名古屋市交通局2000形電車 (鉄道)
名古屋市営地下鉄2000形電車 | |
---|---|
2000形2127編成 (2009年5月18日 本山駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 名古屋市交通局 |
製造所 |
日本車輌製造 日立製作所笠戸事業所 |
製造年 | 1989年 - 2004年 |
製造数 | 36編成216両 |
運用開始 | 1989年6月10日 |
投入先 | 名城線・名港線 |
主要諸元 | |
編成 | 6両編成 |
軌間 | 1,435 mm(標準軌) |
電気方式 | 直流600 V(第三軌条方式) |
最高運転速度 | 65 km/h |
設計最高速度 | 80 km/h |
起動加速度 | 3.3 km/h/s |
減速度(常用) | 4.0 km/h/s |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s |
車両定員 |
先頭車97人(34席)(2101編成 - 2109編成) 先頭車96人(32席)(2110編成 - 2136編成) 中間車107人(40席)(全編成) |
自重 |
先頭車22.0 t 中間車24.2 t・25.2 t |
長さ | 15,580 mm |
幅 | 2,546 mm |
高さ | 3,440 mm |
車体 | ステンレス鋼製 |
台車 |
ボルスタレス式空気ばね台車 日本車輌製造 ND716T・ND716(2101編成 - 2103編成・2106編成・2107編成・2110編成 - 2136編成) 住友金属(現・日本製鉄) SS113・SS013(2104編成・2105編成・2108編成・2109編成)[注 1] |
主電動機 |
かご形三相誘導電動機 東芝製 SEA-319 三菱製 MB-5027-A 日立製 HS-34529-03RB |
主電動機出力 | 75 kW × 4(台/両) |
駆動方式 | WNドライブ |
歯車比 | 103:16 |
編成出力 | 300 kW × 4 = 1,200 kW |
制御方式 |
VVVFインバータ制御 更新前:GTO素子 更新後:IGBT素子 |
制御装置 |
更新前:滑り周波数制御またはベクトル制御、応荷重演算制御機能付き 東芝製 INV048-A0[注 2] または SVF006-A0[注 3] 三菱製 MAP-088-60V19[注 4] 日立製 VF-LR100[注 5] または VFG-LR1810A[注 6] 更新後:SiCパワー半導体モジュール適用インバータ制御[1] 三菱製 MAP-088-60V254 |
制動装置 |
NSC遅れ込め制御付きATC連動電気指令式電空併用ブレーキ 応荷重式、回生ブレーキ付き |
保安装置 |
車内信号式ATC ATO |
名古屋市交通局2000形電車(なごやしこうつうきょく2000がたでんしゃ)は、1989年(平成元年)に登場した名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)名城線・名港線用の通勤形電車である。
概要
バブル景気と世界デザイン博覧会を機に名城線の冷房化推進と6両編成化として6両編成5本(30両)が竣工し、その後1000形系列の置き換えと大曽根 - 砂田橋 - 名古屋大学 - 新瑞橋間各延伸開業分として6両編成31本(186両)が増備された[2][3]。
車両概説
車体
オールステンレス車体を採用し、紫帯と白帯のラインカラーは腰部にある。
内装
天井・壁面は白系化粧板で仕上げられており、座席は緑のモケットのバケットシートとなっている[2]。材質は1993年までに導入された車両がポリウレタンで、1994年以降に導入された車両がポリエステルに変更され、座面形状と厚さが変化している。硬さはどちらも変わらない。
全座席上部に荷物棚が設置されており、パイプの向きは横方向となっている。
貫通路上部にLED式(一部編成はLCD式に更新)車内案内表示器が設置されており[2]、英語での表示も行われている[4]。(LCD式は多言語表示)
1992年以降に導入された車両には車椅子スペースが設置されている[2]。
1995年以降に導入された車両には客用ドア上部に千鳥配置で路線図式車内案内表示器が1両あたり3台、乗降口にドアチャイムが設置されている。
-
2116編成以降の車内(2021年1月)
-
路線図式車内案内表示器 (更新前)
-
路線図式車内案内表示機(更新後)
-
車内案内表示機(更新前LED)
-
車内案内表示機(更新後LED)
-
車内案内表示機(更新後LCD)
機器類
集約分散式冷房装置は2台/両を搭載している。
制御装置はVVVFインバータ制御を採用している[2]。制御方式は1C8Mで、これは1台の制御装置で8台のモーターを制御する[5]。装置の心臓部となる制御ユニットの原設計は東芝で[5]、装置は直流600V仕様であることから、素子には2,500V - 3,300AのGTOサイリスタを使用する[5]。この装置が2号車と5号車に設置されている。
補助電源装置は90 kVA容量の静止形インバータ(SIV)を採用している。
改造工事
2012年(平成24年)からは、順次経年劣化した機器類を更新しており[6]、一部編成はGTO-VVVFインバータ制御からSiC-VVVFインバータ制御[1]に変更されている。
2016年(平成28年)からは、本系列が運行している名城線・名港線に可動式ホーム柵を導入するため、可動式ホーム柵車上制御装置やATOを搭載する改造[6]がなされており、2023年3月現在全編成において改造が完了している。ATOの制御方式は6000形[7]や6050形[8]の車上パターン式予見ファジィ制御とは異なっており、5050形[9]やN1000形[10]と同様の車上パターン式比例制御となっている[11]。
また、2022年3月から2023年5月にかけて前照灯のLED化が行われた。
編成
左回り(新瑞橋・八事)側・名古屋港方面先頭から3両目にあたる2300形は平日の始発から午前9時まで女性専用車両となる[12]。日本車輌製造と日立製作所笠戸事業所によって製造された[注 7]。
金山駅基準 ← 左回り(新瑞橋・八事)・名古屋港 右回り(上前津・栄)・大曽根 →
| ||||||
形式 | 2100 | 2200 | 2300 | 2400 | 2500 | 2600 |
---|---|---|---|---|---|---|
区分 | Tc1 | M1 | M2 | M2' | M1' | Tc2 |
車両番号 | 2101 | 2201 | 2301 | 2401 | 2501 | 2601 |
: | : | : | : | : | : | |
2136 | 2236 | 2336 | 2436 | 2536 | 2636 |
ラッピング車両
2001年12月22日からは2120編成がコカ・コーラのラッピング車両として運行されていた[13]。
2005年10月から12月にかけてNTTドコモのラッピング車両が運行されていた[14]。
2010年10月31日から2011年1月にかけて2132編成が「子育て応援の日(はぐみんデー)」PRのためのラッピング車両として運行されていた[15]。
2022年8月8日から2023年1月29日にかけて[16]2134編成[17]が黄電の塗装にラッピングされた「黄電メモリアルトレイン」として運行されていた[18]。
-
黄電メモリアルトレイン(2022年10月)
-
名古屋学院大学のラッピング広告が施された車両(2613号車、2022年11月撮影)
-
名古屋学院大学のラッピング広告が施された車両(2513号車、2022年11月撮影)
ドラゴンズ・トレイン
名城線はナゴヤドーム(2021年からはネーミングライツにより、バンテリンドーム ナゴヤに名称変更[19])[注 8]の最寄り駅・ナゴヤドーム前矢田駅を通っている関係で、2006年[20][21]から2011年にかけてドラゴンズ・トレインというラッピング車両が運行されていた。車体は中日ドラゴンズの監督・選手の写真や青色などでラッピングされた[22]。車内には中日の選手の写真[22][23][24]や中日の歴史に関する写真[25][26]などが掲示され、床には野球の打席[25][26]や本塁[27]の絵が貼られていた。
デザインは毎年一新され、運行期間は原則プロ野球シーズンにあわせて[24]、毎年3月から11月頃までとなっていた[21][23]。基本的に他編成と共通運用である[24]が、毎年運行開始からしばらくは名古屋市交通局の公式ホームページにて当該車両の運行ダイヤが掲載されていた[21][28]。ラッピングが施される編成は年により異なっていた[注 9]。
2006年
2006年3月6日にドラゴンズ・トレイン2006の運行が発表され[29]、2136編成にラッピングが施され[25]、同月13日から運行を開始した[22]。車体には落合博満監督(当時)、谷繁元信、川上憲伸、荒木雅博、立浪和義、朝倉健太、アレックス・オチョア、井端弘和、川相昌弘、英智、山本昌、岩瀬仁紀、福留孝介の13人の写真がラッピングされた[25]。
2007年
3月10日から運行が開始された[27]。車体には落合博満監督(当時)、井上一樹、川上憲伸、井端弘和、英智、福留孝介、岩瀬仁紀、山本昌、タイロン・ウッズ、森野将彦、荒木雅博、谷繁元信、立浪和義の13人の写真がラッピングされた[26][27]。
2008年
3月21日から11月20日まで運行された[21]。同年は荒木雅博(当時の選手会長)の車内放送が流された[30]。
脚注
注釈
- ^ 名城線・名港線で運用されている車両で一部住友(現・日鉄)製の台車を採用している。
- ^ 1989年製造の2103編成、1990年製造の編成。
- ^ 1993年、1995年、1998年、2000年製造の編成。
- ^ 1989年製造の2101・2102編成、1991年、1994年の2112編成から2114編成、1996年、1999年4月、2003年製造の編成。
- ^ 1989年の2104・2105編成。
- ^ 1992年、1994年の2115編成、1997年、1999年11月、2004年製造の編成。
- ^ 日立製作所は2004年に鉄道車両の生産ラインをアルミニウム合金製車両に特化したものに組み直したため、2003年に製造された2134編成が日立最後のステンレス製車両になったと同時にアルミニウム合金製ではない最後の車両でもある(鶴舞線N3000形N3101編成はアルミニウム合金製で落成)。
- ^ プロ野球チーム・中日ドラゴンズの本拠地。
- ^ 2009年は2122編成が[23]、2010年は2112編成が対象編成となっている[24]。
出典
- ^ a b 鉄道車両向け SiC 適用インバーター駆動システム. 三菱電機株式会社.
- ^ a b c d e f “名城線・名港線車両 2000形の概要”. 名古屋市交通局. 名古屋市. 2022年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月27日閲覧。
- ^ “市営交通100年祭(名古屋市)のツイート(2021年11月4日)”. 名古屋市交通局 (2021年11月4日). 2022年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月29日閲覧。
- ^ “名城線・名港線車両 2000形の概要”. 名古屋市交通局. 2007年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ a b c 東芝『東芝レビュー』1990年3月号 p.263。
- ^ a b “名城線・名港線車両 2000形の概要 |名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年3月31日閲覧。
- ^ “桜通線車両 6000形の概要 ・主要諸元|名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年4月6日閲覧。
- ^ “桜通線車両 6050形の概要 ・主要諸元|名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年4月6日閲覧。
- ^ “東山線車両 5050形の概要・主要諸元|名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年4月6日閲覧。
- ^ “東山線車両 N1000形の概要・主要諸元|名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年4月6日閲覧。
- ^ “名城線・名港線車両 2000形の概要 |名古屋市交通局”. www.kotsu.city.nagoya.jp. 2023年4月6日閲覧。
- ^ “質問・答え9 「女性専用車両について教えてください。」”. 名古屋市交通局. 2020年5月20日閲覧。
- ^ “市営交通100年祭(名古屋市)のツイート(2021年12月22日)”. 名古屋市交通局 (2021年12月22日). 2022年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月29日閲覧。
- ^ “地下鉄のラッピング広告大苦戦 「停車中しか効果ない」”. asahi.com. 朝日新聞社 (2009年1月5日). 2022年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月6日閲覧。
- ^ “東山線・名城線で「はぐみんデー」ラッピング車両を運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2010年11月5日). 2020年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ “名古屋市交通局「黄電」ラッピングで復活へ 懐かしのウィンザーイエローが東山線、名城線、名港線で8月運行開始”. 鉄道チャンネル (tetsudo-ch.com) (2022年7月19日). 2022年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ “市営交通100年祭(名古屋市)のツイート(2022年8月8日)”. 市営交通100年祭(名古屋市). 名古屋市交通局 (2022年8月8日). 2022年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ “【名古屋市営交通100周年記念】ウィンザーイエローを再び!『黄電復活』応援プロジェクト”. ふるさとチョイス. 2022年4月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月8日閲覧。
- ^ “ナゴヤドーム新名称のお知らせ”. バンテリンドーム ナゴヤ (nagoya-dome.co.jp) (2020年12月10日). 2022年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ “市営交通100年祭(名古屋市)のツイート(2022年3月13日)”. 名古屋市交通局 (2022年3月13日). 2022年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月29日閲覧。
- ^ a b c d “「ドラゴンズ・トレイン2008」及び「ドラゴンズ・ロード2008」の実施について”. 名古屋市交通局. 2008年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ a b c “ドラゴンズファンにお乗換え下さい 地下鉄乗ったらドラ色に染まっちゃう”. 中日スポーツ. 中日新聞社 (2006年3月14日). 2006年5月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ a b c “「ドラゴンズ・トレイン2009」運行開始”. 鉄道ファン・railf.jp (2009年3月31日). 2022年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ a b c d “名古屋市交通局「ドラゴンズ・トレイン2010」を運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2010年3月23日). 2022年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ a b c d “「ドラゴンズ・トレイン2006」 運行中!”. 名古屋市交通局. 2006年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ a b c “「ドラゴンズ・トレイン2007」 運行中!”. 名古屋市交通局. 2007年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月6日閲覧。
- ^ a b c “日本一目指せ、ドラゴンズトレイン運行開始 名古屋”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2007年3月10日). 2007年5月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月6日閲覧。
- ^ “ドラゴンズ地下鉄GO 出発式にドアラら”. 中日新聞. 中日新聞社 (2009年3月27日). 2009年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月6日閲覧。
- ^ “「ドラゴンズ・トレイン」出発進行! 地下鉄は走るドラ博物館”. 中日スポーツ. 中日新聞社 (2006年3月7日). 2007年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ “ドラゴンズトレインがお披露目”. 日刊スポーツ. 日刊スポーツ新聞社 (2008年3月22日). 2022年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月6日閲覧。
関連項目
- 名古屋市交通局5050形電車 - 事実上の兄弟車