「シドニアの騎士」の版間の差分
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; 仄 焔(ほのか えん) |
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: 衛人操縦士訓練生。仄姉妹の長女。姉妹の中でも気が強い。訓練成績も一番優秀であり、衛人仮象訓練にて岐神、星白に次ぐ3位。長道らと同時にいち早く正規操縦士に任命された。機体番号は「703」(訓練生時はTS焔-203)。 |
: 衛人操縦士訓練生。仄姉妹の長女。姉妹の中でも気が強い。訓練成績も一番優秀であり、衛人仮象訓練にて岐神、星白に次ぐ3位。長道らと同時にいち早く正規操縦士に任命された。機体番号は「703」(訓練生時はTS焔-203)。 |
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: まだ船内に不慣れな長道が不用意に女子光合成室へ入り込んだ際に裸を見られ、顔面に肘を打ち込んで鼻を折り失神させたことがある。連結型ガウナの討伐戦で重傷を負うが、後に回復。その直後、またもお見舞いに来た長道に裸を見られ、ドアごと蹴りつけ失神させたことがある。本人も謝りたいと思っているが、なかなかうまくいかない。水城でも姉妹で光合成していたところ、励まそうと訪問した長道に過失で裸を見られ、袋叩きにしたことがある。 |
: まだ船内に不慣れな長道が不用意に女子光合成室へ入り込んだ際に裸を見られ、顔面に肘を打ち込んで鼻を折り失神させたことがある。連結型ガウナの討伐戦で重傷を負うが、後に回復。その直後、またもお見舞いに来た長道に裸を見られ、ドアごと蹴りつけ失神させたことがある。本人も謝りたいと思っているが、なかなかうまくいかない。水城でも姉妹で光合成していたところ、励まそうと訪問した長道に過失で裸を見られ、袋叩きにしたことがある。長道に素直に謝って、仲良しになれるかは、不明。 |
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; 仄 煉(ほのか れん) |
; 仄 煉(ほのか れん) |
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: 衛人操縦士訓練生。焔の負傷による戦線離脱後に正規操縦士に任命された。機体番号は「706」(訓練生時はTS煉-206)。 |
: 衛人操縦士訓練生。焔の負傷による戦線離脱後に正規操縦士に任命された。機体番号は「706」(訓練生時はTS煉-206)。 |
2015年4月26日 (日) 07:08時点における版
シドニアの騎士 | |
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ジャンル | SFアクション |
漫画 | |
作者 | 弐瓶勉 |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | 月刊アフタヌーン |
レーベル | アフタヌーンKC |
発表期間 | 2009年6月号 - |
巻数 | 既刊14巻(2015年2月時点) |
アニメ:シドニアの騎士(第1期) シドニアの騎士 第九惑星戦役(第2期) | |
原作 | 弐瓶勉 |
監督 | 静野孔文(第1期) 瀬下寛之(第2期) |
シリーズ構成 | 村井さだゆき |
キャラクターデザイン | 森山佑樹 |
音楽 | 朝倉紀行 |
アニメーション制作 | ポリゴン・ピクチュアズ |
製作 | 東亜重工動画制作局、MBS |
放送局 | 放送局参照 |
放送期間 | 第1期:2014年4月 - 6月 第2期:2015年4月 - 6月予定 |
話数 | 第1期:全12話 第2期:全12話 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画・アニメ |
ポータル | 漫画・アニメ |
Template:漫画 は 廃止されました |
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『シドニアの騎士』(シドニアのきし)は、弐瓶勉による日本の漫画作品。『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載。英語表記は「Knights of Sidonia」。
アニメ版第一期が2014年4月から6月まで放送された[1]。第二期『第九惑星戦役』が2015年4月より放送中。
2015年、第39回講談社漫画賞・一般部門にノミネートされた[2]。
概要
当作品は、作者の弐瓶にとって、実質的なデビュー長編作品である『BLAME!』(1997年 - 2003年)以来約5年ぶりの『月刊アフタヌーン』での連載となる。過去の作品同様SF漫画であることを踏まえながらも、「ロボットもの」「ラブコメ要素」等、作者にとって新機軸を盛り込んだ王道的な構成は、弐瓶への尊敬を公言[3]する諫山創も「今までそんな引き出しは持っていらっしゃらないと思っていたのに、非常に質の高いラブコメ」「ラブコメ的日常と、それが明日なくなるかもしれない緊張感とのバランスが絶妙」と評する[4]など、台詞や背景設定への解説が少ないことが特徴だった過去作品と比較するとより王道的な構成となっている。一方で、綿密な世界観設定、過剰な起伏を抑えた感情表現、複雑に入り組んだ巨大構造物、スターシステム的なガジェット名など、作者の定番要素も継承されている[5]。
連載開始当初から情報開示が積極的に行われている。例えば、雑誌掲載時には「あらすじ」の紹介があるほか、単行本では章の間に「設定メモ」などが挿入され、各話の扉では「シドニア百景」として内部世界の紹介が設けられているなど、読者の情報欲求へフレンドリーな対応が成されている。これに付随し、2013年10月発刊の単行本第11巻からはオビにマンガ家の赤松健が提唱・運用している同人マークを赤松以外の著作物では初めて付ける[6][注 1]など、常識範囲内の二次創作についても寛容な姿勢を見せている。また、メディアへ露出が少なかった作者が、巻末のオマケ漫画で作者自身をキャラクターとして登場させた製作日誌などを公開したり、アニメ化に際したWebラジオへの出演も行うなど、これまでの作者の経歴の中で特筆すべき作品である。
ストーリー
太陽系が奇居子(ガウナ)と呼ばれる謎の生命体によって破壊されてから1000年後の遠未来。人類は種の存続を賭けて繁殖と生産を維持しながら宇宙を旅する「播種船」を複数建造し、ごく一部がかろうじて地球脱出に成功した。彼らは奇居子から逃れつつ、植民可能な惑星を探し放浪していた。
二人きりで暮らしていた祖父の死からおよそ3年後、谷風長道は尽きてしまった食料探しのため祖父の遺言を破り上層部へと向かうが、米泥棒として拘束されてしまう。そこで、この世界が播種船の一つシドニアであること、最下層部で誰にも知られずに生活していた谷風にはシドニア船員としての登録記録(国籍に相当)がないこと、祖父も15年以上前に死亡扱いになっていたことなどを知る。谷風は事情を知るシドニア艦長・小林の庇護の下、人型兵器・衛人の操縦士訓練生として抜擢され、星白閑や科戸瀬イザナら同期の仲間と共に正規操縦士を目指すことになった。この最中、100年ぶりに奇居子がシドニアを襲来する。
無敵ともいえる奇居子との100年ぶりの実戦はシドニアクルーを驚かせる物であった。谷風は、損傷を受けて心肺停止となったが自ら蘇生し、奇居子に単独で攻撃を仕掛ける。これにより、他の訓練生の脱出時間を稼いだ。最終的にシドニアの重質量砲で胞衣(エナ)を剥がされ丸裸になった奇居子本体はシドニアから大きく退けられた。
しかし奇居子は胞衣を再生、シドニアの直前まで迫る。シドニアはエースである赤井班を派遣して奇居子殲滅を行うが不幸にして全滅。カビザシ2本が漂流する結果となった。さらに接近する奇居子を回避する為、時間差をつけてメインエンジンを駆動、急旋回したが、船内では大惨事となった。
訓練生であった谷風長道を含む、岐神班がカビザシ回収任務に派遣される。岐神班はカビザシを回収したものの、シドニアへの帰還中、奇居子が進路を変更して、ヘイグスビーム砲で岐神班を直撃した。唯一ヘイグスビームコーティングにより無事であった「継衛」に乗る谷風は、カビザシを持って奇居子に迫る。そこで師であったヒロキの技により、奇居子の胞衣を一撃で吹き飛ばし、奇居子の本体を破壊した。
この一連の活躍により、谷風達は正規操縦士となり、奇居子との果てしない戦闘を繰り広げる事となった。100年前の大戦闘からまつわる様々な人々のドラマが交錯する中、谷風はシドニアの生存をかけて戦いを続ける。
アニメ版のサブクレジットは「今、人類存亡の戦いが始まる」。
登場人物
衛人操縦士
- 谷風 長道(たにかぜ ながて)
- 声 - 逢坂良太
- 本作の主人公。シドニアの最下層部(地下)で、祖父の斎藤ヒロキと二人きりで生活していた。祖父の死後3年が過ぎた頃、食料の備蓄が尽き、祖父の遺言を破って上層部に向かい、食糧庫から米を盗もうとして捕らえられる。その後、小林の庇護の下、衛人操縦士の第628期訓練生となった。出生等に関する素性は極秘扱いとされ、ごく限られた人間しか知らない。
- 現行のシドニア人と異なり光合成ができないため、頻繁に食物の摂取を必要とする。その一方、瀕死の重傷を負い心肺停止の状態に陥っても短時間で蘇生、骨折も数日で完治する驚異的な治癒能力を持つ。
- 歴史的名機である「継衛」を訓練生ながらに与えられ、同機の専属操縦士として実戦を経験する。戦闘では判断力と行動力に優れ、独断専行気味ながらも多数の戦果を挙げ、谷風班として、仄煉、勢威一郎、科戸瀬イザナと共に、槍手として班長に抜擢され、繰り返し行われたガウナとの戦いに勝利し、シドニア船員にエースパイロット・シドニアの騎士として認められる様になる。機体番号は「704」(訓練生時はTS谷-028)。異性からの人気も高く容姿も整っているため、第1回水城乗員人気投票の男性部門において落合と勢威に次ぐ3位にランクインしている。
- 祖父と二人で隔絶した環境で長く暮らしていたため、シドニアを含めた社会生活における基本的な知識が無く、性格も子供のように純朴。同年代の同性、異性と交流した経験もなく、他者の心の機微に鈍感な面があり、気の遣い方も下手を通り越している。だが、祖父との二人暮らしが長かったため、仲間やシドニア世界の事はかけがえのない大切なものと信じており、仲間が危機に陥ったときには我が身を省みずに助けようとする勇敢さの持ち主でもある。
- その正体は、「第四次奇居子防衛戦」の英雄であるヒロキのため、14年前に小林の指示で作られた換装用クローン。不老不死を始めとし禁忌とされていた遺伝子改造の数々を施された特別製の体を持つ。ヒロキは自身の換装用としてのクローンの存在を良しとせず、成長途中の長道を奪って居住区外へ逃亡。以後ヒロキによって長道は育てられることになった。
- 衛人の操縦士としての技術をヒロキから教え込まれ、6歳の時点で仮象訓練装置では師であるヒロキの記録を超えるまでに成長していた。
- 不死の船員会以外の者が不死であってはならないため、生還率の低い対ガウナ戦への全参加を条件づけられていた。長道をそのように生み出させた当人であり事情を知る数少ない人物である小林からは、不憫に思われ色々と手助けされているが、本人はその事情を知らなかった。不死の船員会で全作戦参加を要求したメンバーの殺害後は、全参加を解かれ初めての控えを体験する。そして改めて衛人操縦士の生還率の低さを痛感し、控えでありながら作戦に途中で参加するなどヒロキのようなベテランパイロットへと成長していく。
- 融合個体かなた解体時に落合の謀略によって意識不明の重傷となる。意識を取り戻したのは大シュガフ船攻撃艦隊の出発後であったため、そのまま残存戦力の少ないシドニア防衛の任についた。その後訪問した小林により、過去のいきさつと自分の出生の秘密を知り、メンバーの再編された最上位船員会の一員に就任した。
- 大シュガフ船総攻撃作戦のさなか、小シュガフ船29隻との遭遇という第一艦隊の危機を救う為、二零式衛人「却衛」で恒星レムへ向かう。
- 星白 閑(ほしじろ しずか)
- 声 - 洲崎綾
- 第628期衛人操縦士訓練生副代表。長道らと同時に正規操縦士に任命される。機体番号は「702」(訓練生時はTS星-336)。
- 長道が初めて上層部に出たとき以来、たびたび顔を合わせる。カビザシ回収任務の際にガウナの攻撃で乗機が暴走してしまい、シドニアへの自力帰還が不可能になる。自らも帰還不能になることを承知で助けに来た長道と共に、数日間の漂流生活を余儀なくされた。この一件をきっかけにして長道に淡い恋心を抱き、関係を深め始めるが、連結型ガウナの討伐戦の際に岐神に陥れられた長道を助けようとしてガウナに捕食され、戦死した。その死は長道の心に深い傷を残す。
- エナ星白
- ガウナがエナで再現した星白。外見だけでなく内部も再現されており、構造は人間と同じになっている。また、不完全ながら星白の記憶や人格の再現もされているらしく、長道の姿に反応する他、本体を持たなくても触手や外装を自分の意思で操り、自ら言葉を発し、長道を外生研に呼び出した。カビに反応し、長道を見ている時以外はカビザシ格納庫方向を見ている。現在までに2つの個体がシドニアに確保されている。一体は自由浮遊ガス惑星を破壊した際に出現した衛人型ガウナ(ガ491)から長道が切り離して回収、後に岐神開発にて融合個体の母体にされている。もう一体は惑星ナインにて偵察部隊救出の際に、長道機のコックピット内に侵入してきた紅天蛾(ガ490)の個体を、隔離・本体破壊することで確保、先の個体同様母体への転用が検討されるも、紅天蛾の高度な戦闘能力という危険性からこちらは東亜重工にて厳重に保管中。作中、繰り返し本体から再生された事から最初の個体よりもより鮮明な記憶を持っている事が触れられている。また、コックピット侵入時にはやろうと思えば可能であった長道の殺害もしなかった(何をしようとしたかは不明だが、イザナ曰く「何て格好を…」)。
- 科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ)
- 声 - 森谷里美[注 2] / 豊崎愛生(TVアニメ)
- 衛人操縦士訓練生。長道らより少し遅れて正規操縦士に任命される。機体番号は「723」(訓練生時はTS科-291)。
- 上層部で暮らし始めた長道にできた最初の友人。男性でも女性でも両性具有でもない、相手に合わせて性別が変化する「中性」と呼ばれる性別未分化者。容姿も中性的。制服は女子用に準じているが(スカートの代わりにキュロットを着用)、更衣室は男子用を使用(仕切り板はある)。身を挺して仲間を守る勇気と優しさを持っている。
- 原作においては正規操縦士昇格後の初の戦闘で右腕と左足を失い、生体再生には時間がかかるとの理由で機械式の義手と義足を付ける。付けた当初は調整不足のため長道の腕を握りつぶしたりもしていたが、後には義手の指を増やして10本指になり、器用に操ることもできるようになった。さらに、脳が義肢やそのシステムの扱いに慣れることで、高い情報処理能力(スキンスーツのハッキングも可能)を持つようになる。
- 長道を異性として意識している星白や緑川纈を前にして、複雑な心境を覗かせる。長道にアプローチする緑川纈とバッティングすることが多い。イザナから見て鈍感らしい長道本人は、そうした恋の鞘当てに気付いていない。
- 後に外周壁にある長道の家に同居するようになる。ユレ曰く「遅いほう」だったが、オカリナ攻略戦の後あたりから体が女性化し始めている。第1回水城乗員人気投票では男女総合部門において1位になったものの、本人は複雑に感じている。また、女性化で体型が変わったことが原因でエラーを起していたスキンスーツをハッキングして無理やり装着しようとしてボロボロにしてしまったため、操縦士で唯一新調された黒地に白のラインが入った専用スキンスーツを持っている。高い情報能力を活かす為かスキンスーツの機構部も新調されている。
- 大シュガフ船総攻撃では、その技能で大シュガフ船の主本体の走査を行うため、観測艦隊とともに惑星シックスへ向かった。
- 岐神 海苔夫[注 3](くなと のりお)
- 声 - 櫻井孝宏
- 第628期衛人操縦士訓練生代表。長道らと同時に正規操縦士に任命される。機体番号は「701」(訓練生時はTS岐-001)。
- 衛人の仮象訓練装置における成績は第1位。訓練生時代から作戦時には班のリーダーを務めており、上層部に出てきたばかりの長道を一撃で昏倒させたこともある。名門の出身でプライドが高い。岐神家は岐神開発を経営する有力者で、海苔夫は9代目に当たる御曹司。外面は優等生的な体裁を取り繕っているが、その実高慢で陰謀家。選民思考の持ち主で、長道やイザナに対し「亜人種ども」と罵るなど差別意識も見られる。また、女性同伴のときが多く、プレイボーイの側面も窺える。
- かねてより名機「継衛」に思い入れがあり、子供の頃から既に不必要で公式記録にも残らない十七式仮象訓練装置の訓練を密かに重ねていた。いずれは継衛を駆って撃墜王の名を継ぐという思惑もあり、突然現れて同機の操縦士となった長道とはたびたび衝突する。正規操縦士に任命された際にはこれまでのことを水に流す素振りを見せるが、内面では継衛を駆って活躍する長道に嫉妬しており、連結型ガウナの討伐戦の最中に長道の評価を落とそうと小細工を仕掛けて陥れた。
- しかし、その出来心で行った行為が原因で星白を死なせたことで表向きは平静を装っていたが、内面ではショックを受けており、エナ星白の登場でそれが決定的になる。PTSDによる戦力外化により作戦への参加拒否を続けていたが、岐神の罪を晒して糾弾するでもなく、だだシドニアを守り続け再び人々の信頼を勝ち得た長道から、共にまたシドニアを守ろうと願われ、長道の人としての大きさと自分の愚かさを自覚して涙する。
- 長道の願いには答えられず、父の死もあり衛人操縦士を辞めて岐神開発の経営を引き継ぐが、復活した東亜重工に追い抜かれる状況に葛藤することになる。そんな中、岐神の姓には「邪神を止める」意味が込められており、過去に大事件を引き起こした落合の知識が保存された「落合の補助脳」を代々守ってきたことを知る。焦りから岐神家の者でも立ち入りが許されない落合の研究室に海蘊と共に侵入して封印を解いてしまったことで落合に意識を乗っ取られてしまい、その状態が長く続いたが、融合個体かなたの暴走による昏睡中に落合がかなたの予備本体に移されたことで解放され、ユレから安全が確認された以後は訓練生として操縦士に復帰した。自信家であった性格は、自身の行動によってシドニアに多大な被害を出してしまった事から鳴りを潜めている。
- 大シュガフ船総攻撃作戦中のガウナ2正面作戦により、多数の小シュガフ船がシドニアと第一艦隊の両方面に迫るさなか、第一艦隊の救援に向かうほかない谷風に変わりシドニアを防衛するため、普通の操縦士では操縦できない「継衛改二」の使用を佐々木に申し出て、岐神の強い申し出と仮象訓練の内容に納得した佐々木から改二を託された。そしてレム方面へ向かう谷風を「シドニアは任せろ」と送り出し、長い年月を経て谷風の願いに答えた。この時、落合に乗っ取られていたことから読み取ったその思惑を谷風に伝えている。
- 緑川 纈(みどりかわ ゆはた)
- 声 - 金元寿子
- 元は衛人操縦士訓練生。長道らの正規操縦士任命と期を同じくして、第628期訓練生に途中編入された。訓練生時の機体番号はTS緑-256。
- 赤井班の緑川出雲の妹。戦死した兄の仇を討ってくれた長道に並々ならぬ興味を抱き、露骨なまでの好意と大胆な行動でアプローチするが、空回りに終わることが多い。長道と親しいイザナをライバル視している。第1回水城乗員人気投票の女性部門においては4位。
- 兄に代わって衛人操縦士になりたいとの強い願望を抱いていたが、過去に例のない適性の高さにより勢威の推薦で操縦士訓練生から彼の後任の司令補に抜擢される。まだ若年でありながら、艦長の下で対ガウナ戦の指揮を執ることになり、往々にして厳しい選択を迫られる。その任務柄ガウナの位置がいつも気になるため、特注のレーダー画面付きの携帯端末を使用している。
- 司令補だけに高い権限を持ち、並の船員では居住できない外周壁にある長道の家に押しかけ強引に住み着く。
- プラモデルの製作が趣味で、部屋には箱が山積みになっており、新作の発売日にはシフト終了後模型専門店に直行する。
- のちに艦長から落合(融合個体二号)撃退の功を認められ、正式に副司令に任じられる。そして大シュガフ船総攻撃のため、第一艦隊を率いて恒星レムに向かった。作戦なかば、小シュガフ船29隻という強力なガウナ側の戦力と、落合(融合個体二号)の挟撃という危機に晒されていた。しかし、機転を利かし丹波によって重力子放射線射出装置を新型推進機関に改造、小シュガフ船の船団からは脱出したが、そこには落合(融合個体二号)が待ち受けていた。
仄シリーズ
人工羊水と圧縮知育で急速に成長させた、クローン人間の姉妹。全員が衛人操縦士訓練生。見かけ上の年齢や知能は他の訓練生と同程度だが、実年齢は5歳ぐらい。クローンであるために全員が同じ容姿をしており、他人には区別がつかない。遺伝子改造もされているらしく、非常に高い身体能力を持っている。当初は11人姉妹であったが、後に11人が追加された。好きな食べ物はオムライス。
アニメ・CDドラマでは全員の声を喜多村英梨が担当し、それぞれ僅かに変化をつけて演じている[注 4]。アニメ公式サイトでは「仄 姉妹」と表記されている。
- 仄 焔(ほのか えん)
- 衛人操縦士訓練生。仄姉妹の長女。姉妹の中でも気が強い。訓練成績も一番優秀であり、衛人仮象訓練にて岐神、星白に次ぐ3位。長道らと同時にいち早く正規操縦士に任命された。機体番号は「703」(訓練生時はTS焔-203)。
- まだ船内に不慣れな長道が不用意に女子光合成室へ入り込んだ際に裸を見られ、顔面に肘を打ち込んで鼻を折り失神させたことがある。連結型ガウナの討伐戦で重傷を負うが、後に回復。その直後、またもお見舞いに来た長道に裸を見られ、ドアごと蹴りつけ失神させたことがある。本人も謝りたいと思っているが、なかなかうまくいかない。水城でも姉妹で光合成していたところ、励まそうと訪問した長道に過失で裸を見られ、袋叩きにしたことがある。長道に素直に謝って、仲良しになれるかは、不明。
- 仄 煉(ほのか れん)
- 衛人操縦士訓練生。焔の負傷による戦線離脱後に正規操縦士に任命された。機体番号は「706」(訓練生時はTS煉-206)。
- 仄姉妹の中では長道に対して好意的に接する人物で、戦闘中もお互いに庇いあうシーンなどが最も多く描かれている。長道と焔の間を取りなそうとするがうまくいっていない。
- かなたが引き起こした触手お化け事件で、帰りたがる焔を無理やり引き連れて谷風の家の中を捜索する怖いもの知らずの性格でもある。ちなみに捜索中にヒ山の家を壊してしまい修理する事になるのだが、途中にヒ山の愚痴を言ってしまい野生の洗礼を受けた。
- アニメでは衛人仮象訓練5位の成績。
- 仄 烽(ほのか ほう)
- 衛人操縦士訓練生。煉と共に正規操縦士に任命された。機体番号は「705」(訓練生時はTS烽-205)。
- 自由浮遊ガス惑星を破壊した際に出現した紅天蛾と交戦し、煉と連携攻撃をかけるが、これをかわされ戦死した。
- アニメでは炉に代わり、衛人仮象訓練4位の成績。
- 仄 炉(ほのか ろ)
- 衛人操縦士訓練生。衛人仮象訓練では4位の成績。
- 後に正規操縦士になったらしく、オカリナ攻略戦に参加している姿が見られる。
- アニメでは連結型ガウナ討伐戦後、煉らと共に正規操縦士に任命され、小惑星に突入し帰還した。機体番号は「707」。
- 仄 燿(ほのか よう)
- アニメで新しく判明した仄シリーズの一人。
- アニメでは連結型ガウナ討伐戦後、煉らと共に正規操縦士に任命され、小惑星に突入し帰還した。機体番号は「708」。
- 初出時は名前が耀となっていたが、後に発表されたドラマCDのキャスティングでミスだったことが判明。
- 仄 炒(ほのか しょう)
- 22番目の姉妹。衛人操縦士。姉妹の中でも優秀と言われていたが実戦においては情緒不安定な面を見せ、初陣でシュガフ船に取り込まれてしまう。
- ガウナによって人格も含めて完全に再現され、水城への帰還を試みていた所、やはり同様に再現された衛人をみて、自らがガウナになってしまった事を自覚した時、焔の狙撃により戦死。冷徹な判断であったが、不幸中の幸いにも炒にとっては救済であった。
- 仄 爆(ばく)/煌(こう)/燈(とう)/燠(おう)/燎(りょう)/煽(せん)/燻(くん)/燐(りん)/燧(すい)/炯(けい)/燃(ねん)/燥(そう)/燭(しょく)/熾(し)/烙(らく)/燗(かん)
- コミックス13巻特装版付録ドラマCDのキャスティングで名前が判明した仄シリーズ残りの16人。声優は他の仄シリーズ同様、全員喜多村英梨が担当。
- 原作では衛人仮象訓練の3から12位までを仄シリーズが占めていた(13位以下は不明)。
赤井班
模擬戦において上位を独占しシドニア最強と呼ばれたチーム。ガウナ討伐戦の初陣で敢えなく全滅した。原作では、搭乗機はそれぞれのパーソナルカラーに塗装されている。
- 赤井 持国(あかい もちくに)
- 声 - 斉藤壮馬
- 衛人操縦士。討伐隊のリーダー。パーソナルカラーはレッド、機体番号は「001」。
- 衛人による模擬戦「重力杯」13連覇および最年少記録保持の実力者である。ちなみに13連覇を達成した大会での三回戦の相手は岐神であり、岐神はこれに敗れたことで最年少記録更新の可能性を絶たれた。
- ガウナ討伐を控えて長道とイザナを「ラピュタ」での食事会に招待するなど、気さくな人物。一時の休息を得た翌日のガウナとの戦闘で戦死した。
- アニメ版ではガウナに捕まった百瀬を助けた瞬間に死亡する描写が追加されている。
- 百瀬 日向(ももせ ひなた)
- 声 - 五十嵐裕美
- 衛人操縦士。討伐隊のメンバーで唯一の女性。パーソナルカラーはピンク、機体番号は「002」。
- 赤井とは恋人同士。赤井が戦死した姿を見て錯乱し、戦死した。
- 青木 柏手(あおき かしわで)
- 声 - 松本忍
- 衛人操縦士。討伐隊のメンバー。パーソナルカラーはブルー、機体番号は「003」。
- 緑川と連携してカビザシによる攻撃を試みるが、胞手に両断され戦死した。
- 名前の読みはアニメ第3話のTV放映版では「ハクシュ」となっていたが、Blu-ray版では「カシワデ」に修正された。
- 緑川 出雲(みどりかわ いずも)
- 声 - 鈴木裕斗
- 衛人操縦士。討伐隊のメンバーで纈の兄。パーソナルカラーはグリーン、機体番号は「004」。
- 衛人の模擬戦闘におけるヘイグス粒子砲の撃ち合いにかけては随一の腕前だったらしい。ヘイグス粒子砲でガウナ本体の露出に成功したが、カビザシを持つ青木が既に撃破されてしまっていたため止めを刺せなかった。ガウナに追いすがる百瀬を庇って戦死した。
サマリ班
赤井班に次ぐ実力を持つ班。原作では紅天蛾登場の頃から登場するが、アニメではそれ以前に重力祭りで赤井班との交流が描かれているほか、漂流する谷風・星白の救出シーンにも登場している。アニメでは機体にピンク色のラインが描かれている。
- サマリ・イッタン
- 声 - 田中敦子
- 衛人操縦士。サマリ班のリーダー。機体番号は「005」。
- 男勝りの女丈夫で、男性操縦士の間で人気が高いが、当人には全くその気がない。「戦闘でアシストを3回成功させるとサマリと二人きりで光合成する権利を得られる」という噂が一部で広まっており、実現に燃える操縦士もいる。本人は事実無根と否定しているが、噂を信じたい操縦士達にはあまり効果がない様子。巨乳の持ち主で、しばしば弦打にからかわれる。
- ガウナとの激戦にて自信を無くしていた際に長道に慰められ、「光合成したくなった」と漏らすも長道が眠ってしまったために気付かれなかった。
- 祖母も一六式が配備されていた時代に衛人操縦士だった模様。
- 弦打 攻市(つるうち こういち)
- 声 - 鳥海浩輔
- 衛人操縦士。サマリ班に所属。機体番号は「007」。事あるごとに説明調の台詞を担当する。
- お調子者で軽口を叩くことが多く、サマリ、つむぎ、佐々木らに対し下品な冗談を飛ばしては、その都度手痛いしっぺ返しを食らっている。
- サマリが出撃できないときには班長を務めたり、優れた射撃の技量を発揮したり、水城出港後の戦闘では一九式による(谷風・つむぎを除いて)最多撃破数を誇るなど、実力は相当なもの。しかし女子からの人気は今ひとつで、第1回水城乗員人気投票の男性部門においては46位という結果だった。
- アニメでは重力杯で青木に敗北するシーンがある。また、土浪(弟)に代わってヘイグス粒子砲の名手という設定を持ち、小惑星との戦闘後ではヘイグス粒子残量が最も少なかった。
- BD版ディレクターズカットでは、主本体破壊の橋頭堡を確保する為に全ヘイグス粒子を使って突破口を開く。そして動力を失った弦打の衛人を勢威とサマリによって小惑星から連れ出され、谷風と合流して脱出し、小惑星攻撃作戦の最大の功績者となる。
- 土浪(となみ)
- 声 - 下山吉光
- 衛人操縦士。サマリ班に所属。機体番号は「006」。
- 先に戦死した緑川に次ぐ砲撃戦の名手を自負するが、ヘイグス粒子砲を跳ね返され戦死。
- アニメでは台詞や出番の殆どが弦打に振り替えられている。名前にも触れられておらず、クレジットタイトルでは「サマリ班操縦士」と表記されている。
- 兄もサマリ班であったが、長道がサマリ班に配属された際にサマリ班から外されている。弟の死後、戦線に復帰。
その他の衛人操縦士
- 山野 栄子(やまの えいこ)
- 声 - 森なな子
- 衛人操縦士訓練生。努力を重ね訓練生に選抜されたことから、特殊な条件(中性である等)で訓練生になった長道やイザナに反感を持っている。掌位のジンクス払拭のためにイザナが提案した握手を拒否した。機体番号はTS山-290。
- 氷塊採掘任務において、100年振りに出現したガウナに捕食され戦死。
- 山野 稲汰朗(やまの とうたろう)
- 山野栄子の弟。姉が戦死したころはまだ子供だった。姉にあこがれていたが、ガウナが姉の姿を模したためにからかわれ、つらい幼少期を過ごす。のちに姉の仇を討つため衛人操縦士訓練生となり、復帰した岐神の同期となる。
- 大シュガフ船総攻撃作戦中に小シュガフ船6隻の総反撃に際し、岐神班に入りシドニア防衛にあたる。
- 春日 亮平(かすが りょうへい)
- 春日班のリーダー。機体番号738。
- 長道に対して気さくに接する男で、漫画版では戦闘中負傷した長道の救出を試みている。
- 間 薫(はざま かおる)
- 間班のリーダー。機体番号751。
- ソバカスと外ハネした金髪が特徴。いつも春日と一緒に行動している。イザナと同じくキュロットを着用。
- 右田(みぎた)
- 右田班のリーダー。機体番号は「164」。
- 直接ストーリーに関わることはないが、度々戦闘に参加し、サマリや谷風と共闘する。
- サマリとの光合成を狙う一人。
- 宅
- アニメオリジナルの衛人操縦士。本名は不明。機体番号は167。
- 小惑星での戦いにおいて、星内に突入し生還。
- 緒
- アニメオリジナルの衛人操縦士。本名は不明。機体番号は314。
- 小惑星での戦いにおいて、星内に突入できず煉とともに待機していた。
- 浜形(はまがた)
- 男性の新人操縦士。当初は自信過剰で、長道にトゲのある態度をとっていた。しかし、自らの独断専行により端根の危機を招き、長道の活躍により事無きを得る。これにより反省し、長道に対し謙虚に感謝を示した。
- 端根(はしね)
- 女性の新人操縦士。浜形の暴走に巻き込まれ、操縦殻をガウナに捕獲されるも長道により救出される。ガウナに捕獲された状態でも啖呵を切るだけの度量を持つ。
融合個体
ガウナの細胞に人間の遺伝子を導入させることで、ガウナの強靱な肉体と人間の心を併せ持つに至った究極の生命体。ヘイグス粒子をエネルギー源としており、宇宙空間でも行動可能で[注 5]、普段使う分とは別に圧縮貯蔵したヘイグス粒子も保持している。二零式系統以外の衛人や一般的なガウナを軽く凌駕するスペックを持ち、シドニアを苦しめてきた紅天蛾すら圧倒できる。体や伸ばした触手は自身の意志である程度好きな形に変化させることが可能(気を抜くと元に戻る)で、人間とコミュニケーションを取る際はそのまま話す事もできるが、サイズを人間に合わせた触手の先端を用いる事が多い。長い寿命と不死に近い再生力を持つが、本体さえ無事であればいくらでも瞬時に再生できるガウナと違い、大きな傷を受けると再生には時間がかかり、場合によっては専門的な集中治療を必要とする。防御力も高いとはいえないため、落合(融合個体二号)では超構造体の鎧をまとう事で解決している。融合個体に性差があるかは明かされていないが個人差はあり、体や触手先端形状はそれぞれ異なっている。
- 融合個体兵器
- 第四次奇居子防衛戦に投入された最初の融合個体。当初の設定と加筆後の設定とで若干異なる。
- 初期の設定では、ガウナ戦にて落合(オリジナル)が独断で起動させ暴走(曰くまだ子供であったらしい)した結果、全てのカビザシを船外に廃棄し、破壊活動を行ってしまう。この時侵入したガウナによりシドニアは滅亡の危機に瀕した。最終的にヒロキに本体を破壊され機能停止、回収された融合個体は保管されて、後に頭をくり抜き人工カビを生産する母体に利用されている。この暴走事故から落合(岐神)は、新たに融合個体を作成する際に外部から意識を乗っ取れるようにしており、安全装置として戦闘の際に操縦士を乗せるコックピットを設けた。
- アニメ版の前日譚として加筆された第四次奇居子防衛戦では、初めから落合(オリジナル)の搭乗機として登場しており、落合の意思でカビザシの投棄、シドニアへの攻撃を行う。しかし、ガウナの出現で操作不能となり、最終的にヒ山により拘束された。以降のストーリではこちらの展開が採用されている。
- 他、つむぎの製作以前にも操作実験と人工カビ生産用の個体を製作しており、物語にはカビ生産用に本体を分離した半壊状態で登場している。
- 白羽衣 つむぎ(しらうい つむぎ)
- 声 - 洲崎綾
- エナ星白の卵子と人工の人間の精子により作り出された融合個体。
- 落合がユレの協力のもとに完成させた唯一の実戦に堪える融合個体であり、対ガウナ戦で目覚ましい活躍を見せる。素顔はエナで出来たマスクで覆われている。心臓にあたる本体を持っており、ここが唯一の弱点。
- 初陣で敵と勘違いした衛人に攻撃され危機に陥った際、助けてくれた長道を慕うようになり、長道を通してイザナや纈とも友好的な関係を築く。結果的にこれがつむぎの幼い精神を安定させることになる。単体でも行動は可能だが、当初は戦闘に赴く際に操縦士が乗っており、精神的に成長するにしたがって操縦士なしでの行動が許可された。
- 性格は温和で優しく、礼儀正しい。その声色はイザナが間違うほど星白と似ている。長道の色恋が気になるなど女の子と思われる面が多い。口調は丁寧で大人びているが、寂しさのあまりシドニアに張り巡らされた古い配管に触手を通して、長道らに強引に会いに来る。そのため長道は彼女といつでも会えるように、旧管が入り乱れている外周壁の物件に引っ越した。静かに怒るタイプで、弦打が知らずに藪をついては強力なしっぺ返しを受けている。科戸瀬家の猫とは仲良し。人間の味覚が分からないため、一人では上手に料理できないが、イザナや纈達と一緒に作る(味見してもらう)場合はおいしく作れる。
- 基本的に機密存在だったが、一緒に戦う操縦士はもとより、衛人運用に関わるスタッフなど軍内部では公然の秘密状態。その姿から殆どの人間が恐れていたが、次第に緩和され、仲間として頼もしい存在になっていく。人前にも基地施設内であれば自由に姿をあらわして良くなり、重体となった時には多数の励ましが届いていた。大シュガフ船総攻撃では、第二艦隊に配属され恒星レムへ向かったが、ガウナの攻撃で重力子放射線射出装置が爆発。第二艦隊もろとも行方不明になっていた。谷風が救援に駆けつけたとき、射出装置の爆発から一隻を身を挺してまもり多くの人命を救ったが、培養槽での集中治療が必要な重傷を負っていた。長道は培養槽がある第一艦隊へつむぎを連れて行く。
- かなた
- つむぎに続いて落合が作り出した個体。「融合個体二号」とも呼ばれる。
- かなたの本体はガウナのそれと同等の強靱さを持ちながらカビで破壊する事が出来ない弱点のない素材で構成されている。また、頭部右目の位置には落合の研究していた重力子放射線射出装置を埋め込まれている。さらにユレにも秘密で超構造体すら造れる物質生成能力が与えられている。
- 一人称は僕で、性格は初期のつむぎと比べても我慢弱く、新しい一挙一動に驚き、ショックを受けるとパニックを起してしまうなど幼い。これは落合の本当の目的が、究極の生命を創造して意識を乗っ取ることで自らが究極の生命へ転生することにあるため、つむぎのような情操教育は度外視し、かなたの自我を抑えつけていた結果である。なぜか触手で徘徊する際は、女子シャワー室にいっていた。
- 体の完成と同時期にシドニアに取り付いたガウナの存在に気づいたかなたは友達を求めて触手を伸ばし、自分の母体であるエナ星白を見つけて暴走を起こす。外部からの制御を受け付けなくなり、射出装置を発射してシドニア外壁ごとガウナを消滅させ、惑星「ナイン」の衛星も半壊させた。その後、頭を杭で打ち抜かれて凍結封印される。東亜重工の機械式射出装置の完成にともない解体が決定されるが、解体直前に落合の介入により封印が解かれ、再び暴走の危機に瀕する。先人の融合個体であるつむぎの呼びかけで落ち着きを取り戻すが、かなたを危険と判断した小林により射出装置によって本体を破壊される。しかし、落合は自分の人格を宿した予備の本体を準備していたため、落合の人格を宿した融合個体が覚醒する結果となった。かなたの意識がどうなったかは落合は答えなかった。
シドニアのスタッフ
- 小林(こばやし)
- 声 - 大原さやか
- 第二十八代シドニア艦長の女性。シドニア軍総司令でもあり、戦闘時には総指揮を執る。不死の船員会と呼ばれる最上位船員の一員。約700年ほど生きている。
- 冷静沈着で的確な判断力を備え、シドニアの存続を常に最優先とし冷徹な処置をとることにも躊躇しない。一般船員の前では能面のようなマスクを着け素顔を隠しているが、長道など一部の面々には素顔で接している。船内移動時には、同様のマスクを着け黒いスーツを着た護衛を従えている。人類が存続するためにはガウナを撃滅せねばならないとの強い信念を持つ。
- 冷徹公平な判断の裏で、一人の人間として罪悪感や迷いも持っているが(マスクにはそんな表情を他人に見せない意味もあった)、最悪の結末を避けてシドニアを存続させるために割り切っており、考えが凝り固まってしまっている。しかし、長道達新世代のあり方を見ていく内に、その固まった考え方が過去のヒロキ・落合との確執に繋がったのだと思うに至り、自分が折れる判断を下す事も増えてきている。
- 唯一の楽しみは一般船員に紛れることで、保健室医や宿屋の女将に扮して長道の前に現れることもある。医師に扮して勢威の悩みを聞いたが、勢威の性癖に懲りたのか二度としてないようである。歌手でもあり、地球があった時代の歌を歌う事もある。
- ヒロキに憧れて操縦士訓練生になった頃はおかっぱで眼鏡を使用していた少女であった。
- 落合(おちあい)
- 声 - 子安武人
- 特殊な事情の人物であり、作中では複数の落合が存在している。
- 落合(オリジナル)
- ガウナ研究を進めていた優秀な科学者。
- 6世紀前に小林達と共に衛人隊の指揮をして、カビを発見したことで不死の船員会の一員となった。マッドサイエンティスト的な面もあるが、離反するまで多くの人々を救っており、慕われていた。ヒ山の生命維持装置(熊)も彼の手によるもの。また、身体改造主義者であるため、眼球を始めとする身体各所を機械式にしており、ヘルメットなしでも宇宙空間に出ることが出来る。その機械具合は長年改造を繰り返してきた結果、落合自身が元の顔を忘れてしまうほどである。頭はモヒカン刈りにしている。
- 100年前の「第四次奇居子防衛戦」末期に独断で起動した融合個体が暴走、カビザシを宇宙に投棄した結果、シドニアにガウナの侵入を許し大惨事を引き起こす。さらにシドニアのライブラリを「補助脳」と呼ばれる記憶装置に複製した後に消去した。最終的に生け捕りにされ、記憶を消した脳が落合自身のクローンに移植された。
- 加筆された「第四次奇居子防衛戦」では、ガウナに共感している面が強くなり、カビを廃棄し共存できる可能性を模索する事を主張。ガウナ研究が封印されると、カビザシを全て放棄し(カビにひきつけられている事を証明したかった模様)、自ら融合個体に搭乗してシドニアに攻撃を仕掛けた。
- 落合(クローン)
- 艦長の側近。
- 役職は不明だが、調査や監視活動などもこなしている。艦長の護衛と同様に黒いスーツを着ているが、マスクは着けていない。長道の身元引受人となった艦長の代理として長道の面倒を見ており、空腹に苦しむ長道に山菜おこわを奢ったりもした。また、整った顔立ちをしており、水城艦内で行われた「第1回水城乗員人気投票」では女性からの人気1位となっている。同性からもお誘いを受ける事があるが、そちらの趣味はないのでお断りしている。なお、身体改造を施しているのか不死の船員会のメンバーを殺害する際に掌から弾丸のような物を発射している他、シドニア艦橋にいた落合の手駒をやはり掌からスタン弾を発射して無力化している。
- その正体はオリジナルの脳を記憶を消去した上で移植されたクローン。「補助脳」から情報を引き出すには落合の生身の脳が必要なため、「降ろしの儀」の鍵となる人物である。脳はオリジナルだが記憶と共に人格や科学者としての資質はリセットされ、落合(オリジナル)とは完全に別人となっている。ただ、海蘊(トクシーヌ)に寄れば、私的な場面で見せる性格はオリジナルそっくりとの事で、小林が負傷した際も即座に実行犯を無力化、纈へ指揮継続を指示するなど、依然高い判断力と行動力を持つ。
- 落合(補助脳)
- 補助脳内に記録されている落合。
- 「降ろしの儀」の際にのみ、クローンに憑依する形で表れる。オリジナルと同じ人格を持っており、小林に許しを乞う。落合(岐神)により補助脳から全てのデータが回収された後どうなったかは不明である。
- 落合(岐神 海苔夫)
- オリジナルのコピーであり、研究室に侵入した海苔夫を「シドニア血線虫」で乗っ取った落合。
- 周囲の人間は乗っ取られていることを知らないため、海苔夫として接しており、海苔夫の立場を利用して、岐神開発を拠点とした新たな融合個体の開発を行っている。つむぎ開発後、しばらくはその安全装置兼操縦士として搭乗していたが、オカリナ戦以降は操縦士を海蘊に譲り、研究職に戻ってかなた開発を行う。同時に「シドニア血線虫」を使用して、手駒を増やしていた。かなたの暴走により重傷を負い、意識不明の重体となる。過去に融合個体を撃破し自分を捕縛したヒロキのクローンである長道のことは苦手な模様。オリジナルの脳を持つ落合(クローン)に関しては、既に未練もなく放置している。
- ドラマCDでは、ギャグパートを担当。慣れない若社長として得意先からいびられたり、シドニア血線虫を持ち歩いていつでも支配できると優越感に浸ったり、うっかりヒ山の本名を呼んでしまい(あまりにも自然に呼んだので一瞬ヒ山もスルーした)野生の脅威に晒されたり、落合(クローン)を男前と自画自賛してみたり、ユレの天然トークと小林の対話不能演説にウンザリしたりしながら、海蘊(トクシーヌ)にツッコミを入れられている。
- 落合(融合個体二号)
- 岐神の肉体を経て融合個体二号の予備本体にコピーされた落合の人格。落合の600年にわたる夢である融合個体への人格転送、そして種という概念から外れる念願を達成した姿。さらに重力子放射線射出装置という現状最強の攻撃力を備え、射出装置以外に破壊する手段の存在しない高純度の超構造体の鎧で全身を覆っている。シドニアの完全破壊をもくろむが、纈の機転でシドニアごしに未完成の重力子放射線射出装置の攻撃を受け逃走、惑星エイトで体を修復していた。
- 大シュガフ船総攻撃のさなか、半壊してしまった重力子放射線射出装置を新型推進機関に改造して、第1艦隊へと向かう。第1艦隊は小シュガフ船29隻の船団と遭遇する前に脱出して、恒星レムにたどり着いたが、落合(融合個体二号)は先回りして艦隊への攻撃を開始した。
- この他、落合が機械人形等を使って、外生研や東亜重工、シドニア艦橋などに自分のコピーをシドニア血線虫で手駒として多数配していた模様。
- 斎藤 ヒロキ(さいとう ヒロキ)
- 声 - 小山力也
- 長道と共に暮らしていた男で、祖父を自称していた。第一話の時点で既に故人であり、長道によれば3年前に死亡している。シドニアの行政上は17年前に死亡扱いとなっていた。
- その正体は7世紀前、カビ無しで実体弾だけでガウナを撃退することの出来る唯一のエースパイロットであり、あまりの優秀さにより人格・知識のコピーも検討された唯一の人物、シドニアのエースチームである斎藤班の班長(斎藤班は通常の4機一組ではなく24機からなる中隊となっている)。そして6世紀前、小林・落合・ヒ山と共に謎の構造物を探索中、ガウナの本体部分を貫通する「カビ」と遭遇、同時に人類初のガウナ討伐に成功した。100年前の「第四次奇居子防衛戦」でも多大な戦果を上げ、末期にシドニア内部に侵入したガウナを継衛で撃破した「撃墜王」の正体でもある。
- 防衛戦終結時に自身の換装用クローンを失うが、新たなクローンを作ることを拒み失踪。第一話より14年前に小林達が発見した時にはかなり老化が進行しており、小林の判断で脳移植のために、不死をはじめとした禁断の遺伝子改造を多数施したの特別製の換装用クローンが作られた。その事を知ったヒロキは、赤子の段階まで成長したクローンを奪って居住区外に逃亡する。
- 逃亡先でクローンに谷風長道と名づけて成長を見守り、自身の操縦技術を伝授していった。最後は自らを超えた長道の成長を喜び、自分を戦いの道具として生かし続けてきた小林やシドニアのあり方に恨み言を言うこともなく、穏やかに息を引き取った。
- 不死の船員会の一員であることに加え逃亡事件を起こしたためか、シドニアを救った英雄でありながら公開されているプロフィールは偽造されており、一般には操縦士の一人としてしか認知されていない[注 6]
- ヒ山 ララァ(ひやま ララァ)
- 声 - 新井里美
- 衛人操縦士や訓練生が暮らす寮の寮母。人語を話す二足歩行の熊の姿で、服を着て人間と同様の生活をしている。実は熊の毛皮は生命維持装置で、中に本当の体が入っている。単行本には人間の姿がイラストで載っている(第6巻136ページ)。これにより不死の船員会設立以前からの不死者の一人[注 7]。
- カビ発見当時の負傷で失った右腕に機械式の義手を着けている。普段は温厚な性格で、何かと長道ら訓練生の世話を焼いている。名前で呼ばれることを嫌がっており、名前で呼ばれると「野生が剥き出しになる」(激怒する)。
- 元は衛人操縦士で、不死の船員会の一員だった。ヒロキとは親しい間柄にあり、長道を奪って逃亡するのを助けた。そのためか船員会への発言権を奪われた模様。長道の素性を知る数少ない人物。小林とはヒロキの事もあり、付き合いは少ないが今も話し合うことがある。離反した落合のことも気にかけており、復活を知った際は戦闘区域にもかかわらず、身一つで説得に向かった。
- 基本的に戦闘へ参加はしないが、ヘイグス機関の使えないテルルの救出作戦では、既に操縦できる人間がいなくなった一五式衛人を操りこれを支援した。
- 勢威 一郎(せいい いちろう)
- 声 - 坪井智浩
- 司令官補佐。当初はシドニアの司令室より衛人隊の指揮を執っていた。
- 後に人手不足の操縦士を補うため適性のある纈を司令補に推薦、自身は操縦士として戦闘に参加する。機体番号は「026」。操縦士の中で唯一フルフェイスタイプのヘルメットを着用する(アニメ版では他の操縦士と同型のヘルメット)。第1回水城乗員人気投票の男性部門においては2位にランクインしている。
- 件のサマリに関する噂を流した張本人。どうやら士気を高めるため本人に無断でデマを流したようである。
- BD特典ドラマCDでは、かなりのマゾ性癖がある事が判明。医師に扮した小林に罵倒してもらうことを請うなど、噂を流した件も含めて表向きは人格者であるが、本音はやや問題がある模様。自らの教え子の指揮の下、自分を死地に送り込む事に幸福を感じている様である。
- 科戸瀬 ユレ(しなとせ ユレ)
- 声 - 能登麻美子
- 科学者であり、「外生研」の所長を務める。「第四次奇居子防衛戦」で激減した人口を100年で50万人に増やす計画を立案した中心人物。食糧問題を解決するため人類を光合成できるよう改造する計画を立案・実行。また、補助脳からの安全なデータ取り出し方法を確立した。その能力を評価され、不死の船員会の一員となった。
- イザナの祖母であるが、長らく自分の正体は明かしておらず、非常な長生きとだけ思われていた。落合(岐神)が認めるほどの優秀な人物で普段の性格も穏やかだが、イザナに関しては少々過保護気味。谷風の出生に関わり、その秘密や生い立ちも知っているのだが、ヒロキに人質にされた事があるためか、微妙に谷風への扱いが荒い。きつい命令口調で難題を押し付けたり、治療の際に頚椎にこっそり爆弾仕込んだと言って脅したりする。
- 大シュガフ船総攻撃にイザナが出発する際、自分の正体を明かした。そして無事に戻ってくる事をイザナに誓わせた。
- 田寛 ヌミ(たひろ ヌミ)
- 声 - 佐藤利奈
- 「外生研」の女性スタッフ。ガウナにエナで再現された星白の調査を担当する。後に落合に乗っ取られた岐神に「シドニア血線虫」なる寄生生物で脳を乗っ取られ、研究を手伝わされる。融合個体かなたの暴走時に、岐神(=落合)の命令で小型ガウナを放置していた責任をクローンの落合に問われて、拳銃自殺を遂げた。
- 山野栄子と共に、同居する家族の描写がなされた数少ない人物。サマリと並ぶ巨乳。
- 佐々木(ささき)
- 声 - 本田貴子
- 東亜重工開発主任兼衛人整備士。
- 兵器開発全般にも携わっており、10年前から密かに東亜重工で一八式衛人後継機(後の一九式衛人)の開発を続けてきた。長道の出自を知らぬままその能力を評価しているが、歴史的価値のある継衛をボロボロにした長道を痛めつけて以来、長道から恐れられている。
- 巨乳で、女性ながらかなりの長身。
- ユレとは古い仲。若い頃には一緒に派手な服を着て遊んでいた模様。
- 谷風が最上位船員会のメンバーになった際、佐々木もまた最上位船員であることが明らかにされる。
- 普段から大型ソケットレンチを持ち歩き、怒らせるとレンチで首を締め上げたり殴ったりする。第1回水城乗員人気投票の女性部門においては5位にランクインしている。
- 丹波 新輔(たんば しんすけ)
- 声 - 阪脩
- 職人気質の技術者。佐々木は昔の知人の孫に当たるらしい。
- 以前東亜重工で働いていた経験を持っていたため、10年前から佐々木と共に一八式の後継機となる衛人の開発を続けてきた。対ガウナ戦で活躍する長道を認めている。
- 落合(融合個体二号)が東亜重工の重力放射線射出装置を破壊しようとした時、命がけで未完成の射出装置の電源をシドニアに接続、寸での所でシドニアの危機を回避した。
- シヂミ
- 東亜重工社員。
- 高コスト実験機を始めての担当とする。長道がやむをえず機体を恒星レムに墜落させた際の反応に、同機への思い入れがうかがわれる。継衛改二のスペックや兵装も熟知しており、なんらかの関与があると思われる。大シュガフ船総攻撃作戦のさなか、ガウナの攻撃により第1攻撃艦隊が重力放射線射出装置の爆発によって爆散、行方不明となっていたが、つむぎにより命を救われ、重篤のつむぎの安否を心配している。
- 鈴木(すずき)
- 6世紀前に小林・落合・ヒ山と共に謎の構造物の調査を行うが、出現したガウナに捕食され命を落とした。小林と恋人同士だったと思わしき描写がある。
- 高橋 亮子
- 声 - シャーメイン・タン
- シドニアの管制官。アニメオリジナルキャラクター。
その他の人物
- 岐神 海蘊[注 3](くなと もずく)
- 声 - 佐倉綾音
- 岐神家の一員。
- 海苔夫に仕えるために生まれた存在であり、海苔夫を様付けで呼び、身の回りの世話をしている。
- 立入禁止の落合の研究室に海苔夫と共に入り、小さな機械人形に殺害されるが、「シドニア血線虫」に乗っ取られ、落合(岐神)の側近・トクシーヌとして復活する。
- トクシーヌがサマリに撃墜された後は一命は取り留めており、落合の意識の乗っ取り方を調査するために生かされている。身体は再生できるが、意識や記憶がどうなるかは分からない状態にある。
- 海蘊(トクシーヌ)
- 「シドニア血線虫」に乗っ取られた海蘊。
- 落合に乗っ取られた海苔夫に引き続き仕えており、周りに他の人間がいないときは、落合(岐神)から「トクシーヌ」と呼ばれる。他のAI型シドニア血線虫に乗っ取られた人物は操り人形のようになるが、彼女の場合は無表情になった程度で受け応えなど普通の人間と変わらない。落合(岐神)の秘書として補佐・暗躍しており、オカリナ戦以降から単独行動が許可されるまでのつむぎの操縦士も務める。また、岐神開発では総務部に勤めている。落合(岐神)が事故で昏睡状態となって以降はつむぎの定期メンテナンス等も担当していた。融合個体かなたの解体を阻止するために一九式を奪い、重力子放射線射出装置を破壊しようとするがサマリに撃墜される。
- 市ヶ谷 テルル(いちがや テルル)
- 声 - 田村ゆかり[注 8]。
- 非武装主義者の人工生命研究者・市ヶ谷太郎により造られたガイノイド。人類が肉体を捨て、機械になればガウナと共存できるだろうと考えて造られた。[注 9]
- ガウナによって壊滅させられたレム星系移住者の生き残り。長道らによって救助され、紆余曲折の後に谷風宅に同居することになる。同時にそれまで嫌悪していた長道に無自覚に好意を抱くようになったため、イザナ達から警戒されている。人工生命体ゆえの非常識と頑固さから周囲とよく軋轢を起こすが、根は素直で寂しがり屋。内蔵知識は豊富で一般に公開されている情報であれば、料理から重力制御まで様々なスキルを習得している。普段の顔つきは人間と大差ないが、感情が高ぶると機械の顔が露わになる。
- 皮膚にあたる素材は自律神経に連動することで硬化して殻を形成でき(ある程度は自分の意思でも制御可能。先述の機械の顔もこれによって形成された)、髪は伸縮して飛行用の翼とすることもできる。パーツの大半が東亜重工に発注して製作されているため、谷風達との同居後は東亜重工で修理や整備をしてもらっている。その縁で後に戦術防巡艦「水城」の操舵士に採用され、一般船員資格も獲得した。水城帰還時はシドニアのブリッジオペレータを務めている。大シュガフ船総攻撃では、イザナとともに観測艦隊で惑星シックスへ向かった。
- 水城内で行われた人気投票では1位となる。
- 非武装主義者の老人
- 声 - 納谷六朗
- 居住区の路上でプラカードを持ちながら、シドニア艦長が数代にわたって同一人物であり、ガウナとの戦争もでっち上げだと主張している男。
- 小林が不死者であるなど主張の一部は真実であるが、大半のシドニア人には相手にされていない。
- 氏名は不明だが、アニメのクレジットでは「老人」となっている。
用語
この節の加筆が望まれています。 |
メカニック
- 播種船(はしゅせん)
- 移民・戦闘用の世代宇宙船[注 10]。ガウナによって地球を失った人類の手でシドニアを含め約500隻が建造され、出航していった。多数の民間人を擁する移民船であるが、少なくともガウナの接近を許さないために多数の武装と艦載機が施された軍用艦でもあるため、最高責任者は艦長と呼ばれる。
- シドニア(Sidonia)
- 本作の主な舞台となる播種船。
- 共通紀元2384年8月2日に出航。小惑星ほどの岩塊(天然資源採掘坑・シドニア内部で消費される資源を補充する)を八角柱が貫通した形状をしており、船殻は「構造体」と呼ばれる高強度の物質で構成され、通常の物質には無い強度を備える。表面は厚い氷の層に覆われていて、長期にわたって航行・戦闘を続けているため、衝突痕などが無数に存在する。船体の直径は5kmを超え、船体中心部を貫通する重質量砲の砲身長だけでも28kmに達するほどの大きさであり[注 11]、内部の居住塔と呼ばれる居住スペースなどに50万人程度の船員を収容できる。惑星ナインでの補給後は、採取した資源を船外に壁状に並べるなどの改修により外観が変化している。
- エンジンを前後に6基(後部にメインエンジン4基、前部に逆噴射用2基)備え、スラストベクタリングによる旋回が可能。緊急時には急旋回も可能だが、実行した場合の慣性を重力制御だけではキャンセルしきれないため、船内では大きな被害が発生する。3光年を数年で航行できた事から亜光速で航行できる能力を持っている。また、その速度から僅か十数分でレム星系の惑星ナイン衛星軌道に静止できた事から、シドニアが搭載するヘイグス推進機関は連続して数Gの加減速を維持できる能力がある。後述のヘイグス推進機関の説明にある通り重力制御による自由落下である為、制約の無い加減速が可能である。
- 重質量砲と呼ばれる運動エネルギー弾を主装備に備え、誘導兵器には惑星を破壊可能なものもあり、その他の固定兵器としては一種のビーム兵器である高出力ヘイグス粒子砲を搭載する。艦砲射撃は衛人による防衛が難しい場合の最終手段である。それでもガウナ本体には傷一つ与えられないため、カビ無しではガウナに対抗する手段は無い。航行中に開発された重力子放射線射出装置により、重力場のビームを船内・船外から発射する能力が付加された。
- 船内では慣性航行中でも重力場を発生する機構を搭載しており、1Gを維持するために加速する必要はない。有機物を循環利用する有機転換炉や海洋生物を繁殖する海水槽なども備え、照明・熱源として機能するヘイグス灯や人工降雨・降雪器により、一個の生態系として機能するようになっており、長期間の航行にも十分に耐えうる能力を持つ。中にはシドニア固有の新種も発生している。
- 小規模ながら経済活動があり、通貨(円)も存在する。文化面では、文字表記に漢字、ひらがな、カタカナが各所で用いられている他、人名や商業施設等全般に日本的な要素が多く見られる。政治体制の詳細は不明だが、艦長や一部の上級船員に強い権限が付加されている。最大の目的は「人類の播種」であるため、植民可能な惑星と5万人以上の希望者という条件が揃えば物資と技術を提供する原則がある。
- ガウナの侵攻以降、多数の播種船が太陽系脱出に成功したが、シドニア出航紀元1009年(共通紀元3394年)11月25日現在、シドニアは完全孤立状態にある。第1話時点では「レム恒星系」に向けて航行を続けてきたが、ガウナとの遭遇を事前に回避するために進路を変更することもあり、最終的な到達目標は未定。
- アポシムズ
- シドニアから最も近い位置[注 12]を航行していた恒星間宇宙船。2691年2月26日に届いた通信を最後に連絡が途絶えており、消息不明。画像では角柱状のシドニアとは異なった錐状の外観をしている。
衛人(もりと)
シドニアに配備されている、人型の主力戦闘機の名称。シドニア出航後も開発が継続しているため、特徴は時代によって異なるが、開発時期の早い(古い)順に漢字で「XX式」と、数字が加算されていくという命名規則は共通している。
基本的には単座であるが、一七式以降の操縦席の後部には1名が入るスペースが存在。非常時にはコックピットを展開して透明なパネルを引き出すことで、スペースの拡張と外光の取り入れが行える。通常は非与圧だが、内部を与圧してスキンスーツを脱ぐことも可能。宇宙での運用が前提のためサバイバビリティが高く、長期間の漂流に備えて2か月分の酸素や水、レーション(ただし、シドニア人の光合成前提)、ろ過装置なども搭載されている。ヘイグス粒子が無くなっても補助動力により生命維持等の各種機器を操作することが可能。ヘイグス粒子捕集膜を展開して宇宙空間からの粒子収集も可能だが、ヘイグス機関を始動させる量を集めるには時間を要する。
物語当初は固定武装ではガウナ本体を破壊できなかったため、エナを引き剥がした後に「カビザシ」を用いた格闘戦で止めを刺す戦法をとっていた。後に人工カビの登場により、GCPDSを用いた遠距離戦でのガウナ撃破が可能となった。
作者へのインタビューでは、ネームが完成する前にバンダイから発売されていたガンダムエクシアの1/100スケールモデル等から取り出した白いパーツを部品として利用し、作画用の継衛を作成していた[8]。コトブキヤから販売された1/100モデルは作者が新たに描き起こした三面図をベースにしているため、足の長さなどが作画用とは若干異なる。
シドニアでは歴代衛人のプラモデルが存在しており、模型好きの緑川纈が模型店で購入したり自室で組み立てるシーンが度々登場する。
- 五式衛人
- 6世紀前に稼動していた衛人。
- 現用の衛人に比べて小さく、楔形の箱に手足を付けたような構造をしており、ケーブルで母船とつながっている。両腕に実体弾兵器を装備している。一五式衛人以前の機体には基本的にヘイグス機関は搭載されていないが、謎の構造物を探査した際にはヒ山が搭乗した機体にだけ試作の「ヘイグス粒子加速器」を装備している。謎の建造物でカビを発見し、初めてガウナの撃破に成功する。
- 一五式衛人
- ヒ山が現役時代に操縦していた衛人。
- 一八式とは操縦方法が大きく異なるのか、現在の操縦士ではまともに操縦できない。人型ではあるがヘイグス機関やヘイグス粒子砲は装備していない。そのためガウナに探知されない利点があり、テルルの救出作戦にて使用される。その分稼動可能な時間は短く、戦闘力も低い。
- 一六式衛人
- サマリの祖母が操縦していた衛人。
- 単行本13巻のイラストに操縦席が描かれたのみで詳細は不明。
- 一七式衛人 白月
- 第一話の100年前に配備されていた衛人。
- 本編には実機が登場しておらず、継衛の改造ベースであることや補修部品が既に払底しているといった断片的な情報のみが語られている。加筆された前日譚 第四次奇居子防衛戦にてヒ山やその部下達が搭乗していた機体が本機に当たると思われるが、近影が描かれなかったため、詳細は不明(大まかなシルエットは継衛と同じ)。一八式に比べ操縦の自動化率が低い分、熟練者であればより高度な挙動も可能とされる。無重力環境での運用が前提のため、重力下ではバランスを崩して転倒しやすい。その対策として、四足歩行形態に変形が可能(継衛や一八式も同様)。
- 継衛(つぐもり)
- 正式名称は「一七式衛人 白月改 継衛」。エースカスタムである一七式白月を、さらに斎藤ヒロキ用に徹底的にチューンナップした特別改修機で、劇中では更なる近代改修を施した上で長道の搭乗機となる。
- かつての「第四次奇居子防衛戦」で活躍した「撃墜王」と呼ばれたパイロットの乗機で、歴史的意義のある名機であるため、退役後は保存・展示されていた。ベースとなった一七式の情報が少ないため、どの程度の改修が行われたのかは不明。なお、長道の乗機とする際に展示されていた状態から再度改修され、一八式にできて継衛にできないことはない。また、戦線復帰に併せて一七式のパーツの再生産も行われた。
- 背部のヘイグス機関や頭部のヘイグス粒子砲など、全体的なシルエットは一八式と同じだが、頭部両側面の鋏形のパーツや楔形の胸部装甲、右腕に装備された実体弾兵器、対ヘイグスビームコーティングなど、若干仕様が異なっている。一部のパーツは一八式や一九式と互換性があり、左腕が破損した際には代替として一八式の腕パーツを装着している。
- 実験機や継衛改二建造後も、佐々木によって大切に維持されている模様。
- 継衛改(つぐもりかい)
- 劇中、一九式にも採用された新型の背部推進機関や胸部装甲材への換装、人工カビの追加など、武装や装備のアップグレードや本体の近代化が随時行われた。外観上は大きな変化はないが、各種改造の結果一九式並の性能を持った事実上別機体になっている。原作では呼称の変化はないが、アニメ版の第二期ではこの名で呼ばれている。
- 継衛 救出作戦仕様
- テルルを救出するために惑星「セブン」に向かったときの仕様。
- 衛星軌道に大シュガフ船がおり、ガウナに見つかれば生存の可能性はないため、一五式衛人のパーツを用いて、頭部ヘイグス粒子砲の除去、背部ユニットの非ヘイグス機関への換装など、徹底的にヘイグス粒子と人工カビに関係する装備を排除してガウナに探知される可能性を低くしている。また、セブンが水の惑星であるため、脚部に伸縮式フロートが装備されており、水上運用なら四足形態にならずとも運用できる。ヘイグス機関を持たないために出力もかなり低下しており、動作も重い。エネルギー消費の少ない武装を装備しているものの、カビを装備していない本機ではガウナを倒せないため、交戦は一切禁止されている。
- 一八式衛人(いちはちしきもりと)
- 衛人操縦士および訓練生が搭乗する現用(第1話時点)の衛人。
- 生産は岐神開発。鋭角的なフォルムは類似しているが、高性能に反して高コストという一七式から開発思想を転換し、機能や装備を簡略化することで大量生産を可能にした。また、操縦の一部を自動化することで訓練時間の短縮も実現した。外装の白色は塗装ではなく非金属系素材の色で、関節部分だけはヘイグス焼け防止の塗装が施されている[8]。操縦士のナンバーと同じ機体番号が左肩前面と右肩後面にマーキングされており、赤井班のように特別にパーソナルカラーが与えられることもある。なお、アニメ版では機体色が薄いブルーに変更されている。総数は不明だが、カビザシ回収任務の時点では守備隊の256機と回収チームのうち長道の継衛を除く3機を合わせ、少なくとも259機が稼動状態にあった。長らくガウナとの交戦がなかったため、資源の採取や回収作業にも利用されており、一九式衛人の配備開始後も併用されている。
- 科戸瀬専用 一八式(しなとせせんよういちはちしき)
- イザナの使用していた一八式に、イザナの義手と処理能力に対応した操縦システムと新型センサーシステムを搭載した専用機。システム使用中はセンサーからの情報が直接脳に送られてイザナの感覚として処理されるため、混乱しないように目を閉じて操縦している。高精度の情報が得られる事もあり高い命中率を持っていた。
- 一八式改(いちはちしきかい)
- 大シュガフ船総攻撃に全ての一九式を投入したため、シドニアの防衛に当たる機体。二零式製造が最重視されているため、本機の生産すら追いついていない状態である。
- 隼風(はやかぜ)
- 一八式衛人のために開発された自律支援機。
- 「高速自律支援装甲」とも呼ばれる。細長い四角錐型をしており、4機の衛人をその装甲内で連結できる。中心となる芯の先端には人工カビを装備し、十分な速度が出ていればガウナの2、3体は貫通できる他、加速後に芯を分離してガウナにぶつけることも可能。4枚の装甲は分離後も各衛人に残り、大気圏突入用の筏となるほか、滑空用の膜状の翼を展開できる。
- 一九式衛人(いちきゅうしきもりと)
- 一八式の後継機として開発された新型衛人。生産は東亜重工。一八式より強化された装甲を持ちながら軽量化されており、重力下でも二足歩行が可能。新型背部ユニットが採用され、単独で4騎掌位の一八式を抜き去るほどの加速力を有する。
- 操縦は一八式同様、自動化が進められており、一八式からの機体転換は比較的容易に出来る。一七式に近いセッティングにも出来るが、一七式に慣れた谷風にはやはり操縦しにくいため、一九式試作機で出撃した際には機体性能を生かせず苦戦を強いられた。
- 科戸瀬専用 一九式 (しなとせせんよういちきゅうしき)
- 惑星ナインで大破した一八式に変わり配備されたイザナ専用の一九式。
- 戦闘力は一九式と変わりないが後に感覚域増幅装置が追加され、複数の衛人や観測機が得た多様なデータを本機に統合、イザナの情報処理能力を用いる事でヘイグス通信による探査を上回る高精度の観測が可能となり、それらの莫大な情報はイザナの感覚として把握(イザナからすると観測機のある宙域全体に五感が広がっているように感じる)できる。得た情報を他の衛人や艦に伝える事も可能で、早期警戒機の様な役割を受け持つ。ちなみに機体の配備に前後して、イザナのスキンスーツがボロボロになってしまい(体型が変わってエラーを起していた所を、ハッキングして無理やり装着しようとしたため)、黒いライン入ったものに大幅改修されている。
- 二零式衛人(にーぜろしきもりと)
- 二機の実験機を経て開発された東亜重工の新型衛人。
- 開発中は継衛の正当な後継機を目指しているため、「継衛マークII」と呼ばれていたが、決戦に際し新たに「劫衛(ゆきもり)」と名づけられる。高コスト実験機や継衛改ニ以上に頑丈で、外観は高コスト実験機よりとなっている。新型ヘイグス機関は普段は二枚の翼状になっており、合わせると四角錐型になる。
- 大シュガフ船総攻撃作戦中に、大シュガフ船及び落合(融合個体二号)との戦いに向け、シドニアの総力を挙げ急ピッチで組み上げが進められており、100%の完成度ではないもののようやくロールアウトの目処が立った。作者コメントによると完全変形を目指しているとのこと。
- 高コスト実験機(こうこすとじっけんき)
- 二零式衛人の開発に当たり、先行して開発された実験機。「特殊新型実験機」とも呼ばれる。
- 生産コストは一九式の100倍にも達する。実験機であるためか、今までの平面や直線で構成された衛人と異なり、まるでフレームむき出しのような外見が特徴で、背部のヘイグス機関も巨大な四角錐型のユニットから4枚羽の翼型のユニットに変更されている。落合によるガウナ研究の成果である新素材や新型ヘイグス機関を使用しており、従来機とは比較にならないほど軽量(巨大なパーツを人の手で持ち上げてしまえる)であり、惑星に墜落しても壊れないほど頑丈で恒星の莫大な熱量にすら耐えるフレーム(それでも二零式の目指す純度99.999%に対して純度30%以下)、従来機とは比較にならない機動性を持っており、融合個体に匹敵するスペックを持つ。準慣性制御装置や耐熱、放射線や太陽風などの電磁波を遮断するバンアレンシールドなど、パイロットの保護性能も極めて高い。その反面、素材の生成や成型には膨大な時間とコストを必要とし、いったん成型したパーツの改造も難しい。そのため、テルルの救出作戦では一五式のパーツを組み込むなどの改造ができず、ベースには継衛が使用された。また、搭載機器や武装は開発が継続中であり、戦闘中に既存素材で作ったパーツが壊れたり武装の精度が使用するたびに落ちるなど、問題点も抱えている。開発過程で得られた技術は既存の衛人にも反映され始めており、水城配備の一九式はコックピットの防護殻に本機と同様の新素材を用いたことで、パイロットの生存性が格段に向上した。この措置は水城が帰還する頃には、随時シドニア配備の一九式と一八式にも適用されている。
- 継衛改ニ(つぐもりかいに)
- 二零式衛人の開発が遅れている(内部機器の開発が遅れているのと、新素材による一九式と一八式の改装が優先されているため)こともあり、新たに製造された機体。フレームの純度は高コスト実験機と同等ながら、シドニア設備への対応やハードポイントの設置など急増品であった高コスト実験機の不備を改良している。外観は兄弟機である高コスト実験機に比べて平面のパーツが多くなり、改良型ヘイグス機関も四角錐型に戻った事から、既存の衛人の外観(特に継衛)に近くなっている。
- 今までの衛人には無かった新兵装として全身に人工カビで構成された黒い刃を装備しており、パイロットの操作で射出も可能。
- 月航(つきかず)
- 二零式と一緒に開発された新型単輸送機。
- 新型ヘイグス機関と異なる重力子放射線射出装置の理論を応用した新型推進システムを採用しており、惑星間を数時間で航行できる。輸送機ながらかなり頑丈で、その速度と合わせて行われる衝角攻撃は、一撃でシドニアより巨大な小シュガフ船を破壊できる威力を持つ。継衛改ニでも使用可能。
- 水城(みずき)
- 正式名称「鶴音(たづがね)型 戦術防巡艦 水城」。衛人の量産と平行し、大シュガフ船との決戦を想定して建造された新造艦。艦長は設計にも関わった纈が務める。全長は723mで、24機の衛人と1000名の乗員を擁し、補給なしでシドニアから離れて、長期間航行することができる。武装も充実しており、120センチ重質量砲2基、46センチ重質量砲4基、高出力ヘイグス粒子砲1基、20ミリ機関砲12基と新兵器「対ガウナ誘導飛翔体(同時16目標対応)」を装備している。また、通常推進だけでなく、消えたように見えるほどの加速を起こす特殊加速が可能となっている。通常時は纈と操舵士のテルルを含む6名のブリッジクルーで操船を行うが、戦闘時には纈が一括して航行と火器を管制して戦うこともできる。
- カタログスペックではオカリナ級のシュガフ船を5隻同時に相手にしても勝てるとされているが、実際は初戦だったことやガウナの想定外の行動があったとはいえ、1隻相手に船体の損害と衛人の損失を出している。また、大シュガフ船を相手にするには1000隻が必要と推定されている。
- 大シュガフ船総攻撃作戦において、水城を含めた第1艦隊・第2艦隊・観測艦隊の計27隻が作戦に参加している。船体を他の船体と連結して掌位の様に航行することが可能なようである。
- 輸送船
- 惑星「セブン」に向かう際に利用したヘイグス機関未搭載の旧型輸送船。衛人を2機搭載し、重質量砲や誘導飛翔体など若干の武装も施されている。ヘイグス機関が使えないことによるエネルギー不足から、大シュガフ船の近くをスイングバイしたが、この時に大シュガフ船を詳細に観測し、予測より高密度であり本体数が当初予測の5倍から10倍になる可能性が判明した。
- カビザシ
- カビを穂先に使用した槍形の武器。
- 長さは衛人の1.5倍程度。カビは通常のいかなる物質にも定着せず加工もできないが、ガウナのエナにのみは親和して定着するため、カビと柄をエナで繋ぎ合わせた構造となっている。
- 基本的には各班のリーダー機が装備し(「槍手」と呼ばれる)、他の機体がヘイグス粒子砲等でエナを引き剥がし、露出した本体をカビザシで仕留めるという戦法が取られる。シドニアには第1話時点で28本が現存するのみであり、出撃する衛人に対して限られた本数しか使用許可が下りない。装備した衛人が撃破された際には可能な限り回収され、その場での回収が困難な場合でも別途回収作戦が行われるなど重要度は非常に高かったが、後述のGCPDSなど人工カビを用いた各種兵器が実戦投入されて以降は使用されなくなっている。
- なお、第1話の仮象訓練装置内の継衛は人工カビ実用化を想定した全体がカビで構成された刀(後の人工カビ刀)を装備してガウナを撃破していたが、アニメ版ではカビザシに変更されている。
- 衛人前腕部
- 一見するとシールド付きのシンプルな形状だが、接近戦用のカッターや高速速射砲、誘導飛翔体など多数の武装を収めたウェポンプラットホームとなっており、機体全体をカバーできる大型シールド(対ヘイグスコーティング済み)や弾体加速装置、後日開発された人工カビ製兵器や強制射出装置を装備するハードポイントともなっている。
- パイロットの操作で肘部分から脱着できるため、戦闘で前腕部を失った衛人へ提供することが可能。
- ヘイグス粒子砲
- ヘイグス粒子を用いたエネルギー砲。衛人の頭部や戦闘艦に搭載されている。エナを引き剥がすことはできるものの、ガウナ本体を破壊することはできない。ガウナ本体を破壊するには「カビザシ」を使う必要がある。 アニメ版では衛人側が青色、ガウナ側は赤色で描写される。
- 重質量砲
- 大質量の実体弾を射出する兵器。シドニアや防巡の主砲。シドニアの砲は船体側面の各所に埋め込む形で格納されており、使用時に展開されて目標に向けられる。円筒形の弾体は衛人より大きいが、ガウナを直撃しても遠方に弾き飛ばすだけで、倒すことはできない。GCPDS登場後はその威力を遺憾なく発揮し、小シュガフ船クラスのガウナすら数発で破壊できるようになった。
- 大重質量砲
- 重質量砲の上位に当たる兵器で、シドニアの船体中心を貫く全長28kmの弾体加速装置により実体弾を射出する。船体を後退させるほどの強い反動があり、安易には使えない。
- 誘導飛翔体
- 本作におけるミサイルの呼称。衛人の腕に搭載できる小型のものから、船舶装備型、惑星破壊用の大型の物まであるが、他の兵器同様単体でガウナを撃破することは出来ない。
- 対惑星ミサイル
- アニメ版では「対惑星誘導飛翔体」と呼称。
- シドニアに接近する小惑星の破壊等に使用される誘導兵器で、惑星を破壊するその威力から別名「プラネットバスター」と呼ばれる。動きの大きい目標への命中率は低い。
- 対ガウナ誘導飛翔体
- 鶴音型戦術防巡艦より採用された新兵器。マルチロックオンに対応しており、16目標への同時攻撃が可能。人工カビを弾頭に持ち誘導飛翔体の中で唯一ガウナを直接破壊できる。GDCPDS対策をしたガウナですら撃墜できるが、多数のガウナに襲われると打ち漏らしたガウナによって船体に損害が出てしまうなど、他の究極兵器から比べると若干見劣りする。
- 収納型人工カビザシ
- 腕内に収納されている人工カビを用いた小型のカビザシ。
- GCPDS(ガウナ本体貫通弾)
- 質量弾と人工カビを組み合わせた複合弾。弾体加速装置や質量砲から射出され、着弾の物理エネルギーでガウナのエナを吹き飛ばした後、人工カビが本体に穴を開けてガウナを倒す。これの登場により、ガウナを遠距離から倒すことが可能になった。
- 登場当初、圧倒的火力の前にガウナは全く対抗できなかった。その後、多重装甲や硬く分厚いエナ、逃弾経路を持つ傘を使うなど、GCPDSに対抗する方法を幾つも編み出してきて対抗してきている。
- 弾体加速装置
- 衛人の右前腕に接続される質量砲で、砲身長は衛人の全高に匹敵する。GCPDSの登場により、対ガウナ戦の主力武器となっている。装備時は腕部下部を占有し誘導飛翔体等が使えないため、オプションで2連装誘導飛翔体コンテナが用意されている。作者の過去作品『BIOMEGA』に同名の兵器が登場している。
- 超高速弾体加速装置
- 弾体加速装置に追加砲身を取り付けたもので、衛人の4倍以上の長さを持つ。GCPDS初使用はこの状態で行われた。強い反動があり推進機関と同調させておかないと衛人の姿勢制御のバランスを崩してしまう。また、重力圏下では使用できず、延長砲身をパージしなければならない。
- 大型弾体加速装置
- 衛人の運用できる最強の物理兵器。小惑星を破壊できる威力で、超高速弾体加速装置以上に長い砲身と分厚い砲身を持つ(弾丸も隼風の芯に匹敵するサイズ)。サイズ上複数の衛人で牽引して使用場所まで運ぶ必要があり、高コスト実験機とつむぎにより運用されるが、直径3kmの分厚く硬いエナを打ち抜く事は出来なかった。
- 胸部滑腔砲
- 谷風の要望により実験機より装備され始めた装備。左右の脇部分に1基づつ搭載しており、ガウナに組み付かれた状態からでも、引き剥がす事が出来る。
- 高速連射砲
- 継衛シリーズに搭載されている、実体弾を高速で連射する実在の兵器。ヘイグス粒子砲同様にカビを本体から引き剥がすのに使えるだけでなく、実体弾と人工カビ弾を交互連装した弾装を使うと、多重殻防備のガウナを倒す事も可能。アニメ第一期では継衛の主装備でもある。
- 人工カビ刀
- 人工カビを刃とした格闘兵装。高コスト実験機装備のものはエナごと本体を破壊できるが、まだ試験装備であり、使うごとに切れ味が急激に低下する。後に改良型が開発され、継衛改ニの全身に装備されている。
- 重力子放射線射出装置
- 落合が数百年にわたって研究していた兵器。融合個体のエナを使って完成されたが、内部の仕組みなどは不明。その威力は凄まじく、ガウナを消滅させたうえに惑星「ナイン」の衛星を半壊させた。カビ以外で唯一ガウナを倒すことができた兵器でもある。
- 後にエナ製射出装置のデータを元に、東亜重工が機械式で2基製造。大シュガフ船攻撃の第1・2艦隊に配備される。この射出装置はエナ製に比べて巨大で、一発撃つのにシドニアの全出力100隻分(充電に10時間)を必要とする。シドニア単独のエネルギーでは限定的な威力・射程での運用しか出来ず、後述の半自律式転換機構との組み合わせでエネルギーは確保できるものの、その大きさからほとんど動かない戦略目標にしか使えない。
- 理論は新型推進機関として用いることができ月航に搭載されているほか、落合(融合個体二号)は、破損した射出装置の残骸から推進システムを構築している。
- 存在自体は一般にも知られており、纈の行きつけの模型店に完成予想図から起こしたフルスクラッチのモデルが、衛人に装備された状態で展示されていた。名称は作者の複数の作品に登場する究極兵器で、一種のスター・システム的なガジェット。
- 超構造体(ちょうこうぞうたい・メガストラクチャー)
- 落合の研究から生まれた新素材。非常に軽くて頑丈で、衛星軌道から惑星に落下しても壊れないため、ガウナでもこれで構成された機体を押しつぶすことは容易に出来ない。理論上は恒星の内部でも溶けない。陶器のような質感がある。高コスト試験機で採用され、19式・18式衛人のコックピット殻も超構造体で改修されている。高純度の材質は、重力子放射線射出装置でなければ貫通できない。成型後の穴開けや切断などの再加工も困難でハードポイントは製造時点で予め穴や溝を造っておく必要がある。作者のスター・システム的なガジェット。
- 半自律式転換機構
- 機械式重力子放射線射出装置とセット運用される自律的な軌道修正が可能な人工惑星。恒星レムの軌道上で放射されたエネルギーをシドニアが使用可能な状態に変換、レム付近から惑星セブンの目標を射出装置で狙撃・破壊するだけの莫大なエネルギーを貯蔵する機能がある。防巡による演習を兼ねた複数回の投入作戦により、大シュガフ船への攻撃開始までに8基がレムの軌道に投入されている。
- 当初の設計では軌道上の転換機構からケーブルでエネルギーを引き出す予定であったが、最初の投入作戦にて制御装置の欠陥で、ケーブルは高コスト実験機を巻き添えにしてレムに落下、あやうく転換機構自体を失いかねない大事故を起した事から、以降は転換機構自体を回収して運用することになった。
歴史・文化
- 本編前の歴史
-
- 2109年 - 太陽系外にて地球外生命体(ガウナ)とのファーストコンタクトが行われる。
- 2371年 - 衆合船が地球に接近して46体のガウナが降下し、ほぼ同時期に人類がヘイグス粒子の運用を実用化する。
- 時期不明 - ガウナにより地球は破壊され、播種船が太陽系からの脱出を開始する。
- 2384年8月2日 - シドニアが出航する。[注 13]
- 2513年11月6日 - 2691年2月26日 - シドニアから最も近い距離の播種船アポシムズが最終交信を行う。内容は「さよならシドニア」。
- 2700年頃(シドニア出航紀元500年頃)
- 知的生命体に建造されたと思われる謎の建造物を発見し、その調査中に遭遇したガウナを建造物内で発見した謎の物質(カビ)により撃破する。
- 斎藤ヒロキ、小林、ヒ山、落合の4人は「不死の船員会」設立時の構成員となる。
- 時期不明 - ガ273のエナの一部を回収する。
- 時期不明 - 落合が回収された人型エナを解剖中、人間の子宮に酷似した器官を発見する。
- 3300年頃
- 第四次ガウナ防衛戦。ヒロキにより融合個体とガウナは撃破されるも、シドニア船員は不死の船員会24名(落合を含めた場合25名)、一般船員392名まで減る。
- 落合がメインコンピュータの中央記録を補助脳に移し、元のデータの大半を破棄する。事件後、ヒロキにより逮捕される。
- ガウナの侵入時に食糧プラントを失ったために食糧危機に陥るが、科戸瀬ユレが遺伝子操作により光合成能力を得る方法を提案し、実行される。また、落合を使って補助脳からデータを安全に抽出する技術を確立する。そのため、ユレは能力を評価されて不死の船員会の構成員となる。
- ヒロキがシドニア中央の意向に反感を持って逃亡し、隠匿生活に入る。
- 時期不明 - 主力衛人は岐神開発の一八式へ、東亜重工は下請けへそれぞれ移行する。
- 3380年
- ヒロキが発見されるが、不老薬を摂取していなかったために老衰していた。そのため、小林により初めから不死の機能を組み込んだヒロキの換装用クローン(谷風長道)が造られる。
- ヒロキが幼い長道を連れて再度逃走し、ヒ山はヒロキの逃亡を幇助したことで不死の船員会から解任される。
- 3391年 - ヒロキが死亡する。
- 3394年(シドニア出航紀元1009年) - 食料を探しに地上へ出てきた長道が発見される(第1話)。
- 第四次奇居子防衛戦
- 第1話の100年前に発生したガウナとの大規模戦闘。
- 戦闘末期に落合が起動した融合個体が暴走してカビザシを投棄してしまったため、シドニア居住区内へガウナ2体が侵入、カビザシを回収して戻った斎藤ヒロキの活躍により全滅は免れたが、417名の生存者を残し人口の99%が失われる大惨事となった。
- この危機から早期に立ち直るため、科戸瀬ユレの提案で少ない食料でも生きられる光合成能力を付加する遺伝子改造が実施された。また、これ以降はガウナとの遭遇を回避することに徹していたため、第1話時点では最後の直接戦闘でもある。
- 原作では回想としてのみ語られているが、アニメ第1巻にBD特典として書き下ろし漫画『シドニアの騎士 前日譚 第四次奇居子防衛戦』が収録されている。
- シドニアの騎士 前日譚 第四次奇居子防衛戦
- 回想とは若干シナリオが異なるが、落合(融合個体二号)出現時にはこちらのシナリオに沿う様、本作の設定が変わっている。
- 100年前、シドニアはシュガフ船の接近を受け、落合(オリジナル)はカビの投棄を小林に提案する。しかし小林は、シドニアがカビを持たない時代でもガウナの襲撃を受けたとして拒否、ガウナとの決戦を決意する。落合(オリジナル)は小林の命令により、ガウナ学に関する研究をとりあげられる。しかし、落合(オリジナル)の謀略によりシドニアの各所で爆発が発生。同時にカビザシ全てがシドニアから投棄され漂流する。落合(オリジナル)は融合個体に搭乗し、シドニアを降りる事を小林に宣言し、融合個体によってシドニアを攻撃する。斎藤ヒロキ率いる斎藤班は融合個体を目撃するも、ヒ山ララァの願いによりカビザシの回収に向かう。ヒ山は落合(オリジナル)を説得を試みる。その時シュガフ船はシドニアに向かってガウナを射出。この時、落合(オリジナル)が乗る融合個体が暴走、ヒ山班に取り押さえられる。ガウナ襲撃に備え、居住塔中心部への一般船員が避難する中、一体目のガウナがシドニア内部に侵入。居住塔中心部への攻撃を開始する。そして二体目のガウナが侵入し、斎藤がカビザシを持ってシドニアに戻ってきた時には居住区に明かりは無かった。小林も避難しようとしていたが、二体目のガウナと遭遇。その危機を一体目のガウナを倒してきた斎藤によって救われる。そして、以後本編で語られる混乱の時代を経て、斎藤を失った小林は谷風長道との出会いを、英雄との再会として失われていた喜びを取り戻す。
- 第九惑星戦役
- 大シュガフ船がレム恒星系の惑星セブンへ侵攻、移民者を全滅させたことに端を発する一連の戦い。アニメ版第二期のサブタイトルにもなっている。
- 戦いは避けられないと判断したシドニアは大シュガフ船を破壊し、ガウナを殲滅するための補給と拠点獲得のため、同じ星系内の惑星ナインを確保する事を最初の目的とした。ガウナ側もこれを予測し紅天蛾を初めとした多数のガウナを配していたが、融合個体と新たに投入された高コスト実験機の活躍により、ナインはシドニアの拠点となる。居住にこそ適さないものの、環を構成する多数の岩塊が天然の防壁と物資の供給源となり、以後ガウナとの攻防を繰り返しつつ、着々と決戦の準備を進めていく事になる。
- 大シュガフ船本体破壊作戦
- 大シュガフ船撃破のために立案された作戦、小林曰く大シュガフ船総攻撃作戦。本来はシドニア(惑星ナイン)と大シュガフ船(惑星セブン)が恒星レムを中心に真反対になる最も距離の離れた時期に戦力を整えてから攻撃する予定であったが、大シュガフ船の本体数が増加している事実と落合(融合個体二号)の出現により、急遽発動された。
- 鶴音型戦術防巡艦3艦隊27隻(第1攻撃艦隊、第2攻撃艦隊、観測艦隊に各9隻づつ)、完成している全十九式衛人、融合個体と2つの重力子放射線射出装置で構成されるシドニアのほぼ全戦力を投入。作戦の前段階として8つの半自律転換機構をレムの公転軌道に投入、エネルギーを蓄積させる。作戦第一段階にて観測艦隊が惑星シックスに向かい、残る2つの攻撃艦隊が最低1つの転換機構をレムで回収する。作戦第二段階では、観測艦隊に所属するイザナの高度な探索能力によって大シュガフ船の主本体を走査し、攻撃艦隊がその情報を元に転換機構のエネルギーを使用した重力子放射線射出装置で、主本体への超長距離狙撃攻撃を行うという大規模作戦。
- 航路の半分を過ぎまでは順調であったが、第2攻撃艦隊が今までにない規模の小シュガフ船に攻撃を受け、壊滅・行方不明となる。小林は二零式による緊急支援を決定し、谷風を残存艦隊の救援に向かわせるべく東亜重工に二零式の完成を急がせ、若干未完成であったがロールアウトする。そんな中で修復を終えた落合(融合個体二号)が第1攻撃艦隊に向い、さらに第2攻撃艦隊を壊滅させた小シュガフ船の同型がシドニアと第1攻撃艦隊の両方に同時に多数出現。谷風は新型推進機関単輸送船・月航により第1艦隊へと向かう。第1艦隊は纈の機転により、重力子放射線射出装置を新型推進機関に改造してガウナ側戦力から脱出するも、その先で落合(融合個体二号)が待ち受けていた。落合の攻撃により、転換機構一つと8番艦が破壊される。シドニアは継衛改二に搭乗した岐神を筆頭とした岐神班ほか残存戦力全てを展開して防衛を開始する。第2艦隊はつむぎの身を挺した献身により一隻が脱出に成功、ガウナからの追撃も谷風によって小シュガフ船を一撃で破壊、安否が確認される。谷風は重態のつむぎをつれて第1艦隊の救援に向かった。
- シドニア人
- 第1話時点での一般的なシドニア人は、長道のような例外を除き、遺伝子改造により光合成が可能になっている。このために大量の食料を必要とせず、食事は週1回程度で十分となっている。また、男性でも女性でもない「中性」やクローン人間も存在しており、銭湯・光合成室・更衣室などには男女用以外に中性用が存在する。遺伝子改造に対する禁忌は見られないが、一部には偏見がある模様。機械による身体改造を行う者もいる。死亡後は有機転換炉と呼ばれる施設で身体が分解され、シドニア内で再利用される。地球を離れてから1千年以上が経過しているため、星の重力を知る者は少ない。
- 寿命は不明だが、シドニアの亜光速航行による相対論的効果の為か、最上位船員でなくても概ね一世紀以上活躍している人が度々作中に登場する(例えば不死の船員会創立前の斎藤ヒロキなど)。
- 衛人操縦士
- シドニア軍で衛人を操縦する戦闘要員。正規操縦士は、各種施設の優先利用権や大がかりな葬儀等の特権を与えられている。一方で生還率は半分以下、初陣では更に低いとされており、慢性的に人手が不足している。物語中盤以降はGCPDSの登場や一九式衛人の配備、長道の要請によるコックピットの新素材化などによって生存率も上がり、ベテランパイロットも増えているが、それでも一定数の死者が出ている。そのほか、操縦士は幹線移動機関のそばに住まなければならない。このため、長道も基地直通エレベータが設置されている近くの物件を選んでいる。
- 光合成
- 現行のシドニア人が遺伝子改造によって得た能力。小型のライトでも可能である。現実世界における葉緑体を用いた光合成とは異なるようで、シドニア人の肌は緑色ではない。基本的に裸で行うため、相手を光合成に誘うことは食事に誘う以上の意味を持っている。
- 重力
- シドニアでは星の重力を知らないことに由来する憧れや安定の象徴として、いろんな行事や物の接頭語として使われている。
- 重力祭り
- シドニアで開かれる大規模なお祭り。当日は街路にヘイグス灯篭が灯される中灯屋台が並び、人々は着飾って遊ぶ。
- ほぼ百年ぶりとなるガウナの襲来に改めて戦時下を認識したシドニアの人々は、谷風が地上に現れて行われた祭りを最期に祭りを自粛してしまった。
- 第四次奇居子防衛戦直後の祭は、シドニア艦橋で僅かな生存者が焚き火を囲む粛々とした物であった。
- 重力杯
- 重力祭り最終日に行われる衛人による模擬戦闘。カビザシを模した槍で武装し、相手から一本を先取した方が勝ち。一対一の個人戦と班同士の集団戦がある。
- 重力麺
- 自動販売機で売られている即席カップ麺。キャッチコピーは「伸ばして一秒」であり、蛇腹状に折りたたまれたカップを上下に引っ張るとすぐ食べられる。その手軽さから長道もよく食べている。
- 重力水
- 単なる精製純水であるが、東亜重工は重力の名を冠して重力精製水とラベルに印刷している。播種船シドニアにおいて水は再利用されるものの、定期的に船殻や船体が貫いている小惑星(天然資源採掘坑)や宇宙を浮遊している小惑星から集めている。
- 重力館
- 温泉旅館らしい。小林が女将に扮していた。
- 重力さつまあげ 重力こんにゃく 重力はんぺん 重力ちくわ 重力たまご 重力だいこん
- アニメ版の居酒屋で追加されたメニュー。他にも「シドニアビール」や「ガウナ風ロールキャベツ」等があった。
- 重力鶏
- ドラマCDにて、ヒ山が鍋かから揚げにしようと買った鳥。かわいらしい鳴き声からするとニワトリと思われる。
- 第1回水城乗員人気投票
- 水城内で行われた船員の人気投票。女子更衣室覗き見事件の再調査に焦った弦打が、なんとかうやむやにするために始めた。
- 海苔
- 培養した海苔は食用に供されているが、天然海苔は生産設備を第四次奇居子防衛戦で失ったことから、現在のシドニアでは生産されておらず大変な貴重品とされる。
- 浜形が谷風によって救援された際に、浜形の祖母は谷風へ缶入りの天然海苔をお礼として贈った。
- ウチク茸
- シドニアに生える新種のキノコ。図鑑を見てつむぎが気に入るが、食べられるかは別問題であった。元ネタはアニメOP「シドニア (曲)」の歌詞。
組織
- 東亜重工
- 有力な開発・生産企業で、衛人を始めとする各種兵器、操縦服などの装備類、船内の設備・備品や日用品に至るまで様々な研究開発と生産を担っている。一八式衛人の生産を岐神開発に奪われたため規模を縮小していたが、一九式衛人の開発で復活する。名称は作者の複数の作品に登場する企業名で、一種のスター・システム的なガジェット。
- 東亜重工の本体は、人工知能が格納されている(主に)円柱状の装置であるが、本作では円柱状の装置のみ登場し、東亜重工の人工知能は登場していない。その代わり、東亜重工のロゴをあしらった作業用ヘルメットを装着した社員が主に務めている。
- 岐神開発
- 有力な兵器開発企業で一八式衛人の生産を行ってきたが、後継機は東亜重工が開発した一九式衛人とされたため、その下請けに回ることになる。後に岐神海苔夫を乗っ取った落合の下で、融合個体を作り出す拠点となる。
- 不死の船員会
- シドニアの意思決定権を握る最上位船員の集まり。
- ブリッジの上に専用室がありメンバーはそこに集合し、設置された機械に入っている。「各人の持つ知識と経験は個人のものではなくシドニアのもの」という誓いを立てており、勝手に死ぬことは許されない。そのため老化を抑止する薬を使用して不老を保つのを許され、換装用のクローンも用意されている。ただし脳組織を破壊されれば死ぬので、完全な意味での不死ではない。また、斎藤やヒ山のように権限を剥奪された者も存在する。不死の船員会の存在は限られた人間にしか知らされておらず、一般では噂が流れる程度で都市伝説化している。最上位船員は一般船員の前では仮面を着けており、その身分が明らかになる形で素顔を晒すことはない。
- 落合(岐神)によって補助脳の全記憶がシドニアの元に戻った後、小林の弾劾を決めた船員会メンバーは、小林の指示のもと、落合クローンによって全員射殺された。シドニアの総意思決定は小林が執ることになる。小惑星攻撃時には脱出船を用意していたこと、谷風に猜疑心を抱いていたことなどが、小林が行動を起こした原因と考えられる。
- 後に小林は新しい最上位船員会を編成。科戸瀬ユレ、佐々木、谷風、他数名をメンバーとする。新しい船員会はシドニアの知識を維持するのではなく、これからの大シュガフ船との戦闘、総攻撃艦隊の指揮、逃走した落合(融合個体二号)の動向など、シドニアの将来をテーマとする新しい組織に生まれ変わった。
- 非武装主義者
- ガウナは「カビザシ」に引き寄せられてやって来る「カビザシ=ガウナ連動論」を唱え、シドニアが「カビザシ」を放棄してこちらから攻撃しなければ、ガウナも襲ってこないと考える集団。また、長道が現れてからガウナの出現が頻発したため、長道がガウナを呼び寄せていると考える勢力もいる。一部がガウナとの戦争を続けるシドニアから降り、非武装で「レム恒星系」へ植民しようとするが壊滅。ガウナがヘイグス粒子に反応することが確認されてからは、非ヘイグス船を建造してシドニアから出て行こうとするが、植民の原則を守っていた艦長にも呆れられ[注 14]、船内での立場も消失した。
施設・舞台
- 居住塔
- 居住区の大空間の中心を貫く巨大な塔状の建造物。内部の住居や施設は、それぞれが入り組んだ通路や階段で結ばれた立体的な構造をしており、外周壁との間には空中回廊が渡されている。居住区内は「ヘイグス灯」で照らされ、季節も再現されている。現在はヘイグス粒子を温存するために冬モードになっており、熱利用の効率化を図るためにも可能な限り集まって暮らすことが推奨されている。居住区の下層部は廃棄物などが投棄される区画であるために行き来は可能だが、居住区よりも複雑に入り組んでいるため、逃げ込んだ斎藤ヒロキは発見されなかった。
- 外周壁
- シドニアの外壁の最も内側の土地で、居住塔とは向かい合った形となる。シドニアでは高級物件であり、ある程度上級の船員でないと居住許可が下りない。長道は無制限居住許可書を所持しており、つむぎ本体の部屋に近く、訪れるのに都合の良い旧配管の多い家物件を借りている。
- ラピュタ
- 居住区の大空間に浮遊する岩塊。ウミガメのような海棲生物の生息する小規模な海岸や、滝、桟橋に付随したボートハウス、中世ヨーロッパの古城を模した宿泊施設等が点在するリゾートエリア。正規操縦士等でない者が入るには、その招待が必要である。
- ヘイグス誘導海中浮遊槽
- シドニア内部の4分の1を占める海水層内を、透明なカプセルに入って漂う娯楽施設。海水層には大型のイカやクラゲ等の海棲生物が生息している[注 15]。正規操縦士1名につき、同伴者1名が利用を許される。
- 千秋郷
- かつてシドニアが地球を周回した際、初代艦長が造らせたという景勝地。サクラの名所。巨大な展望ドーム内の無重力対応風呂もある。かなり上位の船員しか入れないらしい。
- 外生研(がいせいけん)
- 正式名称は「外宇宙生命体研究所」。ガウナの研究を行っており、回収した胞衣(エナ)を収容する施設がある。有事の際には切り離せるようシドニア外殻上の船外にあり、船内とは直接繋がっていない。長道が回収した、ガウナがエナで再現したエナ星白もここへ運ばれた。
- MSCF(最厳重警備隔離施設)
- 最上位船員でなければ近づくことも許されない施設。過去に落合が生み出した融合個体が保管されていた。ユレの管轄下にあるらしい。
- 地底湖
- 居住区最下部にある湖。人工降雨装置や人工降雪装置がもたらした水がたまっている。小林が女将に扮した重力館から見える名所。
- 謎の建造物
- 物語開始の6世紀前にシドニア付近を漂流していた構造物。表面には多数の穴が開いている。斎藤や小林らが内部を探査中にカビを発見すると同時に、人類初となるガウナの撃破に成功した。
- 地球
- 1000年以上前に崩壊しているため、現行のシドニア人は歴史上でしか知らない。
- レム恒星系
- シドニアが植民のために向かっていた恒星系。恒星レムを中心とし、物語開始時点で9個までの惑星が確認されている。
- 惑星「シックス」
- レム恒星系6番目の惑星。 大シュガフ船攻撃における主本体走査を行うため観測艦隊が向かっている。
- 惑星「セブン」
- レム恒星系7番目の惑星。 豊かな水を持つ惑星で、衛星も持っている。シドニアからの非武装主義の植民者がテラフォーミングのために衛星へ前哨基地を設けたが、大シュガフ船に衛星ごと破壊された。以後、大シュガフ船はこの惑星の軌道上に留まっている。
- 惑星「エイト」
- レム恒星系8番目の惑星。 重力子放射線射出装置により、エナとエネルギーを失った落合(融合個体二号)がここで体を修復している。
- 惑星「ナイン」
- レム恒星系9番目の惑星。ガス大気の惑星で、惑星大気内には多数の浮遊大陸が存在し、環といくつかの衛星を持っている。大シュガフ船との対決を決めたシドニアがガウナとの戦闘の末に掌握し、環からの資源調達や訓練などを行っている。衛星の1つは、重力子放射線射出装置により破壊されてしまった。
技術
- ヘイグス粒子
- 本作における重要なエネルギー源で、宇宙空間に無尽蔵に存在する。推進用の「ヘイグス機関」や固定武装の「ヘイグス粒子砲」、通信用の「ヘイグス通信」から、艦内の明るさの調整を行う「ヘイグス灯」など、幅広い分野に不可欠。ガウナにとってもエナの生成に必要であり、本体に蓄積されている他、宇宙空間にあるものを使ってエナを幾度も再生することが可能。長道と星白が漂流した際も、捕集膜を展開することでヘイグス粒子の捕獲が試みられた。干渉すると爆発する性質があるため、ガ487戦で長道はこの性質を利用し、一撃でエナを引き剥がした。後述のカビもそうだが、ガウナを誘因する性質がある。
- ヘイグス機関
- シドニアや衛人の主推進システム。
- ヘイグス粒子を噴射するロケットのように見えるが、実は在来型の反動推進ではなく、重力制御を利用した非反動推進システムである。システムが起動すると進行方向前方の空間に引力が発生して牽引される仕組みで、噴射炎の様な物は使い終わったヘイグス粒子を後方へ放出している状態である[要出典]。このため、融合個体や高コスト実験機のように粒子放出口の見当たらない物もある(放出はしているため、高機動時には機体の後方に使用されたヘイグス粒子が表れ、光の帯のようになる)。後記の掌位により、円状に配置された近接のシステム数が増えると、相互作用により増えた数だけ効率化して推力が増加していく性質がある。
- 衛人のヘイグス機関はパワージェネレータも兼ねており、非ヘイグス機関に換装した継衛は大幅なパワーダウンを起している。作中内でも改良が進んでいたが、後に落合のガウナ研究の成果により、格段に出力の向上した新型ヘイグス機関が登場。さらに重力子放射線射出装置の技術が公開された事で、その理論を応用した別次元の新型機関が開発される。
- 安全帯
- シドニア船員に必須の個人装備で、腰部ベルトとそれに命綱で結ばれたフックから構成される、現在の建築関係者が使用する実在のもの。私服やスーツを着ている場合でも常時装着が義務付けられており、シドニア船内の人工重力が停止する場合や急加速が行われる場合などには重力警報が発令されるため、船内各所にある安全手摺りに接続して身体を確保する。しかし、実際には安全帯の接続が間に合わなかったり構造物自体が崩壊するため、多数の死傷者が出る。安全手摺りの強度確認は操縦士の懲罰としても行われている。
- 補助脳
- 落合の発明品の一つで、落合の脳の補助記憶装置。落合がシドニアのライブラリの大半をこの補助脳に複製した後に本来のライブラリを消去してしまったため、落合の知識とシドニアが保存してきた全記録がこの中に封じ込められることになった。単体では機能せず、情報を引き出すには落合本人の脳を経由する必要がある。外部に漏れないよう、岐神家が代々管理している。
- 物語当初は落合(クローン)を鍵として小出しに情報を引き出していたが、落合(岐神)により全記憶が回収され、その中でも重要機密である落合の研究は小林艦長の管理下におかれる。これ以降、技術喪失により不可能になっていたシドニアのインフラの復旧が進み、融合個体開発が著しく進捗、超構造体や新型ヘイグス機関の開発、人工カビの大量生産、さらには理論上の存在だった重力子放射線射出装置の製造など技術レベルが一気に向上した。鍵であった落合(クローン)は小林の私的秘書に専念することになったが、補助脳に格納された落合(補助脳)の人格がどうなったかは不明である。
- シドニア血線虫
- 落合の発明品の一つで、寄生させた人間を乗っ取る事が出来る線虫状の寄生虫。サイズに似合わず人間の人格やAIを丸まる収める事が可能で、眼窩付近に寄生し、そこから宿主の脳を支配する。宿主が死亡した場合自壊するよう設定されているのか、遺体からは発見されない。時には宿主の頭部を爆破する事も出来るようである。これを使用して知らぬ間にヌミを初めとした多くの人間が乗っ取られ、落合の手駒となっていた。人格型は元の人格を上書きしてしまい、AI型は命令を実行する以外の判断力や知能が低下しており、ユレ等の優秀な人材や重要職にある人間をそのまま乗っ取る事はできない。
- 落合が思念伝達・NBCS(新脳集波制御装置)と呼んでいた技術の実態はシドニア血線虫による物だと誰にも言うのものでもなく告白している。シドニア血線虫が意識を乗っ取る能力を拡大させた物が、融合個体の思念伝達による操縦であり、落合以外がこの技術を使う事が出来なかった事も説明できる。これによりかなたの予備本体を奪い、重傷を負った岐神から融合個体二号へ人格を転送した。
- 機械人形
- 落合の発明品の一つで、封印された落合の研究室にいたロボット。テルルに比べるとより機械的外見と動作で、研究室に侵入した岐神を乗っ取って落合の新たな体とし、海蘊を殺害。以降はシドニアのダクト内を徘徊して暗躍していた。このロボットと海蘊の表情から、ロボットを操作している人工知能が「トクシーヌ」と呼ばれる人格であると見られる。
- スキンスーツ(操縦士服)
- 衛人操縦士が着用する、身体に密着するタイプの宇宙服。負傷時の鎮痛機能や蘇生機能の他、生体尿管カテーテルで採取した尿から水分を濾過する機能、いざというときの自爆機能などを備えている。靴底は床に吸着して歩ける仕様になっている。貴重な素材を使っているために滅多なことでは新調せず、修繕を重ねて代々受け継がれているために外装には多数の傷が付いているが、生体尿管カテーテルなどの生体パーツは交換される。内部は人工菌を繁殖させているため、大変臭い。
- 訓練生の場合はほぼ白一色で、左上腕部に名前のみ記載されている。ヘルメットは正規操縦士とは異なる球状のもので、各人のデザインの差はない。
- 正規操縦士の場合も白一色なのは共通だが、左上腕部と左胸に名前とナンバー(機体番号と共通)が記載され、ヘルメットの額部分にも同じナンバーが入っている。各人によって細かなデザインの違いがある。
- 十九式配備後にその操縦士のスキンスーツは改良が行われ、機外での戦闘も考慮した作りとなり、お守りとして人工カビの端材で作った刀が装備されている。
- カビ(「穎」)
- ガウナ本体の中枢系組織が拒絶反応を起こす物質。これで本体に穴を開けることにより、ガウナを倒すことができる。これが発見されるまで、人類にはガウナを倒す手段がなかった。謎の建造物から見つかった物質であるために数が限られており、人工カビが生産されるまでは非常に貴重なものだった。特殊な放射線を出し、ガウナを誘因する性質がある。
- 人工カビ
- 融合個体を利用して人工的に生産されたカビ。落合によるガウナ研究の成果である。色は赤色。ガウナ本体貫通弾、人工カビ刀など、衛人の装備に使用される。非常に貴重だったカビを使い捨てにすることを可能にし、対ガウナ戦を一変させた。脆いという弱点があり、接近戦武器への使用には欠点があったが、後に重量がかさむものの脆さを改善した黒色の新型人工カビが登場した。
- 仮象訓練装置
- 衛人の訓練用操縦シミュレータ。単なる操縦だけでなくシナリオに沿ったモードが用意されており、第一話での「第二開拓局防衛」以外にも「居住区内戦闘」があるという。また、その訓練成績を数値化してランキングする機能も備えている。一八式用は大型計算機を思わせる大きな箱形だが、長道が地下で使用していた一七式用は潜水艇の耐圧殻のような球形をしている。これは一九式の開発計画が始まった頃に作られたものらしく、一九式用の完成品とよく似た形状で、後々開発が予定されていた人工カビ製の武器や超高速弾体加速装置といった当時未実装の装備の訓練も登録されていた。
- 掌位(しょうい)
- 移動時に複数の衛人が腕を交差して手を握り合い、一体化すること。これにより加速力を高めることができる。掌位を組む衛人の機数Xによって「X騎掌位」と呼称される。基本的には班ごとに組むが、機数が増えるほど加速性能が高まるらしく、近くの機体が集まって組んだり、出撃した全機が巨大な輪になって組むこともある。256機掌位は、シドニアの帰艦限界線を越えて行動ができるなど、シドニアの航行能力を超える。生身で触れたことのない相手と掌位を組むと事故が起きるというジンクスがあり、事前に握手しておくのが慣例となっている。また、和解の印として組むこともある。
- 人工知能
- 落合の助手を務める「トクシーヌ」と呼ばれる者や、市ヶ谷テルルなどほぼ人間の知能を模倣した人工知能がいる。東亜重工の人工知能は不在ではあるが、それと同等の知能は存在している。人間に劣るものの、シドニア血線虫で使われる落合の手駒、自ら公転軌道を維持する半自律式転換機構、仮象訓練装置のシナリオに登場する人物など、シドニアで人工知能は普遍的な技術である。岐神海蘊を乗っ取っているトクシーヌをしらべる為に科戸瀬ユレが海蘊の肉体を再生している。
- 重力慣性制御
- シドニアや衛人に搭載される、機体の航行・運動や、それによって生ずる慣性を制御する技術。シドニア居住区の重力維持や、弾体加速装置の直接加速方式による弾丸の発射など、様々な応用ができる。物理攻撃を無力化する事も可能である。接近する物体の慣性を奪えば衝突しない。シドニアの航行速度はほぼ光速に近く、宇宙空間を漂う微粒子の影響は無視できない。シドニアではこの問題に対処する装置を防御装置と呼んでいた。この技術は作者にとどまらず、多くのSFに登場するスターシステム的ガジェット。月刊アフタヌーン連載の漫画では園田健一の砲神エグザクソンに同名の技術が登場し、使われ方も全く同じである。
- 携帯端末
- 訓練生や操縦士、指令補である纈などクルーが装備しているウェアラブル端末。通常の携帯電話とは別に、船内で作戦召集などの情報伝達から、船員同士の情報交換などにも使われている。纈は指令補という立場から、ガウナの位置が気になる為、シドニア艦橋のレーダーを表示できる特注の端末を持っている。空中に情報を表示できる機能があるだけでなく、手書きでそこに情報を書き加える事が出来るようである。装着者本人以外が表示を見る事も出来る事から、かなり高度な技術で作られている模様。船員の階級が上がると自動的にアップグレードされ、アクセス可能な情報が増える。イザナはそれを機会に、つむぎがエナ星白から生まれた事を知る。
- 対ガウナ戦
- ガウナ1体に対し、アシスト役がヘイグス粒子砲で本隊を露出させ、カビザシを持った「槍手」がとどめを刺す。ガウナとの接近戦は危険度が格段に高いため、「槍手」に高い技量が求められる。星白の記憶により戦術を把握し、衛人に類似した動きをする紅天蛾には効果がない。
- 班
- 衛人の戦闘時における最小戦術単位。カビザシを使った戦闘では集団戦が基本となるため、出撃後すぐに班単位で集合・行動する。カビザシを装備した「槍手」がリーダーとなる。また、「赤井班」「サマリ班」など、槍手となる操縦士の名前で呼称される。
- 対衛人戦術
- ガウナではなく衛人同士の戦闘で効果の高い戦術。重力杯では重要な技術である。重力杯を制した赤井班が全滅するなど実戦では役に立たなかったが、対ガウナ戦が通用しない紅天蛾に対しては人工カビ実用化まで有効な対策となった。
- 新対ガウナ戦術
- カビを使い捨てることが可能になってから、接近戦を中心にした旧戦術は最終手段となった。新しいガウナとの戦闘は、安全な距離からガウナを狙撃することが中心となっている。星白を経由してカビザシを中心にしたガウナ戦術が大シュガフ船に掌握されたため、接近戦は最新型衛人でも1体のガウナのみで手が一杯になってしまい、危険なことには変わりがない。
奇居子
- 奇居子(ガウナ)
- 共通紀元2109年に太陽系外宙域で人類が遭遇した外宇宙生命体。
- 名称は作者の複数の作品に登場する怪物で、一種のスター・システム的なガジェット。
- 人類がヘイグス粒子を扱い始めるのとほぼ同時期に現れ、2371年に太陽系へ侵入した衆合船(詳細は後述)は、46体のガウナを投下して地球を破壊するなど、人類に壊滅的打撃を与えた。人類が太陽系から脱出した後も、執拗に追撃を続けている。シドニアでは、「ガXXX」のようにガの後に発見順の番号を振った番号識別(物語最初に登場したガウナの場合は「ガ487」)が付けられ、場合によってはさらに個体名が付与される。
- 基本構造は丸い本体があり、それを外皮であり多様に変化させられる胞衣(エナ)が包み込んでいる。完全に撃破するには、エナを排除した上で露出した本体をカビで破壊しなければならないが、エナは急速に再生するため複数機で連携して攻撃する必要がある。動きは素早く、力も非常に強い(最新式の継衛改ニ以上)ため、接近戦は大変危険であり、組み付かれたり触手で掴まれた場合、僚機に救出してもらうか、砲撃でエナを吹き飛ばすしか衛人での脱出方法はない。
- ヘイグス粒子とカビを集中的かつ優先的に狙う性質があり、それらがない場合はガウナの探知範囲に入らなければ発見されない。シドニアでは長らくガウナの取る行動に意味はないとされており、戦略・戦術などもないとされていたが、紅天蛾の登場以降は罠や待ち伏せといった行動、シドニア側の弱点をついた攻撃が頻繁に見られるようになった。
- 大シュガフ船総攻撃作戦においては、シドニア軍各艦隊にシドニアより巨大な小シュガフ船36隻を送り込むという、過去前例のない大規模作戦を展開して反撃してきた。これは大シュガフ船が明らかにシドニアに敵対する意思を持っている左証であろう。
- 胞衣(エナ)
- ガウナ本体を覆う物質。
- 地球型生物同様に細胞質であることが触れられており、本体が宇宙空間から収集・蓄積しているヘイグス粒子を利用して、幾らでも短時間で大量に生成できる。また、机上の空論に過ぎないような機構すらも再現できる言わばなんでも作れる物質であり、ガウナはこれを利用して多様な形態をとる。頻繁に人体の形状を模倣しており、形状だけでなく捕食した人間の遺伝子情報やその搭乗機である衛人を再現することもある。ガウナ学によれば、ガウナがエナによって人間を完全再現した場合、元となった人間と寸分たがわぬ人格を持つだろうと予測されている(実際、エナ星白は谷風に興味を持ち、アウロスに捕食され再現された仄炒と一九式の操縦士は撃破直前までシドニアに帰ろうとしていた)。本体のガウナ殻を再現してエナとの多重装甲を作られると、人工カビでも手出しが困難(融合個体のみが破壊可能、後にGCPDSと通常弾による高速交互射撃でも可能となる)である。
- 通常、本体を破壊されるとエナは制御を失って泡状に分解する。しかし、本体破壊前に切り離されたエナは、エナ星白のようにそのままの形を保つ場合もあり、回収に成功した各種エナがシドニアに多数保存されている。基本的にエナの制御はガウナ本体によって行われるため、回収されたエナが単独で行動し、人間を襲った事例は少なくともシドニアにはない。[注 16]。
- この回収されたエナはシドニアの物質科学を支える重要戦略物資であり、どんな物質で構成されているのかすら判らなかったカビも、エナを基礎とした物質生成技術と融合個体を用いる事で、人工カビを作成する事に成功している。落合(岐神)の復活以降の超構造体・新型ヘイグス機関の製造にも関わっており、特に人間の女性を模した人型エナは、人間の人格を宿したガウナとのハイブリッド=融合個体を作るのに欠かせない貴重な存在である。
- 衆合船(シュガフせん)
- 無数のガウナの集合体で、ガウナの巣および母船として機能する。主本体と呼ばれる本体の密集している場所があり、そこを全て破壊されるとガウナが残っていても崩壊する。
- 大シュガフ船
- 長道が地上に出たのと同じ頃、シドニアから3光年先に発見された惑星に匹敵する大きさを持つ超巨大なシュガフ船。レム星系にて移住者を衛星ごと壊滅させ、惑星セブンの軌道上にとどまっている。後に本体の総数が増加していることが確認され、ガウナの本体生成機能を持つことが確認された。
- 小シュガフ船
- 小規模な衆合船の呼称。ただし、小さいといってもシドニアより大きい小シュガフ船もいる。
- オカリナ
- シドニアが自由浮遊ガス惑星を破壊した際、残留ガス塊から出現した小シュガフ船。当初は「小シュガフ船二一」と呼称されていたが、緑川纈が識別のために命名した。推定内包ガウナ数は5000体。主本体は1個。谷風が内部へ突入して主本体を破壊したことにより、撃破された。
- アウロス
- 水城が恒星レムに向かう途中、航路上に隠れていた連結型ガウナが変形した小シュガフ船。推定内包ガウナ数は500体から1000体、主本体は3体。オカリナに比べて規模の小さいシュガフ船で、水城の性能であれば余裕で撃破できる相手だが、予想外の反応をしてきたために戦死者を出し、戦闘中にはガウナとの衝突で船体に損害が出る。纈の操船により、重質量砲による艦砲射撃で撃破された。
- 連結型ガウナ
- 複数のガウナが結合したガウナ。本体数も多く巨大で中には小シュガフ船に変形するタイプもいる。主本体がないのでシュガフ船に比べて能動的な行動はしてこないが、撃破には個々の本体を破壊する必要がある。
- 紅天蛾(ベニスズメ)
- 星白閑の操縦していた衛人から再現された衛人型ガウナの中でも、極めて高い戦闘力を持つ個体。シドニアが自由浮遊ガス惑星を破壊した際に出現し、当初は「ガ490」と呼称されていた。
- 幾度となくシドニアの前に現れ、シドニア軍に甚大な損害を与える。登場する度に姿を変えるが、いずれも星白機の機体番号だった「702」の文字が入っている。内部には人語を発する、星白を再現したエナが存在する。捕食した星白の記憶から情報を引き出し、これまでのシドニア軍の対ガウナ戦における戦術を完全に把握している。
- 作者の読み切り作品に『戦翅甲蟲 天蛾(せんしかっちゅう すずめが)』[注 17]があり、類似したデザインの存在が登場する。当初の構想では次回作をこの作品に近いものにしようとも考えていたが、最終的には王道的な内容である本作に変更したという[8]。
書誌情報
単行本
弐瓶勉 『シドニアの騎士』 講談社〈アフタヌーンKC〉 既刊14巻(2015年2月時点)
- 2009年9月23日初版発行 ISBN 978-4-06-314597-7
- 2010年2月23日初版発行 ISBN 978-4-06-310633-6
- 2010年7月23日初版発行 ISBN 978-4-06-310680-0
- 2010年12月22日初版発行 ISBN 978-4-06-310716-6
- 2011年5月23日初版発行 ISBN 978-4-06-310753-1
- 2011年10月21日初版発行 ISBN 978-4-06-310783-8
- 2012年3月23日初版発行 ISBN 978-4-06-387812-7
- 2012年7月23日初版発行 ISBN 978-4-06-387833-2
- 2012年12月21日初版発行 ISBN 978-4-06-387853-0
- 2013年5月23日初版発行 ISBN 978-4-06-387886-8
- 2013年10月23日初版発行 ISBN 978-4-06-387928-5
- 2014年3月20日初版発行 ISBN 978-4-06-387965-0
- 2014年8月22日初版発行 ISBN 978-4-06-387991-9
- 『CD付き シドニアの騎士13 特装版』 2014年8月22日初版発行 ISBN 978-4-06-358707-4
- ドラマCD付き。キャストはTVアニメと同様。初回限定生産。
- 『CD付き シドニアの騎士13 特装版』 2014年8月22日初版発行 ISBN 978-4-06-358707-4
- 2015年2月23日初版発行 ISBN 978-4-06-388033-5
その他
『シドニアの騎士 前日譚 第四次奇居子防衛戦』 - アニメ版Blu-ray Disc 第1巻 初回生産限定版に同梱
シドニア百景
漫画版の扉ページで毎回描かれるシドニアの風景。劇中にも同名の書籍が登場する。
- 居住区1(谷風長道の初陣)
- 下層動力不安定地区(山野栄子の星空)
- 高速人荷用昇降軌道(岐神海苔夫の激高)
- 外周連絡橋16号住居側基礎周辺(赤井持国の栄光)
- 校舎裏(星白閑の捜索)
- 第三自動公園(谷風長道の帰艦)
- 艦長の部屋(星白閑の敬礼)
- 河川敷集合住宅と緑川纈(第二八代艦長の決断)
- 公衆浴場島田湯(田寛ヌミの週一食)
- 有機転換炉家庭用入口(科戸瀬イザナの溜息)
- 操縦士寮隠し通路(不死の船員会)
- 操縦士寮裏(斎藤ヒロキの暴走)
- 居住塔中心部付近(谷風長道の決断)
- 地下配管路(科学者落合の娘)
- 不明(改修中のどこか)(科戸瀬イザナが見た夢)
- 衛人用ゲート(岐神海苔夫の葛藤)
- 外生研内ガウナ標本槽(科学者落合の陰謀)
- 岐神開発付近路地(小惑星の接近)
- 操縦士寮旧非常階段(723の抱擁)
- ガウナが再現した町(第一小隊の奮闘)
- シドニア第三病院屋上(東亜重工の再始動)
- 居住塔最上階層外壁(エナ星白の受胎)
- 操縦士用外階段(科戸瀬ユレの逡巡)
- 旧研究施設(仄煉の決意)
- 外部階段(こ・2)(白羽衣つむぎの御目見え)
- 居住塔最上部(白羽衣つむぎの能力)
- ヘイグス灯点検口付近(オカリナ攻略戦 前編)
- 資源分離槽(オカリナ攻略戦 後編)
- 科戸瀬邸とその周辺(白羽衣つむぎの願望)
- 外周壁エレベーター前(白羽衣つむぎの思慕)
- 外周壁住居屋根(惑星ナインへの進入)
- 菓子屋階(弦打操縦士の憂鬱)
- 無人屋台階(緑川纈の決断)
- 試験機格納庫(かなたのはじまり 前編)
- 町工場階層(かなたのはじまり 後編)
- 新第七格納庫(臨界不測兵器の開発)
- 千秋郷(谷風長道の極秘任務)
- 空気管理局(遭難者の救出)
- 西1483-34-4共同管点検口(ヒ山ララァの奮闘)
- 第八船員ホール裏出入り口(大シュガフ船の存在)
- 仄姉妹の住居とその周辺(市ヶ谷テルルの転向)
- シドニア最古の転換炉管(不定形のガウナ)
- 魚類養殖場(仄炒の救出)
- 修繕予定管(水城の能力)
- 放風路(恒星レムの引力)
- 東亜重工社員寮(新操縦士の初陣 前編)
- 外周路連絡橋内部通路(新操縦士の初陣 後編)
- 不明(白羽衣つむぎの夢)
- ヘイグス流路接続端子(かなたの解体)
- 融合個体一号格納庫(小林艦長の未練)
- 最上層付近市場(攻撃艦隊の危機)
- 操縦士寮F棟(谷風長道の焦燥)
- 東亜重工動力流路(岐神海苔夫の復帰)
- 第三衛人格納庫外部階段(二零式の出撃)
- 副司令官室連絡通路(つむぎの我儘)
アニメ
- テレビアニメ 第1期
- 2014年4月から6月までMBS、TBS、CBC、BS-TBS『アニメイズム』B1にて放送された。全12話。第12話の放送において第2期の制作決定が発表された。
- 劇場版
- 『劇場版 シドニアの騎士』(げきじょうばん シドニアのきし)のタイトルで、2015年3月6日公開。2週間限定。一部劇場では4月3日まで延長。[9]。また劇場公開と同時に劇場先行発売版Blu-rayが2000部限定で販売。2015年3月25日、DVDおよびBDが一般発売された。
- BD特典アレンジアングル版のシーンと同じくBD特典ディレクターズカットで構成され、TV放送エピソードのいくつかを省略したダイジェスト版。[10]。
- テレビアニメ 第2期
- 『シドニアの騎士 第九惑星戦役』(シドニアのきし だいきゅうわくせいせんえき)のタイトルで[11]、2015年4月11日(BS-TBSのみ同年4月12日)よりTBS系列『アニメイズム』枠にて放送中。GYAO!、ニコニコ動画等で無料ネット配信も行われている。
製作
制作を担当するポリゴン・ピクチュアズの設立30周年記念作品であり、日本のテレビアニメへの本格的な初参入でもある。
ポリゴン・ピクチュアズが得意とする3DCGが利用されているが、「アニメ感を強く出すため」として背景など一部に手書きが併用されており[12]、厳密にはフル3Dアニメではない。監督の静野孔文は、本作を「2Dを活かしつつ3Dを中心に制作した作品」「デジタルアニメーション」と定義している[12]。
放送当日の納品などスケジュールの遅延が常態化している日本のアニメ業界であるが、本作品は放送の2か月前に納品が完了するなど、海外基準の制作速度が確保されている[13]。
- 3Dモデル
- 衛人のCGモデルのベースには、コトブキヤが模型化する際に作成した図面を利用している[8]が、表面の傷や汚れを単にモデリングするだけでなく、機体毎に傷のパターンを変えたり、部隊ごとに担当エリアが異なるという設定を追加している。また、一八式は部隊ごとに異なる配色にしたり、腕章のデザインを変えるなどの演出がなされている[14]。
- キャラクターデザインを担当する森山佑樹は当初、制作当時(2010年代)のアニメで主流となっているデザイン[15]を提示したが、監督は流行に乗ったデザインでは原作と違う作品になってしまうと判断し、最終的に原作のデザインに近いCGモデルと森山のデザインをモーフィングした「原作50%と今風50%」の案をベースに3Dモデルを作成した[16]。
- BD / DVDでは3Dの利点を活かし、放送版とは異なるアングルからの映像が特典として収録される。また、テレビアニメの制作に使用された3Dモデルのデータがダウンロード販売されている[17]。
- 音響
- BDではリニアPCMの2ch音声に加えてドルビーTrueHDによる5.1chサラウンド音声が収録されている[注 18]が、スターチャイルドから発売されているBDによるテレビアニメ作品では、本作が初めてである[注 19]。
- 原作との関係
- 原作では台詞や呼称に極力外来語を避けて日本語を使っている[5]が、アニメではさらに「対惑星ミサイル」を「対惑星誘導飛翔体」、「シミュレーター」を「仮象訓練装置」と言い換えたり、サブタイトルを漢字2文字に統一するなど、原作の方針をより踏襲している。
- 一部登場人物の名前や勢威の配置転換の理由など、アニメで初めて明かされた設定も多い。
- 海外展開
- 当初から制作費を回収するため海外配信が計画されており[18]、2014年7月からポリゴン・ピクチュアズと直接契約したネットフリックスにおいて、オンライン配信がスタートしている[19]。
- ポリゴン・ピクチュアズは2013年にインドネシアとシンガポールで開催された「ANIME FESTIVAL ASIA」において、谷風役の逢坂などが審査員となった声優のオーディションを開催した。そこで選ばれたシンガポール人のシャーメイン・タンは、第11話で管制官役として参加した[20]。
- 受賞歴
- 2014年11月、アジア最大級のCGの祭典「SIGGRAPH ASIA 2014 Computer Animation Festival」に入選した。また、特に優秀な作品が選ばれる「Electronic Theater」の上映作品に選定された[21]。
- その他、「第7回DEGジャパンアワード/ブルーレイ大賞 ベスト高画質賞」 受賞、「VFX-JAPANアワード2015 テレビ番組部門 」優秀賞、「東京アニメアワードフェスティバル2015 テレビ部門」 ノミネート等[22]。
スタッフ
- 原作 - 弐瓶勉(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
- 監督 - 静野孔文(第1期)→瀬下寛之(第2期)
- 副監督 - 瀬下寛之(第1期)→安藤裕章・吉平直弘(第2期)
- シリーズ構成 - 村井さだゆき
- プロダクションデザイナー - 田中直哉
- キャラクターデザイナー - 森山佑樹
- コンセプトアーティスト - 千賀智恵、川田英治、泉谷かおり・須藤太一(第2期)
- グラフィックデザイナー - 長藤寛和、宮澤聖二、桑原竜也
- 美術監督 - 西野隆世(第1期)→芳野満雄(第2期)
- 色彩設計 - 野地弘納
- 造形監督 - 片塰満則
- CGスーパーバイザー - 上本雅之、長崎高士(第1期)→菅井進(第2期)
- バトルアニマティクス - 大串映二
- 編集 - 吉平直弘、天内宏美(第2期)
- 音響監督 - 岩浪美和
- 音楽 - 朝倉紀行
- 音楽制作 - スターチャイルドレコード
- エグゼクティブプロデューサー - 中西豪、松下卓也、守屋秀樹、丸山博雄
- プロデューサー - 山中隆弘(第1期)→山崎慶彦、石丸健二、橋本龍
- 制作プロデューサー - 鈴木和裕、石井涼子(第2期)
- アニメーション制作 - ポリゴン・ピクチュアズ
- 製作 - 東亜重工動画制作局、MBS
主題歌
- 第1期
- 劇場版
-
- 「愛、ひと欠片」[23]
- 歌 - angela
- 第2期
-
- オープニングテーマ「騎士行進曲」
- 作詞 - atsuko / 作曲 - atsuko、KATSU / 編曲 - KATSU / 歌 - angela
- エンディングテーマ「鎮魂歌 -レクイエム-」
- 作詞・作曲・編曲 - 大隅知宇 / 歌 - カスタマイZ
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | ストーリーボード | 演出 | アニメーション ディレクター |
---|---|---|---|---|---|
第1期 | |||||
#01 | 初陣 | 村井さだゆき | 安藤裕章 大串映二 |
安藤裕章 | こうじ |
#02 | 星空 | 末田宜史 大串映二 | |||
#03 | 栄光 | 増井壮一 | |||
#04 | 選択 | 山田哲弥 | 亀井隆 | ||
#05 | 漂流 | 村越繁 | 安藤裕章 | ||
#06 | 敬礼 | 村井さだゆき | |||
#07 | 覚悟 | 村越繁 | 阿部記之 | ||
#08 | 不死 | 山田哲弥 | 森田宏幸 | ||
#09 | 眼差 | 村井さだゆき | 城所聖明 | ||
#10 | 決意 | 村越繁 | 安藤裕章 | ||
#11 | 衝突 | 山田哲弥 | 森田宏幸 | ||
#12 | 帰艦 | 村井さだゆき | |||
第2期 | |||||
#01 | 葛藤 | 村井さだゆき | 森田宏幸 大串映二 |
吉平直弘 | 永園玲仁 |
#02 | 能力 | 村越繁 | 安藤裕章 | ||
#03 | 針路 | 山田哲弥 | 吉平直弘 |
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 [25] | 備考 |
---|---|---|---|---|
2014年4月11日 - 6月27日 | 金曜 1:49 - 2:19(木曜深夜) | 毎日放送 | 近畿広域圏 | 製作局 / 字幕放送 |
2014年4月12日 - 6月28日 | 土曜 1:55 - 2:25(金曜深夜) | TBSテレビ | 関東広域圏 | 字幕放送 |
土曜 2:37 - 3:07(金曜深夜) | CBCテレビ | 中京広域圏 | ||
2014年4月13日 - 6月29日 | 日曜 0:00 - 0:30(土曜深夜) | BS-TBS | 日本全域 | |
2014年4月22日 - 7月8日 | 火曜 23:00 - 23:30 | AT-X | 日本全域 | リピート放送あり |
配信期間 | 更新時間 | 配信サイト | 備考 |
---|---|---|---|
2014年4月13日 - 6月29日 | 日曜 12:00 更新 | GYAO! | |
2014年4月14日 - 6月30日 | 月曜 0:00 更新(日曜深夜) | バンダイチャンネル | 見放題サービス利用者は全話見放題 |
月曜 12:00 更新 | dアニメストア[26] | 見放題サービス利用者は全話見放題 | |
月曜 22:00 - 22:30 | ニコニコ生放送 | ||
月曜 22:30 更新 | ニコニコチャンネル |
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 [25] | 備考 |
---|---|---|---|---|
2015年4月11日 - | 土曜 1:55 - 2:25(金曜深夜) | TBSテレビ | 関東広域圏 | |
土曜 2:10 - 2:40(金曜深夜) | 毎日放送 | 近畿広域圏 | 製作局 | |
土曜 2:37 - 3:07(金曜深夜) | CBCテレビ | 中京広域圏 | ||
2015年4月12日 - | 日曜 0:00 - 0:30(土曜深夜) | BS-TBS | 日本全域 | |
2015年4月23日 - | 木曜 23:30 - 金曜 0:00 | AT-X | 日本全域 | リピート放送あり |
配信期間 | 更新時間 | 配信サイト | 備考 |
---|---|---|---|
2015年4月12日 - | 日曜 12:00 更新 | バンダイチャンネル | 見放題サービス利用者は全話見放題 |
GYAO! | 最新話1週間無料 | ||
2015年4月14日 - | 火曜 12:00 更新 | dアニメストア | 見放題サービス利用者は全話見放題 |
2015年4月15日 - | 水曜 23:30 - 木曜 0:00 | ニコニコ生放送 | タイムシフト予約対応 |
2015年4月16日 - | 木曜 0:00 更新(水曜深夜) | ニコニコチャンネル | 最新話1週間無料 |
BD / DVD
巻 | 発売日 | 収録話 | 規格品番 | |
---|---|---|---|---|
BD | DVD | |||
第1期 | ||||
1 | 2014年5月28日 | 第1話 - 第2話 | KIXA-90429 | KIBA-2116 |
2 | 2014年6月25日 | 第3話 - 第4話 | KIXA-90430 | KIBA-2117 |
3 | 2014年7月23日 | 第5話 - 第6話 | KIXA-90431 | KIBA-2118 |
4 | 2014年8月27日 | 第7話 - 第8話 | KIXA-90432 | KIBA-2119 |
5 | 2014年9月24日 | 第9話 - 第10話 | KIXA-90433 | KIBA-2120 |
6 | 2014年10月22日 | 第11話 - 第12話 | KIXA-90434 | KIBA-2121 |
「劇場版 シドニアの騎士」 | ||||
1 | 2015年3月25日 | KIXA-493 | KIBA-2186 | |
第2期 | ||||
1 | 2015年4月29日予定 | 第1話 - 第2話 | KIXA-90511 | KIBA-2199 |
2 | 2015年5月27日予定 | 第3話 - 第4話 | KIXA-90512 | KIBA-2200 |
3 | 2015年6月24日予定 | 第5話 - 第6話 | KIXA-90513 | KIBA-2201 |
4 | 2015年7月22日予定 | 第7話 - 第8話 | KIXA-90514 | KIBA-2202 |
5 | 2015年8月26日予定 | 第9話 - 第10話 | KIXA-90515 | KIBA-2203 |
6 | 2015年9月30日予定 | 第11話 - 第12話 | KIXA-90516 | KIBA-2204 |
CD
発売日 | タイトル | 規格品番 |
---|---|---|
第1期 | ||
2014年5月21日 | シドニア | KICM-3277 |
2014年5月21日 | 掌 -show- | KICM-91517 |
2014年6月25日 | シドニアの騎士 オリジナルサウンドトラック | KICA-3220 |
第2期 | ||
2015年2月4日 | 一筋の光明(ひかり) | KICM-1569 |
2015年4月29日(予定) | 騎士行進曲 | KICM-3289 |
2015年6月3日(予定) | 鎮魂歌 -レクイエム- | KICM-91595 |
Webラジオ
『ラジオ シドニアの騎士〜綾と綾音の秘密の光合成〜』のタイトルで2014年3月28日より音泉にて配信中。毎週金曜更新。
また『シドニアの騎士Blu-ray第5巻 初回限定版』の封入特典として、新規録り降ろしのWebラジオCD『綾と綾音の秘密の光合成 出張版』が付属[29]。同様に『シドニアの騎士 第九惑星戦役 Blu-ray第5巻 初回限定版』(※2015年8月26日発売予定)にも出張版CDが付属することが発表されている[30]。
メインパーソナリティは洲崎綾(星白閑 役)、佐倉綾音(岐神海蘊 役)[31]。
各回ゲスト
- 第04回:シドニアの騎士 担当編集
- 第06回:弐瓶勉(シドニアの騎士 原作者)
- 第10回:逢坂良太(谷風長道 役)
- ラジオCD Vol.1:金元寿子(緑川纈 役)
- 第14回:弐瓶勉
- 第18回:櫻井孝宏(岐神海苔夫 役)
- 第20回:森なな子(山野栄子 役)
- ラジオCD Vol.2:大原さやか(小林 役)
- 第27回:弐瓶勉
- 第34回:金元寿子
- ラジオCD Vol.3:新井里美(ヒ山ララァ 役)
ラジオCD
発売日 | タイトル | 規格品番 |
---|---|---|
2014年7月30日 | 「ラジオ シドニアの騎士~綾と綾音の秘密の光合成~」Vol.1 | TBZR-0247/0248 |
2014年12月24日 | 「ラジオ シドニアの騎士~綾と綾音の秘密の光合成~」Vol.2 | TBZR-0328/0329 |
2015年5月27日 | 「ラジオ シドニアの騎士~綾と綾音の秘密の光合成~」Vol.3 | TBZR-0425/0426 |
脚注
注釈
- ^ なお、同人マークの有効範囲は本作第1巻に遡って全話で適用される。
- ^ Webラジオにて配信されているコラボムービーにて演じた。
- ^ a b 原作者・弐瓶勉によると「海苔夫、海蘊という名前にはシドニアでは失われた海藻を栽培する技術への憧憬が込められたもので、決してギャグではない」とのこと[7]。
- ^ 喜多村は「48人くらいまでなら演じ分けられる」と発言している[7]。
- ^ 宇宙線や高熱などの有害なものは体表で全て処理しており、本人はくすぐったく感じる。高機動時に使い終わったヘイグス粒子の帯が現れるため、ヘイグス機関で推進していることが分かる
- ^ 「継衛で第四次奇居子防衛戦を戦った」のは「撃墜王」とだけ記されている。ただし、纈が継衛のプラモデルを使ってベース機一七式白月による伝説の四機掌位を作る際「斎藤専用機」の色について悩むシーンがあるため完全な無名化は出来なかった模様。
- ^ 月刊アフタヌーンのあらすじより
- ^ コミックス13巻特装版付録ドラマCD。アニメ第1期には未登場。
- ^ その考えはあながち間違いではなく、ヘイグス通信機を腕ごともぎ取られた以上の危害をガウナは加えず、ガウナの反応は市ヶ谷太郎の予想通りであった。しかしヘイグス機関なしでの人類の存続は困難であり、非武装主義者の考えを裏打ちする事はできなかった。
- ^ 一般のハードSFでの播種船 (EIS:Embryo carrying Interstellar Starship) とは、長期間の航行と効率の観点から、凍った状態の人間やその胚を惑星間輸送する宇宙船に対して使われることが多い。
- ^ シドニアが該当するかは不明だが作中の絵本の解説では、超大型播種船のサイズは直径約5km、長さ35kmとされている。
- ^ 通信方法は不明だが送受信に約180年かかる距離
- ^ シドニアはほぼ光速で航行する能力がある為、出航後の統一紀元暦とシドニア出航紀元暦は、適切に一致しない可能性がある(相対性理論効果)。
- ^ ヘイグス機関無しではシドニアの全資源を持ち出しても十年も持たないため。
- ^ 海水層は、地球の海に生息していた生物の「ノアの箱舟」としての役割を担う(Webラジオより)。
- ^ 例外的に意思を持つエナであるエナ星白は衣服や触手部分のエナを自分で操作することが出来ていたが、この場合もガウナのような攻撃的行動はなかった
- ^ 短編集の「ブラム学園! アンドソーオン」(ISBN 978-4063145311)に収録されている。
- ^ 本編のみ。DVDでは2chのみの収録となる。
- ^ 劇場用作品では『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』等においてライバル規格であるDTSのDTS-HDマスターオーディオが採用されている。
出典
- ^ “弐瓶勉の正道ロボットSF「シドニアの騎士」がアニメ化”. コミックナタリー. 2013年5月22日閲覧。
- ^ “第39回講談社漫画賞に14作品がノミネート、受賞作の発表は5月12日”. コミックナタリー (2015年4月3日). 2015年4月3日閲覧。
- ^ 進撃の巨人インタビュー|マガメガ|週刊少年マガジン[リンク切れ]
- ^ honto - 進撃の巨人 著者 諫山創インタビュー
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- ^ “ラジオ シドニアの騎士〜綾と綾音の秘密の光合成〜”. 音泉. 2014年4月21日閲覧。
外部リンク
- シドニアの騎士 / 弐瓶勉 - アフタヌーン公式サイト
- シドニアの騎士 - 講談社コミックプラス
- シドニアの騎士 担当編集 (@sidonia_editor) - X(旧Twitter)
- シドニアの騎士 - アニメ公式サイト
- シドニアの騎士 番組サイト - 毎日放送
- TVアニメ「シドニアの騎士」 (@SIDONIA_anime) - X(旧Twitter)
- シドニアの騎士 第九惑星戦役 - 無料動画 GYAO!
- シドニアの騎士 第九惑星戦役 - ニコニコチャンネル
- ラジオ「シドニアの騎士~綾と綾音の秘密の光合成~」 - 音泉
- シドニアの騎士 一七式衛人 白月改 継衛|KOTOBUKIYA - 1/100スケールのキット
毎日放送 アニメイズム B1 | ||
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鬼灯の冷徹
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シドニアの騎士 第九惑星戦役
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