「二塩化硫黄」の版間の差分
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== 合成 == |
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一塩化硫黄に塩素を作用させると、二塩化硫黄に変わる。 |
一塩化硫黄に塩素を作用させると、二塩化硫黄に変わる。 |
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: <ce>S2Cl2\ + Cl2 -> 2SCl2</ce> |
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:S<sub>2</sub>Cl<sub>2</sub> + Cl<sub>2</sub> → 2 SCl<sub>2</sub> |
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この反応は[[塩化鉄(III)]]などの[[ルイス酸]]に触媒される。また、平衡反応であるため、二塩化硫黄を放置すると、塩素を放出して一塩化硫黄に戻ってしまう。そのため、純度の高い二塩化硫黄を合成するときは、[[五塩化リン]]などを安定剤として蒸留を行う。 |
この反応は[[塩化鉄(III)]]などの[[ルイス酸]]に触媒される。また、平衡反応であるため、二塩化硫黄を放置すると、塩素を放出して一塩化硫黄に戻ってしまう。そのため、純度の高い二塩化硫黄を合成するときは、[[五塩化リン]]などを安定剤として蒸留を行う。 |
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== 反応 == |
== 反応 == |
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元素状や水素化物の硫黄と反応して、ポリスルフィド結合を持つ塩化物を作る。この反応は、ゴムの加硫に利用される。 |
元素状や水素化物の硫黄と反応して、ポリスルフィド結合を持つ塩化物を作る。この反応は、ゴムの加硫に利用される。 |
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: <ce>SSCl2\ + \mathit{n} S -> Cl-S_{\mathit{n}+1}-Cl</ce> |
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: <ce>S2 SCl2\ + H2S4 -> Cl-S6-Cl\ + 2 Cl</ce> |
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:2 SCl<sub>2</sub> + H<sub>2</sub>S<sub>4</sub> → Cl-S<sub>6</sub>-Cl + 2 HCl |
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−80 ℃ にて塩素を作用させると、四塩化硫黄を生じる。この化合物は、−31 ℃ 以上で逆反応を起こして分解する。 |
−80 ℃ にて塩素を作用させると、四塩化硫黄を生じる。この化合物は、−31 ℃ 以上で逆反応を起こして分解する。 |
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: <ce>SSCl2\ + Cl2 -> SCl4</ce> |
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:SCl<sub>2</sub> + Cl<sub>2</sub> → SCl<sub>4</sub> |
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[[三酸化硫黄]]と反応させると、[[塩化チオニル]]を与える。これは、塩化チオニルの工業的な合成法である。 |
[[三酸化硫黄]]と反応させると、[[塩化チオニル]]を与える。これは、塩化チオニルの工業的な合成法である。 |
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: <ce>SSCl2\ + SO3 -> SOCl2\ + SO2</ce> |
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:SCl<sub>2</sub> + SO<sub>3</sub> → SOCl<sub>2</sub> + SO<sub>2</sub> |
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水とは、[[塩化水素]]を出しながら激しく反応する。 |
水とは、[[塩化水素]]を出しながら激しく反応する。 |
2017年4月14日 (金) 04:37時点における版
二塩化硫黄 | |
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別名 | 塩化硫黄(II) |
組成式 | SCl2 |
式量 | 102.97 g/mol |
形状 | 赤色液体 |
CAS登録番号 | [10545-99-0] |
密度と相 | 1.6285 g/cm3, 液体 (15 ℃)[1] |
融点 | −78 °C |
沸点 | 59 °C |
二塩化硫黄(にえんかいおう)とは、硫黄と塩素からなる。塩化硫黄(II)とも呼ばれる。Cl-S-Cl の構造を持つ分子で、硫黄上の結合角は 109.3 °。外見は赤色の液体である。
合成
一塩化硫黄に塩素を作用させると、二塩化硫黄に変わる。
この反応は塩化鉄(III)などのルイス酸に触媒される。また、平衡反応であるため、二塩化硫黄を放置すると、塩素を放出して一塩化硫黄に戻ってしまう。そのため、純度の高い二塩化硫黄を合成するときは、五塩化リンなどを安定剤として蒸留を行う。
反応
元素状や水素化物の硫黄と反応して、ポリスルフィド結合を持つ塩化物を作る。この反応は、ゴムの加硫に利用される。
−80 ℃ にて塩素を作用させると、四塩化硫黄を生じる。この化合物は、−31 ℃ 以上で逆反応を起こして分解する。
三酸化硫黄と反応させると、塩化チオニルを与える。これは、塩化チオニルの工業的な合成法である。
水とは、塩化水素を出しながら激しく反応する。
参考文献
- Cotton, F. A.; Wilkinson, G. Adv. Inorg. Chem., 5th ed., Wiley, 1988, pp. 513.
- ^ Lowry, T. M.; Jessop, G. J. Chem. Soc. 1930, 1005 - 1015.