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「爆買い」の版間の差分

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[[2009年]]11月11日中国ネット通販最大手の[[アリババ・グループ]]がネット上で割引をする商戦を始めたことをきっかけに、毎年11月11日は、中国の[[ネット通販]]でもっとも「爆買い」の起こる日になった<ref name="asahi20151112-9">朝日新聞2015年11月12日「11・11ネットで爆買い 中国アリババ、夕方までに売り上げ1.4兆円」</ref>。2015年11月11日の同グループの売り上げは午後5時30分の時点で719億元(1.4兆円)になったと同社より発表された<ref name="asahi20151112-9"/>。業界2位の「京東」や3位の「蘇寧易購」も、売り上げが2014年の3{{~}}4倍に達した模様である<ref name="asahi20151112-9"/>。中国のネット消費の勢いを象徴する日となっている<ref name="asahi20151112-9"/>。アリババ・グループ傘下の部ループで取引された額(流通総額)は、終日で912億元(約1.8兆円)と発表された<ref name="asahi20151113-9">朝日新聞2015年11月13日「11・11だけで1.8兆円取引」</ref>。大幅な割引を機に、ネットを通じて国内外の商品を買い集める消費意欲の強さが示された<ref name="asahi20151113-9"/>。さらなる爆買いへの期待も大きく、日本の[[経済産業省]]は、中国人らがネット通販で日本から買う額は、2018年には1兆3,000億円を超えると試算する<ref name="asahi20151112-9"/>。
[[2009年]]11月11日中国ネット通販最大手の[[アリババ・グループ]]がネット上で割引をする商戦を始めたことをきっかけに、毎年11月11日は、中国の[[ネット通販]]でもっとも「爆買い」の起こる日になった<ref name="asahi20151112-9">朝日新聞2015年11月12日「11・11ネットで爆買い 中国アリババ、夕方までに売り上げ1.4兆円」</ref>。2015年11月11日の同グループの売り上げは午後5時30分の時点で719億元(1.4兆円)になったと同社より発表された<ref name="asahi20151112-9"/>。業界2位の「京東」や3位の「蘇寧易購」も、売り上げが2014年の3{{~}}4倍に達した模様である<ref name="asahi20151112-9"/>。中国のネット消費の勢いを象徴する日となっている<ref name="asahi20151112-9"/>。アリババ・グループ傘下の部ループで取引された額(流通総額)は、終日で912億元(約1.8兆円)と発表された<ref name="asahi20151113-9">朝日新聞2015年11月13日「11・11だけで1.8兆円取引」</ref>。大幅な割引を機に、ネットを通じて国内外の商品を買い集める消費意欲の強さが示された<ref name="asahi20151113-9"/>。さらなる爆買いへの期待も大きく、日本の[[経済産業省]]は、中国人らがネット通販で日本から買う額は、2018年には1兆3,000億円を超えると試算する<ref name="asahi20151112-9"/>。

2015年9月23日には、中国の[[習近平]][[国家主席]]がアメリカ[[ボーイング]]社の工場を訪れ、旅客機300機の発注で合意したことが「爆買い」として報じられた<ref name="mainichi150924">{{Cite web|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150924045644/http://mainichi.jp/select/news/20150924k0000e030187000c.html|archivedate=2015-09-24|url=http://mainichi.jp/select/news/20150924k0000e030187000c.html|title=中国習氏訪米:「爆買い」展開…旅客機300機4.5兆円 |newspaper=[[毎日新聞]]|date=2015-09-24|accessdate=2016-02-04}}</ref><ref name="zakzak151204">{{Cite news|url=http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20151013/frn1510131140002-n1.htm|title=【石平のChina Watch】習主席の「金満外交」に民心離反の兆候 外交的失敗だった訪米|newspaper=[[夕刊フジ|ZAKZAK]]|date=2015-10-13|accessdate=2016-02-04}}</ref>。


==受け入れ側の諸課題==
==受け入れ側の諸課題==
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日本を訪れる外国人観光客が急激に増えているのに伴い、[[国家資格]]である[[通訳案内士]]が不足に陥っているのにつけこんで、怪しげな健康食品を大量購入させようとしたり、誤解に基づく日本の歴史や文化を紹介したりするような、無資格通訳案内士が横行していると報じられている。これに対し日本政府・国土交通省は、「旅行者の満足度を低下させるだけではなく、日本の信頼や印象形成にも悪い影響を及ぼす」として、中国当局と連携しながら実態の把握に向けた調査の準備に取り掛かった<ref name="mainichi150830">{{Cite news|url=http://mainichi.jp/feature/news/20150830mog00m020004000c.html
日本を訪れる外国人観光客が急激に増えているのに伴い、[[国家資格]]である[[通訳案内士]]が不足に陥っているのにつけこんで、怪しげな健康食品を大量購入させようとしたり、誤解に基づく日本の歴史や文化を紹介したりするような、無資格通訳案内士が横行していると報じられている。これに対し日本政府・国土交通省は、「旅行者の満足度を低下させるだけではなく、日本の信頼や印象形成にも悪い影響を及ぼす」として、中国当局と連携しながら実態の把握に向けた調査の準備に取り掛かった<ref name="mainichi150830">{{Cite news|url=http://mainichi.jp/feature/news/20150830mog00m020004000c.html
|title=訪日外国人:急増で「想定外の変化」 「闇ガイド」横行、「爆買い」バスで混乱|newspaper=毎日新聞|date=2015-08-30|accessdate=2015-10-30}}</ref>。
|title=訪日外国人:急増で「想定外の変化」 「闇ガイド」横行、「爆買い」バスで混乱|newspaper=毎日新聞|date=2015-08-30|accessdate=2015-10-30}}</ref>。

[[2012年]]頃からドラッグストアなどの[[おむつ#使い捨ておむつ(紙おむつ)|紙おむつ]]コーナーで、人気商品に対し一人あたりの購入数を制限する貼紙が目立つようになった。背景には「中国製は恐い。信用できる日本製がほしい」という本国での不安に便乗し、転売による収益を目当てにした中国人の存在があるとされている。これについては、短期滞在の旅行者としてではなく就労ビザで日本に滞在しながら、資格外活動を行ったとして[[出入国管理及び難民認定法|出入国管理法]]違反で検挙された例もある<ref name="sannkei141027">{{Cite news|url=http://www.sankei.com/west/news/141027/wst1410270001-n1.html|title=消えた「メリーズ」…中国人買い占め、転売で〝ボロもうけ〟 ついに捜査のメス|newspaper=産経新聞|date=2014-10-27|accessdate=2015-10-03}}</ref>。また、買い取りを行っていた[[仲立人]]は「報酬を与えて不法就労活動を助長させた」として、同じく出入国管理法違反容疑で逮捕されている<ref name="sannkei141119">{{Cite news|url=http://www.sankei.com/west/news/141119/wst1411190068-n1.html|title=紙おむつ大量買い取りの中国籍男 不法就労助長容疑で逮捕 兵庫県警|newspaper=産経新聞|date=2014-11-19|accessdate=2015-10-03}}</ref>。

紙おむつに関する爆買いでは、一人あたりの購入数を制限する店が増えるに従い、店員とのトラブルや中国人同士による争いも目立ち始め、日本各地で乱闘騒ぎにまで発展したケースが報じられている<ref name="sannkei150808">{{Cite news|url=http://www.sankei.com/west/news/150808/wst1508080051-n1.html|title=紙おむつ爆買いめぐり中国人ら乱闘 数人けが 以前同じ売り場で口論した客同士が鉢合わせ|newspaper=産経新聞|date=2015-08-13|accessdate=2015-10-03}}</ref><ref name="toyo150915">{{Cite news|url=http://www.sankei.com/west/news/150915/wst1509150005-n1.html
|title=ヨソの国に来て何やってんの? 爆買い中国人グループ あきれた紙おむつ争奪乱闘劇|newspaper=産経新聞|date=2015-09-15|accessdate=2015-10-03}}</ref>。


{{仮リンク|中国国家外国為替管理局|en|State Administration of Foreign Exchange}}は2015年10月1日までに、「[[中国銀聯|銀聯]]カード」による海外での[[外貨]]引き出し上限額を[[2016年]]1月1日より、1枚当たり1日1万元から1年間で最高10万元までに規制すると発表した。政府幹部らが[[汚職]]で得た[[人民元]]を海外で[[資金洗浄]]したり、人民元安の進行を見込んだ[[富裕層]]らが海外へ資金を流出させたりするのを防ぐ狙いがあるものの、中国人観光客による爆買いにも影響すると見られている<ref name="sannkei151001">{{Cite news|url=http://www.sankei.com/world/news/151001/wor1510010029-n1.html|title=中国人“爆買い”にブレーキ? 大人気のカードに引き出し制限、幹部の資金流出を牽制か|newspaper=産経新聞|date=2015-10-01|accessdate=2015-10-03}}</ref>。
{{仮リンク|中国国家外国為替管理局|en|State Administration of Foreign Exchange}}は2015年10月1日までに、「[[中国銀聯|銀聯]]カード」による海外での[[外貨]]引き出し上限額を[[2016年]]1月1日より、1枚当たり1日1万元から1年間で最高10万元までに規制すると発表した。政府幹部らが[[汚職]]で得た[[人民元]]を海外で[[資金洗浄]]したり、人民元安の進行を見込んだ[[富裕層]]らが海外へ資金を流出させたりするのを防ぐ狙いがあるものの、中国人観光客による爆買いにも影響すると見られている<ref name="sannkei151001">{{Cite news|url=http://www.sankei.com/world/news/151001/wor1510010029-n1.html|title=中国人“爆買い”にブレーキ? 大人気のカードに引き出し制限、幹部の資金流出を牽制か|newspaper=産経新聞|date=2015-10-01|accessdate=2015-10-03}}</ref>。

2016年2月4日 (木) 00:56時点における版

爆買い(ばくがい)とは、一度に大量に買うことを表す俗語である[1][2][3]。主に中国人観光客が大量に商品を購買することに用いられ、2014年頃から定着した[1][4][5]2015年2月の春節休暇に中国人観光客が日本を訪れ高額商品から日用品まで様々な商品を大量に買いあさる様子を「爆買い」と表現して、多くの日本メディアが取り上げた[6]。中国側のメディアによれば春節期間中、日本を訪れた中国人観光客は45万人にのぼり、消費額は66億元(1140億円)を記録し、日本企業にとってビジネスチャンスとなっている[6][7][8][9]。この用語は2015年ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に選出された[10]


爆買いの要因

中国人の爆買いを支えている要因は大きく分けて2つある。一つは「元高円安」、もうひとつが「日本製品の品質・性能への信頼」である。さらに「中国の税制に起因する内外価格差」がある。中国の現在の税制では、ある特定の日本製品を中国で買うよりも、日本で買って持ち帰ったほうが大幅に安くなること(例えば化粧品などは半値くらいになる場合がある。)と日本が免税品の対象を拡大したことである。さらには中国人特有の気質として、転売目的や家族親戚以外の他人へ渡す目的も多いと推測されている[11][12][13]

日本では2013年12月に観光庁により「外国人旅行者向け消費税免税制度の改正」が発表され、地域への外国人観光客の誘客に向けた取り組みがはじまった[14]。平成26年度税制改正において訪日外国人旅行者向け消費税免税制度の改正が行われた[15]。従来、免税対象品目は家電機器装飾品衣類等に限られていたが、免税販売の対象ではなかった消耗品(食品類、飲料類、薬品類、化粧品類その他の消耗品)について、一定の不正防止措置を講ずることを前提に免税対象とした[15]。2014年(平成26年)10月より施行された[15]。また、同年度の税制改正では、様式の弾力化及び手続の簡素化も行われ、「購入記録票」及び「購入者誓約書」は、特定の様式を定めず、記載すべき事項を記載していればよいこととなった[15]。訪日外国人旅行者の急増や上述のような消費税免税制度の改正により、2014年(平成26 年)に入り免税店の店舗数が急増し、4月1日時点では5777店であったが、2015年(平成27年)4月1日時点では約3倍の1万8779店(対前年比225.1パーセント増)となった[15]

日本経済への影響

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」からみる「爆買い」

観光庁の「訪日外国人動向調査」は、日本全国の空港や港から帰国のために出国する約1万人の外国人に、聞き取り調査を行うものである[16]。調査は3カ月ごとに集計される[16]

2015年4月から6月期の集計によると、客1人が使った金額は平均で約18万円だった[16]。ただし、観光客の出身の国や地域により使い道が大きく異なる[16]。観光目的で来た人だけをみると、中国人の支出額は、28万160円で、最も多い[16]。内訳は、宿泊費が18パーセント(平均宿泊日数5.6泊)、飲食費が13パーセント、買い物が61パーセント;約17万円を使う[16]オーストラリア人の支出額が、27万3069円で中国人に迫る[16]。内訳は、滞在日数が長いだけに(平均12.2泊)宿泊費が40パーセントを占め、買い物は15パーセント;額にして約4万円だけだった[16]台湾人や韓国人も客数は多いが、中国ほどの買い物志向は見られない[16]。台湾人は、客1人あたり支出額が14万7003円で、買い物の支出割合は44パーセントであった[16]。同じく韓国人は7万445円であった。「爆買い」は中国人ならではの行動と言える[16]

この傾向は、上述「訪日外国人消費動向調査」のうち、訪日する国・地域別の訪日動機の調査からも明らかである[17]。以下は、2015年版の『観光白書』掲載の2014年度のデータである[17]。国・地域ごとに訪日の動機を聞き、その種類の割合をみて、ショッピングの割合が多かった順に並べると以下の順になった[17]。ショッピングを動機に挙げた人が一番多かったタイからの訪日客であり、その74.1パーセントが、ショッピングを訪日の動機として挙げた[17]。これに続くのが香港からの訪日客であり、69.6パーセントであった[17]。中国からの訪日客は、68.0パーセントの訪日客がショッピングを訪日の動機として挙げている[17]。ちなみに、ショッピングを訪日の動機に挙げる割合が多い順に、台湾;66.9パーセント、シンガポール;59.1パーセント、ベトナム;58.2パーセント、マレーシア;57.5パーセント、フィリピン;51.9パーセント、インドネシア;50.0パーセントとなり、アジアからの訪日客はショッピングを動機として挙げることが多い[17]

旅行者が使ったお金の合計は、1人当たりの平均支出額に人数をかけて算出する[16]。2014年に日本に来た外国人は日本政府観光局の調べによると約1341万人であった[16]。免税で買える商品の種類が増え、外国人からみれば円安で割安に旅行できることもあり、前年より3割増加している[16]。消費額の合計も、2013年の1.4倍となり、支出額の合計は約2兆円となり、過去最高を記録した[16]。2015年には、中国人の入国ビザが緩和され、中国人訪日客が前年の2倍以上のペースで増加し、全体でも1.5倍に増加した[16]。それにつれ消費額も増加し、このままのペースで行けば、年間の消費額は3兆円規模になると予想される[16]。この金額は、日本の国内総生産(GDP)の総額の約5000兆円のうち0.6パーセントを占めることになる[16]。「日本経済にとって無視できない水準であり、外国人の消費が(日本経済の)下支えになっている」と永井知美(東レ経営研究所)は話した[16]

2015年10月21日観光庁は、同年7月から9月期の「訪日外国人消費動向調査」を発表した[18]。この四半期の消費額は前年同期比82パーセント増の1兆9000億円となり、四半期としてはじめて1兆円の大台にのった[18]。訪日客も534万人と最高を記録し、1人当たり支出額も前年同期比18パーセント増加した[18]。中国人客は7月から9月の四半期調査では、前年同期比19パーセント増の28万円を支出し、このうち14万円を買い物代にあてた[18]。観光・レジャー目的の中国人の日本での宿泊日数は平均6.1泊となり、前年同期の5.7泊から拡大した[18]。旅行期間の長期化が1人あたりの消費の増加につながったとみられる[18]

百貨店の免税品売上増加(全国・2015年中間決算)

主要百貨店4社の2015年度中間決算(3月から8月)では、訪日中国人らの「爆買い」により高級品がよく売れ、3社が前年同期より売り上げを伸ばしている[19]

Jフロントリテイリング大丸松坂屋は、外国人の多い東京大阪心斎橋の店舗が好調で前年同期比1.4パーセント増えた[19]。免税品の売上高は、一部地方店を除き前年同期比の4.5倍の181億円で、年間250億円の目標を350億円に引き上げた。中国の景気減速で訪日客の減少も懸念されているが、山本良一同社社長は「流れは急に変わらないだろう」と話した[19]

高島屋は、国内の売り上げ高が0.3パーセント増え、大阪店では免税品が4倍以上売れた[19]。免税品の売上高は上半期で144億円に達し、前年通期(2014年3月から2015年2月)140億円を既に上回った[19]

松屋は売上高が23.7パーセント増え、特に主力の銀座店では売上高全体に占める免税品のシェアが、前年は8パーセントに過ぎなかったのが、今年度は25パーセントに達した。銀座は訪日客のほか、富裕層も多く客単価は2割上がった[19]

そごう・西武の売り上げは、地方店の不振が響き全体としては3パーセントの減だったが、池袋本店や渋谷店など都市部の店は数字を伸ばしている[19]

品目別に爆買いの効果を見てみると、銀座松屋は化粧品の売り上げが対前年同期(2014年3月から8月、以下同じ)60パーセント増、宝飾品・時計が前年同期比50パーセント増、高島屋新宿店では、宝飾品・時計が前年同期比23パーセント増、高級ブランド品が前年同期比15パーセント増、西武池袋店では化粧品が前年同期比30パーセント増、大丸松坂屋では全店で時計が前年同期比25パーセント増だった[19]

2016年初売り商戦

2016年の初売りで正月3が日にあった初売りは、訪日外国人の「爆買い」も追い風に前年を上回る売り上げとなった店が多かった[20]。売り場には新年から訪日外国人客の姿が目立ち、免税手続きの件数は、西武池袋店が前年比8割増加、松屋銀座も3割増えた[20]

家電量販大手のビックカメラは、「爆買い」需要を取り込むため、全国の主要店で訪日客向けの福袋を初めて用意した[20]。美顔器セットなどが中国人に人気で、売り切れが続出した[20]

東京証券取引所第1部上場企業2015年9月期中間決算

東京証券取引所第1部に上場する企業の2015年9月中間決算は、円安と訪日外国人客の消費に支えられ、経常利益純利益の合計はともに中間期として過去最高になる見通しである[21]SMBC日興証券が11月5日までに発表を終えた東証第1部上場の3月期決算企業のうち金融を除く751社について集計したところ、4~9月期の売上高は前年に比べ4.3パーセント増の176兆9,000億円、経常利益は15.1増の15兆6,000億円、純利益は16.7パーセント増の10兆2,000億円だった[21]。経常利益と純利益は9月中間期としては過去最高を更新する見込みである[21]。好業績の主因は円安と「爆買い」に象徴される外国人客の旺盛な消費である[21]。特に2014年は消費税増税の反動減で苦しんだ小売業は経常利益47.7パーセント増を記録した[21]

白物家電と爆買い

日本電機工業会によると、2015年の白物家電の国内出荷額は前年比2.8パーセント減の2兆2042億円にとどまり、2年連続の前年割れとなった[22]。これは2014年の消費税増税による反動減が2015年4月まで続いたことと同年が天候不順でエアコンなどの主要製品の販売が伸び悩んだことが原因であるとされる[22]。その中でもジャー炊飯器は11.0パーセント増の1262億円、ヘアードライヤー37.1パーセント増、電動歯ブラシが26.7パーセント増26.7パーセント増、電機シェーバーは18.6パーセント増といずれも前年実績を上回った[22]。担当者は「外国人観光客がお土産として持ち帰っていることが影響している」と分析している[22]

訪日外国人客による消費と経済統計

政府が国内総生産(GDP)を計算する際には、訪日外国人客が日本でモノを買ったりサービスを利用したりすることを「外需」と位置付け、個人消費ではなく輸出の一部として計上している[18]。2010年代の日本の輸出額は70兆円から80兆円程度で推移している[18]。2015年度の訪日外国人客消費が3兆円規模になると予想されるので、訪日外国人客の消費たる「爆買い」が輸出の4パーセント余りを占めることになり、輸出不振の一部を補う構図になるとも予想される[18]財務省が2015年11月10日発表した2015年上半期(4月から9月)の国際収支(速報)によると、貿易や投資による日本と海外のお金の出入りを示す「経常収支」は、8兆6,938億円だった[23]円安や原油高で黒字幅は2014年度上半期の4.3倍に膨らみ、東日本大震災以降、半期としては最大となった[23]。経常収支のうち、輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収支」は4,197億円の赤字だった[23]。9半期連続の貿易赤字だが、原油輸入額の減少などで赤字幅は最小だった[23]。貿易赤字を補ったのが日本企業の海外での稼ぎや、訪日外国人による消費の急増である[23]。訪日外国人旅行者の急増によって、旅行者による国内外の収支を示す「旅行収支」も、半期としては過去最大の6,085億円の黒字となった[23]。すなわち、以下の構造が見て取れる[24]。「経常収支」の黒字は、円安で膨らむ企業の海外でのもうけがその主因であり、震災前には日本からの輸出でも黒字を稼ぎだしていたときとは様変わりした[24]。2010年度下半期は経常黒字の約4割を貿易収支の黒字が占めていたのに対し、2015年上半期は4,197億円の赤字である。貿易収支に変わって経常黒字を支えるのは、海外子会社や海外投資からの配当や利子など企業の海外での稼ぎを示す「第1次所得収支」の黒字である[24]。同年度の上半期は10兆8,342億円で、この5年間で約6割伸びた[24]。その一方で、日本からの輸出は伸び悩む[24]。SMBC日興証券の宮前耕也氏は「先進国の企業が海外進出し、輸出が減る構造変化は今後も進む。訪日外国人の増加で将来的にはサービス収支がもう一つの柱になる」とみる[24]

2015年11月10日に内閣府が発表した、10月の景気ウォッチャー調査によれば、景気の現状を示す指数が48.2であり、9月から比べて0.7ポイント上昇した[25]。上昇は3カ月ぶりであり、外国人観光客による消費の増加などが改善につながったとされる[25]。景気ウォッチャー調査とは、商店主やタクシー運転手などに景気の実感を尋ねる調査である[25]

地域経済に与える影響

訪日外国人客による消費が個人消費にもたらす効果(近畿圏・2014年秋)

日本銀行大阪支店は、2014年10月に「訪日外国人客による消費が近畿の個人消費にもたらす効果について」というレポートを発表した。それによると、近畿圏(大阪府京都府兵庫県滋賀県奈良県和歌山県)においては、来日する外国人数、外国人宿泊者数が関東・全国平均より高いペースで増加しており、インバウンド需要の効果を強く受けている[26]。この背景には、訪日ビザの発給条件の緩和・免税措置の拡大や円安の要素がある。近畿圏固有の要素としては、関西国際空港が、日本最大のLCC(格安航空会社)乗り入れ空港であることが挙げられる[26]。近畿圏を訪れる訪日外国人の特徴をみると、大阪を中心に「買い物」を好む「東アジア」・「東南アジア」方面からの観光客が目立つ[26]。消費増税の影響が残る中で、百貨店や家電量販店などの売り上げの下支え効果があるとしている[26]。今後も、LCC発着便数の増加や訪日ビザの緩和が見込まれているほか、免税品目の拡大に伴う効果の持続も期待されており、訪日外国人客による関連需要は持続すると、日銀同支店はみている[26]

福岡市と爆買い

2015年12月6日、福岡博多港上海を母港とする全長348メートルのアジア最大のクルーズ船クァンタム・オブ・ザ・シーズ」を含む2隻の船から7000人の中国人観光客が上陸した[27]。182台のバスに分乗し、大宰府キャナルシティ博多、免税店などを巡った[27]。買物袋には、美顔パックや血圧計、ルイ・ヴィトンのバッグ、ガンダムのプラモデル、日本土産の定番である炊飯器や箱買いの紙おむつが入っていた[27]。中国大陸に近い福岡は爆買いの最前線と言われる[27]。2015年のクルーズ船の入港は予定を含めて264隻となり、2014年の2倍以上を記録した。翌2016年の接岸予約は2015年12月の段階で、400隻となった[27]。訪日クルーズ客は2015年に100万人超を記録した[27]。「マーケットが動いてやってくる」との感想は、高島宗一郎・福岡市長のものである[27]

神奈川県の取り組み

2014年度に神奈川県を訪れた外国人旅行客は約165万人であり、このうち中国からの観光客は52万人だった[28]。しかし、都内ほどには外国人による消費の勢いが神奈川県内には届いていないと県は分析している[28]。そのため県は三井海上火災保険と協定を結び、同社が中国人観光客向けに県内企業の割引クーポンを発行し、同社がこの企業のクーポンを中国人向け旅行サイトで提供する[28]。中国人観光客はクーポンをスマートフォンなどにダウンロードし、県内の店舗にて、飲食店の割引やお茶の体験、記念品を受け取るなどのサービスを受ける事ができるようにするという[28]

空港と爆買い

静岡空港と中国人観光客

かつて利用客が少なく低迷していた静岡空港が、2015年に中国人観光客で賑わうようになった[29]。2015年の10月上旬、空港ロビーには炊飯器などの荷物を抱えた中国人団体客は、静岡空港経由で北海道、東京などを回ったという[29]。その中の一人武漢市から来た会社員女性は、北海道や東京の洋菓子、美容用品や虫よけなどの薬品を詰め込んだはち切れそうな袋を手にしていたという。添乗員の話では、「秋葉原の電気街と静岡・御殿場アウトレットモールが(中国人に)喜ばれた。」という[29]2009年開港の同空港は搭乗者数が年間50万人から55万人程度で推移したあと、2011年から2013年度は年間搭乗者数40万人となり、目標の年間搭乗者数70万人を大幅に下回り、毎年度約4億円から5億円の赤字が続いていた。中国との定期便は2014年までは1路線に過ぎなかったが、2015年になると最大14路線と急増した[29]。法務省の出入国管理統計によると、今年8月までに同空港を利用した中国人出入国者数は、20万496人を記録した。この数字は、国内空港中6位で、地方空港中1位となる。今年度の同空港の搭乗者数は7カ月で45万人近い数字に達し、前年同期約30万人に比して、約5割増しである[29]。中国の航空会社が静岡空港を選ぶのは、離着陸の枠が空いていたことと、東京・名古屋・大阪を結ぶ『ゴールデンルート』の中間に位置し、東にも西にも行きやすいというその立地条件である[29]。また外国人に人気のある富士山が間近に見えるのも魅力の一つという[29]

羽田空港に家電量販店

羽田空港のビルを管理・運営する日本空港ビルディングと家電量販大手のビックカメラは2015年12月17日に、羽田空港国際線ターミナルに訪日客向けの家電量販店を共同で出展すると発表した[30]。中国人観光客などが帰国前に大量の家電を「爆買い」するのを取り込むねらいである[30]。2016年春に両者が出資する新会社を立ち上げ同年夏までに開店する予定である[30]。炊飯器やドライヤーなどの家電や日用品など1万点をそろえ、消費税の免税手続きもする[30]。インターネットで発注した商品を、帰国直前に受け取ることもできるようにする予定である[30]

銀座の空港型免税店

2016年1月27日、羽田空港の旅客ターミナルビルを運営する日本空港ビルディングと三越伊勢丹ホールディングスなどは2016年1月27日、三越銀座店の8階に空港型免税店を開業させた[31]。3300平方メートルの売り場に高級ブランド品や伝統工芸品などを幅広くそろえる[31]。買い物するには成田空港または羽田空港からの出国予定を確認できる航空券などとパスポートを提示する必要がある[31]。大阪市でも、韓国のロッテグループ傘下のロッテ免税店JAPAnが新関西国際空港株式会社と組んで運営する空港型免税店を2017年度にビックカメラなんば店に開店させる予定である[32]

訪日外国人購入履歴活用

観光庁は、2016年度から訪日外国人にもっと買物をしてもらおうと、外国人の買物に関するデータを集めて活用すると発表した[33]。免税品の購入履歴をもとに売れ筋などを分析し、小売店にも還元してマーケティングや品揃えの参考にしてもらう考えである[33]。このため2016年予算案に、管理用サーバーなどを整備するための費用を数億円盛り込む。免税品店に登録されている店は約3万店あるが、このうち半数以上は買物履歴を電子化しているとみられ、このデータをリアルタイムで取り込む方向である[33]

家電量販店や大型免税店などでは、すでに自社で独自に集めたデータを分析し、品揃えに役立てている。比較的小さな店の多い地方にも訪日外国人が増えている[33]。地方にある小さな店でも「売れ筋情報」を知ることができれば品揃えがよくなり、もっと売れるようになり、訪日外国人の「爆買い」の恩恵が行き渡ると観光庁はみている[33]。2016年4月以降、集めたデータの扱い方や、小売店に情報を提供する場合に有償にするかどうかなどを検討する[33]。購入履歴は旅行者が持つパスポートと結びつけられるため、個人情報保護のあり方も課題となる可能性もある[33]

爆買いの嗜好

爆買いの定番商品であり、中国人観光客に「四宝」と呼ばれているのは「炊飯器」「魔法瓶」「温水洗浄便座」「セラミック包丁」である[34]。その他に、医薬品化粧品も人気となっている[34]

「爆買い」の定番商品である化粧品

日本人の顔立ちをもとに開発されてきた国内向けの化粧品は、繊細な色づかいや目元を大きく見せる点などで優れており、顔立ちの似ている他のアジアの国でも「カワイイ」と人気が高まっている。化粧品が免税の対象に加わったことは外国人観光客による大量買いにつながった[35]。化粧品以外にもドラッグストアで売られている物の多くが人気を集めている。日本に滞在中の中国人留学生などが本国へ情報発信しながら、「代理爆買い」と呼ばれる買い物を請け負うサービスを始め、注文のあった商品をまとめ買いする姿が夜の新宿を中心に目立つようになった[36]

日本以外でみられる「爆買い」の例

日本以外でみられる爆買いの例として、韓国においても、中国人観光客らに対する化粧品の販売・輸出が好調である[37]ソウル中心部の明洞の通称「コスメ・ロード」では、中東呼吸器症候群(MERS)問題が深刻化した2015年6月ごろ観光客が激減したが、同年10月には中国人観光客が戻ってきて、化粧品を「爆買い」していると報じられている[37]。韓国化粧品業界のターゲットは、中国人爆買い観光客のみではない[37]。中国市場での販売拡大に向け、ビジネスを強化している[37]。同年4月にソウル市内の韓国最大級の美容展覧会が開かれ、中国の化粧品販売業者との間で保湿用の馬油クリーム2万個を販売するといったような「大型商談」をいくつもまとめた韓国企業もあったという[37]

2009年11月11日中国ネット通販最大手のアリババ・グループがネット上で割引をする商戦を始めたことをきっかけに、毎年11月11日は、中国のネット通販でもっとも「爆買い」の起こる日になった[38]。2015年11月11日の同グループの売り上げは午後5時30分の時点で719億元(1.4兆円)になったと同社より発表された[38]。業界2位の「京東」や3位の「蘇寧易購」も、売り上げが2014年の3〜4倍に達した模様である[38]。中国のネット消費の勢いを象徴する日となっている[38]。アリババ・グループ傘下の部ループで取引された額(流通総額)は、終日で912億元(約1.8兆円)と発表された[39]。大幅な割引を機に、ネットを通じて国内外の商品を買い集める消費意欲の強さが示された[39]。さらなる爆買いへの期待も大きく、日本の経済産業省は、中国人らがネット通販で日本から買う額は、2018年には1兆3,000億円を超えると試算する[38]

2015年9月23日には、中国の習近平国家主席がアメリカボーイング社の工場を訪れ、旅客機300機の発注で合意したことが「爆買い」として報じられた[40][41]

受け入れ側の諸課題

免税店や高級ブランド品が並ぶ銀座・中央通りでは、中国人観光客による「爆買い」客の利用する観光バスの路上駐車が問題になっている[42]。この地域を受け持つ築地署には2014年3月頃から「通行の邪魔」という苦情が寄せられるようになった[42]。警察でもバスに対して注意することもあるが、周辺をぐるりと回って元の位置に戻ってくるという[42]。「近くに駐車場もないし、乗降場所もないし、仕方がない」というのはバスの運転手の弁である[42]。予定時間内に戻って来ない客が多いのも駐車時間が長引く理由の一つであるとも話した[42]。一方で、大丸松坂屋百貨店などで作る組合が進める銀座6丁目再開発計画では、観光バス乗降場の建設を計画するが、バス駐車場の建設の計画はない[42]。地元の町会・商店会などでつくる全銀座会の関係者は「これからもっと多くの外国人を迎えるというのなら、国や都は駐車場などの整備を進めてほしい」と訴える[42]。都内屈指の観光地浅草寺では、台東区が4か所で観光バス57台分の駐車場や待機場を有料で貸し出しているが、区交通対策課の担当者は、「昼間は満車の状態が続き、駐車場は足りていない」と話した[42]。また同区は浅草寺周辺の観光バスの乗降場所を2か所に限定しているが、そのうちの一つである区民会館前での乗降場での1日平均利用台数は、2011年度は83.0台だったが、2013年度では101.5台に増えた[42]。また、秋葉原周辺でも観光バスに関する苦情がここ1、2年で増えている[42]

日本を訪れる外国人観光客が急激に増えているのに伴い、国家資格である通訳案内士が不足に陥っているのにつけこんで、怪しげな健康食品を大量購入させようとしたり、誤解に基づく日本の歴史や文化を紹介したりするような、無資格通訳案内士が横行していると報じられている。これに対し日本政府・国土交通省は、「旅行者の満足度を低下させるだけではなく、日本の信頼や印象形成にも悪い影響を及ぼす」として、中国当局と連携しながら実態の把握に向けた調査の準備に取り掛かった[43]

2012年頃からドラッグストアなどの紙おむつコーナーで、人気商品に対し一人あたりの購入数を制限する貼紙が目立つようになった。背景には「中国製は恐い。信用できる日本製がほしい」という本国での不安に便乗し、転売による収益を目当てにした中国人の存在があるとされている。これについては、短期滞在の旅行者としてではなく就労ビザで日本に滞在しながら、資格外活動を行ったとして出入国管理法違反で検挙された例もある[44]。また、買い取りを行っていた仲立人は「報酬を与えて不法就労活動を助長させた」として、同じく出入国管理法違反容疑で逮捕されている[45]

紙おむつに関する爆買いでは、一人あたりの購入数を制限する店が増えるに従い、店員とのトラブルや中国人同士による争いも目立ち始め、日本各地で乱闘騒ぎにまで発展したケースが報じられている[46][47]

中国国家外国為替管理局英語版は2015年10月1日までに、「銀聯カード」による海外での外貨引き出し上限額を2016年1月1日より、1枚当たり1日1万元から1年間で最高10万元までに規制すると発表した。政府幹部らが汚職で得た人民元を海外で資金洗浄したり、人民元安の進行を見込んだ富裕層らが海外へ資金を流出させたりするのを防ぐ狙いがあるものの、中国人観光客による爆買いにも影響すると見られている[48]

展開

日本を訪れる中国人観光客が、炊飯器などを「爆買い」している理由は、日本の家電量販店の品ぞろえの良さにある[49]。中国の量販店でも日本の家電は買えるが、品ぞろえが限られている。そのため中国人観光客が、中国にはないモデルの炊飯器などを「爆買い」している状況にある[49]。そのためビックカメラは2015年12月内にも中国の家電量販店大手の「2強」の一つである国美電器と提携し、中国でのネット通販に参入する[49]。中国では販売されていない日本精の小型家電およそ450点を国美のサイトに出し、日本製家電をより安く買えるようにする[49]。訪日客への知名度アップも目指す[49]。「国美在線」は会員が1億2000万人おり、その中にビックカメラが専用サイトを設ける。ほかの通販サイトに比べ、国美の物流網を利用するためコストが抑えられ、中国の消費者はより安く日本製の家電が手に入るようになる[49]。ビックカメラはまた、日本の店頭での「爆買い」の売れ筋情報を店頭で把握し、中国での通販事業に生かす予定である[49]。 なお、「2強」のもう一つの大手・蘇寧雲商集団の通販サイトには2014年7月に、傘下のラオックスが出店していた[49]

言葉の歴史

「爆買い」という言葉は、新聞記事などでは2015年の春節のころより桁違いに使われるようになった[50]が、テレビではそれ以前より使われていた。そもそも中国人が大量に商品を購入する行動は2008年ごろより目立ってきており、2009年には『FNNスーパーニュース』(フジテレビ)9月9日放送「スーパー特報/旋風拡大ニッポン“爆買い”現場中国人団体ツアーを追え」で「爆買い」という言葉が登場している[51]。なお、個人ブログには「爆買い」という言葉がそれ以前からあったことが確認されている[51]。その後、2010年に『NNN Newsリアルタイム』(日本テレビ)1月12日放送で「密着! 中国人観光客現金飛び交う“爆買いツアー”」が、『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日)7月5日放送で「中国人が大挙来日! 美術品“爆買い”ツアーで現金飛び交う」が放映されており、以後も定期的な報道が見られる[51]

羽衣チョーク

「爆買い」の言葉は、中国資本による日本の都市部での不動産投資にも使われている。大量ではないものの現金で支払われる大きな買い物であることからそう呼ばれた。円安によりシンガポール香港ロンドンなどの他の都市と比べて割安感が増したのと、圧倒的な新築物件の多さが魅力となっている。また、東京大阪などへの購入者のためのツアーも組まれている[52]。 2015年4月30日放送NHK所さん!大変ですよ』では、「文房具“爆買い”騒動の謎」と題し、品質が高く使い勝手のよいチョークを製造していた羽衣文具の廃業が公表されたことが発端となり、2014年10月に日本各地でチョークの爆買い騒動が起きたと報じられた。国内で備品として確保しようとする教育機関教員による買い占めが相次いだだけでなく、スタンフォード大学ブライアン・コンラッド教授を中心としたアメリカ数学者約200人で1トンのチョークの在庫を共同購入した[53][54]

脚注

  1. ^ a b 爆買い(ばくがい)とは”. コトバンク. 2015年10月11日閲覧。
  2. ^ “「爆買い」「大人買い」英語で言うと?”. 読売新聞. (2006年4月9日). オリジナルの2015年9月30日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20150930123121/http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/learning/english/20150402-OYT8T50161.html 2015年10月11日閲覧。 
  3. ^ “日本政府観光局 「食」で外国人を地方へ”. NHK. (2015年9月30日). オリジナルの2015年9月30日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20150929234225/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150930/k10010252601000.html 2015年10月12日閲覧。 
  4. ^ “総額2200億円!中国人旅行者の”爆買い””. 東洋経済新報社. (2014年11月23日). http://toyokeizai.net/articles/-/54031 2015年9月29日閲覧。 
  5. ^ “平均45万円! 中国人旅行者が「爆買い」するアイテム”. 日刊ゲンダイ. (2014年12月18日). http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/155833 2015年9月29日閲覧。 
  6. ^ a b 菊池(2015年)147ページ
  7. ^ “春節「爆買い」1140億円 商戦をデータでひもとく”. 日本経済新聞. (2015年3月2日). http://www.nikkei.com/article/DGXMZO83747080X20C15A2X1G000/ 2015年9月29日閲覧。 
  8. ^ “便座まで爆買いする中国人の“日本製信仰”(上) ――ジャーナリスト・中島恵”. ダイヤモンド社. (2015年4月14日). http://diamond.jp/articles/-/70041 2015年9月29日閲覧。 
  9. ^ “なぜ中国人は日本で「便座」を爆買いするのか”. 東洋経済新報社. (2015年4月22日). http://toyokeizai.net/articles/-/66595 2015年9月29日閲覧。 
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  11. ^ 意外と知らない中国人爆買いの理由 日本交通公社 観光政策研究部次長 塩谷英生 読売新聞 2015年12月25日
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  14. ^ 日本でのショッピングの魅力向上と、地域への外国人観光客の誘客に取り組みます。”. 観光庁 (2013年12月13日). 2015年9月30日閲覧。
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  16. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 朝日新聞2015年10月16日朝刊「読み解き暮らしの指標第5回ー訪日客の消費額、どのくらい?」
  17. ^ a b c d e f g 観光白書(2015年)44ページ
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  20. ^ a b c d 朝日新聞2016年1月4日朝刊第4面「初売り好調 爆買い健在」
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  22. ^ a b c d 朝日新聞2016年1月26日朝刊第7面「白物家電出荷額前年比2.8パーセント減 爆買い?炊飯器や理美容機器は好調」
  23. ^ a b c d e f 朝日新聞2015年11月10日夕刊第1面「経常黒字8.6兆円 15年度上半期 震災後最大に」
  24. ^ a b c d e f 朝日新聞2015年11月11日朝刊第6面「海外子会社・投資で稼ぎ 今年度上半期経常黒字8.6兆円」
  25. ^ a b c 朝日新聞2015年11月11日朝刊第6面「10月の街の景況感、上昇」
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  28. ^ a b c d 朝日新聞2015年12月25日朝刊神奈川さがみ野面「爆買い客呼べクーポン作戦 県内恩恵実感薄く」
  29. ^ a b c d e f g 朝日新聞2015年11月23日朝刊第35面「静岡空港に中国特需 定期路線1年で1から14に・搭乗数5割増」
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  31. ^ a b c 日本経済新聞2016年1月27日朝刊第13面「空港型の免税店 三越伊勢丹公開」
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  51. ^ a b c もりひろし (2015年8月29日). “テレビは「爆買い」をどう伝えたのか?”. 日経ビジネスオンライン. http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/216653/082800009/ 2015年10月2日閲覧。 
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参考文献

  • 一般社団法人中国研究所編『中国年間2015』(2015年)発行所一般社団法人中国研究所・発売毎日新聞出版(「動向 経済 概観」の章、執筆担当;菊池直樹)
  • 観光庁編『観光白書(平成27年度)』

関連項目

外部リンク