースの要求水準には満たないと判示された。[[:en: Legal disputes over the Harry Potter series]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books"|{{Visible anchor|[[ワーナー・ブラザーズ対RDRブックス裁判]]}}<br>([[:en: Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books|Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books]]) || 2008 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/warnerbros-rdrbooks-sdny2008.pdf 575 F.Supp.2d 513]) || フェアユース第1基準 (二次的著作物) || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 『[[ハリー・ポッター]]』シリーズの用語などを収録した百科事典。複数シリーズの用語を1冊の事典にまとめていることから「若干の変形性」は認められたものの、逐語的な引用が多いことからフェアユースの要求水準には満たないと判示された。[[:en: Legal disputes over the Harry Potter series]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
139行目: 162行目:
| data-sort-value="Gaylord v. United States"|{{Visible anchor|[[ゲイロード対アメリカ合衆国政府裁判]]}}<br>([[:en: Gaylord v. United States|Gaylord v. United States]]) || 2010 || Fed. Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/gaylord-us-fedcir2010.pdf 595 F.3d 1364]) || フェアユース第1基準 || 美術<br>(切手印刷) || 違法 || 彫刻家{{仮リンク|フランク・ゲイロード|en|Frank Gaylord}}の作品を[[アメリカ合衆国郵便公社]] (USPS) が[[朝鮮戦争]]の記念切手に使用。一審で著作権侵害は認められたものの損害賠償は5千ドルのみ。控訴審を経て約68万5千ドルに増額。3次元の彫刻を2次元の切手にするだけでは変形的利用とは認められないと判示された。[[:en: Frank Gaylord#Career]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Gaylord v. United States"|{{Visible anchor|[[ゲイロード対アメリカ合衆国政府裁判]]}}<br>([[:en: Gaylord v. United States|Gaylord v. United States]]) || 2010 || Fed. Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/gaylord-us-fedcir2010.pdf 595 F.3d 1364]) || フェアユース第1基準 || 美術<br>(切手印刷) || 違法 || 彫刻家{{仮リンク|フランク・ゲイロード|en|Frank Gaylord}}の作品を[[アメリカ合衆国郵便公社]] (USPS) が[[朝鮮戦争]]の記念切手に使用。一審で著作権侵害は認められたものの損害賠償は5千ドルのみ。控訴審を経て約68万5千ドルに増額。3次元の彫刻を2次元の切手にするだけでは変形的利用とは認められないと判示された。[[:en: Frank Gaylord#Career]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc."|{{Visible anchor|[[Righthaven対リアリティ・ワン・グループ裁判]]}}<br>(Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc.) || 2010 || D. Nev.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/righthaven-realty-dnev2010.pdf No. 2:10-cv-LRH-PAL, 2010 WL 4115413]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || 著作権侵害が疑われる著作物の著作権を買い取って訴訟ビジネスを行ういわゆる「[[コピーライト・トロール]]」会社の[[Righthaven]]による訴訟。新聞記事冒頭8文を不動産会社がブログに転載。8文だけで記事の核心ではなく、潜在市場価値に影響しないためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc."|{{Visible anchor|[[Righthaven対リアリティ・ワン・グループ裁判]]}}<br>(Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc.) || 2010 || D. Nev.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/righthaven-realty-dnev2010.pdf No. 2:10-cv-LRH-PAL, 2010 WL 4115413])<ref group="註" name=NoRep>判例集へ未掲載のため、裁判所による訴訟管理番号を代わりに記載。</ref> || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || 著作権侵害が疑われる著作物の著作権を買い取って訴訟ビジネスを行ういわゆる「[[コピーライト・トロール]]」会社の[[Righthaven]]による訴訟。新聞記事冒頭8文を不動産会社がブログに転載。8文だけで記事の核心ではなく、潜在市場価値に影響しないためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Righthaven LLC v. JAMA"|{{Visible anchor|[[Righthaven対JAMA裁判]]}}<br>(Righthaven LLC v. JAMA) || 2011 || D. Nev.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/righthaven-jama-dnev2011.pdf No. 2:2010-cv-01322, 2011 WL 1541613]) || フェアユース第1・第4基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || 非営利団体JAMAは、警察による人種差別を指摘する目的で新聞記事を引用。[[Righthaven]]は新聞社から記事の著作権を購入した上でJAMAを提訴した。Righthavenが新聞社ではないことから、引用しても原告の潜在市場価値を損ねない。かつJAMAは非営利団体で引用目的も合致のため、フェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Righthaven LLC v. JAMA"|{{Visible anchor|[[Righthaven対JAMA裁判]]}}<br>(Righthaven LLC v. JAMA) || 2011 || D. Nev.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/righthaven-jama-dnev2011.pdf No. 2:2010-cv-01322, 2011 WL 1541613])<ref group="註" name=NoRep/> || フェアユース第1・第4基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || 非営利団体JAMAは、警察による人種差別を指摘する目的で新聞記事を引用。[[Righthaven]]は新聞社から記事の著作権を購入した上でJAMAを提訴した。Righthavenが新聞社ではないことから、引用しても原告の潜在市場価値を損ねない。かつJAMAは非営利団体で引用目的も合致のため、フェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC"|{{Visible anchor|[[Righthaven対デモクラティック・アンダーグラウンド裁判]]}}<br>([[:en: Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC|Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC]]) || 2011 || D. Nev.<br>([https://www.courtlistener.com/opinion/2117387/righthaven-llc-v-democratic-underground-llc/ 791 F. Supp. 2d 968]) || DMCA、フェアユース第3基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || オンラインの政治フォーラム "Democratic Underground" に新聞記事5文が引用された。当フォーラムは[[デジタルミレニアム著作権法]] (DMCA) の[[著作権法 (アメリカ合衆国)#インターネット関連事業者への免責|セーフハーバー条項]]適用対象であり、かつ引用量は5文のみで収益インパクトも限定的なため、フェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC"|{{Visible anchor|[[Righthaven対デモクラティック・アンダーグラウンド裁判]]}}<br>([[:en: Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC|Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC]]) || 2011 || D. Nev.<br>([https://www.courtlistener.com/opinion/2117387/righthaven-llc-v-democratic-underground-llc/ 791 F. Supp. 2d 968]) || DMCA、フェアユース第3基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || オンラインの政治フォーラム "Democratic Underground" に新聞記事5文が引用された。当フォーラムは[[デジタルミレニアム著作権法]] (DMCA) の[[著作権法 (アメリカ合衆国)#インターネット関連事業者への免責|セーフハーバー条項]]適用対象であり、かつ引用量は5文のみで収益インパクトも限定的なため、フェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
157行目: 180行目:
| data-sort-value="Fox News v. TVEyes, Inc."|{{Visible anchor|[[FOXニュース対TVEyes裁判]]}}<br>(Fox News v. TVEyes, Inc.) || 2014 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/fox-news-network-tveyes-02272018.pdf 43 F. Supp. 3d 379]) || フェアユース第1・第3・第4基準 || 映像<br>(デジタル) || 合法・違法混在 || 1400局以上のテレビやラジオのメディア報道データベース検索を提供するTVEyesは、有料会員に1クリップあたり最大10分のニュース映像を提供していた。第1基準に則り、キーワード検索や閲覧については営利目的ではあるが変形的利用が勝るとしてフェアユース判定となった。引用の質と量を計る第3基準では、10分制限でニュース全量が見られる点が指摘された。収益インパクトを問う第4基準では、会員自身のパソコンダウンロードや他者へのEmail回付機能について違法判定となった。違法機能については終局的差止命令が下された結果、TVEyesは[[FOXニュース]]の取扱を廃止決定した。[[:en: 2019 in American television#January|en: 2019 in American television (1月21日の出来事)]]も参照。 ||<ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Fox News v. TVEyes, Inc."|{{Visible anchor|[[FOXニュース対TVEyes裁判]]}}<br>(Fox News v. TVEyes, Inc.) || 2014 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/fox-news-network-tveyes-02272018.pdf 43 F. Supp. 3d 379]) || フェアユース第1・第3・第4基準 || 映像<br>(デジタル) || 合法・違法混在 || 1400局以上のテレビやラジオのメディア報道データベース検索を提供するTVEyesは、有料会員に1クリップあたり最大10分のニュース映像を提供していた。第1基準に則り、キーワード検索や閲覧については営利目的ではあるが変形的利用が勝るとしてフェアユース判定となった。引用の質と量を計る第3基準では、10分制限でニュース全量が見られる点が指摘された。収益インパクトを問う第4基準では、会員自身のパソコンダウンロードや他者へのEmail回付機能について違法判定となった。違法機能については終局的差止命令が下された結果、TVEyesは[[FOXニュース]]の取扱を廃止決定した。[[:en: 2019 in American television#January|en: 2019 in American television (1月21日の出来事)]]も参照。 ||<ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Cambridge University Press v. Patton"|{{Visible anchor|[[ケンブリッジ大学出版局他対パットン裁判]]}}<br>([[:en: Cambridge University Press v. Patton|Cambridge University Press v. Patton]]) || 2014 || 11th Cir. Ga.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/cambridgeuniv-patton-11thcir2014.pdf 769 F.3d 1232]) || フェアユース第1~第4基準全て || 文章<br>(デジタル) || 合法 (一部違法) || {{仮リンク|ジョージア州立大学|en|Georgia State University}}が{{仮リンク|コースリザーブ|en|Course reserve}}の電子システム (予習教材や参考書などをデジタル化して受講生に提供する閲覧・ダウンロードシステム) を使用して著作物を無断で大量に複製提供しているとして、[[ケンブリッジ大学出版局]]や[[オックスフォード大学出版局]]などが提訴。多くの大学がコースリザーブを提供していることから類似訴訟も後に起こっている。一審ではフェアユース第4基準 (収益インパクト) のみ原告有利だが、第1~3基準は被告有利としてフェアユースを認めた。二審では一審を覆し、再審理で一審に差戻しを命じたものの、大半はフェアユースの判示となった。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/>
| data-sort-value="Cambridge University Press v. Patton"|{{Visible anchor|[[ケンブリッジ大学出版局他対パットン裁判]]}}<br>([[:en: Cambridge University Press v. Patton|Cambridge University Press v. Patton]]) || 2014 || 11th Cir. Ga.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/cambridgeuniv-patton-11thcir2014.pdf 769 F.3d 1232]) || フェアユース第1-第4基準全て || 文章<br>(デジタル) || 合法 (一部違法) || {{仮リンク|ジョージア州立大学|en|Georgia State University}}が{{仮リンク|コースリザーブ|en|Course reserve}}の電子システム (予習教材や参考書などをデジタル化して受講生に提供する閲覧・ダウンロードシステム) を使用して著作物を無断で大量に複製提供しているとして、[[ケンブリッジ大学出版局]]や[[オックスフォード大学出版局]]などが提訴。多くの大学がコースリザーブを提供していることから類似訴訟も後に起こっている。一審ではフェアユース第4基準 (収益インパクト) のみ原告有利だが、第1~3基準は被告有利としてフェアユースを認めた。二審では一審を覆し、再審理で一審に差戻しを命じたものの、大半はフェアユースの判示となった。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/>
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| data-sort-value="Authors Guild, Inc. v. HathiTrust"|{{Visible anchor|[[ハーティトラスト#著作権問題|全米作家協会対ハーティトラスト裁判]]}}<br>([[:en: Authors Guild, Inc. v. HathiTrust|Authors Guild, Inc. v. HathiTrust]]) || 2014 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/authorsguild-hathitrust-2dcir2014.pdf 755 F.3d 87]) || フェアユース第1基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || [[全米作家協会他対Google裁判]]の類似ケース。[[ハーティトラスト]]は[[Googleブックス]]のスピンオフで図書館連携プロジェクト。蔵書アーカイブのデジタル化を行っており、著作権侵害が問われた。フェアユースの第1基準 (非営利性) に合致のため合法の判示。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Authors Guild, Inc. v. HathiTrust"|{{Visible anchor|[[ハーティトラスト#著作権問題|全米作家協会対ハーティトラスト裁判]]}}<br>([[:en: Authors Guild, Inc. v. HathiTrust|Authors Guild, Inc. v. HathiTrust]]) || 2014 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/authorsguild-hathitrust-2dcir2014.pdf 755 F.3d 87]) || フェアユース第1基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || [[全米作家協会他対Google裁判]]の類似ケース。[[ハーティトラスト]]は[[Googleブックス]]のスピンオフで図書館連携プロジェクト。蔵書アーカイブのデジタル化を行っており、著作権侵害が問われた。フェアユースの第1基準 (非営利性) に合致のため合法の判示。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|作花|2018|p=854}}
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| data-sort-value="Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. "|{{Visible anchor|[[スウォッチ対ブルームバーグ裁判]]}}<br>(Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. ) || 2014 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/swatchgrp-bloomberg-2dcir2014.pdf 742 F.3d 17]) || フェアユース第1基準 || 文章および音声<br>(ニュース報道) || 合法 || 時計メーカーである[[スウォッチ・グループ]]の役員から証券アナリストへの電話内容に収益性などの情報を含まれており、これを音声録音と文字書き起こしの形で経済メディアの[[ブルームバーグ (企業)|ブルームバーグ]]が入手して公表。投資家への情報開示・報道目的であることから、フェアユース第1基準が定める「変形的利用」をそもそも満たす必要はないとされ、音声そのままの公表はフェアユースと判示された。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/>
| data-sort-value="Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. "|{{Visible anchor|[[スウォッチ対ブルームバーグ裁判]]}}<br>(Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. ) || 2014 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/swatchgrp-bloomberg-2dcir2014.pdf 742 F.3d 17]) || フェアユース第1基準 || 文章および音声<br>(ニュース報道) || 合法 || 時計メーカーである[[スウォッチ・グループ]]の役員から証券アナリストへの電話内容に収益性などの情報を含まれており、これを音声録音と文字書き起こしの形で経済メディアの[[ブルームバーグ (企業)|ブルームバーグ]]が入手して公表。投資家への情報開示・報道目的であることから、フェアユース第1基準が定める「変形的利用」をそもそも満たす必要はないとされ、音声そのままの公表はフェアユースと判示された。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/>
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| data-sort-value="Authors Guild v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[全米作家協会他対Google裁判]]}}<br>([[:en: Authors Guild v. Google, Inc.|Authors Guild v. Google, Inc.]]) || 2015 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/authorsguild-google-2dcir2015.pdf No. 13-4829]) || [[反トラスト法]]、フェアユース第1~第4基準全て || 文章<br>(デジタル) || 合法 || [[Googleブックス]]が無断で書籍を大量デジタルスキャン。著作権者を代表して業界団体の[[全米作家協会]]らが集団訴訟を起こした。当初は裁判所も著作権侵害を認め、原告団有利の形で総額1億2500万米ドルの和解交渉を進めていたものの、最終的にフェアユース判定となった。和解によってGoogleの電子書籍市場における独占化が進行し、[[反トラスト法]] (独占禁止法) への抵触が懸念され、競合の[[マイクロソフト]]や[[Amazon]]、[[Yahoo!]]などが合従連衡で反対運動を展開したことでも知られる。終結までに約11年を要した。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/>
| data-sort-value="Authors Guild v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[全米作家協会他対Google裁判]]}}<br>([[:en: Authors Guild v. Google, Inc.|Authors Guild v. Google, Inc.]]) || 2015 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/authorsguild-google-2dcir2015.pdf No. 13-4829]) || [[反トラスト法]]、フェアユース第1-第4基準全て || 文章<br>(デジタル) || 合法 || [[Googleブックス]]が無断で書籍を大量デジタルスキャン。著作権者を代表して業界団体の[[全米作家協会]]らが集団訴訟を起こした。当初は裁判所も著作権侵害を認め、原告団有利の形で総額1億2500万米ドルの和解交渉を進めていたものの、最終的にフェアユース判定となった。和解によってGoogleの電子書籍市場における独占化が進行し、[[反トラスト法]] (独占禁止法) への抵触が懸念され、競合の[[マイクロソフト]]や[[Amazon]]、[[Yahoo!]]などが合従連衡で反対運動を展開したほか<ref name=Diamond-OpenBookAlliance>{{Cite web |title=われわれはなぜグーグル書籍検索和解案に反対するのか?~MS・ヤフー・アマゾン連合の影の立役者に聞く |url=https://diamond.jp/articles/-/1850 |author=瀧口範子 |publisher=ダイヤモンド社 |date=2009-10-16 |accessdate=2019-03-08}}</ref>、フランスとドイツ政府が米国裁判所に反対意見書を提出した<ref name=Reuters-Ger-Google>{{Cite web |url=https://www.reuters.com/article/us-google-books-idUSN0149201520090901 |title=Germany: Google book deal violates copyright law |trans-title=ドイツ政府: Googleブックスの和解案は著作権法違反 |first=Diane |last=Bartz |publisher=[[ロイター通信]] |date=2009-09-02 |accessdate=2019-07-01 |language=en}}</ref><ref name=DW-Ger-Google>{{Cite web |url=https://www.dw.com/en/germany-calls-on-us-court-to-reject-google-book-settlement/a-4619278 |title=Germany calls on US court to reject Google book settlement |trans-title=Googleブックスの和解案を却下するようドイツ政府が米裁判所に要請 |publisher=DW.com |date=2009-09-02 |accessdate=2019-07-01 |language=en}}</ref><ref name=Reuters-Fra-Google>{{Cite web |url=https://www.reuters.com/article/us-google-books-antitrust/judge-slaps-down-googles-digital-library-settlement-idUSTRE72L6D920110322 |title=Judge slaps down Google's digital library settlement |trans-title=Googleブックスの和解案を判事が却下 |first=Diane |last=Bartz |publisher=[[ロイター通信]] |date=2011-03-23 |accessdate=2019-07-01 |language=en |quote=The French government had opposed the deal but reached an agreement with Google in early 2010 to allow French works to be scanned without surrendering control of copyright. The German government opposes the deal. }}</ref>ことでも知られる。終結までに約11年を要した。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/><br>{{Sfn|作花|2018|pp=854&ndash;856}}
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| data-sort-value="Katz v. Chevaldina"|{{Visible anchor|[[カッツ対シェヴァルディーナ裁判]]}}<br>(Katz v. Chevaldina) || 2015 || 11th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/katz-google-2015.pdf No. 14-14525]) || フェアユース第1・第2基準 || 画像<br>(デジタル) || 合法 || 別名「カッツ対Google裁判」。米不動産王のラーナン・カッツが所有するショッピングセンターの元テナント女性がカッツの屈辱的な画像をGoogle検索し、カッツの経営への不満を公表するブログ記事に掲載した。カッツは写真の著作権が自分にあると主張し、一次責任者としてブログ執筆女性と、二次責任者としてGoogleを提訴した (後に対Googleは取り下げ)。二審では、ブログ記事が批判かつ非営利目的であること (第1基準)、および写真がカッツのポーズや表現、衣服などを印象付けるような表現性に欠ける (第2基準) としてフェアユースを認めた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Katz v. Chevaldina"|{{Visible anchor|[[カッツ対シェヴァルディーナ裁判]]}}<br>(Katz v. Chevaldina) || 2015 || 11th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/katz-google-2015.pdf No. 14-14525]) || フェアユース第1・第2基準 || 画像<br>(デジタル) || 合法 || 別名「カッツ対Google裁判」。米不動産王のラーナン・カッツが所有するショッピングセンターの元テナント女性がカッツの屈辱的な画像をGoogle検索し、カッツの経営への不満を公表するブログ記事に掲載した。カッツは写真の著作権が自分にあると主張し、一次責任者としてブログ執筆女性と、二次責任者としてGoogleを提訴した (後に対Googleは取り下げ)。二審では、ブログ記事が批判かつ非営利目的であること (第1基準)、および写真がカッツのポーズや表現、衣服などを印象付けるような表現性に欠ける (第2基準) としてフェアユースを認めた。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Keeling v. Hars"|{{Visible anchor|[[キーリング対ハーズ裁判]]}}<br>(Keeling v. Hars) || 2015 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca2/13-694/13-694-2015-10-30.html No. 13-694]) || フェアユース第1基準 (パロディ) || 映像<br>(映画) || 合法 || 映画『[[ハートブルー]]』 (原題: Point Break) のパロディ。[[二次的著作物]]は著作権者の許諾が法的に必要となるが、パロディかつ付加が多いため許諾不要との判示。[[:en: Derivative work#Lawful works requirement]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Keeling v. Hars"|{{Visible anchor|[[キーリング対ハーズ裁判]]}}<br>(Keeling v. Hars) || 2015 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca2/13-694/13-694-2015-10-30.html No. 13-694]) || フェアユース第1基準 (パロディ) || 映像<br>(映画) || 合法 || 映画『[[ハートブルー]]』 (原題: Point Break) のパロディ。[[二次的著作物]]は著作権者の許諾が法的に必要となるが、パロディかつ付加が多いため許諾不要との判示。[[:en: Derivative work#Lawful works requirement]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="TCA Television Corp. v. McCollum"|{{Visible anchor|[[TCAテレビジョン対マッカラム裁判]]}}<br>(TCA Television Corp. v. McCollum) || 2016 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/tca-mccollum-2016.pdf No. 1:16-cv-0134]) || フェアユース第1基準 (パロディ)・第4基準、更新手続 || 演劇<br>(実演) || 違法 || お笑いコンビの[[アボットとコステロ]]の持ちネタ "Who's on first?" をパロディ化してブロードウェイミュージカルとして実演。一審は変形性が高いとしてフェアユース判定だったが二審で否定し、かつ第4基準の損害性があると判定。しかし著作者の相続人が著作物の更新手続を怠ったことから、原告の訴えを退けた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="TCA Television Corp. v. McCollum"|{{Visible anchor|[[TCAテレビジョン対マッカラム裁判]]}}<br>(TCA Television Corp. v. McCollum) || 2016 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/tca-mccollum-2016.pdf No. 1:16-cv-0134]) || フェアユース第1基準 (パロディ)・第4基準、更新手続 || 演劇<br>(実演) || 違法 || お笑いコンビの[[アボットとコステロ]]の持ちネタ "Who's on first?" をパロディ化してブロードウェイミュージカルとして実演。一審は変形性が高いとしてフェアユース判定だったが二審で否定し、かつ第4基準の損害性があると判定。しかし著作者の相続人が著作物の更新手続を怠ったことから、原告の訴えを退けた。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Oracle America, Inc. v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[Oracle対Google裁判]]}}<br>([[:en: Oracle America, Inc. v. Google, Inc.|Oracle America, Inc. v. Google, Inc.]]) || 2019 || 最高裁<br>(上告受理申立中) || フェアユース第1~第4基準全て || プログラム<br>(デジタル) || 未決 || [[オラクル (企業)|Oracle]]が[[サン・マイクロシステムズ]]を企業買収する形で権利獲得した[[Java]] [[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]を、[[Google]]が自社のモバイル用OSである[[Android]]に利用したとして、特許権と著作権侵害で総額88億米ドル (約1兆円) の損害賠償を求めてOracleがGoogleを2010年に提訴した。一審では、陪審は著作権侵害の判断をしたものの、裁判所はJava APIが著作権保護の対象に当たらないとの理由で2012年に原告の主張を退けている。しかし2014年、二審では営利性および潜在市場への影響度の観点で圧倒的にOracle有利と見て著作権侵害を認めた。2019年1月、Googleは二度目の最高裁への上告受理申立 (certiorari) を行っている<ref name=OracleGoogle-Diamond>{{Cite web |url=https://diamond.jp/articles/-/167921 |title=Google-Oracle訴訟はOracleに有利な判断 判決からAndroid登場時の裏が見えてくる |author=末岡洋子 (ASCII編集部) |publisher=[[ダイヤモンド社]] |date=2018-04-18 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=OracleGoogle-Patest>{{Cite web |url=https://www.patest.co.jp/cafc/2018/cafc20180401.html |title=ORACLE AMERICA, INC. 対 GOOGLE LLC 事件 {{!}} 米国連邦控訴裁判所 (CAFC) 判決 2018年 |publisher=大塚国際特許事務所 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=OracleGoogle-Harvard2019>{{Cite web |url=https://jolt.law.harvard.edu/digest/google-v-oracle-silicon-valley-braces-for-lawsuit-of-the-decade-as-google-petitions-for-cert-to-decide-api-copyrightability |title=Google v. Oracle: Silicon Valley Braces for "Lawsuit of the Decade" as Google Petitions for Cert to decide API Copyrightability |trans-title=Google対Oracle: シリコンバレーは過去10年の一大訴訟へ - APIの著作権巡りGoogleが上告受理申立てへ |last=Ward |first=Aaron |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |date=2019-03-13 |accessdate=2019-04-23 |language=en}}</ref>。 || <ref name=Bunka-H27Rep/>
| data-sort-value="Oracle America, Inc. v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[Oracle対Google裁判]]}}<br>([[:en: Oracle America, Inc. v. Google, Inc.|Oracle America, Inc. v. Google, Inc.]]) || 2019 || 最高裁<br>(上告受理申立中) || フェアユース第1-第4基準全て || プログラム<br>(デジタル) || 未決 || [[オラクル (企業)|Oracle]]が[[サン・マイクロシステムズ]]を企業買収する形で権利獲得した[[Java]] [[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]を、[[Google]]が自社のモバイル用OSである[[Android]]に利用したとして、特許権と著作権侵害で総額88億米ドル (約1兆円) の損害賠償を求めてOracleがGoogleを2010年に提訴した。一審では、陪審は著作権侵害の判断をしたものの、裁判所はJava APIが著作権保護の対象に当たらないとの理由で2012年に原告の主張を退けている。しかし2014年、二審では営利性および潜在市場への影響度の観点で圧倒的にOracle有利と見て著作権侵害を認めた。2019年1月、Googleは二度目の最高裁への上告受理申立 (certiorari) を行っている<ref name=OracleGoogle-Diamond>{{Cite web |url=https://diamond.jp/articles/-/167921 |title=Google-Oracle訴訟はOracleに有利な判断 判決からAndroid登場時の裏が見えてくる |author=末岡洋子 (ASCII編集部) |publisher=[[ダイヤモンド社]] |date=2018-04-18 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=OracleGoogle-Patest>{{Cite web |url=https://www.patest.co.jp/cafc/2018/cafc20180401.html |title=ORACLE AMERICA, INC. 対 GOOGLE LLC 事件 {{!}} 米国連邦控訴裁判所 (CAFC) 判決 2018年 |publisher=大塚国際特許事務所 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=OracleGoogle-Harvard2019>{{Cite web |url=https://jolt.law.harvard.edu/digest/google-v-oracle-silicon-valley-braces-for-lawsuit-of-the-decade-as-google-petitions-for-cert-to-decide-api-copyrightability |title=Google v. Oracle: Silicon Valley Braces for "Lawsuit of the Decade" as Google Petitions for Cert to decide API Copyrightability |trans-title=Google対Oracle: シリコンバレーは過去10年の一大訴訟へ - APIの著作権巡りGoogleが上告受理申立てへ |last=Ward |first=Aaron |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |date=2019-03-13 |accessdate=2019-04-23 |language=en}}</ref>。 || <ref name=Bunka-H27Rep/>
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! style="width:16%" | 判例の通称 !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" class=unsortable | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:43%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
! style="width:16%" | 判例の通称 !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" class=unsortable | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:43%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
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| data-sort-value="Nichols v. Universal Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Nichols v. Universal Pictures Corp.|Nichols v. Universal Pictures Corp.]]) || 1930 || 2d Cir.<br>([https://guides.lib.umich.edu/substantial-similarity/nichols 45 F.2d 119]) || アイディア・表現二分論、言語著作物における{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}} || 文章<br>(舞台劇・映画) || 合法 || 小説や脚本などの言語著作物から、逐語的ではなくコンセプトを利用した場合の不正盗用判定方法として「抽象化テスト」を確立した判例。舞台劇『{{仮リンク|Abie's Irish Rose|en|Abie's Irish Rose}}』の作者{{仮リンク|アン・ニコルズ|en|Anne Nichols}}が、1926年公開の[[サイレント映画]]『{{仮リンク|The Cohens and Kellys|en|The Cohens and Kellys}}』の製作者である[[ユニバーサル・ピクチャーズ]]に盗用されたと主張。舞台劇は、ユダヤ人男性とアイルランド人女性の格差婚、そして両家を巻き込んだ葛藤を描く。映画は、男女の出身設定が逆転しているものの、同類のテーマ性であるが、(アイディア・表現二分論で定めるところの) アイディアでしかなく、著作権保護の適用となるオリジナル表現ではないと判示された。同様に[[シェイクスピア]]の手法、[[アインシュタイン]]の相対性理論、[[チャールズ・ダーウィン|ダーウィン]]の進化論を下敷きにする行為も著作権侵害にならないと例示された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=115&ndash;117}}{{Sfn|山本隆司|2008|pp=51&ndash;52}}
| data-sort-value="Nichols v. Universal Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Nichols v. Universal Pictures Corp.|Nichols v. Universal Pictures Corp.]]) || 1930 || 2d Cir.<br>([https://guides.lib.umich.edu/substantial-similarity/nichols 45 F.2d 119]) || [[アイディア・表現二分論]]、言語著作物における{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}} || 文章<br>(舞台劇・映画) || 合法 || 小説や脚本などの言語著作物から、逐語的ではなくコンセプトを利用した場合の不正盗用判定方法として「抽象化テスト」を確立した判例。舞台劇『{{仮リンク|Abie's Irish Rose|en|Abie's Irish Rose}}』の作者{{仮リンク|アン・ニコルズ|en|Anne Nichols}}が、1926年公開の[[サイレント映画]]『{{仮リンク|The Cohens and Kellys|en|The Cohens and Kellys}}』の製作者である[[ユニバーサル・ピクチャーズ]]に盗用されたと主張。舞台劇は、ユダヤ人男性とアイルランド人女性の格差婚、そして両家を巻き込んだ葛藤を描く。映画は、男女の出身設定が逆転しているものの、同類のテーマ性であるが、(アイディア・表現二分論で定めるところの) アイディアでしかなく、著作権保護の適用となるオリジナル表現ではないと判示された。同様に[[シェイクスピア]]の手法、[[アインシュタイン]]の相対性理論、[[チャールズ・ダーウィン|ダーウィン]]の進化論を下敷きにする行為も著作権侵害にならないと例示された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=115&ndash;117}}{{Sfn|山本|2008|pp=51&ndash;52}}
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| data-sort-value="Alfred Bell & Co. Ltd. v. Catalda Fine Arts, Inc."|{{Visible anchor|[[アルフレッド・ベル対カタルダ・ファインアーツ裁判]]}}<br>(Alfred Bell & Co. Ltd. v. Catalda Fine Arts, Inc.) || 1951 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/191/99/91570/ 191 F.2d 99]) || [[二次的著作物]]、美術複製の保護要件 || 美術<br>(版画) || 違法 || [[メゾティント]]銅版を手掛けるイギリス人のアルフレッド・ベルは、著作権の保護期間が切れてパブリック・ドメイン (公有) に帰している名画を元に版画を制作し、{{仮リンク|アメリカ合衆国著作権局|en|United States Copyright Office}}に著作権登録済であった。この版画を元にカタルダ社が[[リトグラフ]]化して販売した。カタルダは著作権侵害か、またベルの美術複製作品はそもそも著作権保護の対象なのかが問われた。メゾティント銅版を創作するには工具と複雑なスキルを要し、また色の選択などに創作性が認められることから、ベルの作品に著作物性があると判示された。詳細背景は[https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/74/973/1410204/ 一審]を、美術複製の保護要件については「[[#ダーラム対トミー裁判]]」も参照のこと。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=85&ndash;89}}
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| data-sort-value="Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc."|{{Visible anchor|[[ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ対CBS裁判]]}}<br>(Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc.) || 1954 || 9th Cir.<br>([https://openjurist.org/216/f2d/945/warner-bros-pictures-v-columbia-broadcasting-system-b 216 F.2d 945]) || アイディア・表現二分論、キャラクターの保護要件 || 文章<br>(小説・映画) || 訴訟概要を参照 || [[ハードボイルド]]探偵小説『[[マルタの鷹]]』に登場する探偵[[サム・スペード]]を巡る裁判。作者[[ダシール・ハメット|ハメット]]は{{仮リンク|アルフレッド・A・ノップフ|label=ノップフ社|en|Alfred A. Knopf}}から単行本を出版し、ハメットとノップフは映画・ラジオ・テレビ番組化権をワーナーに譲渡した。その後、ハメットは別小説でもスペードなどのキャラクターを再登場させ、同様に映画化などの権利をCBSに譲渡したことから、ワーナーがキャラクターの独占権を主張した。漫画などのキャラクターと異なり、言語著作物のキャラクターは著作権保護されないとの判示。しかしこの基準は厳格すぎるとして、後の判事や法学者から否定的な意見もある。|| {{Sfn|Leaffer|2008|pp=115&ndash;117}}{{Sfn|山本|2008|pp=51&ndash;52}}
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| data-sort-value="Morrissey v. Procter & Gamble Co."|{{Visible anchor|[[モリシー対P&G裁判]]}}<br>(Morrissey v. Procter & Gamble Co.) || 1967 || 1st Cir.<br>([https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/379_F2d_675.htm 379 F.2d 675]) || [[アイディア・表現二分論]] (マージ) || 企画<br>(アイディア) || 合法 || マージのリーディング・ケース。モリシーは販売促進用の宝くじを企画・運営していたが、応募者が氏名、住所、[[社会保障番号]]などを記入するその運用方法が、P&G主催の宝くじと類似しているとして提訴した裁判。アイディアを利用するにあたって、作品の複製を必要とする場合は、その複製行為は著作権侵害にあたらないとされ、既にくじの引き方というアイディアが枯渇しているものにまで著作権による独占を認めることは、社会的な損失になると判断された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=109&ndash;111}}<ref name="Barrett2008">{{cite book|author=Margreth Barrett|title=Intellectual Property|url=https://books.google.com/books?id=FetCwyUjdFwC&pg=PA110|year=2008|publisher=Aspen Publishers Online|isbn=978-0-7355-6297-4|pages=110–}}</ref><br>{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|pp=220&ndash;221}}
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| data-sort-value="Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian"|{{Visible anchor|[[ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判]]}}<br>(Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian) || 1971 || 9th Cir.<br>([https://www.lexisnexis.com/lawschool/resources/p/casebrief-herbert-rosenthal-jewelry-corp-v-kalpakian.aspx 446 F.2d 738]) || [[アイディア・表現二分論]] || デザイン<br>(実用品) || 合法 || 宝飾メーカー同士の争い。宝石に金をあしらったミツバチ型の宝飾ピンを著作権登録済だったハーバートが、そのデザインを盗用されたとしてカルパキアンを提訴した。カルパキアンは自然界のミツバチを研究してデザインしており、両社とも実物のミツバチに似てはいるものの、デザインの盗用は否定された。また、アイディア・表現二分論に基づき、アイディア (ミツバチ型のピンを作る発想) とその表現 (出来上がったピンのデザイン) が不可分であることから、表現を模倣しても著作権侵害に当たらないと判示した。 || {{Sfn|山本|2008|pp=47&ndash;49}}
| data-sort-value="Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc."|{{Visible anchor|[[ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ対CBS裁判]]}}<br>(Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc.) || 1954 || 9th Cir.<br>([https://openjurist.org/216/f2d/945/warner-bros-pictures-v-columbia-broadcasting-system-b 216 F.2d 945]) || アイディア・表現二分論、言語著作物におけるキャラクターの保護 || 文章<br>(小説・映画) || 訴訟概要を参照 || [[ハードボイルド]]探偵小説『[[マルタの鷹]]』に登場する探偵[[サム・スペード]]を巡る裁判。作者[[ダシール・ハメット|ハメット]]は{{仮リンク|アルフレッド・A・ノップフ|label=ノップフ社|en|Alfred A. Knopf}}から単行本を出版し、ハメットとノップフは映画・ラジオ・テレビ番組化権をワーナーに譲渡した。その後、ハメットは別小説でもスペードなどのキャラクターを再登場させ、同様に映画化などの権利をCBSに譲渡したことから、ワーナーがキャラクターの独占権を主張した。漫画などのキャラクターと異なり、言語著作物のキャラクターは著作権保護されないとの判示。しかしこの基準は厳格すぎるとして、後の判事や法学者から否定的な意見もある。|| {{Sfn|Leaffer|2008|pp=115&ndash;117}}{{Sfn|山本隆司|2008|pp=51&ndash;52}}
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| data-sort-value="Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc."|{{Visible anchor|[[モンティ・パイソン対ABC裁判]]}}<br>([[:en: Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.|Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.]]) || 1976 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/538/14/93445/ 538 F.2d 14]) || [[著作者人格権]] (同一性保持権) || 映像<br>(テレビ) || 違法 || 著作者人格権のリーディング・ケース。[[モンティ・パイソン]]脚本・出演のテレビ番組『[[空飛ぶモンティ・パイソン]]』(英国[[BBC]]にて原放送) が、米国[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABC]]でも放送された際に一部内容が改変されたため、原著作物の同一性保持権が損なわれたとしてメンバーの[[テリー・ギリアム]]他がABCを提訴。一審は同一性の毀損を認めるも、改変の許諾・調整によってABCの放送に遅れが生ずると実損害が発生するとの理由から、実質敗訴。しかし二審は、編集カットによってモンティ・パイソンのブランドが毀損するとして勝訴の判決を下した。なお当時の米国は[[ベルヌ条約]]を[[批准]]していなかったことから、同条約が求めていた[[著作者人格権]]を米国著作権法上で明文化しておらず、人格権侵害はもっぱら[[コモンロー]]に基づく司法判断に委ねられていた。そのため、人格権侵害が認められたケースは本件含めて非常に少ない。これが仮に、著作者人格権が明文化された1989年以降に提訴されていたら棄却されていただろうとも指摘されている。なぜならば、同権を謳う第106A条は狭義の[[著作権法 (アメリカ合衆国)#視覚芸術著作物|視覚芸術著作物]]に限定されていることから、テレビ番組には適用不可と判断されうるためである。 || <ref name=JetLaw-Pythons>{{Cite web |title=Moral Rights in the US: Why Monty Python Would Say "Ni!" |url=http://www.jetlaw.org/2017/09/15/moral-rights-in-the-us-why-monty-python-would-say-%E2%80%9Cni%E2%80%9D/ |publisher=JETLaw |date=2017-10-04 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=MoralRights-NEA>{{Cite web |url=http://www.law.harvard.edu/faculty/martin/art_law/esworthy.htm |title=A Guide to the Visual Artists Rights Act |trans-title=視覚芸術家権利法の基礎 |author=Esworthy, Cynthia ({{仮リンク|全米芸術基金|en|National Endowment for the Arts}}所属 |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |accessdate=2019-04-23 |language=en}})</ref><br>{{Sfn|山本|2008|pp=105&ndash;106}}
| data-sort-value="Morrissey v. Procter & Gamble Co."|{{Visible anchor|[[モリシー対P&G裁判]]}}<br>(Morrissey v. Procter & Gamble Co.) || 1967 || 1st Cir.<br>([https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/379_F2d_675.htm 379 F.2d 675]) || [[アイディア・表現二分論]] (混同法理) || 企画<br>(アイディア) || 合法 || 大元のアイディア (システム、プロセス、操作方法を含む) を表現する方法が事実上1つしかない場合、アイディアと表現は「混同した」とみなされ、著作権保護は認められないとする「混同法のリーディング・ケース。モリシーは販売促進用の宝くじを企画・運営していたが、応募者が氏名、住所、[[社会保障番号]]などを記入するその運用方法が、P&G主催の宝くじと類似しているとして提訴した裁判。アイディアを利用するにあたって、作品の複製を必要とする場合は、その複製行為は著作権侵害にあたらないとされ、既にくじの引き方というアイディアが枯渇しているものにまで著作権による独占を認めることは、社会的な損失になると判断された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=109&ndash;111}}<ref name="Barrett2008">{{cite book|author=Margreth Barrett|title=Intellectual Property|url=https://books.google.com/books?id=FetCwyUjdFwC&pg=PA110|year=2008|publisher=Aspen Publishers Online|isbn=978-0-7355-6297-4|pages=110–}}</ref>
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| data-sort-value="Durham Industries, Inc. v. Tomy Corp."|{{Visible anchor|[[ダーラム対トミー裁判]]}}<br>(Durham Industries, Inc. v. Tomy Corp.) || 1980 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/630/905/238194/ 630 F.2d 905]) || [[二次的著作物]]、美術複製の保護要件 || キャラクター<br>(玩具) || 合法 || [[ディズニー]]のキャラクターである[[ミッキーマウス]]、[[ドナルドダック]]および[[プルート (ディズニーキャラクター)|プルート]]がパブリック・ドメインに帰していたことから、玩具メーカー2社が同キャラクターそっくりのぜんまい式玩具を同時期に製造し、日系企業トミー (現[[タカラトミー]]) がダーラムを著作権侵害で提訴した。本件では映画やコミック本に登場する二次元キャラクターを三次元の小さなプラスチック玩具に作り替えただけでは、芸術的な創作性は認められないとの理由から、玩具自体の著作物性が否定された。美術複製の保護要件については「[[#アルフレッド・ベル対カタルダ・ファインアーツ裁判]]」も参照のこと。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=85&ndash;89}}
| data-sort-value="Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian"|{{Visible anchor|[[ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判]]}}<br>(Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian) || 1971 || 9th Cir.<br>([https://www.lexisnexis.com/lawschool/resources/p/casebrief-herbert-rosenthal-jewelry-corp-v-kalpakian.aspx 446 F.2d 738]) || [[アイディア・表現二分論]] || デザイン<br>(実用品) || 合法 || 宝飾メーカー同士の争い。宝石に金をあしらったミツバチ型の宝飾ピンを著作権登録済だったハーバートが、そのデザインを盗用されたとしてカルパキアンを提訴した。カルパキアンは自然界のミツバチを研究してデザインしており、両社とも実物のミツバチに似てはいるものの、デザインの盗用は否定された。また、アイディア・表現二分論に基づき、アイディア (ミツバチ型のピンを作る発想) とその表現 (出来上がったピンのデザイン) が不可分であることから、表現を模倣しても著作権侵害に当たらないと判示した。 || {{Sfn|山本隆司|2008|pp=47&ndash;49}}
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| data-sort-value="Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp."|{{Visible anchor|[[アップルコンピュータ対フランクリンコンピュータ裁判]]}}<br>([[:en: Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.|Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.]]) || 1983 || 3d Cir.<br>([https://h2o.law.harvard.edu/collages/41112 714 F.2d 1240]) || 著作物の定義 || コンピュータ・プログラム<br>(デジタル) || 違法 || 1980年の著作権法改正でコンピュータ・プログラムが著作権保護対象に加わった直後の判決。1981年当時、[[アップル (企業)|アップル社]]は年間40万台以上のパソコンを製造・販売していた。被告のフランクリン社製パソコンは1000台未満しか売れていなかったが、アップル製とのソフトウェアの互換性を売りにしていた。フランクリンがアップルのOSを不正盗用したとして、14のプログラムを対象に著作権と特許権侵害、不正競争防止違反、および不正流用で提訴。フランクリンはアップルの著作権登録に手続の不備があるとして、著作権保護対象ではないと抗弁したほか、訴訟対象を14から3プログラムに絞るよう要請した。フランクリンはアップルからの流用を認めた上で、互換性を担保するには必要不可欠な行為だとも主張した。しかし両社の製品は酷似していることから、被告の損害立証なしで一時差止命令を下した。 || {{Sfn|山本|2008|p=15}}
| data-sort-value="Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc."|{{Visible anchor|[[モンティ・パイソン対ABC裁判]]}}<br>([[:en: Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.|Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.]]) || 1976 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/538/14/93445/ 538 F.2d 14]) || [[著作者人格権]] (同一性保持権) || 映像<br>(テレビ) || 違法 || [[モンティ・パイソン]]脚本・出演のテレビ番組『[[空飛ぶモンティ・パイソン]]』(英国[[BBC]]にて原放送) が、米国[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABC]]でも放送された際に一部内容が改変されたため、原著作物の同一性保持権が損なわれたとしてメンバーの[[テリー・ギリアム]]他がABCを提訴。一審は同一性の毀損を認めるも、改変の許諾・調整によってABCの放送に遅れが生ずると実損害が発生するとの理由から、実質敗訴。しかし二審は、編集カットによってモンティ・パイソンのブランドが毀損するとして勝訴の判決を下した。なお当時の米国は[[ベルヌ条約]]を[[批准]]していなかったことから、同条約が求めていた[[著作者人格権]]を米国著作権法上で明文化しておらず、人格権侵害はもっぱら[[コモンロー]]に基づく司法判断に委ねられていた。そのため、人格権侵害が認められたケースは本件含めて非常に少ない。これが仮に、著作者人格権が明文化された1989年以降に提訴されていたら棄却されていただろうとも指摘されている。なぜならば、同権を謳う第106A条は狭義の[[著作権法 (アメリカ合衆国)#視覚芸術著作物|視覚芸術著作物]]に限定されていることから、テレビ番組には適用不可と判断されうるためである。 || <ref name=JetLaw-Pythons>{{Cite web |title=Moral Rights in the US: Why Monty Python Would Say "Ni!" |url=http://www.jetlaw.org/2017/09/15/moral-rights-in-the-us-why-monty-python-would-say-%E2%80%9Cni%E2%80%9D/ |publisher=JETLaw |date=2017-10-04 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=MoralRights-NEA>{{Cite web |url=http://www.law.harvard.edu/faculty/martin/art_law/esworthy.htm |title=A Guide to the Visual Artists Rights Act |trans-title=視覚芸術家権利法の基礎 |author=Esworthy, Cynthia ({{仮リンク|全米芸術基金|en|National Endowment for the Arts}}所属 |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |accessdate=2019-04-23 |language=en}})</ref>
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| data-sort-value="Walker v. Time Life Films Inc."|{{Visible anchor|[[ウォーカー対タイム・ライフ・フィルムズ裁判]]}}<br>(Walker v. Time Life Films Inc.) || 1986 || 2d Cir.<br>([https://openjurist.org/784/f2d/44/walker-v-time-life-films-inc 784 F.2d 44]) || アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論) || 映像<br>(映画) || 合法 || 1976年出版・ウォーカー著『''Fort Apache''』が1981年映画『[[アパッチ砦・ブロンクス]]』 (原題: ''Fort Apache, The Bronx'') に盗用されたとして提訴した。両作とも黒人と白人警官の死亡事件で始まり、闘鶏、飲酒、部品を盗まれた車、売春、ネズミが登場するが、これらはニューヨーク州[[サウス・ブロンクス]]でたびたび報道されている事実であり、その設定に著作物性はないとし、「[[アイディア・表現二分論#ありふれた情景の理論|ありふれた情景の理論]]」の立場が取られた。[[:en: Fort Apache, The Bronx#Legal issues]]も参照。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=589, 651&ndash;652}}{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|p=221}}
| data-sort-value="Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp."|{{Visible anchor|[[アップルコンピュータ対フランクリンコンピュータ裁判]]}}<br>([[:en: Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.|Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.]]) || 1983 || 3d Cir.<br>([https://h2o.law.harvard.edu/collages/41112 714 F.2d 1240]) || 著作物の定義 || コンピュータ・プログラム<br>(デジタル) || 違法 || 1980年の著作権法改正でコンピュータ・プログラムが著作権保護対象に加わった直後の判決。1981年当時、[[アップル (企業)|アップル社]]は年間40万台以上のパソコンを製造・販売していた。被告のフランクリン社製パソコンは1000台未満しか売れていなかったが、アップル製とのソフトウェアの互換性を売りにしていた。フランクリンがアップルのOSを不正盗用したとして、14のプログラムを対象に著作権と特許権侵害、不正競争防止違反、および不正流用で提訴。フランクリンはアップルの著作権登録に手続の不備があるとして、著作権保護対象ではないと抗弁したほか、訴訟対象を14から3プログラムに絞るよう要請した。フランクリンはアップルからの流用を認めた上で、互換性を担保するには必要不可欠な行為だとも主張した。しかし両社の製品は酷似していることから、被告の損害立証なしで一時差止命令を下した。 || {{Sfn|山本隆司|2008|p=15}}
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| data-sort-value="Walker v. Time Life Films Inc."|{{Visible anchor|[[ウォー対タイム・ライフ・フィルムズ裁判]]}}<br>(Walker v. Time Life Films Inc.) || 1986 || 2d Cir.<br>([https://openjurist.org/784/f2d/44/walker-v-time-life-films-inc 784 F.2d 44]) || アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論) || 映像<br>(映画) || 合法 || 1976年出版・ウォ著『''Fort Apache''』1981年映画『[[アパッチ砦・ブロス]] (原題: ''Fort Apache, The Bronx'') に盗用されたとして提訴した両作も黒人と白人警官死亡事件で始まり、闘鶏、飲酒、部品売春ネズミが登場すこれらはニュヨーク州[[サウス・ブロンクス]]でたびたび報道されている事実であり、その設定に著作物性はないとし、「[[アイディア表現二分論#ありふれた情景理論|ありふれた情景の理論]]」の立場が取られた。[[:en: Fort Apache, The Bronx#Legal issues]]も参照。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=589, 651&ndash;652}}
| data-sort-value="Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc."|{{Visible anchor|[[タイストエピックス裁判]]}}<br>([[:en: Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.|Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.]]) || 1988 || 9th Cir.<br>([https://www.ravellaw.com/opinions/d101da3b99dadd73e937d8ded65f17aa 862 F.2d 204]) || アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論)、[[ルック・アンド・フィール]] || ゲーム<br>(デジタル) || 合法 || 日本のゲム会社[[デタイースト]]リリースした「[[空手道 (ゲーム)|空手道]]」(日本国外ではKarate Champの名称) が、イギリスのシステムⅢソフトウェ社からライセンス許諾を受けている[[カリフォルニア州]]企業エピックス社のゲーム「World Karate Champion」に盗用されたとして提訴。空手着身にとっ対戦相手主審による勝者宣言対戦ごとに異な背景シーンス・フェーズなどの設定が似てたが、空手対戦ゲームいう所与のアイディアから必然的に発生する標準的な表現にまで、著作権保護を与えれないとされた。 || {{Sfn|山本|2008|p=48}}<ref name="Graham1999">{{cite book|author=Lawrence D. Graham|title=Legal Battles that Shaped the Computer Industry|url=https://books.google.com/books?id=c6IS3RnN6qAC&pg=PA55|year=1999|publisher=Greenwood Publishing Group|isbn=978-1-56720-178-9|pages=55–}}</ref>
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| data-sort-value="Atari Games Corp. v. Oman"|{{Visible anchor|[[アタリゲームズ対オマーン裁判]]}}<br>([[:en: Atari Games Corp. v. Oman|Atari Games Corp. v. Oman]]) || 1992 || D.C. Cir.<br>([https://casetext.com/case/atari-games-corp-v-oman 979 F.2d 242]) || アイディア・表現二分論、編集著作物 || ゲーム<br>(デジタル) || 訴訟概要を参照 || アタリ社製ゲームの[[ブロックくずし]] (''BREAKOUT'') を視聴覚著作物のカテゴリで著作権登録申請するも、幾何学模様と色使いがシンプルなどの理由から著作物性を認めず、{{仮リンク|アメリカ合衆国著作権局長|label=著作権局長|en|Register of Copyrights}}の{{仮リンク|ラルフ・オマーン|en|Ralph Oman}}が2度却下した。画面上に表示される色付きブロック自体には著作物性はないものの、音響を伴って連続した映像 (編集著作物) としては創作性があり、著作物性があると判示された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=81&ndash;82, 128, 190&ndash;191}}
| data-sort-value="Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc."|{{Visible anchor|[[データイースト対エピックス裁判]]}}<br>([[:en: Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.|Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.]]) || 1988 || 9th Cir.<br>([https://www.ravellaw.com/opinions/d101da3b99dadd73e937d8ded65f17aa 862 F.2d 204]) || アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論)、[[ルック・アンド・フィール]] || ゲーム<br>(デジタル) || 合法 || 日本のゲーム会社[[データイースト]]がリリースした「[[空手道 (ゲーム)|空手道]]」(日本国外ではKarate Champの名称) が、イギリスのシステムⅢソフトウェア社からライセンス許諾を受けている[[カリフォルニア州]]企業エピックス社のゲーム「World Karate Champion」に盗用されたとして提訴。白と赤の空手着を身にまとった対戦相手、主審による勝者宣言、対戦ごとに異なる背景シーン、ボーナス・フェーズなどの設定が似ていたが、空手対戦ゲームという所与のアイディアから必然的に発生する標準的な表現にまで、著作権の保護を与えられないとされた。 || {{Sfn|山本隆司|2008|p=48}}<ref name="Graham1999">{{cite book|author=Lawrence D. Graham|title=Legal Battles that Shaped the Computer Industry|url=https://books.google.com/books?id=c6IS3RnN6qAC&pg=PA55|year=1999|publisher=Greenwood Publishing Group|isbn=978-1-56720-178-9|pages=55–}}</ref>
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| data-sort-value="Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al"|{{Visible anchor|[[ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判]]}}<br>([[:en: Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al|Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al]]) || 1993 || 10th Cir.<br>([https://h2o.law.harvard.edu/collages/41121 9 F.3d 823]) || アイディア・表現二分論 || ソフトウェア<br>(デジタル) || 合法 || 機械用ベルト製造の競合同士の争い。ベルト製品開発用のソフトウェアに関する詳細設計やソースコードなどを元ゲイツ従業員が持ち出し、転職先のバンドー (日系企業の米国支部) で類似ソフトウェアを開発したとして、不正競争防止法違反、企業秘密の不正流用および著作権侵害でゲイツが提訴した。本件では著作権法上の{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}}を検証する上で、{{仮リンク|抽象化・排除・比較テスト|en|Abstraction-Filtration-Comparison test}} (別称: 3ステップ・テスト) の手法を確立させたとして知られている。 || {{Sfn|山本隆司|2008|pp=192&ndash;195}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=589, 137}}
| data-sort-value="Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al"|{{Visible anchor|[[ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判]]}}<br>([[:en: Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al|Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al]]) || 1993 || 10th Cir.<br>([https://h2o.law.harvard.edu/collages/41121 9 F.3d 823]) || アイディア・表現二分論 || ソフトウェア<br>(デジタル) || 合法 || 機械用ベルト製造の競合同士の争い。ベルト製品開発用のソフトウェアに関する詳細設計やソースコードなどを元ゲイツ従業員が持ち出し、転職先のバンドー (日系企業の米国支部) で類似ソフトウェアを開発したとして、不正競争防止法違反、企業秘密の不正流用および著作権侵害でゲイツが提訴した。本件では著作権法上の{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}}を検証する上で、{{仮リンク|抽象化・排除・比較テスト|en|Abstraction-Filtration-Comparison test}} (別称: 3ステップ・テスト) の手法を確立させたとして知られている。 || {{Sfn|山本|2008|pp=52, 192&ndash;195}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=589, 137}}
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| data-sort-value="Naruto, et al. v. Slater, et al."|{{Visible anchor|[[サルの自撮り|サルの自撮り裁判]]}}<br>([[:en: Monkey selfie copyright dispute|Naruto, et al. v. Slater, et al.]]) || 2018 || 9th Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca9/16-15469/16-15469-2018-04-23.html No. 16-15469]) || 人間以外の著作者、[[パブリックドメイン]] || 画像<br>(デジタル) || 訴訟概要を参照 || 英国人写真家スレイターが[[インドネシア]]滞在中、カメラとリモコンを意図的に放置したところ、[[クロザル]]が[[自撮り]]をして各種メディアに写真画像が取り上げられた。サルに著作権はないとして、このメディア掲載画像が[[ウィキメディア・コモンズ]]上でパブリックドメイン作品として公有された。スレイターは自身に写真の著作権が帰属すると主張して[[ウィキメディア財団]]と対立。さらに、[[動物の倫理的扱いを求める人々の会]] (PETA) は動物にも著作権が認められると主張し、サルをNarutoと名付けて代理訴訟を起こした。一審はPETAの訴えを棄却し、二審への控訴中に当事者間で和解が成立した。 || <ref name=Pallante-MonkeySelfie>{{Cite journal |title=From Monkey Selfies to Open Source: The Essential Interplay of Creative Culture, Technology, Copyright Office Practice, and the Law |trans-title=サルの自撮りからオープンソースまで: 芸術文化、技術、著作権局の取り組みと法整備の関係の重要性について |url=https://www.copyright.gov/about/office-register/wjlta033117.pdf |publisher=[[アメリカ合衆国著作権局]] |author=Pallante, Maria A. (元著作権局長) |year=2017 |work=Washington Journal of Law, Technology & Arts |volume=12 |issue=2 |accessdate=2019-06-10 |language=en}}</ref>
| data-sort-value="Naruto, et al. v. Slater, et al."|{{Visible anchor|[[サルの自撮り|サルの自撮り裁判]]}}<br>([[:en: Monkey selfie copyright dispute|Naruto, et al. v. Slater, et al.]]) || 2018 || 9th Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca9/16-15469/16-15469-2018-04-23.html No. 16-15469]) || 人間以外の著作者、[[パブリックドメイン]] || 画像<br>(デジタル) || 訴訟概要を参照 || 英国人写真家スレイターが[[インドネシア]]滞在中、カメラとリモコンを意図的に放置したところ、[[クロザル]]が[[自撮り]]をして各種メディアに写真画像が取り上げられた。サルに著作権はないとして、このメディア掲載画像が[[ウィキメディア・コモンズ]]上でパブリックドメイン作品として公有された。スレイターは自身に写真の著作権が帰属すると主張して[[ウィキメディア財団]]と対立。さらに、[[動物の倫理的扱いを求める人々の会]] (PETA) は動物にも著作権が認められると主張し、サルをNarutoと名付けて代理訴訟を起こした。一審はPETAの訴えを棄却し、二審への控訴中に当事者間で和解が成立した。 || <ref name=Pallante-MonkeySelfie>{{Cite journal |title=From Monkey Selfies to Open Source: The Essential Interplay of Creative Culture, Technology, Copyright Office Practice, and the Law |trans-title=サルの自撮りからオープンソースまで: 芸術文化、技術、著作権局の取り組みと法整備の関係の重要性について |url=https://www.copyright.gov/about/office-register/wjlta033117.pdf |publisher=[[アメリカ合衆国著作権局]] |author=Pallante, Maria A. (元著作権局長) |year=2017 |work=Washington Journal of Law, Technology & Arts |volume=12 |issue=2 |accessdate=2019-06-10 |language=en}}</ref>
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=== 引用文献 ===
=== 引用文献 ===
* {{Cite book|和書|title=アメリカ著作権法の基礎知識 |edition=第2 |author=山本隆司 |publisher=太田出版 |year=2008 |isbn=978-4-7783-1112-4 |ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=作花文雄 |title=詳解 著作権法 |edition=第5版 |publisher=[[ぎょうせい]] |year=2018 |isbn=978-4-324-10427-9 |url=https://shop.gyosei.jp/products/detail/9649 |ref={{SfnRef|作花|2018}}}}
* {{Cite book|和書|title=アメリカ著作権法の基礎知識 |edition=第2版 |author=山本隆司 |publisher=太田出版 |year=2008 |isbn=978-4-7783-1112-4 |ref={{SfnRef|山本|2008}}}}
* {{Cite book|title=International copyright: principles, law, and practice |trans_title=国際著作権法: 法理、実定法と実務 |edition=3 |last1=Goldstein |first1=Paul |last2=Hugenholtz |first2=P. Bernt |publisher=Oxford University Press |year=2013 |isbn=9780199794294 |language=en |url=https://global.oup.com/academic/product/international-copyright-9780199794294 |ref={{SfnRef|Goldstein & Hugenholtz|2013}}}}<!-- 2019年10月に第4版が出版される予定 -->
* {{Cite book|和書|title=アメリカ著作権法 |last=Leaffer |first=Marshall A. |translator=牧野和夫 |series=LexisNexis アメリカ法概説 (5) |publisher=レクシスネクシス・ジャパン |origyear=2005 |year=2008 |isbn=978-4-8419-0509-0 |ref=harv}} - 原著 "''Understanding Copyright Law, 4th edition''" の日本語訳
* {{Cite book|和書|title=アメリカ著作権法 |last=Leaffer |first=Marshall A. |translator=牧野和夫 |series=LexisNexis アメリカ法概説 (5) |publisher=レクシスネクシス・ジャパン |origyear=2005 |year=2008 |isbn=978-4-8419-0509-0 |ref=harv}} - 原著 "''Understanding Copyright Law, 4th edition''" の日本語訳
* {{Cite book|first=Robert |last=McGee |title=Commentaries on Law & Public Policy |url=https://books.google.com/books?id=2a_TpKBa9REC&pg=PA105 |date=2005-01-27 |publisher=PageFree Publishing, Inc. |isbn=978-1-58961-357-7 |ref=harv}}


{{世界の著作権法|state=expanded}}
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[[Category:アメリカ合衆国の著作権法]]
[[Category:アメリカ合衆国の著作権法]]

2019年10月24日 (木) 07:40時点における版

知的財産権 > 著作権 > 著作権法 (アメリカ合衆国) > 著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)
作家オスカー・ワイルドを撮影した写真の著作権侵害を巡る裁判。最高裁は1884年、この写真に著作物性を認めた[1]

アメリカ合衆国著作権法の判例一覧 (英語: List of United States copyright case law) では、米国著作権法に関連した判例のうち、特筆性のあるものを解説する。

判例の特徴

2008年からの10年間を見ると、米国内で年3000件前後の著作権侵害案件が提訴されている[註 1]。特にメディア・エンターテイメント業界が集積するカリフォルニア州 (C.D. Cal. およびN.D. Cal.) とニューヨーク州 (S.D. N.Y. およびE.D. N.Y.) の件数が多い[2][3]

米国著作権法に特徴的な判例として、フェアユース (fair use、公正利用) が挙げられる[4]。一般的には、著作権者に無断で著作物を第三者が利用した場合、著作権侵害となる。しかし合衆国法典第17編第107条に基づき「批評、解説、ニュース報道、教育、研究または調査」などの利用シーンで

  1. 「使用の目的・性質」(非営利の教育など)
  2. 「著作物の内容」
  3. 「量・質の両側面から著作物が利用された割合」
  4. 「利用によって著作物の市場価値にどの程度影響を及ぼすか (市場代替性)」

の4基準などを総合的に考慮して、著作権侵害に当たらないフェアユースであると判示されることがある。第1基準については、原著作物を利用したいわゆるパロディなどの著作権侵害を巡って、被告側がフェアユースで抗弁することもある。これは第1基準で「変形的利用英語版」(transformative use、transformativeness) が認められているからである[5]

4基準のうち、第1基準の変形的利用、および第4基準の市場代替性の2点セットが他基準に優先して重視されているとの指摘がある。これは、元となった著作物とは異なる目的に変形されることで、元の著作物と市場で競合して経済的利益を損ねることなく併存できるためである。つまり、第1基準で営利活動だと認められても、変形度が高く第4基準に影響しなければ、フェアユース判定されることがある[6](例: 「#キャンベル対アカフ・ローズ・ミュージック裁判」など)。

フェアユース以外では、著作権の保護対象物の定義を問う判例もある。その代表例が、特許権商標権などの産業財産権と、著作権とを線引きする「アイディア・表現二分論」である。産業財産権は、産業の発展のためのアイディア・思想を強い独占性で保護する。一方アイディアそのものではなく、その文化的で創作的な表現を対象に緩い排他性で保護するのが著作権である (例: 「#ベーカー対セルデン裁判」など)。しかし実際には、アイディアと表現が一体化していて切り離せないケースもあり、表現に著作権の独占を認めると、その大元となるアイディアまで独占され、産業の発展が阻害されうる。このようなケースでは「マージ理論」で抗弁することもある (例: 「#モリシー対P&G裁判」、「#サイエントロジー対ラーマ裁判」など)。

判例の年代別に見ると、米国連邦著作権法にはいくつか転換期がある。

  • 1891年制定・同年施行の国際著作権改正法 (International Copyright Act of 1891、通称: チェース法) -- 米国内で流通する国際著作物も米国著作権法の保護対象となり、米国裁判所の取り扱う案件の幅が広がった (例: 日英米にまたぐ「#データイースト対エピックス裁判」、タイから米への逆輸入で争った「#カートサン対ワイリー裁判」など)。
  • 1976年制定・1978年1月施行の改正法 (Copyright Act of 1976) -- 未発表の著作物であっても連邦法下で著作権保護の対象となったほか、フェアユースの概念が初めて成文化された[7]
  • 1998年10月制定・同年施行のデジタルミレニアム著作権法 (通称: DMCA) -- デジタル著作物に対する著作権侵害の罰則と免責が明文化された。インターネットの普及によりデジタル著作物が国際的に容易に流通するようになったため、大規模な著作権侵害の訴訟に発展しやすい (例: 「#全米作家協会他対Google裁判」、約1兆円の損害賠償を請求した「#Oracle対Google裁判」など)。

判例の読み方

米国著作権法は連邦法である合衆国法典第17編に収録されていることから、連邦法に基づき司法判断を下すのは連邦裁判所の役目となる。連邦裁判所とは具体的には

で構成されている。なお、米国著作権法には州法も一部存在していることから、これらは州裁判所の管轄となるが、特筆性の観点から州裁判所の判例が引用されることは少ない[註 2]

判例名は一般的に「原告名 (著作権者) v. 被告名」で記されるが、被告が二審や三審に上訴した場合は、原告名と被告名の順が逆転して表記されるため注意が必要である[註 3]

また、過去の改正により著作権法の条文体系が大きく変更しているため、判例の年代によりその判例が引用する条文が指し示す内容が異なる点にも注意が必要である。たとえば1947年改正法以前の第25条は、1947年改正法の第101条であり、これは1976年改正法で第412および第501 – 第504条に継承されている[註 4]

連邦最高裁判所の判例

最高裁で係争中の案件は「#連邦下級裁判所の判例」を参照。

判例の通称 判決年
(判例集番号)
争点 判決 訴訟概要と判決要点 特筆性
ベーカー対セルデン裁判
(Baker v. Selden)
1879
(101 U.S. 99)
アイディア・表現二分論 合法 書籍で紹介した簿記の手法が酷似。簿記の手法に対して独占性を主張するには、特許を取得しなければならず、手法そのものは著作物性がないと判示された。同様に新薬や耕作用具の論文も文字による表現は著作物だが、発明の新規性は特許法の範疇だと例示され、後の国内外の判例に多大な影響を与えたリーディング・ケース。 [11][12]
バローガイルズ・リトグラフィック対サロニー裁判
(Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony)
1884
(111 U.S. 53)
写真の保護要件 違法 作家オスカー・ワイルドを被写体にした写真が無断でリトグラフ化されたことから、写真家ナポレオン・サロニー英語版がリトグラフ販売事業者を提訴した。最高裁は被写体のポーズ、衣装、装飾品、明暗などの選択は、写真家の創造的な選択・配置であると指摘し、写真の著作権保護を認めた。なお、米国著作権法は1865年の法改正で写真を保護対象に追加[13]している。 [1]
ブライシュタイン対ドナルドソン・リトグラフィング裁判
(Bleistein v. Donaldson Lithographing Co.)
1903
(188 U.S. 239, 251)
応用美術の保護要件 違法 サーカスの広告用に多色石版刷りされたポスターが無断複製され、このポスターが著作権保護の対象かが問われた。ポスターに描かれたのは実在する人物であり、実際のサーカスでよく見られる情景であった。当判決以前は著作権の保護要件に審美性 (aesthetic merit) を求める判決も存在したものの、当判決によって審美性は保護要件とならないと判示された。ただしこの原則は実用品には適用されず、審美性の質を主観的に判断して保護要件に含めうる余地を残している。 [14]
シェルドン対メトロ・ゴールドウィン・ピクチャーズ裁判
(Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp.)
1940
(309 U.S. 390)
アイディア・表現二分論 (物語)、抽象化テスト英語版 違法 エドワード・シェルドン英語版脚本『Dishonored Lady英語版』は実在の殺人事件被疑者マデリン・スミス英語版を題材にした作品。メトロ・ゴールドウィン (現MGM) がシェルドンとの間で映画化権の交渉を行うも決裂したことから、同じ題材の別小説を原作として映画『令嬢殺人事件』を製作した。これを受け、シェルドンが映画の差止と損害賠償 (興行収入のシェア) を求めて提訴した。物語のプロットはアイディアに過ぎないが、人物関係や情景設定と情景描写、詳細な出来事などはアイディアの「表現」だとし、損害賠償金額の算出対象を絞り込んだ。また二審では抽象化テストを用いたことでも知られる。抽象化テストの手法を確立した「#ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判」(1930年) も参照のこと。 [15][16]
メイザー対ステイン裁判
(Mazer v. Stein)
1954
(347 U.S. 201)
アイディア・表現二分論、応用美術の保護要件 違法 実用品デザインの著作権保護を巡るリーディング・ケース。原告の卓上ランプの台には、バリ島のダンサー男女の像が用いられていたことから、実用品の「機能」面でのランプには著作権性はないが、ダンサー像には「表現」の著作権性があるとして、卓上ランプの模倣が著作権侵害と判定された。本件以降も、旧式電話機型の鉛筆削り、犬形の貯金箱、繊維製品のグラフィックデザインに著作権性が認められる判決が続いている[註 5] [17][18]
ソニー・アメリカ他対ユニバーサル・シティ・スタジオ他裁判
(Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.)
1984
(464 U.S. 417)
フェアユース第3・第4基準 合法 通称「ベータマックス訴訟」。テレビ番組の家庭用録画機器ベータマックスなどの合法性が問われた。著作物 (番組) 全量を複製しているにも関わらずフェアユースが認められたレアケース。利用者の多くが家庭での使用であり、後日視聴 (time-shifting) を目的としていることから、録画が番組著作権者の収益に影響を及ぼさないと判示された。21世紀に入ってからはインターネット視聴や音楽などのファイル共有ソフトウェアなどを巡って類似訴訟が発生しており、度々ベータマックス訴訟が引き合いに出される。 [19][20]
ハーパー & ロー対Nation誌裁判
(Harper & Row v. Nation Enterprises)
1985
(471 U.S. 539)
フェアユース第1・第4基準、アイディア・表現二分論 違法 ハーパー社が出版権を獲得して書籍化を計画していたフォード元大統領の未発表回想録を、雑誌『Nation』が引用して先に出版した。フォード元大統領が公人であることから「公共性」を理由に被告はフェアユースで抗弁したが、公人か否かはフェアユースの判断基準外と判示された。また最初の出版権を誰が有するかを重要視された。引用されたのは元原稿20万語のうちわずか300語だったが、決定的な箇所だとの判示。 [19][21]
[22][23]
CCNV対リード裁判
(Community for Creative Non-Violence v. Reid)
1989
(490 U.S. 730)
職務著作 訴訟概要を参照 「職務」の要件を定義したリーディング・ケース。ホームレス問題に取り組む慈善団体のCCNV英語版が彫刻家リードに作品を依頼。完成した彫像は職務著作として委託者CCNVに著作権が認められるのかが問われた。当判決では代理法英語版における「独立の契約者」(independent contractor) の概念が判断基準として用いられた。 [24][25]
[26]
ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判
(Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.)
1991
(499 U.S. 340)
アイディア・表現二分論 (額の汗の法理) 合法 額の汗の法理英語版が最高裁で初めて否定された判決。ルーラル社はカンザス州北西の一部地域で独占営業を認められた電話サービス事業者で、加入者の電話番号を電話帳として編纂して無料配布する法令義務を負っていた。一方のファイスト社は、カンザス州広域で電話帳の発行を専業とする出版社である。ファイストがルーラルの無料電話帳から自社の発行する電話帳に電話番号を転載したことから、著作権侵害が問われた。一審と二審は侵害を認めたが、最高裁では一転し、著作権保護には単なるデータ配列 (額に汗をかいてデータ収集すること) だけでなく独自の創造性 (オリジナリティを持つ表現性) が必要だと合衆国憲法の特許・著作権条項英語版が解釈された結果、電話帳に著作権は認められずファイストの行為は合法と判示された。 [27][28]
キャンベル対アカフ・ローズ・ミュージック裁判
(Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.)
1994
(510 U.S. 569)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 合法 1990年公開映画『プリティ・ウーマン』の主題歌 (歌手ロイ・オービソン) を使用して、ヒップホップグループのThe 2 Live Crewがパロディを製作し、25万枚のセールスを記録した。一審はフェアユース認定、二審は否定し、最高裁が再び認定した。フェアユース第1基準の定める変形的利用が、同じく第1基準で例示される非営利性に勝ると解される裁判。 [19][29]
[30]
ロータス・デベロップメント対ボーランド裁判
(Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc.)
1996
(516 U.S. 233)
著作物の定義 合法 ロータス・デベロップメント (現IBM) 製の表計算ソフトLotus 1-2-3で使用されているコマンド469個 (コピー、印刷等) と同じものをボーランドが自社開発した表計算ソフトのメニューに組み込んだ。ロータスの既存ユーザがボーランド製に乗り換えやすくなったことから、ロータスが提訴。しかし、コマンドのメニュー体系は著作権保護の対象に当たらないと判示された。 [31]
ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判
(New York Times Co. v. Tasini)
2001
(533 U.S. 483)
集合著作物二次的著作物職務著作著作物の登録 違法 通称「フリーランサー訴訟」。フリーランサーの著作物がニューヨーク・タイムズなどに寄稿され、それがレクシスネクシスなどのオンラインデータベースに無断転載されたため、全米作家労働組合英語版のタシーニ会長らが集団訴訟を起こした。データベース化はフェアユースの定める翻案化には該当しないことから2001年に原告勝訴となった。しかし訴訟には事前に著作物の登録が必須とされている (米国著作権法第412条) ことから、和解金を受け取れなかった未登録の著作物の著作者らが別途裁判を継続し、最終的に総額1800万米ドルの和解金で2014年に決着。 [32]
エルドレッド対アシュクロフト司法長官裁判
(Eldred v. Ashcroft)
2003
(537 U.S. 186)
ソニー・ボノ著作権延長法の合憲性、永久著作権 合法 通称「ミッキーマウス訴訟」。著作権保護期間を延長する改正立法によって著作物の社会利用が妨げられ、合衆国憲法修正第1条が保障する表現の自由に抵触するとの主張。しかし、フェアユースによって既存著作物の翻案が認められていることから原告の主張を棄却。 [33]
ダスター対20世紀フォックス裁判
(Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.)
2003
(539 U.S. 23)
商標権と著作権の関係性 合法 元軍人・後の大統領アイゼンハワーによる戦争回想録 (1948年出版) のテレビ化権を20世紀フォックスが獲得。著作権期限切れ前に更新せず、テレビ番組は1977年にパブリックドメインに帰す。ダスター社がテレビ番組の映像を購入して複製し、リバース・パッシングオフ英語版 (他者の商品を自分名義で偽って販売する「逆詐称通用」) を行った。これがランハム法英語版 (米国の連邦商標法であり、不正競争防止法の要素も含む) に抵触するとしてフォックスが提訴。リバース・パッシングオフの非を認めつつも、パブリックドメインに帰していることからダスターの著作権侵害は棄却。 [34][35]
MGMスタジオ対グロクスター裁判
(Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.)
2005
(545 U.S. 913)
著作権侵害の技術提供者の二次責任 合法 著作権侵害の技術提供の文脈で、ベータマックス裁判と比較されることが多い訴訟。Peer-to-peerファイル共有ソフトのMorpheusが著作権侵害に利用されているとして、開発会社グロクスター等を相手取り、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー (MGM) など計28の原告団が提訴。Morpheusの頒布者には二次責任を認めたが、その開発者の責までは問わなかった。 [36]
リード・エルゼビア対マッチニック裁判
(Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick)
2010
(559 U.S. 154)
著作物の登録 訴訟概要を参照 ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判」の類似ケース。学術出版5大企業の一角リード・エルゼビア (現レレックス・グループ) がフリーランサーの著作物をデジタル化し、ニューヨークタイムズなどに提供。一部著作物が未登録だったことから和解金の受取対象が問われた。 [37]
オメガ対コストコ裁判
(Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.)
2010
(562 U.S. 40)
消尽論 合法 「カートサン対ワイリー裁判」とセットで論じられることが多い。スイス高級腕時計メーカーのオメガは正規販売ルートのみに商品を卸していたが、安価大量販売で知られるコストコが非正規ルートでオメガの時計を入手して販売。時計デザインが著作権保護の対象であることから、オメガがコストコを提訴した。しかし米国著作権法第109条では、複製した商品の購入者は自由に中古売買でき、著作権者の排他的な権利は所有者まで及ばない消尽論をとっており、コストコの行為は合法と判示された。 [38]
ゴラン対ホルダー司法長官裁判
(Golan v. Holder)
2012
(565 U.S. 302)
権利回復著作物、ウルグアイ・ラウンド協定法の合憲性 合法 過去にパブリックドメインに帰していた外国著作物が、1994年制定のウルグアイ・ラウンド協定法により著作権保護対象となった (これを権利回復著作物と呼ぶ)。権利回復によって著作物の社会利用が妨げられることから、表現の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に反するとの主張がなされたが、合憲の判示となった。 [39]
カートサン対ワイリー裁判
(Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.)
2013
(568 U.S. 519)
消尽論 合法 タイ人留学生スパップ・カートサンは、学術出版大手ジョン・ワイリー・アンド・サンズ (略称ワイリー) の出版する教科書がタイと比べて米国で高額に販売されていると知り、タイから米国に逆輸入してオークションサイトのeBayで販売し、約120万米ドルの収益を得たとされる。第2巡回控訴裁の判決を覆す形で、最高裁はカートサン無罪の判決を下した。この判決により、米国の著作物が米国外で複製印刷・販売され、再び米国内に逆輸入した際にも、米国著作権法第109条が定める消尽論が適用されることが判示された。 [40][41]
ペトレラ対MGM裁判
(Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.)
2014
(572 U.S. 12-1315)
ラッチェスの法理 訴訟概要を参照 プロボクサーのジェイク・ラモッタの自伝に基づき、ラモッタと友人ペトレラが脚本2版と小説本をそれぞれ執筆した。後にMGM傘下ユナイテッド・アーティスツが映画化権を獲得して『レイジング・ブル』を1980年に製作・公開。ペトレラの相続人は1991年、脚本の旧版のみ著作権期限更新を行ったが、脚本の新版と小説本は更新を怠った。1997年にペトレラの相続人はMGMが著作権侵害だと訴え、後に訴訟へと発展した。
米国著作権法では民事訴訟は発生から3年以内の提訴が認められている (いわゆる出訴制限)。また判例では「ラッチェス抗弁」(懈怠の法理) が一部認められる。これは原告が出訴を遅らせることで不当に損害請求額を積み増してはならないとする考え方である。従来はラッチェスの法理は損害賠償請求のみに適用され、差止命令は適用外と解されてきたが、二審の控訴裁では差止および3年以内に発生した侵害分の損害賠償全ての原告請求を棄却した。しかし最高裁では一転し、著作権法で規定しているのは出訴制限のみで、衡平に欠く場合でなければ、原則は損害賠償や差止などの侵害救済にまでラッチェスの法理は及ばないと判示した。
[42][43]
[44]
ABC対Aereo裁判
(American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.)
2014
(573 U.S. 13-461)
複製権、公衆実演権 違法 Aereo英語版は各地に小型アンテナを数千基設置し、各ユーザがアンテナにインターネット経由でアクセスすることで、TV番組の見逃し配信を提供するストリーミング動画サービス。「ベータマックス訴訟」では家庭内での後日視聴が合法と判示されたことから、Aereoも同様の抗弁を行った。ベータマックスは各ユーザが個々人で複製し、家庭内で視聴していることから著作権法が定める公衆実演権を侵害していないとされる。しかしAereoの場合、各ユーザ向けに複製を行っているのはアンテナを有するAereoであることから、著作権侵害と判示された。この結果、Aereoは2014年に連邦倒産法第11章に基づき破産申請している[45] [46]
スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判
(Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc.)
2017
(580 U.S. 15-866)
著作物の保護範囲の定義、デザイン 違法 スポーツ・アパレル企業同士の訴訟。チアリーディングのユニフォームデザイン (縞・ジグザグ・逆さV字模様など) が似ているとして大手ヴァ―シティがスターを提訴した。実用品向けのデザインのため著作権は発生しないとスターは抗弁。これに対し、フォーダム大学ロースクールのファッション法研究センター長スーザン・スカフィディ英語版などもヴァーシティを擁護し、デザインの著作権保護を訴えた。最高裁はヴァーシティのデザイン独創性を認め、フェアユース抗弁を棄却した。しかし流行が去った後でもファッション・デザインに法的保護を与え続けるのか、その線引きの難しさが問題提起されている。 [47]
フォース・エステート対Wall-Street.com裁判
(Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com)
2019
(586 U.S. ___)
著作物の登録手続 訴訟概要を参照 フォース・エステート英語版 (4E) は社会性の高いテーマを扱うメディアで、他のメディア企業に記事提供している。企業IR情報などを掲載するWall-Street.comが4Eとのライセンス契約を打ち切ったが、4Eの提供済記事をサイトに掲載し続けたため4Eが提訴した。著作権法では著作者が米国籍の場合、提訴前にアメリカ合衆国著作権局 (USCO) に著作物を登録することを求めている。ここでの登録を著作権者の「申請」(著作物の納付と登録料支払) とするか、USCOによる「登録許可」とみなすかで各巡回控訴裁判所によって過去判例が分かれていた。最高裁では後者の「登録許可」方式を採用し、登録許可が完了するまで原告は提訴を待たなければならないと判示された。 [48]

連邦下級裁判所の判例

連邦地方裁と連邦控訴裁の管轄マップ

下級裁判所の判例であっても、後の類似訴訟で引用参照されることが多いなど、研究機関や専門家が特筆性があると言及した判例に絞り、一覧化している。

裁判所名に "D" が表記される場合、一審の連邦地方裁判所 (District Court) の意味である。Dの後ろには州の略称がつく (例: マサチューセッツ州連邦地方裁であれば "D. Mass")。

"Cir" は二審の合衆国控訴裁判所 (United States Courts of Appeals) の意味で、第1-第11の巡回区 (Circuit) およびワシントンD.C.の計12拠点が配置されており、訴訟の発生地域ごとに区割りしている。なお控訴裁には連邦巡回区控訴裁判所もあるが、合衆国全土に関連する特許や関税など扱う案件が限られており、著作権法のみの訴訟は連邦巡回区控訴裁では取り扱われない。

なお、建国当初は三審の連邦最高裁判所判事が二審の連邦巡回裁判所 (Circuit Court) にも参加する形をとっていたが、1891年に二審が連邦控訴巡回裁判所 (Circuit Court of Appeals) に改組されたタイミングで、専任の裁判官のみで二審が構成されるようになった。さらに1948年、二審を第XX巡回区連邦裁判所 (Court of Appeals for the XX Circuit) に改称している[21]

フェアユース関連

判例の通称 判決年 裁判所
(判例集番号)
争点 著作タイプ 判決 訴訟概要と判決要点 特筆性
フォルサム対マーシュ裁判
(Folsom v. Marsh)
1841 C.C.D. Mass.
(9. F.Cas. 342)
フェアユース第1-第4基準全て 文章
(印刷書籍)
違法 フェアユースの法理を確立した米国初の判例として知られる。歴史家ジャレッド・スパークス英語版が初代大統領ジョージ・ワシントンの書簡などの著作権を獲得し、12巻から成る『The Writings of George Washington』を上梓してフォルサム社英語版[註 6]から出版。うち2巻は『The Life of Washington in the Form of an Autobiography』として別途マーシュ社英語版[註 7]から後に出版したことから、無断転載でフォルサムが提訴した。当判決では、現代のフェアユース第107条の第1-第4基準に類似する観点が全て含まれる形で判示された。以降、1976年改正法でフェアユースが成文化されるまでの間、米国ではもっぱら司法判断に基づいてきた。 [50][7]
トムソン知事陣営対ギャレン候補陣営裁判
(Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm.)
1978 D. N.H.
(457 F.Supp. 957)
フェアユース第1・第3基準 音楽
(実演)
合法 ニューハンプシャー州知事選において共和党現職メルドリム・トムソン・ジュニア英語版の選挙キャンペーンソング15秒分を民主党候補ヒュー・ガレン英語版が自身の選挙広告に流用。使用量が少なく、かつ政治討論目的のためフェアユースが認められた。 [19]
イタリアン・ブック対ABC裁判
(Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co.)
1978 S.D. N.Y.
(458 F.Supp. 65)
フェアユース第1・第3・第4基準 音楽
(テレビ)
合法 ニューヨークで開催されたイタリア祭を現地取材してテレビでニュース報道したところ、祭で演奏されていた楽曲まで報道映像に含まれてしまった。使用量が限定的、また収録は故意ではない、かつ作詞作曲家の潜在市場価値を毀損していないためフェアユースが認められた。 [19]
エルスメア・ミュージック対NBC裁判
(Elsmere Music, Inc. v. National Broadcasting Co.)
1980 S.D. N.Y.
(482 F.Supp. 741)
フェアユース第1 (パロディ)・第3基準 音楽
(テレビ)
合法 NBC放送コメディバラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』内で "I love New York" のパロディ曲が流れた。デ・ミニミス (ごく軽微な使用) であると判示。en: I Love New York#Imitationsも参照。 [19]
ロイ・エクスポート対CBS裁判
(Roy Export Co. Establishment. of Vaduz v. Columbia Broadcasting System, Inc.)
1982 2d Cir.
(672 F.2d 1095, 1100)
フェアユース第2基準 映像
(ニュース報道)
違法 チャーリー・チャップリンの72分映画から75秒を抜粋してチャップリン死去のニュース報道に使用 (Roy Exportはチャップリン作の著作権者)。抜粋箇所が映画の肝心なシーンだったためフェアユースは認められず。 [19]
ハスラー誌対モラル・マジョリティ裁判
(Hustler Magazine, Inc. v. Moral Majority, Inc.)
1985 C.D. Cal.
(606 F.Supp. 1526)
フェアユース第4基準 文章
(印刷書籍)
合法 出版実業家ラリー・フリント率いるポルノ雑誌『ハスラー』がキリスト教福音派宗教右派ジェリー・ファルウェル牧師を冒涜する文章を掲載。これを同牧師が創設・運営する宗教組織モラル・マジョリティが引用して数十万部をコピーし、資金集めのために配布。既に雑誌は市場から引き上げられていたため、原著作物の利益侵害に当たらないとしてフェアユースを認める判示。なお、両者は精神的苦痛を理由に、別途ハスラー・マガジン対ファルウェル裁判でも対立し、最高裁まで争った。 [19]
フィッシャー対ディーズ裁判
(Fisher v. Dees)
1986 9th Cir.
(794 F.2d 432)
フェアユース第1 (パロディ)・第3基準 音楽
(デジタル以外)
合法 DJ/ラジオパーソナリティリック・ディーズ英語版ジャズ曲 "When Sunny Gets Blue英語版" の29秒 (38小節) を引用してパロディを製作。不正競争防止名誉棄損および著作権侵害に当たるとして、原曲作詞家フィッシャーが提訴。楽曲全体ではないことからフェアユース判定。 [19]
サリンジャー対ランダムハウス他裁判
(Salinger v. Random House, Inc.)
1987 2d Cir.
(811 F.2d 90)
フェアユース第3・第4基準 文章
(印刷書籍)
違法 小説家J・D・サリンジャーの未発表手紙を用いて無断でランダムハウスが書籍化を計画。未発表であり、手紙の内容が書籍の根幹をなすことからフェアユースの抗弁は棄却され、出版差止に成功。 [19]
スタインバーグ対コロンビア・ピクチャーズ裁判
(Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc.)
1987 S.D. N.Y.
(663 F.Supp. 706)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 イラスト
(デジタル以外)
違法 漫画家ソール・スタインバーグの作品が雑誌ザ・ニューヨーカーの表紙を飾り、1984年製作映画『ハドソン河のモスコー』の宣伝ポスターに流用された。スタインバーグの作品はアメリカ経済中心主義の偏狭さを風刺しており、映画ポスターも同様の風刺を用いている。原作を風刺していればフェアユースの定めるパロディに該当するが、ポスターは同調していることからフェアユースが成立しないと判示された。 [19]
ラブ対クウィットニー裁判
(Love v. Kwitny)
1989 S.D. N.Y.
(772 F.Supp. 1367)
フェアユース第3・第4基準 文章
(ニュース報道)
違法 ジャーナリスト個人同士の訴訟。1959年にイランのザヘディ将軍英語版によるクーデターでモサッデク首相が失脚した。ケネット・ラブ英語版がこのイラン政府転覆の予兆をいち早く調査して原稿に書き留め、それをジョナサン・クウィットニー英語版が使用した。原稿の半分以上が使用されたことから、フェアユースの引用の範疇を超えており、かつ未発表であったことから著作権侵害が認められた。 [19]
ライト対ワーナーブックス裁判
(Wright v. Warner Books, Inc.)
1991 2d Cir.
(953 F.2d 731)
フェアユース第1・ 第3基準 文章
(印刷書籍)
合法 小説家リチャード・ライトの未発表の手紙などを自伝作家が引用して出版。引用は全体の1%以下、かつ書籍上で説明目的で引用のため侵害にあたらない判示。 [19]
ツイン・ピークス対パブリケーションズ・インターナショナル裁判
(Twin Peaks Productions, Inc. v. Publications International, Ltd.)
1993 2d Cir.
(996 F.2d 1366)
フェアユース第3・第4基準 文章
(印刷書籍)
違法 人気ミステリーTV『ツイン・ピークス』の引用解説本を巡るケース。番組のあらすじ、登場人物、設定、セリフなどの引用量が多く、また公式解説本の売上に影響することから著作権侵害の判示となった。 [19]
サイエントロジー対パグリアリーナ裁判
(Religious Technology Center v. Pagliarina)
1995 E.D. Va.
(908 F.Supp. 1353)
アイディア・表現二分論 (マージ理論)、フェアユース第1・第3基準 文章
(デジタル)
合法 (ワシントンポスト) 新興宗教サイエントロジーの元信者で批判家のアーニー・ラーマ英語版 (本名Arnaldo Pagliarini Lerma) は、同宗教団体が神聖視して秘匿する教本 (OT文書) を持ち出してインターネット上に全量公開したことから、連邦保安官から家宅捜査を受けたほか、当文書の著作権侵害で教会関連団体RTCから提訴された。またワシントンポストとその記者らも同件で提訴されている。ラーマは教団の教え (アイディア) とOT文書 (アイディアの表現) が融合していることから、OT文書に著作権保護を適用すると元となるアイディアまで排他的な保護がおよぶとしてOT文書に著作権はないとする「マージ理論」で抗弁した。しかし教団の教えはOT文書以外にも記述されていることから、その融合性を否定する判示となった。また引用量が広範であったことからフェアユース抗弁も否定された。
一方のワシントンポストは、引用量が限定的かつニュース解説目的のためフェアユースが認められた。en: Arnie Lerma#RTC v. Lermaも参照。
[19]
サイエントロジー対ラーマ裁判
(Religious Technology Center v. Lerma)
1996 E.D. Va.
(40 U.S.P.Q.2d 1569)
文章
(デジタル)
違法 (ラーマ) [19][51]
モンスター・コミュニケーションズ対ターナー・ブロードキャスティング・システム裁判
(Monster Communications, Inc. v. Turner Broadcasting System. Inc.)
1996 S.D. N.Y.
(935 F.Supp. 490)
フェアユース第1・第3基準 映像
(映画)
合法 モハメド・アリのボクシング対戦映像41秒を流用して自伝映画を製作。流用の秒数が短く、また映画内での情報提供に留まっているとして著作権侵害なしの判示。 [19]
ロサンゼルス・ニュースサービス対KCAL-TV裁判
(Los Angeles News Service v. KCAL-TV Channel 9)
1997 9th Cir.
(108 F.3d 1119)
フェアユース第1・第2・第4基準 映像
(ニュース報道)
違法 スクープ映像撮影で知られる独立系撮影社が1992年のロサンゼルス暴動の暴行シーンを撮影。その4分の録画から30秒を抜粋して地方局KCAL-TV英語版がニュース報道。営利利用、かつ抜粋箇所が肝心なシーンだったため著作権者の潜在市場での利益を侵害したと判定。 [19]
リングゴールド対ブラック・エンターテイメント裁判
(Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.)
1997 2d Cir.
(126 F.3d 70)
フェアユース第1・第2基準 美術
(テレビ)
違法 原告である芸術家の教会用キルト作品がTVコメディ『ロック英語版』内の背景映像で27秒使われた。キルト作品の著名性、TV背景セット上の重要性に加え、TV業界では許諾を取る慣習が存在することから、著作権侵害が認められた。en: Faith Ringgold#Copyright suit against BETも参照。 [19]
ドクター・スース対ペンギン・ブックス裁判
(Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc.)
1997 9th Cir.
(109 F.3d 1394)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 文章
(印刷書籍)
違法 元フットボール選手O・J・シンプソンによる殺人容疑裁判を、ドクター・スースの児童文学『キャット イン ザ ハット』の設定で物語る二次的著作物を巡るケース。ドクター・スースへの皮肉や悪ふざけの要素がないことからパロディとは見なされず、また非営利性および変形的利用に該当しないことから、著作権侵害の判示となった。 [19][52]
キャッスル・ロック・エンターテインメント対キャロル出版裁判
(Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.)
1998 2d Cir.
(150 F.3d 132)
フェアユース第3・第4基準 文章
(印刷書籍)
違法 人気コメディTV『となりのサインフェルド』のトリビアをクイズ形式で書籍にまとめて無断で出版。原著作のうち84話相当から引用し、また番組製作者の二次的著作物作成権を侵害したと判示された。 [19][53]
リーボヴィッツ対パラマウント・ピクチャーズ裁判
(Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.)
1998 2d Cir.
(137 F.3d 109)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 写真
(デジタル以外)
合法 写真家アニー・リーボヴィッツが妊婦姿の女優デミ・ムーアを撮影。これを映画『裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱』がパロディ化して映画の宣伝に利用。パロディ利用に伴うライセンス料を原告は請求したが、フェアユースとして棄却された。 [19]
ケリー他対アリバ・ソフト裁判
(Kelly v. Arriba Soft Corp)
2003 9th Cir.
(336 F.3d. 811)
フェアユース第1-第4基準全て 画像
(デジタル)
合法 アリバ・ソフトが運営する検索エンジンが画像を収集してサムネイル表示しており、自身のウェブサイトで写真画像を有料販売していたプロ写真家ケリーの作品も含まれていた。サムネイルは画像サイズが小さく解像度も低いことから第1基準 (変形的利用) は被告有利、インターネット公開写真も著作権対象であることから第2基準は原告有利、第3基準は中立、第4基準は被告有利。総合してフェアユースが認められた。Perfect 10対Amazon.com事件#サムネイルおよび:en: Transformativenessも参照。 [19]
BMGミュージック対ゴンザレス裁判
(BMG Music v. Gonzalez)
2005 7th Cir.
(430 F.3d 888 )
フェアユース第4基準 音楽
(デジタル)
違法 被告女性ゴンザレスは、Peer to PeerのファイルシェアKazaaを利用して楽曲を大量ダウンロード。後に楽曲を購入するか判断するための試聴であり、ベータマックス裁判のタイムシフト (Time-shifting、後日視聴) との類似性を持ち出して抗弁した。しかし推定ダウンロード数は1370曲、うち30曲以上は被告のハードドライブに残っていた。またiTunesなど楽曲の一部のみ視聴できる合法サービスが別に存在することから、被告の抗弁の正当性が否定された。 [19]
ビル・グラハム・アーカイブズ対ドーリング・キンダーズレー裁判
(Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.)
2006 2d Cir.
(448 F.3d 605)
フェアユース第1・第3基準 画像
(印刷書籍)
合法 ロックバンドのグレイトフル・デッドのポスターを別の書籍に流用。サムネイルサイズであり、かつ経歴解説の文脈内での利用のためフェアユース判定。 [19][54]
フィールド対Google裁判
(Field v. Google, Inc.)
2006 D. Nev.
(412 F.Supp.2d 1106)
フェアユース第1基準 文章および画像
(デジタル)
合法 Google検索のキャッシュ表示が著作権侵害か問われた裁判。サイト運営者は任意でキャッシュON/OFF設定ができるため、Googleに非がないとして棄却された。 [19]
Perfect 10対Amazon.com他裁判
(Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.)
2007 9th Cir.
(508 F.3d 1146)
フェアユース第1・第4基準 画像
(デジタル)
合法 「ケリー他対アリバ・ソフト裁判」の類似ケース。成人向け雑誌『Perfect 10』はヌード画像を有料会員に閲覧提供していたが、検索エンジンのGoogleがその画像を自動サムネイル化。またそのサムネイル画像をGoogleがAmazonに提供する業務契約を締結していたことから、Amazonの顧客も無料で画像が閲覧できる状態であり、Googleの行為に対し一時差止命令を請求した。サムネイルが小型・低解像であったことから変形的利用が認められ、また元サイト (Perfect 10) の出典表記とリンクによって閲覧者が誘導される仕組みであることから、損害性もないと判示された。 [19][55]
ワーナー・ブラザーズ対RDRブックス裁判
(Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books)
2008 S.D. N.Y.
(575 F.Supp.2d 513)
フェアユース第1基準 (二次的著作物) 文章
(印刷書籍)
違法 ハリー・ポッター』シリーズの用語などを収録した百科事典。複数シリーズの用語を1冊の事典にまとめていることから「若干の変形性」は認められたものの、逐語的な引用が多いことからフェアユースの要求水準には満たないと判示された。en: Legal disputes over the Harry Potter seriesも参照。 [19]
サリンジャー対コルティング裁判
(Salinger v. Colting)
2009 S.D. N.Y.
(641 F.Supp.2d 250)
フェアユース第1基準 (パロディ) 文章
(印刷書籍)
違法 小説家J・D・サリンジャー作『ライ麦畑でつかまえて』の主人公コールフィールド少年の続編小説を別の筆者が創作。被告はパロディだと主張したが、少年を大人に設定し直しただけで性格などは原作を踏襲していることから、変形的利用の要件を満たしておらず、著作権侵害の判示となった。ただし一審では一時的出版差止が認められたものの、二審では差止に関する見解に修正が入っている。 [19]
ウォーレン出版対スパーロック裁判
(Warren Publishing Co. v. Spurlock d/b/a Vanguard Productions)
2009 E.D. Pa.
(645 F.Supp.2d 402)
フェアユース第1・第3・第4基準、職務著作 画像
(印刷書籍)
合法 当時フリーランサーだったコミック作家J. デヴィッド・スパーロック英語版のキャラクター「Gogos」がウォーレン出版のモンスター雑誌『Famous Monsters』191冊中51冊の表紙を飾った。ウォーレンはイラストの法人著作権を自社が有していると主張し、スパーロックは1回限りの使用許諾を雑誌社に与えたのみと主張。スパーロックがGogosのイラスト総集編を2006年に出版したことから訴訟となった。雑誌は四半世紀以上前に廃刊となっており、また表紙1ページのみで引用量が限定され、一部イラストは改稿されていることからフェアユース判定。 [19]
キャピタル・レコーズ対アロージャン裁判
(Capitol Records Inc. v. Alaujan)
2009 D. Mass.
(2009 WL 5873136)
音楽
(インターネット)
違法 関連裁判のen: Sony BMG Music Entertainment v. Tenenbaumも参照。 [19][56]
ゲイロード対アメリカ合衆国政府裁判
(Gaylord v. United States)
2010 Fed. Cir.
(595 F.3d 1364)
フェアユース第1基準 美術
(切手印刷)
違法 彫刻家フランク・ゲイロード英語版の作品をアメリカ合衆国郵便公社 (USPS) が朝鮮戦争の記念切手に使用。一審で著作権侵害は認められたものの損害賠償は5千ドルのみ。控訴審を経て約68万5千ドルに増額。3次元の彫刻を2次元の切手にするだけでは変形的利用とは認められないと判示された。en: Frank Gaylord#Careerも参照。 [19]
Righthaven対リアリティ・ワン・グループ裁判
(Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc.)
2010 D. Nev.
(No. 2:10-cv-LRH-PAL, 2010 WL 4115413)[註 8]
フェアユース第3・第4基準 文章
(デジタル)
合法 著作権侵害が疑われる著作物の著作権を買い取って訴訟ビジネスを行ういわゆる「コピーライト・トロール」会社のRighthavenによる訴訟。新聞記事冒頭8文を不動産会社がブログに転載。8文だけで記事の核心ではなく、潜在市場価値に影響しないためフェアユースが認められた。 [19]
Righthaven対JAMA裁判
(Righthaven LLC v. JAMA)
2011 D. Nev.
(No. 2:2010-cv-01322, 2011 WL 1541613)[註 8]
フェアユース第1・第4基準 文章
(デジタル)
合法 非営利団体JAMAは、警察による人種差別を指摘する目的で新聞記事を引用。Righthavenは新聞社から記事の著作権を購入した上でJAMAを提訴した。Righthavenが新聞社ではないことから、引用しても原告の潜在市場価値を損ねない。かつJAMAは非営利団体で引用目的も合致のため、フェアユースが認められた。 [19]
Righthaven対デモクラティック・アンダーグラウンド裁判
(Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC)
2011 D. Nev.
(791 F. Supp. 2d 968)
DMCA、フェアユース第3基準 文章
(デジタル)
合法 オンラインの政治フォーラム "Democratic Underground" に新聞記事5文が引用された。当フォーラムはデジタルミレニアム著作権法 (DMCA) のセーフハーバー条項適用対象であり、かつ引用量は5文のみで収益インパクトも限定的なため、フェアユースが認められた。 [19]
ノースランド家族計画クリニック対バイオ倫理改革センター裁判
(Northland Family Planning Clinic v. Center for Bio-Ethical Reform)
2012 C.D. Cal.
(No. SACV 11-731 JVS)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 映像
(デジタル以外)
合法 中絶擁護団体が作成した映像を流用し、中絶反対団体が比較映像を作成。一般的なパロディの定義にはユーモアやジョークなど笑いの要素が含まれるが、本件では笑いの一切ない批判や評論であってもパロディが成立すると判示された。 [19]
SOFAエンターテイメント対ドジャー・プロダクションズ裁判
(SOFA Entertainment, Inc. v. Dodger Productions, Inc.)
2013 9th Cir.
(No. 2:08-cv-02616)
フェアユース第1・第4基準 映像
(実演)
合法 バラエティTV番組『エド・サリヴァン・ショー』の映像7秒を使用し、ロックバンドのフォー・シーズンズのドキュメンタリー調ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』を創作。フォー・シーズンズの経歴を辿る目的で映像が使用されており、変形的利用が認めた。また当ミュージカルはステージ実演のみでDVD販売されていないことから、TV番組への損害が認められなかった。 [19]
カリウ対プリンス裁判
(Cariou v. Prince)
2013 2d Cir.
(714 F.3d 694)
フェアユース第1基準 絵画
(実物)
合法 フランス人写真家パトリック・カリウフランス語版の作品をベースに、アメリカ人画家リチャード・プリンス英語版が絵画を創作。変形的利用が認められた。 [19][40]
アロー・プロダクションズ対ワインスタイン・カンパニー裁判
(Arrow Productions, LTD v. The Weinstein Company LLC)
2014 S.D. N.Y.
(2014 WL 4211350)
フェアユース第1基準 映像
(映画)
合法 1972年ポルノ映画の代表作『ディープ・スロート』 (アロー製作) に主演したAV女優リンダ・ラヴレースを人物主題にして、2013年に自伝映画『ラヴレース』 (ワインスタイン製作) が創作された。『ラヴレース』に『ディープ・スロート』の3シーンが映像引用されたが、リンダ・ラヴレースの自伝本に基づいて自伝映画は製作されていること、また批判的見地から主題を捉えなおしていることを理由に変形的利用が認められた。 [19]
キーニッツ対スコニー・ネイション裁判
(Kienitz v. Sconnie Nation)
2014 7th Cir.
(766 F.3d 756)
フェアユース第1基準 画像
(衣類)
合法 ウィスコンシン州の市長を撮影した写真家マイケル・キーニッツの作品を改変し、選挙アンチキャンペーン資金集めのためにスコニー・ネイション社がTシャツにプリントした。屈辱的な表情、背景の除去、文字追加など変形度が高かったことからフェアユース判定。 [19]
FOXニュース対TVEyes裁判
(Fox News v. TVEyes, Inc.)
2014 S.D. N.Y.
(43 F. Supp. 3d 379)
フェアユース第1・第3・第4基準 映像
(デジタル)
合法・違法混在 1400局以上のテレビやラジオのメディア報道データベース検索を提供するTVEyesは、有料会員に1クリップあたり最大10分のニュース映像を提供していた。第1基準に則り、キーワード検索や閲覧については営利目的ではあるが変形的利用が勝るとしてフェアユース判定となった。引用の質と量を計る第3基準では、10分制限でニュース全量が見られる点が指摘された。収益インパクトを問う第4基準では、会員自身のパソコンダウンロードや他者へのEmail回付機能について違法判定となった。違法機能については終局的差止命令が下された結果、TVEyesはFOXニュースの取扱を廃止決定した。en: 2019 in American television (1月21日の出来事)も参照。 [19]
ケンブリッジ大学出版局他対パットン裁判
(Cambridge University Press v. Patton)
2014 11th Cir. Ga.
(769 F.3d 1232)
フェアユース第1-第4基準全て 文章
(デジタル)
合法 (一部違法) ジョージア州立大学コースリザーブ英語版の電子システム (予習教材や参考書などをデジタル化して受講生に提供する閲覧・ダウンロードシステム) を使用して著作物を無断で大量に複製提供しているとして、ケンブリッジ大学出版局オックスフォード大学出版局などが提訴。多くの大学がコースリザーブを提供していることから類似訴訟も後に起こっている。一審ではフェアユース第4基準 (収益インパクト) のみ原告有利だが、第1~3基準は被告有利としてフェアユースを認めた。二審では一審を覆し、再審理で一審に差戻しを命じたものの、大半はフェアユースの判示となった。 [19][40]
全米作家協会対ハーティトラスト裁判
(Authors Guild, Inc. v. HathiTrust)
2014 2d Cir.
(755 F.3d 87)
フェアユース第1基準 文章
(デジタル)
合法 全米作家協会他対Google裁判の類似ケース。ハーティトラストGoogleブックスのスピンオフで図書館連携プロジェクト。蔵書アーカイブのデジタル化を行っており、著作権侵害が問われた。フェアユースの第1基準 (非営利性) に合致のため合法の判示。 [19][6]
スウォッチ対ブルームバーグ裁判
(Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. )
2014 2d Cir.
(742 F.3d 17)
フェアユース第1基準 文章および音声
(ニュース報道)
合法 時計メーカーであるスウォッチ・グループの役員から証券アナリストへの電話内容に収益性などの情報を含まれており、これを音声録音と文字書き起こしの形で経済メディアのブルームバーグが入手して公表。投資家への情報開示・報道目的であることから、フェアユース第1基準が定める「変形的利用」をそもそも満たす必要はないとされ、音声そのままの公表はフェアユースと判示された。 [19][40]
全米作家協会他対Google裁判
(Authors Guild v. Google, Inc.)
2015 2d Cir.
(No. 13-4829)
反トラスト法、フェアユース第1-第4基準全て 文章
(デジタル)
合法 Googleブックスが無断で書籍を大量デジタルスキャン。著作権者を代表して業界団体の全米作家協会らが集団訴訟を起こした。当初は裁判所も著作権侵害を認め、原告団有利の形で総額1億2500万米ドルの和解交渉を進めていたものの、最終的にフェアユース判定となった。和解によってGoogleの電子書籍市場における独占化が進行し、反トラスト法 (独占禁止法) への抵触が懸念され、競合のマイクロソフトAmazonYahoo!などが合従連衡で反対運動を展開したほか[57]、フランスとドイツ政府が米国裁判所に反対意見書を提出した[58][59][60]ことでも知られる。終結までに約11年を要した。 [19][40]
[61]
カッツ対シェヴァルディーナ裁判
(Katz v. Chevaldina)
2015 11th Cir.
(No. 14-14525)
フェアユース第1・第2基準 画像
(デジタル)
合法 別名「カッツ対Google裁判」。米不動産王のラーナン・カッツが所有するショッピングセンターの元テナント女性がカッツの屈辱的な画像をGoogle検索し、カッツの経営への不満を公表するブログ記事に掲載した。カッツは写真の著作権が自分にあると主張し、一次責任者としてブログ執筆女性と、二次責任者としてGoogleを提訴した (後に対Googleは取り下げ)。二審では、ブログ記事が批判かつ非営利目的であること (第1基準)、および写真がカッツのポーズや表現、衣服などを印象付けるような表現性に欠ける (第2基準) としてフェアユースを認めた。 [19]
イコールズ・スリー対ジューキン・メディア裁判
(Equals Three, LLC v. Jukin Media, Inc.)
2015 C.D. Cal.
(14-09041)
DMCA、フェアユース第1基準 映像
(デジタル)
合法 マッシュアップ型のデジタル二次的著作物の判例。ジューキン・メディア英語版は一般ユーザ作成動画を収集し、その動画の利用者に対して著作者の代わりに利用ライセンス料を徴収するオンライン・メディア。また自社製作の動画もYouTube等に公開している。人気YouTuberレイ・ウィリアム・ジョンソン率いるイコールズ・スリー社がYouTubeにアップロードした動画の一部を、ジューキンがデジタルミレニアム著作権法 (DMCA) が定めるノーティス・アンド・テイクダウンの手続に則り、YouTubeに削除要請し、代わりにジューキン公式のYouTubeチャネルにリンク誘導した。イコールズ・スリーは広告収入減とDMCA濫用でジューキンを提訴した。動画1点を除き、イコールズ・スリーは全て変形的利用が認められた。 [19]
キーリング対ハーズ裁判
(Keeling v. Hars)
2015 2d Cir.
(No. 13-694)
フェアユース第1基準 (パロディ) 映像
(映画)
合法 映画『ハートブルー』 (原題: Point Break) のパロディ。二次的著作物は著作権者の許諾が法的に必要となるが、パロディかつ付加が多いため許諾不要との判示。en: Derivative work#Lawful works requirementも参照。 [19]
TCAテレビジョン対マッカラム裁判
(TCA Television Corp. v. McCollum)
2016 2d Cir.
(No. 1:16-cv-0134)
フェアユース第1基準 (パロディ)・第4基準、更新手続 演劇
(実演)
違法 お笑いコンビのアボットとコステロの持ちネタ "Who's on first?" をパロディ化してブロードウェイミュージカルとして実演。一審は変形性が高いとしてフェアユース判定だったが二審で否定し、かつ第4基準の損害性があると判定。しかし著作者の相続人が著作物の更新手続を怠ったことから、原告の訴えを退けた。 [19]
Oracle対Google裁判
(Oracle America, Inc. v. Google, Inc.)
2019 最高裁
(上告受理申立中)
フェアユース第1-第4基準全て プログラム
(デジタル)
未決 Oracleサン・マイクロシステムズを企業買収する形で権利獲得したJava APIを、Googleが自社のモバイル用OSであるAndroidに利用したとして、特許権と著作権侵害で総額88億米ドル (約1兆円) の損害賠償を求めてOracleがGoogleを2010年に提訴した。一審では、陪審は著作権侵害の判断をしたものの、裁判所はJava APIが著作権保護の対象に当たらないとの理由で2012年に原告の主張を退けている。しかし2014年、二審では営利性および潜在市場への影響度の観点で圧倒的にOracle有利と見て著作権侵害を認めた。2019年1月、Googleは二度目の最高裁への上告受理申立 (certiorari) を行っている[62][63][64] [40]

フェアユース関連以外

判例の通称 判決年 裁判所
(判例集番号)
争点 著作タイプ 判決 訴訟概要と判決要点 特筆性
ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判
(Nichols v. Universal Pictures Corp.)
1930 2d Cir.
(45 F.2d 119)
アイディア・表現二分論、言語著作物における実質的類似性英語版 文章
(舞台劇・映画)
合法 小説や脚本などの言語著作物から、逐語的ではなくコンセプトを利用した場合の不正盗用判定方法として「抽象化テスト」を確立した判例。舞台劇『Abie's Irish Rose英語版』の作者アン・ニコルズ英語版が、1926年公開のサイレント映画The Cohens and Kellys英語版』の製作者であるユニバーサル・ピクチャーズに盗用されたと主張。舞台劇は、ユダヤ人男性とアイルランド人女性の格差婚、そして両家を巻き込んだ葛藤を描く。映画は、男女の出身設定が逆転しているものの、同類のテーマ性であるが、(アイディア・表現二分論で定めるところの) アイディアでしかなく、著作権保護の適用となるオリジナル表現ではないと判示された。同様にシェイクスピアの手法、アインシュタインの相対性理論、ダーウィンの進化論を下敷きにする行為も著作権侵害にならないと例示された。 [65][66]
アルフレッド・ベル対カタルダ・ファインアーツ裁判
(Alfred Bell & Co. Ltd. v. Catalda Fine Arts, Inc.)
1951 2d Cir.
(191 F.2d 99)
二次的著作物、美術複製の保護要件 美術
(版画)
違法 メゾティント銅版を手掛けるイギリス人のアルフレッド・ベルは、著作権の保護期間が切れてパブリック・ドメイン (公有) に帰している名画を元に版画を制作し、アメリカ合衆国著作権局に著作権登録済であった。この版画を元にカタルダ社がリトグラフ化して販売した。カタルダは著作権侵害か、またベルの美術複製作品はそもそも著作権保護の対象なのかが問われた。メゾティント銅版を創作するには工具と複雑なスキルを要し、また色の選択などに創作性が認められることから、ベルの作品に著作物性があると判示された。詳細背景は一審を、美術複製の保護要件については「#ダーラム対トミー裁判」も参照のこと。 [67]
ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ対CBS裁判
(Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc.)
1954 9th Cir.
(216 F.2d 945)
アイディア・表現二分論、キャラクターの保護要件 文章
(小説・映画)
訴訟概要を参照 ハードボイルド探偵小説『マルタの鷹』に登場する探偵サム・スペードを巡る裁判。作者ハメットノップフ社英語版から単行本を出版し、ハメットとノップフは映画・ラジオ・テレビ番組化権をワーナーに譲渡した。その後、ハメットは別小説でもスペードなどのキャラクターを再登場させ、同様に映画化などの権利をCBSに譲渡したことから、ワーナーがキャラクターの独占権を主張した。漫画などのキャラクターと異なり、言語著作物のキャラクターは著作権保護されないとの判示。しかしこの基準は厳格すぎるとして、後の判事や法学者から否定的な意見もある。 [65][66]
モリシー対P&G裁判
(Morrissey v. Procter & Gamble Co.)
1967 1st Cir.
(379 F.2d 675)
アイディア・表現二分論 (マージ理論) 企画
(アイディア)
合法 マージ理論のリーディング・ケース。モリシーは販売促進用の宝くじを企画・運営していたが、応募者が氏名、住所、社会保障番号などを記入するその運用方法が、P&G主催の宝くじと類似しているとして提訴した裁判。アイディアを利用するにあたって、作品の複製を必要とする場合は、その複製行為は著作権侵害にあたらないとされ、既にくじの引き方というアイディアが枯渇しているものにまで著作権による独占を認めることは、社会的な損失になると判断された。 [68][69]
[70]
ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判
(Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian)
1971 9th Cir.
(446 F.2d 738)
アイディア・表現二分論 デザイン
(実用品)
合法 宝飾メーカー同士の争い。宝石に金をあしらったミツバチ型の宝飾ピンを著作権登録済だったハーバートが、そのデザインを盗用されたとしてカルパキアンを提訴した。カルパキアンは自然界のミツバチを研究してデザインしており、両社とも実物のミツバチに似てはいるものの、デザインの盗用は否定された。また、アイディア・表現二分論に基づき、アイディア (ミツバチ型のピンを作る発想) とその表現 (出来上がったピンのデザイン) が不可分であることから、表現を模倣しても著作権侵害に当たらないと判示した。 [71]
モンティ・パイソン対ABC裁判
(Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.)
1976 2d Cir.
(538 F.2d 14)
著作者人格権 (同一性保持権) 映像
(テレビ)
違法 著作者人格権のリーディング・ケース。モンティ・パイソン脚本・出演のテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』(英国BBCにて原放送) が、米国ABCでも放送された際に一部内容が改変されたため、原著作物の同一性保持権が損なわれたとしてメンバーのテリー・ギリアム他がABCを提訴。一審は同一性の毀損を認めるも、改変の許諾・調整によってABCの放送に遅れが生ずると実損害が発生するとの理由から、実質敗訴。しかし二審は、編集カットによってモンティ・パイソンのブランドが毀損するとして勝訴の判決を下した。なお当時の米国はベルヌ条約批准していなかったことから、同条約が求めていた著作者人格権を米国著作権法上で明文化しておらず、人格権侵害はもっぱらコモンローに基づく司法判断に委ねられていた。そのため、人格権侵害が認められたケースは本件含めて非常に少ない。これが仮に、著作者人格権が明文化された1989年以降に提訴されていたら棄却されていただろうとも指摘されている。なぜならば、同権を謳う第106A条は狭義の視覚芸術著作物に限定されていることから、テレビ番組には適用不可と判断されうるためである。 [72][73]
[74]
ダーラム対トミー裁判
(Durham Industries, Inc. v. Tomy Corp.)
1980 2d Cir.
(630 F.2d 905)
二次的著作物、美術複製の保護要件 キャラクター
(玩具)
合法 ディズニーのキャラクターであるミッキーマウスドナルドダックおよびプルートがパブリック・ドメインに帰していたことから、玩具メーカー2社が同キャラクターそっくりのぜんまい式玩具を同時期に製造し、日系企業トミー (現タカラトミー) がダーラムを著作権侵害で提訴した。本件では映画やコミック本に登場する二次元キャラクターを三次元の小さなプラスチック玩具に作り替えただけでは、芸術的な創作性は認められないとの理由から、玩具自体の著作物性が否定された。美術複製の保護要件については「#アルフレッド・ベル対カタルダ・ファインアーツ裁判」も参照のこと。 [67]
アップルコンピュータ対フランクリンコンピュータ裁判
(Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.)
1983 3d Cir.
(714 F.2d 1240)
著作物の定義 コンピュータ・プログラム
(デジタル)
違法 1980年の著作権法改正でコンピュータ・プログラムが著作権保護対象に加わった直後の判決。1981年当時、アップル社は年間40万台以上のパソコンを製造・販売していた。被告のフランクリン社製パソコンは1000台未満しか売れていなかったが、アップル製とのソフトウェアの互換性を売りにしていた。フランクリンがアップルのOSを不正盗用したとして、14のプログラムを対象に著作権と特許権侵害、不正競争防止違反、および不正流用で提訴。フランクリンはアップルの著作権登録に手続の不備があるとして、著作権保護対象ではないと抗弁したほか、訴訟対象を14から3プログラムに絞るよう要請した。フランクリンはアップルからの流用を認めた上で、互換性を担保するには必要不可欠な行為だとも主張した。しかし両社の製品は酷似していることから、被告の損害立証なしで一時差止命令を下した。 [75]
ウォーカー対タイム・ライフ・フィルムズ裁判
(Walker v. Time Life Films Inc.)
1986 2d Cir.
(784 F.2d 44)
アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論) 映像
(映画)
合法 1976年出版・ウォーカー著『Fort Apache』が1981年映画『アパッチ砦・ブロンクス』 (原題: Fort Apache, The Bronx) に盗用されたとして提訴した。両作とも黒人と白人警官の死亡事件で始まり、闘鶏、飲酒、部品を盗まれた車、売春、ネズミが登場するが、これらはニューヨーク州サウス・ブロンクスでたびたび報道されている事実であり、その設定に著作物性はないとし、「ありふれた情景の理論」の立場が取られた。en: Fort Apache, The Bronx#Legal issuesも参照。 [76][77]
データイースト対エピックス裁判
(Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.)
1988 9th Cir.
(862 F.2d 204)
アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論)、ルック・アンド・フィール ゲーム
(デジタル)
合法 日本のゲーム会社データイーストがリリースした「空手道」(日本国外ではKarate Champの名称) が、イギリスのシステムⅢソフトウェア社からライセンス許諾を受けているカリフォルニア州企業エピックス社のゲーム「World Karate Champion」に盗用されたとして提訴。白と赤の空手着を身にまとった対戦相手、主審による勝者宣言、対戦ごとに異なる背景シーン、ボーナス・フェーズなどの設定が似ていたが、空手対戦ゲームという所与のアイディアから必然的に発生する標準的な表現にまで、著作権の保護を与えられないとされた。 [78][79]
アタリゲームズ対オマーン裁判
(Atari Games Corp. v. Oman)
1992 D.C. Cir.
(979 F.2d 242)
アイディア・表現二分論、編集著作物 ゲーム
(デジタル)
訴訟概要を参照 アタリ社製ゲームのブロックくずし (BREAKOUT) を視聴覚著作物のカテゴリで著作権登録申請するも、幾何学模様と色使いがシンプルなどの理由から著作物性を認めず、著作権局長英語版ラルフ・オマーン英語版が2度却下した。画面上に表示される色付きブロック自体には著作物性はないものの、音響を伴って連続した映像 (編集著作物) としては創作性があり、著作物性があると判示された。 [80]
ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判
(Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al)
1993 10th Cir.
(9 F.3d 823)
アイディア・表現二分論 ソフトウェア
(デジタル)
合法 機械用ベルト製造の競合同士の争い。ベルト製品開発用のソフトウェアに関する詳細設計やソースコードなどを元ゲイツ従業員が持ち出し、転職先のバンドー (日系企業の米国支部) で類似ソフトウェアを開発したとして、不正競争防止法違反、企業秘密の不正流用および著作権侵害でゲイツが提訴した。本件では著作権法上の実質的類似性英語版を検証する上で、抽象化・排除・比較テスト英語版 (別称: 3ステップ・テスト) の手法を確立させたとして知られている。 [81][82]
サルの自撮り裁判
(Naruto, et al. v. Slater, et al.)
2018 9th Cir.
(No. 16-15469)
人間以外の著作者、パブリックドメイン 画像
(デジタル)
訴訟概要を参照 英国人写真家スレイターがインドネシア滞在中、カメラとリモコンを意図的に放置したところ、クロザル自撮りをして各種メディアに写真画像が取り上げられた。サルに著作権はないとして、このメディア掲載画像がウィキメディア・コモンズ上でパブリックドメイン作品として公有された。スレイターは自身に写真の著作権が帰属すると主張してウィキメディア財団と対立。さらに、動物の倫理的扱いを求める人々の会 (PETA) は動物にも著作権が認められると主張し、サルをNarutoと名付けて代理訴訟を起こした。一審はPETAの訴えを棄却し、二審への控訴中に当事者間で和解が成立した。 [83]
電子フロンティア財団対米国政府裁判
(Green, et al. v. U.S. Department of Justice, et al.)
2016年から係争中 D. D.C.
(未掲載)
言論の自由、デジタルミレニアム著作権法 (DMCA) の合憲性 - 未決 インターネット上の自由権を擁護する非営利組織の電子フロンティア財団 (EFF) は科学者らを代表する形で、DMCAが憲法修正第1条で定められた言論の自由に違反すると主張。司法省アメリカ議会図書館およびアメリカ合衆国著作権局 (略称: USCO) を提訴した。DMCAによって改正追加された米国著作権法第1201条では、海賊版などを取り締まる目的でコピーガードアクセスコントロールを解除することを禁じている。しかし電子機器や工業用品の多くがソフトウェアを内蔵する今日において、これらメーカーから独立した第三者機関が修理や不具合の原因究明 (リバースエンジニアリング) を行おうとしても、第1201条に抵触してしまう[84][85]。USCOは2018年、EFFからの嘆願書の一部を受け入れ、Amazon Echoや車載ソフトウェア、個人用デジタル端末などに限定して、内蔵ソフトウェアの修繕や除去 (いわゆる脱獄) などを認めた[86] [87]

関連項目

外部リンク

註釈

  1. ^ アダルト映画製作Malibu Mediaの1社だけで2012年から2016年の間に累計5000件以上提訴していることから、この5年間の総件数の上振れ特殊要因となっている。
  2. ^ 州政府の作成した法令や判例集が著作権保護の対象となるか問われた判例が一部存在する[8]
  3. ^ 例えば最高裁の判例 (2001年) New York Times Co. v. Tasini (正式名はThe New York Times Company, Inc., et al., Petitioners v. Jonathan Tasini, et al.) の場合[9]、著作権者を代表してジョナサン・タシーニ英語版らが新聞社ニューヨーク・タイムズなどを著作権侵害で提訴している。しかし二審の合衆国控訴裁 (1997年) まではTasini v. New York Times Co.と表記されている[10]。その後、被告ニューヨーク・タイムズなどが二審の判決を不服として上訴したことから、最高裁での裁判名は順番が逆転している。
  4. ^ 1947年以前、1947年改正法、および1976年改正法における条文対比表は政府公式サイトを参照のこと。
  5. ^ 鉛筆削りはTed Arnold Ltd. v. Silvercraft Co. (259 F.Supp 733 (S.D.N.Y. 1956))、貯金箱はRoyalty Designs, Inc. v. Thrifticheck Serv. Corp. (204 F.Supp 702 (S.D.N.Y. 1962))、繊維製品はPeter Pan Fabrics, Inc. v. Martin Weiner Corp. (274 F.2d 487 (2nd Cir. 1960)) などが挙げられる。
  6. ^ Folsom, Wells and Thurstonが正式社名[49]
  7. ^ Marsh, Capen and Lyonが正式社名[49]
  8. ^ a b 判例集へ未掲載のため、裁判所による訴訟管理番号を代わりに記載。

出典

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引用文献