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「人魚」の版間の差分

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パプアニューギニアの人魚
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アンデルセンの童話「[[人魚姫]]」では、人魚には「不死の魂」がないのでそのままでは人間との恋は成就しない。<ref>九頭見和夫; 日本の「人魚」像 ―『日本書紀』からヨーロッパの「人魚」像の受容まで―pp106. 和泉書院. 2012</ref>ただしこのアイディアはアンデルセンの発案ではなく、[[フリードリヒ・フーケ]]の『[[ウンディーネ]]』などが先行する。<ref>日本児童文学会[編]; アンデルセン研究pp117-118. 小峰書店. 1975</ref>歌詞などで叶わぬ恋、報われない愛を象徴的に表すため人魚、マーメイドなどの文字列を使用することがある。たとえば「虹色の涙」([[田村英里子]])、「十月の人魚」([[岡田有希子]])、「人魚姫 ~mermaid~」([[中山美穂]])など。
アンデルセンの童話「[[人魚姫]]」では、人魚には「不死の魂」がないのでそのままでは人間との恋は成就しない。<ref>九頭見和夫; 日本の「人魚」像 ―『日本書紀』からヨーロッパの「人魚」像の受容まで―pp106. 和泉書院. 2012</ref>ただしこのアイディアはアンデルセンの発案ではなく、[[フリードリヒ・フーケ]]の『[[ウンディーネ]]』などが先行する。<ref>日本児童文学会[編]; アンデルセン研究pp117-118. 小峰書店. 1975</ref>歌詞などで叶わぬ恋、報われない愛を象徴的に表すため人魚、マーメイドなどの文字列を使用することがある。たとえば「虹色の涙」([[田村英里子]])、「十月の人魚」([[岡田有希子]])、「人魚姫 ~mermaid~」([[中山美穂]])など。
== 西洋の人魚伝説 ==
== 西洋の人魚 ==


=== ローレライ ===
=== ローレライ ===
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ノルウェー語で人魚をこう呼ぶ。ハゥフル(havfrue) は、漁師の間では嵐や不漁の前兆とされ、見たら仲間に話さずに火打石で火花を立てることで(嵐や不漁を)回避することができるとされる。また、人魚には予知能力があるとされ、予言を聞いたという伝説もある。<ref>Knut Hermundstad; I Manns Minne: Gamal Valdreskultur III,Norsk folkeminnelags skrifter nr. 55pp120. 1944</ref> <ref>Kristian Bugge; Folkeminneoptegnelser: Et utvalg, Norsk folkeminnelags skrifter nr. 31pp92. 1934</ref>
ノルウェー語で人魚をこう呼ぶ。ハゥフル(havfrue) は、漁師の間では嵐や不漁の前兆とされ、見たら仲間に話さずに火打石で火花を立てることで(嵐や不漁を)回避することができるとされる。また、人魚には予知能力があるとされ、予言を聞いたという伝説もある。<ref>Knut Hermundstad; I Manns Minne: Gamal Valdreskultur III,Norsk folkeminnelags skrifter nr. 55pp120. 1944</ref> <ref>Kristian Bugge; Folkeminneoptegnelser: Et utvalg, Norsk folkeminnelags skrifter nr. 31pp92. 1934</ref>


== アジアの人魚伝説 ==
== アジアの人魚 ==
ここでは日本以外のアジアの人魚について述べる。
=== 海人 ===
=== 海人 ===
古代中国でヒトの祖先とされた、一種の海棲人類のこと。『[[淮南子]]』巻四では、各種の動物について、古代中国独特の「[[進化論]]」が説かれている。ヒトの進化の道筋については、
古代中国でヒトの祖先とされた、一種の海棲人類のこと。『[[淮南子]]』巻四では、各種の動物について、古代中国独特の「[[進化論]]」が説かれている。ヒトの進化の道筋については、
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中国の人魚。『[[洽聞記]]』という書物によれば東海([[東シナ海]])に生息し、体長は大きい個体では5~6尺(約1.5~1.8メートル)。容姿は大変美しく、髪は馬の尾のようで、鱗には細い毛がある。中国の人魚伝承では交婚が認められていないことが多いが、海人魚は交婚は自由であり、臨海で多くの鰥寡を捕らえて池や沼で養うという<ref>[http://www.geocities.jp/cato1963/20120518.html 中国古典における「存在の連鎖」について](2018年6月20日閲覧)</ref><ref>井伏鱒ニ; 落合の河童, 旅と伝説11号pp36-39. 三元社. 1928</ref><ref>水木しげる; 妖鬼化 第5巻 東北・九州編pp85. Softgarage. 2004. ISBN:978-4-86133-027-8</ref>。
中国の人魚。『[[洽聞記]]』という書物によれば東海([[東シナ海]])に生息し、体長は大きい個体では5~6尺(約1.5~1.8メートル)。容姿は大変美しく、髪は馬の尾のようで、鱗には細い毛がある。中国の人魚伝承では交婚が認められていないことが多いが、海人魚は交婚は自由であり、臨海で多くの鰥寡を捕らえて池や沼で養うという<ref>[http://www.geocities.jp/cato1963/20120518.html 中国古典における「存在の連鎖」について](2018年6月20日閲覧)</ref><ref>井伏鱒ニ; 落合の河童, 旅と伝説11号pp36-39. 三元社. 1928</ref><ref>水木しげる; 妖鬼化 第5巻 東北・九州編pp85. Softgarage. 2004. ISBN:978-4-86133-027-8</ref>。


=== 日本の人魚 ===
== 日本の人魚 ==
[[ファイル:SekienNingyo.jpg|right|thumb|220x220px|[[鳥山石燕]]『[[今昔百鬼拾遺]]』より「人魚」]]
[[ファイル:SekienNingyo.jpg|right|thumb|220x220px|[[鳥山石燕]]『[[今昔百鬼拾遺]]』より「人魚」]]
ここでは日本(アイヌモシリ、琉球王国含む)の人魚について述べる。
[[日本]]でも人魚の存在が早くから語られている。最古の記録は[[619年]]とされており、[[摂津国]](現・[[大阪府]])で[[漁師]]の網に人魚が捕えられたという記述が『[[日本書紀]]』にある。<ref>村上健司[編著]; 妖怪事典pp255. 毎日新聞社. 2000. ISBN:978-4-620-31428-0</ref>
[[日本]]でも人魚の存在が早くから語られている。最古の記録は[[619年]]とされており、[[摂津国]](現・[[大阪府]])で[[漁師]]の網に人魚が捕えられたという記述が『[[日本書紀]]』にある。<ref>村上健司[編著]; 妖怪事典pp255. 毎日新聞社. 2000. ISBN:978-4-620-31428-0</ref>


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{{Anchors|八百比丘尼}}
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==== 八百比丘尼伝説 ====
=== 八百比丘尼伝説 ===
八百比丘尼(やおびくに、はっぴゃくびくに<ref>[http://hukumusume.com/douwa/new/02/08.htm 八百比丘尼(やおびくに・はっぴゃくびくに) 福井県の民話] 福娘童話集、2009年2月8日</ref>)は、人魚など特別なものを食べたことで長寿になった[[尼|比丘尼]]のことで<ref name=kotobank1101629>[https://kotobank.jp/word/%E5%85%AB%E7%99%BE%E6%AF%94%E4%B8%98%E5%B0%BC-1101629 コトバンク -八百比丘尼-]</ref>、日本のほとんど全国に分布している伝説の人物である。白比丘尼とも呼ばれる<ref name=kotobank1101629/>。800歳まで生きたが、その姿は17~18歳の様に若々しかったといわれている<ref name=wakahaku>[http://wakahaku.pref.fukui.lg.jp/exhibition/detail/post-413.php 若狭歴史博物館 新春特別公開「八百比丘尼 ~二人の女神像~」]</ref>。
八百比丘尼(やおびくに、はっぴゃくびくに<ref>[http://hukumusume.com/douwa/new/02/08.htm 八百比丘尼(やおびくに・はっぴゃくびくに) 福井県の民話] 福娘童話集、2009年2月8日</ref>)は、人魚など特別なものを食べたことで長寿になった[[尼|比丘尼]]のことで<ref name=kotobank1101629>[https://kotobank.jp/word/%E5%85%AB%E7%99%BE%E6%AF%94%E4%B8%98%E5%B0%BC-1101629 コトバンク -八百比丘尼-]</ref>、日本のほとんど全国に分布している伝説の人物である。白比丘尼とも呼ばれる<ref name=kotobank1101629/>。800歳まで生きたが、その姿は17~18歳の様に若々しかったといわれている<ref name=wakahaku>[http://wakahaku.pref.fukui.lg.jp/exhibition/detail/post-413.php 若狭歴史博物館 新春特別公開「八百比丘尼 ~二人の女神像~」]</ref>。


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==== 絵本小夜時雨 ====
=== 絵本小夜時雨 ===
{{Anchors|髪魚|『絵本小夜時雨』}}
{{Anchors|髪魚|『絵本小夜時雨』}}
[[ファイル:Shungyosai Igyo.jpg|thumb|『絵本小夜時雨』二<br>「浪華東堀に異魚を釣」<ref name="hyakki">{{Cite book|和書|editor=近藤瑞木編|title=百鬼繚乱 - 江戸怪談・妖怪絵本集成|year=2002|publisher=[[国書刊行会]]|isbn=978-4-336-04447-1|pages=108-109頁|chapter=絵本小夜時雨}}</ref>]]
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==== アイヌソッキ ====
=== アイヌソッキ ===
[[アイヌ]]民話で[[北海道]]の[[内浦湾]]に住むと伝えられる人魚。八百比丘尼の伝説と同様、この人魚の肉を食べると長寿を保つことができるという。<ref>村上健司[編著]; 妖怪事典pp2. 毎日新聞社. 2000. ISBN:978-4-620-31428-0</ref>
[[アイヌ]]民話で[[北海道]]の[[内浦湾]]に住むと伝えられる人魚。八百比丘尼の伝説と同様、この人魚の肉を食べると長寿を保つことができるという。<ref>村上健司[編著]; 妖怪事典pp2. 毎日新聞社. 2000. ISBN:978-4-620-31428-0</ref>


==== 人魚供養札 ====
=== 人魚供養札 ===
[[秋田県]][[井川町]]洲崎(すざき)遺跡(13–16世紀、鎌倉室町期)出土の墨書板絵の一つに「人魚供養札」がある。これは民話ではなく、出土遺物であるが、僧侶と人魚が描かれた中世における物的資料である。<ref>[http://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/1513 洲崎遺跡出土人魚木簡(すざきいせきしゅつどにんぎょもっかん)](2018年6月20日閲覧)</ref>
[[秋田県]][[井川町]]洲崎(すざき)遺跡(13–16世紀、鎌倉室町期)出土の墨書板絵の一つに「人魚供養札」がある。これは民話ではなく、出土遺物であるが、僧侶と人魚が描かれた中世における物的資料である。<ref>[http://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/1513 洲崎遺跡出土人魚木簡(すざきいせきしゅつどにんぎょもっかん)](2018年6月20日閲覧)</ref>
[[井戸]]跡から見つかり、長さ80.6センチ。魚の体に両腕と両足が描かれ(尾びれはある)、人の顔だが髪はなく、鱗で覆われている。板絵を観る限り、僧侶より小さい体であるが、犬くらいはある。<!-- 高橋学・工藤直子 考察 -->。前述の『古今著聞集』の記述とは形体が違い、四足動物のような外見(両生類とも半魚人ともいえぬ姿)をしている。西洋的分類としては、[[魚人]]に近い面がある。
[[井戸]]跡から見つかり、長さ80.6センチ。魚の体に両腕と両足が描かれ(尾びれはある)、人の顔だが髪はなく、鱗で覆われている。板絵を観る限り、僧侶より小さい体であるが、犬くらいはある。<!-- 高橋学・工藤直子 考察 -->。前述の『古今著聞集』の記述とは形体が違い、四足動物のような外見(両生類とも半魚人ともいえぬ姿)をしている。西洋的分類としては、[[魚人]]に近い面がある。
[[国立歴史民俗博物館]]准教授・三上喜孝は、鎌倉幕府の歴史書である『[[吾妻鏡]]』を参照の上、不吉な出来事を避けるために供養したのではないかという説を唱えた。<ref>[http://bp.shogakukan.co.jp/nihonshi/episode20-2.html 中世の遺跡から発見された「奇妙な」一枚の板](2018年6月20日閲覧)</ref>
[[国立歴史民俗博物館]]准教授・三上喜孝は、鎌倉幕府の歴史書である『[[吾妻鏡]]』を参照の上、不吉な出来事を避けるために供養したのではないかという説を唱えた。<ref>[http://bp.shogakukan.co.jp/nihonshi/episode20-2.html 中世の遺跡から発見された「奇妙な」一枚の板](2018年6月20日閲覧)</ref>
==== {{Anchor|日本のその他の人魚}} ====
=== {{Anchor|日本のその他の人魚}} ===
これらの他にも、江戸時代に[[肥後国]]で疫病の流行を予言した[[アマビエ]]、[[石垣島]]で[[八重山地震|明和の大津波]]を予言した[[ザン]]などの伝承がある。
これらの他にも、江戸時代に[[肥後国]]で疫病の流行を予言した[[アマビエ]]、[[石垣島]]で[[八重山地震|明和の大津波]]を予言した[[ザン]]などの伝承がある。
==オセアニアの人魚==
=== パプアニューギニアの人魚 ===

[[パプアニューギニア]]の[[ニューアイルランド島]]東海岸に住むナケラ族には、リーという半人半魚の生き物の伝説がある。人類学者のRoy Wagnerは、1960年代から70年代にかけてパプアニューギニアで現地文化に関する聞き取り調査を行った。そのなかでリー(ri, Ri)と呼ばれる生き物の話を大量に採取した。リーは空気を呼吸し、ヒトの頭部・腕・生殖器と魚の下半身(一対の鰭)を持つという。<ref>Roy Wagner; The Ri: Unidentified Aquatic Animals of New Ireland, Papua New Guinea, Cryptozoology(1)pp33-39. 1982</ref>
<ref>[Thomas R. Williams; Identification of the Ri through Further Fieldwork in New Ireland, Papua New Guinea. Cryptozoology(4)pp61-68. 1985</ref>
<ref>[http://www.longwood.edu/staff/miskecjm/380mermaidmanatee.pd fMODERN MERMAID MYSTERIES](2018年6月21日閲覧)</ref>


<!--== パプニューギニアの人魚 ==
{{出典の明記|date=2017年6月|section=1}}
[[パプアニューギニア]]の[[ニューアイルランド島]]東海岸に住むナケラ族には、リーという半人半魚の生き物の伝説がある。


また、イコン村{{どこ|date=2013年9月}}に住むススルンガ族の伝説にもイルカイと呼ばれる半人半魚の生き物の伝説が伝えられている。
-->


== 人魚姫の像 ==
== 人魚姫の像 ==

2018年6月23日 (土) 05:18時点における版


人魚
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによる人魚(マーメイド)の絵画(1900年
種類 神話上の生物
副種類 人魚
類似 半魚人
セイレーン
セルキー
初発見 ケルトの伝承
別名 マーメイド、マーマン
イングランド(現在イメージされる外観)
生息地
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人魚(にんぎょ)は、水中に生息すると考えられた伝説上の生き物である。世界各地に類似の生き物の伝承がある。それらがすべて同一のに属するという保証はないが、ここではそれらを総称して人魚と呼ぶ。

図像

The Land Baby, ジョン・コリア作(1899)


水域に棲み人と魚の特徴を併せ持つという大まかな共通点はあるが、伝承されてきた土地によりその形状や性質は大きく異なる。

ヨーロッパの人魚は、上半身がヒトで下半身が魚類のことが多い。裸のことが多く、服を着ている人魚は稀である。

伝説物語に登場する人魚の多くは、マーメイド(若い女性の人魚)である。今日よく知られている人魚すなわちマーメイドの外観イメージは、16–17世紀頃のイングランド民話を起源とするものであり、それより古いケルトの伝承では、人間と人魚の間に肉体的な外見上の違いはなかったとされている。[1] 古い絵などには2つの尾びれを持った人魚も描かれている(ヨーロッパの古い紋章の中にも、2股に分かれた尾部を持つ人魚をかたどるものがある。今でもスターバックス・コーヒーの商標の中に、現代風にリファインされた形態で見ることができる)。

一方、日本の人魚のイメージは、蛇女房、龍女房伝説にヨーロッパの人魚のイメージを重ね合わせたもので、時代により外見などは大きく異なる。

中国の『山海経』では「人魚」とは河に住む生き物で、䱱(辞書によればトビハゼまたはサンショウウオ)に似るとされる。[2]



伝承の由来

今日では海棲哺乳動物のジュゴンの見間違いに端を発したという話が広く流布しているが、学術的根拠があるわけではない。学術的に検証するといくつかの疑問点が浮かび上がる。たとえば、ジュゴンの生息しない海域にも人魚伝説がある。[3]魚類学者の高島春雄は、「日本人が本物のジュゴンを見たのは明治以降だが、古い時代にも人魚の目撃証言がある」と指摘している。[4]また、九州大学名誉教授の内田恵太朗は 魚類のリュウグウノツカイが(少なくとも日本の)人魚の正体であろうとしている。[5]

シンボリズム

不吉な象徴とされることが多く、たいていの文学作品では、人魚は最後まで幸せなままでいることはない。[6]

アンデルセンの童話「人魚姫」では、人魚には「不死の魂」がないのでそのままでは人間との恋は成就しない。[7]ただしこのアイディアはアンデルセンの発案ではなく、フリードリヒ・フーケの『ウンディーネ』などが先行する。[8]歌詞などで叶わぬ恋、報われない愛を象徴的に表すため人魚、マーメイドなどの文字列を使用することがある。たとえば「虹色の涙」(田村英里子)、「十月の人魚」(岡田有希子)、「人魚姫 ~mermaid~」(中山美穂)など。

西洋の人魚

ローレライ

ライン川にまつわる伝説。ライン川を渡る舟に歌いかける美しい人魚たちの話。彼女たちの歌声を聞いたものは、その美声に聞き惚れて、舟の舵を取り損ねて、川底に沈んでしまう。詳しくはローレライの項を参照。[9] [10]

メロウ

メロウ (merrow) は、アイルランドに伝わる人魚である。姿はマーメイドに似ており、女は美しいが、男は醜いという。この人魚が出現すると嵐が起こるとされ、船乗り達には恐れられていた。また、女のメロウが人間の男と結婚し、子供を産むこともあるという。その場合、子供の足には鱗があり、手の指には小さな水掻きがあるとされる。[11]

セイレーン

航海者を美しい歌声で惹きつけ難破させるという海の魔物で、人魚としても描かれる。もとはギリシア神話に登場する伝説の生物。セイレーンの項参照。[12]

ハゥフル

ノルウェー語で人魚をこう呼ぶ。ハゥフル(havfrue) は、漁師の間では嵐や不漁の前兆とされ、見たら仲間に話さずに火打石で火花を立てることで(嵐や不漁を)回避することができるとされる。また、人魚には予知能力があるとされ、予言を聞いたという伝説もある。[13] [14]

アジアの人魚

ここでは日本以外のアジアの人魚について述べる。

海人

古代中国でヒトの祖先とされた、一種の海棲人類のこと。『淮南子』巻四では、各種の動物について、古代中国独特の「進化論」が説かれている。ヒトの進化の道筋については、

𥥛(ハツ)は海人を生じ、海人は若菌(じゃくきん)を生じ、若菌は聖人を生じ、聖人は庶人を生ず。およそ𥥛なる者は庶人より生ず

とある(𥥛は、「穴かんむり」の下に「祓」の右半分を書く)。[15]

この一文は難解だが、ヒトの祖先は𥥛(細毛におおわれたサル)であり、以後、𥥛→海人(海棲人類)→若菌(意味未詳)→聖人(完成された古代の人間)→庶人(普通の人間)→「およそ𥥛なる者」(未来の退化した人類)と、進化と退化を重ねてきた、と解釈する主張もある。[16]

浪奸

韓国・朝鮮に伝わる人魚伝説では、あるとき李鏡殊(イ・ジンスウ、이진수)という漁夫が、海上で美女に誘われ、龍宮へ行って1日を遊び、帰るときに、食すると不老長寿になるという高麗人参に似た土産(これを人参ではなく人魚と称する)をもらった。訝った李鏡殊はそのままにしておいたが、娘の浪奸がそれを食べてしまう。彼女は類い稀な変わらぬ美貌を得たが、数百年もの長寿を持て余し300歳を越えて山を彷徨い行方不明になったという。[17]

海人魚

中国の人魚。『洽聞記』という書物によれば東海(東シナ海)に生息し、体長は大きい個体では5~6尺(約1.5~1.8メートル)。容姿は大変美しく、髪は馬の尾のようで、鱗には細い毛がある。中国の人魚伝承では交婚が認められていないことが多いが、海人魚は交婚は自由であり、臨海で多くの鰥寡を捕らえて池や沼で養うという[18][19][20]

日本の人魚

鳥山石燕今昔百鬼拾遺』より「人魚」

ここでは日本(アイヌモシリ、琉球王国含む)の人魚について述べる。 日本でも人魚の存在が早くから語られている。最古の記録は619年とされており、摂津国(現・大阪府)で漁師の網に人魚が捕えられたという記述が『日本書紀』にある。[21]

また聖徳太子近江国(現・滋賀県)で人魚に会い、生前の悪行で人魚に姿を変えられたと聞いて手厚く供養したという話もある(観音正寺の項目参照)。[22]

鎌倉時代の『古今著聞集』などでは、日本の人魚はヒト状の顔を持つ魚とされていたが、江戸時代後期にはヨーロッパ同様、ヒトの上半身と魚の下半身を持つ姿と伝えられるようになる。[23]

日本各地に伝わる人魚伝説の中には、人魚を恐ろしいものとみなすものもある。江戸時代越中国(現・富山県)では、角を持った全長11メートルの人魚を人々が450丁もの銃で撃退としたといわれる。若狭国(現・福井県南部)でも漁師が岩の上に寝ていた人魚を殺した後、その村では海鳴りや大地震が頻発し、人魚の祟りと恐れられたという。このように人魚が恐れられたのは、中国の『山海経』に登場する、赤子のような声と脚を持つ人魚の影響を受けたためといわれる。[24]

一方では吉兆との説もあり、寿命長久や火難避けとしても崇められたこともある。高野山の麓の西光寺(和歌山県橋本市)には全長約50センチメートルの人魚のミイラがあり、不老長寿や無病息災を願う人々の信仰の対象となっていたといわれ、現在でも橋本市の有形民俗文化財に指定されている。[25]博多津に人魚が出現した際に国家長久の瑞兆と占われ、人魚は龍宮寺博多区)に埋葬された。[26]

八百比丘尼伝説

八百比丘尼(やおびくに、はっぴゃくびくに[27])は、人魚など特別なものを食べたことで長寿になった比丘尼のことで[28]、日本のほとんど全国に分布している伝説の人物である。白比丘尼とも呼ばれる[28]。800歳まで生きたが、その姿は17~18歳の様に若々しかったといわれている[29]

地方により伝説の細かな部分は異なるが大筋では以下の通りである。

ある男が、見知らぬ男などに誘われて家に招待され供応を受ける。その日は庚申講などの講の夜が多く、場所は竜宮や島などの異界であることが多い。そこで男は偶然、人魚の肉が料理されているのを見てしまう。その後、ご馳走として人魚の肉が出されるが、男は気味悪がって食べず、土産として持ち帰るなどする。その人魚の肉を、男の娘または妻が知らずに食べてしまう。それ以来その女は不老長寿を得る。その後娘は村で暮らすが、夫に何度も死に別れたり、知り合いもみな死んでしまったので、出家して比丘尼となって村を出て全国をめぐり、各地に木(椿など)を植えたりする。やがて最後は若狭にたどり着き、入定する。その場所は小浜空印寺と伝えることが多く、齢は八百歳であったといわれる。 — 「八百比丘尼伝承の死生観」小野地健[30]

また、新潟県佐渡島にある羽茂町(現在の佐渡市)に伝わる話では、八百比丘尼はここで誕生し、上記の通りに人魚の肉を食べて1000年の寿命を得たが、自身は年をとらないことをかえってはかなみ、200歳を国主に譲って諸国を巡り、最期は800歳になった時に若狭へ渡って入定したという[28]

このように、八百比丘尼が人魚の肉を食べて不老となり、全国を巡って人々を助けたという伝承は日本各地に残っている[31]が、中でも岐阜県下呂市馬瀬中切に伝承される八百比丘尼物語は「浦島太郎」と「八百比丘尼」が混ざった話として存在し、全国的に稀である。[32]

康富記』には、15世紀中頃に白比丘尼という200余歳の白髪の尼(13世紀生まれの尼)が若狭国から上洛し、見世物として料金を取った記述があるが、『臥雲日件録』では白比丘尼は八百老尼と同じであると解されている。ただし、この老尼は八百比丘尼伝説を利用した芸能者だったと考えられている。当時から八百尼丘尼の伝説は尼によって布教活動に利用されており、こうした伝説を利用する女性も少なくなかった一例である。[33]

京都府北部の丹後半島京丹後市丹後町では、丹後町丹後乗原(のんばら)に住んだ大久保家の娘が、人魚の肉を食べて800年生きたと伝えられている。京都府北部では、栗田半島にも八尾比丘尼の伝承が残されている。[34]丹後地域にはこのほか徐福伝説(伊根町)や田道間守伝説(網野町木津)など、不老長寿にまつわる伝承が残されている。

八百比丘尼が晩年に仕えたとされる小浜市の神明神社の境内には、八百比丘尼を祀る社があり、長寿を願う人々に厚く信仰されている[29]。境内の八百姫宮には、室町時代と江戸時代(17世紀後半)に造られたとされる2体の像がまつられており、江戸時代の新像は、神式風の衣装で、右手に願いを叶える宝珠、左手には白玉椿の枝を持ち、目に水晶の玉眼を施している[31]。本来は新旧ともに非公開であったが、2017年以降は期間限定で福井県立若狭歴史博物館で公開されている[29][31]

絵本小夜時雨

『絵本小夜時雨』二
「浪華東堀に異魚を釣」[35]

江戸時代の古書『絵本小夜時雨』の二「浪華東堀に異魚を釣」に記述がある。寛政12年(1800年)、大阪西堀平野町の浜で釣り上げられたとされる体長約3尺(約90センチメートル)の怪魚。同書では人魚の一種とされるが、多くの伝承上の人魚と異なり人間状の上半身はなく、人に似た顔を持つ魚であり、ボラに似た鱗を持ち、人間の幼児のような声をあげたという。[36]

水木しげるの著書には「髪魚(はつぎょ)」として載っている。[37]

アイヌソッキ

アイヌ民話で北海道内浦湾に住むと伝えられる人魚。八百比丘尼の伝説と同様、この人魚の肉を食べると長寿を保つことができるという。[38]

人魚供養札

秋田県井川町洲崎(すざき)遺跡(13–16世紀、鎌倉室町期)出土の墨書板絵の一つに「人魚供養札」がある。これは民話ではなく、出土遺物であるが、僧侶と人魚が描かれた中世における物的資料である。[39] 井戸跡から見つかり、長さ80.6センチ。魚の体に両腕と両足が描かれ(尾びれはある)、人の顔だが髪はなく、鱗で覆われている。板絵を観る限り、僧侶より小さい体であるが、犬くらいはある。。前述の『古今著聞集』の記述とは形体が違い、四足動物のような外見(両生類とも半魚人ともいえぬ姿)をしている。西洋的分類としては、魚人に近い面がある。 国立歴史民俗博物館准教授・三上喜孝は、鎌倉幕府の歴史書である『吾妻鏡』を参照の上、不吉な出来事を避けるために供養したのではないかという説を唱えた。[40]

日本のその他の人魚

これらの他にも、江戸時代に肥後国で疫病の流行を予言したアマビエ石垣島明和の大津波を予言したザンなどの伝承がある。

オセアニアの人魚

パプアニューギニアの人魚

パプアニューギニアニューアイルランド島東海岸に住むナケラ族には、リーという半人半魚の生き物の伝説がある。人類学者のRoy Wagnerは、1960年代から70年代にかけてパプアニューギニアで現地文化に関する聞き取り調査を行った。そのなかでリー(ri, Ri)と呼ばれる生き物の話を大量に採取した。リーは空気を呼吸し、ヒトの頭部・腕・生殖器と魚の下半身(一対の鰭)を持つという。[41] [42] [43]


人魚姫の像

ハンス・クリスチャン・アンデルセン作の物語である『人魚姫』を記念して作られた人魚姫の像は、人魚姫の物語を演じたバレエに感銘を受けた、 カール・ヤコブセン(カールスバーグ醸造所創立者の息子)の要請で、彫刻家エドヴァルド・エリクセンにより1913年に制作された。 そのバレエの主役を演じ、当時デンマーク王立劇場プリマドンナであったエレン・プリースがモデルだったが(厳密には真偽不明[44])、彼女が裸体モデルを拒否したため頭部のみのモデルとなり、エドヴァルドの妻エリーネ・エリクセンが、首から下のモデルとなっている。 アンデルセンの原作では、腰から下は魚だったはずだが、この人魚像は足首の辺りまで人間で、そこから先が魚のひれになっている。神谷敏郎によると、作者は可憐な姫を魚体にすることを不憫に思って人の脚に近い造形にしたとのこと。[45] コペンハーゲンの港に設置されている。

1970年、大分市の水族館にこの像のレプリカ到着。[46][47]デンマーク国外としては世界初。現在では大阪港、名古屋港、愛知県安城市のデンパークなどにもある。[48][49][50]


脚注

  1. ^ ボブ・カラン[著], 萩野弘巳[訳]; ケルトの精霊物語pp141-142. 青土社. 2000. ISBN:978-4-7917-5884-6
  2. ^ 上田萬年et al.[編集]; 大辭典第二十巻pp111. 平凡社. 1936
  3. ^ 荒俣宏; 世界大博物図鑑第5巻[哺乳類]pp378.平凡社. 1988
  4. ^ 安冨和男; 蟹の泡ふき―やさしい動物学pp35. 北隆館. 1982
  5. ^ 内田恵太朗; 人魚考, 自然第15巻第8号pp47. 1960
  6. ^ 大林太良. 神話の話(講談社学術文庫346)pp67-73. 講談社. 1979. ASIN:B000J8HXQW
  7. ^ 九頭見和夫; 日本の「人魚」像 ―『日本書紀』からヨーロッパの「人魚」像の受容まで―pp106. 和泉書院. 2012
  8. ^ 日本児童文学会[編]; アンデルセン研究pp117-118. 小峰書店. 1975
  9. ^ SAGENLAND LORELEY(2018年6月21日閲覧)
  10. ^ SAGEN UND MÄRCHEN VON DER LORELEY(2018年6月21日閲覧)
  11. ^ 草野巧; 幻想動物事典pp304. 新紀元社. 1997. ISBN:4-88317-283-x
  12. ^ クリストファー・デル, 蔵持不三也[監訳], 松平俊久[訳]; 世界の怪物・魔物文化図鑑pp105. 柊風舎. 2010
  13. ^ Knut Hermundstad; I Manns Minne: Gamal Valdreskultur III,Norsk folkeminnelags skrifter nr. 55pp120. 1944
  14. ^ Kristian Bugge; Folkeminneoptegnelser: Et utvalg, Norsk folkeminnelags skrifter nr. 31pp92. 1934
  15. ^ 小野機太郎[訳]; 淮南子:現代語訳(支那哲学叢書)pp92-93. 支那哲学叢書刊行会. 1925
  16. ^ 加藤徹. 怪力乱神pp141-142. 中央公論新社. 2007
  17. ^ 朴栄濬[編], 韓国文化図書出版社編集部[訳], 安藤昌敏[訳・監修];韓国の民話と伝説2 高句麗・百済編pp134-137. 韓国文化図書出版. 1975
  18. ^ 中国古典における「存在の連鎖」について(2018年6月20日閲覧)
  19. ^ 井伏鱒ニ; 落合の河童, 旅と伝説11号pp36-39. 三元社. 1928
  20. ^ 水木しげる; 妖鬼化 第5巻 東北・九州編pp85. Softgarage. 2004. ISBN:978-4-86133-027-8
  21. ^ 村上健司[編著]; 妖怪事典pp255. 毎日新聞社. 2000. ISBN:978-4-620-31428-0
  22. ^ 志村有弘[監修]; 図説 地図とあらすじで読む日本の妖怪伝説pp24-25. 青春出版社. 2008. ISBN:978-4-413-00965-2
  23. ^ 志村有弘[監修]; 図説 地図とあらすじで読む日本の妖怪伝説pp24-25. 青春出版社. 2008. ISBN:978-4-413-00965-2
  24. ^ 志村有弘[監修]; 図説 地図とあらすじで読む日本の妖怪伝説pp24-25. 青春出版社. 2008. ISBN:978-4-413-00965-2
  25. ^ 志村有弘[監修]; 図説 地図とあらすじで読む日本の妖怪伝説pp24-25. 青春出版社. 2008. ISBN:978-4-413-00965-2
  26. ^ 龍宮寺(2018年6月20日閲覧)
  27. ^ 八百比丘尼(やおびくに・はっぴゃくびくに) 福井県の民話 福娘童話集、2009年2月8日
  28. ^ a b c コトバンク -八百比丘尼-
  29. ^ a b c 若狭歴史博物館 新春特別公開「八百比丘尼 ~二人の女神像~」
  30. ^ 「八百比丘尼伝承の死生観」小野地健(人文研究・神奈川大学人文学会誌2005)[1][2]PDF-P.1-2から引用。
  31. ^ a b c 不老伝説の八百比丘尼を異例公開 福井新聞(2017年5月3日) 2018年4月5日閲覧
  32. ^ 岐阜県益田郡[編]; 岐阜県益田郡誌pp569. 益田郡. 1916
  33. ^ 勝浦令子; 古代・中世の女性と仏教pp83. 山川出版社. 2003
  34. ^ 丹後建国1300年記念事業実行委員会; 丹後王国物語 丹後は日本のふるさとpp50.せせらぎ出版. 2013. ISBN:978-4-88416-225-2
  35. ^ 近藤瑞木編 編「絵本小夜時雨」『百鬼繚乱 - 江戸怪談・妖怪絵本集成』国書刊行会、2002年、108-109頁頁。ISBN 978-4-336-04447-1 
  36. ^ 近藤瑞木[編]; 百鬼繚乱 -江戸怪談・妖怪絵本集成pp108-109. 国書刊行会. 2002. ISBN:978-4-336-04447-1
  37. ^ 水木しげる; 図説 日本妖怪大全pp361. 講談社. 1994. ISBN:978-4-06-256049-8
  38. ^ 村上健司[編著]; 妖怪事典pp2. 毎日新聞社. 2000. ISBN:978-4-620-31428-0
  39. ^ 洲崎遺跡出土人魚木簡(すざきいせきしゅつどにんぎょもっかん)(2018年6月20日閲覧)
  40. ^ 中世の遺跡から発見された「奇妙な」一枚の板(2018年6月20日閲覧)
  41. ^ Roy Wagner; The Ri: Unidentified Aquatic Animals of New Ireland, Papua New Guinea, Cryptozoology(1)pp33-39. 1982
  42. ^ [Thomas R. Williams; Identification of the Ri through Further Fieldwork in New Ireland, Papua New Guinea. Cryptozoology(4)pp61-68. 1985
  43. ^ fMODERN MERMAID MYSTERIES(2018年6月21日閲覧)
  44. ^ 田辺悟; ものと人間の文化史 143・人魚pp206. 法政大学出版局. ISBN:978-4-588-21431-8
  45. ^ 神谷敏郎; 人魚の博物誌pp12. 思索社. 1989
  46. ^ 「海に魅せられた 50 年」(2018年6月20日閲覧)
  47. ^ Denmark and Japan -150 Years(2018年6月20日閲覧)
  48. ^ 報道発表資料 大阪港に新名所が誕生‼マーメイド像を移設し、記念セレモニーとライブイベントを開催します(2018年6月20日閲覧)
  49. ^ 安城産業文化公園デンパークFacebook(2018年6月20日閲覧)
  50. ^ 公益財団法人名古屋みなと振興財団(2018年6月20日閲覧)

参考文献

関連項目