コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「京王百貨店」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
(15人の利用者による、間の25版が非表示)
7行目: 7行目:
|郵便番号 = 151-0061
|郵便番号 = 151-0061
|本社所在地 = [[東京都]][[渋谷区]][[初台]]1丁目53-7 京王[[初台駅]]ビル<br />(新宿店:〒160-0023 東京都[[新宿区]][[西新宿]]1丁目1-4)
|本社所在地 = [[東京都]][[渋谷区]][[初台]]1丁目53-7 京王[[初台駅]]ビル<br />(新宿店:〒160-0023 東京都[[新宿区]][[西新宿]]1丁目1-4)
|設立 = [[1961年]][[3月10日]]
|設立 = [[1961年]](昭和36年)3月10日
|業種 = 小売業
|業種 = 小売業
|事業内容 = [[百貨店]]業
|事業内容 = [[百貨店]]業
|代表者 = [[代表取締役]][[社長]] 山本敏雄
|代表者 = [[代表取締役]][[社長]] 林 静男
|資本金 = 12億円
|資本金 = 12億円
|売上高 = 928億21百万円([[2011年]]3月期)<ref name="senken-np-2009-5-13">{{Cite news | title = 上顧客にきめ細かく 京王百貨店 対象別アプローチ強める | newspaper = [[繊研新聞]] | publisher = 繊研新聞社 | date = 2009-5-13 }}</ref>
|売上高 = 1,126億06百万円(2007年度)
|従業員数 = 1,204名(男571名、女633名)<br />(2008年3月31日現在)
|従業員数 = 1057名(男476名、女581名)<br />([[2012]]3月31日現在)
|決算期 = 毎年3月
|決算期 = 3月
|主要株主 = [[京王電鉄]]株式会社(100%)
|主要株主 = [[京王電鉄]]株式会社(100%)
|主要子会社 = 株式会社エリート<br />株式会社[[京王友の会]]<br />株式会社[[京王コスチューム]]
|主要子会社 = 株式会社エリート<br />株式会社[[京王友の会]]<br />株式会社[[京王コスチューム]]
|外部リンク = http://www.keionet.com/
|外部リンク = {{Official|http://www.keionet.com/index.html}}
|特記事項 =
|特記事項 =
}}
}}
{{右|
[[ファイル:Shinjuku Keio Department Store 2012.JPG|thumb|250px|京王百貨店新宿店]]
[[ファイル:seiseki-sakuragaoka.jpg|thumb|250px|京王電鉄[[聖蹟桜ヶ丘駅]]・<br />京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店<br />([[東京三菱銀行]]併設当時)]]}}
'''株式会社京王百貨店'''(けいおうひゃっかてん、[[英語|英称]]:''KEIO DEPARTMENT STORE''、本社:[[東京都]][[渋谷区]])は、[[京王電鉄]]傘下の[[日本の百貨店]]。
'''株式会社京王百貨店'''(けいおうひゃっかてん、[[英語|英称]]:''KEIO DEPARTMENT STORE''、本社:[[東京都]][[渋谷区]])は、[[京王電鉄]]傘下の[[日本の百貨店]]。


== 概要 ==
== 歴史・概要 ==
=== 創業から聖蹟桜ヶ丘店の開業まで ===
[[1961年]][[3月10日]]に会社が設立され、[[1964年]][[11月1日]]に1号店である新宿店が開店。


[[1960年]](昭和35年)6月に東京都が新宿副都心計画を発表したことを受けて'''京王帝都電鉄(現在の[[京王電鉄]])'''が新宿駅付近の併用軌道と同駅の地下化を行うと同時に地上に駅ビルを建設する大規模な改良工事を行うことになり<ref name="keio-railways-50-1998-12">{{Cite book | 和書 | title = 京王電鉄五十年史 | publisher = 京王電鉄 | date = 1998-12}}</ref>、それに伴って同年の秋に百貨店業への進出を決定し<ref name="gifu-syotengai-2005-3">{{Cite report |date=2005-3 |title=高齢者市場の活性化に関する調査研究報告書 シルバーマーケットにおけるファッション産業の在り方 |publisher=[[財団法人]]岐阜県産業経済振興センター}}</ref>、[[1961年]](昭和36年)3月10日に'''株式会社京王百貨店'''を設立して[[1964年]](昭和39年)11月1日に京王帝都電鉄[[新宿駅]]のビルに現在の新宿店を開店した<ref name="keio-railways-50-1998-12" />のが始まりである。
当初、京王帝都電鉄(現:[[京王電鉄]])は、百貨店への新規参入であったため、[[高島屋]]から従業員教育、仕入れなど、百貨店経営のノウハウを取り入れる。その後、新宿駅南口駅前への[[タカシマヤタイムズスクエア]]の出店を契機に、[[ハイランドグループ#かつて参加していた百貨店|提携を終了]]した。


開業時から会員を集めて定期的に積立を行わせて積立額を上回る金額の自店でのみ使用可能な商品券を提供する'''友の会'''を設立して運営しており、関東地区では初の百貨店の'''友の会'''であった<ref name="membership-mutual-club-house-card-1985-12">{{Cite book | 和書 | title = 顧客組織化システム:友の会・自社カード・互助会・会員制ビジネス | publisher = [[工業市場研究所]]出版部 | date = 1985-12}}</ref>。
京王の「新・大衆百貨店」路線は、ブランド力に頼らず、「自社[[プライベートブランド|PB]]商品の開発」、「[[団塊世代]]へ特化した売場作り」で、いわゆる新宿百貨店戦争の勝ち組として、高い評価と注目を浴びている。また、[[日本の百貨店]]では初となる新宿店の[[耐震]]補強やユニバーサル化にも積極的に力を入れている。このこともあり、同店は40代以上の客層から熱烈な支持を得ており、[[伊勢丹]]とは対照的な位置づけを有している。


百貨店への新規参入のため、'''[[高島屋]]'''と資本・業務提携して同社から従業員教育や仕入れなどの百貨店経営のノウハウを導入して開業した<ref name="railway-journal-2002-4">{{Cite journal | title = RJ ESSENTIAL 繁昌する「デパートの駅弁大会」 | journal = [[鉄道ジャーナル]] 2002年4月号 | publisher = [[鉄道ジャーナル社]] | date = 2002-4}}</ref>。
[[大阪]]の[[阪神百貨店]](現・[[阪急阪神百貨店]])、[[名古屋市|名古屋]]の[[丸栄]]と業務協力を行っている。阪神百貨店との業務協力では[[婦人服]]の分野で共同開発したブランドスタイルブックを製作して業界内外で注目されているほか、東京で唯一の[[阪神タイガース]]関連グッズの売り場が新宿店にあり、タイガースが[[セントラルリーグ]]で優勝した際には優勝セールも行っている。
* ただ、[[京王グループ]]全体がタイガース寄りというわけではなく、[[京王電鉄]]本社が沿線の[[よみうりランド]]に出資している関連で[[読売ジャイアンツ]]の[[パスネット]]カードを発行したことがあったり、[[京王エージェンシー]]が[[東京ヴェルディ1969|東京ヴェルディ]]に出資したりするなど、[[読売グループ]]に配慮した施策も行っているとされる。
また、阪神百貨店は[[阪急百貨店]]と経営統合したほか、丸栄もお膝元に[[ジェイアール東海高島屋|JR名古屋タカシマヤ]]を開業され、かつまた'''[[阪急阪神東宝グループ|阪急・阪神]]と髙島屋が経営統合に向けた協議を進め、統合までには至らなかったものの提携関係を維持する方向でまとまった状況に陥っている'''ことから、今後どこまで独自路線を維持できるのかに注目が集まっている。
* 髙島屋は大手百貨店の中で最後まで独自生き残りを模索していた。


このノウハウの指導を受けていた高島屋が[[1953年]](昭和28年)から大阪店で「全国の観光とうまいもの大会」に併設して有名[[駅弁]]即売会を行っていた<ref name="lectures-of-station-lunch-box-2000-9">{{Cite book | 和書 | author = 林順信・小林しのぶ | title = 駅弁学講座 集英社新書 | publisher = [[集英社]] | isbn = 9784087200522 | date = 2000-9 }}</ref>関係から当店でも類似の催事を行うことになり<ref name="railway-journal-2002-4" />、[[1966年]](昭和41年)に約30種類の駅弁を集めて現在の「'''[[元祖有名駅弁と全国うまいもの大会]]'''」の第1回目を開催して現在まで続く人気イベントとなっている<ref name="trafic-np-2011-1-17">{{Cite news | title = 全国から200種 新宿・京王百貨店25日まで駅弁大会 | newspaper = [[交通新聞]] | publisher = 交通新聞社 | date = 2011-1-17 }}</ref>。
新宿店で毎年[[正月]]に行われている「[[元祖有名駅弁と全国うまいもの大会]]」は、「[[駅弁]]界の甲子園」といわれるほどの有名催事である。

[[1984年]](昭和59年)2月から京王グループが着手した聖蹟桜ヶ丘駅周辺総合開発により建設された'''[[京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター]]'''のA・B館が完成して[[1986年]](昭和61年)3月28日に開業するのに合せてその中に初の百貨店の支店となる'''聖蹟桜ヶ丘店'''を開業し<ref name="keio-railways-50-1998-12" />、複数の店舗を展開する百貨店チェーンとなった。

=== 中高年層重視の「新・大衆百貨店」 ===

開業時から資本・業務提携を行って来た高島屋<ref name="railway-journal-2002-4" />が新宿貨物駅跡の再開発ビルへ進出することに伴い<ref name="nikkei-mj-2012-5-25">{{Cite news | title = 京王百、40~50代取り込み、生活シーン別の売り場、衣料など専用ブランド | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2012-5-25 }}</ref>、その競争を勝ち抜くための生き残り策として中高年顧客を重視する<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />と共に一般市民の日常生活に対応した「'''新・大衆百貨店'''」をコンセプトとして[[1994年]](平成6年)6月に改装を行って<ref name="nissyoku-1996-11-18">{{Cite news | title = 新宿第2次弁当 戦争・百貨店惣菜売場の再編成(3)京王百貨店新宿店 | newspaper = [[日本食糧新聞]] | publisher = 日本食糧新聞社 | date = 1996-11-18 }}</ref>独自色を打ち出し始め<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />、[[2001年]](平成13年)に京王電鉄100%出資の子会社となった<ref name="keio-half-annual-report-2001">{{Cite report |year=2001 |title=2001年度中間連結決算・事業報告を中心に |publisher=京王電鉄 }}</ref>。

「'''新・大衆百貨店'''」のコンセプトに基いて百貨店としてはいち早く'''自社[[プライベートブランド|プライベートブランド(PB)]]商品'''の開発に取り組み<ref name="elneos-2011-2-1">{{Cite journal | title = 情報スクランブル アウトレット食品で注目される京王百貨店 | journal = エルネオス 2011年2月号 | publisher = エルネオス出版社 | date = 2011-2-1 }}</ref>、いわゆる[[デパ地下]]と呼ばれる地下食品売り場の中核を為す総菜売場でも[[1994年]](平成6年)6月からセルフサービス方式の総菜売場「'''デリカ亭'''」を自社で運営する<ref name="nissyoku-1996-11-18" />など独自の商品や売場作りを行って他店との差別化や集客力増強を狙う戦略を展開した<ref name="nissyoku-1996-11-18" />。

中高年層を重視した戦略の一環として、他の百貨店とより比較的年配の店員を多めに配置して気軽に相談しやすい雰囲気を醸し出し<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />、顧客・商品情報システムを活用して顧客ごとに買い上げのお礼状のサンキューレターやおすすめ商品や催事などを案内するおすすめレターを送るなど上顧客にきめ細かな対応を行うようにした<ref name="senken-np-2009-5-13">{{Cite news | title = 上顧客にきめ細かく 京王百貨店 対象別アプローチ強める | newspaper = [[繊研新聞]] | publisher = 繊研新聞社 | date = 2009-5-13 }}</ref>ほか、設備面でも中核となる4階の中高年女性向けの婦人服フロアは一角に休憩室を設置しただけでなく売場の壁沿いにも椅子を並べて疲れたときに休憩が採りやすいようにしたり<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />、手すりや鞄を置ける棚が設置された他店よりもやや大きめの試着室も設置しているほか<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />、全身が映る鏡があってパウダーコーナーや家族連れで来店する客を想定して男児を想定した男子トイレも設置した女子トイレを設置するなど細かな配慮をしている<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />。

また、20~30才の女性をバイヤーとデザイナーに起用して自分の母親に着てもらいたい感覚の商品開発をコンセプトに、若い世代の流行を採り入れながら年代による体型変化も考慮し、40から50代を対象に設定したプライベートブランド(PB)の「'''トライアングル'''」を開発・販売などを行っている<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />。

[[2002年]](平成14年)9月から裾を切ることによってシルエットが変わってしまうことや試着室でサイズ調整して修理の手間が掛かることを避けるために2センチ刻みで商品化した中から選べる<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />「'''レングスパンツ'''」<ref name="senken-np-2009-9-24">{{Cite news | title = め・て・みみ | newspaper = [[繊研新聞]] | publisher = 繊研新聞社 | date = 2009-9-24 }}</ref>などの独自の商品を用意したほか、他店がブランド導入を重視しているためにあまり設置していないセーターやブラウス及びパンツといった品目別の構成を行った<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />'''スタイルブック'''などの平場と呼ばれる単品編集売り場<ref name="senken-np-2008-8-6">{{Cite news | title = ボイス/逆手 | newspaper = [[繊研新聞]] | publisher = 繊研新聞社 | date = 2008-8-6 }}</ref>を積極的に設けて多くの商品の中から顧客が自分で選びやすくするなどの工夫もしている<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />。

この平場の展開はブランド毎に分かれた売場を見て回るのでは中高年層の客は歩き疲れてしまうことへの配慮にもなっている<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />ほか、多くのブランドなどが流行を追い掛ける為に不足しがちな商品を逆に多く並べる逆の戦略を採ることで売上を伸ばすことを可能にしている<ref name="senken-np-2008-8-6" />。

こうした様々な対応の結果[[2004年]](平成16年)9月時点で全国百貨店平均38.5%とほぼ同じ39.2%を衣料品で売上げつつ4階の中高年女性向けの婦人服フロアでは65才以上が63%で50才以上86.5%とすると同時に全店売上の約70%を50才以上の顧客が占めるなど目標通り中高年層の支持を獲得することに成功し<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />、新宿店は店舗面積が41,294m&sup2;で'''[[伊勢丹]]新宿本店'''の64,296m&sup2;や'''[[小田急百貨店]]新宿店'''の57,316m&sup2;、'''高島屋新宿店'''の51,913m&sup2;という競合店を下回る<ref name="national-land-developping-base-2000-6-9">{{Cite report |year=2000 |mounth=6 |title=国土審議会調査改革部会 第4回国際連携・持続的発展基盤小委員会配付資料 人口減少下での活力ある地域社会と二層の広域圏形成に資する国土基盤の現状と課題(資料編) |publisher=[[国土審議会]]調査改革部会 }}</ref>にも関らず、「'''新宿百貨店戦争'''」と称された激しい顧客争奪戦<ref name="nikkei-2006-4-18">{{Cite news | title = 新宿百貨店競争、第2幕へ | newspaper = [[日本経済新聞]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2006-4-18 }}</ref>を勝ち抜き、[[2008年]](平成20年)度の百貨店店舗別売上高ランキングで'''伊勢丹新宿本店'''の約2460.03億円と'''小田急百貨店新宿店'''の約1047.84億円に次ぐ約926.34億円で新宿地区で3位となり<ref name="nikkei-mj-2009-8-13">{{Cite news | title = 2008年度百貨店店舗別売上ランキング | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2009-8-13 }}</ref>}}、'''高島屋新宿店'''を上回る売上を上げている<ref name="sankei-np-2009-11-1">{{Cite news | author = 小熊敦郎 | title = 【ドラマ・企業攻防“大阪最終決戦”ジュクの仇はキタで討つ 高島屋vs伊勢丹 | newspaper = [[産経新聞]] | publisher = 産経新聞社 | date = 2009-11-1 }}</ref>。

また、[[1999年]](平成11年)から卵アレルギーの人が食べられるクリスマスケーキとして卵を使わずにできるムースを用いた商品を扱うなどアレルギーへの配慮も行い<ref name="yomiuri-np-2005-11-21">{{Cite news | title = 食材に配慮、みんな一緒にクリスマスケーキ | newspaper = [[読売新聞]] | publisher = 読売新聞社 | date = 2005-11-21 }}</ref>、高齢者に限らないバリアフリーの展開を図っている。

=== 新たな業務提携 ===

'''高島屋'''との新宿での競合により提携先を事実上失ったため、同様に'''高島屋'''と提携していたが[[ジェイアール東海高島屋|JR名古屋高島屋]]との競合に晒されることになった[[名古屋市|名古屋]]の'''[[丸栄]]'''と提携したほか、大阪・梅田で当社と同じく電鉄系百貨店で多店舗展開を行っていなかった[[大阪]]の'''[[阪神百貨店]]'''(現・[[エイチ・ツー・オー・リテイリング|阪急阪神百貨店]])と[[2000年]](平成12年)から業務提携を始めた<ref name="nissyoku-2003-8-25">{{Cite news | title = 京王百貨店、阪神タイガース食品コーナー常設 優勝セールも検討 | newspaper = [[日本食糧新聞]] | publisher = 日本食糧新聞社 | date = 2003-8-25 }}</ref>。

なお、'''丸栄'''も'''高島屋'''と競合することになったものの共に'''高島屋'''との提携によるフランスパンの'''[[フォション]]'''の営業を続ける<ref name="fukui-np-2011-5-31">{{Cite news | title = パンに卵のアレルギー表示漏れ 高島屋、記載せず販売 | newspaper = [[福井新聞]] | publisher = 福井新聞社 | date = 2011-5-31 }}</ref>など現在も一部で提携を続けている。

この'''阪神百貨店'''との提携により[[2002年]](平成14年)7月に新宿店7階玩具売場に首都圏で唯一の'''[[阪神タイガース]]'''の公式ショップを開設して<ref name="nissyoku-2003-8-25" />[[2003年]](平成15年)3月に月間売上500万円を上げていたが、同年に阪神タイガースが[[セントラルリーグ]]のペナントレースで早くから現在首位を独走したため同年6月には15日までの半月で3000万円の売上を上げるほど売上が急増し、取扱商品数も当初の200種類から約450種類へ増やされた<ref name="shikoku-np-2003-6-20">{{Cite news | title = 東京でも阪神グッズ人気/京王百貨店、売り上げ急増 | newspaper = [[四国新聞]] | publisher = 四国新聞社 | date = 2003-6-20 }}</ref>。

そして同年9月15日に阪神タイガースがリーグ優勝したため、翌日の16日から優勝記念セールが行われる<ref name="shikoku-np-2003-9-16">{{Cite news | title = 東京でも阪神ファンの列 優勝セールの京王百貨店 | newspaper = [[四国新聞]] | publisher = 四国新聞社 | date = 2003-9-16 }}</ref>など阪神タイガースのリーグ優勝の恩恵を受けることになった。

ただ、[[京王グループ]]全体がタイガース寄りというわけではなく、[[京王電鉄]]本社が沿線の[[よみうりランド]]に出資している関連で[[読売ジャイアンツ]]の[[パスネット]]カードを発行したことがあった<ref>[http://web.archive.org/web/20031220170937/http://www.keio.co.jp/topics/keio_news/03_09/main.html 京王ニュース2003年9月]</ref>り、[[京王エージェンシー]]が[[東京ヴェルディ1969|東京ヴェルディ]]に出資<ref>[http://ms.verdy.co.jp/company/ 東京ヴェルディ1969フットボールクラブ株式会社 会社概要]。[[日本テレビ放送網]]が親会社であった2001年より出資。</ref>したりするなど、[[読売グループ]]と提携した施策も行っている。

ところが、'''阪神百貨店'''は阪急・阪神の包括統合により[[エイチ・ツー・オー リテイリング]]傘下の阪急阪神百貨店社運営となった上、京王と袂を分かった'''高島屋'''と業務提携関係を成したこと、また'''丸栄'''についても、再建過程で親会社となった[[興和]]の社長が百貨店業からの撤退を仄めかすなど、京王の業務提携を巡る環境は年々厳しさを増しつつある<ref>熊本県でも阪神が絡んだ百貨店の再編劇が起きており、阪神百貨店と提携し熊本岩田屋の後継店として「くまもと阪神」を運営していた[[県民百貨店]]が、阪急・阪神統合の余波で提携関係の断絶に追い込まれ、かつてライバル店[[鶴屋百貨店|鶴屋]]が属していた高島屋系のハイランドグループ入りしたという事例がある。熊本岩田屋は現在鶴屋が属するA・D・O系の百貨店であった。</ref>。

=== リーマンショック後の消費不況への対応 ===

いわゆる[[リーマンショック]]後に発生した消費不況により日本の百貨店業界の売上が急激に減少したことを受けて、他の百貨店と同様に当社も[[2009年]](平成21年)度から約15億円を投じて行う予定をしていた新宿店レストラン街の全面改装を中止して店舗ごとの一部改装などで対応する<ref name="nikkei-mj-2009-4-6">{{Cite news | title = 百貨店の改装延期、京王など中堅にも拡大、小田急・東武も | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2009-4-6 }}</ref>など不況に対応した投資抑制を行ったほか、要因配置の適正化や[[2008年]](平成20年)10月に本格稼働した新しい顧客・商品情報システムを活用して対前年比で5%以上となる約10億円の経費削減と販売促進の両立による収益の改善を目指した<ref name="senken-np-2009-5-13" />。

その一環としてハウスカードと外商顧客などの組織化された顧客に対して商品やフェアなどの紹介に特化したアプローチレターと呼ぶ新たなダイレクトメールを導入したり<ref name="senken-np-2009-5-13" />、新潟産コシヒカリや干物などを扱う友の会の会員限定の通信販売を開始したり<ref name="nikkei-mj-2009-2-6">{{Cite news | author =武田敏英 | title = 「友の会」魅力アップ、高島屋、買い物券当たる抽選、三越伊勢丹、相互利用サービス | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2009-2-6 }}</ref>、医療機関と提携して会員向けの婦人科検診などの割引を拡充するなど京王友の会の会員特典を強化して年間の買い物額が積立額の3~4倍といわれる友の会の魅力を利用拡大を目指す<ref name="nikkei-mj-2009-6-6">{{Cite news | title = 積立金で通販支払い、医療サービス割安に、百貨店「友の会」特典拡充 | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2009-6-6 }}</ref>など上得意客の囲い込み強化を図って上位約30%で売上の約80%となっていたのを上位約20%で売上の約80%を上げることを目指した<ref name="senken-np-2009-5-13" />。

[[2009年]](平成21年)10月に[[オットージャパン]]初の実店舗である「オットー・コレクション」<ref name="tsuhan-np-2010-9-16">{{Cite news | title = オットージャパン、百貨店などに出店加速 | newspaper = [[通販新聞]] | publisher = 通販新聞社 | date = 2010-9-16 }}</ref>、[[2011年]](平成23年)10月に「通販生活」のブランドで知られる[[カタログハウス]]初の実店舗である「カタログハウスの店 セレクト」を開設させる<ref name="nikkei-mj-2011-11-23">{{Cite news | title = カタログ通販出店を強化、ベルーナ、茨城に1号店、ニッセン、「大型サイズ」全国に | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2011-11-23 }}</ref>など通信販売専門業者を店頭に取り込んで互いに客を紹介しあって売上を伸ばす戦略の展開も始めた<ref name="tsuhan-np-2010-9-16" />ほか、地盤である新宿駅西口の魅力を高めて集客強化を図るため京王グループや同地区に本拠を置く'''[[ヨドバシカメラ]]'''と共同で割引やおまけのサービスを提供するクーポン冊子の配布を行う<ref name="nikkei-mj-2010-12-8">{{Cite news | title = 京王百など、ヨドバシとクーポン冊子、新宿西口の魅力向上 | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2010-12-8 }}</ref>など基幹となる新宿店の集客力の強化を図っている。

また、プライベートブランド(PB)の「'''オンリーアット京王'''」を強化して[[2008年]](平成20年)度の約12.9億円を[[2011年]](平成23年)度に約21億円に増やすなど独自商品による売上拡大も目指すなど婦人服や服飾雑貨で低価格の戦略商品を投入した<ref name="senken-np-2009-5-13" />ほか、[[2009年]](平成21年)10月からファッション商品を拡充した新たなインターネット通信販売サイトを開設し<ref name="senken-np-2009-5-13" />、[[2011年]](平成23年)1月6日から'''[[伊藤忠食品]]'''と提携してインターネット通信販売サイトにパッケージ変更商品やメーカーの在庫処分品を扱う「'''[[アウトレット]]食品'''」と<ref name="tsuhan-np-2011-1-27">{{Cite news | title = 京王百貨店、わけあり商品をネットで常時販売 | newspaper = [[通販新聞]] | publisher = 通販新聞社 | date = 2011-1-27 }}</ref>賞味期限が三分の一を切った食品を扱う<ref name="elneos-2011-2-1" />「食卓おたすけ便」の2つのコーナーを設けて<ref name="tsuhan-np-2011-1-27" />百貨店としては初となるアウトレット食品の常時販売を始める<ref name="elneos-2011-2-1" />などインターネット通信販売でも新たな取組みを行っている。

こうした取組みにより、[[2010年]](平成22年)5月の売上高が前年同月比2.2%増で同じ新宿地区で競合する伊勢丹新宿本店の1.9%増や高島屋新宿店の0.1%増、小田急百貨店新宿店の3%減を上回り、いち早く売上を回復軌道に乗せた<ref name="nikkei-mj-2010-6-6">{{Cite news | title = 小田急百貨店 ネット予約で店頭割引 スポーツ用品160点 | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2010-6-6 }}</ref>。

=== 京王沿線以外への小型店の出店 ===

[[埼玉県]][[三郷市]]のJR[[武蔵野線]][[新三郷駅]]前に<ref name="mainichi-np-2009-9-16">{{Cite news | author =飯嶋英好 | title = ららぽーと新三郷:あすオープン 話題性ある178店出店 | newspaper = [[毎日新聞]] | publisher = 毎日新聞社 | date = 2009-9-16 }}</ref>[[2009年]](平成21年)9月17日に開業した<ref name="senken-np-2009-9-24" />178店舗が出店する大型ショッピングセンターの'''[[ららぽーと新三郷]]'''<ref name="mainichi-np-2009-9-16" />に初の郊外ショッピングセンター向け小型業態となる店舗面積359m&sup2;の'''ららぽーと新三郷店'''を開業し<ref name="senken-np-2009-9-24" />、京王沿線以外へ初めて進出した<ref name="senken-np-2009-5-13" />。

'''ららぽーと新三郷店'''は裾を切ることによってシルエットが変わってしまうことや試着室でサイズ調整して修理の手間が掛かることを避けるために2センチ刻みで商品化した中から選べる<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />「'''レングスパンツ'''」からウオーキングシューズや帽子など新宿店の得意分野を集約して投入し<ref name="senken-np-2009-9-24" />、総投資額を6400万円に抑えて過半を占めることになる食料品や催事と合わせて小型店で収益を上げる事業モデルの構築を図り<ref name="senken-np-2009-9-24" />、自社カード会員が約3000人しかいない手薄な新しい商圏開拓を目指した<ref name="senken-np-2009-9-24" />。

この'''ららぽーと新三郷店'''が初年度目標を30%上回って達成して軌道に乗り始めた<ref name="stores-report-2011-2-28">{{Cite journal | title = 京王百貨店 ららぽーと新三郷店 初年度目標の30%増で通過 新規事業への挑戦に目途 | journal = [[月刊ストアーズレポート]] 2011年3月号 | publisher = [[ストアーズ社]] | date = 2011-2-28 }}</ref>ため、'''[[そごう]]八王子店'''が撤退した八王子駅ビルを改装して[[2012年]](平成24年)10月に開業する'''[[セレオ八王子|セレオ八王子北館]]'''4階に'''ららぽーと新三郷店'''とほぼ同規模の店舗面積約350m&sup2;の<ref name="asahi-np-2012-8-18">{{Cite news | author =三嶋伸一 | title = JR八王子駅に新施設 百貨店並み、専門200店 | newspaper = [[朝日新聞]] | publisher = 朝日新聞社 | date = 2012-8-18 }}</ref>中高年層を対象顧客とするにしたサテライト店'''セレオ八王子店'''を開設して<ref name="daily-industrial-np-2012-7-27">{{Cite news | title = 京王百貨店、東京・八王子市に小型サテライト店 | newspaper = [[日刊工業新聞]] | publisher = 日刊工業新聞社 | date = 2012-7-27 }}</ref>婦人向けの衣料品や雑貨から化粧品などを取り扱う<ref name="nikkei-2012-7-19">{{Cite news | title = 京王百貨店、東京・八王子駅に小型店、今秋、女性需要を開拓 | newspaper = [[日本経済新聞]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2012-7-19 }}</ref>ことになった。

=== 東日本大震災に伴う対応と顧客層若返りへの挑戦 ===

[[東日本大震災]]の発生に伴う[[福島第一原子力発電所]]の事故発生を受けて日本全国で[[原子力発電所]]が停止した関係で当社も節電を行い、その一環として[[2011年]](平成23年)夏にスポット照明を50%削減したところ、当社が主力とする中高年層から衣料品などの商品で色が正確に確認できないとの苦情が出たため、同年7月末から8月上旬にかけて、全ての試着室の照明を屋外光に近い色味となる5000ケルビンの蛍光灯に切替える対応を行い、節電と正確な色の確認の両立を図った<ref name="nikkei-mj-2011-8-19">{{Cite news | title = 試着室の照明、屋外光に近く、京王百貨店新宿店-色味、正確に識別 | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2011-8-19 }}</ref>。

こうした従来からの主力顧客層への対応を進めながらも、他店に比べて早くから年齢の高い客層に特化した戦略を採ってきた影響で顧客の中心となる年齢層が高齢化し過ぎて消費意欲が衰えがちとなる70代以上が多くなってしまったことから、40~50代を取り込んで顧客の年齢層を引き下げ、45~69歳の顧客の構成比を従来の約30%から[[2012年]](平成24年)度中に約40%に引上げることを目指している<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />。

多くのことに興味・関心を持ち、自分らしい個性を重視する傾向にある40~50代を取り込む戦略として、売り場をブランド別から「ファッション」「美・健康」「食」「趣味」「暮らし」の6つを中心とする生活場面別に衣料品や生活雑貨、キッチン用品などを編集したライフスタイル提案型に切替えて展開するほか、この世代向けに旬の雑貨や衣料品などを提案する「'''こだわりコレクション'''」を展開するなど新商材の導入や売場の改装を進めていくことにしている<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />。


== 店舗 ==
== 店舗 ==
=== 現在の ===
=== 新宿店 ===
{{商業施設
* 新宿店([[東京都]][[新宿区]]西新宿1-1-4)
|社色 = #0080ff
* 聖蹟桜ヶ丘店(東京都[[多摩市]]関戸1-10-1、[[京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター]]の中核店舗「せいせき・B館」という)。[[多摩川]]が近く地盤が悪いため、地下階がない。
|文字色 = #fff
* [[ららぽーと新三郷]]店([[埼玉県]][[三郷市]][[新三郷ららシティ]]3-1-1、「サテライトショップ」として[[2009年]][[9月17日]]オープン<ref>[http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2009/0618/index.html 「三井ショッピングパーク ららぽーと新三郷」グランドオープン]</ref>。京王電鉄の沿線ではない地域への初めての出店)
|名称 = 京王百貨店新宿店
=== 過去に存在した店舗・出店計画 ===
|画像 =Shinjuku Keio Department Store 2012.JPG
* かつては、[[京王高尾線]][[めじろ台駅]](八王子市)や[[聖蹟桜ヶ丘駅]](多摩市)に、京王リビングというミニショップもあった。また、[[橋本駅 (神奈川県)|橋本駅]]前への百貨店出店計画もあった。
|画像説明 =
* かつて、八王子[[そごう]]が出店していたJR[[八王子駅]]の駅ビル セレオ北館 に小型店舗の出店予定がある。
|正式名称 = 京王百貨店新宿店
|施設所有者 = 京王電鉄
|施設管理者 = 京王百貨店
|前身 = 京王帝都電鉄新宿駅
|後身 =
|位置 = {{ウィキ座標度分秒|35|41|28.5|N|139|41|58.5|E|region:JP|name=京王百貨店新宿店}}
|敷地面積=
|商業施設面積= 41,294<ref name="national-land-developping-base-2000-6-9" />
|延床面積=
|店舗数 =
|駐車場数 =
|商圏人口 =
|開業日 = [[1964年]](昭和39年)11月1日
|閉店日 =
|営業時間 =
|最寄駅 = [[京王電鉄]]・[[小田急電鉄]]・[[東京都営地下鉄]]・[[東京メトロ]]・[[東日本旅客鉄道|JR]][[新宿駅]]
|最寄IC =
|所在地郵便番号 =
|所在地 = 東京都[[新宿区]]西新宿1-1-4
|外部リンク = {{Official|http://info.keionet.com/index.html}}
|グループ社色 =
|グループ文字色 =
|グループ文字フォント =
|グループ =
}}

'''京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)'''の新宿駅の地下化に伴う再開発で建設された京王ビルに[[1964年]](昭和39年)11月1日に開業した当社の1号店で本店格の店舗である<ref name="keio-railways-50-1998-12" />。

高島屋と資本・業務提携して同社から従業員教育や仕入れなどの百貨店経営のノウハウを導入して開業した<ref name="railway-journal-2002-4" />が、同社の新宿進出に伴って自立し、中高年顧客を重視する<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />と共に一般市民の日常生活に対応した「'''新・大衆百貨店'''」をコンセプトとして[[1994年]](平成6年)6月に改装を行って<ref name="nissyoku-1996-11-18" />独自色を打ち出し始めた<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />。

この「'''新・大衆百貨店'''」としてセーターやブラウス及びパンツといった品目別の構成を行った<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />'''スタイルブック'''などの平場と呼ばれる単品編集売り場<ref name="senken-np-2008-8-6" />や自社で運営するセルフサービス方式の総菜売場「'''デリカ亭'''」<ref name="nissyoku-1996-11-18" />など独自の売場作りを展開している。

また、[[日本の百貨店]]では初となる[[耐震]]補強や4階の中高年女性向けの婦人服フロアは一角に休憩室を設置しただけでなく売場の壁沿いにも椅子を並べて疲れたときに休憩が採りやすいようにしたり<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />、手すりや鞄を置ける棚が設置された他店よりもやや大きめの試着室も設置しているほか<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />、全身が映る鏡があってパウダーコーナーや家族連れで来店する客を想定して男児を想定した男子トイレも設置した女子トイレを設置するなど細かな配慮をして<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />ユニバーサル化を進めている。

裾を切ることによってシルエットが変わってしまうことや試着室でサイズ調整して修理の手間が掛かることを避けるために2センチ刻みで商品化した中から選べる<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />「'''レングスパンツ'''」<ref name="senken-np-2009-9-24" />や20~30才の女性をバイヤーとデザイナーに起用して自分の母親に着てもらいたい感覚の商品開発をコンセプトに若い世代の流行を採り入れながら年代による体型変化も考慮して40から50代を対象に設定した「'''トライアングル'''」<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />、「オンリーアット京王」<ref name="senken-np-2009-5-13" />などのプライベートブランド(PB)も日本の百貨店としてはいち早く導入して展開している<ref name="elneos-2011-2-1" />。

また、阪神百貨店との提携により[[2002年]](平成14年)7月に新宿店7階玩具売場に首都圏で唯一の'''阪神タイガース公式ショップ'''を開設した<ref name="nissyoku-2003-8-25" />ほか、[[2007年]](平成19年)4月に[[ラスク]]の[[ガトーフェスタハラダ]]の直営店<ref name="gunma-economy-np-2007-2-15">{{Cite news | title = 銀座に進出【ガトーフェスタハラダ】 | newspaper = [[群馬経済新聞]] | publisher = 群馬経済新聞社 | date = 2007-2-15 }}</ref>、[[2009年]](平成21年)10月にオットージャパン初の実店舗「オットー・コレクション」<ref name="tsuhan-np-2010-9-16" />、[[2011年]](平成23年)10月に「通販生活」のブランドで知られるカタログハウス初の実店舗である「カタログハウスの店 セレクト」を開設させる<ref name="nikkei-mj-2011-11-23" />など他の百貨店に導入されていない独自のインショップの導入による集客力向上も図っている。

こうした様々な対応の結果[[2004年]](平成16年)9月時点で全国百貨店平均38.5%とほぼ同じ39.2%を衣料品で売上げつつ4階の中高年女性向けの婦人服フロアでは65才以上が63%で50才以上86.5%とすると同時に全店売上の約70%を50才以上の顧客が占めるなど目標通り中高年層の支持を獲得することに成功し<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />、新宿店は店舗面積が41,294m&sup2;で'''伊勢丹新宿本店'''の64,296m&sup2;や'''小田急百貨店新宿店'''の57,316m&sup2;、'''高島屋新宿店'''の51,913m&sup2;という競合店を下回る<ref name="national-land-developping-base-2000-6-9" />にも関らず、「'''新宿百貨店戦争'''」と称された激しい顧客争奪戦<ref name="nikkei-2006-4-18" />を勝ち抜き、[[2008年]](平成20年)度の百貨店店舗別売上高ランキングで'''伊勢丹新宿本店'''の約2460.03億円と'''小田急百貨店新宿店'''の約1047.84億円に次ぐ約926.34億円で新宿地区で3位となり<ref name="nikkei-mj-2009-8-13" />、'''高島屋新宿店'''を上回る売上を上げた<ref name="sankei-np-2009-11-1" />。

リーマンショック後に発生した消費不況を受けて[[2009年]](平成21年)度から約15億円を投じて行う予定をしていた新宿店レストラン街の全面改装を中止したが<ref name="nikkei-mj-2009-4-6" />、他店に比べて早くから年齢の高い客層に特化した戦略を採ってきた影響で顧客の中心となる年齢層が高齢化し過ぎて消費意欲が衰えがちとなる70代以上が多くなってしまったことから40~50代を取り込んで顧客の年齢層を引き下げて45~69歳の顧客の構成比を従来の約30%から[[2012年]](平成24年)度中に約40%に引上げることを目指し<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />、多くのことに興味・関心を持ち<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />、自分らしい個性を重視する傾向にある40~50代を取り込む戦略として売り場をブランド別から「ファッション」「美・健康」「食」「趣味」「暮らし」の6つを中心とする生活場面別に衣料品や生活雑貨、キッチン用品などを編集したライフスタイル提案型に切替えて展開するほか<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />、この世代向けに旬の雑貨や衣料品などを提案する「'''こだわりコレクション'''」を展開するなど新商材の導入や売場の改装を進めていくことにしている<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />。

近年の不況や東日本大震災の影響などもあり、[[2011年]](平成23年)度の売上高は前年比4.4%減の798億円に落ち込んでいる<ref name="nikkei-mj-2012-5-25" />。

[[1976年]](昭和51年)3月10日に開設された<ref name="keio-railways-50-1998-12" />'''[[京王モール]]'''と地下のフロアで繋がっていて京王モール経由で東京都営地下鉄新宿線・大江戸線新宿駅や[[小田急エース]]などとも接続している<ref name="indoor-positioning-system-reseach-2009-3">{{Cite report |date=2009-3 |title=屋内測位普及発展に関する調査研究報告書 |publisher=財団法人[[ニューメディア開発協会]] }}</ref>。

==== 季節の催事 ====
[[1966年]](昭和41年)から毎年1月に行っている「'''元祖有名駅弁と全国うまいもの大会'''」は全国各地の駅弁を集めるだけでなく「駅弁対決」から「廃線駅弁の復刻」や「海外の駅弁」などの企画も行って人気を博し<ref name="station-lunch-box-fair-2001-10">{{Cite book | 和書 | author = 京王百貨店駅弁チーム | title = 駅弁大会 光文社新書 | publisher = [[光文社]] | isbn = 4334031048 | date = 2001-10 }}</ref>、[[2000年]](平成12年)に売上5億円を突破して[[2010年]](平成22年)に7億円の大台に乗せるなど年々規模が拡大し<ref name="trafic-np-2011-1-17" />、[[2010年]](平成22年)には約42.6万個を販売して売上高約7.11億円を上げる一大イベントとなり<ref name="nikkansports-np-2011-1-11">{{Cite news | title = 進化する物産展 | newspaper = [[日刊スポーツ]] | publisher = 日刊スポーツ新聞社 | date = 2011-1-11 }}</ref>、「駅弁の甲子園」と呼ばれている<ref name="shikoku-np-2011-1-21">{{Cite news | title = 「讃岐たいらぎ弁当」が東京の駅弁大会に登場 | newspaper = [[四国新聞]] | publisher = 四国新聞社 | date = 2011-1-21 }}</ref>。

また、夏には屋上で「'''京王アサヒスカイビアガーデン'''」も開催している<ref name="yomiuri-np-2012-7-11">{{Cite news | title = 女性歓迎のビアガーデン | newspaper = [[読売新聞]] | publisher = 読売新聞社 | date = 2012-7-11 }}</ref>。

=== 聖蹟桜ヶ丘店 ===
{{商業施設
|社色 = #0080ff
|文字色 = #fff
|名称 = 京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店
|画像 =Seiseki-sakuragaoka.jpg
|画像説明 = 京王電鉄[[聖蹟桜ヶ丘駅]]・<br />京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店<br />([[東京三菱銀行]]併設当時)
|正式名称 = 京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店
|施設所有者 = 京王電鉄
|施設管理者 =
|前身 =
|後身 =
|敷地面積=
|商業施設面積= 17,089<ref name="national-land-developping-base-2000-6-9" />
|延床面積=
|店舗数 =
|駐車場数 =
|商圏人口 =
|開業日 = [[1986年]](昭和61年)3月28日
|閉店日 =
|営業時間 =
|最寄駅 = [[京王電鉄]]・[[聖蹟桜ヶ丘駅]]
|最寄IC =
|所在地郵便番号 =
|所在地 = 東京都[[多摩市]]関戸1-10-1
|位置 = {{ウィキ座標度分秒|35|39|3|N|139|26|48.7|E|region:JP-13_type:railwaystation|display=inline,title}}
|外部リンク = {{Official|http://info.keionet.com/index_se.html}}
|グループ社色 =
|グループ文字色 =
|グループ文字フォント =
|グループ =
}}

[[1984年]](昭和59年)2月から京王グループが着手した聖蹟桜ヶ丘駅周辺総合開発により建設された'''[[京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター]]'''のA・B館が完成して[[1986年]](昭和61年)3月28日に開業するのに合せてその核店舗として開業した初の百貨店の支店である<ref name="keio-railways-50-1998-12" />。

当店の入居する'''京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター'''は裏を[[多摩川]]が流れる立地を活かして地元と協力して毎年桜祭りを開催し、周辺を緑化した街の玄関となる広場や授乳室、スポーツ施設などを整備して地元客が仲間と食事やお茶をして帰るコミュニティー化を図る地域密着の路線を採っている<ref name="senken-np-2011-2-28">{{Cite news | title = ボイス/地域活性化 | newspaper = [[繊研新聞]] | publisher = 繊研新聞社 | date = 2011-2-28 }}</ref>ため当店も地域密着型の展開をしていたが長年赤字が続いていた<ref name="nikkei-mj-2012-4-27">{{Cite news | title = 京王百貨店聖蹟桜ケ丘店店長寺田秀明さん、「乗り換え客」獲得に全力(ハッスル店長) | newspaper = [[日経MJ]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2012-4-27 }}</ref>。

そこで、[[2011年]](平成23年)10月に前年に他の百貨店で歳暮を注文した顧客が歳暮を手配するとギフト券を進呈する「お歳暮のりかえキャンペーン」を打ち出したり、ファッションビルなどで売られている雑貨などの取り扱いを充実させる一方で百貨店らしさも打ち出すために[[2012年]](平成24年)3月に売り場を一部改装してイベントスペースを新設して季節に応じた提案を強化するなどの戦略を展開し、[[2012年]](平成24年)3月に3月期に11年ぶりに黒字に転じた<ref name="nikkei-mj-2012-4-27" />。

[[2012年]](平成24年)1月に閉店したそごう八王子店の需要取り込みを目指して同店から婦人服ブランドを店長ごと迎えたり、本社勤務の社員も動員した八王子地区でチラシ配布や住民へのあいさつ回りを展開し、同年4月には八王子市在住者からの売上を前年同月比で約20%増加させるなど新たな顧客確保を目指している<ref name="nikkei-mj-2012-4-27" />。

=== 小型サテライト店 ===
==== ららぽーと新三郷店 ====
[[ファイル:Lalaport shin misato front.jpg|thumb|300px|right|ららぽーと新三郷]]

[[埼玉県]][[三郷市]]のJR[[武蔵野線]][[新三郷駅]]前に<ref name="mainichi-np-2009-9-16" />[[2009年]](平成21年)9月17日に開業した<ref name="senken-np-2009-9-24" />178店舗が出店する大型ショッピングセンターの'''[[ららぽーと新三郷]]'''<ref name="mainichi-np-2009-9-16" />に初の郊外ショッピングセンター向け小型業態となる店舗面積359m&sup2;で開業し<ref name="senken-np-2009-9-24" />、京王沿線以外へ初めて進出となる小型店である<ref name="senken-np-2009-5-13" />。

裾を切ることによってシルエットが変わってしまうことや試着室でサイズ調整して修理の手間が掛かることを避けるために2センチ刻みで商品化した中から選べる<ref name="gifu-syotengai-2005-3" />「'''レングスパンツ'''」からウオーキングシューズや帽子など新宿店の得意分野が集約されていて<ref name="senken-np-2009-9-24" />、子供連れのファミリーが主要顧客で50~60代の女性のような中高年層を取り込めていないショッピングセンターの弱みをカバーすることを狙っている<ref name="nikkei-2009-3-31">{{Cite news | title = 京王百貨店、小型衣料店SCで展開 割安PB商品、中高年狙う | newspaper = [[日本経済新聞]] | publisher = 日本経済新聞社 | date = 2009-3-31 }}</ref>。

百貨店らしい催事を展開することを想定して可変性ある什器を多用し<ref name="senken-np-2009-9-24" />、巨額の投資をして失敗して撤退するなど成功事例が乏しい郊外型百貨店のため工夫を重ねて総投資額を6400万円に抑えて食料品が売上高の50%を占める小型店で収益を上げられるようにし<ref name="senken-np-2009-9-24" />、開業初年度の目標を30%上回って達成して軌道に乗せることに成功した<ref name="stores-report-2011-2-28" />。

また、[[2011年]](平成23年)1月28日から2月3日まで新宿店の人気催事である「'''元祖有名駅弁と全国うまいもの大会'''」の小型版の「'''駅弁特別販売会'''」を開催する<ref name="trafic-np-2011-1-17" />など新宿店の強みを徹底的に活用した展開を図っている<ref name="senken-np-2009-9-24" />。

* [[埼玉県]][[三郷市]][[新三郷ららシティ]]3-1-1

==== セレオ八王子店 ====

東京都八王子市のJR八王子駅ビルの'''そごう八王子店'''の撤退跡を改装して[[2012年]](平成24年)10月25日に開業した'''[[セレオ八王子|セレオ八王子北館]]'''<ref name="mainichi-np-2012-10-26">{{Cite news | author = 平林由梨 | title = セレオ八王子北館:駅ビルオープン にぎわい期待、2000人が列 | newspaper = [[毎日新聞]] | publisher = 毎日新聞社 | date = 2012-10-26 }}</ref>の4階にある店舗である<ref name="asahi-np-2012-8-18" />。

'''ららぽーと新三郷店'''とほぼ同規模の店舗面積約350m&sup2;に4ブランドの中高年向け婦人服<ref name="asahi-np-2012-8-18" />や雑貨から化粧品などを取り揃えて<ref name="nikkei-2012-7-19" />中高年層を対象顧客として<ref name="daily-industrial-np-2012-7-27" />売場ごとに専門の販売員が担当する百貨店と同じ対面販売を行う店舗である<ref name="asahi-np-2012-8-18" />。

== 実現しなかった店舗 ==
=== 橋本店 ===

当社の親会社の京王帝都電鉄[[京王相模原線|相模原線]]の延伸が計画され、JR[[横浜線]]・[[相模線]]と合わせたターミナル駅となることが予定されていた'''[[橋本駅 (神奈川県)|橋本駅]]'''前の[[市街地再開発]]で出来るビルへの出店計画で、橋本駅前再開発準備組合が行った核テナント選定のコンペに14社が参加する中でそごうや[[近鉄百貨店]]と共に最終選考まで残ったが、坪当たり8,000円以上という2倍の賃貸料を提示したそごうに決まったため出店を断念した<ref name="why-brand-brake-down-sogo-snow-mitsubishi">{{Cite book | 和書 | authors = [[産経新聞]]取材班 | title = ブランドはなぜ堕ちたか 雪印、そごう、三菱自動車 事件の深層 | publisher = [[角川書店]] | isbn = 978-4048836517 | date = 2001-1}}</ref>。

そごうが経営不振で出店しなかったため<ref name="why-brand-brake-down-sogo-snow-mitsubishi" />、[[2000年]](平成12年)3月4日に橋本ビブレが核店舗として開業し<ref name="nissyoku-2000-3-20">{{Cite news | title = マイカル「橋本ビブレ」開店、街を変える生活提案へ | newspaper = [[日本食糧新聞]] | publisher = 日本食糧新聞社 | date = 2000-3-20 }}</ref>、その後橋本サティへの業態転換<ref name="shikoku-np-2001-5-27">{{Cite news | title = 宇多津ビブレなど6店舗、サティに | newspaper = [[四国新聞]] | publisher = 四国新聞社 | date = 2001-5-27 }}</ref>を経てイオン橋本店となった。

== 過去に存在した店舗 ==

[[京王高尾線]][[めじろ台駅]](八王子市)や[[聖蹟桜ヶ丘駅]](多摩市)に、京王リビングというミニショップもあった。


== POSシステム ==
== POSシステム ==
52行目: 230行目:


== 関連会社 ==
== 関連会社 ==

* [http://www.limone.jp/ 株式会社エリート] - ファッション衣料・雑貨専門店「リモーネ」や「ヴィプロプル銀座」などを運営
[[1964年]](昭和39年)の開業時から展開していた関東地方の百貨店で初の'''友の会'''が[[1972年]](昭和47年)に'''[[割賦販売法]]'''が改正されて[[前払式特定取引業]]として規制対象となったことに伴って別会社として分離してその事業を継承する形で設立した'''株式会社[[京王友の会]]'''<ref name="membership-mutual-club-house-card-1985-12" />や、'''京王パスポートVISAカード'''などのカードを発行する'''株式会社[[京王パスポートクラブ]]'''<ref name="monthly-consumer-credit-2011-3">{{Cite journal | title = 京王百貨店 ららぽーと新三郷店 初年度目標の30%増で通過 新規事業への挑戦に目途 | journal = [[月刊消費者信用]] 2011年3月号(336号) | publisher = [[金融財政事情研究会]] | date = 2011-3 }}</ref>、親会社の京王電鉄と折半出資で婦人服専門店「'''ビープロピル'''」などを運営する'''株式会社エリート'''<ref name="senken-np-2003-12-26">{{Cite news | title = 銀座にOL向け新業態 エリート ネットで試着イメージ | newspaper = [[繊研新聞]] | publisher = 繊研新聞社 | date = 2003-12-26 }}</ref>、[[1994年]](平成6年)に100%出資の子会社として設立して'''[[京王プラザホテル]]'''などで貸衣装を展開している'''株式会社[[京王コスチューム]]'''<ref name="keio-costume-company-prefile-2012">{{Cite report |year=2012 |title= 会社案内 |publisher= 京王コスチューム }}</ref>などの関連会社がある。
* 株式会社[[京王友の会]] - 百貨店初の会員組織

* 株式会社エリート - ファッション衣料・雑貨専門店「リモーネ」や「ヴィプロプル銀座」などを運営
* 株式会社[[京王友の会]] - 関東地方の百貨店初の友の会<ref name="membership-mutual-club-house-card-1985-12" />
* 株式会社[[京王コスチューム]] - [[京王プラザホテル]]などでの[[ウエディングドレス]]・婚礼衣装等のレンタル
* 株式会社[[京王コスチューム]] - [[京王プラザホテル]]などでの[[ウエディングドレス]]・婚礼衣装等のレンタル
* 株式会社[[京王パスポートクラブ]]
* 株式会社[[京王パスポートクラブ]]

== 脚注 ==
{{Reflist|4}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
63行目: 247行目:
* [[京王アートマン]]
* [[京王アートマン]]
* [[レストラン京王]]
* [[レストラン京王]]

== 脚注 ==
<references />


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commonscat|Keio Department store}}
{{Commonscat|Keio Department store}}
* [http://www.keionet.com/index.html 京王百貨店]
* [http://www.limone.jp/ 株式会社エリート]
** [http://info.keionet.com/index.html 新宿店]
** [http://info.keionet.com/index_se.html 聖蹟桜ヶ丘店]
** [http://info.keionet.com/index_mi.html ららぽーと新三郷店]


{{日本の大手百貨店}}
{{日本の大手百貨店}}

2013年1月16日 (水) 01:33時点における版

株式会社京王百貨店
KEIO DEPARTMENT STORE CO., LTD.
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
151-0061
東京都渋谷区初台1丁目53-7 京王初台駅ビル
(新宿店:〒160-0023 東京都新宿区西新宿1丁目1-4)
設立 1961年(昭和36年)3月10日
業種 小売業
法人番号 4011101006006 ウィキデータを編集
事業内容 百貨店
代表者 代表取締役社長 林 静男
資本金 12億円
売上高 928億21百万円(2011年3月期)[1]
従業員数 1057名(男476名、女581名)
2012年3月31日現在)
決算期 3月
主要株主 京王電鉄株式会社(100%)
主要子会社 株式会社エリート
株式会社京王友の会
株式会社京王コスチューム
外部リンク 公式ウェブサイト
テンプレートを表示

株式会社京王百貨店(けいおうひゃっかてん、英称KEIO DEPARTMENT STORE、本社:東京都渋谷区)は、京王電鉄傘下の日本の百貨店

歴史・概要

創業から聖蹟桜ヶ丘店の開業まで

1960年(昭和35年)6月に東京都が新宿副都心計画を発表したことを受けて京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)が新宿駅付近の併用軌道と同駅の地下化を行うと同時に地上に駅ビルを建設する大規模な改良工事を行うことになり[2]、それに伴って同年の秋に百貨店業への進出を決定し[3]1961年(昭和36年)3月10日に株式会社京王百貨店を設立して1964年(昭和39年)11月1日に京王帝都電鉄新宿駅のビルに現在の新宿店を開店した[2]のが始まりである。

開業時から会員を集めて定期的に積立を行わせて積立額を上回る金額の自店でのみ使用可能な商品券を提供する友の会を設立して運営しており、関東地区では初の百貨店の友の会であった[4]

百貨店への新規参入のため、高島屋と資本・業務提携して同社から従業員教育や仕入れなどの百貨店経営のノウハウを導入して開業した[5]

このノウハウの指導を受けていた高島屋が1953年(昭和28年)から大阪店で「全国の観光とうまいもの大会」に併設して有名駅弁即売会を行っていた[6]関係から当店でも類似の催事を行うことになり[5]1966年(昭和41年)に約30種類の駅弁を集めて現在の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の第1回目を開催して現在まで続く人気イベントとなっている[7]

1984年(昭和59年)2月から京王グループが着手した聖蹟桜ヶ丘駅周辺総合開発により建設された京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターのA・B館が完成して1986年(昭和61年)3月28日に開業するのに合せてその中に初の百貨店の支店となる聖蹟桜ヶ丘店を開業し[2]、複数の店舗を展開する百貨店チェーンとなった。

中高年層重視の「新・大衆百貨店」

開業時から資本・業務提携を行って来た高島屋[5]が新宿貨物駅跡の再開発ビルへ進出することに伴い[8]、その競争を勝ち抜くための生き残り策として中高年顧客を重視する[3]と共に一般市民の日常生活に対応した「新・大衆百貨店」をコンセプトとして1994年(平成6年)6月に改装を行って[9]独自色を打ち出し始め[8]2001年(平成13年)に京王電鉄100%出資の子会社となった[10]

新・大衆百貨店」のコンセプトに基いて百貨店としてはいち早く自社プライベートブランド(PB)商品の開発に取り組み[11]、いわゆるデパ地下と呼ばれる地下食品売り場の中核を為す総菜売場でも1994年(平成6年)6月からセルフサービス方式の総菜売場「デリカ亭」を自社で運営する[9]など独自の商品や売場作りを行って他店との差別化や集客力増強を狙う戦略を展開した[9]

中高年層を重視した戦略の一環として、他の百貨店とより比較的年配の店員を多めに配置して気軽に相談しやすい雰囲気を醸し出し[3]、顧客・商品情報システムを活用して顧客ごとに買い上げのお礼状のサンキューレターやおすすめ商品や催事などを案内するおすすめレターを送るなど上顧客にきめ細かな対応を行うようにした[1]ほか、設備面でも中核となる4階の中高年女性向けの婦人服フロアは一角に休憩室を設置しただけでなく売場の壁沿いにも椅子を並べて疲れたときに休憩が採りやすいようにしたり[3]、手すりや鞄を置ける棚が設置された他店よりもやや大きめの試着室も設置しているほか[3]、全身が映る鏡があってパウダーコーナーや家族連れで来店する客を想定して男児を想定した男子トイレも設置した女子トイレを設置するなど細かな配慮をしている[3]

また、20~30才の女性をバイヤーとデザイナーに起用して自分の母親に着てもらいたい感覚の商品開発をコンセプトに、若い世代の流行を採り入れながら年代による体型変化も考慮し、40から50代を対象に設定したプライベートブランド(PB)の「トライアングル」を開発・販売などを行っている[3]

2002年(平成14年)9月から裾を切ることによってシルエットが変わってしまうことや試着室でサイズ調整して修理の手間が掛かることを避けるために2センチ刻みで商品化した中から選べる[3]レングスパンツ[12]などの独自の商品を用意したほか、他店がブランド導入を重視しているためにあまり設置していないセーターやブラウス及びパンツといった品目別の構成を行った[3]スタイルブックなどの平場と呼ばれる単品編集売り場[13]を積極的に設けて多くの商品の中から顧客が自分で選びやすくするなどの工夫もしている[3]

この平場の展開はブランド毎に分かれた売場を見て回るのでは中高年層の客は歩き疲れてしまうことへの配慮にもなっている[3]ほか、多くのブランドなどが流行を追い掛ける為に不足しがちな商品を逆に多く並べる逆の戦略を採ることで売上を伸ばすことを可能にしている[13]

こうした様々な対応の結果2004年(平成16年)9月時点で全国百貨店平均38.5%とほぼ同じ39.2%を衣料品で売上げつつ4階の中高年女性向けの婦人服フロアでは65才以上が63%で50才以上86.5%とすると同時に全店売上の約70%を50才以上の顧客が占めるなど目標通り中高年層の支持を獲得することに成功し[3]、新宿店は店舗面積が41,294m²で伊勢丹新宿本店の64,296m²や小田急百貨店新宿店の57,316m²、高島屋新宿店の51,913m²という競合店を下回る[14]にも関らず、「新宿百貨店戦争」と称された激しい顧客争奪戦[15]を勝ち抜き、2008年(平成20年)度の百貨店店舗別売上高ランキングで伊勢丹新宿本店の約2460.03億円と小田急百貨店新宿店の約1047.84億円に次ぐ約926.34億円で新宿地区で3位となり[16]}}、高島屋新宿店を上回る売上を上げている[17]

また、1999年(平成11年)から卵アレルギーの人が食べられるクリスマスケーキとして卵を使わずにできるムースを用いた商品を扱うなどアレルギーへの配慮も行い[18]、高齢者に限らないバリアフリーの展開を図っている。

新たな業務提携

高島屋との新宿での競合により提携先を事実上失ったため、同様に高島屋と提携していたがJR名古屋高島屋との競合に晒されることになった名古屋丸栄と提携したほか、大阪・梅田で当社と同じく電鉄系百貨店で多店舗展開を行っていなかった大阪阪神百貨店(現・阪急阪神百貨店)と2000年(平成12年)から業務提携を始めた[19]

なお、丸栄高島屋と競合することになったものの共に高島屋との提携によるフランスパンのフォションの営業を続ける[20]など現在も一部で提携を続けている。

この阪神百貨店との提携により2002年(平成14年)7月に新宿店7階玩具売場に首都圏で唯一の阪神タイガースの公式ショップを開設して[19]2003年(平成15年)3月に月間売上500万円を上げていたが、同年に阪神タイガースがセントラルリーグのペナントレースで早くから現在首位を独走したため同年6月には15日までの半月で3000万円の売上を上げるほど売上が急増し、取扱商品数も当初の200種類から約450種類へ増やされた[21]

そして同年9月15日に阪神タイガースがリーグ優勝したため、翌日の16日から優勝記念セールが行われる[22]など阪神タイガースのリーグ優勝の恩恵を受けることになった。

ただ、京王グループ全体がタイガース寄りというわけではなく、京王電鉄本社が沿線のよみうりランドに出資している関連で読売ジャイアンツパスネットカードを発行したことがあった[23]り、京王エージェンシー東京ヴェルディに出資[24]したりするなど、読売グループと提携した施策も行っている。

ところが、阪神百貨店は阪急・阪神の包括統合によりエイチ・ツー・オー リテイリング傘下の阪急阪神百貨店社運営となった上、京王と袂を分かった高島屋と業務提携関係を成したこと、また丸栄についても、再建過程で親会社となった興和の社長が百貨店業からの撤退を仄めかすなど、京王の業務提携を巡る環境は年々厳しさを増しつつある[25]

リーマンショック後の消費不況への対応

いわゆるリーマンショック後に発生した消費不況により日本の百貨店業界の売上が急激に減少したことを受けて、他の百貨店と同様に当社も2009年(平成21年)度から約15億円を投じて行う予定をしていた新宿店レストラン街の全面改装を中止して店舗ごとの一部改装などで対応する[26]など不況に対応した投資抑制を行ったほか、要因配置の適正化や2008年(平成20年)10月に本格稼働した新しい顧客・商品情報システムを活用して対前年比で5%以上となる約10億円の経費削減と販売促進の両立による収益の改善を目指した[1]

その一環としてハウスカードと外商顧客などの組織化された顧客に対して商品やフェアなどの紹介に特化したアプローチレターと呼ぶ新たなダイレクトメールを導入したり[1]、新潟産コシヒカリや干物などを扱う友の会の会員限定の通信販売を開始したり[27]、医療機関と提携して会員向けの婦人科検診などの割引を拡充するなど京王友の会の会員特典を強化して年間の買い物額が積立額の3~4倍といわれる友の会の魅力を利用拡大を目指す[28]など上得意客の囲い込み強化を図って上位約30%で売上の約80%となっていたのを上位約20%で売上の約80%を上げることを目指した[1]

2009年(平成21年)10月にオットージャパン初の実店舗である「オットー・コレクション」[29]2011年(平成23年)10月に「通販生活」のブランドで知られるカタログハウス初の実店舗である「カタログハウスの店 セレクト」を開設させる[30]など通信販売専門業者を店頭に取り込んで互いに客を紹介しあって売上を伸ばす戦略の展開も始めた[29]ほか、地盤である新宿駅西口の魅力を高めて集客強化を図るため京王グループや同地区に本拠を置くヨドバシカメラと共同で割引やおまけのサービスを提供するクーポン冊子の配布を行う[31]など基幹となる新宿店の集客力の強化を図っている。

また、プライベートブランド(PB)の「オンリーアット京王」を強化して2008年(平成20年)度の約12.9億円を2011年(平成23年)度に約21億円に増やすなど独自商品による売上拡大も目指すなど婦人服や服飾雑貨で低価格の戦略商品を投入した[1]ほか、2009年(平成21年)10月からファッション商品を拡充した新たなインターネット通信販売サイトを開設し[1]2011年(平成23年)1月6日から伊藤忠食品と提携してインターネット通信販売サイトにパッケージ変更商品やメーカーの在庫処分品を扱う「アウトレット食品」と[32]賞味期限が三分の一を切った食品を扱う[11]「食卓おたすけ便」の2つのコーナーを設けて[32]百貨店としては初となるアウトレット食品の常時販売を始める[11]などインターネット通信販売でも新たな取組みを行っている。

こうした取組みにより、2010年(平成22年)5月の売上高が前年同月比2.2%増で同じ新宿地区で競合する伊勢丹新宿本店の1.9%増や高島屋新宿店の0.1%増、小田急百貨店新宿店の3%減を上回り、いち早く売上を回復軌道に乗せた[33]

京王沿線以外への小型店の出店

埼玉県三郷市のJR武蔵野線新三郷駅前に[34]2009年(平成21年)9月17日に開業した[12]178店舗が出店する大型ショッピングセンターのららぽーと新三郷[34]に初の郊外ショッピングセンター向け小型業態となる店舗面積359m²のららぽーと新三郷店を開業し[12]、京王沿線以外へ初めて進出した[1]

ららぽーと新三郷店は裾を切ることによってシルエットが変わってしまうことや試着室でサイズ調整して修理の手間が掛かることを避けるために2センチ刻みで商品化した中から選べる[3]レングスパンツ」からウオーキングシューズや帽子など新宿店の得意分野を集約して投入し[12]、総投資額を6400万円に抑えて過半を占めることになる食料品や催事と合わせて小型店で収益を上げる事業モデルの構築を図り[12]、自社カード会員が約3000人しかいない手薄な新しい商圏開拓を目指した[12]

このららぽーと新三郷店が初年度目標を30%上回って達成して軌道に乗り始めた[35]ため、そごう八王子店が撤退した八王子駅ビルを改装して2012年(平成24年)10月に開業するセレオ八王子北館4階にららぽーと新三郷店とほぼ同規模の店舗面積約350m²の[36]中高年層を対象顧客とするにしたサテライト店セレオ八王子店を開設して[37]婦人向けの衣料品や雑貨から化粧品などを取り扱う[38]ことになった。

東日本大震災に伴う対応と顧客層若返りへの挑戦

東日本大震災の発生に伴う福島第一原子力発電所の事故発生を受けて日本全国で原子力発電所が停止した関係で当社も節電を行い、その一環として2011年(平成23年)夏にスポット照明を50%削減したところ、当社が主力とする中高年層から衣料品などの商品で色が正確に確認できないとの苦情が出たため、同年7月末から8月上旬にかけて、全ての試着室の照明を屋外光に近い色味となる5000ケルビンの蛍光灯に切替える対応を行い、節電と正確な色の確認の両立を図った[39]

こうした従来からの主力顧客層への対応を進めながらも、他店に比べて早くから年齢の高い客層に特化した戦略を採ってきた影響で顧客の中心となる年齢層が高齢化し過ぎて消費意欲が衰えがちとなる70代以上が多くなってしまったことから、40~50代を取り込んで顧客の年齢層を引き下げ、45~69歳の顧客の構成比を従来の約30%から2012年(平成24年)度中に約40%に引上げることを目指している[8]

多くのことに興味・関心を持ち、自分らしい個性を重視する傾向にある40~50代を取り込む戦略として、売り場をブランド別から「ファッション」「美・健康」「食」「趣味」「暮らし」の6つを中心とする生活場面別に衣料品や生活雑貨、キッチン用品などを編集したライフスタイル提案型に切替えて展開するほか、この世代向けに旬の雑貨や衣料品などを提案する「こだわりコレクション」を展開するなど新商材の導入や売場の改装を進めていくことにしている[8]

店舗

新宿店

京王百貨店新宿店
店舗概要
所在地 東京都新宿区西新宿1-1-4
座標 北緯35度41分28.5秒 東経139度41分58.5秒 / 北緯35.691250度 東経139.699583度 / 35.691250; 139.699583 (京王百貨店新宿店)
開業日 1964年(昭和39年)11月1日
正式名称 京王百貨店新宿店
施設所有者 京王電鉄
施設管理者 京王百貨店
商業施設面積 41,294[14] m²
前身 京王帝都電鉄新宿駅
最寄駅 京王電鉄小田急電鉄東京都営地下鉄東京メトロJR新宿駅
外部リンク 公式ウェブサイト
テンプレートを表示

京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)の新宿駅の地下化に伴う再開発で建設された京王ビルに1964年(昭和39年)11月1日に開業した当社の1号店で本店格の店舗である[2]

高島屋と資本・業務提携して同社から従業員教育や仕入れなどの百貨店経営のノウハウを導入して開業した[5]が、同社の新宿進出に伴って自立し、中高年顧客を重視する[3]と共に一般市民の日常生活に対応した「新・大衆百貨店」をコンセプトとして1994年(平成6年)6月に改装を行って[9]独自色を打ち出し始めた[8]

この「新・大衆百貨店」としてセーターやブラウス及びパンツといった品目別の構成を行った[3]スタイルブックなどの平場と呼ばれる単品編集売り場[13]や自社で運営するセルフサービス方式の総菜売場「デリカ亭[9]など独自の売場作りを展開している。

また、日本の百貨店では初となる耐震補強や4階の中高年女性向けの婦人服フロアは一角に休憩室を設置しただけでなく売場の壁沿いにも椅子を並べて疲れたときに休憩が採りやすいようにしたり[3]、手すりや鞄を置ける棚が設置された他店よりもやや大きめの試着室も設置しているほか[3]、全身が映る鏡があってパウダーコーナーや家族連れで来店する客を想定して男児を想定した男子トイレも設置した女子トイレを設置するなど細かな配慮をして[3]ユニバーサル化を進めている。

裾を切ることによってシルエットが変わってしまうことや試着室でサイズ調整して修理の手間が掛かることを避けるために2センチ刻みで商品化した中から選べる[3]レングスパンツ[12]や20~30才の女性をバイヤーとデザイナーに起用して自分の母親に着てもらいたい感覚の商品開発をコンセプトに若い世代の流行を採り入れながら年代による体型変化も考慮して40から50代を対象に設定した「トライアングル[3]、「オンリーアット京王」[1]などのプライベートブランド(PB)も日本の百貨店としてはいち早く導入して展開している[11]

また、阪神百貨店との提携により2002年(平成14年)7月に新宿店7階玩具売場に首都圏で唯一の阪神タイガース公式ショップを開設した[19]ほか、2007年(平成19年)4月にラスクガトーフェスタハラダの直営店[40]2009年(平成21年)10月にオットージャパン初の実店舗「オットー・コレクション」[29]2011年(平成23年)10月に「通販生活」のブランドで知られるカタログハウス初の実店舗である「カタログハウスの店 セレクト」を開設させる[30]など他の百貨店に導入されていない独自のインショップの導入による集客力向上も図っている。

こうした様々な対応の結果2004年(平成16年)9月時点で全国百貨店平均38.5%とほぼ同じ39.2%を衣料品で売上げつつ4階の中高年女性向けの婦人服フロアでは65才以上が63%で50才以上86.5%とすると同時に全店売上の約70%を50才以上の顧客が占めるなど目標通り中高年層の支持を獲得することに成功し[3]、新宿店は店舗面積が41,294m²で伊勢丹新宿本店の64,296m²や小田急百貨店新宿店の57,316m²、高島屋新宿店の51,913m²という競合店を下回る[14]にも関らず、「新宿百貨店戦争」と称された激しい顧客争奪戦[15]を勝ち抜き、2008年(平成20年)度の百貨店店舗別売上高ランキングで伊勢丹新宿本店の約2460.03億円と小田急百貨店新宿店の約1047.84億円に次ぐ約926.34億円で新宿地区で3位となり[16]高島屋新宿店を上回る売上を上げた[17]

リーマンショック後に発生した消費不況を受けて2009年(平成21年)度から約15億円を投じて行う予定をしていた新宿店レストラン街の全面改装を中止したが[26]、他店に比べて早くから年齢の高い客層に特化した戦略を採ってきた影響で顧客の中心となる年齢層が高齢化し過ぎて消費意欲が衰えがちとなる70代以上が多くなってしまったことから40~50代を取り込んで顧客の年齢層を引き下げて45~69歳の顧客の構成比を従来の約30%から2012年(平成24年)度中に約40%に引上げることを目指し[8]、多くのことに興味・関心を持ち[8]、自分らしい個性を重視する傾向にある40~50代を取り込む戦略として売り場をブランド別から「ファッション」「美・健康」「食」「趣味」「暮らし」の6つを中心とする生活場面別に衣料品や生活雑貨、キッチン用品などを編集したライフスタイル提案型に切替えて展開するほか[8]、この世代向けに旬の雑貨や衣料品などを提案する「こだわりコレクション」を展開するなど新商材の導入や売場の改装を進めていくことにしている[8]

近年の不況や東日本大震災の影響などもあり、2011年(平成23年)度の売上高は前年比4.4%減の798億円に落ち込んでいる[8]

1976年(昭和51年)3月10日に開設された[2]京王モールと地下のフロアで繋がっていて京王モール経由で東京都営地下鉄新宿線・大江戸線新宿駅や小田急エースなどとも接続している[41]

季節の催事

1966年(昭和41年)から毎年1月に行っている「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は全国各地の駅弁を集めるだけでなく「駅弁対決」から「廃線駅弁の復刻」や「海外の駅弁」などの企画も行って人気を博し[42]2000年(平成12年)に売上5億円を突破して2010年(平成22年)に7億円の大台に乗せるなど年々規模が拡大し[7]2010年(平成22年)には約42.6万個を販売して売上高約7.11億円を上げる一大イベントとなり[43]、「駅弁の甲子園」と呼ばれている[44]

また、夏には屋上で「京王アサヒスカイビアガーデン」も開催している[45]

聖蹟桜ヶ丘店

京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店
京王電鉄聖蹟桜ヶ丘駅
京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店
東京三菱銀行併設当時)
店舗概要
所在地 東京都多摩市関戸1-10-1
座標 北緯35度39分3秒 東経139度26分48.7秒 / 北緯35.65083度 東経139.446861度 / 35.65083; 139.446861座標: 北緯35度39分3秒 東経139度26分48.7秒 / 北緯35.65083度 東経139.446861度 / 35.65083; 139.446861
開業日 1986年(昭和61年)3月28日
正式名称 京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店
施設所有者 京王電鉄
商業施設面積 17,089[14] m²
最寄駅 京王電鉄聖蹟桜ヶ丘駅
外部リンク 公式ウェブサイト
テンプレートを表示

1984年(昭和59年)2月から京王グループが着手した聖蹟桜ヶ丘駅周辺総合開発により建設された京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターのA・B館が完成して1986年(昭和61年)3月28日に開業するのに合せてその核店舗として開業した初の百貨店の支店である[2]

当店の入居する京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターは裏を多摩川が流れる立地を活かして地元と協力して毎年桜祭りを開催し、周辺を緑化した街の玄関となる広場や授乳室、スポーツ施設などを整備して地元客が仲間と食事やお茶をして帰るコミュニティー化を図る地域密着の路線を採っている[46]ため当店も地域密着型の展開をしていたが長年赤字が続いていた[47]

そこで、2011年(平成23年)10月に前年に他の百貨店で歳暮を注文した顧客が歳暮を手配するとギフト券を進呈する「お歳暮のりかえキャンペーン」を打ち出したり、ファッションビルなどで売られている雑貨などの取り扱いを充実させる一方で百貨店らしさも打ち出すために2012年(平成24年)3月に売り場を一部改装してイベントスペースを新設して季節に応じた提案を強化するなどの戦略を展開し、2012年(平成24年)3月に3月期に11年ぶりに黒字に転じた[47]

2012年(平成24年)1月に閉店したそごう八王子店の需要取り込みを目指して同店から婦人服ブランドを店長ごと迎えたり、本社勤務の社員も動員した八王子地区でチラシ配布や住民へのあいさつ回りを展開し、同年4月には八王子市在住者からの売上を前年同月比で約20%増加させるなど新たな顧客確保を目指している[47]

小型サテライト店

ららぽーと新三郷店

ららぽーと新三郷

埼玉県三郷市のJR武蔵野線新三郷駅前に[34]2009年(平成21年)9月17日に開業した[12]178店舗が出店する大型ショッピングセンターのららぽーと新三郷[34]に初の郊外ショッピングセンター向け小型業態となる店舗面積359m²で開業し[12]、京王沿線以外へ初めて進出となる小型店である[1]

裾を切ることによってシルエットが変わってしまうことや試着室でサイズ調整して修理の手間が掛かることを避けるために2センチ刻みで商品化した中から選べる[3]レングスパンツ」からウオーキングシューズや帽子など新宿店の得意分野が集約されていて[12]、子供連れのファミリーが主要顧客で50~60代の女性のような中高年層を取り込めていないショッピングセンターの弱みをカバーすることを狙っている[48]

百貨店らしい催事を展開することを想定して可変性ある什器を多用し[12]、巨額の投資をして失敗して撤退するなど成功事例が乏しい郊外型百貨店のため工夫を重ねて総投資額を6400万円に抑えて食料品が売上高の50%を占める小型店で収益を上げられるようにし[12]、開業初年度の目標を30%上回って達成して軌道に乗せることに成功した[35]

また、2011年(平成23年)1月28日から2月3日まで新宿店の人気催事である「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の小型版の「駅弁特別販売会」を開催する[7]など新宿店の強みを徹底的に活用した展開を図っている[12]

セレオ八王子店

東京都八王子市のJR八王子駅ビルのそごう八王子店の撤退跡を改装して2012年(平成24年)10月25日に開業したセレオ八王子北館[49]の4階にある店舗である[36]

ららぽーと新三郷店とほぼ同規模の店舗面積約350m²に4ブランドの中高年向け婦人服[36]や雑貨から化粧品などを取り揃えて[38]中高年層を対象顧客として[37]売場ごとに専門の販売員が担当する百貨店と同じ対面販売を行う店舗である[36]

実現しなかった店舗

橋本店

当社の親会社の京王帝都電鉄相模原線の延伸が計画され、JR横浜線相模線と合わせたターミナル駅となることが予定されていた橋本駅前の市街地再開発で出来るビルへの出店計画で、橋本駅前再開発準備組合が行った核テナント選定のコンペに14社が参加する中でそごうや近鉄百貨店と共に最終選考まで残ったが、坪当たり8,000円以上という2倍の賃貸料を提示したそごうに決まったため出店を断念した[50]

そごうが経営不振で出店しなかったため[50]2000年(平成12年)3月4日に橋本ビブレが核店舗として開業し[51]、その後橋本サティへの業態転換[52]を経てイオン橋本店となった。

過去に存在した店舗

京王高尾線めじろ台駅(八王子市)や聖蹟桜ヶ丘駅(多摩市)に、京王リビングというミニショップもあった。

POSシステム

関連会社

1964年(昭和39年)の開業時から展開していた関東地方の百貨店で初の友の会1972年(昭和47年)に割賦販売法が改正されて前払式特定取引業として規制対象となったことに伴って別会社として分離してその事業を継承する形で設立した株式会社京王友の会[4]や、京王パスポートVISAカードなどのカードを発行する株式会社京王パスポートクラブ[53]、親会社の京王電鉄と折半出資で婦人服専門店「ビープロピル」などを運営する株式会社エリート[54]1994年(平成6年)に100%出資の子会社として設立して京王プラザホテルなどで貸衣装を展開している株式会社京王コスチューム[55]などの関連会社がある。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j “上顧客にきめ細かく 京王百貨店 対象別アプローチ強める”. 繊研新聞 (繊研新聞社). (2009年5月13日) 
  2. ^ a b c d e f 『京王電鉄五十年史』京王電鉄、1998年12月。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 高齢者市場の活性化に関する調査研究報告書 シルバーマーケットにおけるファッション産業の在り方 (Report). 財団法人岐阜県産業経済振興センター. 2005-3. {{cite report}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  4. ^ a b c 『顧客組織化システム:友の会・自社カード・互助会・会員制ビジネス』工業市場研究所出版部、1985年12月。 
  5. ^ a b c d “RJ ESSENTIAL 繁昌する「デパートの駅弁大会」”. 鉄道ジャーナル 2002年4月号 (鉄道ジャーナル社). (2002-4). 
  6. ^ 林順信・小林しのぶ『駅弁学講座 集英社新書』集英社、2000年9月。ISBN 9784087200522 
  7. ^ a b c “全国から200種 新宿・京王百貨店25日まで駅弁大会”. 交通新聞 (交通新聞社). (2011年1月17日) 
  8. ^ a b c d e f g h i j “京王百、40~50代取り込み、生活シーン別の売り場、衣料など専用ブランド”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2012年5月25日) 
  9. ^ a b c d e “新宿第2次弁当 戦争・百貨店惣菜売場の再編成(3)京王百貨店新宿店”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年11月18日) 
  10. ^ 2001年度中間連結決算・事業報告を中心に (Report). 京王電鉄. 2001.
  11. ^ a b c d “情報スクランブル アウトレット食品で注目される京王百貨店”. エルネオス 2011年2月号 (エルネオス出版社). (2011-2-1). 
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m “め・て・みみ”. 繊研新聞 (繊研新聞社). (2009年9月24日) 
  13. ^ a b c “ボイス/逆手”. 繊研新聞 (繊研新聞社). (2008年8月6日) 
  14. ^ a b c d 国土審議会調査改革部会 第4回国際連携・持続的発展基盤小委員会配付資料 人口減少下での活力ある地域社会と二層の広域圏形成に資する国土基盤の現状と課題(資料編) (Report). 国土審議会調査改革部会. 2000. {{cite report}}: 不明な引数|mounth=は無視されます。 (説明)
  15. ^ a b “新宿百貨店競争、第2幕へ”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2006年4月18日) 
  16. ^ a b “2008年度百貨店店舗別売上ランキング”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2009年8月13日) 
  17. ^ a b 小熊敦郎 (2009年11月1日). “【ドラマ・企業攻防“大阪最終決戦”ジュクの仇はキタで討つ 高島屋vs伊勢丹”. 産経新聞 (産経新聞社) 
  18. ^ “食材に配慮、みんな一緒にクリスマスケーキ”. 読売新聞 (読売新聞社). (2005年11月21日) 
  19. ^ a b c “京王百貨店、阪神タイガース食品コーナー常設 優勝セールも検討”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2003年8月25日) 
  20. ^ “パンに卵のアレルギー表示漏れ 高島屋、記載せず販売”. 福井新聞 (福井新聞社). (2011年5月31日) 
  21. ^ “東京でも阪神グッズ人気/京王百貨店、売り上げ急増”. 四国新聞 (四国新聞社). (2003年6月20日) 
  22. ^ “東京でも阪神ファンの列 優勝セールの京王百貨店”. 四国新聞 (四国新聞社). (2003年9月16日) 
  23. ^ 京王ニュース2003年9月
  24. ^ 東京ヴェルディ1969フットボールクラブ株式会社 会社概要日本テレビ放送網が親会社であった2001年より出資。
  25. ^ 熊本県でも阪神が絡んだ百貨店の再編劇が起きており、阪神百貨店と提携し熊本岩田屋の後継店として「くまもと阪神」を運営していた県民百貨店が、阪急・阪神統合の余波で提携関係の断絶に追い込まれ、かつてライバル店鶴屋が属していた高島屋系のハイランドグループ入りしたという事例がある。熊本岩田屋は現在鶴屋が属するA・D・O系の百貨店であった。
  26. ^ a b “百貨店の改装延期、京王など中堅にも拡大、小田急・東武も”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2009年4月6日) 
  27. ^ 武田敏英 (2009年2月6日). “「友の会」魅力アップ、高島屋、買い物券当たる抽選、三越伊勢丹、相互利用サービス”. 日経MJ (日本経済新聞社) 
  28. ^ “積立金で通販支払い、医療サービス割安に、百貨店「友の会」特典拡充”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2009年6月6日) 
  29. ^ a b c “オットージャパン、百貨店などに出店加速”. 通販新聞 (通販新聞社). (2010年9月16日) 
  30. ^ a b “カタログ通販出店を強化、ベルーナ、茨城に1号店、ニッセン、「大型サイズ」全国に”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2011年11月23日) 
  31. ^ “京王百など、ヨドバシとクーポン冊子、新宿西口の魅力向上”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2010年12月8日) 
  32. ^ a b “京王百貨店、わけあり商品をネットで常時販売”. 通販新聞 (通販新聞社). (2011年1月27日) 
  33. ^ “小田急百貨店 ネット予約で店頭割引 スポーツ用品160点”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2010年6月6日) 
  34. ^ a b c d 飯嶋英好 (2009年9月16日). “ららぽーと新三郷:あすオープン 話題性ある178店出店”. 毎日新聞 (毎日新聞社) 
  35. ^ a b “京王百貨店 ららぽーと新三郷店 初年度目標の30%増で通過 新規事業への挑戦に目途”. 月刊ストアーズレポート 2011年3月号 (ストアーズ社). (2011-2-28). 
  36. ^ a b c d 三嶋伸一 (2012年8月18日). “JR八王子駅に新施設 百貨店並み、専門200店”. 朝日新聞 (朝日新聞社) 
  37. ^ a b “京王百貨店、東京・八王子市に小型サテライト店”. 日刊工業新聞 (日刊工業新聞社). (2012年7月27日) 
  38. ^ a b “京王百貨店、東京・八王子駅に小型店、今秋、女性需要を開拓”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2012年7月19日) 
  39. ^ “試着室の照明、屋外光に近く、京王百貨店新宿店-色味、正確に識別”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2011年8月19日) 
  40. ^ “銀座に進出【ガトーフェスタハラダ】”. 群馬経済新聞 (群馬経済新聞社). (2007年2月15日) 
  41. ^ 屋内測位普及発展に関する調査研究報告書 (Report). 財団法人ニューメディア開発協会. 2009-3. {{cite report}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  42. ^ 京王百貨店駅弁チーム『駅弁大会 光文社新書』光文社、2001年10月。ISBN 4334031048 
  43. ^ “進化する物産展”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2011年1月11日) 
  44. ^ “「讃岐たいらぎ弁当」が東京の駅弁大会に登場”. 四国新聞 (四国新聞社). (2011年1月21日) 
  45. ^ “女性歓迎のビアガーデン”. 読売新聞 (読売新聞社). (2012年7月11日) 
  46. ^ “ボイス/地域活性化”. 繊研新聞 (繊研新聞社). (2011年2月28日) 
  47. ^ a b c “京王百貨店聖蹟桜ケ丘店店長寺田秀明さん、「乗り換え客」獲得に全力(ハッスル店長)”. 日経MJ (日本経済新聞社). (2012年4月27日) 
  48. ^ “京王百貨店、小型衣料店SCで展開 割安PB商品、中高年狙う”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2009年3月31日) 
  49. ^ 平林由梨 (2012年10月26日). “セレオ八王子北館:駅ビルオープン にぎわい期待、2000人が列”. 毎日新聞 (毎日新聞社) 
  50. ^ a b 産経新聞取材班『ブランドはなぜ堕ちたか 雪印、そごう、三菱自動車 事件の深層』角川書店、2001年1月。ISBN 978-4048836517 
  51. ^ “マイカル「橋本ビブレ」開店、街を変える生活提案へ”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2000年3月20日) 
  52. ^ “宇多津ビブレなど6店舗、サティに”. 四国新聞 (四国新聞社). (2001年5月27日) 
  53. ^ “京王百貨店 ららぽーと新三郷店 初年度目標の30%増で通過 新規事業への挑戦に目途”. 月刊消費者信用 2011年3月号(336号) (金融財政事情研究会). (2011-3). 
  54. ^ “銀座にOL向け新業態 エリート ネットで試着イメージ”. 繊研新聞 (繊研新聞社). (2003年12月26日) 
  55. ^ 会社案内 (Report). 京王コスチューム. 2012.

関連項目

外部リンク