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「名古屋市交通局N3000形電車」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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{{画像提供依頼|車両外観・先頭部のクローズアップ・車内全景・車椅子スペース・運転台・台車|date=2012年3月23日}}
{{鉄道車両
{{鉄道車両
|車両名 =名古屋市交通局N3000形
|車両名 =名古屋市交通局N3000形
|社色 =
|社色 =
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|画像 =
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|編成 =6両編成([[MT比]] 3M3T)
|画像説明 =名古屋市交通局N3000形
|起動加速度 =3.0[[メートル毎秒毎秒|km/h/s]]<ref name="547-87"/>
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|営業最高速度 =地下:75[[キロメートル毎時|km/h]]<ref name="gihos12523">{{PDFlink|[http://www.toyodenki.co.jp/html/giho/giho125/s12523.pdf 名古屋市交通局N3000形VVVFインバータ制御システム]}} - 東洋電機技報 第125号</ref><br/>地上:100km/h<ref name="547-87"/><ref name="gihos12523"/>
|編成 =6両(3M3T)
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|起動加速度 =3.0
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|営業最高速度 =100km/h<br />名鉄線急行運用時110km/h<br />鶴舞線75km/h
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|軌間 =1,067mm
|車両質量 =制御電動車28t
|電気方式 =[[直流電化|直流]]1,500[[ボルト (単位)|V]]([[架空電車線方式]])
|軸配置 =
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|軌間 =1067
|主電動機 =[[かご形三相誘導電動機|三相かご形誘導電動機]] HS32534-19RB<ref name="861-110"/>
|電気方式 =[[直流電化|直流]]1,500V[[架空電車線方式]]
|モーター出力 =170[[ワット|kW]]<ref name="547-87"/>
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|機関出力 =
|主電動機 =三相かご形誘導電動機 170kW×4 (N3200,N3300,N3700形)
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|編成出力 = 2,040kW
|機関出力 =
|定格出力 =
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|定格引張力 =
|駆動装置 = [[WN駆動方式|歯車形軸継手平行カルダン(WNドライブ)]]<ref name="547-87"/>
|定格出力 =
|歯車比 = 16:99 (6.19)<ref name="861-110"/>
|定格引張力 =
|変速段 =
|駆動装置 =
|台車 =[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス]][[空気バネ|空気ばね]]台車<ref name="547-87"/><br/>電動台車 SS176M<ref name="861-110"/><br/>付随台車 SS176T<ref name="861-110"/>
|歯車比 =
|制御装置 =[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]<br/>(2レベル[[パルス幅変調|PWM]]制御、[[可変電圧可変周波数制御#(回転部)センサレス・トルクベクトル制御|PGセンサレスベクトル制御]]、[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT主回路]][[半導体素子|素子]]、[[東洋電機製造]]製RG-6011-A-M)<ref name="861-110"/><ref name="612-80"/>
|変速段 =
|ブレーキ方式 =[[回生ブレーキ]]併用[[遅れ込め制御]]付きATC連動[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]<ref name="612-80"/><br />[[保安ブレーキ]]<ref name="612-80"/>
|台車 =ボルスタレス空気バネ台車
|保安装置 =[[自動列車制御装置]] ([[自動列車制御装置#CS-ATC|CS-ATC]])<ref name="547-89"/> 、[[自動列車停止装置]]([[M式ATS]])<ref name="547-89"/>
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|製造メーカー =[[日立製作所]]<br />[[日本車輌製造]]
|ブレーキ方式 =[[回生ブレーキ]]併用<br />[[電気指令式ブレーキ|遅れ込め制御付き電気指令式電空併用ブレーキ]]
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|保安装置 =[[自動列車制御装置]] (CS-ATC) 、[[自動列車停止装置]](M形ATS)
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|製造メーカー =[[日立製作所]]・[[日本車輌製造]]
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|備考全幅 =
}}
}}


'''名古屋市交通局N3000形電車'''(なごやしこうつうきょくN3000がたでんしゃ)は、[[2011年]]([[平成]]23年)に登場した[[名古屋市交通局]]([[名古屋市営地下鉄]])[[名古屋市営地下鉄鶴舞線|鶴舞線]]用の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]。
{{画像提供依頼|車両外観画像|date=2012年3月(UTC)}}


技術の進歩や社会のニーズへ対応すると同時に<ref name="547-86"/>、火災や事故の対策に関する省令等が改正されたことを反映し<ref name="547-86"/>、[[1977年]]([[昭和]]52年)の[[伏見駅 (愛知県)|伏見]] - [[八事駅|八事]]間開業から35年を経過した鶴舞線への更新用車両として導入された<ref name="547-86"/>。鶴舞線では[[名古屋市交通局3050形電車|3050形]]以来17年ぶりとなる新型車両である。
'''名古屋市交通局N3000形電車'''(なごやしこうつうきょくN3000がたでんしゃ)は、[[2011年]]([[平成]]23年)に登場した[[名古屋市交通局]]([[名古屋市営地下鉄]])[[名古屋市営地下鉄鶴舞線|鶴舞線]]用の[[通勤形電車]]。


== 車両概説 ==
[[名古屋鉄道]]との[[直通運転]]にも使用されている。
N3000形は全長20[[メートル|m]]の車両による6両編成で組成される<ref name="547-88"/>。車種構成と編成については、[[#編成表|巻末の編成表]]を参照のこと。


== 車両概要 ==
=== 車 ===
先頭車・中間車とも全長20,000mmで、車体幅は2,746mm<ref group="注釈">左右の客用扉下の靴ずり部分の幅。</ref>、左右の車側灯間の幅は2,780mmである<ref name="547-88"/>。車体はN3101編成のみ名古屋市営地下鉄の車両で初の[[アルミニウム合金|アルミ合金]]製の[[ダブルスキン構造]]である<ref name="547-86"/>が、N3102編成以降は[[名古屋市営地下鉄東山線|東山線]]で増備が進められている[[名古屋市交通局N1000形電車|N1000形]]で採用されている[[ステンレス鋼|ステンレス]]製の[[日本車輌製造#日車式ブロック工法(日車式SUSブロック構体)|日車式ブロック工法]]となっている<ref name="railf.jp120514"/>。正面はN3101編成のみ四隅に丸みを持たせた形状<ref name="547-87"/>だが、N3102編成以降は四隅に直線を持たせた形状で、非常用の片開き式プラグドアを[[運転台]]スペース確保のため車体中心よりずらして配置している<ref name="547-86"/>。車体は無塗装で、鶴舞線の[[日本の鉄道ラインカラー一覧|ラインカラー]]の青帯を配している<ref name="547-86"/>が、従来鶴舞線で運用されていた[[名古屋市交通局3000形電車 (鉄道)|3000形]]・[[名古屋市交通局3050形電車|3050形]]と異なり、窓の上部にも青帯を配した<ref name="547-87"/>。
鶴舞線としては[[名古屋市交通局3050形電車|3050形]]以来17年ぶりとなる新型車両であり、[[1977年]]に登場した[[名古屋市交通局3000形電車|3000形]]の置き換えのため、[[2012年]]([[平成]]24年)[[3月16日]]から営業運転を開始した。

側面客用扉は各車両とも4箇所で、天地寸法は1,850mm<ref name="547-88"/>で扉幅は1,300mmとした<ref name="547-88"/>。客室側面窓は、扉間が2連式の下降窓<ref name="547-86"/>、車端部の窓は固定窓とした<ref name="547-86"/>。前面・側面とも[[方向幕|種別・行先表示器]]は名古屋市交通局の地下鉄車両で初めての[[フルカラー]][[発光ダイオード|LED]]式で、急行を含む名鉄様式での表示も可能である<ref name="547-86"/>。全ての車両連結部間の貫通路には、通常時に閉じる構造の扉を設けた<ref name="547-87"/>。

=== 内装 ===
地下鉄の車両という条件から、車内の配色は天井・壁面とも明るい白系統の模様入り[[デコラ|化粧板]]を採用し<ref name="547-86"/>、床は[[有松・鳴海絞り|有松絞り]]をモチーフとしたデザインとした<ref name="547-86"/>。また、扉付近の床材は警戒色である黄色とし<ref name="547-86"/>、各扉に進行方向と乗車位置番号・号車番号を[[点字]]で表示している<ref name="547-87"/>。

座席はすべて[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]で、座席は一人あたりの幅を460mmと設定し<ref name="547-87"/>、座り心地を考慮した簡易バケットタイプとした<ref name="547-87"/>。客用扉間に7人がけ・客用扉と連結面の間には3人がけの座席が配置される<ref name="547-87"/>。

全ての車両に[[車椅子スペース]]を設け、[[車内非常通報装置|非常通報器]]を設置した<ref name="547-87"/>。

[[車内案内表示装置]]は客用扉の鴨居部分に[[液晶ディスプレイ]](LCD)方式を各車両4台ずつ、千鳥配置で設置した<ref name="547-89"/>。また、各客用扉上部には扉開閉動作を車内外に知らせるためのランプを設けた<ref name="547-87"/>他、[[自動ドア#ドアエンジン|戸閉装置]]には扉に人や物が挟まった場合に容易に脱出できるように、戸閉力を約4分の1に抑える戸挟み制御器を設けた<ref name="547-87"/>。

表示器の映像処理技術には[[三菱電機]]が新規に開発したグラフィックス[[IPコア|IP(Intellectual Property)コア]]'''Sesamicro(セサミクロ)'''を採用することで、高品質なアニメーション画像を実現させた<ref>三菱電機技報2011年1月号{{PDFlink|[http://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/giho/1101/pdf/1101002.pdf トピックス「社会環境・交通システム」]}}</ref>。右側のディスプレイの駅名表示は、漢字→ひらがな→ローマ字→漢字…を回転させながらアニメーションのような表示をする。ホーム案内も、進行方向から向かうような感じで表示している。この技術は[[東京地下鉄]][[営団8000系電車|8000系]]後期更新車、[[東京地下鉄16000系電車|16000系]]、[[大阪市営地下鉄]][[大阪市交通局30000系電車|30000系]][[大阪市営地下鉄御堂筋線|御堂筋線]]仕様車にも採用されており、名古屋市営地下鉄では[[名古屋市営地下鉄桜通線|桜通線]]の[[名古屋市交通局6050形電車|6050形]]に続き2車種目の採用となる。

=== 主要機器 ===
運転台は、3050形と同様に進行方向左側に配置した<ref name="547-86"/>。[[マスター・コントローラー|主幹制御器]]はブレーキ設定器と一体となった右手操作型ワンハンドル式を採用<ref name="547-86"/>、[[鉄道車両のモニタ装置|車両情報装置]]のタッチパネル式液晶モニタを配置した<ref name="547-86"/>。この車両情報装置は、先頭車両に搭載した中央ユニットと中間車床下に搭載した端末ユニットを、ラダー形伝送回路で接続された伝送ネットワークを用いて結び<ref name="547-89"/>、他の機器とのデータ送受信を行う<ref name="547-89"/>ことにより、機器の制御や監視・検査、さらには乗客サービスをサポートするシステムで<ref name="547-89"/>、制御装置やブレーキの制御を行う機能<ref name="547-89"/>、車内案内表示・[[車内放送|自動放送]]・空調の制御を行う「乗務員支援機能」<ref name="547-89"/>、主要機器の車上検査を行う機能<ref name="547-89"/>、車両で停止している状態でも模擬走行状態として各種案内設備やデータ収集・ICカードへの転送を行う「検修支援機能」<ref name="547-89"/>、運転状況を記録する機能<ref name="547-89"/>などを有している。また、運転制御指令の送受信回路は[[冗長化|冗長性]]を高めるために完全二重系とした<ref name="547-89"/>。[[自動列車保安装置|保安装置]]は鶴舞線内で使用する[[自動列車制御装置#CS-ATC|車内信号式自動列車制御装置 (CS-ATC)]] <ref name="547-89"/>と[[直通運転|相互直通]]先の[[名古屋鉄道]]線内で使用する[[自動列車停止装置]]([[M式ATS]])を装備した<ref name="547-89"/>。ATCは受信[[速度照査|速照]]部、[[継電器]]部と検査記録部の三部構成で、受信速照部は[[マイクロコンピュータ]]2基を二重構造としたデュアルコンピュータ方式とした<ref name="547-89"/>ほか、M式ATSの受信器は[[CPU]]を使用したソフトウェア処理を行うME形とした<ref name="547-89"/>。

[[主制御器|制御装置]]は[[可変電圧可変周波数制御#(回転部)センサレス・トルクベクトル制御|PGセンサレス方式・ベクトル制御]]を用いた[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]を用いた2レベル[[パルス幅変調|PWM]] [[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]を採用し<ref name="547-88"/><ref name="861-110"/>、インバータ1基で[[主電動機]]4台を制御する (1C4M) 車両単位の制御とした<ref name="547-88"/>。素子の冷却方式は自冷式[[ヒートパイプ]]方式で<ref name="547-88"/>、[[冷媒]]には純水を使用する<ref name="547-88"/>。主電動機は定格出力170kW<ref group="注釈">[[公称電圧|端子電圧]]1,100V、回転数1,960[[rpm (単位)|rpm]]。</ref>の[[かご形三相誘導電動機]]を採用<ref name="547-88"/><ref name="861-110"/>、自己通風式押し込みファンとすることで集排塵効率の向上を図った<ref name="547-88"/>。駆動装置は3000形・3050形と同様の[[WN駆動方式|歯車形軸継手平行カルダン式駆動方式(WNドライブ)]]とした<ref name="547-88"/>。

[[鉄道のブレーキ|制動装置(ブレーキ)]]は[[遅れ込め制御]]付ATC連動[[回生ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]とし<ref name="547-88"/>、ブレーキ受信装置1台で2両分の常用ブレーキ制御を行う<ref name="547-88"/>ほか、0km/hまで制御する[[純電気ブレーキ]]を採用している<ref name="547-88"/>。

[[鉄道車両の台車|台車]]はモノリンク式の[[空気バネ|空気ばね]][[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]を採用<ref name="547-87"/>、軸箱に密閉式筒[[転がり軸受#ころ軸受|ころ軸受]]を採用<ref name="547-8788"/>、リンク内と軸ばね内に特殊ゴムを内蔵することで走行性能や振動特性の向上を図った<ref name="547-87"/>。

[[集電装置|集電装置(パンタグラフ)]]は各電動車にPT7164-B型<ref name="gihos12523"/>[[集電装置#Z型・シングルアーム型|シングルアーム式]]を搭載した<ref name="547-86"/>。[[エア・コンディショナー|冷房装置]]は、出力24.4kW (21,000[[カロリー|kcal]]/h) の[[集約分散式冷房装置|集約分散式]]を各車両に2台搭載した<ref name="547-86"/>。このほか補助送風機としてラインデリアを設置している<ref name="861-110"/>。補助電源装置は、125[[ボルト (単位)|kV]][[アンペア|A]]の3レベルIGBT素子式[[静止形インバータ]] (SIV) を採用した<ref name="547-88"/><ref name="861-110"/>。[[圧縮機|電動空気圧縮機]] (CP) については、<!--これまでの鶴舞線車両と同様の-3000形は直流モータ駆動・縦型CP-->三相誘導電動機直結式2段圧縮横型直列3気筒式で<ref name="861-110"/>、1編成で2台搭載した<ref name="547-88"/>。


== 運用 ==
== 運用 ==
営業運転開始からしばらくの間は、[[上小田井駅|上小田井]]・[[赤池駅 (愛知県)|赤池]]間の鶴舞線内折り返し往復のみの運用に就いている。
[[2012年]](平成24年)[[3月16日]]から営業運転を開始した<ref name="railf.jp120320"/>。<!--営業運転開始からしばらくの間は、[[上小田井駅|上小田井]]・[[赤池駅 (愛知県)|赤池]]間の鶴舞線内折り返し1往復のみの運用に就いている。-->当面の計画としては、毎年度1編成ずつ増備して[[名古屋市交通局3000形電車 (鉄道)|3000形]]を置き換えることになっている<ref name="545-149"/>

== 編成表 ==
{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:90%;"
|-
!rowspan="2"|形式
|colspan="6"|{{TrainDirection| [[豊田市駅|豊田市]]・[[赤池駅|赤池]]|[[上小田井駅|上小田井]]・[[犬山駅|犬山]] }}
!rowspan="4"|製造年
|-
|style="width:5em;"|'''N3100'''<br />(Tc1)
|style="width:5em;"|'''N3200'''<br />(M1)
|style="width:5em;"|'''N3300'''<br />(M2)
|style="width:5em;"|'''N3400'''<br />(T1)
|style="width:5em;"|'''N3700'''<br />(M3)
|style="width:5em;"|'''N3800'''<br />(Tc2)
|-
!機器類
| SIV || VVVF,CP,PT||VVVF,PT || &nbsp; || VVVF,CP,PT || SIV
|-
!自重<ref name="547-87"/>
| 28.1t || 32.9t || 32.1t || 26.3t || 32.9t || 28.3t
|-style="border-top:solid 4px #04acdd;"
!rowspan="1"|1次車
| N3101 || N3201 || N3301 || N3401 || N3701 || N3801
|2011年
|-
!rowspan="1"|2次車
|| N3102 || N3202 || N3302 || N3402 || N3702 || N3802
|2012年
|}
;凡例
*Tc:[[制御車]]
*M:[[動力車|電動車]]
*T:[[付随車]]
*VVVF:制御装置(1C4M)
*PT:集電装置
*SIV:補助電源装置(静止形インバータ)125kVA
*CP:電動空気圧縮機

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}

=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}

=== 出典 ===
{{reflist|2|refs=
<ref name="545-149">[[#RJ545|『鉄道ジャーナル』通巻545号 p.149]]</ref>
<ref name="547-86">[[#諏訪547|『鉄道ジャーナル』通巻547号 p.86]]</ref>
<ref name="547-87">[[#諏訪547|『鉄道ジャーナル』通巻547号 p.87]]</ref>
<ref name="547-8788">[[#諏訪547|『鉄道ジャーナル』通巻547号 pp.87-88]]</ref>
<ref name="547-88">[[#諏訪547|『鉄道ジャーナル』通巻547号 p.88]]</ref>
<ref name="547-89">[[#諏訪547|『鉄道ジャーナル』通巻547号 p.89]]</ref>
<ref name="612-80">[[#諏訪612|『鉄道ファン』通巻612号 p.80]]</ref><!--制御装置のメーカプレートが判読できる写真掲載-->
<ref name="861-110">[[#諏訪861|『鉄道ピクトリアル』通巻861号 p.110]]</ref><!--諸元表に機器の型式名などを記載-->
<ref name="railf.jp120320">{{Cite web |date=2012-03-20 |url=http://railf.jp/news/2012/03/20/095700.html |title=名古屋市交N3000形が営業運転を開始 |work= railf.jp 鉄道ニュース|publisher= 交友社|accessdate=2012-03-24}} </ref>
<ref name="railf.jp120514">{{Cite web |date=2012-05-14 |url=http://railf.jp/news/2012/05/14/232900.html |title=名古屋市交N3000形N3102編成が甲種輸送される |work= railf.jp 鉄道ニュース|publisher= 交友社|accessdate=2012-05-29}} </ref>
}}


== 参考文献 ==
* {{Cite journal|和書|last=諏訪正彦|first=(名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)|year= 2012|month=5 |title=名古屋市交通局鶴舞線N3000形 |journal=[[鉄道ジャーナル]] |issue=547 |pages= 86-89 |publisher=鉄道ジャーナル社 |ref = 諏訪547}}
* {{Cite journal|和書|last=諏訪正彦|first=(名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)|year= 2012|month=4 |title=名古屋市交通局N3000形 |journal=[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]] |issue=612 |pages= 76-81 |publisher=交友社 |ref = 諏訪612}}
* {{Cite journal|和書|last=諏訪正彦|first=(名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)|year= 2012|month=4 |title=名古屋市交通局N3000形 |journal=[[鉄道ピクトリアル]] |issue=861 |pages= 106-110 |publisher=電気車研究会 |ref = 諏訪861}}
* {{Cite journal|和書|author= |year=2012 |month=3 |title=Railway Topics|journal=鉄道ジャーナル |issue=545 |page= 146-153 |publisher=鉄道ジャーナル社 |ref = RJ545|quote=名古屋市交通局がN3000形導入}}


{{名古屋市交通局の鉄道車両}}
{{名古屋市交通局の鉄道車両}}
[[Category:名古屋市営地下鉄の電車|N3000]]
[[Category:名古屋市営地下鉄の電車|N3000]]
[[Category:2011年製の鉄道車両|なこやし地N3000]]
[[Category:2011年製の鉄道車両|なこやし地N3000]]
{{rail-stub}}


[[en:Nagoya Municipal Subway N3000 series]]
[[en:Nagoya Municipal Subway N3000 series]]
[[ko:나고야 시 교통국 N3000형 전동차]]

2012年6月13日 (水) 17:08時点における版

名古屋市交通局N3000形
基本情報
製造所 日立製作所
日本車輌製造
主要諸元
編成 6両編成(MT比 3M3T)
軌間 1,067mm
電気方式 直流1,500V架空電車線方式
最高運転速度 地下:75km/h[1]
地上:100km/h[2][1]
設計最高速度 120km/h[1]
起動加速度 3.0km/h/s[2]
減速度(常用) 3.5km/h/s[1]
減速度(非常) 4.0km/h/s[1]
車両定員 136名(うち座席45名・先頭車)[2]
147名(うち座席51名・中間車)[2]
自重 編成表を参照
最大寸法
(長・幅・高)
20,000mm×2,746mm×4,067mm[2]
台車 ボルスタレス空気ばね台車[2]
電動台車 SS176M[3]
付随台車 SS176T[3]
主電動機 三相かご形誘導電動機 HS32534-19RB[3]
主電動機出力 170kW[2]
駆動方式 歯車形軸継手平行カルダン(WNドライブ)[2]
歯車比 16:99 (6.19)[3]
編成出力 2,040kW
制御装置 VVVFインバータ制御
(2レベルPWM制御、PGセンサレスベクトル制御IGBT主回路素子東洋電機製造製RG-6011-A-M)[3][4]
制動装置 回生ブレーキ併用遅れ込め制御付きATC連動電気指令式空気ブレーキ[4]
保安ブレーキ[4]
保安装置 自動列車制御装置 (CS-ATC)[5]自動列車停止装置M式ATS[5]
テンプレートを表示

名古屋市交通局N3000形電車(なごやしこうつうきょくN3000がたでんしゃ)は、2011年平成23年)に登場した名古屋市交通局名古屋市営地下鉄鶴舞線用の通勤形電車

技術の進歩や社会のニーズへ対応すると同時に[6]、火災や事故の対策に関する省令等が改正されたことを反映し[6]1977年昭和52年)の伏見 - 八事間開業から35年を経過した鶴舞線への更新用車両として導入された[6]。鶴舞線では3050形以来17年ぶりとなる新型車両である。

車両概説

N3000形は全長20mの車両による6両編成で組成される[7]。車種構成と編成については、巻末の編成表を参照のこと。

車体

先頭車・中間車とも全長20,000mmで、車体幅は2,746mm[注釈 1]、左右の車側灯間の幅は2,780mmである[7]。車体はN3101編成のみ名古屋市営地下鉄の車両で初のアルミ合金製のダブルスキン構造である[6]が、N3102編成以降は東山線で増備が進められているN1000形で採用されているステンレス製の日車式ブロック工法となっている[8]。正面はN3101編成のみ四隅に丸みを持たせた形状[2]だが、N3102編成以降は四隅に直線を持たせた形状で、非常用の片開き式プラグドアを運転台スペース確保のため車体中心よりずらして配置している[6]。車体は無塗装で、鶴舞線のラインカラーの青帯を配している[6]が、従来鶴舞線で運用されていた3000形3050形と異なり、窓の上部にも青帯を配した[2]

側面客用扉は各車両とも4箇所で、天地寸法は1,850mm[7]で扉幅は1,300mmとした[7]。客室側面窓は、扉間が2連式の下降窓[6]、車端部の窓は固定窓とした[6]。前面・側面とも種別・行先表示器は名古屋市交通局の地下鉄車両で初めてのフルカラーLED式で、急行を含む名鉄様式での表示も可能である[6]。全ての車両連結部間の貫通路には、通常時に閉じる構造の扉を設けた[2]

内装

地下鉄の車両という条件から、車内の配色は天井・壁面とも明るい白系統の模様入り化粧板を採用し[6]、床は有松絞りをモチーフとしたデザインとした[6]。また、扉付近の床材は警戒色である黄色とし[6]、各扉に進行方向と乗車位置番号・号車番号を点字で表示している[2]

座席はすべてロングシートで、座席は一人あたりの幅を460mmと設定し[2]、座り心地を考慮した簡易バケットタイプとした[2]。客用扉間に7人がけ・客用扉と連結面の間には3人がけの座席が配置される[2]

全ての車両に車椅子スペースを設け、非常通報器を設置した[2]

車内案内表示装置は客用扉の鴨居部分に液晶ディスプレイ(LCD)方式を各車両4台ずつ、千鳥配置で設置した[5]。また、各客用扉上部には扉開閉動作を車内外に知らせるためのランプを設けた[2]他、戸閉装置には扉に人や物が挟まった場合に容易に脱出できるように、戸閉力を約4分の1に抑える戸挟み制御器を設けた[2]

表示器の映像処理技術には三菱電機が新規に開発したグラフィックスIP(Intellectual Property)コアSesamicro(セサミクロ)を採用することで、高品質なアニメーション画像を実現させた[9]。右側のディスプレイの駅名表示は、漢字→ひらがな→ローマ字→漢字…を回転させながらアニメーションのような表示をする。ホーム案内も、進行方向から向かうような感じで表示している。この技術は東京地下鉄8000系後期更新車、16000系大阪市営地下鉄30000系御堂筋線仕様車にも採用されており、名古屋市営地下鉄では桜通線6050形に続き2車種目の採用となる。

主要機器

運転台は、3050形と同様に進行方向左側に配置した[6]主幹制御器はブレーキ設定器と一体となった右手操作型ワンハンドル式を採用[6]車両情報装置のタッチパネル式液晶モニタを配置した[6]。この車両情報装置は、先頭車両に搭載した中央ユニットと中間車床下に搭載した端末ユニットを、ラダー形伝送回路で接続された伝送ネットワークを用いて結び[5]、他の機器とのデータ送受信を行う[5]ことにより、機器の制御や監視・検査、さらには乗客サービスをサポートするシステムで[5]、制御装置やブレーキの制御を行う機能[5]、車内案内表示・自動放送・空調の制御を行う「乗務員支援機能」[5]、主要機器の車上検査を行う機能[5]、車両で停止している状態でも模擬走行状態として各種案内設備やデータ収集・ICカードへの転送を行う「検修支援機能」[5]、運転状況を記録する機能[5]などを有している。また、運転制御指令の送受信回路は冗長性を高めるために完全二重系とした[5]保安装置は鶴舞線内で使用する車内信号式自動列車制御装置 (CS-ATC) [5]相互直通先の名古屋鉄道線内で使用する自動列車停止装置M式ATS)を装備した[5]。ATCは受信速照部、継電器部と検査記録部の三部構成で、受信速照部はマイクロコンピュータ2基を二重構造としたデュアルコンピュータ方式とした[5]ほか、M式ATSの受信器はCPUを使用したソフトウェア処理を行うME形とした[5]

制御装置PGセンサレス方式・ベクトル制御を用いたIGBT素子を用いた2レベルPWM VVVFインバータ制御を採用し[7][3]、インバータ1基で主電動機4台を制御する (1C4M) 車両単位の制御とした[7]。素子の冷却方式は自冷式ヒートパイプ方式で[7]冷媒には純水を使用する[7]。主電動機は定格出力170kW[注釈 2]かご形三相誘導電動機を採用[7][3]、自己通風式押し込みファンとすることで集排塵効率の向上を図った[7]。駆動装置は3000形・3050形と同様の歯車形軸継手平行カルダン式駆動方式(WNドライブ)とした[7]

制動装置(ブレーキ)遅れ込め制御付ATC連動回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキとし[7]、ブレーキ受信装置1台で2両分の常用ブレーキ制御を行う[7]ほか、0km/hまで制御する純電気ブレーキを採用している[7]

台車はモノリンク式の空気ばねボルスタレス台車を採用[2]、軸箱に密閉式筒ころ軸受を採用[10]、リンク内と軸ばね内に特殊ゴムを内蔵することで走行性能や振動特性の向上を図った[2]

集電装置(パンタグラフ)は各電動車にPT7164-B型[1]シングルアーム式を搭載した[6]冷房装置は、出力24.4kW (21,000kcal/h) の集約分散式を各車両に2台搭載した[6]。このほか補助送風機としてラインデリアを設置している[3]。補助電源装置は、125kVAの3レベルIGBT素子式静止形インバータ (SIV) を採用した[7][3]電動空気圧縮機 (CP) については、三相誘導電動機直結式2段圧縮横型直列3気筒式で[3]、1編成で2台搭載した[7]

運用

2012年(平成24年)3月16日から営業運転を開始した[11]。当面の計画としては、毎年度1編成ずつ増備して3000形を置き換えることになっている[12]

編成表

形式
製造年
N3100
(Tc1)
N3200
(M1)
N3300
(M2)
N3400
(T1)
N3700
(M3)
N3800
(Tc2)
機器類 SIV VVVF,CP,PT VVVF,PT   VVVF,CP,PT SIV
自重[2] 28.1t 32.9t 32.1t 26.3t 32.9t 28.3t
1次車 N3101 N3201 N3301 N3401 N3701 N3801 2011年
2次車 N3102 N3202 N3302 N3402 N3702 N3802 2012年
凡例
  • Tc:制御車
  • M:電動車
  • T:付随車
  • VVVF:制御装置(1C4M)
  • PT:集電装置
  • SIV:補助電源装置(静止形インバータ)125kVA
  • CP:電動空気圧縮機

脚注

注釈

  1. ^ 左右の客用扉下の靴ずり部分の幅。
  2. ^ 端子電圧1,100V、回転数1,960rpm

出典

参考文献

  • 諏訪正彦, (名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)「名古屋市交通局鶴舞線N3000形」『鉄道ジャーナル』第547号、鉄道ジャーナル社、2012年5月、86-89頁。 
  • 諏訪正彦, (名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)「名古屋市交通局N3000形」『鉄道ファン』第612号、交友社、2012年4月、76-81頁。 
  • 諏訪正彦, (名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)「名古屋市交通局N3000形」『鉄道ピクトリアル』第861号、電気車研究会、2012年4月、106-110頁。 
  • 「Railway Topics」『鉄道ジャーナル』第545号、鉄道ジャーナル社、2012年3月、146-153頁。「名古屋市交通局がN3000形導入」