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「抗うつ薬」の版間の差分

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暴力や、NICEの2009年ガイドライン
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{{出典の明記|date=2011年10月}}
{{出典の明記|date=2011年10月}}
'''抗うつ薬'''(こううつやく、antidepressant)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や自殺念慮を特徴とする[[うつ病]]のような[[気分障害]]に用いられる{{仮リンク|精神科の薬|en|psychiatric medication}}である。エビデンスは乏しいが次のような症状の治療のため適用外処方されている。[[不安障害]]・[[強迫性障害]]・[[摂食障害]]・慢性痛・いくつかのホルモンを介した[[月経困難症]]などがある。単剤または併用にて、[[ADHD]]・[[薬物乱用]]による抑うつにも使用される。また抗うつ薬は[[いびき]]・[[偏頭痛]]の治療にも時折用いられる。適用外用途の処方には議論がある。場合によっては、アメリカでは司法省による制裁が行われている。


多くの抗うつ薬は、効果の発現が2~6週間遅れるが、効果はしばしば1週間後に見られる。しかしながら投与直後から、自殺の傾向を高める[[賦活症候群]]の危険性がある<ref name="pmid15265848"/>。日本でも添付文書にて、24歳以下で自殺念慮や自殺企図の危険性を増加させることを注意喚起している<ref name="PMDSI261"/>
'''抗うつ薬'''(こううつやく、Antidepressant)とは、[[大うつ病]]・気分変調症・[[不安障害]]などの[[気分障害]]を緩和するために使用される[[精神病]]の治療薬である。これらの薬は多くの精神科医で処方されており、それらの効果と副作用は多くの研究で取り上げられ、それらには相反する主張が多い。抗うつ効果のある薬物は多く開発されているが、それらの使用のコントロールについて多くの論争を引き起こし、適用外処方については高い有効性があるが危険をはらんでいる。


抗うつ薬の有効性が議論されており、現在では軽症のうつ病に対しては、必ずしも薬剤の投与は第一選択にはなっていない{{sfn|日本うつ病学会|2012|pp=20-26}}。また使用にあたっても1種類の抗うつ薬の使用が原則とされる{{sfn|日本うつ病学会|2012|pp=20-26}}。
典型的には抗うつ薬は作用は遅発性であり、通常数ヶ月から年に渡り投与されている。名前とは違うが、抗うつ薬はしばしば論争の対象となり、エビデンスは乏しいが次のような症状の治療のため適用外処方されている。[[不安障害]]・[[強迫性障害]]・[[摂食障害]]・慢性痛・いくつかのホルモンを介した[[月経困難症]]などがある。単剤または併用(デパコートなど)にて、[[ADHD]]・[[薬物乱用]]による抑うつにも使用される。また抗うつ薬は[[いびき]]・[[偏頭痛]]の治療にも時折用いられる。


抗うつ薬の使用は、口渇といった軽いものから、肥満や性的機能障害、様々な[[#副作用|副作用]]が併存する可能性がある。2型糖尿病の危険性を増加させる<ref name="pmid21811871"/>。さらに他者に暴力を加える危険性は抗うつ薬全体で8.4倍に増加させるが、薬剤により2.8倍から10.9倍までのばらつきがある<ref name="pmid21179515"/>。
[[うつ病]]に伴う[[不眠症]]や[[うつ病]]と[[不安障害]]が併発している場合、[[睡眠導入剤]]や[[抗不安薬]]として[[ベンゾジアゼピン]]<ref>{{Cite journal|author=Petty F, Trivedi MH, Fulton M, Rush AJ |title=Benzodiazepines as antidepressants: does GABA play a role in depression? |journal=Biological Psychiatry |volume=38 |issue=9 |pages=578?91 |year=1995 |month=November |pmid=8573660 |doi=10.1016/0006-3223(95)00049-7}}</ref> が[[不眠症]]や[[不安障害]]の治療に使用されることがある。しかしながら[[ベンゾジアゼピン]]は身体的依存を引き起こす。[[ベンゾジアゼピン]]は治療を終了した時に突然不快な離脱症状を引き起こす。英国医薬品安全性委員会は1988年に、うつ病またはうつ病に伴う不安の治療にベンゾジアゼピンを単独で使用すべきではないと勧告している。<ref>[http://benzo.org.uk/commit.htm COMMITTEE ON SAFETY OF MEDICINES UK Government Bulletin to Prescribing DoctorsJanuary 1988]</ref>また英国医薬品再評価委員会はベンゾジアゼピンはうつ病に不適用と結論付けた。


急に服薬を中止した場合、[[ベンゾジアゼピン離脱症候群]]に酷似した[[#離脱症状|離脱症状]]を生じさせる可能性がある<ref name="pmid21992148"/>。離脱症状は、少なくとも2~3週間後の再発とは異なり、数時間程度で発生し、多くは軽度で1~2週間でおさまる<ref name="pmid16913164"/>。離脱症状の高い出現率を持つ薬剤、パロキセチン(パキシル)で66%やセルトラリン(ゾロフト)で60%がある<ref name="pmid16913164"/>。
[[偽薬|プラセボ]]も優位な抗うつ効果を持っており、抗うつ薬の認可にはプラセボよりも臨床試験にて優れた効果を持つことを示す必要がある。<ref>"[http://healthlifeandstuff.com/2009/07/do-we-know-anything-about-antidepressants/ Do Antidepressants Work as Promised?]</ref>

FDAに提出された公開・非公開の両面の試験についてレビューを行ったところ、公開された試験では94%が抗うつ効果を示しているが、一方で非公開の文献では50%であった。<ref name="Turner EH, Matthews AM, Linardatos E, Tell RA, Rosenthal R 2008 252?60">{{Cite journal|author=Turner EH, Matthews AM, Linardatos E, Tell RA, Rosenthal R |title=Selective publication of antidepressant trials and its influence on apparent efficacy |journal=N. Engl. J. Med. |volume=358 |issue=3 |pages=252?60 |year=2008 |month=January |pmid=18199864|doi=10.1056/NEJMsa065779 }}</ref>
製薬会社は、特許対策のために分子構造を修正し似たような[[医薬品設計]]を行っていたが、2009年には[[グラクソスミスクライン]]が神経科学分野での採算の悪さを理由に研究を閉鎖した<ref name="pmid20671165">{{cite journal|last1=Miller|first1=G.|title=Is Pharma Running Out of Brainy Ideas?|journal=Science|volume=329|issue=5991|pages=502–504|year=2010|month=July|pmid=20671165|doi=10.1126/science.329.5991.502|url=http://ic.ucsc.edu/~drsmith/metx270/html/Miller%202010.pdf|format=pdf}}</ref>。その後、大手製薬会社の似たような傾向が続いた<ref>{{cite news|title=Insight: Research into brain disorders under threat as drug firms pull out|newspaper=The Guardian|date=13 June 2011|url=http://www.guardian.co.uk/science/2011/jun/13/research-brain-disorders-under-threat|accessdate=2013-01-29}}</ref><ref>{{cite news|title=Insight: Antidepressants give drugmakers the blues|author=Kate Kelland|author2=Ben Hirschler|newspaper=Reuters|date=2012-03|url=http://www.reuters.com/article/2012/03/23/us-depression-drugs-idUSBRE82M0MK20120323|accessdate=2013-01-29}}</ref>。
組み合わせると、全体の研究では51%の有効性である。


== 主な抗うつ薬 ==
== 主な抗うつ薬 ==
抗うつ薬は、次のような種類がある。
抗うつ薬は、次のような種類がある。

=== 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) ===
=== 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) ===
{{main|選択的セロトニン再取り込み阻害薬}}
{{Main|選択的セロトニン再取り込み阻害薬}}
第三世代の抗うつ薬と呼ばれるものであり、[[フルボキサミン]]([[デプロメール]]、ルボックス)、[[パロキセチン]]([[パキシル]])[[セルトラリン]]([[ジェイゾロフト]]),シタロプラム(日本未発売),[[エスシタロプラム]]([[レクサプロ]])が知られている。副作用が少なく、扱いやす強迫性障害、[[社交不安障害]]、パニック障害に適応がある。躁うつ病には禁忌である大うつ病では第一選択となる。効果発現に数週間必要であるため、即効性のある抗不安薬を4週間ほど併用するのが一般的である。投与初期(1〜2週間程度)は悪心、嘔吐、不安、焦燥、不眠といった症状が出現することがあるが継続投与で軽快、消失する。[[セロトニン受容体]]に対する急性刺激と考えられている。少量では[[セロトニン]]選択性であるが、高用量となると[[ノルアドレナリン]]の再取り込みも阻害するようになる。
第三世代の抗うつ薬と呼ばれるものであり、[[フルボキサミン]](ルボックス、デプロメール)、[[パロキセチン]]([[パキシル]])[[セルトラリン]]([[ジェイゾロフト]])シタロプラム(日本未発売)[[エスシタロプラム]]([[レクサプロ]])が知られている。三環系抗うつ薬(TCA)より副作用が若干少ないとされる。急に服薬をめると[[SSRI離脱症候群|SSRI中断症候群]]が発現る恐れがある。[[強迫性障害]]、[[社交不安障害]]、[[パニック障害]]に適応がある。躁うつ病には禁忌である。中等度から重症の大うつ病では第一選択となる。効果発現に数週間必要であるため、即効性のある抗不安薬を4週間ほど併用するのが一般的である。投与初期(1〜2週間程度)は悪心、嘔吐、不安、焦燥、不眠といった症状が出現することがあるが継続投与で軽快、消失する。[[セロトニン受容体]]に対する急性刺激と考えられている。少量では[[セロトニン]]選択性であるが、高用量となると[[ノルアドレナリン]]の再取り込みも阻害するようになる。


=== セロトニン・ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬(SNRI) ===
=== セロトニン・ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬(SNRI) ===
{{main|セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬}}
{{Main|セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬}}
第四世代の抗うつ薬と言われるもので、[[ミルナシプラン]]([[トレドミン]])、ヴェンラファキシン(エフェクサー)、[[デュロキセチン]]([[サインバルタ]])、ネファゾドン(サーゾーン)が含まれる。SSRIよりも意欲を高めるといった効果が期待されている。TCAのイミプラミンに近い作用となるがセロトニンとノルエピネフリン以外の受容体と相互作用をしないため副作用は非常に少ない。頭痛、口渇、排尿障害といった副作用は報告されている。
第四世代の抗うつ薬と言われるもので、[[ミルナシプラン]]([[トレドミン]])、ヴェンラファキシン(エフェクサー)、[[デュロキセチン]]([[サインバルタ]])、ネファゾドン(サーゾーン)が含まれる。SSRIよりも意欲を高めるといった効果が期待されている。TCAのイミプラミンに近い作用となるがセロトニンとノルエピネフリン以外の受容体と相互作用をしないため副作用は非常に少ない。頭痛、口渇、排尿障害といった副作用は報告されている。


=== 三環系抗うつ薬(TCA) ===
=== 三環系抗うつ薬(TCA) ===
{{main|三環系抗うつ薬}}
{{Main|三環系抗うつ薬}}
もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が抗うつ作用にかかわると考えられている。第1世代としては[[塩酸アミトリプチリン]] ([[トリプタノール]]、[[ラントロン]])、[[塩酸イミプラミン]] ([[イミドール]]、[[トフラニール]])、[[塩酸クロミプラミン]] ([[アナフラニール]])、マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)、[[塩酸ノルトリプチリン]]([[ノリトレン]])。第2世代としては[[アモキサピン]] ([[アモキサン]])、塩酸ドスレピン (プロチアデン)、塩酸ロフェプラミン (アンプリット)が知られている。第3世代としての[[選択的セロトニン再取り込み阻害薬]]が登場してからは軽症、中等症のうつ病の第一選択からは外れたが2008年現在も使われている薬である。その理由としては抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するがうつ病の改善率が70〜80%と非常に高いことが理由にあげられる。TCAの抗うつ作用はほとんど差がないと言われているが{{誰|date=2009年5月}}、患者によって特異的に有効なTCAが存在するのも事実である。抗コリン作用が軽快している第二世代の薬物から使用し、副作用に合わせて変えていくのが一般的である。特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。鎮静と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関しているといったところである。またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。
もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が抗うつ作用にかかわると考えられている。第1世代としては[[塩酸アミトリプチリン]] ([[トリプタノール]]、[[ラントロン]])、[[塩酸イミプラミン]] ([[イミドール]]、[[トフラニール]])、[[塩酸クロミプラミン]] ([[アナフラニール]])、マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)、[[塩酸ノルトリプチリン]]([[ノリトレン]])。第2世代としては[[アモキサピン]] ([[アモキサン]])、塩酸ドスレピン (プロチアデン)、塩酸ロフェプラミン (アンプリット)が知られている。第3世代としての[[選択的セロトニン再取り込み阻害薬]]が登場してからは軽症、中等症のうつ病の第一選択からは外れたが2008年現在も使われている薬である。その理由としては抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するがうつ病の改善率が70〜80%と非常に高いことが理由にあげられる。TCAの抗うつ作用はほとんど差がないと言われているが{{誰|date=2009年5月}}、患者によって特異的に有効なTCAが存在するのも事実である。抗コリン作用が軽快している第二世代の薬物から使用し、副作用に合わせて変えていくのが一般的である。特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。鎮静と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関しているといったところである。またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。
;[[アミトリプチリン]] ([[トリプタノール]]、[[ラントロン]])
;[[アミトリプチリン]] ([[トリプタノール]]、[[ラントロン]])
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=== 四環系抗うつ薬 ===
=== 四環系抗うつ薬 ===
{{main|四環系抗うつ薬}}
{{Main|四環系抗うつ薬}}
ノルエピネフリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗けいれん作用の強い抗不安薬(ジアゼパムやニトラゼパム)を併用することが多い。[[塩酸マプロチリン]](ルジオミール)、[[塩酸ミアンセリン]](テトラミド)、[[マレイン酸セチプチリン]](テシプール)が有名である。
ノルエピネフリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗けいれん作用の強い抗不安薬(ジアゼパムやニトラゼパム)を併用することが多い。[[塩酸マプロチリン]](ルジオミール)、[[塩酸ミアンセリン]](テトラミド)、[[マレイン酸セチプチリン]](テシプール)が有名である。
;[[ミアンセリン]](テトラミド)
;[[ミアンセリン]](テトラミド)
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=== モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬) ===
=== モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬) ===
{{main|モノアミン酸化酵素阻害薬}}
{{Main|モノアミン酸化酵素阻害薬}}
三環系抗うつ薬とほぼ同時期に抗うつ薬として使われ始めたが副作用が強かったため扱いにくく、現在は抗うつ薬としてはほとんど使われない。パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。
三環系抗うつ薬とほぼ同時期に抗うつ薬として使われ始めたが副作用が強かったため扱いにくく、現在は抗うつ薬としてはほとんど使われない。パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。


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NaSSAはNoradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略。2009年9月7日から使用が開始された。これまで日本にはなかった作用機序の薬で、抗うつ薬分野での新規作用機序の新薬は10年ぶりとなる<ref name="Mirtazapine">[http://www.schering-plough.co.jp/press/2009/0907.html 新規作用メカニズムの抗うつ剤「レメロン(R)錠15mg」新発売]{{リンク切れ|date=2010年12月}}</ref>。これまでのようにシナプスにおける神経伝達物質の再取り込みを阻害して濃度を上げるのではなく、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量そのものを増やす作用がある。すなわち、α2ヘテロ受容体とα2受容体をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させ、分泌を促す。また、5-HT1受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT1以外のセロトニン受容体をふさぐ。
NaSSAはNoradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略。2009年9月7日から使用が開始された。これまで日本にはなかった作用機序の薬で、抗うつ薬分野での新規作用機序の新薬は10年ぶりとなる<ref name="Mirtazapine">[http://www.schering-plough.co.jp/press/2009/0907.html 新規作用メカニズムの抗うつ剤「レメロン(R)錠15mg」新発売]{{リンク切れ|date=2010年12月}}</ref>。これまでのようにシナプスにおける神経伝達物質の再取り込みを阻害して濃度を上げるのではなく、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量そのものを増やす作用がある。すなわち、α2ヘテロ受容体とα2受容体をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させ、分泌を促す。また、5-HT1受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT1以外のセロトニン受容体をふさぐ。


* [[ミルタザピン]] - 2009年9月7日に国内での処方が解禁された。開発元のN.V.オルガノンと統合した[[シェリング・プラウ]](現在は合併して[[MSD]])から'''レメロン'''<ref name="Mirtazapine"/>、[[明治製菓]]から'''リフレックス'''<ref>[http://www.meiji.co.jp/corp/news/2009/0907.html うつ病治療薬「リフレックス錠 15mg」新発売のお知らせ]</ref>として発売されている。2009年9月現在、90カ国で使用されている。
* [[ミルタザピン]] - 2009年9月7日に国内での処方が解禁された。開発元のN.V.オルガノンと統合した[[シェリング・プラウ]](現在は合併して[[MSD]])から'''レメロン'''<ref name="Mirtazapine"/>、[[Meiji Seika ファルマ]]から'''リフレックス'''<ref>[http://www.meiji.co.jp/corp/news/2009/0907.html うつ病治療薬「リフレックス錠 15mg」新発売のお知らせ]</ref>として発売されている。2009年9月現在、90カ国で使用されている。


=== ノルエピネフリン・ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI) ===
=== ノルエピネフリン・ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI) ===
日本国内においては未承認である。[[ブプロピオン|塩酸ブプロピオン]](商品名ウェルブトリン)が知られている。
日本国内においては未承認である。[[ブプロピオン|塩酸ブプロピオン]](商品名ウェルブトリン)が知られている。


=== 選択的セロトニン再取り込み促進剤(SSRE) ===
=== 選択的セロトニン再取り込み促進剤(SSRE) ===
日本国内においては未承認である。チアネプチン([[:en:Tianeptine]])が知られている。[[:en:Selective serotonin reuptake enhancer]]も参照のこと。
日本国内においては未承認である。チアネプチン([[:en:Tianeptine]])が知られている。[[:en:Selective serotonin reuptake enhancer]]も参照のこと。


=== 増補薬===
=== 増補薬 ===
* [[抗不安薬]] - 一般的に[[ベンゾジアゼピン]]は不安を和らげ睡眠を促進するために処方されている。しかしながら[[ベンゾジアゼピン依存症|依存]]の危険性が高いため、これらの薬物は短期的または頓服用に用いられている。
* [[抗不安薬]] - 一般的に[[ベンゾジアゼピン]]は不安を和らげ睡眠を促進するために処方されている。しかしながら[[ベンゾジアゼピン依存症|依存]]の危険性が高いため、これらの薬物は短期的または頓服用に用いられている。
* [[抗精神病薬]] - 特に高用量では、目のかすみ・筋肉けいれん・落ち着きのなさ・[[遅発性ジスキネジア]]・体重増加などの重篤な副作用を引き起こす可能性がある。
* [[抗精神病薬]] - 特に高用量では、目のかすみ・筋肉けいれん・落ち着きのなさ・[[遅発性ジスキネジア]]・体重増加などの重篤な副作用を引き起こす可能性がある。
** [[スルピリド]](商品名:ドグマチール等) - 150〜300mg/日の低用量では抗うつ薬、300〜1200mg/日の高用量では[[抗精神病薬]]として作用する。TCA、SSRI、SNRI等と比較して即効性がある。
** [[スルピリド]](商品名:ドグマチール等) - 150〜300mg/日の低用量では抗うつ薬、300〜1200mg/日の高用量では[[抗精神病薬]]として作用する。うつ病学会によればスルピリドは推奨されない{{sfn|日本うつ病学会|2012|p=24}}。TCA、SSRI、SNRI等と比較して即効性がある。
* [[リチウム塩]](商品名:リーマス等) - 日本国内においては[[抗躁薬]]として発売され、保険適応も[[躁病]]・躁うつ病([[双極性障害]])であるが、[[バルプロ酸ナトリウム]](商品名:デパケン等)と並んで[[気分安定薬]](ムードスタビライザー)としての効能が臨床的に認められている。抗うつ薬の補強として有用であり、抗うつ薬とともに処方される例が増えつつある。
* [[リチウム塩]](商品名:リーマス等) - 日本国内においては[[抗躁薬]]として発売され、保険適応も[[躁病]]・躁うつ病([[双極性障害]])であるが、[[バルプロ酸ナトリウム]](商品名:デパケン等)と並んで[[気分安定薬]](ムードスタビライザー)としての効能が臨床的に認められている。抗うつ薬の補強として有用であり、抗うつ薬とともに処方される例が増えつつある。


==治療効果==
== 治療効果 ==
抗うつ薬の効果は、副作用に関連するリスクを正当化するために偽薬をしのぐべきである。うつ病の重症度の評価に{{仮リンク|ハミルトンうつ病評価尺度|en|Hamilton Depression Rating Scale}}(HAM-D)が、しばしば用いられる<ref>{{cite journal|last=Hamilton|first=M|title=A rating scale for depression.|journal=Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry|year=1960|volume=23|pages=56–62|doi=10.1136/jnnp.23.1.56|pmid=14399272}}</ref>。HAM-Dの17項目のアンケートからの最大スコアは52点である;高いスコアがより重度のうつ病である。何が薬に対する十分な反応に相当するのかについては十分に確立されていないが、寛解あるいはすべてのうつ症状の実際の除去が目標であり、しかしながら寛解率はまれにしか公表されていない。症状軽減の割合は、抗うつ薬による46-54%に対して偽薬では31-38%である<ref>{{cite journal|last=Khan|first=Arif|coauthors=Faucett, J., Lichtenberg P., Kirsch I., Brown W.A.|title=A Systematic Review of Comparative Efficacy of Treatments and Controls for Depression|journal=PLoS One|date=30|year=2012|month=July|pages=e41778|doi=10.1371|url=http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0041778|accessdate=28 November 2012}}</ref>。
抗うつ薬がうつ病の根本的原因に効果があるかどうかについては多くの研究がなされている。2002年のレビューでは、抗うつ薬はその服用を止めたときにうつの再発リスクを減らすエビデンスは存在しないと結論付けた。このレビューの著者は抗うつ薬は他の治療と組み合わせることを提唱し、対人精神療法(IPT)と認知行動療法(CBT)を挙げている。
<ref>[https://www.psychologicalscience.org/journals/pspi/pdf/pspi31101.pdf Hollon SD, Thase ME, Markowitz JC. "Treatment and prevention of depression", ''Psychological Science in the Public Interest'', 2002;3:1?39.]</ref>
{{節stub}}


234の研究から、第二世代の13種の抗うつ薬(ブプロピオン、シタロプラム、デスベンラファキシン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、ミルタザピン、ネファゾドン、パロキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン)にて、年齢、性別、民族、併発疾患を考慮しても、うつ病の急性期、継続期、維持期の治療に対して、ほかのものを上回る臨床的に意味のある優越は発見されなかった<ref>{{cite journal|last=Gartlehner|first=Gerald|coauthors=Hansen R.A., Morgan L.C et al.|title=Comparative Benefits and Harms of Second-Generation Antidepressants for Treating Major Depressive Disorder: An Updated Meta-analysis|journal=Annals of Internal Medicine|year=2011|month=Dec|volume=155|issue=11|pages=772–785|url=http://annals.org/article.aspx?articleid=1033198|accessdate=28 November 2012}}</ref>。
===研究レビュー===
最近の臨床評価は次のとおり。


うつ病の薬物治療の有効性について、アメリカ国立精神衛生研究所によって委託されこれまでに最大規模かつ高額な費用がかかった研究、STAR*D (Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression) が実施された<ref>{{cite web|title=Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression (STAR*D) Study|url=http://www.nimh.nih.gov/trials/practical/stard/index.shtml|publisher=National Institute of Mental Health|accessdate=28 November 2012}}</ref>。その結果<ref>{{cite journal|last=Fava|first=Maurizio|coauthors=et al|title=A Compariそのson of Mirtazapine and Nortriptyline Following Two Consecutive Failed Medication Treatments for Depressed Outpatients: A STAR*D Report|journal=Am J Psychiatry|year=2006|volume=163: number 7|pages=1161–1172|url=http://ajp.psychiatryonline.org/article.aspx?articleID=96787&RelatedWidgetArticles=true|accessdate=28 November 2012}}</ref><ref>{{cite journal|last=Trivedi|first=Madhukar H|coauthors=Fava, Maurizio, Wisniewski, Stephen R., Thase, Michael E., Quitkin, Frederick, Warden, Diane, Ritz,Louise et al|title=Medication Augmentation after the Failure of SSRIs for Depression|journal=N Engl J Med|date=23|year=2006|month=March|volume=354|pages=1243–1252|doi=10.1056/NEJMoa052964|url=http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa052964|accessdate=28 November 2012}}</ref>の概要は以下である。STAR*Dの各過程は14週間ごとであり、従って14週後における寛解率や脱落率を表す。
* 2008年の英国・米国・カナダでのメタ調査では、1987-1999年の間に最も広く処方されている6種類の新世代抗うつ薬について、製薬会社によって行われた薬剤臨床試験(FDA承認のために提出されたもの)を調査した。結果は、抗うつ薬とプラセボの効果差は最小限であり、これは過去のメタアナリシスと一致している。それは事実上、初期のうつ病には差が見られず、重度のうつ病に対しては比較的差は小さいものであった。The difference reached conventional criteria for clinical significance for patients at the upper end of the very severely depressed category, due to a reduction in the efficacy of placebo.<ref name="pmid18303940">{{Cite journal|author=Kirsch I, Deacon BJ, Huedo-Medina TB, Scoboria A, Moore TJ, Johnson BT |title=Initial Severity and Antidepressant Benefits: A Meta-Analysis of Data Submitted to the Food and Drug Administration |journal=PLoS Med. |volume=5 |issue=2 |pages=e45 |year=2008 |pmid=18303940 |doi=10.1371/journal.pmed.0050045 |pmc=2253608}}</ref>
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*治療の最初の過程の後、2,876人の参加者のうち、27.5%がHAM-Dの点数が7点以下となり寛解に達した。21%が脱落した。<ref name="pmid16390886">{{Cite journal|author=Trivedi MH, Rush AJ, Wisniewski SR |title=Evaluation of outcomes with citalopram for depression using measurement-based care in STAR*D: implications for clinical practice |journal=The American Journal of Psychiatry |volume=163 |issue=1 |pages=28–40 |year=2006 |pmid=16390886 |doi=10.1176/appi.ajp.163.1.28}}</ref>
===治療ガイドライン===
* 次の治療の過程の後、残り1,439人の参加者のうち21-30%が寛解した。310人の参加者だけが研究の継続に協力的であるか継続可能であった。<ref name="pmid16554526">{{Cite journal|author=Trivedi MH, Fava M, Wisniewski SR |title=Medication augmentation after the failure of SSRIs for depression |journal=N. Engl. J. Med. |volume=354 |issue=12 |pages=1243–52 |year=2006 |pmid=16554526 |doi=10.1056/NEJMoa052964}}</ref>薬の切り替えでは約25%の患者が寛解に達した。<ref name="pmid16554525">{{Cite journal|author=Rush AJ, Trivedi MH, Wisniewski SR |title=Bupropion-SR, sertraline, or venlafaxine-XR after failure of SSRIs for depression |journal=N. Engl. J. Med. |volume=354 |issue=12 |pages=1231–42 |year=2006 |pmid=16554525 |doi=10.1056/NEJMoa052963}}</ref>
米国精神医療協会の2000 Practice Guideline for the Treatment of Patients with Major Depressive Disorder <ref>{{Cite web|url=http://www.guidelines.gov/summary/summary.aspx?doc_id=2605&nbr=1831 |title=Practice guideline for the treatment of patients with major depressive disorder |publisher=Guidelines.gov |date= |accessdate=2008-11-06}}</ref>
* 3番目の治療の過程の後、残り310人の参加者のうち、17.8%が寛解した。
では、患者が希望するならば抗うつ薬はマイルドな大うつ障害の初期プライマリ治療に用いることができる。深刻な大うつ障害に対しては、電気けいれん療法(ECT)を計画していないならば抗うつ薬を投与しなければならない。
* 4番目の治療の過程の後、残り109人の参加者のうち、10.1%が寛解した。
* 1年後の追跡調査で、1085人の寛解した参加者のうち、93%が再発するかこの研究を脱落した。
この研究で比較されたどの薬の間にも、寛解率、反応率、寛解あるいは反応までの期間に、統計的あるいは意味のある臨床的な違いはない。<ref>{{cite journal|last=Warden|first=Diane|coauthors=Rush AJ, Trivedi MH, Fava M, Wisniewski SR|title=The STAR*D Project results: a comprehensive review of findings.|journal=Curr Psychiatry Rep|year=2007|month=Dec|volume=9|issue=6|pages=449–59|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18221624|accessdate=28 November 2012}}</ref>ブプロピオン徐放錠、ブプロピオン、シタロプラム、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードサイロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン徐放錠が含まれる。


2008年の[[ランダム化比較試験]]のレビューは、症状の改善は、SSRIを使用して1週間目の終わりが最高で、いくらかの改善は少なくとも6週間継続したと結論した<ref>{{Cite journal|author=Taylor MJ, Freemantle N, Geddes JR, Bhagwagar Z |title=Early Onset of Selective Serotonin Reuptake Inhibitor Antidepressant Action: Systematic Review and Meta-analysis |journal=Arch Gen Psychiatry |volume=63 |issue=11 |pages=1217–23 |year=2005 |pmid=17088502 |doi=10.1001/archpsyc.63.11.1217|pmc=2211759}}</ref>。
[[英国国立医療技術評価機構]](NICE)の2004年ガイドラインでは、抗うつ薬は中程度の抑うつの初期治療に用いるべきではないとしている。なぜならばリスクベネフィット比がpoorであるからである。中程度から重度の抑うつに対しては、三環形よりもSSRIのほうが受容性が高い。重度の抑うつへの抗うつ薬投与時には、認知行動療法などの心理療法を組み合わせなければならない。<ref>{{Cite web|url=http://www.nice.org.uk/guidance/CG23 |title=Depression |publisher=Nice.org.uk |date= |accessdate=2008-11-06}}</ref>


SSRIのフルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラムとSNRIデュロキセチンと偽薬では、反応があった場合、偽薬のほうが改善度が緩やかだが、すべてで時間と共に改善していく傾向が見られた。しかし、抗うつ薬に反応しなかった患者の一部、全体に対する約25%の患者は、HAM-Dスコアが高いままで、8週間では偽薬より著しく高かった<ref name="pmid22147842">{{cite journal|last1=Gueorguieva|first1=Ralitza|title=Trajectories of Depression Severity in Clinical Trials of Duloxetine<subtitle>Insights Into Antidepressant and Placebo Responses</subtitle>|journal=Archives of General Psychiatry|volume=68|issue=12|pages=1227–37|year=2011|month=December|pmid=22147842|pmc=3339151|doi=10.1001/archgenpsychiatry.2011.132|url=http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1107437}}</ref>。これは抗うつ薬に反応しない場合、中止すべきことを示唆していると解釈された<ref>{{cite news |author=Maia Szalavitz |title=New Research on the Antidepressant-vs.-Placebo Debate |url=http://healthland.time.com/2012/01/18/new-research-on-the-antidepressant-versus-placebo-debate/ |date=Jan, 18, 2012 |newspaper= |accessdate=2013-01-27}}</ref>。
[[日本うつ病学会]]の2012年の大うつ病の治療指針では、軽症うつ病の場合、安易な薬物療法は避けるべきであり、重症、中症うつ病の場合、1種類の抗うつ薬の使用を基本とし、十分な量の抗うつ薬を十分な期間に渡って投与すべきである。寛解維持期には十分な継続・維持療法を行い、抗うつ薬の投与の終結を急ぐべきではない。<ref>[http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/0726.pdf 日本うつ病学会治療ガイドライン 大うつ病性障害 2012 Ver.1 日本うつ病学会]</ref>


うつ病は類似した症状を呈する異なる病因の病気の集合なので、抗うつ薬の予後が悪いことを示した。大うつ病性障害の定義は見当違いの可能性がある<ref>{{cite journal|last=Holtzheimer|first=Paul|coauthors=Mayberg, Helen S.|title=Stuck in a Rut: Rethinking Depression and its Treatment|journal=Trends Neurosci.|year=2011|month=January|volume=34|issue=1|pages=1–9|doi=10.1016/j.tins.2010.10.004|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3014414/|accessdate=29 November 2012}}</ref>。
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抗うつ薬はうつ病の根本にある原因に効果があるかについて、2002年のレビューは、使用を終了した場合、抗うつ薬がうつ病の再発の危険性を減少させるという根拠がないと結論した。このレビューの執筆者らは、対人関係療法(IPT)と認知行動療法(CBT)を挙げ、抗うつ薬を心理療法と組み合わせることを提言した。<ref>{{cite web|url=http://www.psychologicalscience.org/journals/pspi/pdf/pspi31101.pdf |title=Hollon SD, Thase ME, Markowitz JC. "Treatment and prevention of depression", '&#39;Psychological Science in the Public Interest'&#39;, 2002;3:1–39. |format=PDF |date= |accessdate=2012-11-30}}</ref>
===有効性の限界と戦略===
抗うつ薬を投与した30%- 50%の患者が効果を示さない。<ref>{{Cite journal|author=Baghai TC, Moller HJ, Rupprecht R |title=Recent progress in pharmacological and non-pharmacological treatment options of major depression |journal=Curr. Pharm. Des. |volume=12 |issue=4 |pages=503?15 |year=2006 |pmid=16472142 |doi=10.2174/138161206775474422 }}</ref><ref name="SSRIswitch">{{Cite journal|author=Ruhe HG, Huyser J, Swinkels JA, Schene AH |title=Switching antidepressants after a first selective serotonin reuptake inhibitor in major depressive disorder: a systematic review |journal=J Clin Psychiatry |volume=67 |issue=12 |pages=1836?55 |year=2006 |month=December |pmid=17194261 |doi=10.4088/JCP.v67n1203 }}</ref>
高い反応があった場合でも、抑うつと機能障害が続くのが一般的である。このような場合再発率が3-6倍と高い。
<ref>{{Cite journal|author=Tranter R, O'Donovan C, Chandarana P, Kennedy S |title=Prevalence and outcome of partial remissionin depression |journal=J Psychiatry Neurosci |volume=27 |issue=4 |pages=241?7 |year=2002 |month=July |pmid=12174733 |pmc=161658 }}</ref>
さらに、抗うつ薬が治療の過程で有効性を失う傾向にある。
<ref>{{Cite journal|doi=10.4088/JCP.v59n0602|author=Byrne SE, Rothschild AJ |title=Loss of antidepressant efficacy during maintenance therapy: possible mechanisms and treatments |journal=J Clin Psychiatry |volume=59 |issue=6 |pages=279?88 |year=1998 |month=June |pmid=9671339 }}</ref>
これらの制限や変化を克服しようと、臨床現場ではさまざまな戦略が試みられている。
<ref>{{Cite journal|author=Mischoulon D, Nierenberg AA, Kizilbash L, Rosenbaum JF, Fava M |title=Strategies for managing depression refractory to selective serotonin reuptake inhibitor treatment: a survey of clinicians |journal=Can J Psychiatry |volume=45 |issue=5 |pages=476?81 |year=2000 |month=June |pmid=10900529 }}</ref>


====試行錯誤切り替え====
===研究レビュー===
* (2007) 小児うつ病のための抗うつ薬の使用のレビュー<ref>{{cite journal |first1=Jon N. |last1=Jureidini |first2=Christopher J. |last2=Doecke |first3=Peter R. |last3=Mansfield |first4=Michelle M. |last4=Haby |first5=David B. |last5=Menkes |first6=Anne L. |title=Efficacy and safety of antidepressants for children and adolescents |journal=BMJ |volume=328 |issue=7444 |pages=879–83 |last6=Tonkin |year=2004 |pmid=15073072 |pmc=387483 |doi=10.1136/bmj.328.7444.879}}</ref><ref>{{cite journal |first1=Shaheen E. |last1=Lakhan |first2=Gareth E. |title=The impact of prescribed psychotropics on youth |journal=Clinical practice and epidemiology in mental health |volume=3 |page=21 |year=2007 |last2=Hagger-Johnson |pmid=17949504 |pmc=2100041 |doi=10.1186/1745-0179-3-21}}</ref>
抗うつ薬は効く、効かないが患者にとって個人差が大きい。100%の患者に効く薬は無い。そのためにも種類が多い。初期治療ではそれぞれの患者に合った薬を見つける必要がある。2週間継続服用して、効果が見られない様であれば、別の薬を試してみる事が必要である。


* (2004) 「活性プラシボ」と比較した抗うつ薬の評価<ref name=pmid14974002>{{cite journal |first1=Joanna |last1=Moncrieff |first2=Simon |last2=Wessely |first3=Rebecca |last4=Moncrieff |first4=Joanna |title=Active placebos versus antidepressants for depression |journal=Cochrane database of systematic reviews (Online) |issue=1 |pages=CD003012 |year=2004 |last3=Hardy |pmid=14974002 |doi=10.1002/14651858.CD003012.pub2 |editor1-last=Moncrieff |editor1-first=Joanna}}</ref>
====増強剤と組み合わせ====

{{節stub}}
* (2001) 異なる種類の抗うつ薬の相対的な有効性の比較<ref>{{Cite journal|author=Anderson IM |title=Selective serotonin reuptake inhibitors versus tricyclic antidepressants: a meta-analysis of efficacy and tolerability |journal=J Affect Disord |volume=58 |issue=1 |pages=19–36 |year=2000 |month=April |pmid=10760555 |doi=10.1016/S0165-0327(99)00092-0 }}</ref> 異なる設定におけるもの<ref>{{cite journal |first1=Steve |last1=MacGillivray |first2=Simon |last2=Hatcher |first3=Simon |last3=Ogston |first4=Ian |last4=Reid |first5=Frank |last5=Sullivan |first6=Brian |last6=Williams |first7=Iain |last8=Crombie |first8=I |title=Efficacy and tolerability of selective serotonin reuptake inhibitors compared with tricyclic antidepressants in depression treated in primary care: systematic review and meta-analysis |journal=BMJ |volume=326 |issue=7397 |page=1014 |year=2003 |last7=Crombie |pmid=12742924 |pmc=154760 |doi=10.1136/bmj.326.7397.1014}}</ref> うつ病の性質の差異を考慮したもの<ref>{{Cite journal|doi=10.4088/JCP.v62n0209 |author=Parker G, Roy K, Wilhelm K, Mitchell P |title=Assessing the comparative effectiveness of antidepressant therapies: a prospective clinical practice study |journal=J Clin Psychiatry |volume=62 |issue=2 |pages=117–25 |year=2001 |month=February |pmid=11247097 }}</ref>

* (1999) 新しいタイプのMAOIの評価<ref>{{cite journal |first1=Francisco |last1=Lotufo-Neto |first2=Madhukar |last2=Trivedi |first3=Michael E. |title=Meta-analysis of the reversible inhibitors of monoamine oxidase type A moclobemide and brofaromine for the treatment of depression |journal=Neuropsychopharmacology |volume=20 |issue=3 |pages=226–47 |last3=Thase |year=1999 |pmid=10063483 |doi=10.1016/S0893-133X(98)00075-X}}</ref>

===診療ガイドライン===
[[英国国立医療技術評価機構]](NICE)の2004年のガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いという理由で、抗うつ薬を軽症うつ病の初期治療に用いるべきではないとしている;中等度あるいは重度のうつ病では、SSRIのほうが三環系よりも忍容性が高い;重度のうつ病では、抗うつ薬は[[認知行動療法]]のような心理療法と組み合わせるべきである。<ref>{{cite web|url=http://www.nice.org.uk/guidance/CG23 |title=Depression |publisher=Nice.org.uk |date= |accessdate=2008-11-06| archiveurl= http://web.archive.org/web/20081115042517/http://www.nice.org.uk/Guidance/CG23| archivedate= 15 November 2008 <!--DASHBot-->| deadurl= no}}</ref>

NICEの2009年の改定されたガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いために軽症以下のうつ病に抗うつ薬を使用してはいけない(Do not use antidepressants)としている{{sfn|National Institute for Health and Clinical Excellence|2009|p=1.4.4}}。さらに、[[セントジョーンズワート]]は、軽症あるいは中等度で利益がある可能性についても言及している。

[[アメリカ精神医学会]]による2000年の大うつ病性障害の患者の治療のための診療ガイドラインは<ref>{{cite web|url=http://www.guidelines.gov/summary/summary.aspx?doc_id=2605&nbr=1831 |title=Practice guideline for the treatment of patients with major depressive disorder |publisher=Guidelines.gov |date= |accessdate=2008-11-06| archiveurl= http://web.archive.org/web/20081028165751/http://www.guidelines.gov/summary/summary.aspx?doc_id=2605&nbr=1831| archivedate= 28 October 2008 <!--DASHBot-->| deadurl= no}}</ref>、
患者が望むなら、軽症の大うつ病性障害の最初の一次治療に抗うつ薬を投与してもよいとしている;[[電気けいれん療法]]が計画されていない、中等度から重度の大うつ病性障害では抗うつ薬を投与すべきである;精神病性うつ病には、抗精神病薬と抗うつ薬の併用、あるいは電気けいれん療法を用いるべきである。有効性は、概して分類間と分類内で同等であると示されており、最初の選択は主に個々の患者、患者の選択、医薬品と費用に関する臨床試験のデータの量と質から予想される副作用に基づく。

[[日本うつ病学会]]の2012年の大うつ病障害の治療ガイドラインでは、軽症うつ病の場合、安易な薬物療法は避けるべきであり、中等度から重症のうつ病の場合、1種類の抗うつ薬の使用を基本とし、十分な量の抗うつ薬を十分な期間に渡って投与すべきであるとされる。寛解維持期には十分な継続・維持療法を行い、抗うつ薬の投与の終結を急ぐべきではないとされる。{{sfn|日本うつ病学会|2012}}

===増量===
2006年のシステマティックレビューは、増量を推奨する証拠がないことを確認した<ref name="pmid17012653">{{cite journal|last1=Ruhe|first1=H. G.|last2=Huyser|first2=J.|last3=Swinkels|first3=J. A.|last4=Schene|first4=A. H.|title=Dose escalation for insufficient response to standard-dose selective serotonin reuptake inhibitors in major depressive disorder: Systematic review|journal=The British Journal of Psychiatry|volume=189|issue=4|pages=309–316|year=2006|month=October|pmid=17012653|doi=10.1192/bjp.bp.105.018325}}</ref>。パロキセチンの増量は、血中濃度では増加するものの、セロトニン受容体での占有率を増加させていないため、著者はSSRIの増量は推奨できないとしている<ref name="pmid20862644">{{cite journal||title=Dose-escalation of SSRIS in major depressive disorder. Should not be recommended in current guidelines|journal=Tijdschrift Voor Psychiatrie|volume=52|issue=9|pages=615–25|year=2010|pmid=20862644|url=http://www.tijdschriftvoorpsychiatrie.nl/en/issues/431/articles/8280}}</ref>。フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、フルボキサミンでのメタアナリシスで、反応率は通常の開始用量の50.8%に対して高用量で開始した場合は54.8%であり、有害事象による中止率は通常容量9.8%に対して高用量16.5%であり、有害事象のリスクのほうが高まった<ref name="pmid20218793">{{cite journal|last1=Papakostas|first1=George I.|last2=Charles|first2=Dana|last3=Fava|first3=Maurizio|title=Are typical starting doses of the selective serotonin reuptake inhibitors sub-optimal? A meta-analysis of randomized, double-blind, placebo-controlled, dose-finding studies in major depressive disorder|journal=World Journal of Biological Psychiatry|volume=11|issue=2_2|pages=300–307|year=2010|month=March|pmid=20218793|doi=10.3109/15622970701432528}}</ref>。

===効果の限界と方策===
抗うつ薬が投与された30%から50%の間の患者が反応を示さない<ref>{{Cite journal|author=Baghai TC, Möller HJ, Rupprecht R |title=Recent progress in pharmacological and non-pharmacological treatment options of major depression |journal=Curr. Pharm. Des. |volume=12 |issue=4 |pages=503–15 |year=2006 |pmid=16472142 |doi=10.2174/138161206775474422 }}</ref><ref name="SSRIswitch">{{Cite journal|author=Ruhé HG, Huyser J, Swinkels JA, Schene AH |title=Switching antidepressants after a first selective serotonin reuptake inhibitor in major depressive disorder: a systematic review |journal=J Clin Psychiatry |volume=67 |issue=12 |pages=1836–55 |year=2006 |month=December |pmid=17194261 |doi=10.4088/JCP.v67n1203 }}</ref>。着実な反応があった場合でも、うつ病と機能不全の有意な継続は一般的で、そういう事例では再発率は3から6倍高い<ref>{{Cite journal|author=Tranter R, O'Donovan C, Chandarana P, Kennedy S |title=Prevalence and outcome of partial remissionin depression |journal=J Psychiatry Neurosci |volume=27 |issue=4 |pages=241–7 |year=2002 |month=July |pmid=12174733 |pmc=161658 }}</ref>。さらに、抗うつ薬は治療の過程で効果を失っていく傾向がある<ref>{{Cite journal|doi=10.4088/JCP.v59n0602|author=Byrne SE, Rothschild AJ |title=Loss of antidepressant efficacy during maintenance therapy: possible mechanisms and treatments |journal=J Clin Psychiatry |volume=59 |issue=6 |pages=279–88 |year=1998 |month=June |pmid=9671339 }}</ref>。これらの限界と変動を打開するいくらかの方法が実際の診療で試みられている<ref>{{Cite journal|author=Mischoulon D, Nierenberg AA, Kizilbash L, Rosenbaum JF, Fava M |title=Strategies for managing depression refractory to selective serotonin reuptake inhibitor treatment: a survey of clinicians |journal=Can J Psychiatry |volume=45 |issue=5 |pages=476–81 |year=2000 |month=June |pmid=10900529 }}</ref>。薬の切り替えと増強と併用である。

====遺伝子に基づく治療の最適化====
STAR*Dでは、治療効果と遺伝子を解析し個人に最適化された投薬を探る目的があったが、そのようなデータは得られていない<ref name="pmid19880463"/>。欧州におけるNEWMEDS計画からも、セロトニン再取り込み阻害剤あるいはノルアドレナリン再取り込み阻害剤への反応性を予測する遺伝子との関連性は導き出せていない<ref name="pmid23091423">{{cite journal |author=Tansey KE, Guipponi M, Perroud N, ''et al.'' |title=Genetic predictors of response to serotonergic and noradrenergic antidepressants in major depressive disorder: a genome-wide analysis of individual-level data and a meta-analysis |journal=PLoS Medicine |volume=9 |issue=10 |pages=e1001326 |year=2012 |month=October |pmid=23091423 |pmc=3472989 |doi=10.1371/journal.pmed.1001326 |url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3472989/}}</ref>。

====「試行錯誤」による切り替え====
[[アメリカ精神医学会]](APA)の2000年の診療ガイドラインで、抗うつ薬による治療によって6から8週目までに反応がない場合、同じ種類の別の抗うつ薬に切り替え、次に異なった種類の抗うつ薬にすることを勧告している。この方法を用いたSTAR*D研究で報告された寛解率は21%であった。

2006年のメタ分析レビューは以前の研究の研究結果に多様性を見出した;SSRI抗うつ薬に反応しなかった患者が、新しい薬に対して12%から86%の間の反応があることを示した。しかしながら、個人はすでに多くの抗うつ薬を試しているので、新しい抗うつ薬試験からの恩恵はなさそうである。 <ref name="SSRIswitch"/>
また一方、後のメタ分析は、新しい薬への切り替えと古い薬の継続との間に、違いがないことを見出している;とはいえ、新しい薬に切り替えた場合、治療抵抗性患者の34%が反応し、切り替えなしでも40%の反応があった<ref>{{cite journal | author = Bschor T., Baethge C. | year = 2010 | title = No evidence for switching the antidepressant: systematic review and meta-analysis of RCTs of a common therapeutic strategy | url = | journal = Acta Psychiatrica Scandinavica | volume = 121 | issue = 3| pages = 174–179 | doi = 10.1111/j.1600-0447.2009.01458.x | pmid = 19703121 }}</ref>。
従って、新しい薬に対する臨床反応は、違う薬を受け取っているという信念に関連した[[偽薬効果]]の可能性がある。

====増強および併用====
アメリカ精神医学会のガイドラインは、部分的な反応に対して、増強あるいは違う種類の薬を追加することを勧めている。以下が含まれる:[[リチウム]]、[[甲状腺]]強化、{{仮リンク|ドーパミン作動薬|en|dopamine agonists}}、[[性ホルモン]]、[[ノルエピネフリン再取り込み阻害剤|NRI]]、[[糖質コルチコイド]]特性の薬剤、また新しい[[抗てんかん薬]]<ref name="augment">{{Cite journal|author=DeBattista C, Lembke A |title=Update on augmentation of antidepressant response in resistant depression |journal=Curr Psychiatry Rep |volume=7 |issue=6 |pages=435–40 |year=2005 |month=December |pmid=16318821 |doi=10.1007/s11920-005-0064-x }}</ref>STAR*D計画は、この方法で30%の寛解率を報告した。

併用戦略では、通常、ほかの機序による作用となるように異なる種類から追加の抗うつ薬を加える。とはいえ、この戦略の相対的な有効性あるいは副作用についての証拠はほとんどないため、臨床診療されるだろう。<ref>{{Cite journal|author=Lam RW, Wan DD, Cohen NL, Kennedy SH |title=Combining antidepressants for treatment-resistant depression: a review |journal=J Clin Psychiatry |volume=63 |issue=8 |pages=685–93 |year=2002 |month=August |pmid=12197448|doi=10.4088/JCP.v63n0805 }}</ref>STAR*D計画は、増強戦略で同じような寛解率を報告した。

切り替えの反対の、増強と併用は、医原性の精神病性の症状や治療抵抗あるいは症状の進行を伴った、病気の悪化と治療無反応の経過を治療する可能性があることを示している<ref>{{cite journal|last=Chouinard|first=Guy|coauthors=Chouinard Virginie-Anne|title=Atypical Antipsychotics: CATIE Study, Drug-Induced Movement Disorder and Resulting Iatrogenic Psychiatric-Like Symptoms, Supersensitivity Rebound Psychosis and Withdrawal Discontinuation Syndromes|journal=Psychother Psychosom|year=2008|month=January|volume=77|issue=7|pages=69–77|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18230939|accessdate=29 November 2012}}</ref>。
{{Seealso|多剤大量処方}}


====長期間の使用====
====長期間の使用====
抗うつ薬の治療効果はたいてい薬物治療終了後に継続しないため、再発率が高い。31のケースで抗うつ薬のプラセボ比較(多くは1年間調査期間)プラセボ切り替えた患者の41%が再発したのに対し、抗うつ薬に反応し患者の18%が再発した<ref>{{Cite journal|author=Geddes JR, Carney SM, Davies C |title=Relapse prevention with antidepressant drug treatment in depressive disorders: a systematic review |journal=Lancet |volume=361 |issue=9358 |pages=653?61 |year=2003 |month=February |pmid=12606176 |doi=10.1016/S0140-6736(03)12599-8 }}</ref>
抗うつ薬の治療効果は一般的に薬物治療終了するとかず、結果と再発率が高い。31のプラセボ対照の抗うつ薬の試験最近のメタアナリシス、研究期間のほとんどは1年あり抗うつ薬反応してい18%の患者が服薬中に再発したのに対し、抗うつ薬を偽薬に切り替え場合41%であったことを見出した<ref>{{Cite journal|author=Geddes JR, Carney SM, Davies C |title=Relapse prevention with antidepressant drug treatment in depressive disorders: a systematic review |journal=Lancet |volume=361 |issue=9358 |pages=653–61 |year=2003 |month=February |pmid=12606176 |doi=10.1016/S0140-6736(03)12599-8 }}</ref>。アメリカ精神医学会のガイドラインは、症状の消失後、4から5か月の抗うつ薬による継続治療を推奨している。うつ病エピソードの既往歴のある患者に対して、英国精神薬理学会の2000年の抗うつ薬によるうつ病治療のガイドラインは、最低でも6カ月から長くて5年あるいは無期限の抗うつ薬の継続を推奨している。


5年の追跡によれば、1年以上の使用では再発率は23%で、6か月か12か月間の使用と違いはなかった<ref>{{cite journal|last=Gardarsdottir|first=H|coauthors=van Geffen EC, Stolker JJ, Egberts TC, Heerdink ER|title=Does the length of the first antidepressant treatment episode influence risk and time to a second episode?|journal=J Clin Psychopharmacol.|year=2009|month=Feb|volume=29|issue=1|pages=69–72|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19142111|accessdate=29 November 2012}}</ref>。さらに、治療上の利益は治療過程の間に漸減した<ref name = fava>{{cite journal|last=Fava|first=Giovanni A.|coauthors=Offidani Emanuela|title=The mechanisms of tolerance in antidepressant action|journal=Progress in Neuropsychopharmacology & Biological Psychiatry|year=2011|month=August|volume=35|issue=7|pages=1593–1602|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278584610002927|accessdate=29 November 2012}}</ref>。急性期の治療における薬物療法の使用後の残遺期における心理療法を伴う方法が、いくつかの試験によって提案されている<ref>{{Cite journal|author=Fava GA, Park SK, Sonino N |title=Treatment of recurrent depression |journal=Expert Rev Neurother |volume=6 |issue=11 |pages=1735–40 |year=2006 |month=November |pmid=17144786 |doi=10.1586/14737175.6.11.1735 }}</ref><ref>{{Cite journal|author=Petersen TJ |title=Enhancing the efficacy of antidepressants with psychotherapy |journal=J. Psychopharmacol. (Oxford) |volume=20 |issue=3 Suppl |pages=19–28 |year=2006 |month=May |pmid=16644768 |doi=10.1177/1359786806064314 }}</ref>。
米国精神医学会のガイドラインでは、症状の解消後、抗うつ薬治療を4-5ヵ月継続することを助言している。


抗うつ薬による治療を受けた再発性の大うつ病患者40人で、再発した場合を除き抗うつ薬の投与をやめ、再発率は2年後時点で臨床管理では80%に対し認知行動療法では25%、6年後時点で臨床管理では90%に対し認知行動療法では60%であった<ref name="pmid15465985">{{cite journal|last1=Fava|first1=G. A.|title=Six-Year Outcome of Cognitive Behavior Therapy for Prevention of Recurrent Depression|journal=American Journal of Psychiatry|volume=161|issue=10|pages=1872–1876|year=2004|month=October|pmid=15465985|doi=10.1176/appi.ajp.161.10.1872|url=http://ajp.psychiatryonline.org/article.aspx?articleid=177103}}</ref>。
うつ病エピソードの既往のある患者に対しては、英国精神薬理学協会は"2000 Guidelines for Treating Depressive Disorders with Antidepressants"にて、少なくとも6ヶ月間の投与を続けるべきであり、長い場合は五年または無期限に用いることを助言している。


==偽薬との比較==
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{{Seealso|偽薬}}
1998年に、[[アービング・カーシュ]]の分析により、[[偽薬]]でも医薬品の効果の約75%分の効果が得られており、差異である薬の効果は25%に相当することが示され、この差異は副作用があることによって[[偽薬効果]]が高まったと解釈された。未治療では25%改善されており、自然経過など非特異的な要因(nonspecific factor)による回復であると解釈された。解析には、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬のアミトリプチリン、イミプラミン、アモキサピン、マプロチリン、SSRIのフルオキセチンとパロキセチン、SNRI抗うつ薬のベンラファキシン、SARI抗うつ薬のトラゾドン、DNRI抗うつ薬のブプロピオン、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)のイソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、バルビツール酸のアミロバルビトン、[[ベンゾジアゼピン]]のアジナゾラム、[[リチウム塩|リチウム]]、甲状腺ホルモンのリオチロニンの、16種の薬の研究のデータが用いられ、これを4つの群、TCA(三環系・四環系)の群、SSRIの群、ほかの抗うつ薬の群、ほかの薬の群に分け、4つの群で同様に、偽薬は薬に対して約75%の効果であった<ref>{{Cite journal |author=Kirsch, I., & Sapirstein, G|title=Listening to Prozac but hearing placebo: A meta-analysis of antidepressant medication. Prevention and Treatment |journal=Prevention and Treatment |volume=1|issue=2|date=1998-06-26|pages=Article 0002a|doi=10.1037/1522-3736.1.1.12a|url=http://journals.apa.org/prevention/volume1/pre0010002a.html|archiveurl=http://web.archive.org/web/19980715085305/http://journals.apa.org/prevention/volume1/pre0010002a.html |archivedate =1998-08-15}}</ref>。


欧州の規制機関が、認可された抗うつ薬SSRIおよびSNRIの保有データを解析したところ、同様の結果であった<ref name="pmid18621509">{{cite journal |author=Melander H, Salmonson T, Abadie E, van Zwieten-Boot B. |title=A regulatory Apologia--a review of placebo-controlled studies in regulatory submissions of new-generation antidepressants |journal=European Neuropsychopharmacology : the Journal of the European College of Neuropsychopharmacology |volume=18 |issue=9 |pages=623–7 |year=2008 |month=September |pmid=18621509 |doi=10.1016/j.euroneuro.2008.06.003 |url=}}</ref>。
===論争===
いくつかの研究は、抗うつ薬の有効性について疑いを呈している。2002年の調査では、抗うつ薬と[[偽薬|プラセボ]]との差は無視できる程度に近いことが挙げられている。<ref>{{Cite journal|last=Kirsch|first=I|year=2002|month=July|title=The emperor's new drugs: An analysis of antidepressant medication data submitted to the U.S. Food and Drug Administration|journal=Prevention & Treatment|volume=5|issue=1|publisher=American Psychological Association|doi=10.1037/1522-3736.5.1.523a|last2=Moore|first2=Thomas J.|last3=Scoboria|first3=Alan|last4=Nicholls|first4=Sarah S.}}</ref>


抗うつ薬の副作用に似た副作用のある活性プラセボ(偽薬)を用いた試験の[[コクラン共同計画]]によるシステマティックレビューでは、抗うつ薬と偽薬の間に有効性の違いがない<ref name="pmid14974002">{{cite journal|last1=Moncrieff|first1=Joanna|last2=Wessely|first2=Simon|last3=Hardy|first3=Rebecca|last4=Moncrieff|first4=Joanna|title=Active placebos versus antidepressants for depression|journal=Cochrane Database of Systematic Reviews (Online)|issue=1|pages=CD003012|year=2004|pmid=14974002|doi=10.1002/14651858.CD003012.pub2}}</ref>。
米国情報公開法の請求によって、二人の研究者はFDAによって認可され、1987-99年に最も処方された6つの抗うつ薬についての47の研究を閲覧した。全体として、統計的に抗うつ薬はプラセボよりも18%優れていた。
しかしこの研究を率いた[[:en:Irving Kirsch]]は「これは臨床現場の患者には意味を成さない」と主張している。彼と共同研究者Thomas Mooreはこれらの知見を"Prevention and Treatment"として、米国精神科医協会のe-journalで報告している。.<ref>{{Cite news|url=http://www.usatoday.com/news/health/drugs/2002-07-08-antidepressants.htm |title= Study: Antidepressant barely better than placebo |publisher=Usatoday.com |date=2002-07-07&nbsp;-&nbsp;Updated&nbsp;11:47 PM&nbsp;ET |accessdate=2008-11-06}}</ref>


==議論==
ペンシルバニア大学・バンダービルト大学・コロラド大学・ニューメキシコ大学の別々の心理学者により行われた研究によると、抗うつ薬は軽度から中等度のうつ病に対してほとんどプラセボ比較で効果が無いことが分かった。この研究は米国医学会誌に掲載された。この研究はgskの[[パキシル]]と[[イミプラミン]]を対象としている。<ref>{{Cite news|url=http://www.forbes.com/2010/01/05/antidepressant-paxil-placebo-business-healthcare-depression.html| title=Study Undermines Case for Antidepressants|date=2010-01-05|accessdate= 2010-07-01|work=Forbes|first=Robert|last=Langreth}}</ref>
高用量の抗うつ薬によるハミルトンうつ病評価尺度の改善度は、9.97点であったのに対し、低用量では9.57点であり、臨床的には無視できるほどの差であった。解析に使用されたのは、フルオキセチン(プロザック)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ゾロフト)、 ベンラファキシン(エフェクサー)、ネファゾドン(サーゾーン)、およびシタロプラム(セレクサ)のデータである。<ref>{{Cite journal|last=Kirsch|first=I|year=2002|month=July|title=The emperor's new drugs: An analysis of antidepressant medication data submitted to the U.S. Food and Drug Administration|journal=Prevention & Treatment|volume=5|issue=1|publisher=American Psychological Association|doi=10.1037/1522-3736.5.1.523a|last2=Moore|first2=Thomas J.|last3=Scoboria|first3=Alan|last4=Nicholls|first4=Sarah S.|url=http://alphachoices.com/repository/assets/pdf/EmperorsNewDrugs.pdf|format=pdf}}</ref>


2005年には、抗うつ薬は米国で最も問題について議論される処方薬となった。一部の医師は、人々が問題の最終的な救いを求めているサインだと考えている。他はこれらの人々が抗うつ薬に依存しすぎていると反論している。<ref>{{Cite news|url=http://www.cnn.com/2007/HEALTH/07/09/antidepressants/index.html |title=CDC: Antidepressants most prescribed drugs in U.S |date=2007-07-09 |accessdate=2011-05-21 |
2005年には、抗うつ薬は米国で最も問題について議論される処方薬となった。一部の医師は、人々が問題の最終的な救いを求めているサインだと考えている。他はこれらの人々が抗うつ薬に依存しすぎていると反論している。<ref>{{Cite news|url=http://www.cnn.com/2007/HEALTH/07/09/antidepressants/index.html |title=CDC: Antidepressants most prescribed drugs in U.S |date=2007-07-09 |accessdate=2011-05-21 |
work=CNN}}</ref>
work=CNN}}</ref>


2009年には、[[アメリカ国立精神衛生研究所]](NIMH)の[[トーマス・インセル]]は、偽薬効果を疑問視する証拠を挙げたうえで、抗うつ薬の効果がすべて偽薬効果だとしても、STAR*D計画における14週後の最適な寛解率である28%を受け入れるべきかと問い、数時間で寛解をもたらす[[ケタミン]]を次世代の抗うつ薬の目標にしている<ref name="pmid19880463">{{cite journal |last1=Insel|first1=T. R.|authorlink1=トーマス・インセル|last2=Wang|first2=P. S. |title=The STAR*D trial: revealing the need for better treatments |journal=Psychiatr Serv |volume=60 |issue=11 |pages=1466–7 |year=2009 |month=November |pmid=19880463 |doi=10.1176/appi.ps.60.11.1466 |url=http://ps.psychiatryonline.org/article.aspx?articleid=100921}}</ref>。
海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また自殺に関するリスクが増加するとの報告もある。<ref>[http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340278_1179041F1025_2_25.pdf パキシル添付文書]</ref>

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==出版バイアス==
{{Seealso|出版バイアス}}
偽薬効果のメタアナリシスによる解析に加えて、否定的な結果が出たことによって公開されていないという、[[出版バイアス]]によって公開されていなかった試験のデータを結合しての解析が行われた。

2004年にパキシルに関する[[グラクソスミスクライン]]による若年者で自殺の危険性が高まるというデータの隠ぺいに関する裁判で、全試験のデータの公開が決定した<ref>{{cite news| author=Gardiner Harris|url=http://www.nytimes.com/2004/08/26/business/26CND-DRUG.html | work=The New York Times | title=Maker of Paxil to Release All Trial Results | date=August 26, 2004 | accessdate=2013-01-10}}</ref>。すぐに、医学雑誌編集者国際委員会が一流医学誌で事前登録のない臨床試験を掲載しないという声明を行い、世界保健機関による登録制度の構築や、臨床試験の事前登録の議論へとつながった<ref name="pmid20504337">{{cite journal |author=Bian ZX, Wu TX |title=Legislation for trial registration and data transparency |journal=Trials |volume=11 |issue= |pages=64 |year=2010 |pmid=20504337 |pmc=2882906 |doi=10.1186/1745-6215-11-64 |url=http://www.trialsjournal.com/content/11/1/64}}</ref>。世界保健機関とその関連機関が、パロキセチンの未公表試験を含めてメタアナリシスし、偽薬で83%の効果があったことを見出した<ref>{{cite journal |author=Barbui C, Furukawa TA, Cipriani A |title=Effectiveness of paroxetine in the treatment of acute major depression in adults: a systematic re-examination of published and unpublished data from randomized trials |journal=CMAJ |volume=178 |issue=3 |pages=296–305 |year=2008 |month=January |pmid=18227449 |pmc=2211353 |doi=10.1503/cmaj.070693}}</ref>。

アメリカの[[情報公開法]]に則って、[[アメリカ食品医薬品局]](FDA)に認可のために提出されていたフルオキセチン、ベンラファキシン、ネファゾドンとパロキセチンの臨床試験のデータを解析した。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)で、抗うつ薬は9.6点、偽薬で7.8点改善し、この1.8点の差は[[英国国立医療技術評価機構]](NICE)が臨床的に有意な差とする3点を下回った。偽薬は抗うつ薬の82%の効果であることが見出され、HAM-Dで3点の差ができるのは、およそ28点以上の場合であり、重症のうつ病に対してであった。<ref name="pmid18303940">{{cite journal |author=Kirsch I, Deacon BJ, Huedo-Medina TB, Scoboria A, Moore TJ, Johnson BT |title=Initial severity and antidepressant benefits: a meta-analysis of data submitted to the Food and Drug Administration |journal=PLoS Medicine |volume=5 |issue=2 |pages=e45 |year=2008 |month=February |pmid=18303940 |pmc=2253608 |doi=10.1371/journal.pmed.0050045 |url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2253608/}}</ref>

[[ペンシルベニア大学]]、[[バンダービルト大学]]、[[コロラド大学]]、[[ニューメキシコ大学]]の別々の心理学者により行われた研究によると、抗うつ薬は軽症から中等度のうつ病に対してほとんどプラセボ比較で効果が無いことが分かった。この研究は米国医学会誌に掲載された。この研究はグラクソスミスクラインの[[パキシル]]と[[イミプラミン]]を対象としている。<ref>{{Cite news|url=http://www.forbes.com/2010/01/05/antidepressant-paxil-placebo-business-healthcare-depression.html| title=Study Undermines Case for Antidepressants|date=2010-01-05|accessdate= 2010-07-01|work=Forbes|first=Robert|last=Langreth}}</ref>


== 副作用 ==
== 副作用 ==
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* 手足の痙攣・振戦、全身の痺れなど(重症になると一ヶ月ほど痺れが続く場合もある)
* 手足の痙攣・振戦、全身の痺れなど(重症になると一ヶ月ほど痺れが続く場合もある)


新しい世代の薬である[[選択的セロトニン再取り込み阻害薬|SSRI]]や[[セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬|SNRI]]ではこれらの副作用は少ない(皆無ではない)が、振戦、吐き気、性欲減退、[[セロトニン症候群]]、[[悪性症候群]]と言った副作用が報告されている。なかでも服用開始直後の吐き気については三環系、四環系よりも発現する率が高い。ただし、これについては制吐剤([[ガスモチン]]など)や[[六君子湯]]などの併用によって緩和することが可能である{{要出典|date=2011年10月}}<ref>[http://www.nakaoclinic.ne.jp/topics/topics14.html SSRI 2002 Nakao Clinic]</ref>
服用開始直後の吐き気については、これについては制吐剤([[ガスモチン]]など)や[[六君子湯]]などの併用によって緩和することが可能である{{要出典|date=2011年10月}}<ref>[http://www.nakaoclinic.ne.jp/topics/topics14.html SSRI 2002 Nakao Clinic]</ref>
。性欲減退については[[DNRI]]との併用で解消できる場合があることが報告されている。
。性欲減退については[[DNRI]]との併用で解消できる場合があることが報告されている。


===概要===
さらに、うつ状態を呈する患者に抗うつ薬を投与した後に、躁状態を惹起することが(疫学上の反証があるものの)経験上知られており、躁状態が顕著でない場合、とりわけ双極II型と単極性うつ病の鑑別を要する。
SSRIの副作用には以下が含まれるが、これだけに限定されるわけではない:[[セロトニン症候群]]、[[吐き気]]、[[下痢]]、血圧の上昇、{{仮リンク|精神運動性激越|en|Psychomotor agitation}}、[[頭痛]]、[[不安]]、神経過敏、情緒不安定、自殺念慮の増加、自殺企図、不眠症、、薬物間の相互作用、新生児の薬害反応、{{仮リンク|食欲不振|en|anorexia (symptom)}}、口渇、眠気、振戦、[[性機能障害]]、[[リビドー|性欲]]減衰、無力、消化不良、{{仮リンク|目まい|en|Dizziness}}、発汗、人格障害、鼻血、頻尿、月経過多、躁/軽躁<ref name=eli>{{cite journal|last=Landry|first=P.|title=Withdrawal hypomania associated with paroxetine|journal=J. Clinical Pharmacology|year=1997|month=February|volume=17|pages=60–61|pmid=9004064|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9004064}}</ref>悪寒、動悸、味覚倒錯、排尿障害<ref>{{cite web|title=Highlights of prescribing information|url=http://pi.lilly.com/us/prozac.pdf|publisher=Eli lilly|accessdate=2013-01-19}}</ref>、傾眠、胃腸の不整、筋力低下、長期間の体重増加。


三環系抗うつ薬の一般的な副作用:{{仮リンク|口渇|en|dry mouth}}、かすみ目、{{仮リンク|傾眠|en|Drowsiness}}、目まい、振戦、性的な問題、皮膚湿疹、また体重の増減。
また、SSRI薬剤を突然中断すると、不安の増加、うつ症状の悪化が報告されている。

医師は患者に対して継続的な投薬が必要であることの説明義務が求められる。
三環系抗うつ薬の副作用には、心拍数、傾眠、口渇、便秘、尿閉、かすみ目、目まい、精神錯乱、性機能障害。毒性は、常用量で約10倍である;過剰服用では、致命的な不整脈を引き起こし致死的になることが多い。一方で、三環系抗うつ薬は、今なお特にうつ病の重症の症例での有効性を理由として、安価にまた適用外で用いられている。

1998年の162のランダム化比較試験からのSSRIと三環系抗うつ薬の有害事象の比較レビューでは、口渇、便秘、目まいではSSRIのほうが半分程度の頻度であるが、吐き気、下痢、不安、興奮、不眠症ではSSRIのほうがおよそ2倍の頻度であり、副作用の合計数では、SSRIのほうが多かった。<ref>{{cite journal|last1=Hotopf|first1=M.|title=Review: selective serotonin reuptake inhibitors differ from tricyclic antidepressants in adverse events|journal=Evidence-Based Mental Health|volume=1|issue=2|pages=50–50|year=1998|doi=10.1136/ebmh.1.2.50|url=http://ebmh.bmj.com/content/1/2/50.full.pdf|format=pdf}}</ref>。

MAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)の副作用を挙げる:MAOIは、熟成チーズや干し肉、酵母エキスのような多量の[[チラミン]]を含有する食品を摂取した場合、重篤な高血圧反応を生じさせる可能性がある。同じく、処方せん医薬品と一般用医薬品(OTC医薬品)に対する致命的な反応を引き起こす。MAOIで治療を受けている患者は、先に服用している処方せん医薬品と一般用医薬品を、処方医師によって詳細に観察される。そのような患者は救急治療室職員に情報提供し、MAOIに関する識別情報を持つことを必要とされる。一部の医師は[[:en:medical identification tag|医療識別タグ]]の使用を提案しているが、反応は致命的な可能性があり、相互作用に起因する総死亡数と食事に関する懸念は、一般医薬品に対するものに匹敵する。

ほかのMAOIの副作用を挙げる:[[肝炎]]、[[心筋梗塞]]、[[脳梗塞]]、[[てんかん]]。
セロトニン症候群は、いくつかの医薬品を併用した場合のMAOIの副作用である。{{仮リンク|モクロベミド|en|Moclobemide}}は、薬物動態に年齢による影響がないため高齢者に推奨される可能性があり、若い成人と同様に高齢者に良好な忍容性を示し、重篤な有害事象が少なく、加えて言えば、副作用の多いほかの抗うつ薬と同様の有効性がある;またモクロベミドは認知における有益作用がある<ref name="pmid7717092">{{cite journal |author=Nair NP, Ahmed SK, Kin NM, West TE |title=Reversible and selective inhibitors of monoamine oxidase A in the treatment of depressed elderly patients |journal=Acta Psychiatr Scand Suppl |volume=386 |issue= |pages=28–35 |year=1995 |pmid=7717092 |doi=10.1111/j.1600-0447.1995.tb05921.x }}</ref>。新しい世代のMAOIが導入されている;[[RIMA]]として知られる、モクロベミド(マネリックス)は、うつ病に対しSSRIや三環系抗うつ薬と同様の有効性がある<ref name="pmid7717091">{{cite journal |author=Paykel ES |title=Clinical efficacy of reversible and selective inhibitors of monoamine oxidase A in major depression |journal=Acta Psychiatr Scand Suppl |volume=386 |issue= |pages=22–7 |year=1995 |pmid=7717091 |doi=10.1111/j.1600-0447.1995.tb05920.x }}</ref>。より一時的かつ選択的に作用し特別な食事法を必要としない。

NaSSIの副作用には、傾眠、食欲増加、体重増加が含まれる<ref name="Stimmel">{{Cite journal|last=Stimmel |first=GL|year=1997|month=Jan-Feb|title=Mirtazapine: an antidepressant with noradrenergic and specific serotonergic effects|journal=Pharmacotherapy|volume=17|issue=1|pages=10–21|publisher=American College of Clinical Pharmacy|issn=0277-0008|pmid=9017762|last2=Dopheide|first2=JA|last3=Stahl|first3=SM}}</ref>。

2009年5月に公表された研究によれば、乳がん生存者が、抗がん剤のタモキシフェンの服用中にいくつかの抗うつ薬を用いた場合に、再発の危険性がある<ref>{{Cite news| url=http://www.cbsnews.com/stories/2009/05/30/health/main5050992.shtml?tag=main_home_storiesBySection | work=CBS News | title=Drug Combos Linked To Breast Cancer Risk | date=2009-05-30}}</ref>。

双極性うつ病においては抗うつ薬が、SSRIでは頻繁に、{{仮リンク|軽躁|en|Hypomania}}と[[躁病|躁]]の症状の悪化あるいは誘因となる<ref>{{cite journal |doi=10.1016/S0165-0327(97)00082-7 |last1=Benazzi |first1=F |title=Antidepressant-associated hypomania in outpatient depression: a 203-case study in private practice |journal=Journal of Affective Disorders |volume=46 |issue=1 |pages=73–7 |year=1997 |pmid=9387089}}</ref>。

妊娠中の抗うつ薬の使用は、自然流産の危険性の増加に関連している<ref name="autogenerated1031"/>。

===妊娠期===
妊娠は感情の変動の誘因となり、うつ病に対処することを難しくする。発達中の胎児と乳児に対する危険性と反している医薬品の中断と再発の危険性が、比較検討される。一部の抗うつ薬は妊娠中の胎児に対する危険性が低いが、FDAはパキシル使用時の出生異常の危険性について忠告しており<ref>{{cite web|last=U.S. Food and Drug Administration|title=FDA Advising of Risk of Birth Defects with Paxil|url=http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/2005/ucm108527.htm|publisher=FDA|accessdate=29 November 2012}}</ref>、またMAOIは避けるべきである。新生児は、出生時に抗うつ薬の突然の中断により離脱症候群が現れる可能性がある。妊娠中の抗うつ薬の使用は、自然流産<ref name="autogenerated1031">{{Cite journal|pmid= 20513781|year= 2010|last1= Nakhai-Pour|first1= HR|last2= Broy|first2= P|last3= Bérard|first3= A|title= Use of antidepressants during pregnancy and the risk of spontaneous abortion,|volume= 182|issue= 10|pages= 1031–7|doi= 10.1503/cmaj.091208|pmc= 2900326|journal= CMAJ : Canadian Medical Association|postscript}}</ref>、出生異常<ref>{{cite journal|last=Louik|first=Carol|coauthors=Lin, A.E.,Werler M.M., Hernández-Díaz S., Mitchell A.A.|title=First-Trimester Use of Selective Serotonin-Reuptake Inhibitors and the Risk of Birth Defects|journal=N Engl J Med|date=28|year=2007|month=June|volume=356|pages=2675–2683|url=http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa067407|accessdate=2 December 2012}}</ref>、発育遅延<ref>{{cite journal|last=Pedersen|first=Lars Henning|coauthors=Henriksen, T.B.,J et al.|title=Fetal Exposure to Antidepressants and Normal Milestone Development at 6 and 19 Months of Age|journal=PEDIATRICS|date=1|year=2010|month=March|volume=125|issue=3|pages=e600-e608|url=http://pediatrics.aappublications.org/content/125/3/e600/suppl/DC1|accessdate=29 November 2012}}</ref>の危険性の増加、自閉症の危険性が2倍に増加する<ref name="pmid21727247">{{cite journal|last1=Croen|first1=Lisa A.|title=Antidepressant Use During Pregnancy and Childhood Autism Spectrum Disorders|journal=Archives of General Psychiatry|volume=68|issue=11|pages=1104|year=2011|month=November|pmid=21727247|doi=10.1001/archgenpsychiatry.2011.73|url=http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1107329}}</ref>
ことに結びついている。抗うつ薬は、母乳中にさまざまな量で含まれているが、乳児に対する影響は不明である<ref>{{cite journal|last=Lanza di Scalea|first=T|coauthors=Wisner KL|title=Antidepressant medication use during breastfeeding|journal=Clin Obstet Gynecol|year=2009|month=September|volume=52|issue=3|pages=483–9|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19661763|accessdate=29 November 2012}}</ref>。

2006年の『[[ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション|米国医師会雑誌]]』(''JAMA'')における産業的な公表では、妊娠中に抗うつ医薬品を中断することは再発頻度が高いことを見出した<ref>{{Cite journal| last = Cohen, MD | first =Lee S. | title = Relapse of Major Depression During Pregnancy in Women Who Maintain or Discontinue Antidepressant Treatment | journal = Journal of the American Medical Association | volume =295 | issue = 5 | pages = 499–507 | publisher = American Medical Association | date= February 1, 2006 | url = http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/5/499 | accessdate = 2007-06-14 | doi = 10.1001/jama.295.5.499 | pmid = 16449615 | last2 = Altshuler | first2 = LL | last3 = Harlow | first3 = BL | last4 = Nonacs | first4 = R | last5 = Newport | first5 = DJ | last6 = Viguera | first6 = AC | last7 = Suri | first7 = R | last8 = Burt | first8 = VK | last9 = Hendrick | first9 = V| archiveurl= http://web.archive.org/web/20070602204124/http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/5/499| archivedate= 2 June 2007 <!--DASHBot-->| deadurl= no}}</ref>。米国医師会雑誌は後に、金銭的つながりや利害関係の衝突の可能性に言及して訂正を公表し<ref>{{Cite journal| title = Relapse of Major Depression During Pregnancy in Women Who Maintain or Discontinue Antidepressant Treatment—Correction | journal = JAMA | volume = 296 | issue = 2 | page = 170 | date= July 12, 2006 | url = http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/jama;296/2/170 | accessdate = 2007-06-14 | doi = 10.1001/jama.296.2.170}}{{dead link|date=November 2012}}</ref>、著者は、つながりは研究活動に関係していないと主張した。産科医で出産期医学者のアダム・ユレート(Adam Urato)は、『[[ウォール・ストリート・ジャーナル]]』で、患者と医療専門家は産業の影響から自由な状態で助言される必要があると述べた<ref>David Armstrong, "Drug Interactions: Financial Ties to Industry Cloud Major Depression Study At Issue: Whether It's Safe For Pregnant Women To Stay on Medication - JAMA Asks Authors to Explain". Wall Street Journal. July 11, 2006 ([http://www.post-gazette.com/pg/06192/705022-114.stm copy] published on post-gazette.com)</ref>。


===自殺===
===自殺===
{{Seealso|賦活症候群}}
年齢に関わりなく、抗うつ薬(特にSSRI)の処方開始直後に、未遂を含めた自殺のリスクが上昇するという報告があり、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]食品医薬品局([[アメリカ食品医薬品局|FDA]])から警告が発せられた<ref>[http://www.fda.gov/cder/drug/advisory/SSRI200507.htm FDAの自殺念慮とSSRIの関連についての勧告]{{リンク切れ|date=2010年12月}}</ref>。これは機序不明であるが、余りにも重症で自殺を行う意欲すらなかった患者が部分的に改善することで、自殺を図るエネルギーを得てしまうという説や、また、SSRIは受容体のダウンレギュレーションを行う為、開始直後には一時的にうつ病の症状が悪化するなどという説がある。
増量でも減量でも、抗うつ薬の服用量を変更した場合、自殺の危険性が2倍になることが認められる<ref name="Valuck 2009 1069–1077">{{cite journal|last=Valuck|first=Robert J.|coauthors=Orton, Heather D.; Libby, Anne M.|title=Antidepressant Discontinuation and the Risk of Suicide Attempt: A retrospective, Nested Case-Control Study|journal=J. Clin. Psychiatry|year=2009|month=August|volume=70|issue=8|pages=1069–1077|url=http://europepmc.org/abstract/MED/19758520/reload=0;jsessionid=UhURfsMAHtvbaMwcFxk0.10}}</ref>。
159,810人のアミトリプチリン、フルオキセチン、パロキセチン、ドチエピンの使用者からの研究から、抗うつ薬の開始から1カ月、特に最初の日から9日目の間に自殺行動の危険性が増加したことが見出された<ref name="pmid15265848">{{cite journal|last=Jick|first=Hershel|coauthors=Kaye J.A., Jick S.S.|title=Antidepressants and the risk of suicidal behavious|journal=JAMA|date=21|year=2004|month=July|volume=292|issue=3|pages=338–343|pmid=15265848|doi=10.1001/jama.292.3.338|url=http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=199120|accessdate=29 November 2012}}</ref>。

アメリカ食品医薬品局は、すべてのSSRIに、子供と若年者における自殺率(1000人あたり2人から4人)を2倍にする、という黒枠警告文を命じた<ref name=Levine-Antonuccio-Healy>[http://www.alternet.org/story/156232/take_a_pill%2C_kill_your_sex_drive_6_reasons_antidepressants_are_misnamed/?page=entire Take a Pill, Kill Your Sex Drive? 6 Reasons Antidepressants Are Misnamed], [[Bruce E. Levine]], [[AlterNet]], July 11, 2012</ref><ref>{{Cite journal| last = Lenzer | first = Jeanne | title = Antidepressants double suicidality in children, says FDA | journal = BMJ | volume = 332 | page = 626 | year = 2006 | url = http://www.bmj.com/cgi/content/full/332/7542/626-c | doi = 10.1136/bmj.332.7542.626-c | accessdate = 2008-04-14 | issue=7542}}</ref>。しかしながら、自殺は医薬品に起因するのか、うつ病自身の要素なのかという議論がある<ref name=Levine-Antonuccio-Healy/><ref>{{cite web|url=http://www.patient.co.uk/health/Antidepressants-SSRIs.htm |title=SSRI Antidepressants &#124; Health |publisher=Patient.co.uk |date=2010-10-27 |accessdate=2012-11-30}}</ref>。25歳以下の成人の自殺傾向や自殺行動の危険性の増加は、子供と若年者でのものに近い<ref>{{cite journal |author=Stone M, Laughren T, Jones ML, ''et al.'' |title=Risk of suicidality in clinical trials of antidepressants in adults: analysis of proprietary data submitted to US Food and Drug Administration |journal=BMJ |volume=339 |issue= |pages=b2880 |year=2009 |pmid=19671933 |pmc=2725270 |doi=dx.doi.org/10.1136/bmj.b2880 |url=http://dx.doi.org/10.1136/bmj.b2880}}</ref>。

若い患者は、自殺念慮や行動の兆候を、とりわけ治療開始の8週間は、注意深く観察されるべきである。

米国ではFDAの警告以降に若年者の自殺死者数が増加している。FDA警告の結果、若年者の抗うつ薬治療が少なくなり、結果として自殺者が増えたとすれば問題である<ref>[http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/HP070914.pdf 抗うつ薬で自殺が増加するか? 日本うつ病学会 理事長 野村総一郎] 2007年9月14日</ref>。

==他害行為==
食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システム(AERS)のデータのうち、殺人や暴力の基準を満たしたものを同定し、暴力が起きた件数の79%を31つの薬で7占めたが、そのうち抗うつ薬は13である<ref name="pmid21179515">{{cite journal|last1=Ross|first1=Joseph S.|last2=Moore|first2=Thomas J.|last3=Glenmullen|first3=Joseph|last4=Furberg|first4=Curt D.|title=Prescription Drugs Associated with Reports of Violence Towards Others|journal=PLoS ONE|volume=5|issue=12|pages=e15337|year=2010|pmid=21179515|pmc=3002271|doi=10.1371/journal.pone.0015337|url=http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0015337}}</ref>。抗うつ薬全体では8.4倍、フルオキセチン(プロザック、SSRI)で10.9倍、パロキセチン(パキシル、SSRI)10.3倍、フルボキサミン(デプロメール、SSRI)8.4倍、{{仮リンク|ベンラファキシン|en|venlafaxine}}(SNRI)8.3倍、{{仮リンク|デスベンラファキシン|en|desvenlafaxine}}(SNRI)7.9倍、セルトラリン(ゾロフト、SSRI)6.7倍、エスシタロプラム(レクサプロ、SSRI)5.0倍、セルトラリン(ゾロフト、SSRI)6.7倍、エスシタロプラム(レクサプロ、SSRI)5.0倍、シタロプラム(SSRI)4.3倍、アミトリプチリン(トリプタノール、三環系)4.2倍、ブプロピオン(DNRI)3.9倍、トラゾドン(レスリン)3.5倍、ミルタザピン(NaSSA)3.4倍、デュロキセチン(SNRI)2.8倍であった。抗うつ薬の服用者の年齢が下がるほど他害行為の傾向が見られた<ref name="PMDSI261">{{Cite report |date=2009-09 |title=医薬品・医療機器等安全性情報PMDSI No261|url=http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/file/PMDSI261.pdf|format=pdf |chapter=SSRI/SNRIと他害行為について|pages= 8-12|publisher=医薬品医療機器総合機構 |accessdate=2013-02-23}}</ref>。

===レム睡眠の抑制===
トリミプラミン、ミルタザピン、ネファゾドンを除くすべての主要な抗うつ薬は、[[レム睡眠]]を抑制し、これらの薬の臨床効果は、概してレム睡眠における抑制効果に由来するという説がある。
抗うつ薬の3つの主要な種類、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、三環系抗うつ薬(TCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、レム睡眠を大きく抑制する<ref>{{Cite journal|first=Robert P. |last=Vertes |year=2000 |title=The case against memory consolidation in REM sleep |journal=Behavioral and Brain Sciences |volume=23 |issue=6 |pages=867–876 |doi=10.1017/S0140525X00004003 |pmid=11515146 |last2=Eastman |first2=KE}}</ref>。MAOIはほぼ完全にレム睡眠を抑制する。ミルタザピンはレム睡眠に影響がないか、それを僅かに増加させるかのどちらかである<ref>{{cite web|url=http://www.pslgroup.com/dg/2030e2.htm |title=ISP: Mirtazapine Regulates Stress Hormones, Improves Sleep In Depressed Patients|accessdate =2013-01-19}}</ref>。この作用は、長期間にわたり高用量の抗うつ薬を服用している患者の疲労を増大させる原因となる。


===体重増加===
しかし、米国ではFDAの警告以降に若年者の自殺死者数が増加している。FDA警告の結果、若年者の抗うつ薬治療が少なくなり、結果として自殺者が増えたとすれば問題である。<ref>[http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/HP070914.pdf 抗うつ薬で自殺が増加するか? 日本うつ病学会 理事長 野村総一郎]</ref>
多くの抗うつ薬(TCA、TecA、SSRIのグループから[[パロキセチン]])は、通常は5〜25キログラムの範囲で、まれに50キログラム以上の体重増加に結びついている。約165万人からのメタアナリシスで、SSRIや主に三環系抗うつ薬であるほかの抗うつ薬の使用は、2年で2型糖尿病の危険性を68パーセント増加させる<ref name="pmid21811871">{{cite journal |author=Pan A, Sun Q, Okereke OI, ''et al.'' |title=Use of antidepressant medication and risk of type 2 diabetes: results from three cohorts of US adults |journal=Diabetologia |volume=55 |issue=1 |pages=63–72 |year=2012 |month=January |pmid=21811871 |pmc=3229672 |doi=10.1007/s00125-011-2268-4 |url=}}</ref>。


===離脱症状===
=== 離脱症状 ===
{{See also|SSRI離脱症候群}}
{{See also|SSRI離脱症候群}}
SSRIを急に中断した場合、頻繁に、身体と精神の両方に[[離脱]]の要素のある[[SSRI離脱症候群]]を生じさせる<ref>{{cite journal|last=Tamam|first=L.|coauthors=Ozpoyraz N.|title=Selective serotonin reuptake inhibitor discontinuation syndrome: a review.|journal=Adv Ther.|year=2002|month=Jan-Feb|volume=19|issue=1|pages=17–26|pmid=12008858|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12008858|accessdate=Nov 27, 2012}}</ref>。離脱症状は、抗うつ薬を6週間以上服用した後に服薬をやめた数時間から1日程度で表れる可能性があり、少なくとも2~3週間後であるうつ病の再発とは異なる<ref name="pmid16913164">{{cite journal||title=Antidepressant discontinuation syndrome|journal=American Family Physician|volume=74|issue=3|pages=449–56|year=2006|month=August|pmid=16913164|url=http://www.aafp.org/afp/2006/0801/p449.html}}</ref>。症状は軽度なことが多いが、少数は医師による治療が必要である<ref name="pmid16913164"/>。
SSRI薬剤を突然中断すると、身体的・精神的な離脱症状が起こる。これらは[[SSRI離脱症候群]]として知られている。(Tamam & Ozpoyraz, 2002)
抗うつ薬の服用を中止する際には、数週間に渡って徐々に投与量を中断することで「離乳」するのが一般的である。ほとんどのケースでは離脱症状は1-4週間で収まるとされる。ただし、うつ症状の悪化が懸念される。{{Citation needed|date=March 2009}}


離脱症状は、三環系抗うつ薬<ref>{{cite journal|last=Kramer|first=J.C.|coauthors=Klein D.Fl, Fink M.|title=Withdrawal symptoms following discontinuation of imiparmine therapy|journal=Am J Psychiatry|year=1961|volume=118|pages=548–550}}</ref>、モノアミン酸化酵素阻害薬<ref>{{cite journal|last=Haddad|first=P.M.|title=Antidepressant discontinuation syndromes. Clinical relevance, prevention and management|journal=Drug Saf|year=2001|volume=24| issue = 3|pages=183–197|url=http://www.ingentaconnect.com/content/adis/dsf/2001/00000024/00000003/art00003}}</ref>とSSRIで報告されている。


デンマークにおけるノルディック・コクラン・センターの研究者は、SSRI中断の兆候と症状を[[ベンゾジアゼピン離脱症候群]]におけるものと比較し、両方に離脱反応として[[依存症]]症候群を示し、酷似していたと結論した<ref name="pmid21992148">{{cite journal|last=Nielsen|first=Margrethe|coauthors=Hansen E.H.,Gotzsche P.C.|title=What is the difference between dependence and withdrawal reactions? A comparison of benzodiazepines and selective serortonin re-uptake inhibitors|journal=Addiction|year=2012|month=May|volume=107|issue=5|pages=900–908|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21992148}}</ref>。ほかの場所では、SSRIが依存症を引き起こすという懸念が持ち上がっている<ref>{{cite book|last=Medawar|first=C.|title=Medicines out of Control|year=2004|publisher=Aksant|location=The Netherlands}}</ref>。抗うつ薬は、[[時計遺伝子]]として知られる転写因子と相互に作用する可能性があり<ref>{{Cite journal|author=Uz T, Ahmed R, Akhisaroglu M, Kurtuncu M, Imbesi M, Dirim Arslan A, Manev H |title=Effect of fluoxetine and cocaine on the expression of clock genes in the mouse hippocampus and striatum |journal=Neuroscience |volume=134 |issue=4 |pages=1309–16 |year=2005 |pmid=15994025 |doi=10.1016/j.neuroscience.2005.05.003}}</ref>、薬物の依存性(薬物乱用)とおそらく肥満に関与している<ref>{{Cite journal|author=Yuferov V, Butelman E, Kreek M |title=Biological clock: biological clocks may modulate drug addiction |journal=Eur J Hum Genet |volume=13 |issue=10 |pages=1101–3 |year=2005 |pmid=16094306 |doi=10.1038/sj.ejhg.5201483}}</ref><ref>{{Cite journal|author=Manev H, Uz T |title=Clock genes as a link between addiction and obesity |journal=Eur J Hum Genet |volume=14 |issue=1 |page=5 |year=2006 |pmid=16288309 |doi=10.1038/sj.ejhg.5201524}}</ref>。6~9か月を超える長期の治療の場合、このプロセスは抗うつ薬の初期の急性効果を妨害する(臨床効果の減少)。薬物治療の終了時にこのプロセスのみとなって離脱症状を生じさせ、再発の脆弱さが増す。このプロセスは必ずしも可逆的ではない。それどころか多くの抗うつ薬が切り替えあるいは増強されており、反耐性が起きる。<ref name = fava>{{cite journal|last=Fava|first=Giovanni A.|coauthors=Offidani Emanuela|title=The mechanisms of tolerance in antidepressant action|journal=Progress in Neuropsychopharmacology & Biological Psychiatry|year=2011|month=August|volume=35|issue=7|pages=1593–1602|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278584610002927|accessdate=29 November 2012}}</ref>
その個人と症例に合わせて抗うつ薬と投与量を決定するのには、専門の知識を必要とする時間のかかる複雑な過程である。特定の抗うつ薬は初期段階に抑うつを悪化させる。症状には不安の誘導、アグレッシブ化<ref name="af">[http://www.afternoonconcert.com/ 2009 SSRIの抗うつ剤 副作用と離脱症状]</ref>、不快感、突然の自殺<ref name="med">[http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200604/500857.html SSRI・SNRIによる自殺企図のリスク 北村正樹 慈恵医大病院 日経メディカルオンライン]</ref>などがある。<!-- {{Citation needed|date=March 2009}} -->
[[双極性障害]]の場合、抗うつ薬は抑うつを[[躁病]]または軽躁にスイッチさせてしまう場合がある<ref name=iku">[http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/report/motohashi16/motohashi16-3.pdf SSRI・SNRIに治療抵抗性うつ病の治療方法に関する研究 井上猛 北海道大学医学部附属病院精神科]</ref>。<!-- {{Citation needed|date=March 2009}} -->


SSRI中断の離脱症状の一部を挙げる:怒り、不安、パニック、抑うつ、離人症、剥離、精神錯乱、集中力の低下、記憶の問題、号泣発作、幻覚、躁、せん妄、平衡感覚の問題、視覚障害、電撃の感覚<ref name="JClinPsy2004-Baboolal"/><ref>{{cite journal | author = Reeves R, Mack J, Beddingfield J | title = Shock-like sensations during venlafaxine withdrawal | journal = Pharmacotherapy | volume = 23 | issue = 5 | pages = 678–81 | year = 2003 | pmid = 12741444 | doi = 10.1592/phco.23.5.678.32198}}</ref>、無感覚、知覚障害、むずむず脚、うずき、振戦、震え、パーキンソン、攻撃性、緊張。
事例エビデンスでは、多くの抗うつ薬は治療の最初の週に中断した場合は主な離脱症状無しに断薬できている。
{{Or|date=January 2011}}


さらに、増量でも減量でも抗うつ薬の容量の変更が生じた場合、自殺の危険性が2倍になると見られている<ref name="Valuck 2009 1069–1077"/>。
== 注意点 ==

抗うつ剤を「ハッピードラッグ」と称し、前向きに生きる気分を持つ事を目的として服用する例が、近年増加している。しかし抗うつ剤はその作用の複雑さから、必ず専門医による判断に基づいた処方が必要である。安易な服用は本来の脳の機能を失調し、深刻な副作用を招くことが有るので避けるべきである。
離脱と反発の作用の強度を最小化するには<ref>{{cite web|url=http://www.biopsychiatry.com/addictionp.htm |title=Antidepressants and Addiction |publisher=Biopsychiatry.com |date= |accessdate=2012-11-30}}</ref>、抗うつ薬は、減量に対する個人の反応に応じて、数週間から数カ月の期間継続すべきである。中断のためのアシュトンによる手順では、毎週か2週ごとに、残りの用量の10%の減量を勧めている<ref>{{cite web|last=Ashton|first=Heather|title=ベンゾジアゼピン - それはどのように作用し、離脱するにはどうすればよいか|url=http://www.benzo.org.uk/amisc/japan.pdf|format=pdf|publisher=Professor C H Ashton|accessdate=2013-01-19}}</ref>。
大部分の事例では、中断症候群は最後の1~4週間まで存続するが、おそらく15%までの少数の利用者は、離脱後1年間にわたり離脱症状が持続する<ref>{{cite journal|last=Fava|first=GA|coauthors=Bernardi M, Tomba E, Rafanelli C.|title=Effects of gradual discontinuation of selective serotonin reuptake inhibitors in panic disorder with agoraphobia|journal=Int. J. Neuropsychopharmacology|year=2007|month=December|volume=10|issue=6|pages=835–838|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17224089}}</ref>。
離脱症状の、出現率は全体では20%程度だが、パロキセチン(パキシル)で66%、セルトラリン(ゾロフト)で60%と薬剤によって異なり、血中半減期が短いものが出現率が高い傾向がある<ref name="pmid16913164"/>。
パロキセチンとベンラファキシンは<ref name="JClinPsy2004-Baboolal">{{cite journal | author = Baboolal N | title = Venlafaxine withdrawal syndrome: report of seven cases in Trinidad | journal = J Clin Psychopharmacol | volume = 24 | issue = 2 | pages = 229–31 | year = 2004 | pmid = 15206672 | doi = 10.1097/01.jcp.0000117427.05703.f2}}</ref><ref name="DrugSaf2001-Haddad">{{cite journal | author = Haddad P | title = Antidepressant discontinuation syndromes | journal = Drug Saf | volume = 24 | issue = 3 | pages = 183–97 | year = 2001 | pmid = 11347722 | doi = 10.2165/00002018-200124030-00003}}</ref><ref name="AmJPsych1997-fava">{{cite journal |author=Fava M, Mulroy R, Alpert J, Nierenberg A, Rosenbaum J |title=Emergence of adverse events following discontinuation of treatment with extended-release venlafaxine |journal=Am J Psychiatry |volume=154 |issue=12 |pages=1760–2 |year=1997 |pmid=9396960}}</ref><ref name="ANZ JPsych1998-parker">{{cite journal |author=Parker G, Blennerhassett J |title=Withdrawal reactions associated with venlafaxine |journal=Aust N Z J Psychiatry |volume=32 |issue=2 |pages=291–4 |year=1998 |pmid=9588310 |doi=10.3109/00048679809062742}}</ref><ref>{{cite journal | author = van Noorden M, Vergouwen A, Koerselman G | title = [Delirium during withdrawal of venlafaxine] | journal = Ned Tijdschr Geneeskd | volume = 146 | issue = 26 | pages = 1236–7 | year = 2002 | pmid = 12132141}}</ref><ref>{{cite journal | author = Nissen C, Feige B, Nofzinger E, Riemann D, Berger M, Voderholzer U | title = Transient narcolepsy-cataplexy syndrome after discontinuation of the antidepressant venlafaxine | journal = J Sleep Res | volume = 14 | issue = 2 | pages = 207–8 | year = 2005 | pmid = 15910521 | doi = 10.1111/j.1365-2869.2005.00447.x}}</ref><ref name="AmJPsych1997-agelink">{{cite journal | author = Agelink M, Zitzelsberger A, Klieser E | title = Withdrawal syndrome after discontinuation of venlafaxine | journal = Am J Psychiatry | volume = 154 | issue = 10 | pages = 1473–4 | year = 1997 | pmid = 9326838}}</ref>、中断が特に困難なようで、18か月以上持続する長期にわたる離脱症状がパロキセチンで報告されている<ref>{{cite journal|last=Tamam|first=Lut|coauthors=Ozpoyraz, Nurgul|title=Selective Serotonin Reuptake Inhibitor Discontinuation Syndrome: A Review|journal=Advances in Therapy|year=2002|month=January/February|volume=19|issue=1|pages=17–26|url=http://link.springer.com/article/10.1007%2FBF02850015?LI=true|accessdate=28 November 2012}}</ref>。いくつかのピア・サポートのグループが、患者が抗うつ薬を徐々に減らすための支援を行っている<ref>{{cite web|title=Paxil Progress|url=http://www.paxilprogress.org/forums/|accessdate=November 27, 2012}}</ref><ref>{{cite web|title=Surviving Antidepressants|url=http://survivingantidepressants.org/|accessdate=November 27, 2012}}</ref>。

==訴訟==
2012年には、[[グラクソスミスクライン]](GSK)の違法なマーケティングに対して司法省は30億ドルの制裁を課したが、それには同社の[[パキシル]]の若年者で有効性を示さなかった研究と自殺の危険性を高めた研究の隠ぺい、FDAによる若年者に対する承認がないにも関わらず販売促進したことが含まれる<ref>{{cite web|url=http://www.justice.gov/opa/pr/2012/July/12-civ-842.html |title=USDOJ: GlaxoSmithKline to Plead Guilty and Pay $3 Billion to Resolve Fraud Allegations and Failure to Report Safety Data |publisher=Justice.gov |date=2012-07-02 |accessdate=2013-01-27}}</ref>。


== 抗うつ剤を使用しない治療方法 ==
== 抗うつ剤を使用しない治療方法 ==
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== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[うつ病]]
* [[うつ病]]
*[[向精神薬]]
* [[向精神薬]]
*[[多剤大量処方]]
* [[多剤大量処方]]
*[[偽薬]]
* [[偽薬]]
*[[賦活症候群]]
* [[賦活症候群]]
*[[セロトニン症候群]]
* [[セロトニン症候群]]
*[[抗コリン作用]]
* [[抗コリン作用]]
*[[ドラッグ・ラグ]]
* [[ドラッグ・ラグ]]
*[[日本うつ病学会]]
* [[日本うつ病学会]]


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
*{{cite report |author=National Institute for Health and Clinical Excellence|title=Depression in adults - Clinical guidelines CG90 |url=http://guidance.nice.org.uk/CG90 |date=2009-06 |publisher=National Institute for Health and Clinical Excellence |accessdate=2013-02-23|ref=harv}}
*{{Cite report |author=日本うつ病学会 |coauthor=気分障害のガイドライン作成委員会|date=2012-07-26 |title=日本うつ病学会治療ガイドライン II.大うつ病性障害2012 Ver.1 |url=http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mood_disorder/img/120726.pdf |publisher=日本うつ病学会、気分障害のガイドライン作成委員会 |format=pdf |edition=2012 Ver.1 |accessdate=2013-01-01|ref=harv}}
* 融道男 『向精神薬マニュアル第3版』(2008/09) 医学書院 ISBN 4-260-00599-5
* 融道男 『向精神薬マニュアル第3版』(2008/09) 医学書院 ISBN 4-260-00599-5
* 病態生理に基づく臨床薬理学 ISBN 4-89592-461-0
* 病態生理に基づく臨床薬理学 ISBN 4-89592-461-0
*『抗うつ薬は本当に効くのか』アービング・カーシュ著(2010/1/25) ISBN 978-4767809540
*『抗うつ薬は本当に効くのか』[[アービング・カーシュ]]著(2010/1/25) ISBN 978-4767809540


==外部リンク==
*{{脳科学辞典|記事名=抗うつ薬}}
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2013年2月22日 (金) 18:55時点における版

抗うつ薬(こううつやく、antidepressant)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や自殺念慮を特徴とするうつ病のような気分障害に用いられる精神科の薬である。エビデンスは乏しいが次のような症状の治療のため適用外処方されている。不安障害強迫性障害摂食障害・慢性痛・いくつかのホルモンを介した月経困難症などがある。単剤または併用にて、ADHD薬物乱用による抑うつにも使用される。また抗うつ薬はいびき偏頭痛の治療にも時折用いられる。適用外用途の処方には議論がある。場合によっては、アメリカでは司法省による制裁が行われている。

多くの抗うつ薬は、効果の発現が2~6週間遅れるが、効果はしばしば1週間後に見られる。しかしながら投与直後から、自殺の傾向を高める賦活症候群の危険性がある[1]。日本でも添付文書にて、24歳以下で自殺念慮や自殺企図の危険性を増加させることを注意喚起している[2]

抗うつ薬の有効性が議論されており、現在では軽症のうつ病に対しては、必ずしも薬剤の投与は第一選択にはなっていない[3]。また使用にあたっても1種類の抗うつ薬の使用が原則とされる[3]

抗うつ薬の使用は、口渇といった軽いものから、肥満や性的機能障害、様々な副作用が併存する可能性がある。2型糖尿病の危険性を増加させる[4]。さらに他者に暴力を加える危険性は抗うつ薬全体で8.4倍に増加させるが、薬剤により2.8倍から10.9倍までのばらつきがある[5]

急に服薬を中止した場合、ベンゾジアゼピン離脱症候群に酷似した離脱症状を生じさせる可能性がある[6]。離脱症状は、少なくとも2~3週間後の再発とは異なり、数時間程度で発生し、多くは軽度で1~2週間でおさまる[7]。離脱症状の高い出現率を持つ薬剤、パロキセチン(パキシル)で66%やセルトラリン(ゾロフト)で60%がある[7]

製薬会社は、特許対策のために分子構造を修正し似たような医薬品設計を行っていたが、2009年にはグラクソスミスクラインが神経科学分野での採算の悪さを理由に研究を閉鎖した[8]。その後、大手製薬会社の似たような傾向が続いた[9][10]

主な抗うつ薬

抗うつ薬は、次のような種類がある。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

第三世代の抗うつ薬と呼ばれるものであり、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチンパキシルセルトラリンジェイゾロフト)、シタロプラム(日本未発売)、エスシタロプラム(レクサプロ)が知られている。三環系抗うつ薬(TCA)より副作用が若干少ないとされる。急に服薬をやめるとSSRI中断症候群が発現する恐れがある。強迫性障害社交不安障害パニック障害に適応がある。躁うつ病には禁忌である。中等度から重症の大うつ病では第一選択となる。効果発現に数週間必要であるため、即効性のある抗不安薬を4週間ほど併用するのが一般的である。投与初期(1〜2週間程度)は悪心、嘔吐、不安、焦燥、不眠といった症状が出現することがあるが継続投与で軽快、消失する。セロトニン受容体に対する急性刺激と考えられている。少量ではセロトニン選択性であるが、高用量となるとノルアドレナリンの再取り込みも阻害するようになる。

セロトニン・ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬(SNRI)

第四世代の抗うつ薬と言われるもので、ミルナシプラントレドミン)、ヴェンラファキシン(エフェクサー)、デュロキセチンサインバルタ)、ネファゾドン(サーゾーン)が含まれる。SSRIよりも意欲を高めるといった効果が期待されている。TCAのイミプラミンに近い作用となるがセロトニンとノルエピネフリン以外の受容体と相互作用をしないため副作用は非常に少ない。頭痛、口渇、排尿障害といった副作用は報告されている。

三環系抗うつ薬(TCA)

もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が抗うつ作用にかかわると考えられている。第1世代としては塩酸アミトリプチリントリプタノールラントロン)、塩酸イミプラミンイミドールトフラニール)、塩酸クロミプラミンアナフラニール)、マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)、塩酸ノルトリプチリンノリトレン)。第2世代としてはアモキサピンアモキサン)、塩酸ドスレピン (プロチアデン)、塩酸ロフェプラミン (アンプリット)が知られている。第3世代としての選択的セロトニン再取り込み阻害薬が登場してからは軽症、中等症のうつ病の第一選択からは外れたが2008年現在も使われている薬である。その理由としては抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するがうつ病の改善率が70〜80%と非常に高いことが理由にあげられる。TCAの抗うつ作用はほとんど差がないと言われているが[誰?]、患者によって特異的に有効なTCAが存在するのも事実である。抗コリン作用が軽快している第二世代の薬物から使用し、副作用に合わせて変えていくのが一般的である。特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。鎮静と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関しているといったところである。またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。

アミトリプチリントリプタノールラントロン

抗コリン作用、鎮静作用が最も強いTCAである。若年者で入眠障害がある患者で好まれる傾向がある。就寝前に多く飲ませることが多い。

イミプラミンイミドールトフラニール

最初に作られたTCAである。アミトリプチリン よりも抗コリン作用、鎮静作用が弱いがノルトリプチリンよりは強い。起立性低血圧も比較的少ない。パニック障害に効果があることもある。

クロミプラミンアナフラニール

セロトニンの再取り込み阻害作用が強い。痙攣がおこる頻度が他のTCAよりも強いため、抗けいれん作用の強い抗不安薬を併用することが多い。注射薬があるため、うつ病による不穏、焦燥に対して3時間程度で25mgを点滴静注することもある。

ノルトリプチリンノリトレン

セロトニンよりもノルアドレナリンの再取り込みを強く抑制する。焦燥感を起こすことが少ない。有効治療量の幅が狭く処方が難しい。

アモキサピンアモキサン

第二世代のTCAであり、副作用、特に抗コリン作用が軽減されている。他のTCAよりも効果発現が早いといわれている。

四環系抗うつ薬

ノルエピネフリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗けいれん作用の強い抗不安薬(ジアゼパムやニトラゼパム)を併用することが多い。塩酸マプロチリン(ルジオミール)、塩酸ミアンセリン(テトラミド)、マレイン酸セチプチリン(テシプール)が有名である。

ミアンセリン(テトラミド)

α2受容体を遮断することでノルアドレナリンの放出を促進する。抗ヒスタミン作用が強い薬物である。心毒性がないため非常に使いやすい抗うつ薬である。呼吸抑制と鎮静という副作用がある。SSRIとの併用による増強効果が報告されている数少ない薬物である。

セチプチリン(テシプール)

ミアンセリンを改良した薬物。中枢性セロトニン作用をもつ。鎮静の副作用はまれ。

トリアゾロピリジン系抗うつ薬(SARI)

塩酸トラゾドン(商品名レスリン、デジレル)が有名である。5-HTの取り込みを阻害する薬物である。

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)

三環系抗うつ薬とほぼ同時期に抗うつ薬として使われ始めたが副作用が強かったため扱いにくく、現在は抗うつ薬としてはほとんど使われない。パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。

ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

NaSSAはNoradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略。2009年9月7日から使用が開始された。これまで日本にはなかった作用機序の薬で、抗うつ薬分野での新規作用機序の新薬は10年ぶりとなる[11]。これまでのようにシナプスにおける神経伝達物質の再取り込みを阻害して濃度を上げるのではなく、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量そのものを増やす作用がある。すなわち、α2ヘテロ受容体とα2受容体をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させ、分泌を促す。また、5-HT1受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT1以外のセロトニン受容体をふさぐ。

ノルエピネフリン・ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)

日本国内においては未承認である。塩酸ブプロピオン(商品名ウェルブトリン)が知られている。

選択的セロトニン再取り込み促進剤(SSRE)

日本国内においては未承認である。チアネプチン(en:Tianeptine)が知られている。en:Selective serotonin reuptake enhancerも参照のこと。

増補薬

  • 抗不安薬 - 一般的にベンゾジアゼピンは不安を和らげ睡眠を促進するために処方されている。しかしながら依存の危険性が高いため、これらの薬物は短期的または頓服用に用いられている。
  • 抗精神病薬 - 特に高用量では、目のかすみ・筋肉けいれん・落ち着きのなさ・遅発性ジスキネジア・体重増加などの重篤な副作用を引き起こす可能性がある。
    • スルピリド(商品名:ドグマチール等) - 150〜300mg/日の低用量では抗うつ薬、300〜1200mg/日の高用量では抗精神病薬として作用する。うつ病学会によればスルピリドは推奨されない[13]。TCA、SSRI、SNRI等と比較して即効性がある。
  • リチウム塩(商品名:リーマス等) - 日本国内においては抗躁薬として発売され、保険適応も躁病・躁うつ病(双極性障害)であるが、バルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン等)と並んで気分安定薬(ムードスタビライザー)としての効能が臨床的に認められている。抗うつ薬の補強として有用であり、抗うつ薬とともに処方される例が増えつつある。

治療効果

抗うつ薬の効果は、副作用に関連するリスクを正当化するために偽薬をしのぐべきである。うつ病の重症度の評価にハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)が、しばしば用いられる[14]。HAM-Dの17項目のアンケートからの最大スコアは52点である;高いスコアがより重度のうつ病である。何が薬に対する十分な反応に相当するのかについては十分に確立されていないが、寛解あるいはすべてのうつ症状の実際の除去が目標であり、しかしながら寛解率はまれにしか公表されていない。症状軽減の割合は、抗うつ薬による46-54%に対して偽薬では31-38%である[15]

234の研究から、第二世代の13種の抗うつ薬(ブプロピオン、シタロプラム、デスベンラファキシン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、ミルタザピン、ネファゾドン、パロキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン)にて、年齢、性別、民族、併発疾患を考慮しても、うつ病の急性期、継続期、維持期の治療に対して、ほかのものを上回る臨床的に意味のある優越は発見されなかった[16]

うつ病の薬物治療の有効性について、アメリカ国立精神衛生研究所によって委託されこれまでに最大規模かつ高額な費用がかかった研究、STAR*D (Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression) が実施された[17]。その結果[18][19]の概要は以下である。STAR*Dの各過程は14週間ごとであり、従って14週後における寛解率や脱落率を表す。

  • 治療の最初の過程の後、2,876人の参加者のうち、27.5%がHAM-Dの点数が7点以下となり寛解に達した。21%が脱落した。[20]
  • 次の治療の過程の後、残り1,439人の参加者のうち21-30%が寛解した。310人の参加者だけが研究の継続に協力的であるか継続可能であった。[21]薬の切り替えでは約25%の患者が寛解に達した。[22]
  • 3番目の治療の過程の後、残り310人の参加者のうち、17.8%が寛解した。
  • 4番目の治療の過程の後、残り109人の参加者のうち、10.1%が寛解した。
  • 1年後の追跡調査で、1085人の寛解した参加者のうち、93%が再発するかこの研究を脱落した。

この研究で比較されたどの薬の間にも、寛解率、反応率、寛解あるいは反応までの期間に、統計的あるいは意味のある臨床的な違いはない。[23]ブプロピオン徐放錠、ブプロピオン、シタロプラム、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードサイロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン徐放錠が含まれる。

2008年のランダム化比較試験のレビューは、症状の改善は、SSRIを使用して1週間目の終わりが最高で、いくらかの改善は少なくとも6週間継続したと結論した[24]

SSRIのフルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラムとSNRIデュロキセチンと偽薬では、反応があった場合、偽薬のほうが改善度が緩やかだが、すべてで時間と共に改善していく傾向が見られた。しかし、抗うつ薬に反応しなかった患者の一部、全体に対する約25%の患者は、HAM-Dスコアが高いままで、8週間では偽薬より著しく高かった[25]。これは抗うつ薬に反応しない場合、中止すべきことを示唆していると解釈された[26]

うつ病は類似した症状を呈する異なる病因の病気の集合なので、抗うつ薬の予後が悪いことを示した。大うつ病性障害の定義は見当違いの可能性がある[27]

抗うつ薬はうつ病の根本にある原因に効果があるかについて、2002年のレビューは、使用を終了した場合、抗うつ薬がうつ病の再発の危険性を減少させるという根拠がないと結論した。このレビューの執筆者らは、対人関係療法(IPT)と認知行動療法(CBT)を挙げ、抗うつ薬を心理療法と組み合わせることを提言した。[28]

研究のレビュー

  • (2007) 小児うつ病のための抗うつ薬の使用のレビュー[29][30]
  • (2004) 「活性プラシボ」と比較した抗うつ薬の評価[31]
  • (2001) 異なる種類の抗うつ薬の相対的な有効性の比較[32] 異なる設定におけるもの[33] うつ病の性質の差異を考慮したもの[34]
  • (1999) 新しいタイプのMAOIの評価[35]

診療ガイドライン

英国国立医療技術評価機構(NICE)の2004年のガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いという理由で、抗うつ薬を軽症うつ病の初期治療に用いるべきではないとしている;中等度あるいは重度のうつ病では、SSRIのほうが三環系よりも忍容性が高い;重度のうつ病では、抗うつ薬は認知行動療法のような心理療法と組み合わせるべきである。[36]

NICEの2009年の改定されたガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いために軽症以下のうつ病に抗うつ薬を使用してはいけない(Do not use antidepressants)としている[37]。さらに、セントジョーンズワートは、軽症あるいは中等度で利益がある可能性についても言及している。

アメリカ精神医学会による2000年の大うつ病性障害の患者の治療のための診療ガイドラインは[38]、 患者が望むなら、軽症の大うつ病性障害の最初の一次治療に抗うつ薬を投与してもよいとしている;電気けいれん療法が計画されていない、中等度から重度の大うつ病性障害では抗うつ薬を投与すべきである;精神病性うつ病には、抗精神病薬と抗うつ薬の併用、あるいは電気けいれん療法を用いるべきである。有効性は、概して分類間と分類内で同等であると示されており、最初の選択は主に個々の患者、患者の選択、医薬品と費用に関する臨床試験のデータの量と質から予想される副作用に基づく。

日本うつ病学会の2012年の大うつ病障害の治療ガイドラインでは、軽症うつ病の場合、安易な薬物療法は避けるべきであり、中等度から重症のうつ病の場合、1種類の抗うつ薬の使用を基本とし、十分な量の抗うつ薬を十分な期間に渡って投与すべきであるとされる。寛解維持期には十分な継続・維持療法を行い、抗うつ薬の投与の終結を急ぐべきではないとされる。[39]

増量

2006年のシステマティックレビューは、増量を推奨する証拠がないことを確認した[40]。パロキセチンの増量は、血中濃度では増加するものの、セロトニン受容体での占有率を増加させていないため、著者はSSRIの増量は推奨できないとしている[41]。フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、フルボキサミンでのメタアナリシスで、反応率は通常の開始用量の50.8%に対して高用量で開始した場合は54.8%であり、有害事象による中止率は通常容量9.8%に対して高用量16.5%であり、有害事象のリスクのほうが高まった[42]

効果の限界と方策

抗うつ薬が投与された30%から50%の間の患者が反応を示さない[43][44]。着実な反応があった場合でも、うつ病と機能不全の有意な継続は一般的で、そういう事例では再発率は3から6倍高い[45]。さらに、抗うつ薬は治療の過程で効果を失っていく傾向がある[46]。これらの限界と変動を打開するいくらかの方法が実際の診療で試みられている[47]。薬の切り替えと増強と併用である。

遺伝子に基づく治療の最適化

STAR*Dでは、治療効果と遺伝子を解析し個人に最適化された投薬を探る目的があったが、そのようなデータは得られていない[48]。欧州におけるNEWMEDS計画からも、セロトニン再取り込み阻害剤あるいはノルアドレナリン再取り込み阻害剤への反応性を予測する遺伝子との関連性は導き出せていない[49]

「試行錯誤」による切り替え

アメリカ精神医学会(APA)の2000年の診療ガイドラインで、抗うつ薬による治療によって6から8週目までに反応がない場合、同じ種類の別の抗うつ薬に切り替え、次に異なった種類の抗うつ薬にすることを勧告している。この方法を用いたSTAR*D研究で報告された寛解率は21%であった。

2006年のメタ分析レビューは以前の研究の研究結果に多様性を見出した;SSRI抗うつ薬に反応しなかった患者が、新しい薬に対して12%から86%の間の反応があることを示した。しかしながら、個人はすでに多くの抗うつ薬を試しているので、新しい抗うつ薬試験からの恩恵はなさそうである。 [44] また一方、後のメタ分析は、新しい薬への切り替えと古い薬の継続との間に、違いがないことを見出している;とはいえ、新しい薬に切り替えた場合、治療抵抗性患者の34%が反応し、切り替えなしでも40%の反応があった[50]。 従って、新しい薬に対する臨床反応は、違う薬を受け取っているという信念に関連した偽薬効果の可能性がある。

増強および併用

アメリカ精神医学会のガイドラインは、部分的な反応に対して、増強あるいは違う種類の薬を追加することを勧めている。以下が含まれる:リチウム甲状腺強化、ドーパミン作動薬英語版性ホルモンNRI糖質コルチコイド特性の薬剤、また新しい抗てんかん薬[51]STAR*D計画は、この方法で30%の寛解率を報告した。

併用戦略では、通常、ほかの機序による作用となるように異なる種類から追加の抗うつ薬を加える。とはいえ、この戦略の相対的な有効性あるいは副作用についての証拠はほとんどないため、臨床診療されるだろう。[52]STAR*D計画は、増強戦略で同じような寛解率を報告した。

切り替えの反対の、増強と併用は、医原性の精神病性の症状や治療抵抗あるいは症状の進行を伴った、病気の悪化と治療無反応の経過を治療する可能性があることを示している[53]

長期間の使用

抗うつ薬の治療効果は一般的に薬物治療が終了すると続かず、結果として再発率が高い。31のプラセボ対照の抗うつ薬の試験の最近のメタアナリシス、研究期間のほとんどは1年であり、抗うつ薬に反応していた18%の患者が服薬中に再発したのに対し、抗うつ薬を偽薬に切り替えた場合41%であったことを見出した[54]。アメリカ精神医学会のガイドラインは、症状の消失後、4から5か月の抗うつ薬による継続治療を推奨している。うつ病エピソードの既往歴のある患者に対して、英国精神薬理学会の2000年の抗うつ薬によるうつ病治療のガイドラインは、最低でも6カ月から長くて5年あるいは無期限の抗うつ薬の継続を推奨している。

5年の追跡によれば、1年以上の使用では再発率は23%で、6か月か12か月間の使用と違いはなかった[55]。さらに、治療上の利益は治療過程の間に漸減した[56]。急性期の治療における薬物療法の使用後の残遺期における心理療法を伴う方法が、いくつかの試験によって提案されている[57][58]

抗うつ薬による治療を受けた再発性の大うつ病患者40人で、再発した場合を除き抗うつ薬の投与をやめ、再発率は2年後時点で臨床管理では80%に対し認知行動療法では25%、6年後時点で臨床管理では90%に対し認知行動療法では60%であった[59]

偽薬との比較

1998年に、アービング・カーシュの分析により、偽薬でも医薬品の効果の約75%分の効果が得られており、差異である薬の効果は25%に相当することが示され、この差異は副作用があることによって偽薬効果が高まったと解釈された。未治療では25%改善されており、自然経過など非特異的な要因(nonspecific factor)による回復であると解釈された。解析には、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬のアミトリプチリン、イミプラミン、アモキサピン、マプロチリン、SSRIのフルオキセチンとパロキセチン、SNRI抗うつ薬のベンラファキシン、SARI抗うつ薬のトラゾドン、DNRI抗うつ薬のブプロピオン、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)のイソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、バルビツール酸のアミロバルビトン、ベンゾジアゼピンのアジナゾラム、リチウム、甲状腺ホルモンのリオチロニンの、16種の薬の研究のデータが用いられ、これを4つの群、TCA(三環系・四環系)の群、SSRIの群、ほかの抗うつ薬の群、ほかの薬の群に分け、4つの群で同様に、偽薬は薬に対して約75%の効果であった[60]

欧州の規制機関が、認可された抗うつ薬SSRIおよびSNRIの保有データを解析したところ、同様の結果であった[61]

抗うつ薬の副作用に似た副作用のある活性プラセボ(偽薬)を用いた試験のコクラン共同計画によるシステマティックレビューでは、抗うつ薬と偽薬の間に有効性の違いがない[31]

議論

高用量の抗うつ薬によるハミルトンうつ病評価尺度の改善度は、9.97点であったのに対し、低用量では9.57点であり、臨床的には無視できるほどの差であった。解析に使用されたのは、フルオキセチン(プロザック)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ゾロフト)、 ベンラファキシン(エフェクサー)、ネファゾドン(サーゾーン)、およびシタロプラム(セレクサ)のデータである。[62]

2005年には、抗うつ薬は米国で最も問題について議論される処方薬となった。一部の医師は、人々が問題の最終的な救いを求めているサインだと考えている。他はこれらの人々が抗うつ薬に依存しすぎていると反論している。[63]

2009年には、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)のトーマス・インセルは、偽薬効果を疑問視する証拠を挙げたうえで、抗うつ薬の効果がすべて偽薬効果だとしても、STAR*D計画における14週後の最適な寛解率である28%を受け入れるべきかと問い、数時間で寛解をもたらすケタミンを次世代の抗うつ薬の目標にしている[48]

出版バイアス

偽薬効果のメタアナリシスによる解析に加えて、否定的な結果が出たことによって公開されていないという、出版バイアスによって公開されていなかった試験のデータを結合しての解析が行われた。

2004年にパキシルに関するグラクソスミスクラインによる若年者で自殺の危険性が高まるというデータの隠ぺいに関する裁判で、全試験のデータの公開が決定した[64]。すぐに、医学雑誌編集者国際委員会が一流医学誌で事前登録のない臨床試験を掲載しないという声明を行い、世界保健機関による登録制度の構築や、臨床試験の事前登録の議論へとつながった[65]。世界保健機関とその関連機関が、パロキセチンの未公表試験を含めてメタアナリシスし、偽薬で83%の効果があったことを見出した[66]

アメリカの情報公開法に則って、アメリカ食品医薬品局(FDA)に認可のために提出されていたフルオキセチン、ベンラファキシン、ネファゾドンとパロキセチンの臨床試験のデータを解析した。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)で、抗うつ薬は9.6点、偽薬で7.8点改善し、この1.8点の差は英国国立医療技術評価機構(NICE)が臨床的に有意な差とする3点を下回った。偽薬は抗うつ薬の82%の効果であることが見出され、HAM-Dで3点の差ができるのは、およそ28点以上の場合であり、重症のうつ病に対してであった。[67]

ペンシルベニア大学バンダービルト大学コロラド大学ニューメキシコ大学の別々の心理学者により行われた研究によると、抗うつ薬は軽症から中等度のうつ病に対してほとんどプラセボ比較で効果が無いことが分かった。この研究は米国医学会誌に掲載された。この研究はグラクソスミスクラインのパキシルイミプラミンを対象としている。[68]

副作用

抗うつ薬が効果を表すのは、セロトニンノルアドレナリンドパミンなどの神経伝達物質に作用するからであるとされている。しかし、三環系四環系抗うつ薬では、抗コリン作用、抗α1作用なども併せ持っており、そのために以下のような副作用が生じることがある。副作用は薬の種類によって細かく異なる為、注意が必要である。

  • 抗コリン作用による口渇、便秘、目のかすみ、排尿困難など
  • アドレナリンα1受容体遮断作用による低血圧、めまいなど
  • 抗ヒスタミン作用による眠気、体重増加
  • 抗ムスカリン作用による視力調節障害
  • 手足の痙攣・振戦、全身の痺れなど(重症になると一ヶ月ほど痺れが続く場合もある)

服用開始直後の吐き気については、これについては制吐剤(ガスモチンなど)や六君子湯などの併用によって緩和することが可能である[要出典][69] 。性欲減退についてはDNRIとの併用で解消できる場合があることが報告されている。

概要

SSRIの副作用には以下が含まれるが、これだけに限定されるわけではない:セロトニン症候群吐き気下痢、血圧の上昇、精神運動性激越英語版頭痛不安、神経過敏、情緒不安定、自殺念慮の増加、自殺企図、不眠症、、薬物間の相互作用、新生児の薬害反応、食欲不振英語版、口渇、眠気、振戦、性機能障害性欲減衰、無力、消化不良、目まい、発汗、人格障害、鼻血、頻尿、月経過多、躁/軽躁[70]悪寒、動悸、味覚倒錯、排尿障害[71]、傾眠、胃腸の不整、筋力低下、長期間の体重増加。

三環系抗うつ薬の一般的な副作用:口渇、かすみ目、傾眠、目まい、振戦、性的な問題、皮膚湿疹、また体重の増減。

三環系抗うつ薬の副作用には、心拍数、傾眠、口渇、便秘、尿閉、かすみ目、目まい、精神錯乱、性機能障害。毒性は、常用量で約10倍である;過剰服用では、致命的な不整脈を引き起こし致死的になることが多い。一方で、三環系抗うつ薬は、今なお特にうつ病の重症の症例での有効性を理由として、安価にまた適用外で用いられている。

1998年の162のランダム化比較試験からのSSRIと三環系抗うつ薬の有害事象の比較レビューでは、口渇、便秘、目まいではSSRIのほうが半分程度の頻度であるが、吐き気、下痢、不安、興奮、不眠症ではSSRIのほうがおよそ2倍の頻度であり、副作用の合計数では、SSRIのほうが多かった。[72]

MAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)の副作用を挙げる:MAOIは、熟成チーズや干し肉、酵母エキスのような多量のチラミンを含有する食品を摂取した場合、重篤な高血圧反応を生じさせる可能性がある。同じく、処方せん医薬品と一般用医薬品(OTC医薬品)に対する致命的な反応を引き起こす。MAOIで治療を受けている患者は、先に服用している処方せん医薬品と一般用医薬品を、処方医師によって詳細に観察される。そのような患者は救急治療室職員に情報提供し、MAOIに関する識別情報を持つことを必要とされる。一部の医師は医療識別タグの使用を提案しているが、反応は致命的な可能性があり、相互作用に起因する総死亡数と食事に関する懸念は、一般医薬品に対するものに匹敵する。

ほかのMAOIの副作用を挙げる:肝炎心筋梗塞脳梗塞てんかん。 セロトニン症候群は、いくつかの医薬品を併用した場合のMAOIの副作用である。モクロベミド英語版は、薬物動態に年齢による影響がないため高齢者に推奨される可能性があり、若い成人と同様に高齢者に良好な忍容性を示し、重篤な有害事象が少なく、加えて言えば、副作用の多いほかの抗うつ薬と同様の有効性がある;またモクロベミドは認知における有益作用がある[73]。新しい世代のMAOIが導入されている;RIMAとして知られる、モクロベミド(マネリックス)は、うつ病に対しSSRIや三環系抗うつ薬と同様の有効性がある[74]。より一時的かつ選択的に作用し特別な食事法を必要としない。

NaSSIの副作用には、傾眠、食欲増加、体重増加が含まれる[75]

2009年5月に公表された研究によれば、乳がん生存者が、抗がん剤のタモキシフェンの服用中にいくつかの抗うつ薬を用いた場合に、再発の危険性がある[76]

双極性うつ病においては抗うつ薬が、SSRIでは頻繁に、軽躁の症状の悪化あるいは誘因となる[77]

妊娠中の抗うつ薬の使用は、自然流産の危険性の増加に関連している[78]

妊娠期

妊娠は感情の変動の誘因となり、うつ病に対処することを難しくする。発達中の胎児と乳児に対する危険性と反している医薬品の中断と再発の危険性が、比較検討される。一部の抗うつ薬は妊娠中の胎児に対する危険性が低いが、FDAはパキシル使用時の出生異常の危険性について忠告しており[79]、またMAOIは避けるべきである。新生児は、出生時に抗うつ薬の突然の中断により離脱症候群が現れる可能性がある。妊娠中の抗うつ薬の使用は、自然流産[78]、出生異常[80]、発育遅延[81]の危険性の増加、自閉症の危険性が2倍に増加する[82] ことに結びついている。抗うつ薬は、母乳中にさまざまな量で含まれているが、乳児に対する影響は不明である[83]

2006年の『米国医師会雑誌』(JAMA)における産業的な公表では、妊娠中に抗うつ医薬品を中断することは再発頻度が高いことを見出した[84]。米国医師会雑誌は後に、金銭的つながりや利害関係の衝突の可能性に言及して訂正を公表し[85]、著者は、つながりは研究活動に関係していないと主張した。産科医で出産期医学者のアダム・ユレート(Adam Urato)は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』で、患者と医療専門家は産業の影響から自由な状態で助言される必要があると述べた[86]

自殺

増量でも減量でも、抗うつ薬の服用量を変更した場合、自殺の危険性が2倍になることが認められる[87]。 159,810人のアミトリプチリン、フルオキセチン、パロキセチン、ドチエピンの使用者からの研究から、抗うつ薬の開始から1カ月、特に最初の日から9日目の間に自殺行動の危険性が増加したことが見出された[1]

アメリカ食品医薬品局は、すべてのSSRIに、子供と若年者における自殺率(1000人あたり2人から4人)を2倍にする、という黒枠警告文を命じた[88][89]。しかしながら、自殺は医薬品に起因するのか、うつ病自身の要素なのかという議論がある[88][90]。25歳以下の成人の自殺傾向や自殺行動の危険性の増加は、子供と若年者でのものに近い[91]

若い患者は、自殺念慮や行動の兆候を、とりわけ治療開始の8週間は、注意深く観察されるべきである。

米国ではFDAの警告以降に若年者の自殺死者数が増加している。FDA警告の結果、若年者の抗うつ薬治療が少なくなり、結果として自殺者が増えたとすれば問題である[92]

他害行為

食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システム(AERS)のデータのうち、殺人や暴力の基準を満たしたものを同定し、暴力が起きた件数の79%を31つの薬で7占めたが、そのうち抗うつ薬は13である[5]。抗うつ薬全体では8.4倍、フルオキセチン(プロザック、SSRI)で10.9倍、パロキセチン(パキシル、SSRI)10.3倍、フルボキサミン(デプロメール、SSRI)8.4倍、ベンラファキシン(SNRI)8.3倍、デスベンラファキシン英語版(SNRI)7.9倍、セルトラリン(ゾロフト、SSRI)6.7倍、エスシタロプラム(レクサプロ、SSRI)5.0倍、セルトラリン(ゾロフト、SSRI)6.7倍、エスシタロプラム(レクサプロ、SSRI)5.0倍、シタロプラム(SSRI)4.3倍、アミトリプチリン(トリプタノール、三環系)4.2倍、ブプロピオン(DNRI)3.9倍、トラゾドン(レスリン)3.5倍、ミルタザピン(NaSSA)3.4倍、デュロキセチン(SNRI)2.8倍であった。抗うつ薬の服用者の年齢が下がるほど他害行為の傾向が見られた[2]

レム睡眠の抑制

トリミプラミン、ミルタザピン、ネファゾドンを除くすべての主要な抗うつ薬は、レム睡眠を抑制し、これらの薬の臨床効果は、概してレム睡眠における抑制効果に由来するという説がある。 抗うつ薬の3つの主要な種類、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、三環系抗うつ薬(TCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、レム睡眠を大きく抑制する[93]。MAOIはほぼ完全にレム睡眠を抑制する。ミルタザピンはレム睡眠に影響がないか、それを僅かに増加させるかのどちらかである[94]。この作用は、長期間にわたり高用量の抗うつ薬を服用している患者の疲労を増大させる原因となる。

体重増加

多くの抗うつ薬(TCA、TecA、SSRIのグループからパロキセチン)は、通常は5〜25キログラムの範囲で、まれに50キログラム以上の体重増加に結びついている。約165万人からのメタアナリシスで、SSRIや主に三環系抗うつ薬であるほかの抗うつ薬の使用は、2年で2型糖尿病の危険性を68パーセント増加させる[4]

離脱症状

SSRIを急に中断した場合、頻繁に、身体と精神の両方に離脱の要素のあるSSRI離脱症候群を生じさせる[95]。離脱症状は、抗うつ薬を6週間以上服用した後に服薬をやめた数時間から1日程度で表れる可能性があり、少なくとも2~3週間後であるうつ病の再発とは異なる[7]。症状は軽度なことが多いが、少数は医師による治療が必要である[7]

離脱症状は、三環系抗うつ薬[96]、モノアミン酸化酵素阻害薬[97]とSSRIで報告されている。

デンマークにおけるノルディック・コクラン・センターの研究者は、SSRI中断の兆候と症状をベンゾジアゼピン離脱症候群におけるものと比較し、両方に離脱反応として依存症症候群を示し、酷似していたと結論した[6]。ほかの場所では、SSRIが依存症を引き起こすという懸念が持ち上がっている[98]。抗うつ薬は、時計遺伝子として知られる転写因子と相互に作用する可能性があり[99]、薬物の依存性(薬物乱用)とおそらく肥満に関与している[100][101]。6~9か月を超える長期の治療の場合、このプロセスは抗うつ薬の初期の急性効果を妨害する(臨床効果の減少)。薬物治療の終了時にこのプロセスのみとなって離脱症状を生じさせ、再発の脆弱さが増す。このプロセスは必ずしも可逆的ではない。それどころか多くの抗うつ薬が切り替えあるいは増強されており、反耐性が起きる。[56]

SSRI中断の離脱症状の一部を挙げる:怒り、不安、パニック、抑うつ、離人症、剥離、精神錯乱、集中力の低下、記憶の問題、号泣発作、幻覚、躁、せん妄、平衡感覚の問題、視覚障害、電撃の感覚[102][103]、無感覚、知覚障害、むずむず脚、うずき、振戦、震え、パーキンソン、攻撃性、緊張。

さらに、増量でも減量でも抗うつ薬の容量の変更が生じた場合、自殺の危険性が2倍になると見られている[87]

離脱と反発の作用の強度を最小化するには[104]、抗うつ薬は、減量に対する個人の反応に応じて、数週間から数カ月の期間継続すべきである。中断のためのアシュトンによる手順では、毎週か2週ごとに、残りの用量の10%の減量を勧めている[105]。 大部分の事例では、中断症候群は最後の1~4週間まで存続するが、おそらく15%までの少数の利用者は、離脱後1年間にわたり離脱症状が持続する[106]。 離脱症状の、出現率は全体では20%程度だが、パロキセチン(パキシル)で66%、セルトラリン(ゾロフト)で60%と薬剤によって異なり、血中半減期が短いものが出現率が高い傾向がある[7]。 パロキセチンとベンラファキシンは[102][107][108][109][110][111][112]、中断が特に困難なようで、18か月以上持続する長期にわたる離脱症状がパロキセチンで報告されている[113]。いくつかのピア・サポートのグループが、患者が抗うつ薬を徐々に減らすための支援を行っている[114][115]

訴訟

2012年には、グラクソスミスクライン(GSK)の違法なマーケティングに対して司法省は30億ドルの制裁を課したが、それには同社のパキシルの若年者で有効性を示さなかった研究と自殺の危険性を高めた研究の隠ぺい、FDAによる若年者に対する承認がないにも関わらず販売促進したことが含まれる[116]

抗うつ剤を使用しない治療方法

抗うつ薬が投与されるのは主にうつ病、うつ状態の患者に対してである。しかし、これらの疾患の治療は薬物療法のみではない。軽症の場合には精神療法のみを行われる場合もあるし、より重症であっても、薬物療法以外の治療を併用することは有効である。ただし、余りにも症状が重い場合は、無理に精神療法などを行うことは逆効果であり注意を要する。いずれにせよ、精神科医の指示のもとで行われることが絶対である。

薬物療法以外の治療法の例。

脚注

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関連項目

参考文献

外部リンク

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