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「ガメラ」の版間の差分

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{{ガメラ}}
{{ガメラ}}

2017年9月4日 (月) 14:43時点における版

ガメラは、大映(現:KADOKAWA)が1965年に公開した特撮映画大怪獣ガメラ』に登場する架空の怪獣の名称。

『大怪獣ガメラ』以降も続編、及びガメラの登場する映画作品が継続的に製作されており、これら全作品を総称してガメラシリーズと呼ぶ。東宝ゴジラシリーズと共に日本の怪獣映画を代表する作品群である。本項ではシリーズ全般、およびキャラクターとしてのガメラを解説する。

シリーズの概要

ガメラシリーズは「倒産以前の旧大映時代」「再建して徳間グループに入っていた大映が製作した時代(俗に言う「平成三部作」)」「角川グループに入った大映が商号変更した角川ヘラルド - 角川映画時代」の3つに区分することができる。

大映時代

旧大映時代の『ガメラ』は、東宝製作のゴジラシリーズの大人気を見た当時の各映画会社がこぞって誕生させた怪獣映画作品群の流れを受け、誕生した。一般的な知名度はゴジラの方が高いものの、ガメラはカメ特有のユーモラスなデザインや飛行能力など独特の個性を持つ[注 1]。また、大映時代の配役には「(『バイラス』以降)必ず外国人の少年(及びその家族)が登場し、主人公である日本人の少年とともに冒険する」という特徴がある。

誕生秘話としては、「当時の大映社長永田雅一が、飛行機から見下ろした島の形が亀の甲羅に似ていたことにインスピレーションを受け、『大映の怪獣は亀をモチーフにする』こととなった」という逸話がある[1]

ただ、ピー・プロダクション鷺巣富雄の証言によると、「亀が甲羅に引っ込むと火を噴いて空を飛んでいく」というアイデアは『ガメラ』以前の1962年に鷺巣が企画を暖めていたSFドラマ『STOP』の第1話の脚本で登場する。『STOP』は結局、制作費の問題で没企画となってしまったが、鷺巣によると「東宝の他に、大映にも企画の売り込みを行っており、このアイデアがガメラに活かされた」と述べている。

徳間グループ時代

徳間書店グループ下の新会社として再建された大映は、当時の徳間グループによるメディアミックス戦略の一環として『ゴジラ』に対抗しうる特撮映画を制作することを検討。その結果、前述した通りの人気を持っていたガメラに着目し、新作の制作を決定した。

こうして制作された新たな『ガメラ』は、それまでの怪獣映画にはないリアリティを追求した脚本と大胆にCGを導入した映像が話題を呼び、大ヒットを記録した。これにより往年のファンだけでなく新たなファンの獲得にも成功し、引き続き製作された2作品と合わせて後に「平成三部作」と呼ばれ、当初の構想通り『ゴジラ』に比肩する怪獣映画としての地位を不動のものとした。また、平成三部作によって、すでにヒットメーカーとして知られていた金子修介(本編)だけでなく、特撮を担当した樋口真嗣の名も世に知らしめることとなった。

なお、低年齢層も視聴するゴジラシリーズ他の一般的な日本製怪獣・特撮映画と比較すると、「(効果音付きで)人が食べられる」「一般市民が襲われ多量の出血をともなって死亡する」「ミイラ化した死体が描写される」など残酷なシーンが見受けられるが、これは監督の金子が本シリーズの対象年齢を「小学校高学年あたり」としていることによる。

角川映画時代

平成三部作完結後、しばらく休眠期に入ったガメラシリーズであったが、ライバルというべきゴジラシリーズが2004年をもって一応シリーズの完結を迎えたことで、テレビ特撮番組からのスピンオフではない純粋な「特撮(怪獣)映画」の新作が観られなくなることを危惧したファンから、再びガメラシリーズの復活を求める声が高まった。

大映自体も2002年に角川書店に営業権が譲渡され、その営業権をもとに新たに株式会社角川大映映画が設立された。角川大映は後に角川映画に商号を変更し、同社は徳間時代とは違った形でのガメラ復活を検討。その結果、2006年には新作ガメラ映画『小さき勇者たち〜ガメラ〜』を製作・上映した。

2015年10月、ガメラ生誕50周年記念としてウェブサイトが公開され[2]YouTubeにて記念映像『GAMERA』が公開された[3]。この映像は石井克人が監督し、男児の子役とその父親として宮藤官九郎が出演した[3]。第28回東京国際映画祭日本映画クラシックス部門でも、「ガメラ」生誕50周年記念スペシャル映像を上映予定である[3]

映画以外のガメラ

ガメラは映画以外のメディアでもテレビゲーム化されたり、パチスロメーカー「ロデオ」によって『ガメラ』『オオガメラ』『ガメラハイグレードビジョン』『ガメラZS』と、合計4台のパチスロ台が生み出されている。

キャラクターとしてのガメラ

巨大なの姿をした怪獣。甲羅の表面は「のような重なり合った形状」になっており、下顎の左右両端から大きな牙が1本ずつ、上に向かって生えている[注 2]。血液は緑色である。

本物の亀のように、頭や手足、さらには尾までも甲羅内へ引き込める。手足を引き込んだ位置から火炎を噴射し、その推進力を利用して大気圏内はもちろん宇宙空間でも飛行できる。手足を引き込んだ四ヶ所から火炎を噴射しつつUFOのごとく回転して飛ぶ場合と、後脚の部分から後方に火炎を噴射し、前を向いたまま飛ぶ場合がある。平成作品では、膝や肘からのジェット噴出で飛行している。最高飛行速度はマッハ3以上。

昭和作品では比較的ゆっくり回転して飛行していたが、平成作品では、付近のヘリコプターを不安定にさせる突風が生じるほどの超高速で回転する。また、作品が進むごとに戦闘的な身体に進化するという設定も加わった影響で、昭和作品のように足を引っ込めるだけにとどまらず、『2』では腕を平たく伸ばして飛行機の翼のような形態に変化させられる。『3』ではその腕を可動させることでさらに機動性を高めた他、進化によって甲羅の縁が鋭くなっており、回転飛行しながら斬り付けるように体当たりする攻撃も見せている(詳細は#身体的特徴及び、フォルムの変化を参照)。

昭和作品では口からの火炎放射と怪力、噛み付きなどのほか、周囲の岩や建造物を武器として使用することもある。平成三部作では火炎の代わりにプラズマ火球を発射するほか、の骨が爪のように変化した「エルボークロー」が追加された。また、『ガメラ 大怪獣空中決戦』では超烈火球「ハイ・プラズマ」、『ガメラ2 レギオン襲来』では究極超烈火弾「ウルティメイト・プラズマ」、『ガメラ3 邪神覚醒』では爆熱拳「バニシング・フィスト」といった多様な技を見せている(詳細は#攻撃技を参照)。

ガメラを含むガメラシリーズの怪獣は、ゴジラシリーズやウルトラシリーズなどの作品に登場する怪獣と比べると、(設定上の)体重が非常に軽い[注 3]

昭和シリーズで監督および特撮監督を勤めた湯浅憲明は、ガメラとゴジラやウルトラ怪獣との差別化として、ガメラを二本足で立たせず極力四足歩行などで這わせたり(直立歩行も出来る)、流血描写などで動物性を強調したとしたと述べている[1](平成シリーズでは、終始直立二足歩行で移動している)。

昭和のガメラ

基本データ
分類 カメ類[注 4]
年齢 8,000歳以上
性別 不明
体高 60メートル
全長 不明
甲羅長径 不明
甲羅短径 不明
体重 80トン
大気圏内飛行速度 マッハ3
水中潜航速度 150ノット
歩幅 20メートル
エネルギー 熱エネルギー
武器・技 火炎噴射
怪力
回転ジェット
生息地 古代アトランティス大陸
好物 石油、石炭、地熱等の炎
ミサイル、原爆
趣味 モンキーダンス

概要

エスキモーの伝承に語られた、北極の氷の中に眠る古代の怪獣。一説にはアトランティス大陸に生息していたとされる。国籍不明の原爆搭載機の墜落により、閉じ込めていた氷が割れて覚醒。南下して最終的には日本に上陸、破壊の限りを尽くす。当初は凶暴な怪獣として描かれているが、子供に対しては友好的な面も見せている。一度は「Z計画」と呼ばれる作戦により巨大ロケット内に閉じ込められ地球から火星に追放されるが、ロケットが小惑星との衝突により破壊されたことで解放され、地球に再来する。

第2作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』以後は人間に対して具体的な敵意を示すことは無く、エネルギーの摂取時以外にはほとんど出現しなくなるが、侵略者や怪獣によって子供が危機に陥るような事態が起こると、何処からともなく現れて子供達を救っていく。

このように基本的には悪役だった第1作でも子供を助ける場面があり、大人向けに製作した2作目を除く3作目以降は、一貫して「悪の怪獣・侵略者を打ち倒す正義の怪獣」「子供達のヒーロー」として描かれる。

昭和ガメラ最終作『宇宙怪獣ガメラ』ではミドリガメが成長しガメラになったような描写があり[注 5]、『対ジグラ』までのガメラとは別個体とする説もある。同作で宇宙海賊船ザノン号に特攻してからの消息は不明。 『対ジャイガー』にて、全身レントゲン撮影した際、「アオウミガメ」にそっくりと言われていることから、昭和ガメラの世界にはカメが存在していることが判明している[4]

身体的特徴及び攻撃技

口からの火炎放射以外に、外観に似合わぬ運動能力[注 6]と怪力を誇り、身体を串刺しにされるほどの重傷を負っても戦闘を続行する生命力を持つ。しかし、ジャイガーの幼体に寄生され血液を吸われた際は昏倒してしまい、人間がジャイガーの幼体を排除したのちに体内に電気を供給することで復活した。傷を負った際は水中で休息をとることで傷を癒す。

弱点は低温で、劇中でも「冷たい温度に弱い」と言われ、自衛隊の冷凍爆弾でも短時間活動を停止している。バルゴンの冷凍液には火炎放射も通じず全身が凍結してしまったが、自然解凍と同時に火炎放射を行い復活するなど、生命活動を停止させるには至らなかった。

甲羅は頑強で、たいていの攻撃は跳ね返せる。実際の亀と同じく敵に攻撃されると甲羅に各部を引き込んで防御を図ることも多い。しかし、バイラスの頭には貫かれ、串刺しになってしまう(バイラスはこの状態でガメラに倒されている)。またギロンに何度も切りつけられて流血してしまったこともある(水に浸かっていたことで顔の傷と共に回復、『宇宙怪獣ガメラ』では流血しない)。ジグラのヒレでも表面に傷をつけられている。

をエネルギー源とするため体内に火力発電所のような組織を持ち、マグマ高圧電気石炭石油ウランを常食とする。炎そのものも吸い込むようにして食べることが出来、初期の段階では発電所や火山活動が活発な地域に出没することが多かった。熱エネルギー目当てに噴火している火山に自ら飛び込むこともある。火器を用いた攻撃などは逆に吸収してしまう。また、バルゴンの虹光線を狙うこともある。公式ホームページではタマネギニンジンが嫌いな食べ物と表記されている。

着ぐるみは第1作のもの、第2 - 4作のもの、第5 - 7作のものと合計3種類ある(『宇宙怪獣ガメラ』は飛び人形のみ)。

スーツアクターは荒垣輝雄(2 - 4作目)、泉梅之助(5・6作目)。

身体機構

石油袋
ガメラが食べた石油等の液体を、いったん貯蔵しておく器官。
石炭袋
ガメラが食べた石炭を、いったん貯蔵しておく器官。蓄えられた物質は、その後、高熱炉へ送られる。
高熱炉
ガメラが摂取した石油、石炭、マグマミサイルウラン等は、最後ここに集められ、燃焼される。
熱エネルギー変換腸
高熱炉で燃焼されたものがここに送られ、熱エネルギーに変換される。
熱エネルギー心臓
働きは他の生物の心臓と同じだが、熱エネルギーで動くため、桁外れのパワーを持つ。
高熱筋肉
人間(力士豊登)の1万倍の腕力を誇り、いかなる高熱にも耐え、どんな金属よりも強靭

平成三部作のガメラ

便宜上、平成三部作の設定を継承する自主制作映画『ガメラ4 真実』のガメラについても記述する。

概要(平成三部作)

基本データ
分類 不明[注 7]
年齢 推定1億5千万歳
体高 80メートル[注 8]
全長 不明
甲羅長径 約60メートル
甲羅短径 約40メートル
体重 120トン
大気圏内飛行速度 マッハ3.5
水中潜航速度 180ノット
歩幅 不明
エネルギー プラズマエネルギー
武器・技 ハード・スラップ
ラッシング・クロー
エルボー・クロー
ブレイク・ファング
カーフ・クロー
シェル・カッター
プラズマ火球
ハイ・プラズマ
ウルティメイト・プラズマ
バニシング・フィスト
バーナー(本編未登場)
ホーミング・プラズマ(本編未登場)
生息地 普段は深海で活動している。

スーツアクターは真鍋尚晃、鈴木潤(『ガメラ 大怪獣空中決戦』。以降、『1』)、大橋明(『ガメラ2 レギオン襲来』。以降、『2』)、福沢博文(『ガメラ3 邪神覚醒』。以降、『3』)。

基本的には昭和ガメラ3作目以降の「悪の怪獣を打ち倒す正義の怪獣」や、「ジェット噴射をして空を飛行する事が出来る」等の設定に準じているが、昭和ガメラの「北極の海に封印されていた」という設定から、「古代文明の技術を利用して生み出された生体兵器であり、永らく岩礁のような状態となって眠りに就いていた」という設定に変更されている。主な技も火炎放射からプラズマ火球に変更され、外見が昭和ガメラよりも、より生物らしいリアリティな外見になっている、休息期間中に戦闘的な身体に進化して外見が大きく変化していくなど、大幅な設定変更や追加がなされ、従来のシリーズとは全く異なった新たなガメラとして描かれている。

作品全体の設定や演出は、子供との関わりや嫌いな食べ物の設定など低年齢向けとなっていた昭和ガメラに対し、平成版では環境破壊、勾玉石碑などの古代の歴史に関わる物品の登場など、劇場公開当時の現実世界における古代の歴史、実際に起こっている問題や出来事とリンクした大人向けのリアリティーを意識した設定や演出が目立つ形となったが、敵怪獣の攻撃などで倒れても、子供の祈りに共感して力を発揮したり復活する様子も描かれた。

体格に関しては昭和ガメラよりも大きく[注 9]、設定年齢も大幅に増加している。歩き方に関しても昭和ガメラのはうような四足歩行ではなく、シリーズを通して直立二足歩行である。 人間に換算すると30.0という驚異的な視力を持つ[5]

身体的特徴及び、フォルムの進化

基本的な特徴は昭和ガメラとさほどの違いはないが、三部作通して姿は異なる。これは、長期間休息する際に体質改善を行い、体をより戦闘的に進化させているためであり、作品がすすむにつれ、外見だけに留まらず、能力に変化が見られるようになっている。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』でのフォルム
全体的に柔和でずんぐりとした外見を持つ。
頭がかなり大きく重いため、転倒するとジェット噴射を行わなければ起き上がれない。こうなってしまうと無防備で危険な状態となってしまう。
目は大きめで、かなり柔らかな顔付きをしている。エルボークローは普段は肘の中に収納されており、任意で突出させることができる。
両足のみを甲羅に引き込んで飛行する際は昭和ガメラ同様、腕を上ないし、前に出して飛行する。
首や手足はやや太く、短め。
『ガメラ2 レギオン襲来』でのフォルム
全体的に『1』の面影を残してはいるが、以前に比べてシャープな印象の姿になっている。
以前より頭が小さくなり軽量化されたため、転倒してもジェット噴射を行わずとも自力で起き上がれるようになっている。また、頭が小さくなったことで首が若干長くなり、目は少し小さく、頭の鶏冠は少し大きくなった。さらに以前は内側よりだった歯並びが外側に移動し、精悍な顔付きとなっている。手や足も大きく長くなり、体格も以前より少し大きくなっている。
両足のみ甲羅に収納して飛行する際、以前は全て収納していた尻尾が短く出すようになり、先端を尖らせた形にするようにもなっている上、両手をウミガメのヒレのような翼状に変形させられるようになっており、この際、腕は固定される形で動かせないが、平たい形に変化した分、空気抵抗が抑えられ、以前よりも速力や機動性などの飛行能力が高まっている。
腕のエルボークローは以前よりも大きく発達すると同時に、以前のように収納されず、常にせり出した状態で固定されている。付け根辺りにはもう一本の短いクローも生えているが、腕を翼状に変形した際にはエルボークロー自体は目立たなくなる。
『ガメラ3 邪神覚醒』でのフォルム
全体的に刺々しく攻撃的な姿となり、より生物的かつ怪獣らしい姿へと変化している。過去2作品での進化以上に急激な進化を遂げており、過去2作品における面影はほとんど残っていない。
体格が更に一回り大きくなった上、頭は以前よりも小さくなり、転倒しても以前よりも素早く起き上がりやすいようになっている。首もさらに長くなり、頭の鶏冠も更に大きく発達、逆に目はより小さくなったことに加え、眼球は白目だった部分が全て緑色に変化したことで、凶悪かつ険しい顔付きとなっている。
手足は以前よりも更に大きく発達し、指の形が段々に並んで若干長くなっており、足も以前と比べ太くがっしりとした形となっている。歯並びも以前よりも外側に移動している。
表皮は更に硬化しており、『1』では、ギャオスの超音波メスで右手の甲を負傷していたが、この形態ではより強力なギャオスハイパーの超音波メスの直撃を右手の甲で跳ね返している。
甲羅の表面と側面がかなり鋭利な形に変化していて、回転飛行しながら体当たりする「シェル・カッター」の刃として利用できるようになっている。更に甲羅の表面を逆立てることにより、周囲の空気を吸引または放出し、離着陸する際の浮力調整を行えるようになっている。
エルボークローも、以前は肘辺りから後に向かって生えていたものが、この形態では腕の下に沿うように前に向かって生えており、ふくらはぎにも「カーフクロー」と呼ばれる突起が生えている。
以前のフォルム同様、飛行の際には両手を翼状に平たく変形させるが、こちらでは以前のように固定される事なく、鳥の翼や海亀のヒレのように柔軟に動かすことができるようになる事で、腕を後方に下げたりするなどしての機動調整が行えるようになっており、以前と比べ機動性が格段に高くなっている。腕に留まらず脚の部分にも小さなヒレのようなものが生え、とがった甲羅の端の最も長い部分も可変する、短い状態だった尻尾が長く突出し動かせるといった進化により、より細やかな空中機動を行えるようになっている。
尚、『ガメラ4 真実』に登場するガメラは大方、こちらのガメラの設定を踏襲した設定になっている。

正体

はるか太古に滅亡した超古代文明によって、ギャオスを倒すために、甲羅状の「器」に地球の生命エネルギー「マナ」を集めて創り出された、一種の「生体兵器」とされ、環境への適応や自身の戦闘能力の向上のために、短期間で進化する能力を持っている[注 10]

基本的に地球を守るために行動しており、守るべき対象は人間だけに限らず、全ての生態系、ひいては地球そのものとされる[注 11]。生態系を破壊し地球環境に害をなす生物を倒すためならば、市街地や人命に被害が及ぶような激しい戦闘を行う一方、逃げ遅れた子供をギャオスの光線から助けたりすることもあった。

平成三部作の世界に玄武の伝承は存在するものの、亀の先祖に相当する生物が恐竜と同時期に絶滅した設定となっているため、ガメラは「怪獣」と呼ばれる事はあっても、「巨大な亀」といった表現で呼ばれるシーンは無く、「亀」という単語も一切使われない[注 7]。現生動物の亀という概念そのものが無い為、劇中この設定に触れるシーンは無いが、『3』の劇中では、斉藤雅昭のデスクの上に陸亀の置物が置いてあるという矛盾が生じている。

コンビナートに墜落して大爆発に巻き込まれたり、レギオンプラント(草体)爆発時に炭化してしまったり、敵怪獣に瀕死状態に追い込まれたりしても復活しているが、これらはいずれも「人間の祈り」、特に子供の祈りが鍵になっている。

登場人物の一人、草薙浅黄とは精神的な交信が可能になっていた。一時は、ガメラが受けたダメージがそのまま浅黄に伝わったり、負傷した箇所と同じ箇所を負傷したり、ガメラが傷の回復のために眠りに就くのと同時に眠りに就き、ほぼ同時に目覚めたりするまでに強かったが、作品が進むに従ってその傾向は徐々に弱まって行き、『2』の中盤で途絶えたような描写がある。この精神交信には、岩礁状態で海を漂っていたガメラの甲羅から発見された勾玉が重要な鍵となっていたが、『2』でのガメラ復活時に、浅黄の持っていた勾玉は砕けている。『3』では、これと同時に他の全ての勾玉も砕けていたことが判明した。浅黄は「ガメラは人間との交信を断ち切った」と考えたが、『3』の登場人物である倉田真也は「ガメラの再生は人間の祈りによって成されたものであり、ガメラはまだ人間とは完全に離れてはいない」「それこそがガメラの弱点」という見解を見せた。

作中における行動

1995年
永い眠りから目覚めたギャオス3体と、人の手によって偶発的に復活したガメラが日本各地で激戦を繰り広げていく。
ガメラは太平洋で奇妙な環礁のような状態で眠り続けていたが、ギャオスの誕生を察知するかのように漂流して日本に接近。一度プルトニウム運搬船とぶつかったが、特に問題は起きず、調査団のメンバーが甲羅に上陸し、中心部にあった金属板に米森良成らが触れたことで金属板が崩壊、完全復活する。
3体のギャオスを追って福岡から日本列島を北上して行く。福岡湾で1体、富士山中でさらに1体を倒し、残り1体を追うが自衛隊の攻撃を受けて墜落し、更に超音波メスの攻撃を受けて負傷して退却、海底で傷の回復を図る。
復活後、東京で地下から出現し巨大に成長した成体ギャオスと空中戦を展開し、さらに地上に降り立ち市街戦を展開。地上から再び空中へと戦いの舞台を変え、大気圏外宇宙まで飛び出したが、そこでギャオスの足に食らいつきジェット噴射を抑えそのまま急降下する。苦しむギャオスが超音波メスで自らの脚を切断し脱出したため、コンビナートに墜落、大爆発に巻き込まれてしまう。しかし、浅黄の勾玉を通した「人間の祈り」を受けて周りの炎やコンビナートのエネルギーを吸収し復活。
最後は自身のハイ・プラズマとギャオスの超音波メスで撃ち合いを演じ、ギャオスの超音波メスは外れ、ハイ・プラズマはギャオスの頭部を吹き飛ばして勝利を収めた。戦いの後は浅黄の傷を癒し、海に去る。
1996年
ギャオスとの戦いから1年後。
宇宙怪獣レギオンの飛来を察知。レギオンの地球上での繁殖と、共生生物「草体」の種子発射によるレギオン拡散を阻止するために戦う。
札幌に出現した草体を撃破するものの、直後にソルジャーレギオンの奇襲を受け負傷する。変電所前に倒れ込み、ソルジャーレギオンが何体か移動した隙に回転飛行形態でソルジャーレギオンを振り落とし、傷を癒すために石狩湾に退却する。
数日後、同じく草体の出現した仙台の戦いではマザーレギオンに巨大な脚で胴体を突かれ、強力な光線、マイクロ波シェルの前に苦戦し、さらに草体種子の発射は防ぎながらも大爆発に巻き込まれて炭化して仮死状態に陥るが、上記の「人間の祈り」により復活。直後に空へ飛び立ち、足利市から群馬、埼玉県境にかけて東京を目指して進行するマザーレギオンと自衛隊との交戦の最中に降り立つ。
プラズマ火球を連発し、エルボークローでエッグチャンバーを破壊し、ソルジャーレギオンを生み出すのを封じるなど奮戦するも、プラズマ火球を無効化するバリアを張り、体格差で圧倒してくるレギオンに再び追い込まれる。
それでもレギオンの進行を阻止しようと戦うガメラを目の当たりにした自衛隊の援護を受け、レギオンの角をへし折るものの、マイクロ波ビュートで反撃され満身創痍の状態となる。最後の手段として地球のエネルギー「マナ」を体内に取り込み、最強技ウルティメイト・プラズマを発動させてレギオンを粉砕して勝利を収め、飛行形態となって空に飛び去った。
1999年
レギオンとの戦いから3年後。
先のレギオン戦において大量のマナを消費した影響で、地球各地に大量発生したギャオス・ハイパーを倒すために奔走。その過程で覚醒したギャオス変異体イリスと戦うこととなる。
とある週末の金曜の夜、東京上空でギャオス・ハイパー2匹と空中戦を展開、その内の1匹がガメラの攻撃を受けて渋谷に墜落したところに降下。深手を追った1匹をプラズマ火球で葬り、さらにもう1匹も撃破するものの、プラズマ火球の連射は人工密集地を壊滅させ、1万人以上の死者を出す結果となってしまう。この惨劇を機に、日本ではガメラを危険視する声が高まる(直接の描写はないが、劇中では海上自衛隊がガメラを攻撃したとのニュースが放送されている)。
その後、イリス覚醒に伴い再び日本へ飛来。イリスと空自との交戦の間に割って入るように参戦し、紀伊半島上空で激しい空中戦を繰り広げ、終始戦いを優勢に進める。体当たりの途中、回転飛行形態に変形して側面のとがった甲羅を利用して更なる追撃を行うが、イリスが放った超音波メスを食らい、距離を離されてしまう。そのまま追尾していたところにガメラ掃討を優先した自衛隊のペトリオット攻撃を食らい、大きくバランスを崩してイリスを取り逃してしまう。
イリスを追ってプラズマ火球を発射しながら京都に降下して行くが、イリスの長い触手によって弾かれた火球は京都を火の海と化す。京都に降下後は、ガメラを両親の仇と恨む少女、比良坂綾奈の憎しみを取り込んだイリスと激戦を繰り広げ、鋭利な手甲で胴体を貫かれるなど、苦戦しながらイリスともつれ合ってJR京都駅になだれ込む。瀕死の状態に陥りながらも、イリスが綾奈との融合を計った隙に綾奈の祈りにより復活、イリスの腹部をえぐって綾奈を救出した。イリスは手甲でガメラの右腕を貫いて拘束し、ガメラからコピーした偽プラズマ火球を突き付けるも、ガメラは自らプラズマ火球で右腕を爆砕、失った腕にイリスの放った偽プラズマ火球を受け止めて“炎の拳”(バニシング・フィスト)を造り出し、綾奈を救出した際に抉ったイリスの腹部に炎の拳をねじ込んで体内から爆発させ、その息の根を止める。綾奈を浅黄と長峰達に返して蘇生を見届けた後、半壊した京都駅を後にすると、深手を負い右腕を喪失した状態のまま、世界中から日本上空に迫りつつあるギャオスの大群との戦いを前に咆哮を上げ、自衛隊の陸・海・空全部隊が攻撃対象をガメラからギャオスに変更したところで物語は終わる。
全シリーズの中でも、最も人々に恐怖を与える存在であると同時に、最も悲劇的かつ、過酷な運命を辿っていく怪獣として描かれている。
その後については非公式ながら『ガメラ4 真実』で描かれることとなる。

身体機構(平成三部作)

細胞
非常に傷つきやすいが再生能力に優れているため、負傷しても素早く回復する。『2』では、草体の大爆発に巻き込まれた際も表面の細胞が炭化して固まっただけで、内側に新たな細胞が再構築されており、祈りの力を得て復活できた。『3』では、ギャオスの超音波メス程度なら、直撃を受けても、弾き飛ばせる程度の耐久性を身に着けた。
甲羅
頑丈で、ギャオスの超音波メス程度なら昭和版と同じく防ぐことができるが、ギャオス以降、より強力な攻撃を持つ敵怪獣の前では、レギオンのマイクロ波シェルとレギオン・ビュート、イリスの槍腕(スピア・アブソーバ)、イリスの強化された超音波メスで破壊、貫通されている。
自衛隊のミサイル攻撃を受けた際にも衝撃までは防ぎきれず、『1』では転倒や飛行中の墜落してしまっており、『3』でも飛行の際に爆撃され、墜落までは至らずとも大きくバランスを崩し、失速するなどのダメージを受けている。
昭和版とは異なり甲羅に身体を引っこめての防御は行わず、『3』で、回転飛行中に鋭利な甲羅の縁を利用した「シェル・カッター」が甲羅を使った唯一の戦法となる。
力(パワー)
腕力に任せてレギオンの大角を強引に引きちぎるなど、怪力の持ち主である。その一方、イリスに取り込まれた綾奈を救出し、長峰や浅黄たちにそっと返すなど、繊細な扱いもできる。
ガメラブレイン(大脳
三半規管が発達しているため、円盤飛行などによる高速回転でも目が回らない。知能も高い。
テレパ・ブレイン(小脳
超古代文明の勾玉を持った草薙浅黄との精神波を送受信する。
熱エネルギー変換炉(プラズマ変換炉)
ガメラが全身で吸収した炎、高圧電流、核燃料などから発せられる熱エネルギーを、血液中の電子陽子原子核と融合させることで、プラズマエネルギーに変換・貯蔵しておく器官。地球の生命エネルギー「マナ」も、ここでプラズマエネルギーに変換される。全プラズマエネルギーを解放した際のパワーは、予測不可能である。
エルボークロー(邪斬突)
両肘にある鋭い爪のような突起。『1』ではギャオスとの格闘中に肘の皮膚を突き破るように生え、肘打ちのような動作でダメージを与えた。『2』以降は常に飛び出した状態になっている。
『1』では組み付いてきたギャオスを遠方まで吹き飛ばし、『2』では自身の数倍の体格はあるレギオンを大きく後退させるなど、非常に強力な武器である。
カーフクロー(邪撃脚)
ふくらはぎにある蹴爪(けづめ)状の突起。相撲の内掛けの要領で敵を転倒させるが、イリスには通用せず、自分が転倒した。

攻撃技

ハード・スラップ(玄武掌)
登場作品:『1』
主に格闘戦で多用される拳打。
福岡港では飛翔する幼体ギャオスを叩き落とした。建物を破壊する際にも用いられることもある。
ラッシング・クロー(激突貫)
登場作品:『3』
鋭利な爪で相手の皮膚を引き裂く攻撃。作中では、イリスの胸を貫き体内に取り込まれた綾奈を救出する。
ブレイク・ファング(餓裂牙)
登場作品:『1』『3』
鋭い牙と、強力な顎の力を用いた噛み付き攻撃。一度食らいついたら離さない。ギャオスはこれを受けて、自らの足を切断してようやく脱出する。イリスとの空中戦でも使用。
シェル・カッター(旋斬甲)
登場作品:『3』
回転ジェットによる体当たり攻撃。『3』のガメラの特徴であるとがった甲羅の側面で敵を切り裂く荒技。イリスとの空中戦で使用しているが、接近しすぎたために直後に超音波メスで切り刻まれて流血してしまった。
平成三部作を通して唯一、甲羅を使った技である。
プラズマ火球(烈火球)
登場作品:『1』『2』『3』
口からエネルギー火球を放つガメラの必殺技。
体内に貯蔵したプラズマエネルギーと酸素を喉にあるチャンバーで融合・圧縮することで強力な電離作用が発生し、凝縮されたエネルギーが火球となって口から噴射される、超放電と超光熱を伴う現象である。万物を瞬時に燃焼させる威力を持ち、連射も可能。作品が進む毎にその威力は上昇していく傾向にあり、『1』や『2』ではビルの一部が吹き飛ぶ程度の威力だったが、『3』では一発で広範囲の市街地が吹き飛んだり、イリスに弾き飛ばされて被弾した地域が一瞬で巨大な炎に包まれている。『1』や『3』のギャオス、ギャオス・ハイパー単体程度なら1発か数発で粉砕できるが、それ以降の敵怪獣の防御、回避も強力なものとなっており、レギオンには干渉波クローによって無効化され、イリスにはテンタク・ランサーと呼ばれる長い触手によって弾き落とされ、ギャオス・ハイパーは単体の撃墜を物ともしない圧倒的な数で押されたりしており、次第に決定打とはならなくなっている。
ハイ・プラズマ(超烈火球)
登場作品:『1』『2』『3』
通常の120%以上の出力で放つプラズマ火球。
『1』の対ギャオス戦では石油コンビナートの爆発エネルギーを吸収することで放ち、ギャオスを撃破している。また、『2』ではススキノでの初戦で周囲の高濃度酸素を利用して爆発力を増幅させた火球を放ち、草体を炎上させている。この際、強靭な肺活量のために周囲には局地的に台風のような猛烈な風が発生した。『3』では、最初に撃墜して瀕死状態だったギャオス・ハイパーへのとどめとして使用され、渋谷駅を中心に街が広範囲に渡って炎上している。『1』や『2』と違い、この時は爆発の際のエネルギーや酸素による増幅ではなく、口内に自らのエネルギーを蓄えることで爆発力を増幅させて放っている。
破壊力は大きいが、通常のプラズマ火球と違って速射はできず、発射前には幾分時間がかかっている。
ウルティメイト・プラズマ(究極超烈火球)
登場作品:『2』
『2』で使用されたガメラ究極の必殺奥義。ガメラが天に向かって咆哮すると地球のエネルギーであるマナが頭上に集まり始め、これを体内に収束してプラズマ変換炉でプラズマエネルギー化し、貯蔵限界までチャージした後に腹甲を開いてプラズマ変換炉を露出し直接放射する。
巨大なプラズマの奔流はハイ・プラズマさえ比べものにならない大威力で、レギオンの巨体すら一瞬で粉砕し焼き尽くす程だが、ガメラの生涯において一度しか使えないとされる。
非常に強力だが、地球のエネエルギーであるマナを大量に消費するため、この技の使用は地球環境のバランスを崩してしまう恐れがある。『3』の世界各地で起きたギャオス・ハイパーの大量発生も、この技を使ったことが原因の一つだった可能性が示唆されている。作中で浅黄は、(レギオンという強大な敵の前では)ガメラもギリギリ最後の手段として、それを覚悟の上で使用に踏み切らざるを得なかったのではないか、と推測している。
一生に一度しか使えないという制限の原因が、ガメラの身体そのものにあるのか、二度使用できるだけのマナが地球上に存在しないからなのかは不明。
すでに使えないはずの『4』ではギャオス・ハイパーの大群に向けて使用されるが、もはや全滅させるだけの威力には至らなかったうえ、ガメラが力尽きることとなる。
バニシング・フィスト(爆熱拳) 別名:バニシング・ソード
登場作品:『3』
ガメラが対イリス戦の土壇場で見せた逆転の技。イリスの放った偽プラズマ火球を、自分で切り落とした腕の切り口で受け止め、そのエネルギーを吸収して「炎の拳」へ変化させたものである。イリスの腹部の傷に繰り出してねじ込み、体内から爆散させた。
バーナー[6]
登場作品:『4』
四肢のいずれかを甲羅に引き込み、プラズマエネルギー噴射口から長大なエネルギーの剣を噴出させる。通称「イデオンソード」。対アルビノギャオス戦で使用され、勝利の決め技となった。
ホーミング・プラズマ[6]
登場作品:『4』
目標を自動追尾するプラズマ火球。

トラウマガメラ

ガメラ3 邪神覚醒』劇中の序盤で、比良坂綾奈の悪夢に出てきたガメラ。

G1ギャオス襲撃の際に両親を亡くしたことでガメラを逆恨みする綾奈の夢の中に登場し、より一層ガメラへの憎悪を増させる要因となった。

スーツはG2ガメラの改修版で、G3の姿に準じて、トサカが大きく、甲羅の側面がとげとげしくなっているほか、眼球は白目のみで皮膚がただれたようになっているなど、まがまがしい容姿となっている。

恐ろしい形相に見えるのは、ガメラの墜落に巻き込まれた両親を「ガメラに殺された」と受け止めた綾奈の憎悪によるものであり、イリスによる精神干渉の影響でもあることが示唆されている(綾奈の海馬体はイリスとの融合未遂後、異常に肥大化している)。

当初は粉塵越しの不鮮明な姿であったが、終盤でイリスに取り込まれた綾奈が見たのは現実のガメラとは全く違う姿であり、ギャオスとの対比から綾奈に真実を気付かせた。

スーツアクターは同じくG2ガメラを演じ、本作でイリスを演じた大橋明

新生版のガメラ

基本データ
アヴァンガメラ / トト(志摩出現時) / トト(名古屋出現時)
分類 カメ類
年齢 不明 0歳
体高 35メートル 8メートル 30メートル
全長 55メートル 10メートル 50メートル
甲羅長径 不明
甲羅短径 不明
体重 1,200トン 不明 900トン
大気圏内飛行速度 不明
水中潜航速度 不明
歩幅 不明
エネルギー 熱エネルギー
武器・技 火球噴射
自爆
火球噴射
生息地 火山帯のどこか(推測)

スーツアクターは佐々木俊宜。幼体の撮影には本物のケヅメリクガメが用いられた(一部CG)。

1973年と2006年の個体が登場。前者は「アヴァンガメラ」と呼ばれる。後者は本作の主役であり、作品内で孵化し、卵を見つけた相沢透によって「トト」と名付けられた。最初は透の手に乗るほどの大きさであったが急速に成長した。なお、鳴き声は変更されている。

平成に入って4作目のガメラは昭和ガメラ、平成三部作のガメラとは異なり、33年前(1973年に相当)、大量のギャオスに町が襲われるシーンから入る。昭和ガメラのように「人を助けるため自ら怪獣に挑む」という設定になっている。また、平成三部作のように子供と共感して力を発揮するシーンも見られる。

ガメラとは生物としての名称であるが、本作ではガメラに「トト」と言う“名前”がつけられている。ガメラが文明の産物ではなく、子供とガメラの成長物語であるということを強調している点も、以前とは異なる部分である。

この作品ではアヴァンガメラは一切飛行しておらず、トトも幼体時の空中浮遊や、回転ジェット飛行は見せても、尾と後ろ足だけを収納したジェット噴射飛行形態は披露していない。

『GAMERA』のガメラ

ガメラ生誕50周年記念でKADOKAWAが制作したプロモーション作品のガメラ。オールCGで表現されている。

東京に襲来したギャオスの群れに立ち向かい、全滅させたが、その10年後に現れた新たな敵に対し、再び現れて立ち向かう。

ガメラシリーズ全作品リスト

映画作品

昭和シリーズ

平成シリーズ

※昭和シリーズを昭和ガメラと呼び、平成シリーズを平成ガメラと呼ぶことが多い。また、「平成ガメラ三部作」と「新生版」といったように、平成版は『ガメラ3 邪神覚醒』で区切られ、それぞれ別のカテゴリーとされることがある。第7作はダイニチ映配配給。第9 - 11作は東宝配給。第12作は松竹配給。

ガメラ3関連作品

生誕50周年記念映像

  • 2015年 「ガメラ」生誕50周年記念映像『GAMERA』(監督:石井克人 / 出演:宮藤官九郎高橋琉晟[7]
    • ガメラギャオスのほか、もう1体の怪獣の登場が確認されている。
      • この怪獣はガメラがギャオスの大群を焼き払ってから10年後、東京に現れてしなやかな巨体で這うようにして町を蹂躙していくだけでなく、離れた位置に建つビルを脚部とは別に背部から伸びる1対の腕から放つ不可視の衝撃波(放つ際には腕の先端が一瞬輝く)で球状にくり抜く破壊も行っている。
    • ニューヨーク・コミコン2015での初公開後は世界で話題となっており、50周年記念特設サイトも解説されている。2014年秋にKADOKAWA井上伸一郎やプロデューサーの菊池剛に依頼され、「これは大変そうだと思いつつも、こんな機会はめったにあるものじゃない」と引き受けた石井は、井上の用意したプロットではなくゴジラシリーズなどで実績を持つ都築雄二と相談して独自に作ったプロットを元に、ガメラとギャオスのほか、もう1体の怪獣のデザイン案も描いた。怪獣は全てCGで表現されているが、石井としては「イリスと似ちゃうかもしれないという危惧もあって、けっこう悩みました」という[8]
    • 約4分強の内容の制作は、長編映画と同様の段取りに絵コンテプレビズなど、より細かな作業を経てアニメに近いものとなった。CG制作のメインにオムニバス・ジャパンを推薦した都築は、CGチームにとって面倒な作業である、厳密にパースを合わせたレイアウトの作成にこだわった。また、舞台となった六本木はCG向けのデータが揃っていなかったため、美術部とCGチームによるロケハンが何度も行われたという[9]
    • 制作当時、宮藤は自分の撮る映画の準備中だったが、石井の出演依頼を快諾したという。また、石井は完成したばかりの本作を「今はまだ映像を客観視できない」と評しながらも、「こうすれば怪獣映画は撮れるんだなという手ごたえは感じましたね」と評している[9]

未公開作品

  • 『ガメラ対宇宙氷人』
    • 『大怪獣ガメラ』の次回作として企画された作品。劇中に登場するはずだった「宇宙氷人」のビジュアルイメージは、同じ大映作品である『大魔神』のコンセプトイメージへとフィードバックされた[10]
  • 『ガメラ対ガラシャープ』
    • 1971年頃に『ガメラ対深海怪獣ジグラ』に続く8作目として企画されていた『ガメラ対双頭怪獣W』を、1991年発売のLD-BOXの映像特典としてハイライトシーンをイラストとミニチュアによるシミュレーション映像と称して映像化した、幻の次回作。登場する怪獣は、大邪獣ガラシャープと幻のNG怪獣マルコブカラッパ。
    • スタッフ

ゲスト出演

  • 『ガメラ対セーラーファイター』
  • 『コスプレ戦士キューティ・ナイト』Version1.3 / Version1.0
  • 『コスプレ戦士キューティ・ナイト2 帝国屋の逆襲』
    • 「カプセル怪獣ガメラ」としてゲスト出演。

漫画作品

コミカライズ作品

別冊コロコロコミック』に掲載された平成ガメラ3部作の伊藤和典脚本に基づくコミカライズ版。公開に先立って読み切り掲載された。

  • 1995年 『ガメラ 大怪獣空中決戦』たかや健二(てんとう虫コミックススペシャル発売)
  • 1996年 『ガメラ2 レギオン襲来』てしろぎたかし(1996年6月てんとう虫コミックススペシャル発売)
  • 1999年 4月号『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』Moo.念平(未単行本化)

ゲーム作品

  • 1995年3月3日 『ガメラ 大怪獣空中決戦』(メーカー:エンジェル 定価:3990円〈税別〉)
  • 1995年3月22日 『ガメラ - ザ・タイム・アドベンチャー -』(メーカー:バンダイ
  • 1995年6月30日 『ガメラ ギャオス撃滅作戦』(メーカー:サミー 定価:10479円〈税込み〉)
    • スーパーファミコン用。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいているが、昭和ガメラシリーズへのオマージュを含めたステージがある。登場する怪獣はガメラとギャオスのみ。プレイヤーは自衛隊の指揮官となり、ガメラ及びギャオスへの掃討作戦が成功するように指揮する(裏技を使えば怪獣も操作可能)。
  • 1997年4月25日 『ガメラ2000』(メーカー:デジタルフロンティア 定価:5800円〈税別〉)
    • PlayStation用。タイトルの「2000」はゲームの舞台となる時代が西暦2000年であることから。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいており、「世界各地で大発生したギャオスとの戦い」という映画3作目を先どったような内容である(ただし、実際の映画では2000年を待たずしてイリス覚醒などが起こっており、だいぶズレは生じている)。ゲームは画面の奥を前方と見なす3Dシューティングで、プレイヤーが直接コントロールするのはガメラではなく戦闘機。ガメラはプレイヤー機の援護役として自機のロックオンに合わせてホーミング弾を放つ。なお、2Pでガメラだけを操作することもできる。当時、同じ3Dシューティングの名作『パンツァードラグーン』に似たゲーム、と評されることが多かった。漫才コンビ「パックンマックン」のパックンが実写ムービーデモに出演している。
    • 製作はタイトーが協力し、本作の曲はタイトーサウンドチームのZUNTATAによるもの。
  • 1999年3月25日 『ガメラ ドリームバトル』(メーカー:セガ 定価:2800円〈税別〉)
    • ドリームキャストの外部メモリに、ミニゲームがバンドルされたもの。映画『ガメラ3 邪神覚醒』のタイアップ商品。
  • 2012年 『ガメラバトル』(メーカー:角川コンテンツゲート、ORATTA アイテム:課金制〈通信費は別途かかる〉)
    • GREE用。ガメラシリーズを題材にした育成&カードバトル。

小説作品

  • 1995年 『ガメラ-大怪獣空中決戦』著:伊藤和典、イラスト:開田裕治樋口真嗣、小学館 スーパークエスト文庫。1995年6月1日 初版第1刷。定価561円。
  • 1995年 『ガメラ対不死鳥(フェニックス)』著:高橋二三、イラスト:柳柊二、小学館 スーパークエスト文庫。1995年5月1日 初版第1刷。定価550円。

CM

  • 1989年頃、カルビー『カルコーン』(後の商品名、焼きもろこし)CMに着ぐるみが出演。
  • 2010年11月より三井住友海上『GK』CMに出演。スーツは『ガメラ 大怪獣空中決戦』を元に復刻。共演は堀北真希

パチンコ・パチスロ

ガメラマーチ

ガメラ対宇宙怪獣バイラス』以降の旧大映ガメラ映画の主題歌。ガメラの強さを歌い、頑張れと励ます内容である。当時大映専務の永田秀雅が作詞、音楽を担当していた広瀬健次郎が作曲した。演奏は大映児童合唱団、大映レコーディングオーケストラ。「大映児童合唱団」とはいうものの、実際にはその辺の子供を連れてきて歌わせたものだと監督・湯浅は語っている。歌詞は3番まであり、1番では「悪魔の虹」、2番では「殺人音波」、3番では「宇宙怪獣」が登場し、それぞれ対バルゴン、対ギャオス、対バイラスを思わせる。それぞれ、「火炎噴射攻撃」、「かみつき攻撃」、「回転ジェットによる体当たり攻撃」が技として挙げられている。

同じ作者、演奏者による「ぼくらのガメラ」も使われた。こちらはガメラの大きさ、各種の技、戦車のような強さ、「ぼくら子供達」の友達であることを歌っている。

「ガメラ」の名を付けられた古生物

20世紀末、中国において、6500万年前の地層から新種の亀の化石が発見され、怪獣ファンでもあるカナダの古生物学者によって1993年に「シネミス・ガメラ」との学名がつけられた。甲羅の後方左右についている翼状の突起物が飛行する亀を思わせたため(無論、実際には飛行するためではなく、水中を泳ぐために適応した結果の形状だと考えられている)、そこから飛行する亀=ガメラと連想したようだ。

脚注

注釈

  1. ^ 東宝も後に『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』においてカメーバという亀型怪獣を出したが、ガメラのようなキャラクターではなかった。
  2. ^ 実在のカメにおいては、牙や歯の生えているものは確認されていない。
  3. ^ 空想科学読本』では、その密度二酸化炭素並みと計算されてしまった[要文献特定詳細情報]
  4. ^ アルケロンを祖先に持つ。
  5. ^ 1作目での子供が亀を逃がしたあとガメラが出現したシーンのリメイク。
  6. ^ ガメラ対大悪獣ギロン』では、鉄棒の二段跳びという芸当を見せている。
  7. ^ a b 特技監督の樋口は『スクリーン』誌のインタビューの際、「この世界には、カメという生き物はいない」と語っている[要文献特定詳細情報]。平成三部作に関してはカメという単語は出てこない。
  8. ^ 『ガメラ3 邪神覚醒』ではガメラとイリスが京都駅ビルの吹き抜け空間の中で対峙しており、これは怪獣映画史上初の“巨大怪獣による屋内での対決シーン”となった。実際の京都駅ビルの吹き抜け空間の内法は、高さ約50メートル。
  9. ^ ただし、体重120トンは、現地球上最大の動物シロナガスクジラ(160トン)よりも軽い。
  10. ^ 『ガメラ3 邪神覚醒』では、小笠原諸島沖の深海に多数のガメラの骨が発見される。この「ガメラの墓場」にある遺骨は、マナを受け止める器にはなれなかった物として“失敗ガメラ”と通称される。
  11. ^ 2』では「ガメラが地球を守るために人類と敵対する可能性」も示唆された。

出典

  1. ^ a b 石井博士ほか『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年、212 - 214頁。ISBN 4766927060 
  2. ^ ガメラ生誕50周年記念特別サイト、2015年10月9日閲覧。
  3. ^ a b c 東京が大炎上して大爆発する中でガメラがプラズマ火球を発射する超ド迫力の50周年記念映像「GAMERA」SHORT VER.”. GIGAZINE (2015年10月9日). 2015年10月9日閲覧。
  4. ^ 平成ガメラの世界では「亀」に相当する生物が存在しない設定になっている
  5. ^ 平成ガメラ - ガメラ公式ホームページ(インターネットアーカイブ2008年6月19日分キャッシュ)
  6. ^ a b 「ガメラ2第一稿についてのサシデガマシク分不相応な意見」『ガメラ2 レギオン襲来 完全解析』辰巳出版〈アソコンブックス〉、1997年。ISBN 4886411630 
  7. ^ ガメラ生誕50周年記念特別サイト”. 2015年11月4日閲覧。
  8. ^ ガメラ50周年映像を手がけた石井監督を直撃(前編)”. 2015年11月4日閲覧。
  9. ^ a b ガメラ50周年映像を手がけた石井監督を直撃(後編)”. 2015年12月2日閲覧。
  10. ^ 大映『ガメラ画報 大映秘蔵映画五十五年の歩み』竹書房〈B media books special〉、1996年、[要ページ番号]頁。ISBN 4812401666 

関連項目

外部リンク