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「小田急4000形電車 (2代)」の版間の差分

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{{鉄道車両
|車両名= 小田急4000形電車(2代)
|車両名=小田急4000形電車
|社色= #16689A<!--帯の色のインペリアルブルー 鉄道ピクトリアル通巻829号(2010年1月号臨時増刊)「特集・小田急電鉄」p191の表から色を抽出-->
|社色= #16689A<!--帯の色のインペリアルブルー 鉄道ピクトリアル通巻829号(2010年1月号臨時増刊)「特集・小田急電鉄」p191の表から色を抽出-->
|画像=ODAKYU4052F-TENJI.JPG
|画像=OER 4561 Kaisei7cross 20120228.jpg
|pxl =300px
|画像説明= 小田急4000形電車<br/>(2007年8月28日 唐木田駅付近)
|画像説明=小田原線を走行する4000形電車
|編成=10両
|unit =self
|起動加速度= 3.3
|編成 =10両固定編成<ref name="829-51"/>
|営業最高速度= 小田急線 100km/h<br/>千代田線 80
|起動加速度 =3.3[[メートル毎秒毎秒|km/h/s]]<ref name="559-72"/>
|設計最高速度= 110
|営業最高速度 =小田急線内 110[[キロメートル毎時|km/h]]<ref name="829-316"/><br/>千代田線内 80km/h
|減速度(通常)= 4.0
|減速度(常)= 4.7
|減速度(常用最大)=4.0km/h/s<ref name="559-72"/>
|減速度(非常) =4.7km/h/s<ref name="559-72"/>
|歯車比= 96:17 (5.65)
|車両定員 =144名(先頭車)<ref name="829-316"/><br/>153名(中間車)<ref name="829-316"/>
|編成定員= 1,504人
|最大寸法 =20,150[[ミリメートル|mm]]×2,790mm×4,037mm(先頭車)<ref name="829-316"/><br/>20,000mm×2,790mm×4,037mm(中間車)<ref name="829-316"/>
|全長= 20,000
|全幅= 2,790
|軌間 = 1,067mm
|電気方式 =[[直流電化|直流]]1,500V<br/>([[架空電車線方式]])
|全高= パンタグラフ非搭載車 4,036.5mm<br/>搭載車 4,085
|主電動機 =外扇式全密閉[[かご形三相誘導電動機]]<br/>[[三菱電機]] MB-5123-A<ref name="559-77"/>
|編成重量= 312.7t
|モーター出力 =190[[ワット|kW]]<ref name="493-98"/>
|軌間= 1,067([[狭軌]])
|駆動装置 =[[WN駆動方式|WNドライブ]]<ref name="829-272"/>
|電気方式= [[直流電化|直流]]1,500V
|歯車比 =96:17=5.65<ref name="559-77"/>
|モーター出力= 190kW×4
|台車 =[[総合車両製作所|東急車輛製造]] TS-1033(電動台車)<ref name="493-97"/><br/>東急車輛製造 TS-1033A(電動台車)<ref name="829-316"/><br/>東急車輛製造 TS-1034(付随台車)<ref name="493-97"/><br/>東急車輛製造 TS-1034A(付随台車・駐車ブレーキ付)<ref name="829-267"/>
|編成出力= 4,560kW
|制御装置 =[[インテリジェントパワーモジュール|IPM]]-[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]]2レベル[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]<br/>三菱電機 MAP-198-15V172<ref name="829-316"/>
|駆動装置= [[WN駆動方式]]
|ブレーキ方式 =[[回生ブレーキ|回生制動]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令電気演算式]][[電磁直通ブレーキ|電磁直通制動]]<ref name="559-75"/>
|電動機= [[かご形三相誘導電動機]](全密閉式・速度センサレス方式)
|保安装置 =[[自動列車停止装置#多変周式信号ATS(多変周式(点制御、連続照査型))|OM-ATS]]<ref name="493-99"/>、[[自動列車制御装置#CS-ATC|CS-ATC]]<ref name="493-99"/>、[[自動列車停止装置#D-ATS-P(デジタルATS-P)形|D-ATS-P]]<ref name="493-99"/>
|制御装置= [[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]<br/>([[三菱電機]]製[[インテリジェントパワーモジュール|IPM]]方式)
|製造メーカー =[[総合車両製作所|東急車輛製造]]<ref name="829-305"/><br/>[[東日本旅客鉄道]][[新津車両製作所]]<ref name="829-272"/>
|ブレーキ方式= [[回生ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]](応荷重機構、純電気ブレーキ付)
|備考 =
|保安装置= [[自動列車停止装置#多変周式信号ATS(多変周式(点制御、連続照査型))|OM-ATS]], [[自動列車制御装置#新CS-ATC|CS-ATC]], [[自動列車停止装置#D-ATS-P(デジタルATS-P)形|D-ATS-P]]
|備考全幅 =
|メーカ= [[東急車輛製造]]<br/>[[東日本旅客鉄道]][[新津車両製作所]]
}}
}}
'''小田急4000形電車'''(おだきゅう4000がたでんしゃ)は、[[小田急電鉄]](小田急)で[[2007年]]以降に運用されている[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]である。


[[東京地下鉄]](東京メトロ)[[東京地下鉄千代田線|千代田線]]直通用の車両として製造された車両で<ref name="829-267"/>、[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)[[JR東日本E233系電車|E233系電車]]をベースとして<ref name="493-96"/>、可能な限りE233系の仕様のままで導入を行なっており<ref name="829-51"/>、それまでの小田急の通勤車両の車両に対する考え方を改めた箇所がいくつか存在する<ref name="829-51"/>。
'''小田急4000形電車'''(おだきゅう4000がたでんしゃ)は、[[2007年]]([[平成]]19年)[[9月22日]]に営業運転を開始した[[小田急電鉄]]の[[通勤形電車]]。


小田急では、編成表記の際には「[[新宿駅|新宿]]寄り先頭車両の[[鉄道の車両番号|車両番号]](新宿側の先頭車車号)×両数」という表記を使用している<ref>『鉄道ダイヤ情報』通巻145号 p.15</ref>ため、本項もそれに倣い、特定の編成を表記する際には「4056×10」のように表記する。また、特定の車両を表記する場合は車両番号から「デハ4200番台」などのように表記する。
== 概要 ==
<gallery widths="180" style="font-size:90%">
ファイル:ODAKYU4052F-TENJI.JPG|小田原線・多摩線で試乗会を行った4000形第2編成<br/>(2007年8月28日 唐木田付近)
ファイル:OdakyuSeries4000-4553F.JPG|新宿駅に入線する4000形第3編成<br/>(2007年11月14日 新宿 - 南新宿)
</gallery>


== 登場の経緯 ==
[[東京地下鉄]](東京メトロ)[[東京地下鉄千代田線|千代田線]]への[[直通運転|相互直通運転]]と[[小田急5000形電車|5000形]]の置き換えを目的として製造された[[地下鉄対応車両]]で、[[多摩急行]]や[[準急列車|準急]]などの直通運用に充当しており、千代田線に直通する臨時電車(後述)のほか、千代田線に直通しない自社線内の快速急行や急行にも充当している。
小田急では2001年から2006年までに標準型車両として[[小田急3000形電車 (2代)|3000形]]を増備し、[[小田急2600形電車|2600形(NHE車)]]・[[小田急4000形電車 (初代)|初代4000形]]・[[小田急9000形電車|9000形]]を置き換えていた<ref name="829-49"/>。さらに[[小田急5000形電車|5000形]]を置き換えるための車両として<ref name="829-51"/>、3000形で進められた標準設計をさらに推進するとともに<ref name="829-267"/>、運行障害の低減を目指して主要機器や回路を二重系とする<ref name="559-72"/>とともに、[[バリアフリー]]化の推進を図ることになった<ref name="493-96"/>。


こうして、JR東日本E233系をベースとして、「故障に強い車両」<ref name="559-72"/>と「人と環境にやさしい車両」<ref name="493-96"/>を目指して登場したのが4000形である。
小田急が2007年[[2月5日]]に発表したプレスリリース(「[[#外部リンク|外部リンク]]」参照)によると、「[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)の[[JR東日本E233系電車|E233系]]をベースに、電気機器や保安装置などの主要な機器・回路を二重系化することにより『故障に強い車両』として運行障害の低減を図る」と記載されている。


== 車両概説 ==
1両20m級の10両固定編成で、初回製造分は全車両(7本70両)のうち第6編成 (4056F) はJR東日本[[新津車両製作所]]で<ref>『[[鉄道ジャーナル]]』2007年10月号44ページの記述によるもので、小田急向け車両は初めてである。ただし、車内の車両番号ステッカーのメーカー表記には[[相模鉄道]][[相鉄10000系電車|10000系]]のように東急車輛と新津車両製作所の文字が併記されている。</ref>、それ以外は[[東急車輛製造]]でそれぞれ落成した。
本節では、登場当時の仕様を基本として、増備途上での変更点を個別に記述する。更新による変更については沿革で後述する。


4000形は全長20[[メートル|m]]の車両による10両固定編成で製造された<ref name="829-51"/>。形式は先頭車が[[制御車]]のクハ4050形で<ref name="829-267"/>、中間車は[[動力車|電動車]]のデハ4000形と[[付随車]]のサハ4050形である<ref name="829-267"/>。車両番号については、[[#編成表|巻末の編成表]]を参照のこと。
本形式の導入により、2007年11月中に千代田線乗り入れ対応の[[小田急1000形電車|1000形]]のうち分割可能編成 (1251F - 1256F, 1061F - 1066F) を置き換えた。置き換えられた1000形は[[小田急5000形電車|5000形・5200形]]の置き換えに充当し、原則として小田急線全線と[[箱根登山鉄道鉄道線|箱根登山線]][[小田原駅|小田原]] - [[箱根湯本駅|箱根湯本]]間で運用されている。


それまで小田急に存在した10両固定編成の通勤車両では、4両固定編成と6両固定編成を連結した10両編成と同様に、検査時に新宿側4両と小田原側6両に分割する仕様を基本としていた<ref name="829-51"/>が、4000形ではこれを改め、検査時には4号車と5号車の間で新宿側6両と小田原側4両に分割する「逆10両」<ref group="注釈" name="逆10両">新宿側が6両・小田原側が4両となった10両編成を、趣味者がこのように呼ぶことがある(『鉄道ピクトリアル』通巻546号 p.109)。</ref>を基本とした<ref name="829-51"/>。
2009年(平成21年)度には4058F - 4061Fの10両編成4本(40両)が増備された<!--この増備車では、当初から小田急グループのロゴが入っているほか、[[優先席]]の位置が若干変更されている--><ref>{{PDFlink|[http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/4533_6586618_.pdf 「2009年度の鉄道事業設備投資計画」]}} 2009年4月30日、小田急電鉄</ref>。


=== 車体 ===
2010年(平成22年)度は4062・4063Fの10両編成2本(20両)が増備され<ref>{{PDFlink|[http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/5353_6545114_.pdf 「2010年度の鉄道事業設備投資計画について」]}} 2010年4月30日、小田急電鉄</ref>、千代田線乗り入れ対応の1000形のうち10両固定編成(1091 - 1094F)を置き換えた。これにより、同線に乗り入れる小田急の車両は本形式に統一された。
先頭車は車体長19,700[[ミリメートル|mm]]・全長20,150mm<ref name="493-97"/>、中間車は車体長19,500mm・全長20,000mm<ref name="493-97"/>で、車体幅は千代田線乗り入れに対応した2,770mmとした<ref name="559-72"/>。車体はベースとなったE233系と同様、[[台枠]]・構体とも[[ステンレス鋼]]製とした[[オールステンレス車両]]で<ref name="559-72"/>、車体強度の向上を図るために側面の柱や屋根材の板を厚くしている<ref name="493-96"/>。


前面は[[小田急50000形電車|50000形VSE車]]のデザインを担当した[[岡部憲明]]が監修した<ref name="829-51"/>小田急オリジナルのデザイン<ref name="829-268"/>で、車掌台側に非常用[[貫通扉|貫通路]]を組み込み<ref name="559-73"/>、全体に丸みを持たせた形状とした<ref name="493-96"/>。前照灯は小田急の通勤車両では初めて[[ディスチャージヘッドランプ]] (HID) が採用された<ref name="12-83"/>。前面ガラスは厚さ12.3mmの[[合わせガラス|合わせ]][[強化ガラス]]で<ref name="493-97"/>、中間膜3枚を挟み込んだ上に飛散防止フィルムを室内側に貼ることで乗務員の保護を図った<ref name="493-97"/>。
2011年(平成23年)度は4064Fの10両編成1本(10両)が増備された<ref>{{PDFlink|[http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/6194_5738230_.pdf 2011年度の鉄道事業設備投資計画(小田急電鉄)]}}(2011年4月30日閲覧)</ref>。


側面客用扉は各車両とも4箇所で、天地寸法は1,850mmで扉幅は1,300mmとした。扉中心間隔は「[[通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン]]」に準拠した4,820mmである<ref name="829-268"/>が、先頭車の乗務員室側の1箇所は4,780mmとしている<ref name="829-268"/>。側面窓の配置は、扉間の窓が幅1,890mmで一段下降窓と固定窓の組み合わせ<ref name="829-268"/>、車端部の窓は幅700mmの一段下降窓である<ref name="829-268"/>。全ての側面ガラスは[[紫外線|UV]]カット熱線吸収ガラスとし<ref name="559-73"/>、客用窓のロールカーテンは省略されている<ref name="12-84"/>。
== 構造 ==
=== 車体 ===
車体デザインは、[[小田急ロマンスカー|ロマンスカー]][[小田急50000形電車|50000形「VSE」]]・[[小田急60000形電車|60000形「MSE」]]の総合デザインを担当した[[建築家]]・[[岡部憲明]]の監修を受けている。


[[ファイル:Outside Information Board of OER 4000.jpg|thumb|側面のフルカラー式LED表示器]]
E233系と同一の軽量[[ステンレス鋼|ステンレス]]製であるが、東京地下鉄千代田線の[[車両限界]]に合わせて裾絞りのないストレート車体であり、全幅は2,790mmである。前面のデザインは小田急独自のもので、[[建築限界]]と車両限界の間隔が小さい千代田線でも運用されることから非常用[[貫通扉]]を助士席側に設置している。車体帯は従来の小田急通勤車各形式と同様に窓下部に1本配されるが、本形式では従来の「ロイヤルブルー」から[[イソマツ科|ルリマツリ]]の[[花冠|花弁]]の色を想起させる「インペリアルブルー」とされた。
前面・側面とも[[方向幕|種別・行先表示器]]は[[フルカラー]][[発光ダイオード|LED]]式で<ref name="12-82"/>、E233系と同一寸法である<ref name="829-268"/>。[[日本語]]と[[英語]]を交互に表示する<ref name="559-77"/>ほか、小田急では初めて次の停車駅名も同時に表示することとした<ref name="493-99"/>。


車体に入る帯は、それまでの小田急の通勤車両と同様に青色系を踏襲した<ref name="559-72"/>が、3000形まで採用されていたロイヤルブルー<ref group="注釈" name="ロイヤルブルー"><font color="#00677e">■</font>マンセル記号「5B 4/6」([[#中山829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.191]])。</ref>ではなく、[[ルリマツリ]]の色をイメージしたインペリアルブルー<ref group="注釈" name="インペリアルブルー"><font color="#16689a">■</font>マンセル記号「2.14PB 4.22/8.48」([[#中山829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.191]])。</ref>の帯とした<ref name="829-268"/>。
<span style="font-size:80%">
[[ファイル:Outside Information Board of OER 4000.jpg|thumb|right|240px|E233系と同様に次の停車駅も表示可能な<br/>種別・行先表示器]]
</span>


=== 内装 ===
客用扉は各車両の片側4か所に設置されている。扉間隔は「[[通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン]]」の寸法に準拠した3,520mmを基本とするが、先頭車の運転室直後と次の扉の間は3,480mmである。床面高さはレール面から1,130mmで、レール面から1,100mmの[[プラットホーム]]床面との段差を小さくしている。
{{Double image aside|right|Inside of OER 4000.jpg|180|Door of OER 4000.jpg|180|車内全景|扉付近}}
地下鉄への直通時を考慮し、車内は暗く感じないような配色とした<ref name="559-7273"/>。また、[[優先席]]回りと一般席部分の客室では配色を変えることで、識別が容易に出来るようにしている<ref name="559-73"/>。


座席はすべて[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]で、客用扉間に7人がけ・客用扉と連結面の間には3人がけの座席が配置される<ref name="829-269"/>。座席は一人あたりの幅を460mmと設定し<ref name="559-73"/>、優先席回りは青系の色の濃淡<ref name="493-96"/>、一般席は赤系統の色の濃淡とした<ref name="493-96"/>。座席形状や握り棒の配置はE233系と同一であるが<ref name="12-84"/>、扉脇の袖仕切りの形状はE233系とは異なっている<ref name="12-84"/>。先頭車の座席のうち、乗務員車掌台側直前の箇所は[[車椅子スペース]]を設け、車椅子利用がない際に使用するための3人がけ収納式座席を設置した<ref name="559-72"/>が、2009年の増備車からは収納式座席は廃止された<ref name="829-272"/>。
[[方向幕|種別・行先表示器]]はフルカラー[[発光ダイオード|LED]]式とされ、側面部の寸法は[[小田急3000形電車 (2代)|3000形]]より縮小されている。[[書体]]は[[小田急2000形電車|2000形]]・3000形・[[小田急8000形電車#リニューアル編成|8000形更新車]](2007年度の8264Fまでの施行編成)での[[明朝体]]とは異なり、本形式は[[ゴシック体]]である。なお、行先表示は小田急の通勤形車両で初めて[[日本語]]と[[英語]]を交互に表示する方式が採用され、側面の種別・行先表示器は若干異なるがE233系と同様に2段表示が可能で、右写真のように始発・途中駅において次の停車駅を表示することができる。


車内の化粧板はホワイト系とし<ref name="559-73"/>、床は優先席回りは青を基調として<ref name="12-84"/>、それ以外の床は赤を基調とした<ref name="559-73"/>。また、扉付近の床すべり止めは[[警告色|警戒色]]である黄色とした<ref name="12-84"/>。
[[エア・コンディショナー|冷房装置]]は[[三菱電機]]製の[[集中式冷房装置|集中式]]MCU720形を屋根上に1基搭載する。冷房能力は58.14kW(50,000kcal/h)で、E233系と同一である。


[[つり革]]は優先席付近は黄色<ref name="12-84"/>、それ以外の場所は白色とした。<ref name="559-73"/>。
=== 車内 ===
[[鉄道車両の座席|座席]]は全席ロングシートで、1人分の座面幅は1000形の440mmから20mm拡幅した460mmである。座席間に2箇所曲線状の握り棒を設置しており、客用扉部分では黄色テープの貼付と床面の黄色床化、ドアランプが設置され、[[優先席]]エリアでは水色床(E233系は赤紫色と灰色のツートン床)と握り棒・[[つり革]]のオレンジ色化(小田急の従来車でも採用)などE233系とほぼ共通の設計とされている。ただし、のちに優先席の位置が変更されたことに伴い、現行の優先席としている箇所にはシート以外ほぼ反映されていない。逆に、以前優先席だった部分には、水色床やオレンジ色の握り棒などが残されている。なお、2009年度増備車では製造時から優先席の位置が変更されている。つり革の形状とドア脇の握り棒は従来車と共通である。<!--2011年度増備車である4064Fはドア脇の握り棒の形状が変更され、E233系に似たものとなった。-->[[車椅子スペース]]は先頭車前位側に設置され、当該スペースに折り畳み式座席を設けている点は3000形などと共通する<ref>なお、2009年度に増備された4058F以降の編成では折り畳み座席が廃止された。</ref>。各車両間の貫通扉はE233系と同一品の傾斜式であるが、扉下部にレールがありドアストッパーは省略されている。


[[車内案内表示装置]]は各扉の鴨居部分に15インチ[[液晶ディスプレイ]]を設置し<ref name="493-99"/>、「TVOS」 ("Train Vision Odakyu System") によって列車種別・行先・停車駅・駅構内図や輸送障害の情報などの表示制御が行なわれる<ref name="559-77"/>。
車内情報案内装置として、3000形4次車以降と同様の[[VIS (鉄道システム)#TVOS|TVOS]] (''Train Vision Odakyu System'') による[[液晶ディスプレイ]](LCD)を客用扉の室内側上部に1か所設置されている。ただし、液晶ディスプレイに表示される駅の停車位置は千代田線内では表示されない。


=== 主要機器 ===
客室側窓には[[紫外線|UV]]カットガラスが採用され、客用扉の客室側は化粧板仕上げで、窓ガラスは複層式で四隅が角ばっている(公式リリース当初の想像図では従来車と同じように四隅が丸くなっていた)が、これらはE233系と共通である。[[自動ドア#ドアエンジン|ドアエンジン]]は小田急で初の電気[[スクリュー]]軸駆動式が採用された。ドア上の号車表記には編成方向を表記する矢印が追加されている。また、[[ドアチャイム]]は3000形までのオリジナルの音色からE233系と同じタイプの音色に変更されている。
==== 乗務員室 ====
[[ファイル:OER 4000 cab.jpg|thumb|運転台]]
[[操縦席|運転台]]は3000形に引き続き、[[マスター・コントローラー|主幹制御器]]にブレーキ設定器と一体化した左手操作型ワンハンドル式が採用された<ref name="559-75"/>が、操作部と制御部を独立させた「ロータリーエンコーダ方式」となっている<ref name="493-99"/>。運転士の異常時に対応する機器として、[[緊急列車停止装置|EB装置]]を導入したうえ<ref name="493-99"/>で、主ハンドルは手を離すと「切」位置かブレーキ位置に戻るオートリターン機能が採用された<ref name="559-75"/>。また、指定の速度域で力行4ノッチから力行2ノッチにハンドルを操作することで[[定速運転|定速制御]]が可能な仕様となっている<ref name="559-76"/>。


運転席の位置は3000形よりも足元位置基準で80mm高い335mmとすることで運転席からの見通しを改善する<ref name="493-97"/>とともに、[[踏切障害事故|踏切事故]]などで[[運転士]]救護のために運転席背面には非常用貫通構造が採用された<ref name="559-74"/>。各種スイッチ類は、運転士が頻繁に操作するものは運転席に座った状態で右手が届く範囲に配置し、逆に通常は操作しないスイッチ類は離れたところに配置する<ref name="493-97"/>ことで、取り扱いミスの防止を図っている<ref name="493-97"/>。
ステッカー類はE233系と同じものを使用しているが、記載されている車両番号の表記は角ゴシック体である。


3000形に引き続き、車両の情報を管理するシステムとして[[TIMS|TIOS]](列車情報小田急型管理装置)が導入され<ref name="559-74"/>、車体の配線削減を図っている<ref name="559-74"/>。E233系と同様に回路を二重系として運行障害の低減を図った<ref name="493-97"/>ほか、車両間の伝送速度を10[[ビット毎秒|Mbps]]とし、車両管理のためのデータをより高速に送受信することを可能とした<ref name="493-97"/>。また、4000形のTIOSでは、入庫の際の作業となる静止形インバータ (SIV) 停止・電動空気圧縮機 (CP) 停止・集電装置降下・[[二次電池|バッテリー]]遮断の操作をスイッチ1つで行なうことが可能な「自動遮断スイッチ」<ref name="493-9798"/>、客用扉が開いている際に主ハンドルがブレーキ位置以外の位置となった際に警告音声を発する「車両転動防止支援装置」<ref name="493-98"/>、次の停車駅を予告するとともに編成両数も表示することで停止位置誤認の防止を図る「[[停車駅通過防止装置|停車予告]]」<ref name="493-98"/>といった機能を実装している。
自動放送は小田急線内のほか、千代田線内のものも用意されている。<!--声質や音源云々は不要-->

[[警笛]]には空気笛はAW-5C形<ref name="829-189"/>、電子笛には八幡電気産業製のYA-92119形<ref name="829-190"/>が搭載された。[[自動列車保安装置|保安装置]]は小田急線内で使用する[[自動列車停止装置#多変周式信号ATS(多変周式(点制御、連続照査型))|OM-ATS装置]]<ref name="559-77"/>・地下鉄線内で使用する[[自動列車制御装置#CS-ATC|車内信号式自動列車制御装置]] (CS-ATC) <ref name="559-77"/>のほか、小田急線内で新しく採用された[[自動列車停止装置#D-ATS-P(デジタルATS-P)形|D-ATS-P]]も搭載した<ref name="493-99"/>。
<gallery widths="180" style="font-size:90%">
<gallery widths="180" style="font-size:90%">
ファイル:Odakyu4000-ATC.jpg|千代田線用のATC装置<br/>左が論理照査部、右が信号判別器
ファイル:OER 4000 cab.jpg|運転台
ファイル:Inside of OER 4000.jpg|車内
ファイル:Odakyu4000-DATSP.jpg|小田急線用のD-ATS-P装置
ファイル:Seat of OER 4000.jpg|座席(7人掛け)
ファイル:Seat of OER 4000 2.jpg|折り畳み式座席が設置されている車椅子スペース(手前)
ファイル:Priority seat of OER 4000.jpg|優先席(3人掛け)
ファイル:Priority seat space of OER 4000 2.jpg|優先席付近<br/>(床が青色となっている)
ファイル:LCD information board of OER 4000.jpg|LCD式車内案内表示器
ファイル:Door of OER 4000.jpg‎|旅客用扉(室内)
</gallery>
</gallery>


=== 走行機器など ===
==== 走行関連機器 ====
[[ファイル:Odakyu4000N-VVVF.jpg|thumb|三菱電機製のVVVFインバータ装置]]
{{Sound|OER 4000 sound.ogg|File:OER 4000 sound.ogg|走行音<br/>(2010年4月14日 秦野 - 渋沢)}}
回路システムE233系と同等の三菱電機製の[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]による[[インテリジェントパワーモジュール|IPM]]2レベル方式の[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]で、[[回生ブレーキ]]および[[純電気ブレーキ]]機能を有する。制御装置は編成中に6両ある[[動力車|電動車]]のうちM1・M3・M5車に搭載され、1基のインバータで4個の[[かご形三相誘導電動機]]を制御する1C4M方式2群を1ユニットとして構成される。[[装置|タグラフ]]はシングルア式で、制御装置搭載車各1基搭載されている。
[[制御器|制御装置]]は三菱電機製の[[インテリジェントパワーモジュール|IPM]]-[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]2レベル方式の[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]装置<ref name="559-75"/>であるMAP-198-15V172形<ref name="829-316"/>が採用された。インバータ1基電動機4台を制御する (1C4M) ユニットを1群とし、1台の装置の中に2群の機器を収め<ref name="493-99"/>もので、デハ4000番台・デハ4200番台・デハ4400番台の車両に搭載した<ref name="493-99"/>。[[可変圧可変周波数制御#(回転部)センサレス・トルクベクトル制御|PGセサレスベクトル制御方式]]を採用しており<ref name="559-77"/>、[[回生ブレーキ|電力回生制動]]は停止直前まで機能する[[純電気ブレキ]]制御を有する<ref name="559-77"/>。素子の冷却方は走行風によるもの<ref name="493-99"/>[[冷媒]]は水を使用す<ref name="493-99"/>


{{Sound|OER 4000 sound.ogg|File:OER 4000 sound.ogg|走行音(2010年4月14日)}}
電動機は速度センサレス方式の三菱電機製MB-5123-Aで、小田急の通勤車両として初めて全閉外扇式誘導電動機を採用し、騒音は3000形と比較すると約3[[デシベル|dB]]低減される。定格出力は190kWである。出力を190kWとするため、放熱性能の向上および狭軌台車に搭載するための小型軽量化のために、内機循環経路から外気への放熱効率を従来よりも向上させ、内部の循環空気を冷却する放熱システムとしている。さらに、ローターバーの材質に[[クロム]][[銅]]合金を採用して損失を抑制し、発熱量を低減している。主電動機の極数は従来の4極から6極に変更して、コイルエンドのコンパクト化を図ったことで小型軽量化している。主電動機単体の騒音試験では従来の開閉形誘導電動機と比較して約9dBの騒音低減が確認された<ref>「主電動機の高性能技術」平成22年電気学会産業応用部門大会 3-S10-2</ref><ref>「小田急電鉄4000形の低騒音化技術」J-Rail2007</ref>。
[[主電動機]]は[[三菱電機]]製の外扇式全密閉[[かご形三相誘導電動機]]<ref name="493-98"/>である出力190kWのMB-5123-A形を採用し<ref name="829-316"/><ref group="注釈">出力を190kWとするため、放熱性能の向上および[[狭軌]]台車に搭載するための小型軽量化のために、内機循環経路から外気への放熱効率を従来よりも向上させ、内部の循環空気を冷却する放熱システムとしている。さらに、ローターバーの材質に[[クロム]][[銅]]合金を採用して損失を抑制し、発熱量を低減している。主電動機の[[磁石#磁極|極数]]は従来の4極から6極に変更して、コイルエンドのコンパクト化を図ったことで小型軽量化している。</ref>、[[歯車比|歯数比]]を3000形よりさらに低い96:17 (5.65) に設定した<ref name="829-52"/>。主電動機単体の騒音試験では従来の開閉形誘導電動機と比較して約9[[デシベル|dB]]の騒音低減が確認された<ref>「主電動機の高性能技術」平成22年電気学会産業応用部門大会 3-S10-2</ref><ref>「小田急電鉄4000形の低騒音化技術」J-Rail2007</ref>。駆動方式はこれまでの通勤車両と同様の[[WN駆動方式|WNドライブ]]である<ref name="829-272"/>。


[[鉄道のブレーキ|制動装置(ブレーキ)]]は回生制動併用[[電気指令式ブレーキ|全電気指令式電磁直通制動]]とした<ref name="493-99"/>。TIOSによって編成全体で制動力の管理を行なう方式で<ref name="559-75"/>、小田急・[[鉄道総合技術研究所]]・三菱電機・[[筑波大学]]が共同開発した「編成滑走制御」を導入している<ref name="493-99"/>。基礎制動装置は電動車がシングル式(片押し式)の[[踏面ブレーキ#ユニットブレーキ|ユニットブレーキ]]で<ref name="559-75"/>、制御車と付随車においては通勤車両では[[小田急4000形電車 (初代)|初代4000形]]以来となる[[ディスクブレーキ]](ツインディスク式)が採用され<ref name="493-97"/>、ユニットブレーキとの併用としている<ref name="493-97"/>。制御車においては台車単位でブレーキ制御装置と供給溜めを搭載し<ref name="559-75"/>、踏切事故などで先頭台車の機器が破損した場合においても、先頭台車のブレーキのみを開放することで編成全体のブレーキ力低下を最小限に抑えることを図った<ref name="559-75"/>。
駆動装置はE233系の[[TD平行カルダン駆動方式|TDカルダン方式]]とは異なり、小田急標準の[[WN駆動方式]]であるが、惰性走行時の騒音を低減した仕様とされている。


{{Double image aside|right|OER-4000-TS1033-Truck.jpg|180|OER-4000-TS1034-Truck.jpg|180|電動台車 TS-1033|付随台車 TS-1034A}}
ブレーキシステムは、回生ブレーキ併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令空気式]]である。
[[鉄道車両の台車|台車]]は[[総合車両製作所|東急車輛製造]]製の軸梁式軸箱支持方式[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]を採用した<ref name="829-272"/>。電動台車がTS-1033形とTS-1033A形<ref name="559-74"/>、付随台車はTS-1034形とTS-1034A形である<ref name="559-74"/>。電動台車のうちデハ4300番台に装着される台車は軸ばねが異なるためTS-1033A形<ref name="829-267"/>、先頭車の前位側台車については[[留置ブレーキ|駐車ブレーキ]]付としたためTS-1034A形<ref name="493-97"/>と、それぞれ別形式の台車となった。


==== その他機器 ====
[[鉄道車両の台車|台車]]は、東急車輛製造製の軸梁式軸箱支持[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]で、形式は電動車が軸ばねの相違でTS-1033およびTS-1033A、[[付随車]] (T・Tc) がTS-1034および駐車ブレーキ機構を装備するTS-3034Aの各2種類である。
床下機器配置については、それまでの小田急の車両とは制御装置や空気制動機器の配置を進行方向を基準として左右逆に配置した<ref name="829-52"/>ほか、電気回路の線番号はE233系と同一仕様とした<ref name="829-52"/>。[[自動ドア#ドアエンジン|戸閉装置]]には、小田急では初めて電動スクリュー軸式が採用された<ref name="559-77"/>。


[[集電装置|集電装置(パンタグラフ)]]は[[集電装置#Z型・シングルアーム型|シングルアーム式]]のPT7113-B形を採用<ref name="559-77"/>、デハ4000番台・デハ4200番台・デハ4400番台の車両に設置した<ref name="493-98"/>。舟体は、降雪時の着雪量低減を図るため、強度を上げながら枠を薄くした[[アルミニウム合金|アルミニウム]]製とし<ref name="559-75"/>、[[避雷器]]を集電装置の台枠に直接取り付けた<ref name="493-98"/>。
連結器は、先頭車前部が[[連結器#密着連結器|密着連結器]]、それ以外は基本的に[[連結器#棒連結器(永久連結器)・半永久連結器|半永久連結器]]である。ただし、T1車とT2車の間は設備上の関係で[[鉄道車両の検査|検査]]時は6両と4両に分割可能にするために密着連結器とされているほか、可搬型の運転台ユニットを設置することが出来る<!--- 鉄道車両と技術 No.133 --->。


冷房装置などのサービス機器に電力を供給する補助電源装置は、[[絶縁ゲーバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]を使用する容量260kVAの[[静止形インバータ]](SIV)を編成中のM2M6車に搭載する。こほか、中間3の床下には非常用のハシゴを設置する。空気圧縮機は初回製造分ではTc1車、T1車、Tc2車に搭載されが、<ref>鉄道ピクトリアル840号 P124</ref>2009年度製造分からはM2車、T1車、M6車搭載に変更された
[[エア・コンディショナー|冷房装置]]については、[[冷凍能力]]50,000[[カロリー|kcal]]/hの三菱電機MCU-720形[[集中式冷房装置]]を採用した<ref name="559-77"/>。冷房装置などのサービス機器に電力を供給する補助電源装置は、出力260[[ボル (単位)|kV]][[アンペア|A]]のIGBT素子式[[静止形インバータ]] (SIV) デハ4100番台デハ4500番台の車両に搭載た<ref name="493-99"/>。


[[圧縮機|電動空気圧縮機]] (CP) については、小容量のスクロール圧縮機を3台1ユニットで構成する「マルチコンプレッサシステム」を採用<ref name="559-76"/>、[[三相交流]]440Vで駆動する低騒音スクロール式<ref name="493-99"/>のMBU-1600Y2形を採用した<ref name="559-77"/>。2007年度に導入された車両ではクハ4050番台・サハ4350番台・クハ4550番台の車両に搭載した<ref name="829-272"/>が、2009年以降の増備車両ではデハ4100番台・サハ4350番台・デハ4500番台の車両への搭載に変更された<ref name="829-272"/>。
; 床下機器類

連結器は、先頭車前部が[[連結器#密着連結器|密着連結器]]<ref name="559-73"/>、それ以外は基本的に[[連結器#棒連結器(永久連結器)・半永久連結器|半永久連結器]]である<ref name="559-73"/>。ただし、T1車とT2車の間は設備上の関係で[[鉄道車両の検査|検査]]時は6両と4両に分割可能にするために密着連結器とされている<ref name="559-73"/>ほか、可搬型の運転台ユニットを設置することができる<ref>『鉄道車両と技術』通巻133号</ref>。
<gallery widths="180" style="font-size:90%">
<gallery widths="180" style="font-size:90%">
ファイル:Odakyu4000-ATC.jpg|千代田線用のATC装置<br/>左が論理照査部、右が信号判別器
ファイル:Odakyu4000-DATSP.jpg|小田急線用のD-ATS-P装置
ファイル:Odakyu4000-TS1033.jpg|TS-1033形動力台車
ファイル:Odakyu4000-TS1034.jpg|TS-1034形付随台車
ファイル:Odakyu4000N-VVVF.jpg|三菱電機製のVVVFインバータ装置
ファイル:Odakyu4000-SIV.jpg|SIV補助電源装置
ファイル:Odakyu4000-SIV.jpg|SIV補助電源装置
ファイル:Odakyu4000-CP.jpg|三菱電機製の空気圧縮機
ファイル:Odakyu4000-CP.jpg|三菱電機製の空気圧縮機
ファイル:Odakyu4000-LADDER.jpg|中間車3両の床下にある<br/>非常用ハシゴ
ファイル:Odakyu4000-LADDER.jpg|中間車3両の床下にある非常用ハシゴ
</gallery>
</gallery>


== 沿革 ==
[[操縦席|運転台]]の[[マスター・コントローラー|主幹制御器]]はE233系と同一形状の左手操作のワンハンドル式で、ノッチの刻みは着座位置側から力行4段・切・抑速ブレーキ・常用ブレーキ7段・非常ブレーキの順である。指定の速度域で力行4ノッチから力行2ノッチにハンドルを操作することで[[定速運転|定速制御]]が可能な仕様となっている。コンソール部分の中央に[[TIMS#TIOS|TIOS]] (''Train Information Odakyu management System'') [[鉄道車両のモニタ装置|モニタ装置]]が設置されている。足元部の高さは、3000形では床面から250mmだったが、本形式では335mmとされた。
{{Triple image|right|Odakyu4058-syaban.JPG|160|Odakyu4056-syaban.JPG|160|Tanzawa Momiji 2007 of OER 4000.jpg|160|4058×10の車番ステッカー<br/>東急車輛製造製の車両は東急車輛の表記のみ|4056×10の車番ステッカー<br/>新津車両製作所製の車両は東急車輛との連名表記となっている|千代田線から直通の臨時列車「丹沢もみじ号」として営業運転に就く4054×10(2007年11月25日)}}
2007年9月22日から小田急線内で運行を開始<ref name="559-76"/>、同年9月29日からは千代田線直通列車での運用も開始された<ref name="559-76"/>。2007年12月10日に竣功した4056×10は、小田急の車両としては初めてとなるJR東日本[[新津車両製作所]]製となった<ref name="829-272"/>。


4000形の投入が進められ、千代田線直通列車は全て10両固定編成化されたため<ref name="829-58"/>、それまで千代田線直通列車に使用されていた[[小田急1000形電車|1000形]]のうち、4両固定編成と6両固定編成を連結して10両編成を組成していた車両はATC装置を撤去<ref name="829-58"/>の上で地上線運用に転用され、[[小田急5000形電車|5000形・5200形]]の淘汰が進められた<ref name="829-214"/><ref group="注釈">地上線に転用した1000形によって、5000形・5200形を置き換えた。</ref>。その後も4000形の増備は進められ、2010年までには1000形の10両固定編成運用は千代田線直通列車から外れ<ref name="12-92"/>、直通列車は4000形のみの運用となった<ref name="12-92"/>。
=== 編成表 ===

千代田線直通列車以外にも、[[小田急小田原線|小田原線]]・[[小田急江ノ島線|江ノ島線]]で[[小田急小田原線#急行|急行]]や[[小田急小田原線#快速急行|快速急行]]などに広く運用されている<ref name="829-51"/>。

2007年時点では、小田急での優先席設置位置は各車両の新宿側車端部であり、車両概説の節で述べた優先席付近の色分けもそのようになっていた。しかし、2009年3月に優先席の位置を各車両の小田原側車端部に変更した<ref name="829-272"/>際に、内装材はそのまま存置されたため、ちぐはぐな状態となった<ref name="829-272"/>。

2009年度には4058×10 - 4061×10の4編成が製造された<ref name="od20090430"/>。この2009年度以降の増備車では、優先席付近の色分けも当初より小田原側車端部で設定されている<ref name="829-272"/>。

2010年度には4062×10・4063×10の2編成が製造された<ref name="rj525-145"/>。

2011年度には4064×10の1編成が製造された<ref name="od20110428"/>。

2012年度には4065×10の1編成が製造される予定である<ref name="rj549-150"/>。この編成には[[LED照明]]が導入される予定<ref name="rj549-150"/>。

== 編成表 ==
; 凡例 : Tc …[[制御車]]、M …[[動力車|電動車]]、T…[[付随車]]、VVVF…[[主制御器|制御装置]]、SIV…補助電源装置(静止型インバータ)、CP…[[圧縮機|電動空気圧縮機]]、PT…[[集電装置]]

=== 1次車 ===
{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
|-
|-
|style="border-bottom:solid 3px #00677e; background-color:#ccc; width:7em;"|&nbsp;
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A; background-color:#ccc;"|&nbsp;
|style="border-bottom:solid 3px #00677e;" colspan="10"|{{TrainDirection|小田原・藤沢・唐木・代々木上原|片瀬江ノ島・新宿・綾瀬}}
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A;" colspan="11"|{{TrainDirection|[[小田原駅|小田原]]|[[新宿駅|新宿]][[綾瀬駅|綾瀬]]}}
|-
|-
!号車
!号車
| 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10
| 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8|| 9 ||10
|-
|-
!形式
!形式
| '''クハ4050''' || '''デハ4000''' || '''デハ4000''' || '''サハ4050''' || '''サハ4050''' || '''デハ4000''' || '''デハ4000''' || '''デハ4000''' || '''デハ4000''' || '''クハ4050'''
|'''クハ4550'''<br/>(Tc2)
|'''デハ4500'''<br/>(M6)
|'''デハ4400'''<br/>(M5)
|'''サハ4450'''<br/>(T2)
|'''サハ4350'''<br/>(T1)
|'''デハ4300'''<br/>(M4)
|'''デハ4200'''<br/>(M3)
|'''デハ4100'''<br/>(M2)
|'''デハ4000'''<br/>(M1)
|'''クハ4050'''<br/>(Tc1)
|-
|-
!style="border-bottom:solid 3px #16689a;"|区分
!自重
|style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| Tc2 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M6||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M5 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| T2||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| T1 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M4 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M3 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M2 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M1 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| Tc1
|30.9t
|-
|32.9t
!車両番号
|33.0t
| '''4551'''<br/>'''∥'''<br/>'''4557'''|| '''4501'''<br/>'''∥'''<br/>'''4507'''|| '''4401'''<br/>'''∥'''<br/>'''4407'''|| '''4451'''<br/>'''∥'''<br/>'''4457'''|| '''4351'''<br/>'''∥'''<br/>'''4357'''|| '''4301'''<br/>'''∥'''<br/>'''4307'''|| '''4201'''<br/>'''∥'''<br/>'''4207'''|| '''4101'''<br/>'''∥'''<br/>'''4107'''|| '''4001'''<br/>'''∥'''<br/>'''4007'''|| '''4051'''<br/>'''∥'''<br/>'''4057'''
|27.9t
|-
|28.6t
!搭載機器
|29.9t
| CP|| SIV|| VVVF,PT || &nbsp; || CP || &nbsp; || VVVF,PT || SIV || VVVF,PT || CP
|32.7t
|-
|32.9t
!style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"|自重
|33.0t
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| 30.9t||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"|32.9t ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| 33.0t||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| 27.9t ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| 28.6t ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| 29.9t||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| 32.7t ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| 32.9t||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| 33.0t ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"|30.9t
|30.9t
|-
!定員
| 144 || 153 || 153 || 153 || 153 || 153 || 153 || 153 || 153 || 144
|}
|}


=== 2次車以降 ===
::; 備考
{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
::* 個別の編成を指す場合は、新宿方のクハ4050形の[[鉄道の車両番号|車両番号]]を用いて「4051F」(「F」は編成を意味する''Formation''の頭文字)のように表記される。<br/>初代4000形から、4000形、4100形、4200形、4300形、4400形、4500形、4050形、4550形の各形式は引き継がれているが、<br/>中間付随車は連結位置上4350形、4450形となり、初代4000形の中間クハ(4150形、4250形)とは形式が異なる。
|-
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A; background-color:#ccc;"|&nbsp;
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A;" colspan="11"|{{TrainDirection|[[小田原駅|小田原]]|[[新宿駅|新宿]]・[[綾瀬駅|綾瀬]]}}
|-
!号車
| 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8|| 9 ||10
|-
!形式
| '''クハ4050''' || '''デハ4000''' || '''デハ4000''' || '''サハ4050''' || '''サハ4050''' || '''デハ4000''' || '''デハ4000''' || '''デハ4000''' || '''デハ4000''' || '''クハ4050'''
|-
!style="border-bottom:solid 3px #16689a;"|区分
|style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| Tc2 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M6||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M5 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| T2||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| T1 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M4 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M3 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M2 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| M1 ||style="border-bottom:solid 3px #16689a;"| Tc1
|-
!車両番号
| '''4558'''<br/>'''∥'''|| '''4508'''<br/>'''∥'''|| '''4408'''<br/>'''∥'''|| '''4458'''<br/>'''∥'''|| '''4358'''<br/>'''∥'''|| '''4308'''<br/>'''∥'''|| '''4208'''<br/>'''∥'''|| '''4108'''<br/>'''∥'''|| '''4008'''<br/>'''∥'''|| '''4058'''<br/>'''∥'''
|-
!搭載機器
| &nbsp;|| SIV,CP|| VVVF,PT || &nbsp; || CP || &nbsp; || VVVF,PT || SIV,CP || VVVF,PT || &nbsp;
<!--|-
!style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"|自重
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp;||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp; ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp;||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp; ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp; ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp;||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp; ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp;||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp; ||style="border-bottom:solid 3px #7B766A;"| &nbsp;-->
|-
!定員
| 144 || 153 || 153 || 153 || 153 || 153 || 153 || 153 || 153 || 144
|}


== 脚注 ==
== 営業運転開始まで ==
{{脚注ヘルプ}}
<!--落成日や試運転の詳細記述は4051Fのみとする-->
<!--速報サイトではありません-->
最初に落成したのは4051Fで、2007年5月中旬に東急車輛製造横浜製作所を出場し、同月[[5月22日|22日]]から[[5月24日|24日]]にかけて先に新宿方6両を、後に小田原方4両を[[逗子駅]]→[[大船駅]]→[[桜木町駅]]→[[東高島駅]]→[[鶴見駅]]→大船駅→[[小田原駅]]→[[沼津駅]]→[[松田駅]]の経路で[[車両輸送|甲種車両輸送]]された。以後同年10月までに4052F~4055Fの4本が順次落成したが、いずれもこの方法で輸送された。また、[[小田急電鉄の車両検修施設#海老名検車区|海老名検車区]]に到着後、側面の乗務員室側にある80周年記念ステッカーや車椅子スペースの表記、[[女性専用車両|女性専用車]]の案内ステッカーなどが貼付された<ref>4052F以降は落成時から貼付。</ref>。その後同年[[7月14日]]に最初の試運転が実施され、この際前面窓下に「試運転」の札を装着していたが、その後種別・行先表示器に「試運転」を表示して実施された<ref>4054Fは他編成の営業運転開始後に試運転を実施し、2007年10月7日から営業運転を開始した。</ref>。試乗会列車は4051Fと4052Fが使用され、4051Fは同年[[9月11日]]に、4052Fは同年[[8月21日]]・[[8月23日|23日]]は関係者向けに、同月[[8月28日|28日]]は大野工場親子環境見学会と同時に運転された。

4056FはJR東日本新津車両製作所で落成し、同年[[11月14日]]から[[11月18日|18日]]にかけて、[[信越本線]]→[[上越線]]→[[高崎線]]→[[武蔵野線]]・[[品鶴線]]→大船駅→[[桜木町駅]]→以下東急車輛製と同じ経路で甲種車両輸送された。


=== 注釈 ===
<!--編成毎の営業開始日の記述は不要-->
{{Reflist|group="注釈"}}
前述の通り、2007年9月22日から営業運転を開始し<ref>当日は4053Fが車内広告を一切掲出しない状態で充当された。</ref>、同月[[9月29日|29日]]から千代田線への乗り入れを開始した<ref>当日の直通運用に充当されたのは4052Fである。</ref>。なお、営業開始当初は車内天井角への広告掲出が行われていなかったが、同年11月から掲出が開始された。


== 臨時列車 ==
=== 出典 ===
{{reflist|2|refs=
* 2007年
<ref name="493-96">[[#OER493|『鉄道ジャーナル』通巻493号 p.96]]</ref>
** 11月23日 - 25日、12月1日・2日:丹沢もみじ号([[綾瀬駅|綾瀬]] - [[秦野駅|秦野]]間、小田急線内の停車駅は快速急行と同一)
<ref name="493-97">[[#OER493|『鉄道ジャーナル』通巻493号 p.97]]</ref>
<gallery widths="180" style="font-size:90%">
<ref name="493-9798">[[#OER493|『鉄道ジャーナル』通巻493号 pp.97-98]]</ref>
ファイル:Tanzawa Momiji 2007 of OER 4000.jpg|臨時列車「丹沢もみじ号」として営業運転に就く4000形第4編成<br/>(2007年11月25日 町田)
<ref name="493-98">[[#OER493|『鉄道ジャーナル』通巻493号 p.98]]</ref>
</gallery>
<ref name="493-99">[[#OER493|『鉄道ジャーナル』通巻493号 p.99]]</ref>

<ref name="rj525-145">[[#RJ525|『鉄道ジャーナル』通巻525号 p.145]]</ref>
* 2009年
<ref name="rj549-150">[[#RJ549|『鉄道ジャーナル』通巻549号 p.150]]</ref>
** 1月1日:初詣号([[唐木田駅|唐木田]] - 綾瀬間、小田急線内の停車駅は多摩急行と同一)・初日の出号(綾瀬 - [[片瀬江ノ島駅|片瀬江ノ島]]間、小田急線内の停車駅は急行と同一)
<ref name="559-72">[[#OER559|『鉄道ファン』通巻559号 p.72]]</ref>

<ref name="559-7273">[[#OER559|『鉄道ファン』通巻559号 pp.72-73]]</ref>
== その他 ==
<ref name="559-73">[[#OER559|『鉄道ファン』通巻559号 p.73]]</ref>
{{wakumigi|
<ref name="559-74">[[#OER559|『鉄道ファン』通巻559号 p.74]]</ref>
[[ファイル:OER 4054F Kayama.jpg|thumb|240px|none|小田原線の急行運用に入った<br/>4000形第4編成<br/>(2008年8月22日 栢山 - 富水)]]
<ref name="559-75">[[#OER559|『鉄道ファン』通巻559号 p.75]]</ref>
<ref name="559-76">[[#OER559|『鉄道ファン』通巻559号 p.76]]</ref>
<ref name="559-77">[[#OER559|『鉄道ファン』通巻559号 p.77]]</ref>
<ref name="829-49">[[#丹829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.49]]</ref>
<ref name="829-51">[[#丹829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.51]]</ref>
<ref name="829-52">[[#丹829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.52]]</ref>
<ref name="829-58">[[#丹829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.58]]</ref>
<ref name="829-189">[[#中山829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.189]]</ref>
<ref name="829-190">[[#中山829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.190]]</ref>
<ref name="829-214">[[#杉田829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.214]]</ref>
<ref name="829-267">[[#岸上829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.267]]</ref>
<ref name="829-268">[[#岸上829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.268]]</ref>
<ref name="829-269">[[#岸上829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.269]]</ref>
<ref name="829-272">[[#岸上829|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.272]]</ref>
<ref name="829-305">[[#岸上829-1|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.305]]</ref>
<ref name="829-316">[[#岸上829-2|『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.316]]</ref>
<ref name="12-82">[[#tech12|『鉄道とテクロノジー』通巻12号 p.82]]</ref>
<ref name="12-83">[[#tech12|『鉄道とテクロノジー』通巻12号 p.83]]</ref>
<ref name="12-84">[[#tech12|『鉄道とテクロノジー』通巻12号 p.84]]</ref>
<ref name="12-92">[[#tech12|『鉄道とテクロノジー』通巻12号 p.92]]</ref>
<ref name="od20090430">{{cite press release|title=2009年度の鉄道事業設備投資計画|publisher=[http://www.odakyu.jp/ 小田急電鉄]|date=2009-04-30|format=PDF|language=日本語|url=http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/4533_6586618_.pdf|page=2|accessdate=2012-05-01|quote=3. サービスの向上 (1)車両の製造とリニューアル}}</ref><!--閲覧日は最初に見た日ではなく最後に確認できた日ではないか?-->
<ref name="od20110428">{{cite press release|title=2011年度の鉄道事業設備投資計画|publisher=[http://www.odakyu.jp/ 小田急電鉄]|date=2011-04-28|format=PDF|language=日本語|url=http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/6194_5738230_.pdf|page=2|accessdate=2012-05-01|quote=3. サービスの向上 (1)車両の製造とリニューアル}}</ref><!--閲覧日は最初に見た日ではなく最後に確認できた日ではないか?-->
}}
}}
* [[2004年]](平成16年)まで在籍していた[[小田急4000形電車 (初代)|旧4000形]]と区別するため、本形式は「新4000形」と呼ばれることもある<ref>日本において「4000系(形)」と称する鉄道車両は少なく、[[大手私鉄]]では小田急の他には[[西武鉄道]]([[西武4000系電車|4000系]])と[[名古屋鉄道]]([[名鉄4000系電車|4000系]])に存在するのみである(他に[[東京急行電鉄]][[東急5000系電車 (2代)|5050系]]の4000番台がある)。なお、[[事業用車]]([[救援車]])では、[[阪急電鉄]]に[[阪急4050形電車|4050形]]がある。</ref>。
* 小田急線と同様に千代田線に直通するJR東日本の[[常磐緩行線]]でも[[2009年]](平成21年)[[9月9日]]より裾絞りのないストレート車体とした[[E233系#2000番台|E233系2000番台]]が導入されている。
* [[小田急8000形電車|8000形]]の2007年度以降の更新車についても、本形式と同様に握り棒の曲線状化やドア部分の黄色テープの貼付と床面の黄色床化が施されている。
* 2007年[[10月20日]]と[[10月21日|21日]]に[[海老名駅]]周辺で開催された「[[ファミリー鉄道展]]2007」で、展示車両ではないが[[小田急60000形電車|60000形「MSE」]]の右隣に4051Fが留置されていた。翌2008年の「ファミリー鉄道展2008」では正式に展示され、4053Fが使用された。
* 2008年[[3月15日]]ダイヤ改正では1000形1091F - 1094Fと共通運用で小田急線内の急行、快速急行などにも運用されるようになった。
* 小田急線複々線化のCMでは、4055Fが[[相模大野駅|相模大野]]行き急行列車として登場する。
* 本形式の各先頭車には、空間波列車無線アンテナ2本分の増設準備工事が施されている。
* 2009年に4056Fで自動放送装置の更新が行われ<ref>変更されたのは、始発・終着時の放送と乗換駅の路線名の言い方である。乗換駅での放送は、乗換え可能な路線名の後に次の停車駅を案内していたが、車掌側の放送と合わせる目的で次停車駅の後に乗換え可の路線名を言うパターンに変更されている。</ref>、2010年現在は、在籍する全編成が更新を終えている<ref>これらは2000形・3000形・8000形更新車においても同一の変更がなされている。</ref>。
* 2010年夏以降、小田急持ちの千代田線直通一般列車は本形式のみで運行されている。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
* 小田急電鉄(株)運輸車両部「新車ガイド 小田急電鉄4000形」『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』2007年11月号(通巻559号)pp72 - 77、交友社
=== 雑誌記事 ===
* 小田急電鉄(株)運輸車両部「新型車両プロフィールガイド 小田急電鉄4000形」『[[鉄道ジャーナル]]』2007年11月号(通巻493号)pp96 - 99、鉄道ジャーナル社
* {{Cite journal|和書|author=[[小田急電鉄]](株)運輸車両部 |year= 2007|month=11 |title=小田急電鉄4000形 |journal=[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]] |issue=559 |pages= 72-77 |publisher=[[交友社]] |ref = OER559}}

* {{Cite journal|和書|author=小田急電鉄(株)運転車両部 |year= 2007|month=11 |title=小田急電鉄4000形 |journal=[[鉄道ジャーナル]] |issue=493 |pages= 96-99 |publisher=鉄道ジャーナル社 |ref = OER493}}
== 外部リンク ==
* {{Cite journal|和書|author=岸上明彦 |year=2010 |month=1 |title=小田急電鉄現有車両プロフィール |journal=[[鉄道ピクトリアル]] |issue=829 |pages= 241-295 |publisher= [[電気車研究会]]|ref = 岸上829}}
{{commonscat|Odakyū_4000_series_(II)}}
* {{Cite journal|和書|author=岸上明彦 |year=2010 |month=1 |title=小田急電鉄 車歴表 |journal=鉄道ピクトリアル |issue=829 |pages= 300-309 |publisher=電気車研究会 |ref = 岸上829-1}}
* {{PDFlink|[http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/2353_8862142_.pdf 2007/02/05 新型通勤車両「4000形」2007年9月デビュー]}}
* {{Cite journal|和書|author=岸上明彦 |year=2010 |month=1|title=小田急電鉄 主要諸元表 |journal= 鉄道ピクトリアル|issue=829 |pages= 310-318 |publisher=電気車研究会 |ref = 岸上829-2}}
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2007/02/4000.html ホビダスブログ・編集長敬白 小田急が新型通勤車4000形を発表。]
* {{Cite journal|和書|author=杉田弘志 |year=2010 |month=1|title=小田急電鉄 列車運転の変遷とその興味 |journal= 鉄道ピクトリアル|issue=829 |pages= 204-219 |publisher= 電気車研究会|ref = 杉田829}}
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2007/06/-4000.html ホビダスブログ・編集長敬白 小田急4000形デビュー。(上)]
* {{Cite journal|和書|author=丹克暁・大路弘幸・亀井進 |year=2010 |month=1|title=車両総説 |journal= 鉄道ピクトリアル |issue=829 |pages= 49-58 |publisher= 電気車研究会|ref = 丹829 }}
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2007/06/-4000-1.html ホビダスブログ・編集長敬白 小田急4000形デビュー。(下)]
* {{Cite journal|和書|author=中山嘉彦 |year=2010 |month=1 |title=小田急車両 -音と色- |journal=鉄道ピクトリアル |issue=829 |pages= 189-191 |publisher=電気車研究会 |ref = 中山829}}
* [http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/5353_6545114_.pdf 小田急電鉄「2010年度設備投資計画」]
* {{Cite journal|和書|author= |year=2011 |month=10 |title=小田急通勤型電車大図鑑|journal=鉄道のテクノロジー |issue=12 |pages= 80-99 |publisher=[[三栄書房]] |ref = tech12|isbn = 9784779613494}}
* {{Cite journal|和書|author= |year=2010 |month=7 |title=Railway Topics |journal=鉄道ジャーナル |issue=525 |page= 142-147 |publisher=鉄道ジャーナル社 |ref = RJ525|quote=小田急が10両固定編成を増強}}
* {{Cite journal|和書|author= |year=2012 |month=7 |title=Railway Topics |journal=鉄道ジャーナル |issue=549 |page= 146-151 |publisher=鉄道ジャーナル社 |ref = RJ549|quote=小田急の鉄道事業設備投資計画}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[JR東日本E233系電車]]
* [[JR東日本E233系電車]]
* [[通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン]]
* [[相鉄11000系電車]] - 当形式と同じくE233系の設計をベースとした車両。


== 外部リンク ==
* [[通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン]]
* {{PDFlink|[http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/2353_8862142_.pdf 2007/02/05 新型通勤車両「4000形」2007年9月デビュー]}} - 小田急電鉄
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2007/02/4000.html ホビダスブログ・編集長敬白 小田急が新型通勤車4000形を発表。] - ネコ・パブリッシング
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2007/06/-4000.html ホビダスブログ・編集長敬白 小田急4000形デビュー。(上)] - ネコ・パブリッシング
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2007/06/-4000-1.html ホビダスブログ・編集長敬白 小田急4000形デビュー。(下)] - ネコ・パブリッシング
* {{PDFlink|[http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/5353_6545114_.pdf 2010年度設備投資計画]}} - 小田急電鉄
{{CommonsN|Category:Odakyū 4000 series (II)}}
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[[Category:2007年製の鉄道車両|おたきゆう電4000_2]]


[[en:Odakyū 4000 series]]
[[en:Odakyu 4000 series]]

2012年6月16日 (土) 12:56時点における版

利用者:MaximusM4/Template 小田急4000形電車(おだきゅう4000がたでんしゃ)は、小田急電鉄(小田急)で2007年以降に運用されている通勤形電車である。

東京地下鉄(東京メトロ)千代田線直通用の車両として製造された車両で[1]東日本旅客鉄道(JR東日本)E233系電車をベースとして[2]、可能な限りE233系の仕様のままで導入を行なっており[3]、それまでの小田急の通勤車両の車両に対する考え方を改めた箇所がいくつか存在する[3]

小田急では、編成表記の際には「新宿寄り先頭車両の車両番号(新宿側の先頭車車号)×両数」という表記を使用している[4]ため、本項もそれに倣い、特定の編成を表記する際には「4056×10」のように表記する。また、特定の車両を表記する場合は車両番号から「デハ4200番台」などのように表記する。

登場の経緯

小田急では2001年から2006年までに標準型車両として3000形を増備し、2600形(NHE車)初代4000形9000形を置き換えていた[5]。さらに5000形を置き換えるための車両として[3]、3000形で進められた標準設計をさらに推進するとともに[1]、運行障害の低減を目指して主要機器や回路を二重系とする[6]とともに、バリアフリー化の推進を図ることになった[2]

こうして、JR東日本E233系をベースとして、「故障に強い車両」[6]と「人と環境にやさしい車両」[2]を目指して登場したのが4000形である。

車両概説

本節では、登場当時の仕様を基本として、増備途上での変更点を個別に記述する。更新による変更については沿革で後述する。

4000形は全長20mの車両による10両固定編成で製造された[3]。形式は先頭車が制御車のクハ4050形で[1]、中間車は電動車のデハ4000形と付随車のサハ4050形である[1]。車両番号については、巻末の編成表を参照のこと。

それまで小田急に存在した10両固定編成の通勤車両では、4両固定編成と6両固定編成を連結した10両編成と同様に、検査時に新宿側4両と小田原側6両に分割する仕様を基本としていた[3]が、4000形ではこれを改め、検査時には4号車と5号車の間で新宿側6両と小田原側4両に分割する「逆10両」[注釈 1]を基本とした[3]

車体

先頭車は車体長19,700mm・全長20,150mm[7]、中間車は車体長19,500mm・全長20,000mm[7]で、車体幅は千代田線乗り入れに対応した2,770mmとした[6]。車体はベースとなったE233系と同様、台枠・構体ともステンレス鋼製としたオールステンレス車両[6]、車体強度の向上を図るために側面の柱や屋根材の板を厚くしている[2]

前面は50000形VSE車のデザインを担当した岡部憲明が監修した[3]小田急オリジナルのデザイン[8]で、車掌台側に非常用貫通路を組み込み[9]、全体に丸みを持たせた形状とした[2]。前照灯は小田急の通勤車両では初めてディスチャージヘッドランプ (HID) が採用された[10]。前面ガラスは厚さ12.3mmの合わせ強化ガラス[7]、中間膜3枚を挟み込んだ上に飛散防止フィルムを室内側に貼ることで乗務員の保護を図った[7]

側面客用扉は各車両とも4箇所で、天地寸法は1,850mmで扉幅は1,300mmとした。扉中心間隔は「通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン」に準拠した4,820mmである[8]が、先頭車の乗務員室側の1箇所は4,780mmとしている[8]。側面窓の配置は、扉間の窓が幅1,890mmで一段下降窓と固定窓の組み合わせ[8]、車端部の窓は幅700mmの一段下降窓である[8]。全ての側面ガラスはUVカット熱線吸収ガラスとし[9]、客用窓のロールカーテンは省略されている[11]

側面のフルカラー式LED表示器

前面・側面とも種別・行先表示器フルカラーLED式で[12]、E233系と同一寸法である[8]日本語英語を交互に表示する[13]ほか、小田急では初めて次の停車駅名も同時に表示することとした[14]

車体に入る帯は、それまでの小田急の通勤車両と同様に青色系を踏襲した[6]が、3000形まで採用されていたロイヤルブルー[注釈 2]ではなく、ルリマツリの色をイメージしたインペリアルブルー[注釈 3]の帯とした[8]

内装

車内全景 扉付近
車内全景
扉付近

地下鉄への直通時を考慮し、車内は暗く感じないような配色とした[15]。また、優先席回りと一般席部分の客室では配色を変えることで、識別が容易に出来るようにしている[9]

座席はすべてロングシートで、客用扉間に7人がけ・客用扉と連結面の間には3人がけの座席が配置される[16]。座席は一人あたりの幅を460mmと設定し[9]、優先席回りは青系の色の濃淡[2]、一般席は赤系統の色の濃淡とした[2]。座席形状や握り棒の配置はE233系と同一であるが[11]、扉脇の袖仕切りの形状はE233系とは異なっている[11]。先頭車の座席のうち、乗務員車掌台側直前の箇所は車椅子スペースを設け、車椅子利用がない際に使用するための3人がけ収納式座席を設置した[6]が、2009年の増備車からは収納式座席は廃止された[17]

車内の化粧板はホワイト系とし[9]、床は優先席回りは青を基調として[11]、それ以外の床は赤を基調とした[9]。また、扉付近の床すべり止めは警戒色である黄色とした[11]

つり革は優先席付近は黄色[11]、それ以外の場所は白色とした。[9]

車内案内表示装置は各扉の鴨居部分に15インチ液晶ディスプレイを設置し[14]、「TVOS」 ("Train Vision Odakyu System") によって列車種別・行先・停車駅・駅構内図や輸送障害の情報などの表示制御が行なわれる[13]

主要機器

乗務員室

運転台

運転台は3000形に引き続き、主幹制御器にブレーキ設定器と一体化した左手操作型ワンハンドル式が採用された[18]が、操作部と制御部を独立させた「ロータリーエンコーダ方式」となっている[14]。運転士の異常時に対応する機器として、EB装置を導入したうえ[14]で、主ハンドルは手を離すと「切」位置かブレーキ位置に戻るオートリターン機能が採用された[18]。また、指定の速度域で力行4ノッチから力行2ノッチにハンドルを操作することで定速制御が可能な仕様となっている[19]

運転席の位置は3000形よりも足元位置基準で80mm高い335mmとすることで運転席からの見通しを改善する[7]とともに、踏切事故などで運転士救護のために運転席背面には非常用貫通構造が採用された[20]。各種スイッチ類は、運転士が頻繁に操作するものは運転席に座った状態で右手が届く範囲に配置し、逆に通常は操作しないスイッチ類は離れたところに配置する[7]ことで、取り扱いミスの防止を図っている[7]

3000形に引き続き、車両の情報を管理するシステムとしてTIOS(列車情報小田急型管理装置)が導入され[20]、車体の配線削減を図っている[20]。E233系と同様に回路を二重系として運行障害の低減を図った[7]ほか、車両間の伝送速度を10Mbpsとし、車両管理のためのデータをより高速に送受信することを可能とした[7]。また、4000形のTIOSでは、入庫の際の作業となる静止形インバータ (SIV) 停止・電動空気圧縮機 (CP) 停止・集電装置降下・バッテリー遮断の操作をスイッチ1つで行なうことが可能な「自動遮断スイッチ」[21]、客用扉が開いている際に主ハンドルがブレーキ位置以外の位置となった際に警告音声を発する「車両転動防止支援装置」[22]、次の停車駅を予告するとともに編成両数も表示することで停止位置誤認の防止を図る「停車予告[22]といった機能を実装している。

警笛には空気笛はAW-5C形[23]、電子笛には八幡電気産業製のYA-92119形[24]が搭載された。保安装置は小田急線内で使用するOM-ATS装置[13]・地下鉄線内で使用する車内信号式自動列車制御装置 (CS-ATC) [13]のほか、小田急線内で新しく採用されたD-ATS-Pも搭載した[14]

走行関連機器

三菱電機製のVVVFインバータ装置

制御装置は三菱電機製のIPM-IGBT素子2レベル方式のVVVFインバータ制御装置[18]であるMAP-198-15V172形[25]が採用された。インバータ1基で主電動機4台を制御する (1C4M) ユニットを1群とし、1台の装置の中に2群の機器を収めている[14]もので、デハ4000番台・デハ4200番台・デハ4400番台の車両に搭載した[14]PGセンサレスベクトル制御方式を採用しており[13]電力回生制動は停止直前まで機能する純電気ブレーキ制御を有する[13]。素子の冷却方式は走行風によるもので[14]冷媒には水を使用する[14]

主電動機三菱電機製の外扇式全密閉かご形三相誘導電動機[22]である出力190kWのMB-5123-A形を採用し[25][注釈 4]歯数比を3000形よりさらに低い96:17 (5.65) に設定した[26]。主電動機単体の騒音試験では従来の開閉形誘導電動機と比較して約9dBの騒音低減が確認された[27][28]。駆動方式はこれまでの通勤車両と同様のWNドライブである[17]

制動装置(ブレーキ)は回生制動併用全電気指令式電磁直通制動とした[14]。TIOSによって編成全体で制動力の管理を行なう方式で[18]、小田急・鉄道総合技術研究所・三菱電機・筑波大学が共同開発した「編成滑走制御」を導入している[14]。基礎制動装置は電動車がシングル式(片押し式)のユニットブレーキ[18]、制御車と付随車においては通勤車両では初代4000形以来となるディスクブレーキ(ツインディスク式)が採用され[7]、ユニットブレーキとの併用としている[7]。制御車においては台車単位でブレーキ制御装置と供給溜めを搭載し[18]、踏切事故などで先頭台車の機器が破損した場合においても、先頭台車のブレーキのみを開放することで編成全体のブレーキ力低下を最小限に抑えることを図った[18]

電動台車 TS-1033 付随台車 TS-1034A
電動台車 TS-1033
付随台車 TS-1034A

台車東急車輛製造製の軸梁式軸箱支持方式ボルスタレス台車を採用した[17]。電動台車がTS-1033形とTS-1033A形[20]、付随台車はTS-1034形とTS-1034A形である[20]。電動台車のうちデハ4300番台に装着される台車は軸ばねが異なるためTS-1033A形[1]、先頭車の前位側台車については駐車ブレーキ付としたためTS-1034A形[7]と、それぞれ別形式の台車となった。

その他機器

床下機器配置については、それまでの小田急の車両とは制御装置や空気制動機器の配置を進行方向を基準として左右逆に配置した[26]ほか、電気回路の線番号はE233系と同一仕様とした[26]戸閉装置には、小田急では初めて電動スクリュー軸式が採用された[13]

集電装置(パンタグラフ)シングルアーム式のPT7113-B形を採用[13]、デハ4000番台・デハ4200番台・デハ4400番台の車両に設置した[22]。舟体は、降雪時の着雪量低減を図るため、強度を上げながら枠を薄くしたアルミニウム製とし[18]避雷器を集電装置の台枠に直接取り付けた[22]

冷房装置については、冷凍能力50,000kcal/hの三菱電機MCU-720形集中式冷房装置を採用した[13]。冷房装置などのサービス機器に電力を供給する補助電源装置は、出力260kVAのIGBT素子式静止形インバータ (SIV) をデハ4100番台・デハ4500番台の車両に搭載した[14]

電動空気圧縮機 (CP) については、小容量のスクロール圧縮機を3台1ユニットで構成する「マルチコンプレッサシステム」を採用[19]三相交流440Vで駆動する低騒音スクロール式[14]のMBU-1600Y2形を採用した[13]。2007年度に導入された車両ではクハ4050番台・サハ4350番台・クハ4550番台の車両に搭載した[17]が、2009年以降の増備車両ではデハ4100番台・サハ4350番台・デハ4500番台の車両への搭載に変更された[17]

連結器は、先頭車前部が密着連結器[9]、それ以外は基本的に半永久連結器である[9]。ただし、T1車とT2車の間は設備上の関係で検査時は6両と4両に分割可能にするために密着連結器とされている[9]ほか、可搬型の運転台ユニットを設置することができる[29]

沿革

4058×10の車番ステッカー 東急車輛製造製の車両は東急車輛の表記のみ 4056×10の車番ステッカー 新津車両製作所製の車両は東急車輛との連名表記となっている 千代田線から直通の臨時列車「丹沢もみじ号」として営業運転に就く4054×10(2007年11月25日)
4058×10の車番ステッカー
東急車輛製造製の車両は東急車輛の表記のみ
4056×10の車番ステッカー
新津車両製作所製の車両は東急車輛との連名表記となっている
千代田線から直通の臨時列車「丹沢もみじ号」として営業運転に就く4054×10(2007年11月25日)

2007年9月22日から小田急線内で運行を開始[19]、同年9月29日からは千代田線直通列車での運用も開始された[19]。2007年12月10日に竣功した4056×10は、小田急の車両としては初めてとなるJR東日本新津車両製作所製となった[17]

4000形の投入が進められ、千代田線直通列車は全て10両固定編成化されたため[30]、それまで千代田線直通列車に使用されていた1000形のうち、4両固定編成と6両固定編成を連結して10両編成を組成していた車両はATC装置を撤去[30]の上で地上線運用に転用され、5000形・5200形の淘汰が進められた[31][注釈 5]。その後も4000形の増備は進められ、2010年までには1000形の10両固定編成運用は千代田線直通列車から外れ[32]、直通列車は4000形のみの運用となった[32]

千代田線直通列車以外にも、小田原線江ノ島線急行快速急行などに広く運用されている[3]

2007年時点では、小田急での優先席設置位置は各車両の新宿側車端部であり、車両概説の節で述べた優先席付近の色分けもそのようになっていた。しかし、2009年3月に優先席の位置を各車両の小田原側車端部に変更した[17]際に、内装材はそのまま存置されたため、ちぐはぐな状態となった[17]

2009年度には4058×10 - 4061×10の4編成が製造された[33]。この2009年度以降の増備車では、優先席付近の色分けも当初より小田原側車端部で設定されている[17]

2010年度には4062×10・4063×10の2編成が製造された[34]

2011年度には4064×10の1編成が製造された[35]

2012年度には4065×10の1編成が製造される予定である[36]。この編成にはLED照明が導入される予定[36]

編成表

凡例
Tc …制御車、M …電動車、T…付随車、VVVF…制御装置、SIV…補助電源装置(静止型インバータ)、CP…電動空気圧縮機、PT…集電装置

1次車

 
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
形式 クハ4050 デハ4000 デハ4000 サハ4050 サハ4050 デハ4000 デハ4000 デハ4000 デハ4000 クハ4050
区分 Tc2 M6 M5 T2 T1 M4 M3 M2 M1 Tc1
車両番号 4551

4557
4501

4507
4401

4407
4451

4457
4351

4357
4301

4307
4201

4207
4101

4107
4001

4007
4051

4057
搭載機器 CP SIV VVVF,PT   CP   VVVF,PT SIV VVVF,PT CP
自重 30.9t 32.9t 33.0t 27.9t 28.6t 29.9t 32.7t 32.9t 33.0t 30.9t
定員 144 153 153 153 153 153 153 153 153 144

2次車以降

 
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
形式 クハ4050 デハ4000 デハ4000 サハ4050 サハ4050 デハ4000 デハ4000 デハ4000 デハ4000 クハ4050
区分 Tc2 M6 M5 T2 T1 M4 M3 M2 M1 Tc1
車両番号 4558
4508
4408
4458
4358
4308
4208
4108
4008
4058
搭載機器   SIV,CP VVVF,PT   CP   VVVF,PT SIV,CP VVVF,PT  
定員 144 153 153 153 153 153 153 153 153 144

脚注

注釈

  1. ^ 新宿側が6両・小田原側が4両となった10両編成を、趣味者がこのように呼ぶことがある(『鉄道ピクトリアル』通巻546号 p.109)。
  2. ^ マンセル記号「5B 4/6」(『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.191)。
  3. ^ マンセル記号「2.14PB 4.22/8.48」(『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.191)。
  4. ^ 出力を190kWとするため、放熱性能の向上および狭軌台車に搭載するための小型軽量化のために、内機循環経路から外気への放熱効率を従来よりも向上させ、内部の循環空気を冷却する放熱システムとしている。さらに、ローターバーの材質にクロム合金を採用して損失を抑制し、発熱量を低減している。主電動機の極数は従来の4極から6極に変更して、コイルエンドのコンパクト化を図ったことで小型軽量化している。
  5. ^ 地上線に転用した1000形によって、5000形・5200形を置き換えた。

出典

  1. ^ a b c d e 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.267
  2. ^ a b c d e f g 『鉄道ジャーナル』通巻493号 p.96
  3. ^ a b c d e f g h 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.51
  4. ^ 『鉄道ダイヤ情報』通巻145号 p.15
  5. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.49
  6. ^ a b c d e f 『鉄道ファン』通巻559号 p.72
  7. ^ a b c d e f g h i j k l 『鉄道ジャーナル』通巻493号 p.97
  8. ^ a b c d e f g 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.268
  9. ^ a b c d e f g h i j 『鉄道ファン』通巻559号 p.73
  10. ^ 『鉄道とテクロノジー』通巻12号 p.83
  11. ^ a b c d e f 『鉄道とテクロノジー』通巻12号 p.84
  12. ^ 『鉄道とテクロノジー』通巻12号 p.82
  13. ^ a b c d e f g h i j 『鉄道ファン』通巻559号 p.77
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m 『鉄道ジャーナル』通巻493号 p.99
  15. ^ 『鉄道ファン』通巻559号 pp.72-73
  16. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.269
  17. ^ a b c d e f g h i 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.272
  18. ^ a b c d e f g h 『鉄道ファン』通巻559号 p.75
  19. ^ a b c d 『鉄道ファン』通巻559号 p.76
  20. ^ a b c d e 『鉄道ファン』通巻559号 p.74
  21. ^ 『鉄道ジャーナル』通巻493号 pp.97-98
  22. ^ a b c d e 『鉄道ジャーナル』通巻493号 p.98
  23. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.189
  24. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.190
  25. ^ a b 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.316
  26. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.52
  27. ^ 「主電動機の高性能技術」平成22年電気学会産業応用部門大会 3-S10-2
  28. ^ 「小田急電鉄4000形の低騒音化技術」J-Rail2007
  29. ^ 『鉄道車両と技術』通巻133号
  30. ^ a b 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.58
  31. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.214
  32. ^ a b 『鉄道とテクロノジー』通巻12号 p.92
  33. ^ "2009年度の鉄道事業設備投資計画" (PDF) (Press release). 小田急電鉄. 30 April 2009. p. 2. 2012年5月1日閲覧3. サービスの向上 (1)車両の製造とリニューアル {{cite press release2}}: |publisher=で外部リンクを指定しないでください (説明)
  34. ^ 『鉄道ジャーナル』通巻525号 p.145
  35. ^ "2011年度の鉄道事業設備投資計画" (PDF) (Press release). 小田急電鉄. 28 April 2011. p. 2. 2012年5月1日閲覧3. サービスの向上 (1)車両の製造とリニューアル {{cite press release2}}: |publisher=で外部リンクを指定しないでください (説明)
  36. ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻549号 p.150
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参考文献

書籍

雑誌記事

  • 小田急電鉄(株)運輸車両部「小田急電鉄4000形」『鉄道ファン』第559号、交友社、2007年11月、72-77頁。 
  • 小田急電鉄(株)運転車両部「小田急電鉄4000形」『鉄道ジャーナル』第493号、鉄道ジャーナル社、2007年11月、96-99頁。 
  • 岸上明彦「小田急電鉄現有車両プロフィール」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、241-295頁。 
  • 岸上明彦「小田急電鉄 車歴表」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、300-309頁。 
  • 岸上明彦「小田急電鉄 主要諸元表」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、310-318頁。 
  • 杉田弘志「小田急電鉄 列車運転の変遷とその興味」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、204-219頁。 
  • 丹克暁・大路弘幸・亀井進「車両総説」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、49-58頁。 
  • 中山嘉彦「小田急車両 -音と色-」『鉄道ピクトリアル』第829号、電気車研究会、2010年1月、189-191頁。 
  • 「小田急通勤型電車大図鑑」『鉄道のテクノロジー』第12号、三栄書房、2011年10月、80-99頁、ISBN 9784779613494 
  • 「Railway Topics」『鉄道ジャーナル』第525号、鉄道ジャーナル社、2010年7月、142-147頁。「小田急が10両固定編成を増強」 
  • 「Railway Topics」『鉄道ジャーナル』第549号、鉄道ジャーナル社、2012年7月、146-151頁。「小田急の鉄道事業設備投資計画」 

関連項目

外部リンク