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{{Otheruses|抵抗の単位であるオーム}} |
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{{出典の明記|date=2012年5月1日 (火) 09:55 (UTC)}} |
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{{単位 |
{{単位 |
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|名称 = オーム |
|名称 = オーム |
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|語源 = [[ゲオルク・オーム]] |
|語源 = [[ゲオルク・オーム]] |
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'''オーム'''({{Lang-en-short|ohm}})は |
'''オーム'''({{Lang-en-short|ohm}})は、[[インピーダンス]]や[[電気抵抗]](レジスタンス)、[[リアクタンス]]の[[物理単位|単位]]である。[[国際単位系]] ({{Lang|en|SI}}) におけるの[[SI組立単位|組立単位]]のひとつである。 |
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名称は、電気抵抗に関する[[オームの法則]]を発見した[[ドイツ]]の[[物理学者]]、[[ゲオルク・オーム|ゲオルク・ジーモン・オーム]]にちなむ。記号は[[ギリシャ文字]]のオメガ ([[Ω|'''Ω''']]) を用いる。これは、オームの頭文字である[[アルファベット]]の[[O]](オー)では、[[数字]]の[[0]](ゼロ)と混同されやすいからである(なお、オームの名前をギリシャ文字で表記すると'''Γκέοργκ Ωμ'''となる)。 |
名称は、電気抵抗に関する[[オームの法則]]を発見した[[ドイツ]]の[[物理学者]]、[[ゲオルク・オーム|ゲオルク・ジーモン・オーム]]にちなむ。記号は[[ギリシャ文字]]のオメガ ([[Ω|'''Ω''']]) を用いる。これは、オームの頭文字である[[アルファベット]]の[[O]](オー)では、[[数字]]の[[0]](ゼロ)と混同されやすいからである(なお、オームの名前をギリシャ文字で表記すると'''Γκέοργκ Ωμ'''となる)。 |
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電気抵抗を表すための単位は、初期の電信業務に関連して経験的にいくつか作られてきた。1861年に{{仮リンク|英国科学振興協会|en|British Association for the Advancement of Science}}が、質量・長さ・時間の単位から組み立てた実用上便利な大きさの単位としてオームを提唱した。オームの定義はその後何度か修正された。 |
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== 概要 == |
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オームは、[[アンペア]]と[[ボルト (単位)|ボルト]]から導出される[[SI組立単位]]である。オームの法則より、ある装置に[[印加]]する[[電圧]]''V''と、その装置に流れる[[電流]]''I''は、多くの場合、比例する(''V'' = ''R'' ・ ''I'')。その比例係数''R''を電気抵抗という。つまり、''R'' = ''V'' ・ ''I'' <sup>-1</sup>である。この''R''のSI単位がオームΩである。''V''のSI単位がボルトV, ''I''のSI単位がアンペアAなので, Ω=V・A<sup>-1</sup>である。 |
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== 定義 == |
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1ボルトの電圧を[[印加]]したときに1アンペアの電流が流れた場合、その装置は「1オームの電気抵抗を有している 」 という。[[電力]]''P''は、''P''=''V''・''I''と表せるので、''P''=''R''・''I''<sup>2</sup>となる。従って、''R'' = ''P'' ・ ''I'' <sup>-2</sup>となる。このことから、ある装置に1アンペアの電流を流したとき、1[[ワット]]の[[電力]]を消費した場合、その装置もまた1オームの電気抵抗を有している、ということができる。 |
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オームは、「[[起電力源]]を含まない1個の導体の2点間に加えられた1[[ボルト (単位)|ボルト]]の一定電位差がこの導体中に1[[アンペア]]の電流を生じさせるとき、その2点間に存在する電気抵抗」と定義される<ref>[http://www.bipm.org/utils/common/pdf/si_brochure_8_en.pdf BIPM SI Brochure: Appendix 1, p. 144]</ref><ref>[https://www.nmij.jp/library/units/si/R8/SI8J.pdf 国際単位系(SI) 国際文書第 8 版 付録 1. p. 56]</ref>。他の単位で組み立てると、以下のようになる。 |
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<math>\Omega = \dfrac{\mbox{V}}{\mbox{A}} = \dfrac{\mbox{1}}{\mbox{S}} = \dfrac{\mbox{W}}{\mbox{A}^2} = \dfrac{\mbox{V}^2}{\mbox{W}} = \dfrac{\mbox{s}}{\mbox{F}} = \dfrac{\mbox{J} \cdot \mbox{s}}{\mbox{C}^2} = \dfrac{\mbox{kg} \cdot \mbox{m}^2}{\mbox{s} \cdot \mbox{C}^2} = \dfrac{\mbox{J}}{\mbox{s} \cdot \mbox{A}^2}=\dfrac{\mbox{kg}\cdot\mbox{m}^2}{\mbox{s}^3 \cdot \mbox{A}^2}</math> |
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SI基本単位では、ボルトVが[[メートル|m]]<sup>2</sup>・[[キログラム|kg]]・[[秒|s]]<sup>-3</sup>・A<sup>-1</sup>となるので、Ω=V・A<sup>-1</sup>より、オームΩは[[メートル|m]]<sup>2</sup>・[[キログラム|kg]]・[[秒|s]]<sup>-3</sup>・A<sup>-2</sup>となる。 |
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ここで登場する単位は、[[ボルト (単位)|ボルト]] (V)、[[アンペア]] (A)、[[ジーメンス]] (S)、[[ワット]] (W)、[[秒]] (s)、[[ファラド]] (F)、[[ジュール]] (J)、[[キログラム]] (kg)、[[メートル]] (m)、[[クーロン]] (C)である。 |
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[[複素数]]で表される[[インピーダンス]]は電気抵抗を一般化したものである。その[[実数]]部は電気抵抗であり、[[虚数]]部は[[リアクタンス]]である。一貫性のために、インピーダンス、リアクタンスは電気抵抗と同じオームの単位を用いる。 |
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オームの法則より、ある装置に[[印加]]する[[電圧]]''V''と、その装置に流れる[[電流]]''I''は、多くの場合、比例する(''V'' = ''R'' ・ ''I'')。その比例係数''R''を電気抵抗という。つまり、''R'' = ''V'' ・ ''I'' <sup>-1</sup>である。この''R''のSI単位がオームΩである。''V''のSI単位がボルトV, ''I''のSI単位がアンペアAなので, Ω=V・A<sup>-1</sup>である。 |
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[[1988年]]の国際度量衡委員会の勧告により、[[1990年]]よりオームの値は[[量子ホール効果]]に基づき、[[フォン・クリッツィング定数]]の協定値(R<sub>{K-90}</sub> = 25812.807 Ω)を用いて決定されている。 |
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1ボルトの電圧を[[印加]]したときに1アンペアの電流が流れた場合、その装置は「1オームの電気抵抗を有している 」 という。[[電力]]''P''は、''P''=''V''・''I''と表せるので、''P''=''R''・''I''<sup>2</sup>となる。従って、''R'' = ''P'' ・ ''I'' <sup>-2</sup>となる。このことから、ある装置に1アンペアの電流を流したとき、1[[ワット]]の[[電力]]を消費した場合、その装置もまた1オームの電気抵抗を有している、ということができる。 |
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== 歴史 == |
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現在のオームにほぼ等しい単位は、[[1860年]]、ドイツの[[ヴェルナー・フォン・ジーメンス]]が導入した。ジーメンスは、断面積1mm{{sup|2}}、長さ1m、温度0[[℃]]の水銀柱の電気抵抗を1とした。現在のオームで正確に表せば、0.9534Ωとなる。定義に水銀が使われるのは、常温で液体の水銀は断面積の調整が容易なためである。この定義により、水銀の[[電気抵抗率]]は約1µΩmとなっている。なおジーメンスの名は、[[電気伝導度]](電気抵抗の[[逆数]])の単位[[ジーメンス]]に残っている。 |
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SI基本単位では、ボルトVが[[メートル|m]]<sup>2</sup>・[[キログラム|kg]]・[[秒|s]]<sup>-3</sup>・A<sup>-1</sup>となるので、Ω=V・A<sup>-1</sup>より、オームΩは[[メートル|m]]<sup>2</sup>・[[キログラム|kg]]・[[秒|s]]<sup>-3</sup>・A<sup>-2</sup>となる。 |
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当初はこの単位は、オーム、オーマ (ohma)、オーマド (ohmad) など様々に呼ばれた。 |
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[[複素数]]で表される[[インピーダンス]]は電気抵抗を一般化したものである。その[[実数]]部は電気抵抗であり、[[虚数]]部は[[リアクタンス]]である。[[一貫性 (単位系)|一貫性]]のために、インピーダンス、リアクタンスは電気抵抗と同じオームの単位を用いる。 |
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[[1874年]]、[[英国科学振興協会]] (BAAS) は、電圧の単位[[ボルト (単位)|ボルト]]と共に、新しく定義したオームを採用した。これにより、オームの大きさは現在と同じになった。ただし、定義の仕方は異なる。 |
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== 倍量・分量単位 == |
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当時の単位系の標準は[[電磁気の単位#CGS電磁単位系|CGS-emu]]単位系で、CGS-emuの電気抵抗の単位(CGS-emuは[[3元系]]なので本来は単位名称を使わないが、便宜上[[アブオーム]] ({{en|abohm}}) と呼ばれる)は{{1e-|9}}オームに等しい。オームは「CGS-emu単位の{{1e|9}}倍」言い換えれば「{{1e|9}}アブオーム」として定義された。この係数{{1e|9}}は、従来のオームとほぼ同じ量になるように選ばれた。つまり当時のオームは、現在のオームのように基本単位から組み立てられた単位ではなく、実験室で再現可能な量を[[SI接頭辞|単位接頭辞]]なしで表すための、[[倍量単位]]の便利な別名であり、[[実用単位]] ({{en|practice unit}}) と呼ばれた。にもかかわらず現在、オームが基本単位アンペアから導出できるのは、アンペアもかつては実用単位で、恣意的に選ばれた係数を含むからである。 |
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{|class=infobox |
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|- |
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|{{SI multiples |
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|symbol=Ω |
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|unit=オーム |
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|note=よく使われる単位を太字で示す |
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|m=|mc=|k=|M=|G= |
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}} |
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|} |
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電気・電子の分野で一般的に用いられる倍量・分量単位は、マイクロオーム、ミリオーム、キロオーム、メガオーム、ギガオームである。英語圏において、キロオーム(kiloohm)、メガオーム(megaohm)について接頭辞の最後の母音が欠落した「キルオーム」(kilohm)、「メグオーム」(megohm)の形で表記・発音されることがあり、[[NIST]]はこれらを容認している<ref group="注釈">The [http://physics.nist.gov/Pubs/SP811/sec09.html ''NIST Guide to the SI: 9.3 Spelling unit names with prefixes''] reports that IEEE/ASTM SI 10-2002 ''IEEE/ASTM Standard for Use of the International System of Units (SI): The Modern Metric System'' states that there are three cases in which the final vowel of an SI prefix is commonly omitted: '''megohm''', '''kilohm''', and '''hectare'''. "In all other cases in which the unit name begins with a vowel, both the final vowel of the prefix and the vowel of the unit name are retained and both are pronounced."</ref>。同様に、ギガオーム(gigaohm)についても非公式に「ギグオーム」(gigohm)と表記・発音されることがある<ref>{{cite web|url=http://www.answers.com/topic/gigohm |title=gigohm: Definition from |publisher=Answers.com |date= |accessdate=2013-09-16}}</ref>。 |
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[[日本]]においては、かつてはメグオームの読みが使われていたが、若年の技術者を中心にメガオームという読みが広まっており、年配の技術者がこれを誤りと指摘する場面がしばしば見られる。法令では、「メガオーム」という正式な表記が、[[電気通信事業法]]などにある<ref group="注釈">電気通信事業法「端末設備等規則」第十三条二項一号「直流回路の直流抵抗値は、一メガオーム以上であること。 」</ref><ref group="注釈">「事業用電気通信設備規則」第二十九条三・四項「一メガオーム以上の直流抵抗値」。</ref>。 |
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オームは[[1881年]]には国際電気会議(現在の[[国際電気標準会議]](IEC))により承認された。ただしこのときの定義は、大きさは実用上変わらないが、断面積1mm{{sup|2}}・長さ1.063m・温度0℃の水銀の電気抵抗とされていた。 |
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== メグオーム == |
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[[日本]]には{{要出典範囲|古く|date=2012年7月|title=いつ?}}から10<sup>6</sup> オームのことを 1 '''メグオーム''' (MΩ、megohm) と呼ぶ慣習がある。一般に10<sup>6</sup>を示す接頭辞 '''M''' (Mega)が[[メガ]]と読まれることからすれば特異であるともいえる。{{要出典範囲|英語では ohm など単位の語が母音で始まる場合、接頭辞の末尾の母音が除される(Mega- では Meg- になる)という規則があり|date=2012年7月}}、これに関係があると思われる。最近は若年の技術者を中心に'''メガオーム'''という読みが広まっていて、年配の技術者がこれを誤りと指摘する場面がしばしば見られる。 |
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ただし、「メガオーム」という正式な表記が、[[電気通信事業法]]などにある<ref>電気通信事業法「端末設備等規則」第十三条二項一号「直流回路の直流抵抗値は、一メガオーム以上であること。 」</ref><ref>「事業用電気通信設備規則」第二十九条三・四項「一メガオーム以上の直流抵抗値」。</ref>。 |
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{{節stub}} |
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== 組立単位 == |
== 組立単位 == |
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=== オーム・メートル === |
=== オーム・メートル === |
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電気抵抗<math>R</math>(Ω)は<math>R = \rho \frac{L}{A}</math>と表される(<math>L</math>: 導体長(m)、<math>A</math>: 導体断面積(m<sup>2</sup>))。比例係数<math>\rho</math>を[[電気抵抗率]]といい、その単位はΩ·m<sup>2</sup>/m = Ω·m('''オーム・メートル''')となる。1オームメートルは、「長さ1メートル、断面積1平方メートルの導体の電気抵抗が1オームであるときの導体の電気抵抗率」と定義できる。 |
電気抵抗<math>R</math>(Ω)は<math>R = \rho \frac{L}{A}</math>と表される(<math>L</math>: 導体長(m)、<math>A</math>: 導体断面積(m<sup>2</sup>))。比例係数<math>\rho</math>を[[電気抵抗率]]といい、その単位はΩ·m<sup>2</sup>/m = Ω·m('''オーム・メートル''')となる。1オームメートルは、「長さ1メートル、断面積1平方メートルの導体の電気抵抗が1オームであるときの導体の電気抵抗率」と定義できる。 |
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==歴史== |
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19世紀後半の電気工学の急速な発達は、電気に関する物理量のための、合理的で、[[一貫性 (単位系)|一貫性]]のある、矛盾のない、国際的な単位系の需要を引き起こした。19世紀の電信技手や他の初期の電気の利用者は、実際的で標準的な電気抵抗のための計測単位を必要とした。電気抵抗は、標準的な長さの電信用ワイヤーの抵抗の倍数で表された。しかし、異なる機関は異なる標準を使ったので、単位はすぐに換算できなかった。定義された電気の単位は、エネルギー・質量・長さ・時間の単位による一貫性のある単位系ではなかった。そのため、エネルギーや仕事量と電気抵抗を関連づけた計算においては、変換係数が必要となった<ref>{{cite journal|last=Hunt|first=Bruce J|title=The Ohm Is Where the Art Is: British Telegraph Engineers and the Development of Electrical Standards|journal=Osiris|year=1994|volume=9|series=2nd|pages=48–63|url=https://webspace.utexas.edu/huntbj/1994-Ohm-Osiris.pdf|accessdate=27 February 2014|doi=10.1086/368729}}</ref>。 |
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電気の単位系を確立するに当たって、2つの異なる方法が選ばれた。1つは、定義済みの抵抗・電圧などを定義するために特定の人工物(例えば特定の長さの電線や標準電池)を指定する方法である。もう1つは、電気の単位を力学の単位に関連づけて定義する方法である。例えば、電流の単位は2本の電線に電流を流した時に電線に働く力により定義され、電荷の単位は2つの荷電した物体に働く力により定義する。この後者の方法は、エネルギーの単位との間で一貫性を確実にする。エネルギーや時間の単位と一貫性のある抵抗の単位を定義するためには、電圧と電流の定義が必要になる。「1単位の電圧が1単位の電気抵抗に1単位の電流を流す」というように定義できれば望ましい。そうでなければ、あらゆる電気に関する計算に換算が必要になる。 |
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電荷と電流のいわゆる「絶対単位」(absolute units)が質量・長さ・時間の単位の組合せとして表されるので、電圧・電流・電気抵抗の間の[[次元解析]]により、電気抵抗は時間あたりの長さ、つまり速度の単位で表されることが示される。初期の電気抵抗の単位の定義は、例えば、単位抵抗を「1秒につき地球の外周の四半部」のように定義した。 |
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絶対単位系は、磁気的・静電的な量を質量・時間・長さの[[メートル法]]の基本単位と関連づけた。これらの単位には、電磁気の問題の解決で使われる方程式を単純化するという大きな利点があり、電気に関する量についての計算で換算が不要になった。しかし、CGS単位では、実際的な寸法のために非実用的な大さきを持つことがわかった。 |
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抵抗の単位の定義として、様々な人工物による標準が提案された。[[1860年]]、[[ヴェルナー・フォン・ジーメンス]]は{{仮リンク|ヨハン ・ クリスチャン・ポッゲンドルフ|en|Johann Christian Poggendorff|label=ポッゲンドルフ}}の科学雑誌『[[アナーレン・デア・フィジーク]]』で再現可能な電気抵抗の標準についての提案を行った<ref> |
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{{Literatur | Autor = Werner Siemens | Titel = Vorschlag eines reproducirbaren Widerstandsmaaßes | Sammelwerk = Annalen der Physik und Chemie| Band = 186 | Jahr = 1860 | Datum = 1860-01-01| Nummer = 5| Seiten = 1–20| DOI= 10.1002/andp.18601860502}}</ref>。彼の提案は、断面積1 mm{{sup|2}}、長さ100 cm、温度0 [[セルシウス度|{{℃}}]]の純粋な水銀の柱の電気抵抗を1とするもので、[[ジーメンス水銀単位]]と呼ばれる。現在のオームで正確に表せば、0.9534 Ωとなり、現在のオームにほぼ等しい。定義に水銀が使われるのは、常温で液体の水銀は断面積の調整が容易なためである。この定義により、水銀の[[電気抵抗率]]は約1 µΩmとなっている。なおジーメンスの名は、[[電気伝導度]](電気抵抗の[[逆数]])の単位[[ジーメンス]]に残っている。しかし、このジーメンスの提案による単位は、他の単位との一貫性がない。水銀柱の長さを調整して、一貫性を持った単位に値を合わせるという提案もあった。単位の全てのユーザが計測学実験を必須の精度にあてはめるためのリソースを持っているわけではないので、抽象的で物理的な定義に基づく標準は必要とされた。 |
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[[1861年]]、{{仮リンク|ジョサイヤ・ラティマー・クラーク|en|Josiah Latimer Clark}}と{{仮リンク|チャールズ・ティルストン・ブライト|en|Charles Tilston Bright}}は英国科学振興協会(BAAS)の会議<ref>{{cite journal |
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|first1=Latimer|last1=Clark|author1-link=ジョサイヤ・ラティマー・クラーク |
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|first2=Sir Charles|last2=Bright |author2-link=チャールズ・ティルストン・ブライト |
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|title=Measurement of Electrical Quantities and Resistance|journal=[[The Electrician]]|date=1861-11-09|volume=1|issue=1|pages=3–4|url=http://books.google.com.au/books?id=7BdbAAAAYAAJ&pg=PA3#v=onepage&q&f=false|accessdate=27 February 2014}}</ref>で、電気の単位のための基準を確立し、その単位に著名な学者に由来する「オーマ(Ohma)」、「ファラド(Farad)」、「ボルト(Volt)」の名をつけることを提案した。1861年、BAASは、電気抵抗の標準について報告させるために、[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル|マクスウェル]]と[[ウィリアム・トムソン|トムソン]]を含む委員会を指名した<ref>{{cite conference |
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| title = Report of the Thirty-First Meeting of the British Association for the Advancement of Science; held at Manchester in September 1861 |
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| date = September 1861 |
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| pages=xxxix-xl |
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| url = http://www.biodiversitylibrary.org/item/93052#page/44/mode/2up }}</ref>。彼らの目的は、使いやすい大きさで、電気の計量のための完全なシステムの一部で、エネルギーの単位と一貫性があって、安定で、再現可能で、フランスの計量システム(メートル法)に基づいた単位を考案することだった<ref>{{cite conference |
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|title=Provisional Report of the Committee appointed by the British Association on Standards of Electrical Resistance |
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|date=September 1862 |
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|conference= Thirty-second Meeting of the British Association for the Advancement of Science |
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|first1 = Professor A |last1 = Williamson |author1-link = アレキサンダー・ウィリアムソン |
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|first2 = Professor C |last2 = Wheatstone |author2-link = チャールズ・ホイートストン |
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|first3 = Professor W |last3 = Thomson |author3-link = ウィリアム・トムソン |
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|first4 = Professor WH |last4 = Miller |author4-link = ウィリアム・ハロウズ・ミラー |
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|first5 = Dr. A |last5 = Matthiessen |author5-link = オーガスタス・マシーセン |
|||
|first6 = Mr. Fleeming |last6 = Jenkin |author6-link = フリーミング・ジェンキン |
|||
|publisher= John Murray |
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|location= London |
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|pages = 125–163 |
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|url= http://biodiversitylibrary.org/page/29361871#page/192/mode/2up |
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|accessdate= 2014-02-27}}</ref>。 |
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1864年の委員会の第3報告書では、抵抗の単位は「B.A.単位(B.A. unit)」または「オーマド(Ohmad)」と呼ばれていた<ref>{{cite conference |
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|title=Report of the Committee on Standards of Electrical Resistance |
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|date=September 1864 |
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|conference= Thirty-fourth Meeting of the British Association for the Advancement of Science |
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|first1 = Professor A |last1 = Williamson |author1-link = アレキサンダー・ウィリアムソン |
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|first2 = Professor C |last2 = Wheatstone |author2-link = チャールズ・ホイートストン |
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|first3 = Professor W |last3 = Thomson |author3-link = ウィリアム・トムソン |
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|first4 = Professor WH |last4 = Miller |author4-link = ウィリアム・ハロウズ・ミラー |
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|first5 = Dr. A |last5 = Matthiessen |author5-link = オーガスタス・マシーセン |
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|first6 = Mr. Fleeming |last6 = Jenkin |author6-link = フリーミング・ジェンキン |
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|first7 = Sir Charles |last7 = Bright |author7-link =チャールズ・ティルストン・ブライト |
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|first8 = Professor |last8 = Maxwell |author8-link = ジェームズ・クラーク・マクスウェル |
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|first9 = Mr. CW |last9 = Siemens |author9-link = カール・ウィルヘルム・シーメンス |
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|first10 = Mr. Balfour |last10 = Stewart |author10-link = バルフォー・スチュワート |
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|first11 = Dr. |last11 = Joule |author11-link = ジェームズ・プレスコット・ジュール |
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|first12 = Mr. CF|last12 = Varley|author12-link = C・F・バーリー |
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|publisher= John Murray |
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|location= London |
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|page = Foldout facing page 349 |
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|url= http://www.biodiversitylibrary.org/item/93072#page/434/mode/1up |
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|accessdate= 2014-02-27}}</ref>。1867年までに、単位は単に「オーム(Ohm)」と呼ばれるようになった<ref>{{cite conference |
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|title=Report of the Committee on Standards of Electrical Resistance |
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|date=September 1867 |
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|conference= Thirty-seventh Meeting of the British Association for the Advancement of Science |
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|first1 = Professor A |last1 = Williamson |author1-link = アレキサンダー・ウィリアムソン |
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|first2 = Professor C |last2 = Wheatstone |author2-link = チャールズ・ホイートストン |
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|first3 = Professor W |last3 = Thomson |author3-link = ウィリアム・トムソン |
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|first4 = Professor WH |last4 = Miller |author4-link = ウィリアム・ハロウズ・ミラー |
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|first5 = Dr. A |last5 = Matthiessen |author5-link = オーガスタス・マシーセン |
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|first6 = Mr. Fleeming |last6 = Jenkin |author6-link = フリーミング・ジェンキン |
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|first7 = Sir Charles |last7 = Bright |author7-link =チャールズ・ティルストン・ブライト |
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|first8 = Professor |last8 = Maxwell |author8-link = ジェームズ・クラーク・マクスウェル |
|||
|first9 = Mr. CW |last9 = Siemens |author9-link = カール・ウィルヘルム・シーメンス |
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|first10 = Mr. Balfour |last10 = Stewart |author10-link = バルフォー・スチュワート |
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|first11 = Mr. CF |last11 = Varley|author11-link = C・F・バーリー |
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|first12 = Professor GC |last12 = Foster |author12-link = |
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|first13 = Mr. Latimer |last13 = Clark |author13-link = ジョサイヤ・ラティマー・クラーク |
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|first14 = Mr. D. |last14 = Forbes |author14-link = |
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|first15 = Mr. Charles |last15 = Hockin |author15-link = |
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|first16 = Dr. |last16 = Joule |author16-link = ジェームズ・プレスコット・ジュール |
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|publisher= John Murray |
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|location= London |
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|page = 488 |
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|url= http://www.biodiversitylibrary.org/item/93115#page/578/mode/1up |
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|accessdate= 2014-02-27}}</ref>。[[1874年]]、BAASは、電圧の単位[[ボルト (単位)|ボルト]]と共に、新しく定義したオーム(B.A.オーム)を採用した。B.A.オームは現行のオームとほぼ同じ大きさであるが、定義の仕方は異なる。当時の単位系の標準は[[電磁気の単位#CGS電磁単位系|CGS-emu]]単位系であり、B.A.オームはCGS-emuの電気抵抗の単位<ref group="注釈">CGS-emuは[[三元系]]なので本来は単位名称を使わないが、便宜上[[アブオーム]] ({{en|abohm}}) と呼ばれる</ref>の{{1e|9}}倍とすることを意図していたが、計算誤りにより1.3%小さく定義された。この{{1e|9}}という係数は、ジーメンスの水銀単位とほぼ同じ量になるように選ばれたものである。これは、実験室で再現可能な量を[[SI接頭辞|単位接頭辞]]なしで表すための、[[倍量単位]]の便利な別名であり、[[実用単位]] ({{en|practice unit}}) と呼ばれた。 |
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[[1881年]]9月21日、国際電気会議(現在の[[国際電気標準会議]](IEC))は実用単位としてのオームを承認した。その定義は、ジーメンスの水銀単位とほぼ同じである。1884年にパリで開かれた国際電気会議で、再現可能な標準である「法的オーム(legal ohm)」を、指定された重さで長さ106 cmの水銀柱の電気抵抗と定義した。この106 cmという値は、B.A.単位(104.7 cmに等しい)、シーメンス単位(定義上100 cm)、CGS単位の間の妥協によるものである。「法的」という名称にもかかわらず、この標準はどの国も国家標準として採用しなかった。「国際オーム(international ohm)」は、1893年にシカゴで開かれた国際電気会議で採択されたもので、長さ106.3 cm、質量14.4521 [[グラム|g]]、温度0 °Cの水銀柱の電気抵抗と定義された。この定義は、いくつかの国で採用された。 |
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1946年の[[国際度量衡委員会]](CIPM)の決議により、人工物による定義に代えて、ボルトとアンペアから組み立てる現行の定義になった。元が実用単位であったにもかかわらず、オームが基本単位アンペアから導出できるのは、アンペアもかつては実用単位で、恣意的に選ばれた係数を含むからである。 |
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=== 歴史的な電気抵抗の単位 === |
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{|class=wikitable |
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| Digney, Breguet, Swiss |
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==標準の現示== |
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水銀柱によるオームの標準の現示法は再現が難しいことがわかった。これは、非定数のガラス管の断面積の影響によるものである。様々な抵抗コイルが英国学術協会やその他の団体によって造られ、抵抗の単位の物理的な人工物基準として使用された。温度・気圧・湿気・時間の標準に対する効果が見つけら分析されたため、これらの人工物の長期の安定性と再現可能性は研究の進行中の分野となった。 |
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人工物による標準は未だに使われているが、正確に形成された誘導子とコンデンサによる[[計測学]]の実験により、基本的な基礎がオームの定義に提供された。[[1988年]]の国際度量衡委員会の勧告により、[[1990年]]よりオームの値は[[量子ホール効果]]に基づき、[[フォン・クリッツィング定数]]の協定値(R<sub>{K-90}</sub> = 25812.807 Ω)を用いて決定されている。較正のために扱いやすい値を持つ他の標準の安定性をチェックするのに、量子ホール効果は使われる<ref>R. Dzuiba and others, ''Stability of Double-Walled Maganin Resistors'' in ''NIST Special Publication Proceedings of SPIE--the International Society for Optical Engineering'', The Institute, 1988 pages 63-64</ref>。 |
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== 符号位置 == |
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また、Unicodeには、オームの倍量単位を表す上記の文字が収録されている。これらは[[CJK互換漢字|CJK互換文字]]であり、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであるので、使用は推奨されない<ref>{{cite web|url=http://www.unicode.org/charts/PDF/U3300.pdf|title=CJK Compatibility|accessdate=2016-02-21|date=2015}}</ref><ref>{{cite web|publisher=The Unicode Consortium|title=The Unicode Standard, Version 8.0.0|location=Mountain View, CA|date=2015|isbn=978-1-936213-10-8|url=http://www.unicode.org/versions/Unicode8.0.0|accessdate=2016-02-21}}</ref>。 |
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== 脚注 == |
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* [[インピーダンス]]・[[電気抵抗]](''resistance'')・[[リアクタンス]] |
* [[インピーダンス]]・[[電気抵抗]](''resistance'')・[[リアクタンス]] |
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* [[ジーメンス]] |
* [[ジーメンス]] |
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2016年8月21日 (日) 02:14時点における版
オーム Ohm | |
---|---|
抵抗器 | |
記号 | Ω |
度量衡 | メートル法 |
系 | 国際単位系 (SI) |
種類 | 組立単位 |
量 | 電気抵抗 |
組立 | V/A |
定義 | 1Vの電圧をかけたときに1Aの電流が流れる電気抵抗 |
由来 | 断面積1mm2、長さ1m、温度0℃の水銀の電気抵抗 |
語源 | ゲオルク・オーム |
オーム(英: ohm)は、インピーダンスや電気抵抗(レジスタンス)、リアクタンスの単位である。国際単位系 (SI) におけるの組立単位のひとつである。
名称は、電気抵抗に関するオームの法則を発見したドイツの物理学者、ゲオルク・ジーモン・オームにちなむ。記号はギリシャ文字のオメガ (Ω) を用いる。これは、オームの頭文字であるアルファベットのO(オー)では、数字の0(ゼロ)と混同されやすいからである(なお、オームの名前をギリシャ文字で表記するとΓκέοργκ Ωμとなる)。
電気抵抗を表すための単位は、初期の電信業務に関連して経験的にいくつか作られてきた。1861年に英国科学振興協会が、質量・長さ・時間の単位から組み立てた実用上便利な大きさの単位としてオームを提唱した。オームの定義はその後何度か修正された。
定義
オームは、「起電力源を含まない1個の導体の2点間に加えられた1ボルトの一定電位差がこの導体中に1アンペアの電流を生じさせるとき、その2点間に存在する電気抵抗」と定義される[1][2]。他の単位で組み立てると、以下のようになる。
ここで登場する単位は、ボルト (V)、アンペア (A)、ジーメンス (S)、ワット (W)、秒 (s)、ファラド (F)、ジュール (J)、キログラム (kg)、メートル (m)、クーロン (C)である。
オームの法則より、ある装置に印加する電圧Vと、その装置に流れる電流Iは、多くの場合、比例する(V = R ・ I)。その比例係数Rを電気抵抗という。つまり、R = V ・ I -1である。このRのSI単位がオームΩである。VのSI単位がボルトV, IのSI単位がアンペアAなので, Ω=V・A-1である。
1ボルトの電圧を印加したときに1アンペアの電流が流れた場合、その装置は「1オームの電気抵抗を有している 」 という。電力Pは、P=V・Iと表せるので、P=R・I2となる。従って、R = P ・ I -2となる。このことから、ある装置に1アンペアの電流を流したとき、1ワットの電力を消費した場合、その装置もまた1オームの電気抵抗を有している、ということができる。
SI基本単位では、ボルトVがm2・kg・s-3・A-1となるので、Ω=V・A-1より、オームΩはm2・kg・s-3・A-2となる。
複素数で表されるインピーダンスは電気抵抗を一般化したものである。その実数部は電気抵抗であり、虚数部はリアクタンスである。一貫性のために、インピーダンス、リアクタンスは電気抵抗と同じオームの単位を用いる。
倍量・分量単位
|
電気・電子の分野で一般的に用いられる倍量・分量単位は、マイクロオーム、ミリオーム、キロオーム、メガオーム、ギガオームである。英語圏において、キロオーム(kiloohm)、メガオーム(megaohm)について接頭辞の最後の母音が欠落した「キルオーム」(kilohm)、「メグオーム」(megohm)の形で表記・発音されることがあり、NISTはこれらを容認している[注釈 1]。同様に、ギガオーム(gigaohm)についても非公式に「ギグオーム」(gigohm)と表記・発音されることがある[3]。
日本においては、かつてはメグオームの読みが使われていたが、若年の技術者を中心にメガオームという読みが広まっており、年配の技術者がこれを誤りと指摘する場面がしばしば見られる。法令では、「メガオーム」という正式な表記が、電気通信事業法などにある[注釈 2][注釈 3]。
組立単位
ジーメンス、モー
オームの測定値の逆数は、コンダクタンスの単位であるジーメンスの測定値となる。コンダクタンスの単位は、かつては ohm を逆につづった mho(モー、℧)が用いられていた。
オーム・メートル
電気抵抗(Ω)はと表される(: 導体長(m)、: 導体断面積(m2))。比例係数を電気抵抗率といい、その単位はΩ·m2/m = Ω·m(オーム・メートル)となる。1オームメートルは、「長さ1メートル、断面積1平方メートルの導体の電気抵抗が1オームであるときの導体の電気抵抗率」と定義できる。
歴史
19世紀後半の電気工学の急速な発達は、電気に関する物理量のための、合理的で、一貫性のある、矛盾のない、国際的な単位系の需要を引き起こした。19世紀の電信技手や他の初期の電気の利用者は、実際的で標準的な電気抵抗のための計測単位を必要とした。電気抵抗は、標準的な長さの電信用ワイヤーの抵抗の倍数で表された。しかし、異なる機関は異なる標準を使ったので、単位はすぐに換算できなかった。定義された電気の単位は、エネルギー・質量・長さ・時間の単位による一貫性のある単位系ではなかった。そのため、エネルギーや仕事量と電気抵抗を関連づけた計算においては、変換係数が必要となった[4]。
電気の単位系を確立するに当たって、2つの異なる方法が選ばれた。1つは、定義済みの抵抗・電圧などを定義するために特定の人工物(例えば特定の長さの電線や標準電池)を指定する方法である。もう1つは、電気の単位を力学の単位に関連づけて定義する方法である。例えば、電流の単位は2本の電線に電流を流した時に電線に働く力により定義され、電荷の単位は2つの荷電した物体に働く力により定義する。この後者の方法は、エネルギーの単位との間で一貫性を確実にする。エネルギーや時間の単位と一貫性のある抵抗の単位を定義するためには、電圧と電流の定義が必要になる。「1単位の電圧が1単位の電気抵抗に1単位の電流を流す」というように定義できれば望ましい。そうでなければ、あらゆる電気に関する計算に換算が必要になる。
電荷と電流のいわゆる「絶対単位」(absolute units)が質量・長さ・時間の単位の組合せとして表されるので、電圧・電流・電気抵抗の間の次元解析により、電気抵抗は時間あたりの長さ、つまり速度の単位で表されることが示される。初期の電気抵抗の単位の定義は、例えば、単位抵抗を「1秒につき地球の外周の四半部」のように定義した。
絶対単位系は、磁気的・静電的な量を質量・時間・長さのメートル法の基本単位と関連づけた。これらの単位には、電磁気の問題の解決で使われる方程式を単純化するという大きな利点があり、電気に関する量についての計算で換算が不要になった。しかし、CGS単位では、実際的な寸法のために非実用的な大さきを持つことがわかった。
抵抗の単位の定義として、様々な人工物による標準が提案された。1860年、ヴェルナー・フォン・ジーメンスはポッゲンドルフの科学雑誌『アナーレン・デア・フィジーク』で再現可能な電気抵抗の標準についての提案を行った[5]。彼の提案は、断面積1 mm2、長さ100 cm、温度0 °Cの純粋な水銀の柱の電気抵抗を1とするもので、ジーメンス水銀単位と呼ばれる。現在のオームで正確に表せば、0.9534 Ωとなり、現在のオームにほぼ等しい。定義に水銀が使われるのは、常温で液体の水銀は断面積の調整が容易なためである。この定義により、水銀の電気抵抗率は約1 µΩmとなっている。なおジーメンスの名は、電気伝導度(電気抵抗の逆数)の単位ジーメンスに残っている。しかし、このジーメンスの提案による単位は、他の単位との一貫性がない。水銀柱の長さを調整して、一貫性を持った単位に値を合わせるという提案もあった。単位の全てのユーザが計測学実験を必須の精度にあてはめるためのリソースを持っているわけではないので、抽象的で物理的な定義に基づく標準は必要とされた。
1861年、ジョサイヤ・ラティマー・クラークとチャールズ・ティルストン・ブライトは英国科学振興協会(BAAS)の会議[6]で、電気の単位のための基準を確立し、その単位に著名な学者に由来する「オーマ(Ohma)」、「ファラド(Farad)」、「ボルト(Volt)」の名をつけることを提案した。1861年、BAASは、電気抵抗の標準について報告させるために、マクスウェルとトムソンを含む委員会を指名した[7]。彼らの目的は、使いやすい大きさで、電気の計量のための完全なシステムの一部で、エネルギーの単位と一貫性があって、安定で、再現可能で、フランスの計量システム(メートル法)に基づいた単位を考案することだった[8]。
1864年の委員会の第3報告書では、抵抗の単位は「B.A.単位(B.A. unit)」または「オーマド(Ohmad)」と呼ばれていた[9]。1867年までに、単位は単に「オーム(Ohm)」と呼ばれるようになった[10]。1874年、BAASは、電圧の単位ボルトと共に、新しく定義したオーム(B.A.オーム)を採用した。B.A.オームは現行のオームとほぼ同じ大きさであるが、定義の仕方は異なる。当時の単位系の標準はCGS-emu単位系であり、B.A.オームはCGS-emuの電気抵抗の単位[注釈 4]の109倍とすることを意図していたが、計算誤りにより1.3%小さく定義された。この109という係数は、ジーメンスの水銀単位とほぼ同じ量になるように選ばれたものである。これは、実験室で再現可能な量を単位接頭辞なしで表すための、倍量単位の便利な別名であり、実用単位 (practice unit) と呼ばれた。
1881年9月21日、国際電気会議(現在の国際電気標準会議(IEC))は実用単位としてのオームを承認した。その定義は、ジーメンスの水銀単位とほぼ同じである。1884年にパリで開かれた国際電気会議で、再現可能な標準である「法的オーム(legal ohm)」を、指定された重さで長さ106 cmの水銀柱の電気抵抗と定義した。この106 cmという値は、B.A.単位(104.7 cmに等しい)、シーメンス単位(定義上100 cm)、CGS単位の間の妥協によるものである。「法的」という名称にもかかわらず、この標準はどの国も国家標準として採用しなかった。「国際オーム(international ohm)」は、1893年にシカゴで開かれた国際電気会議で採択されたもので、長さ106.3 cm、質量14.4521 g、温度0 °Cの水銀柱の電気抵抗と定義された。この定義は、いくつかの国で採用された。
1946年の国際度量衡委員会(CIPM)の決議により、人工物による定義に代えて、ボルトとアンペアから組み立てる現行の定義になった。元が実用単位であったにもかかわらず、オームが基本単位アンペアから導出できるのは、アンペアもかつては実用単位で、恣意的に選ばれた係数を含むからである。
歴史的な電気抵抗の単位
単位[11] | 定義 | B.A.オームによる値 | 備考 |
---|---|---|---|
絶対フィート毎秒(absolute foot/second) × 107 | FPS単位系 | 0.3048 | 1884年時点で既に時代遅れであるとみなされていた。 |
トムソン単位(Thomson's unit) | FPS単位系 | 0.3202 | 108 フィート毎秒。1884年時点で既に時代遅れであるとみなされていた。 |
ヤコビの抵抗単位(Jacobi's unit of resistance) | 特定の銅の合金でできた、直径1ミリメートルの円形の横断面による1メートルの銅線の電気抵抗[12] | 0.6367 | 1850年代に使用された |
ウェーバーの絶対単位(Weber's absolute unit) × 107 | メートルと秒に基づく | 0.9191 | |
ジーメンス水銀単位 | 1860年 | 0.9537 | 断面積1 mm²、長さ100 cmの純粋な水銀柱の0 °Cにおける電気抵抗 |
B.A.オーム | 1863年 | 1.000 | 1863年にキュー天文台に預けられた標準コイルの電気抵抗[13] |
Digney, Breguet, Swiss | 9.266–10.420 | 断面積4 mm²、長さ1 kmの鉄線の電気抵抗 | |
Matthiessen | 13.59 | 直径1/16インチ、長さ1マイルのなまし銅線の15.5 °Cにおける電気抵抗 | |
Varley | 25.61 | 直径1/16インチ、長さ1マイルの銅線の電気抵抗 | |
German mile | 57.44 | 直径1/6インチ、長さ1ドイツマイル(8238ヤード)の鉄線の電気抵抗 | |
アブオーム(abohm) | 10−9 | CGS単位系の電磁単位 | |
スタットオーム(statohm) | 8.987551787x1011 | CGS単位系の静電単位 |
標準の現示
水銀柱によるオームの標準の現示法は再現が難しいことがわかった。これは、非定数のガラス管の断面積の影響によるものである。様々な抵抗コイルが英国学術協会やその他の団体によって造られ、抵抗の単位の物理的な人工物基準として使用された。温度・気圧・湿気・時間の標準に対する効果が見つけら分析されたため、これらの人工物の長期の安定性と再現可能性は研究の進行中の分野となった。
人工物による標準は未だに使われているが、正確に形成された誘導子とコンデンサによる計測学の実験により、基本的な基礎がオームの定義に提供された。1988年の国際度量衡委員会の勧告により、1990年よりオームの値は量子ホール効果に基づき、フォン・クリッツィング定数の協定値(R{K-90} = 25812.807 Ω)を用いて決定されている。較正のために扱いやすい値を持つ他の標準の安定性をチェックするのに、量子ホール効果は使われる[14]。
符号位置
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
Ω | U+2126 |
- |
Ω Ω |
オーム |
Ω | U+03A9 |
1-6-24 |
Ω Ω Ω |
オメガ |
オームの単位記号は、コードポイントU+2126 Ω ohm signでUnicodeにコード化されている。しかしこれは、既存の文字コードとの互換性のために用意されている互換文字である。Unicode標準では、この文字の代わりにU+03A9 Ω greek capital letter omega、つまりギリシャ文字の大文字のΩ(オメガ)を使うことを推奨している。「次の3つの文字種記号は、普通の文字と正準等価である: U+2126 Ω ohm sign、U+212A K kelvin sign、U+212B Å angstrom sign。これら3つの全ての文字については、普通の文字が使われなければならない。」[15]
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
㏀ | U+33C0 |
- |
㏀ ㏀ |
キロオーム |
㏁ | U+33C1 |
- |
㏁ ㏁ |
メガオーム |
また、Unicodeには、オームの倍量単位を表す上記の文字が収録されている。これらはCJK互換文字であり、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであるので、使用は推奨されない[16][17]。
脚注
注釈
- ^ The NIST Guide to the SI: 9.3 Spelling unit names with prefixes reports that IEEE/ASTM SI 10-2002 IEEE/ASTM Standard for Use of the International System of Units (SI): The Modern Metric System states that there are three cases in which the final vowel of an SI prefix is commonly omitted: megohm, kilohm, and hectare. "In all other cases in which the unit name begins with a vowel, both the final vowel of the prefix and the vowel of the unit name are retained and both are pronounced."
- ^ 電気通信事業法「端末設備等規則」第十三条二項一号「直流回路の直流抵抗値は、一メガオーム以上であること。 」
- ^ 「事業用電気通信設備規則」第二十九条三・四項「一メガオーム以上の直流抵抗値」。
- ^ CGS-emuは三元系なので本来は単位名称を使わないが、便宜上アブオーム (abohm) と呼ばれる
出典
- ^ BIPM SI Brochure: Appendix 1, p. 144
- ^ 国際単位系(SI) 国際文書第 8 版 付録 1. p. 56
- ^ “gigohm: Definition from”. Answers.com. 2013年9月16日閲覧。
- ^ Hunt, Bruce J (1994). “The Ohm Is Where the Art Is: British Telegraph Engineers and the Development of Electrical Standards”. Osiris. 2nd 9: 48–63. doi:10.1086/368729 27 February 2014閲覧。.
- ^
Werner Siemens (1860-01-01 1860), "Vorschlag eines reproducirbaren Widerstandsmaaßes", Annalen der Physik und Chemie (ドイツ語), vol. 186, no. 5, pp. 1–20, doi:10.1002/andp.18601860502。
{{citation}}
:|date=
の日付が不正です。 (説明); 不明な引数|Comment=
が空白で指定されています。 (説明) - ^ Clark, Latimer; Bright, Sir Charles (1861-11-09). “Measurement of Electrical Quantities and Resistance”. The Electrician 1 (1): 3–4 27 February 2014閲覧。.
- ^ Report of the Thirty-First Meeting of the British Association for the Advancement of Science; held at Manchester in September 1861. September 1861. pp. xxxix–xl.
- ^ Williamson, Professor A; Wheatstone, Professor C; Thomson, Professor W; Miller, Professor WH; Matthiessen, Dr. A; Jenkin, Mr. Fleeming (September 1862). Provisional Report of the Committee appointed by the British Association on Standards of Electrical Resistance. Thirty-second Meeting of the British Association for the Advancement of Science. London: John Murray. pp. 125–163. 2014年2月27日閲覧。
- ^ Williamson, Professor A; Wheatstone, Professor C; Thomson, Professor W; Miller, Professor WH; Matthiessen, Dr. A; Jenkin, Mr. Fleeming; Bright, Sir Charles; Maxwell, Professor; Siemens, Mr. CW; Stewart, Mr. Balfour; Joule, Dr.; Varley, Mr. CF (September 1864). Report of the Committee on Standards of Electrical Resistance. Thirty-fourth Meeting of the British Association for the Advancement of Science. London: John Murray. p. Foldout facing page 349. 2014年2月27日閲覧。
- ^ Williamson, Professor A; Wheatstone, Professor C; Thomson, Professor W; Miller, Professor WH; Matthiessen, Dr. A; Jenkin, Mr. Fleeming; Bright, Sir Charles; Maxwell, Professor; Siemens, Mr. CW; Stewart, Mr. Balfour; Varley, Mr. CF; Foster, Professor GC; Clark, Mr. Latimer; Forbes, Mr. D.; Hockin, Mr. Charles; Joule, Dr. (September 1867). Report of the Committee on Standards of Electrical Resistance. Thirty-seventh Meeting of the British Association for the Advancement of Science. London: John Murray. p. 488. 2014年2月27日閲覧。
- ^ Gordon Wigan (trans. and ed.), Electrician's Pocket Book, Cassel and Company, London, 1884
- ^ “Jacobi's unit”. 2016年8月1日閲覧。
- ^ Historical Studies in International Corporate Business. Teich p34
- ^ R. Dzuiba and others, Stability of Double-Walled Maganin Resistors in NIST Special Publication Proceedings of SPIE--the International Society for Optical Engineering, The Institute, 1988 pages 63-64
- ^ “22.2”. The Unicode Standard, Version 8.0. Mountain View, CA, USA: The Unicode Consortium. (August 2015). ISBN 978-1-936213-10-8 6 September 2015閲覧。
- ^ “CJK Compatibility” (2015年). 2016年2月21日閲覧。
- ^ “The Unicode Standard, Version 8.0.0”. Mountain View, CA: The Unicode Consortium (2015年). 2016年2月21日閲覧。
関連項目
名称 | 記号 | 次元 | 組立 | 物理量 |
---|---|---|---|---|
アンペア(SI基本単位) | A | I | A | 電流 |
クーロン | C | T I | A·s | 電荷(電気量) |
ボルト | V | L2 T−3 M I−1 | J/C = kg·m2·s−3·A−1 | 電圧・電位 |
オーム | Ω | L2 T−3 M I−2 | V/A = kg·m2·s−3·A−2 | 電気抵抗・インピーダンス・リアクタンス |
オーム・メートル | Ω·m | L3 T−3 M I−2 | kg·m3·s−3·A−2 | 電気抵抗率 |
ワット | W | L2 T−3 M | V·A = kg·m2·s−3 | 電力・放射束 |
ファラド | F | L−2 T4 M−1 I2 | C/V = kg−1·m−2·A2·s4 | 静電容量 |
ファラド毎メートル | F/m | L−3 T4 I2 M−1 | kg−1·m−3·A2·s4 | 誘電率 |
毎ファラド(ダラフ) | F−1 | L2 T−4 M I−2 | V/C = kg1·m2·A−2·s−4 | エラスタンス |
ボルト毎メートル | V/m | L T−3 M I−1 | kg·m·s−3·A−1 | 電場(電界)の強さ |
クーロン毎平方メートル | C/m2 | L−2 T I | C/m2= m−2·A·s | 電束密度 |
ジーメンス | S | L−2 T3 M−1 I2 | Ω−1 = kg−1·m−2·s3·A2 | コンダクタンス・アドミタンス・サセプタンス |
ジーメンス毎メートル | S/m | L−3 T3 M−1 I2 | kg−1·m−3·s3·A2 | 電気伝導率(電気伝導度・導電率) |
ウェーバ | Wb | L2 T−2 M I−1 | V·s = J/A = kg·m2·s−2·A−1 | 磁束 |
テスラ | T | T−2 M I−1 | Wb/m2 = kg·s−2·A−1 | 磁束密度 |
アンペア回数 | A | I | A | 起磁力 |
アンペア毎メートル | A/m | L−1 I | m−1·A | 磁場(磁界)の強さ |
アンペア毎ウェーバ | A/Wb | L−2 T2 M−1 I2 | kg−1·m−2·s2·A2 | 磁気抵抗(リラクタンス、英: reluctance) |
ヘンリー | H | L2 T−2 M I−2 | Wb/A = V·s/A = kg·m2·s−2·A−2 | インダクタンス・パーミアンス |
ヘンリー毎メートル | H/m | L T−2 M I−2 | kg·m·s−2·A−2 | 透磁率 |