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「ボチョウジ属」の版間の差分

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|亜科 = [[アカネ亜科]] {{Sname||Rubioideae}}<ref name="ty_190">山崎(1989),p.190</ref>
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|属 = '''ボチョウジ属 {{Snamei||Psychotria}}'''
|下位分類名 = 種
|下位分類名 = 種
|下位分類 = 本文参照
|学名 = ''Psychotria'' L.
|タイプ種 = ボチョウジ {{Snamei|Psychotria asiatica}}
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|タイプ種 = ボチョウジ {{Snamei|Psychotria asiatica}}
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[[Image:Psychotria nervosa.jpg|right|220px|thumb|図版<br>''P. nervosa'']]
[[Image:Psychotria nervosa.jpg|right|220px|thumb|図版<br>{{Snamei|P. nervosa}} Sw.]]
'''ボチョウジ属''' ''Psychotria'' は[[アカネ科]]の属の1つ。極めて多くの種が含まれる。
'''ボチョウジ属'''(ぼちょうじぞく; [[学名]]: {{Snamei|Psychotria}})は[[アカネ科]]の属の1つ。極めて多くの種が含まれる。


== 特徴 ==
== 特徴 ==
直立性の[[低木]]から小高木だが、一部に[[つる植物]]になるものがある<ref>以下、主として初島(1975),p.570</ref>。葉は対生で托葉が葉柄の間にあり、これは往々に癒合している。葉は革質で縁は滑らかで切れ込んだりしない<ref>佐竹他(1989),p.203</ref>。
直立性の[[低木]]から小高木だが、一部に[[つる植物]]になるものがある<ref>以下、主として初島(1975),p.570</ref>。葉は対生で托葉が葉柄の間にあり、これは往々に癒合している。葉は革質で縁は滑らかで切れ込んだりしない<ref name="ty_203">山崎(1989),p.203</ref>。


花は茎の先端に生じる[[集散花序]]か[[円錐花序]]の形で付き、個々の花は小さいのが普通。萼は短い筒を作り、先端は5つの歯になるが、この歯は早くに脱落する。花冠の基部は花筒を作り、この部分は真っ直ぐで先端は5つに裂けるが、これは希に4ないし6裂の例がある。雄蘂は花冠の裂片と同数で花筒の内側につき、花糸は普通は短い。葯は細長い形で花筒から僅かに外に出る<ref>佐竹他(1989),p.203</ref>。[[子房]]は2室で、それぞれに[[胚珠]]が1つだけある。果実はさほど大きくならず、球形から卵円形などの形を取り、多少とも液果、つまり柔らかい果肉に包まれた果実になって中に2個の核を含む。核には1個の種子が含まれ、種子は片面が扁平でもう片面が盛り上がるか、あるいは稜を持つ。
花は茎の先端に生じる[[集散花序]]か[[円錐花序]]の形で付き、個々の花は小さいのが普通。萼は短い筒を作り、先端は5つの歯になるが、この歯は早くに脱落する。花冠の基部は花筒を作り、この部分は真っ直ぐで先端は5つに裂けるが、これは希に4ないし6裂の例がある。雄蘂は花冠の裂片と同数で花筒の内側につき、花糸は普通は短い。葯は細長い形で花筒から僅かに外に出る<ref>山崎(1989),p.203</ref>。[[子房]]は2室で、それぞれに[[胚珠]]が1つだけある。果実はさほど大きくならず、球形から卵円形などの形を取り、多少とも液果、つまり柔らかい果肉に包まれた果実になって中に2個の核を含む。核には1個の種子が含まれ、種子は片面が扁平でもう片面が盛り上がるか、あるいは稜を持つ。


学名はギリシャ語 Psyche (生命)と trepho (保つ)に由来し、これは本属に薬用の種が含まれることによる<ref>園芸植物大図鑑(1994),p.2033</ref>。
学名は[[ギリシャ語]]の psyche (生命)と trepho (保つ)に由来し、これは本属に薬用の種が含まれることによる<ref>高林・冨樫 (1989).</ref>が、ボチョウジ属が史上初めて記載されたのは[[1759年]]の[[カール・フォン・リンネ|リンネ]]による ''Syst. Nat.'' ed. 10, 2: 929 であり<ref name="WCSP">Govaerts ''et al.'' (2019).</ref>、掲載種は {{Snamei|Psychotria asiatica}}、つまり[[ボチョウジ]]ただ1種のみである


== 種と分布 ==
== 分布 ==
世界の熱帯から亜熱帯に広く分布する<ref>佐竹他(1989),p.203</ref>。
世界の熱帯から亜熱帯に広く分布する<ref name="ty_203" />。


== 分類 ==
== 分類 ==
この属は種数が多く、しかも初島(1975)では500種、佐竹他(1989)では700種、福岡(1997)は800種としており更にDavis et al.(2001)では2000種近くとあるからどうやら絶賛数増加中いうことのようである。要するにどんどん新種が発見されている模様である。種数の多さでは樹木を含む植物の属では最大のものの一つとのことで、その多様性と分類学的な複雑さには「途方に暮れる」といい、しかも多くの地域でこの類の研究は不十分であるという。近年の分類研究によるとこの属は[[側系統]]かあるいは多系統である可能性が高く、例えば近縁の、しかし明らかに区別出来る属、例えば[[アリ植物]]であるアリノスダマ ''Hydnophytum'' がこの属の系統の中に収まってしまうといったことが明らかになりつつある。従ってこの属と近縁の属の間で統合や細分がこれから行われる可能性が高い<ref>Davis et al.(2001),p.35</ref>。
この属は初島(1975)では500種、山崎(1989)では700種、福岡(1997)は800種、{{Harvcoltxt|Davis|Bridson|Jarvis|Govaerts|2001}}では2000種近く、Govaerts (2019) では1782種とある。種数の多さでは樹木を含む植物の属では最大のものの一つとのことで、その多様性と分類学的な複雑さには「途方に暮れる」といい、しかも多くの地域でこの類の研究は不十分であるという。近年の分類研究によるとこの属は[[側系統]]かあるいは[[多系統]]である可能性が高く、例えば近縁の、しかし明らかに区別出来る属、例えば[[アリ植物]]である[[ヒドノフィツム属]]({{Snamei||Hydnophytum}}){{Refnest|group="注"|ヒドノフィツム属には[[アリノスダマ]]({{Snamei||Hydnophytum formicarum|H. formicarum}})<ref name="c&w">{{Harvcoltxt|コーナー|渡辺|1969|p=694}}.</ref>や[[ヒドノフィツム・パプアナム]]({{Snamei|sv|Hydnophytum papuanum|H. papuanum}}; 通称: 蟻の巣玉)といった種が含まれ、ほかには別属の[[ミルメコディア・ベッカリー]]({{Snamei||Myrmecodia beccarii}}; 通称: 蟻の砦)も[[塊茎]]の中にアリが共生する<ref>『多肉植物&コーデックスGuideBook』(2019),pp.122-3.</ref>が、Stevens (2001-) はヒドノフィツム属も{{Snamei||Myrmecodia}}属もボチョウジ属の[[シノニム]]扱いとしている。}}がこの属の系統の中に収まってしまうといったことが明らかになりつつある。従ってこの属と近縁の属の間で統合や細分がこれから行われる可能性が高い<ref>{{Harvcoltxt|Davis|Bridson|Jarvis|Govaerts|2001|p=35}}.</ref>。


== 種 ==
日本国内では以下の5種が知られる。ボチョウジとナガミボチョウジは3mに達しない低木で、オガサワラボチョウジは高木で最大8mに達する。他の2種は這い上がるつる植物である。
*''Psychotria'' ボチョウジ属
**''P. asiatica'' [[ボチョウジ]]
**''P. boninensis'' オオシラタマカズラ
**''P. homalosperma'' オガサワラボチョウジ
**''P. manillensis'' ナガミボチョウジ
**''P. serpens'' [[シラタマカズラ]]


== 利害 ==
=== 日本 ===
{| style="float:right;"
学名が示すように薬用とされる種はある。だが園芸植物大事典(1994)でもほとんど取り上げられている種がなく、特に重要なものはほとんどない模様である。
| [[File:Cây Đơn trắng (Psychotria reevesii).JPG|thumb|250px|ボチョウジ]]
| [[File:Psychotria serpens siratamakzr03.jpg|thumb|250px|シラタマカズラ]]
|}
日本産のものは以下の5種が知られる。ボチョウジとナガミボチョウジは3mに達しない低木で、オガサワラボチョウジは高木で最大8mに達する。オオシラタマカズラとシラタマカズラは這い上がるつる植物である。
* {{Snamei|Psychotria asiatica}} {{AU|L.}} [[ボチョウジ]]
* {{Snamei|sv|Psychotria boninensis|P. boninensis}} {{AU|Nakai}} [[オオシラタマカズラ]]<ref name="ty_203" />
* {{Snamei|sv|Psychotria homalosperma|P. homalosperma}} {{AU|A.Gray}} [[オガサワラボチョウジ]]<ref name="ty_203" />
* {{Snamei|sv|Psychotria manillensis|P. manillensis}} {{AU|Bartl.}} ex {{AU|DC.}} [[ナガミボチョウジ]]<ref name="ty_203" />
* {{Snamei|P. serpens}} L. [[シラタマカズラ]]<ref name="ty_203" />


=== アジア(日本以外)===
なお、薬用植物として名の知られる[[トコン]](吐根) ''Cephalaelis ipecacuanha'' (トコン属)はかつて本属に含められていた<ref>堀田他編(1989)p.869</ref>。
日本には見られないアジア産のものとして、{{Harvcoltxt|コーナー|渡辺|1969|p=711-3}} は以下のような種を紹介している。分類情報は Govaerts (2019) を参考とした。
* {{Snamei|sv|Psychotria angulata}} {{AU|Korth.}} [[クロタマノキ]] - [[ミャンマー]]、[[タイ王国|タイ]]、[[マラヤ]]、[[ジャワ島]]、[[ボルネオ島]]に見られる<ref name="rg">Govaerts (2019).</ref>。
* {{Snamei|sv|Psychotria malayana|P. malayana}} {{AU|Jack}}(シノニム: {{Snamei|P. stipulacea}} {{AU|Wall.}}) [[サラングボチョウジ]]
* {{Snamei|sv|Psychotria ovoidea|P. ovoidea}} Wall. ex {{AU|Hook.f.}} [[ケシラタマ]] - [[ベトナム]]、マラヤ、ボルネオ島に見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria sarmentosa|P. sarmentosa}} {{AU|Blume}} [[ナンヨウシラタマカズラ]]<ref group="注">「ナンヨウシラタマカツラ」として掲載。</ref>
** {{Snamei|P. sarmentosa}} var. {{Snamei|sarmentosa}}(シノニム: {{Snamei|P. obovata}} Wall. ex {{AU|Ridl.}}, nom. illeg.) [[マライシラタマ]]


== 出典 ==
=== アフリカ ===
[[File:Psychotria punctata - Botanischer Garten, Dresden, Germany - DSC08547.JPG|thumb|250px|{{Snamei|P. punctata}}]]
{{Harvcoltxt|Beentje|1994}} によれば、[[ケニア]]には以下のような種が見られる。分類情報は Govaerts (2019) を参考とした。
* {{Snamei||Psychotria alsophila}} {{AU|K.Schum.}} - 低木。[[タンザニア]]にも見られ、[[IUCNレッドリスト]]では {{Color|darkgoldenrod|'''Vulnerable'''}}([[危急種]])ver 2.3と評価されている<ref>Lovett, J. & Clarke, G.P. (1998). ''Psychotria alsophila. The IUCN Red List of Threatened Species'' 1998: e.T35769A9956948. {{DOI|10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T35769A9956948.en}} Downloaded on 12 June 2019.</ref>。
* {{Snamei|sv|Psychotria amboniana|P. amboniana}} K.Schum. - 低木。タンザニアや[[モザンビーク]]でも見られる<ref name="rg" />。薬用(参照: [[#利用]])。
* {{Snamei|sv|Psychotria bagshawei|P. bagshawei}} {{AU|E.M.A.Petit}} - 低木。タンザニア、[[ウガンダ]]、[[コンゴ民主共和国]](旧ザイール)でも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria capensis|P. capensis}} ({{AU|Eckl.}}) {{AU|Vatke}}
** {{Snamei|P. capensis}} subsp. {{Snamei|riparia}} (K.Schum. & {{AU|K.Krause}}) {{AU|Verdc.}}(シノニム: {{Snamei|P. riparia}} (K.Schum. & K.Krause) E.M.A.Petit)- 低木あるいは高木で植物体はほぼ無毛。[[エチオピア]]、[[ソマリア]]、ウガンダ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、[[ブルンジ]]、タンザニア、[[マラウイ]]、[[ザンビア]]、モザンビークでも見られる<ref name="rg" />。
** {{Snamei|P. capensis}} var. {{Snamei|puberula}} (E.M.A.Petit) Verdc.(シノニム: {{Snamei|P. riparia}} var. {{Snamei|puberula}} E.M.A.Petit)- 低木あるいは高木で、植物体に赤味のある濃い毛が見られる。エチオピア、タンザニア、モザンビークでも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei||Psychotria crassipetala|P. crassipetala}} E.M.A.Petit - 低木あるいは高木。{{Harvcoltxt|Petit|1964|p=191}} で[[記載]]されて以来ケニア固有種と見られてきたが近年タンザニアでも発見され、IUCNレッドリストでは {{Color|brown|'''Endangered'''}}([[絶滅危惧種]])ver 3.1と評価されている<ref>Luke, W.R.Q., Musili, P., Barasa, J. & Mathenge, J. (2018). ''Psychotria crassipetala. The IUCN Red List of Threatened Species'' 2018: e.T32252A84419018. {{DOI|10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T32252A84419018.en}} Downloaded on 12 June 2019.</ref>。
* {{Snamei|sv|Psychotria faucicola|P. faucicola}} K.Schum. - 低木。タンザニアでも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria fractinervata|P. fractinervata}} E.M.A.Petit(シノニム: {{Snamei|Grumilea exserta}} K.Schum.)- 低木あるいは高木。[[キクユ語]]名 {{Lang|ki|[[wikt:mũkomakoma|mũkomakoma]]}}<ref name="tgb_227">{{Harvcoltxt|Benson|1964|p=227}}.</ref>(モコマコマ)。タンザニアやウガンダでも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria holtzii|P. holtzii}} (K.Schum.) E.M.A.Petit - 低木。タンザニアでも見られる<ref name="rg" />。薬用(参照: [[#利用]])。
* {{Snamei|sv|Psychotria lauracea|P. lauracea}} (K.Schum.) E.M.A.Petit - 低木あるいは高木。[[スワヒリ語]]名: msigande。[[カメルーン]]、[[ガボン]]、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、ウガンダ、[[ルワンダ]]、タンザニア、ザンビアにも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria leucopoda|P. leucopoda}} E.M.A.Petit - 低木。タンザニアでも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria mahonii|P. mahonii}} {{AU|C.H.Wright}} - 高木あるいは低木。{{Harvcoltxt|Beentje|1994}} は変種として var. {{Snamei|puberula}} (E.M.A.Petit) Verdc. や var. {{Snamei|pubescens}} ({{AU|Robyns}}) Verdc. を挙げているが、Govaerts (2019) は特にそのような区別は認めていない。ガボン、カメルーン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、[[スーダン]]、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア、マラウイ、ザンビア、[[ジンバブエ]]でも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria orophila|P. orophila}} E.M.A.Petit - 低木あるいは高木。コンゴ民主共和国(旧ザイール)、スーダン、エチオピア、ウガンダ、タンザニアにも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria peduncularis|P. peduncularis}} ({{AU|Salisb.}}) {{AU|Steyerm.}} - 高さ2メートル以下の低木で、[[ルオ語]]名は obokeran<ref>{{Harvcoltxt|Kokwaro|Johns|1998}}.</ref>。アフリカ東部の沿岸諸国ではケニアからモザンビークにかけて、アフリカの内陸諸国ではエチオピア・[[スーダン]]・[[中央アフリカ共和国]]からジンバブエにかけて、アフリカ西部の沿岸諸国では[[セネガル]]から[[アンゴラ]]にかけて見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei||Psychotria petitii|P. petitii}} Verdc. - 低木あるいは高木。ケニアの[[タイタ・ヒルズ]]([[:en:Taita Hills|Taita Hills]])のみに見られ、IUCNレッドリストでは生育地の喪失が脅威になっているとして {{Color|brown|'''Endangered'''}} ver 3.1 と評価されている<ref>Musili, P., Luke, W.R.Q., Barasa, J. & Mathenge, J. (2018). ''Psychotria petitii. The IUCN Red List of Threatened Species'' 2018: e.T32253A84419050. {{DOI|10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T32253A84419050.en}} Downloaded on 12 June 2019.</ref>。
* {{Snamei||Psychotria pseudoplatyphylla|P. pseudoplatyphylla}} E.M.A.Petit - 低木あるいは高木。タンザニアにも見られ、IUCNレッドリストでは {{Color|darkgoldenrod|'''Vulnerable'''}} ver 2.3 と評価されている<ref>Lovett, J. & Clarke, G.P. (1998). ''Psychotria pseudoplatyphylla. The IUCN Red List of Threatened Species'' 1998: e.T34457A9869836. {{DOI|10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T34457A9869836.en}} Downloaded on 12 June 2019.</ref>。
* {{Snamei|es|Psychotria punctata|P. punctata}} Vatke - 低木。スワヒリ語名は mwango。
** {{Snamei|P. punctata}} var. {{Snamei|punctata}}(シノニム: {{Snamei|P. kirkii}} {{AU|Hiern}}、{{Snamei|P. kirkii}} var. {{Snamei|hirtella}} ({{AU|Oliv.}}) Verdc.、{{Snamei|P. kirkii}} var. {{Snamei|nairobiensis}} ({{AU|Bremek.}}) Verdc.、{{Snamei|P. kirkii}} var. {{Snamei|tarambassica}} (Bremek.) Verdc.、{{Snamei|P. kirkii}} var. {{Snamei|volkensii}} (K.Schum.) Verdc.)- 若枝は無毛。ガボン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、スーダン、エチオピア、ソマリア、ルワンダ、タンザニア、マラウイ、ザンビア、ジンバブエ、モザンビーク、[[コモロ]]にも見られる<ref name="rg" />。
** {{Snamei|P. punctata}} var. {{Snamei|minor}} E.M.A.Petit - 若枝に微毛があり、葉は厚い。タンザニアにも見られる<ref name="rg" />。
** {{Snamei|P. punctata}} var. {{Snamei|tenuis}} E.M.A.Petit - 若枝に微毛があり、葉は薄い。ケニアのみに見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria schliebenii|P. schliebenii}} E.M.A.Petit - 低木。
** {{Snamei|P. schliebenii}} var. {{Snamei|parvipaniculata}} E.M.A.Petit - 葉は幅1-3.5センチメートル、葉柄は1センチメートル以下、花梗は開花段階で5-20ミリメートル。ケニアのみに見られる<ref name="rg" />。
** {{Snamei|P. schliebenii}} var. {{Snamei|sessilipaniculata}} E.M.A.Petit - 葉は幅2.5-9センチメートル、葉柄は長さ0.5-8センチメートル、花梗は開花段階で1センチメートル未満。タンザニアでも見られる<ref name="rg" />。
* {{Snamei|ca|Psychotria taitensis|P. taitensis}} Verdc. - 小高木。ケニアの[[カシガウ]]([[:sv:Kasigau|Kasigau]])の固有種で、IUCNレッドリストでは {{Color|darkgoldenrod|'''Vulnerable'''}} ver 2.3 と評価されている<ref>World Conservation Monitoring Centre (1998). ''Psychotria taitensis. The IUCN Red List of Threatened Species'' 1998: e.T32254A9691643. {{DOI|10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T32254A9691643.en}} Downloaded on 12 June 2019.</ref>。
* {{Snamei|sv|Psychotria tanganyicensis|P. tanganyicensis}} Verdc.
** {{Snamei|P. tanganyicensis}} subsp. {{Snamei|tanganyicensis}} - 低木。タンザニアにも見られる<ref name="rg" />。

なお、高林・冨樫 (1989) で紹介されているコモロ原産のプシコトリア・バクテリオフィラ({{Snamei|Psychotria bacteriophila}} <small>{{AU|Valeton}}</small>)は後に、既に上で触れた {{Snamei|Psychotria punctata}} var. {{Snamei|punctata}} の[[シノニム]]と見做されている<ref name="rg" />。

=== アメリカ ===
* {{Snamei|Psychotria viridis}} {{AU|Ruiz}} & {{AU|Pav.}} [[サイコトリア・ヴィリディス]](通称: チャクルーナ)- [[キューバ]]や[[ハイチ]]・[[ドミニカ共和国]]、[[メキシコ]]南東部から[[ボリビア]]や[[ブラジル]]南東部にかけて分布する<ref name="rg" />。幻覚剤の原料となる(参照: [[#利用]])。

なお、高林・冨樫 (1989) で紹介されているブラジル原産のプシコトリア・ヤスミニフロラ({{Snamei|Psychotria jasminiflora}} <small>({{AU|André}}) {{AU|Mast.}}</small>)は後に別属の {{Snamei||Rudgea parquioides}} subsp. {{Snamei|caprifolium}} <small>({{AU|Zahlbr.}}) {{AU|Zappi}}</small> の[[シノニム]]と見做されている<ref name="rg" />が、これは[[アカネ亜科]]ということは共通しているものの[[連 (分類学)|連]]が異なり、[[トコン]]({{Snamei|Carapichea ipecacuanha}})と同じ {{Sname||Palicoureeae}} に属す<ref>Stevens (2001-).</ref>。
[[File:Psychotria poeppigiana Belize Zoo.jpg|thumb|{{Snamei|Palicourea tomentosa}} (syn. {{Snamei|Psychotria poeppigiana}})]]
また[[メキシコ]]から[[アルゼンチン]]が原産で、人間の唇のような見た目の赤い[[苞葉]]が特徴である[[サイコトリア・ペピギアナ]]<ref>[https://www.flower-db.com/ja/flower:1549 サイコトリア・ペピギアナ] (かぎけん花図鑑). {{Accessdate|2019-06-25}}</ref>({{Snamei||Psychotria poeppigiana}} <small>{{AU|Müll.Arg.}}</small>; 別名: [[ホット・リップス]]など)は論文 {{Harvcoltxt|Borhidi|2011|p=248}} で別属の {{Snamei|Palicourea tomentosa}} <small>({{AU|Aubl.}}) {{AU|Borhidi}}</small>(連は {{Sname|Palicoureeae}})とされ、[[キュー植物園]]もこれを認めている<ref name="WCSP" />。

=== オセアニア ===
[[File:Psychotria mariana (4797228371).jpg|thumb|250px|マリアナボチョウジ]]
{{Harvcoltxt|金平|1933}} は[[ミクロネシア]]産のボチョウジ属植物として以下の5種を紹介している。
* {{Snamei|sv|Psychotria arbuscula}} {{AU|Volkens}} [[ヤツプボチヤウジ]] - 小低木。金平は[[ヤップ島]]に多いと述べており、Govaerts (2019) はヤップ島含む[[カロリン諸島]]に分布するとしている。
* {{Snamei|sv|Psychotria mariana|P. mariana}} {{AU|Bartl.}} ex {{AU|DC.}} [[マリアナボチョウジ]]<ref name="YL">米倉・梶田 (2003-).</ref><ref group="注">{{Harvcoltxt|金平|1933|p=370}} の「まりやなぼちやうじ」が和名の初出である。</ref> - 小高木。カロリン諸島と[[マリアナ諸島]]に分布<ref name="rg" />。
* {{Snamei|sv|Psychotria merrillii|P. merrillii}} {{AU|Kaneh.}} [[ナナラウトボチヤウジ]] - 小高木もしくは低木。Govaerts (2019) はカロリン諸島産としているが、この種を[[記載]]した金平はその中でも[[ポンペイ島]](ポナペ島)のみに固有のものとしている。
* {{Snamei|sv|Psychotria rhombocarpa|P. rhombocarpa}} Kaneh. [[ヒシミボチヤウジ]] - 小低木。[[コスラエ島]](クサイ島)固有種。
* {{Snamei|sv|Psychotria rotensis|P. rotensis}} Kaneh. [[ロタボチヤウジ]] - 金平は[[ロタ島]]固有種としているが、Govaerts はロタ島含むマリアナ諸島だけでなくカロリン諸島にも分布するとしている。{{Harvcoltxt|金平|1933|p=373}} の記載が有効と見做され、認められている<ref name="rg" />。

== 利用 ==
[[File:Psychotria viridis, a Shamanic species. (9378988841).jpg|thumb|250px|サイコトリア・ヴィリディス]]
学名が示すように薬用とされる種がある。南米産のものに[[サイコトリア・ヴィリディス]]({{Snamei|P. viridis}}; チャクルーナ)というものがあるが、これはDMT([[ジメチルトリプタミン]])を含み、幻覚剤[[アヤワスカ]]の原料の一つとして利用される<ref>{{Harvcoltxt|石川|2016|p=66}}.</ref>。[[ケニア]]では[[ディゴ族]]([[:en:Digo people|Digo]])が {{Snamei|sv|Psychotria amboniana|P. amboniana}}({{仮リンク|ディゴ語|en|Digo language}}名は mukamasi)の葉の浸出液を赤子の[[頭痛]]に対して、{{Snamei|sv|Psychotria holtzii|P. holtzii}}(ディゴ語名: chifusi)の葉を燃やして出てきた煙を子供の頭の風邪に対して用いる<ref name="jok93">{{Harvcoltxt|Kokwaro|1993}}.</ref>。

薬用植物として名の知られる[[トコン]](吐根)はかつて本属に {{Snamei|Psychotria ipecacuanha}} として含められていた<ref>堀田他編(1989)p.869</ref>。
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== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
[[File:Hydnophytum formicarum - Botanischer Garten, Dresden, Germany - DSC08782.JPG|thumb|250px|アリノスダマ({{Snamei|Hydnophytum formicarum}})]]
[[File:Myrmecodia beccarii with Dischidia nummularia crop.jpg|thumb|250px|ミルメコディア・ベッカリー]]
<references group="注" />

=== 出典 ===
<references />
<references />


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
英語:
*佐竹義輔・他(編著) 『日本の野生植物 木本II』新装版、(1999)、平凡社
* {{Cite book|last=Beentje|first=H.J.|year=1994|url=http://www.nzdl.org/gsdlmod?e=d-00000-00---off-0unescoen--00-0----0-10-0---0---0direct-10---4-------0-1l--11-en-50---20-about---00-0-1-00-0--4----0-0-11-10-0utfZz-8-10&a=d&c=unescoen&cl=CL1.6&d=HASH01b88f73433d5003648dbf5b.12.100|title=Kenya Trees, Shrubs and Lianas|location=Nairobi, Kenya: National Museum of Kenya|isbn=9966-9861-0-3|ref=harv}}
*初島住彦 『琉球植物誌』追加・訂正版、(1975)、 沖縄生物教育研究会
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* Stevens, P. F. (2001 onwards). [http://www.mobot.org/MOBOT/research/APweb/orders/gentianalesweb.htm#Rubiaceae Angiosperm Phylogeny Website]. Version 14, July 2017 [and more or less continuously updated since]. {{Accessdate|2019-06-19}}
英語・日本語:
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日本語:
* {{Cite journal|和書|last=石川|first=勇一|title=アマゾン・ネオ・シャーマニズムの心理過程の現象学的・仏教的研究|url=http://www.sagami-wu.ac.jp/ishikawa/_src/35/amazon20neo20shamanism20paper20ishikawa.pdf|journal=トランスパーソナル心理学/精神医学|volume=15|number=1|year=2016|page=62-86|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|last=金平|first=亮三|authorlink=金平亮三|title=南洋群島植物誌|url=https://books.google.co.jp/books?id=4gD-gy5YL_MC&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|publisher=南洋庁|year=1933|page=370-375|ref=harv}}
* [[高林成年]]、[[冨樫誠]]「プシコトリア〔属〕」 『園芸植物大事典4』小学館、1989年、217頁。{{ISBN2|4-09-305104-6}}
*[[初島住彦]] 『琉球植物誌』追加・訂正版、(1975)、 沖縄生物教育研究会
*福岡誠行、「ボチョウジ」:『朝日百科 植物の世界 2』、(1997)、朝日新聞社:p.10-11
*福岡誠行、「ボチョウジ」:『朝日百科 植物の世界 2』、(1997)、朝日新聞社:p.10-11
*堀田満他編、『世界有用植物図鑑、(1989)、平凡社
*[[堀田満]]他編、『世界有用植物事典』平凡社、1989年。{{ISBN2|4-582-11505-5}}
* [[山崎敬]]「アカネ科 RUBIACEAE」 [[佐竹義輔]]、[[原寛]]、[[亘理俊次]]、[[冨成忠夫]] 編『日本の野生植物 木本II』新装版、平凡社、1999年(初版: 1989年)、190-204頁。{{ISBN2|4-582-53505-4}}
* [[米倉浩司]]・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info (2019年6月19日).
*『園芸植物大事典 1』、(1994)、小学館
*『園芸植物大事典 1』、(1994)、小学館
* {{Cite book|和書|title=多肉植物&コーデックスGuideBook|publisher=主婦の友社|year=2019|isbn=978-4-07-434371-3|ref=harv}}
*Aaron P. Davis et al. 2001, The typification and characterization of the genus ''Psychotria'' L. (Rubiaceae). Botanical Journal of the Linnean Society 135:p.35-42. {{doi|10.1111/j.1095-8339.2001.tb02366.x}}
ラテン語:
* [[カール・フォン・リンネ|Linnaeus, Carolus]] (1759). ''Systema naturae per regna tria naturae, secundum classes, ordines, genera, species, cum characteribus, differentiis, synonymis, locis''. Tomus II. Editio decima, reformata, [https://biodiversitylibrary.org/page/586848 p. 929]. Impensis direct. Laurentii Salvii, Holmiae [Stockholm].
フランス語・ラテン語:
* {{Cite journal|last=Petit|first=E.|year=1964|title=Les espèces africaines du genre {{Snamei|Psychotria}} L. (''Rubiaceae''): I (suite)|url=https://www.jstor.org/stable/3667213|journal=Bulletin du Jardin botanique de l’État à Bruxelles|volume=34|pages=161&ndash;229|doi=10.2307/3667213|ref=harv}}

== 外部リンク ==
{{Commonscat|Psychotria}}
{{Wikispecies|Psychotria}}


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[[Category:アカネ科]]
[[Category:アカネ科]]

2022年11月4日 (金) 17:06時点における最新版

ボチョウジ属
Psychotria nervosa
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク上群 superasterids
階級なし : キク類 asterids
階級なし : asterids I
: リンドウ目 Gentianales
: アカネ科 Rubiaceae
亜科 : アカネ亜科 Rubioideae[1]
: ボチョウジ連 Psychotrieae
: ボチョウジ属 Psychotria
学名
Psychotria L.
タイプ種
ボチョウジ Psychotria asiatica

本文参照

図版
P. nervosa Sw.

ボチョウジ属(ぼちょうじぞく; 学名: Psychotria)はアカネ科の属の1つ。極めて多くの種が含まれる。

特徴

[編集]

直立性の低木から小高木だが、一部につる植物になるものがある[2]。葉は対生で托葉が葉柄の間にあり、これは往々に癒合している。葉は革質で縁は滑らかで切れ込んだりしない[3]

花は茎の先端に生じる集散花序円錐花序の形で付き、個々の花は小さいのが普通。萼は短い筒を作り、先端は5つの歯になるが、この歯は早くに脱落する。花冠の基部は花筒を作り、この部分は真っ直ぐで先端は5つに裂けるが、これは希に4ないし6裂の例がある。雄蘂は花冠の裂片と同数で花筒の内側につき、花糸は普通は短い。葯は細長い形で花筒から僅かに外に出る[4]子房は2室で、それぞれに胚珠が1つだけある。果実はさほど大きくならず、球形から卵円形などの形を取り、多少とも液果、つまり柔らかい果肉に包まれた果実になって中に2個の核を含む。核には1個の種子が含まれ、種子は片面が扁平でもう片面が盛り上がるか、あるいは稜を持つ。

学名はギリシャ語の psyche (生命)と trepho (保つ)に由来し、これは本属に薬用の種が含まれることによる[5]が、ボチョウジ属が史上初めて記載されたのは1759年リンネによる Syst. Nat. ed. 10, 2: 929 であり[6]、掲載種は Psychotria asiatica、つまりボチョウジただ1種のみである。

分布

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世界の熱帯から亜熱帯に広く分布する[3]

分類

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この属は初島(1975)では500種、山崎(1989)では700種、福岡(1997)は800種、Davis et al. (2001)では2000種近く、Govaerts (2019) では1782種とある。種数の多さでは樹木を含む植物の属では最大のものの一つとのことで、その多様性と分類学的な複雑さには「途方に暮れる」といい、しかも多くの地域でこの類の研究は不十分であるという。近年の分類研究によるとこの属は側系統かあるいは多系統である可能性が高く、例えば近縁の、しかし明らかに区別出来る属、例えばアリ植物であるヒドノフィツム属Hydnophytum[注 1]がこの属の系統の中に収まってしまうといったことが明らかになりつつある。従ってこの属と近縁の属の間で統合や細分がこれから行われる可能性が高い[9]

[編集]

日本

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ボチョウジ
シラタマカズラ

日本産のものは以下の5種が知られる。ボチョウジとナガミボチョウジは3mに達しない低木で、オガサワラボチョウジは高木で最大8mに達する。オオシラタマカズラとシラタマカズラは這い上がるつる植物である。

アジア(日本以外)

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日本には見られないアジア産のものとして、コーナー & 渡辺 (1969:711-3) は以下のような種を紹介している。分類情報は Govaerts (2019) を参考とした。

アフリカ

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P. punctata

Beentje (1994) によれば、ケニアには以下のような種が見られる。分類情報は Govaerts (2019) を参考とした。

  • Psychotria alsophila K.Schum. - 低木。タンザニアにも見られ、IUCNレッドリストでは Vulnerable危急種)ver 2.3と評価されている[11]
  • P. amboniana K.Schum. - 低木。タンザニアやモザンビークでも見られる[10]。薬用(参照: #利用)。
  • P. bagshawei E.M.A.Petit - 低木。タンザニア、ウガンダコンゴ民主共和国(旧ザイール)でも見られる[10]
  • P. capensis (Eckl.) Vatke
    • P. capensis subsp. riparia (K.Schum. & K.Krause) Verdc.(シノニム: P. riparia (K.Schum. & K.Krause) E.M.A.Petit)- 低木あるいは高木で植物体はほぼ無毛。エチオピアソマリア、ウガンダ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、ブルンジ、タンザニア、マラウイザンビア、モザンビークでも見られる[10]
    • P. capensis var. puberula (E.M.A.Petit) Verdc.(シノニム: P. riparia var. puberula E.M.A.Petit)- 低木あるいは高木で、植物体に赤味のある濃い毛が見られる。エチオピア、タンザニア、モザンビークでも見られる[10]
  • P. crassipetala E.M.A.Petit - 低木あるいは高木。Petit (1964:191) で記載されて以来ケニア固有種と見られてきたが近年タンザニアでも発見され、IUCNレッドリストでは Endangered絶滅危惧種)ver 3.1と評価されている[12]
  • P. faucicola K.Schum. - 低木。タンザニアでも見られる[10]
  • P. fractinervata E.M.A.Petit(シノニム: Grumilea exserta K.Schum.)- 低木あるいは高木。キクユ語mũkomakoma[13](モコマコマ)。タンザニアやウガンダでも見られる[10]
  • P. holtzii (K.Schum.) E.M.A.Petit - 低木。タンザニアでも見られる[10]。薬用(参照: #利用)。
  • P. lauracea (K.Schum.) E.M.A.Petit - 低木あるいは高木。スワヒリ語名: msigande。カメルーンガボン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、ウガンダ、ルワンダ、タンザニア、ザンビアにも見られる[10]
  • P. leucopoda E.M.A.Petit - 低木。タンザニアでも見られる[10]
  • P. mahonii C.H.Wright - 高木あるいは低木。Beentje (1994) は変種として var. puberula (E.M.A.Petit) Verdc. や var. pubescens (Robyns) Verdc. を挙げているが、Govaerts (2019) は特にそのような区別は認めていない。ガボン、カメルーン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、スーダン、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア、マラウイ、ザンビア、ジンバブエでも見られる[10]
  • P. orophila E.M.A.Petit - 低木あるいは高木。コンゴ民主共和国(旧ザイール)、スーダン、エチオピア、ウガンダ、タンザニアにも見られる[10]
  • P. peduncularis (Salisb.) Steyerm. - 高さ2メートル以下の低木で、ルオ語名は obokeran[14]。アフリカ東部の沿岸諸国ではケニアからモザンビークにかけて、アフリカの内陸諸国ではエチオピア・スーダン中央アフリカ共和国からジンバブエにかけて、アフリカ西部の沿岸諸国ではセネガルからアンゴラにかけて見られる[10]
  • P. petitii Verdc. - 低木あるいは高木。ケニアのタイタ・ヒルズTaita Hills)のみに見られ、IUCNレッドリストでは生育地の喪失が脅威になっているとして Endangered ver 3.1 と評価されている[15]
  • P. pseudoplatyphylla E.M.A.Petit - 低木あるいは高木。タンザニアにも見られ、IUCNレッドリストでは Vulnerable ver 2.3 と評価されている[16]
  • P. punctata Vatke - 低木。スワヒリ語名は mwango。
    • P. punctata var. punctata(シノニム: P. kirkii HiernP. kirkii var. hirtella (Oliv.) Verdc.、P. kirkii var. nairobiensis (Bremek.) Verdc.、P. kirkii var. tarambassica (Bremek.) Verdc.、P. kirkii var. volkensii (K.Schum.) Verdc.)- 若枝は無毛。ガボン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、スーダン、エチオピア、ソマリア、ルワンダ、タンザニア、マラウイ、ザンビア、ジンバブエ、モザンビーク、コモロにも見られる[10]
    • P. punctata var. minor E.M.A.Petit - 若枝に微毛があり、葉は厚い。タンザニアにも見られる[10]
    • P. punctata var. tenuis E.M.A.Petit - 若枝に微毛があり、葉は薄い。ケニアのみに見られる[10]
  • P. schliebenii E.M.A.Petit - 低木。
    • P. schliebenii var. parvipaniculata E.M.A.Petit - 葉は幅1-3.5センチメートル、葉柄は1センチメートル以下、花梗は開花段階で5-20ミリメートル。ケニアのみに見られる[10]
    • P. schliebenii var. sessilipaniculata E.M.A.Petit - 葉は幅2.5-9センチメートル、葉柄は長さ0.5-8センチメートル、花梗は開花段階で1センチメートル未満。タンザニアでも見られる[10]
  • P. taitensis Verdc. - 小高木。ケニアのカシガウKasigau)の固有種で、IUCNレッドリストでは Vulnerable ver 2.3 と評価されている[17]
  • P. tanganyicensis Verdc.
    • P. tanganyicensis subsp. tanganyicensis - 低木。タンザニアにも見られる[10]

なお、高林・冨樫 (1989) で紹介されているコモロ原産のプシコトリア・バクテリオフィラ(Psychotria bacteriophila Valeton)は後に、既に上で触れた Psychotria punctata var. punctataシノニムと見做されている[10]

アメリカ

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なお、高林・冨樫 (1989) で紹介されているブラジル原産のプシコトリア・ヤスミニフロラ(Psychotria jasminiflora (André) Mast.)は後に別属の Rudgea parquioides subsp. caprifolium (Zahlbr.) Zappiシノニムと見做されている[10]が、これはアカネ亜科ということは共通しているもののが異なり、トコンCarapichea ipecacuanha)と同じ Palicoureeae に属す[18]

Palicourea tomentosa (syn. Psychotria poeppigiana)

またメキシコからアルゼンチンが原産で、人間の唇のような見た目の赤い苞葉が特徴であるサイコトリア・ペピギアナ[19]Psychotria poeppigiana Müll.Arg.; 別名: ホット・リップスなど)は論文 Borhidi (2011:248) で別属の Palicourea tomentosa (Aubl.) Borhidi(連は Palicoureeae)とされ、キュー植物園もこれを認めている[6]

オセアニア

[編集]
マリアナボチョウジ

金平 (1933)ミクロネシア産のボチョウジ属植物として以下の5種を紹介している。

利用

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サイコトリア・ヴィリディス

学名が示すように薬用とされる種がある。南米産のものにサイコトリア・ヴィリディスP. viridis; チャクルーナ)というものがあるが、これはDMT(ジメチルトリプタミン)を含み、幻覚剤アヤワスカの原料の一つとして利用される[21]ケニアではディゴ族Digo)が P. ambonianaディゴ語英語版名は mukamasi)の葉の浸出液を赤子の頭痛に対して、P. holtzii(ディゴ語名: chifusi)の葉を燃やして出てきた煙を子供の頭の風邪に対して用いる[22]

薬用植物として名の知られるトコン(吐根)はかつて本属に Psychotria ipecacuanha として含められていた[23]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
アリノスダマ(Hydnophytum formicarum
ミルメコディア・ベッカリー
  1. ^ ヒドノフィツム属にはアリノスダマH. formicarum[7]ヒドノフィツム・パプアナムH. papuanum; 通称: 蟻の巣玉)といった種が含まれ、ほかには別属のミルメコディア・ベッカリーMyrmecodia beccarii; 通称: 蟻の砦)も塊茎の中にアリが共生する[8]が、Stevens (2001-) はヒドノフィツム属もMyrmecodia属もボチョウジ属のシノニム扱いとしている。
  2. ^ 「ナンヨウシラタマカツラ」として掲載。
  3. ^ 金平 (1933:370) の「まりやなぼちやうじ」が和名の初出である。

出典

[編集]
  1. ^ 山崎(1989),p.190
  2. ^ 以下、主として初島(1975),p.570
  3. ^ a b c d e f 山崎(1989),p.203
  4. ^ 山崎(1989),p.203
  5. ^ 高林・冨樫 (1989).
  6. ^ a b Govaerts et al. (2019).
  7. ^ コーナー & 渡辺 (1969:694).
  8. ^ 『多肉植物&コーデックスGuideBook』(2019),pp.122-3.
  9. ^ Davis et al. (2001:35).
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y Govaerts (2019).
  11. ^ Lovett, J. & Clarke, G.P. (1998). Psychotria alsophila. The IUCN Red List of Threatened Species 1998: e.T35769A9956948. doi:10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T35769A9956948.en Downloaded on 12 June 2019.
  12. ^ Luke, W.R.Q., Musili, P., Barasa, J. & Mathenge, J. (2018). Psychotria crassipetala. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T32252A84419018. doi:10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T32252A84419018.en Downloaded on 12 June 2019.
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  16. ^ Lovett, J. & Clarke, G.P. (1998). Psychotria pseudoplatyphylla. The IUCN Red List of Threatened Species 1998: e.T34457A9869836. doi:10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T34457A9869836.en Downloaded on 12 June 2019.
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  20. ^ 米倉・梶田 (2003-).
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  23. ^ 堀田他編(1989)p.869

参考文献

[編集]

英語:

英語・日本語:

日本語:

ラテン語:

  • Linnaeus, Carolus (1759). Systema naturae per regna tria naturae, secundum classes, ordines, genera, species, cum characteribus, differentiis, synonymis, locis. Tomus II. Editio decima, reformata, p. 929. Impensis direct. Laurentii Salvii, Holmiae [Stockholm].

フランス語・ラテン語:

外部リンク

[編集]