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[[1999年]]に発生した[[成田ミイラ化遺体事件]]は、自己啓発セミナーの経営者が[[教祖]]化して起こした事件として認識されることはあまりなかったが、その後の[[X JAPAN]]の[[Toshl]]など、[[芸能人]]を巻き込んだ[[スキャンダル]]がたびたび世相を騒がせたため、自己啓発セミナーの存在が社会的に広く認識されるようになった<ref>[http://www.dma.aoba.sendai.jp/~acchan/Seminar/history.html LGAT(自己啓発セミナーに関する情報) ■自己啓発セミナーの歴史■]</ref>。近年は経営セミナー等の宣伝を[[学者]]・[[経営者]]・[[評論家]]・スポーツ関係者などを使って行い、事業全体のイメージを維持する自己啓発セミナー会社が存在している<ref name="nissoken"/>。 |
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自己啓発セミナーの手法(自己変革研修)を取り入れた[[新入社員]]研修が元で[[2013年]]5月に自殺し、[[2015年]]に「業務上の死亡だった」として[[労働災害|労災認定]]された社員の遺族が、こうしたケースの社会的な歯止めになればとして[[2017年]][[8月8日]]、入社した会社、研修会社、及びその講師を相手取って、損害賠償を含む1億500万円を求める民事訴訟を起こした<ref name="bengoshi">[https://www.bengo4.com/c_5/n_6488/ 「自己変革研修」で新入社員自殺、遺族がゼリア新薬など提訴…研修会社は反論] 2017年8月8日 弁護士ドットNEWS。</ref><ref name="buzz">[https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/20170808?utm_term=.udlWGEoP#.vkP8DgBZ ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴] 2017年8月8日 BuzzFeed NEWS。</ref>。問題となった研修は感極まって泣き出す人が出たり、軍隊みたいなことをさせるものだった<ref name="buzz"/>。社員は受講後しばらくして異常行動がみられるようになり、研修所から帰宅を命じられたが帰宅途中で自死、[[統合失調症]]を罹患したとされる<ref name="bengoshi"/><ref name="buzz"/>。 |
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2017年8月8日 (火) 14:21時点における版
自己啓発セミナー(じこけいはつセミナー、Large Group Awareness Training、LGAT)とは、主に「本当の自分を見つけ」「可能性を開く」「自己の殻を打ち破る」「心の癒やし」「トラウマの解消」などと称する、自己啓発を目的とするセミナーである。狭義には、アメリカで設立された"Mind Dynamics"[1]から分岐した"Est"や "Lifespring"の流れを汲んだセミナーのことを指す[2]。
コーチングは自己啓発セミナーを起源としており、自己啓発セミナーを推進した事業者や個人の多くが前世紀からコーチングへの事業転換を図った[3]。
概略
自己啓発セミナーは、成功哲学を含むニューソートの流れを汲んだ積極的思考の思想、サイケデリックの実験から発展したヒューマン・ポテンシャル・ムーブメントのセラピー技法、マルチ・レベル・マーケティング(マルチ商法)系の人脈によって、1970年前後にアメリカで確立した。日本にもHoliday Magic社の日本進出[4]とともに1970年代の中頃に上陸した。
並行してアメリカで開発されたリーダー養成のための企業向け研修方式であるST(センシティビティ・トレーニング)が、受講中の自殺者や受講後の心身疾患を多発させて日本でも一挙に下火になったあと、1970年代に生まれたニューエイジ系の疑似科学が結びついて体系化され、事前に可否判断の情報を持ち得ず自己責任での受講となる個人向けセミナーとして通流した面が強いとされる[5]。
近年の日本の事業者の中には、複数の事業や手法を兼ねてセミナーを存続させているところもあるが[6]、基本的な内容構成は変わらない。「ウィン・ウィン(ボース・ウィン)」、「パートナーシップ」、「コミットメント」などの用語で心理拘束を行い、勧誘プログラムでチャレンジ目標を手帳にスケジュール化させるなどの手法も依然として用いられている。また、NPOや公益法人化して生涯学習プログラムを謳ったり、社会貢献を標榜したりする事業者もある。
影響
バブル経済のピークの頃から、セミナーの手法や勧誘を巡るトラブル、加えて催眠商法との関係がマスコミ報道で扱われるようになり、1994年にはST(センシティビティ・トレーニング)のときと同様、自己啓発セミナーでも受講中に自殺事件があったことを週刊アサヒ芸能が報道した。また、2001年と2010年には受講中の死亡事故が起きたことが報じられている。2010年の事故では、昏倒した受講者をしばらく放置したとして、死亡した受講者の家族が、セミナーの経営者ならびにタイアップしていたマルチ商法の関係者を刑事告発した。
1999年に発生した成田ミイラ化遺体事件は、自己啓発セミナーの経営者が教祖化して起こした事件として認識されることはあまりなかったが、その後のX JAPANのToshlなど、芸能人を巻き込んだスキャンダルがたびたび世相を騒がせたため、自己啓発セミナーの存在が社会的に広く認識されるようになった[7]。近年は経営セミナー等の宣伝を学者・経営者・評論家・スポーツ関係者などを使って行い、事業全体のイメージを維持する自己啓発セミナー会社が存在している[6]。
自己啓発セミナーの手法(自己変革研修)を取り入れた新入社員研修が元で2013年5月に自殺し、2015年に「業務上の死亡だった」として労災認定された社員の遺族が、こうしたケースの社会的な歯止めになればとして2017年8月8日、入社した会社、研修会社、及びその講師を相手取って、損害賠償を含む1億500万円を求める民事訴訟を起こした[8][9]。問題となった研修は感極まって泣き出す人が出たり、軍隊みたいなことをさせるものだった[9]。社員は受講後しばらくして異常行動がみられるようになり、研修所から帰宅を命じられたが帰宅途中で自死、統合失調症を罹患したとされる[8][9]。
脚注
- ^ 1968年にアレクサンダー・エベレットによって設立され、1970年にマルチ商法のHoliday Magic社に買収された。Holiday Magic社がアメリカで実質的に非合法化されたため、1973年に解散している。
- ^ "Mind Dynamics"解散前の1971年に"Est"が、解散と相前後する1974年に"Lifespring"が設立された。"Est"は1984年に死亡事故を起してForum(現ランドマーク・エデュケーション)に名称変更し、座学中心に改めて存続した。
- ^ 島津幸一とともに日本で初めて自己啓発セミナー事業を広めた"ロバート・ホワイトのエグゼクティブ・コーチング" - 同ホームページ。
- ^ MLM年表
- ^ 『自分探しが止まらない』速水健朗
- ^ a b 日本創造教育研究所のサービス、アチーブメントのサービス一覧
- ^ LGAT(自己啓発セミナーに関する情報) ■自己啓発セミナーの歴史■
- ^ a b 「自己変革研修」で新入社員自殺、遺族がゼリア新薬など提訴…研修会社は反論 2017年8月8日 弁護士ドットNEWS。
- ^ a b c ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴 2017年8月8日 BuzzFeed NEWS。
関連文献
- 塩谷智美『マインド・レイプ 自己啓発セミナーの危険な素顔 ドキュメント』三一書房、1997年4月。ISBN 4-380-97231-3。
- 柿田睦夫『自己啓発セミナー 「こころの商品化」の最前線』新日本出版社〈新日本新書〉、1999年3月。ISBN 4-406-02651-7。
- 齊藤正明『「自己啓発」は私を啓発しない』マイナビ〈マイナビ新書〉、2013年4月30日。ISBN 978-4-8399-4578-7 。
関連項目
- 偽装サークル
- アドラー心理学
- 日本の心理学に関する資格一覧
- ゴー宣道場
- 社畜
- 日本創造教育研究所
- 学校法人産業能率大学
- 青木仁志(アチーブメント)