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「ケネディ宇宙センター第39発射施設」の版間の差分

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{{Infobox ロケット発射場
{{Infobox ロケット発射場
|名称 = ケネディ宇宙センター集合発射施設39
|名称 = ケネディ宇宙センター第39発射施設
|画像 = KSCLC39aerial.jpg
|画像 =VAB_Aerial_-_GPN-2000-000869.jpg
|画像説明 = 上空から見た集合発射施設39
|画像説明 = 上空から見た第39発射施設<br />(手前:[[スペースシャトル組立棟|ビークル組立棟 (VAB)]]、左奥:39B発射台、右奥:39A発射台)
|基地 = [[ケネディ宇宙センター]]
|基地 = [[ケネディ宇宙センター]]
|位置 = {{ウィキ座標2段度分秒|28|36|30.23|N|80|36|15.64|W|type:landmark_region:US}}
|位置 = {{ウィキ座標2段度分秒|28|36|30.2|N|80|36|15.6|W|type:landmark_region:US}}
|略称 = LC-39
|略称 = LC-39
|運営者 = {{flagicon|USA}} [[アメリカ航空宇宙局|NASA]]
|運営者 = {{plainlist|
* '''LC-39A:'''
|総発射数 = 140 <br/>(サターンV 13回、<br/>サターン1B 4回、<br>スペースシャトル 123回)
** [[アメリカ航空宇宙局|NASA]] (1967&ndash;2014)
|発射台数 = 2
** [[スペースX]] (2014&ndash;)
* '''LC-39B:'''
** [[アメリカ航空宇宙局|NASA]] (1969&ndash;)
}}
|総発射数 = '''244回'''(サターンV 13回、サターンIB 4回、スペースシャトル 135回、アレスI 1回、ファルコン9 79回、ファルコンヘビー 11回、スペース・ローンチ・システム・ブロックI 1回)<!-- ◆打ち上げの都度、要更新◆ -->
|発射台数 = 3
|傾斜角 = 28度 - 62度
|傾斜角 = 28度 - 62度
|発射台1 = LC-39A
|発射台1 = LC-39A
|状態 = 運用中および[[スターシップ (宇宙船)|スターシップ]]の運用に向けた増設が進行中
|打ち上げ回数 = '''184回'''(サターンV 12回、スペースシャトル 82回、ファルコン9 79回、ファルコンヘビー 11回)<!-- ◆打ち上げの都度、要更新◆ -->
|初 = [[1967年]]11月9日<br /><small>[[サターンV]] / [[アポロ4号]]</small>
|最終 = [[2024年]]10月14日<br /><small>[[ファルコンヘビー]] / [[エウロパ・クリッパー]]</small><!-- ◆打ち上げの都度、要更新◆ -->
|ロケット = {{flatlist|
* [[サターンV]](退役)
* [[スペースシャトル]](退役)
* [[ファルコン9]](現役)
* [[ファルコンヘビー]](現役)
* [[スターシップ (宇宙船)|スターシップ]](将来)
}}
|発射台2 = LC-39B
|発射台2 = LC-39B
|状態2 = 運用中および[[スペース・ローンチ・システム|SLS]]の打ち上げに向けた増設が進行中
|状態 = アクティブ
|打ち上げ回数 = 82 <br/>(サターンV 12回、<br/>スペースシャトル 70)
|打ち上げ回数2 = '''60'''(サターンV 1回、サターンIB 4回、スペースシャトル 53、アレスI-X 1回、スペース・ローンチ・システム・ブロックI 1回)<!-- ◆打ち上げの都度、要更新◆ -->
|初2 = [[1969年]][[5月18日]]<br /><small>[[サターンV]] / [[アポロ10号]]</small>
|初 = [[アポロ4号]]([[1967年]][[11月9日]])
|最終2 = [[2022年]][[11月16日]]<br /><small>[[スペース・ローンチ・システム|スペース・ローンチ・システム・ブロックI]]/ [[アルテミス1号]]</small><!-- ◆打ち上げの都度、要更新◆ -->
|最終 = [[STS-124]]([[2008年]][[5月31日]])
|ロケット2 = {{flatlist|
|ロケット = [[サターンVロケット|サターンV]] <br/> サターン INT-21 <br/> [[スペースシャトル]](現行)<br/> [[アレスV]](予定)
* [[サターンIB]](退役)
|状態2 = スタンバイ
* [[サターンV]](退役)
|打ち上げ回数2 = 58回 <br/>(サターンV 1回、<br/>サターン1B 4回、<br/>スペースシャトル 53回)
* [[スペースシャトル]](退役)
|初2 = [[アポロ10号]]([[1969年]][[5月18日]])
* [[アレスI-X]](中止)
|最終2 = [[STS-116]]([[2006年]][[12月10日]])
* [[スペース・ローンチ・システム]](現役)
|ロケット2 = [[サターンVロケット|サターンV]] <br/> [[サターン IB]] <br/> [[スペースシャトル]] <br/> [[アレスI]](予定)
* {{仮リンク|オメガ (ロケット)|en|Omega (rocket)|label=オメガ}}(将来)
}}
}}
|発射台3 = LC-39C
|状態3 = 2015年6月に建設完了
|打ち上げ回数3 = '''0回'''
|初3 = 未定
|最終3 =
|ロケット3 = [[エレクトロン (ロケット)|エレクトロン]]
}}
'''ケネディ宇宙センター第39発射施設'''(ケネディうちゅうセンターだい39はっしゃしせつ、{{lang-en|'''Launch Complex 39'''}}、略称: {{lang|en|'''LC-39'''}})は、[[アメリカ合衆国]][[フロリダ州]][[メリット島]]にある[[ケネディ宇宙センター]]内の[[ロケット]][[射場|発射場]]である。発射場および施設群は元々[[アポロ計画]]のために建設され、後に[[スペースシャトル計画]]のために改修された。[[2023年]]現在、39A発射台 (LC-39A) が、[[スペースX]]社の[[ファルコン9]]と[[ファルコンヘビー]]の打ち上げに、39B発射台 (LC-39B) がNASAの[[スペース・ローンチ・システム]] (SLS) の打ち上げに使用されている。新しく、小さな39C発射台 (LC-39C) は2015年に完成し、小規模な打ち上げに対応するが、まだ使用されていない。


LC-39は、[[#LC-39A|39A]]、[[#LC-39B|39B]]、[[#LC-39C|39C]]の3基の[[発射台]]、および[[スペースシャトル組立棟|ビークル組立棟]] (VAB)、VABと発射台との間で[[クローラー・トランスポーター]]が{{仮リンク|モバイル・ランチャー・プラットフォーム|en|Mobile Launcher Platform|label=移動式発射プラットフォーム}}を輸送するために敷かれた運搬路である{{仮リンク|クローラーウェイ|en|Crawlerway}}、[[オービタ整備施設]] (OPF)、制御室 (the firing rooms) が入る[[打ち上げ管制センター]]、テレビ中継や写真撮影で象徴的に映されるカウントダウン時計で有名な{{仮リンク|第39発射施設プレスサイト|label=報道関係者向け施設|en|Launch Complex 39 Press Site}}に加え、さまざまな補給拠点や運用支援施設から構成されている<ref>{{cite web|url=http://science.ksc.nasa.gov/facilities/tour.html|title=KSC Facilities|publisher=NASA|accessdate=2009-07-06}}</ref>。
'''ケネディ宇宙センター集合発射施設39'''(英称:'''Launch Complex 39'''、略称:'''LC-39''')は、[[アメリカ合衆国]][[フロリダ州]]メリット島にある[[ケネディ宇宙センター]]内の[[ロケット]][[射場|発射場]]である。もともとは[[アポロ計画]]に使用する主力ロケット[[サターンVロケット]]の打ち上げを行うために建設された。アポロ計画終了後は一部が改良されて、[[スペースシャトル]]の運用に利用されている。2007年には、次期の[[コンステレーション計画]]ヘ適合させるため、[[NASA]]による39Bの再改造が始まった。

スペースX社は39A発射台をNASAからリースして改修を施し、[[2017年]]以降の[[ファルコン9]]の打ち上げに対応している<ref>{{cite web|url=https://www.theverge.com/2015/9/6/9270317/spacex-falcon-heavy-rocket-scheduled-launch-spring-2016|title=After delays, SpaceX's massive Falcon Heavy rocket set to launch in spring 2016|accessdate=2018-4-4|author=Dante D'Orazio|date=6 September 2015|work=The Verge|publisher=Vox Media}}</ref><ref>{{cite web|url=http://spacenews.com/spacex-seeks-to-accelerate-falcon-9-production-and-launch-rates-this-year/|title=Spacex seeks to accelerate falcon 9 production and launch rates this year|accessdate=2018-4-4|date=4 February 2016|publisher=}}</ref><ref name="sorae20170218">{{Cite web|和書|url=http://sorae.info/030201/2017_02_18_x.html|title=スペースX「ファルコン9」ロケット打ち上げ実施 歴史的なケネディ宇宙センターから|publisher=Sorae.info|date=2017-02-19|accessdate=2018-03-05}}</ref>。[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]は[[コンステレーション計画]]のために2007年から39B発射台の改修を開始していたが、2010年に同計画が中止となったため、現在は2019年12月に最初の打ち上げが予定されている<ref>{{Cite web|url=https://www.nasa.gov/feature/nasa-completes-review-of-first-sls-orion-deep-space-exploration-mission|title=NASA Completes Review of First SLS, Orion Deep Space Exploration Mission|publisher=NASA|date=2017-11-09|accessdate=2018-03-05}}</ref>[[スペース・ローンチ・システム]] (SLS) での運用に向けて準備中である<ref name="pad1">{{cite web|url=http://science.ksc.nasa.gov/facilities/lc39a.html|title= Launch Complex 39-A & 39-B
|accessdate=September 30, 2007|publisher=[[NASA|National Aeronautics and Space Administration]]|year=1993|author=[[NASA]]}}</ref><ref name="pad2">{{Cite web|url=http://www-pao.ksc.nasa.gov/kscpao/nasafact/pads.htm|title=Launch Complex 39|accessdate=September 30, 2007|publisher=NASA|year=2000|author=NASA|deadurl=yes|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120927112326/http://www-pao.ksc.nasa.gov/kscpao/nasafact/pads.htm|archivedate=September 27, 2012|df=mdy-all}}</ref>。C発射台は元々アポロ計画のために建設する計画が挙がっていたが、実現することはなく、(もし建設されていたとしても)39Aと39Bの発射台の複製になっていたであろうとされる。その後、[[超小型衛星打上げ機|軽量級のロケット]]の打ち上げに対応できる、より小さな発射台となる39C発射台が2015年1月から6月までの期間に建設された<ref name="lc39C">{{cite web|url=http://www.nasa.gov/feature/new-launch-pad-will-enable-smaller-companies-to-develop-and-launch-rockets-from-kennedy|title= New Launch Pad will Enable Smaller Companies to Develop and Launch Rockets from Kennedy|accessdate=July 18, 2015|publisher=[[NASA]]|year=2015|author=[[NASA]]}}</ref>。

NASAによるLC-39AおよびLC-39Bからの打ち上げは、発射台から約{{convert|3|mi|km}}離れた場所に位置する[[打ち上げ管制センター]] (LCC) から管制が行われてきた。LC-39は、[[東部射場]]{{enlink|Eastern Range}}のレーダー管制および追尾業務を共に担う、数ある発射場のうちの一つである。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
=== 前史 ===
現在の集合発射施設39周辺一帯の用地開発は、[[1890年]]に少数の[[ハーバード大学]]出身の資産家が1[[エーカー]]あたり1[[ドル]]の地価で18,000エーカー (73[[平方キロメートル|km&sup2;]]) の土地を購入したことに始まる。資産家たちは39A発射場のそばに、クラブ会員向けに20室を備えた3階建ての[[マホガニー]]製クラブハウスを建設した。施設内には、広い[[食堂]]、[[ワイン]]貯蔵庫、[[トロフィー]]ルーム、そして大量の武器や弾薬の保管庫も備え付けられていた。また、クラブハウスの上からの大西洋と周囲の湿地に群がる野生生物の眺めは壮観であった。1920年代に入ると、当時、[[水道]]・[[歩道]]・[[街灯]]・庭園などを完備した保養都市開発計画が推し進められていたこの土地の買い手を誘致しようと、[[スチュードベーカー]]社の創業者の息子であったP.E.スチュードベーカーによって、カナベラル灯台の北13kmにあるデ・ソト・ビーチに小さな[[カジノ]]が建てられた。集合発射施設が建設される以前は、用地の東側を州道A1A号線が通っており、その道沿いには[[1885年]]から[[アメリカ沿岸警備隊]]の部署が置かれていた。
現在の第39発射施設周辺一帯の用地開発は、1890年に少数の[[ハーバード大学]]出身の資産家が1エーカーあたり1ドルの地価で{{convert|18000|acre|km2}}の土地を購入したことに始まる。資産家たちは、後に第39A発射台が設置されることになる辺りに、クラブ会員向けに20室を備えた3階建ての木造(マホガニー製)のクラブハウスを建設した。施設内には、広い食堂、[[ワインセラー|ワイン貯蔵庫]]、トロフィールーム、そして大量の武器や弾薬の保管庫も備え付けられていた。また、クラブハウスの上から眺める、大西洋と周囲の湿地に群がる野生生物の風景は壮観であった。1920年代に入ると、当時、水道・歩道・街灯・庭園などを完備した保養都市開発計画が推し進められていたこの土地の買い手を誘致しようと、自動車会社[[スチュードベーカー]]社の創業者の息子であったP. E. スチュードベーカーによって、カナベラル灯台の北13kmにあるデ・ソト・ビーチに小さなカジノが建てられた。発射施設が建設される以前は、用地の東側を{{仮リンク|フロリダ州道A1A号線|label=州道A1A号線|en|Florida State Road A1A}}が通っており、その道沿いには1885年から[[アメリカ沿岸警備隊]]の部署が置かれていた。


1948年に、アメリカ海軍はケープ・カナベラルの南に位置したバナナリバー航空基地を、ドイツから接収した[[V2ロケット]]を試験するために、空軍へと移譲した<ref>{{cite web|url=http://www.patrick.af.mil/library/factsheets/factsheet.asp?id=4514|title=EVOLUTION OF THE 45TH SPACE WING|publisher=US Air Force|accessdate=2009-07-06}}</ref>。人口密集地から離れた海上へ向けて打ち上げを実行できるという目的のためには、フロリダ東海岸に面するこの基地の立地は理想的なものであった。1949年に当地は統合長射程試験基地となり、翌1950年には{{仮リンク|パトリック空軍基地|en|Patrick Air Force Base}}と改称した。1951年、空軍はケープカナベラルの一部を北側に建て増して、空軍ミサイル試験センターとした。これが後に[[ケープカナベラル空軍基地]] (CCAFS) となる。1950年代の間は、ミサイルおよびロケットの試験と開発は当地で実施された<ref>{{cite web|url=http://www.spaceline.org/capehistory/2a.html|title=THE HISTORY OF CAPE CANAVERAL CHAPTER 2: THE MISSILE RANGE TAKES SHAPE (1949-1958)|publisher=Spaceline.org|accessdate=2009-07-06}}</ref>。
[[1963年]]の集合発射施設の初期構想では、5基の発射台 (39A~39E) が、発射台での爆発などの損害を避けるために、2700m間隔で均等に配置されることになっていた。そのうちの3基 (39A・39B・39C) は実際に建設する計画が持ち上がったが、残る2基は保留となった。当時、発射台の番号は北から南へと順につけられており、北端が39A、南端が39Cであった。ところが、この39Aは結局建設されることはなく、のちに当初の39Cは39Aに名称変更された。それ以後、北側が39B、南側が39Aとなっている。現在の39A・39Bの2基態勢が整ったのは[[1965年]]のことであった。


== スペースシャトル計画での運用 ==
=== NASAによる運用 ===
1958年にNASAが設立されると、[[マーキュリー計画]]、[[ジェミニ計画]]などの初期のミッションで使用されたロケットは、ケープカナベラル空軍基地の発射台から打ち上げられた<ref>{{cite web|url=http://www.astronautix.com/sites/capallc5.htm|title=Cape Canaveral LC5|publisher=Astronautix.com|accessdate=2009-07-06}}</ref>。
=== シャトルの組み立て ===
スペースシャトルを軌道に投入するために必要な推力は、[[固体ロケットブースタ|固体燃料ロケットブースタ]] (Solid Rocket Booster, SRB) とスペースシャトルの[[SSME|メインエンジン]] (SSME) の双方によって生み出される。SRBはその名の通り、[[ロケットエンジンの推進剤|固体燃料]]を使用している。スペースシャトルのメインエンジンは、外部燃料タンク (ET) 内の[[液体水素]]と[[液体酸素]]を配合して使用される。これは、[[オービタ]]本体にはメインエンジン用の燃料タンクが備わっていないためである。通常打ち上げの数ヶ月前には、スペースシャトルを構成する3つの主要な構成要素となるオービタ、SRB、外部燃料タンクが[[スペースシャトル組立棟|シャトル組立棟]] (VAB) に運び込まれる。そこで組み立て上げられたスペースシャトルは移動式発射装置 (MLP) に載せられる。SRBは[[ユタ州]]の製造工場からセグメント毎に鉄道で輸送され、外部燃料タンクは[[ルイジアナ州]]の製造工場から船舶で輸送される。この間、スペースシャトル・オービタはオービタ整備施設 (OPF) で待機する。まずSRBが取り付けられ、次に巨大なクレーンを用いて完成したスペースシャトルが下ろされ、外部燃料タンクがオービタとSRBの間に接続される。


1961年に[[ジョン・F・ケネディ|ケネディ]]大統領は1960年代末までに人類を[[月]]へと送り込む目標([[アポロ計画]])を発表した。この月探査計画の発表により、基地の運用範囲はケープカナベラルから隣接するメリット島まで拡張された<ref>{{cite web|url=http://www.spaceline.org/capehistory/3a.html|title=THE HISTORY OF CAPE CANAVERAL CHAPTER 3 NASA ARRIVES (1959-PRESENT)|publisher=Spaceline.org|accessdate=2009-07-06}}</ref>。NASAは早速、1962年から土地の取得を開始し、すぐさま{{convert|131|sqmi|km2}}を買い取り、さらにフロリダ州との交渉により{{convert|87|sqmi|km2}}を追加で購入した。1962年7月、当地は'''打ち上げ運用センター''' ({{lang|en|Launch Operations Center}}) と命名された。当時、CCAFSに設置されていた発射台の中で最も大きな番号が振られていたのは第37発射施設であったが、月発射施設が設計されるとともに現在の名称へと改称された。
=== 発射台への輸送 ===
[[Image:STS-118 Launchpad.jpg|thumb|right|180px|39A発射台で打ち上げを待つ<br/>[[スペースシャトル]] [[エンデバー (オービタ)|エンデバー]]]]
組み立てや整備の完了したスペースシャトルは、クローラ・トランスポータ([[無限軌道]]輸送車両)に載せられ、8時間近くかけて5~6km離れた発射台まで運ばれる。発射台では移動式発射装置 (MLP) が下ろされ、クローラ・トランスポータは発射台から離れていく。また、[[ペイロード]](搭載物)はスペースシャトルとは独立して、ペイロード輸送キャニスタの中に入れられて発射台まで運ばれる。


=== 消音システム ===
=== 初期の設計 ===
[[File:Lc39 plan 1963 labelled.png|thumb|発射施設のプラン - 1963年]]
それぞれの発射台近くには、打ち上げ時に発生する[[騒音]]を抑え、機体を[[衝撃波]]から保護するために利用する大量の[[水]]を溜めておく給水タンクが設置されている。この水を用いた消音システム (Sound Suppression System) では、高さ88mの給水塔に1.1メガリットルの水を蓄えておき、エンジン点火直前に水を放出する。発射台への放水によってスペースシャトルのエンジンから発生する強烈な[[音波]]は打ち消される。この際、放出された水は周囲の熱により大量の[[水蒸気]]となる。
1963年の発射施設の初期構想では、5基の発射台 (39A - 39E) が、発射台での爆発などの損害を避けるために、{{convert|8700|ft|m}}間隔で均等に配置されることになっていた。そのうちの3基 (39A・39B・39C) は実際に建設する計画が持ち上がったが、残る2基は保留となった。当時、発射台の番号は北から南へと順につけられており、北端が39A、南端が39Cであった。ところが、この39Aは結局建設されることはなく、のちに当初の39Cは39Aに名称変更された。それ以後、北側が39B、南側が39Aとなっている。現在の39A・39Bの2基態勢が整ったのは1965年のことであった<ref>[http://history.nasa.gov/SP-350/ch-6-1.html]</ref>。右図の当初計画案では、建設されなかった核組立棟 ({{lang|en|Nuclear Assembly Building; NAB}}) の存在も確認できる。


=== 発射台から避難 ===
=== 初期打ち上げ ===
発射台を最初に使用することとなったのは、[[アポロ計画]]の月ミッションの一環として打ち上げることとなった[[サターンV]]ロケットである。それに後れて、[[スカイラブ計画]]および[[アポロ・ソユーズテスト計画]] (ASTP) では、[[サターンIB]]ロケットが打ち上げられた。発射台の元の構造は次期のスペースシャトルの需要に応じて改造されることになり、スカイラブを輸送したサターンVの最終打ち上げの後にLC-39Aが1973年より、アポロ・ソユーズテスト計画を終えたLC-39Bが1977年より、それぞれ改造期間に入った。
万一の発射台での事故に備えて、緊急時にシャトル乗組員が迅速に避難できるように、集合発射施設では特別なエレベータ・システムが用いられる。発射台で爆発などの事故が起きた際は、乗組員はスペースシャトル・オービタから退出して、すぐさまこの非常エレベータに駆け込む。すると、エレベータは地上に急降下し、その速度は時速88kmにも達する。乗組員たちは地上に降りると、次に改良型の[[M113装甲兵員輸送車]]に乗り込み、発射台から60m離れたヘリポートへと向かう。そして、そこから集合発射施設から離れた安全な区域へと退避する。NASAの安全規則では、乗組員以外の全職員は、打ち上げ時には発射台から十分離れた安全な場所にいなければならないことになっているため、乗組員たちには一切外部からの援助なしで避難行動をとるこのが要求されている。

アポロ時代にはこれらは単なる発射台(発射プラットフォームに備え付けられたアンビリカル/サービスタワー)だったが、改良工事によりサターンVロケット用の発射台を使用して[[サターンIB]]ロケット (すべてのスカイラブ有人ミッション、{{仮リンク|スカイラブ・レスキュー|en|Skylab Rescue}}、ASTP) を打ち上げることが出来るようになった。スペースシャトルに対しては、発射台に固定された(アポロ=サターン時代から残された)発射塔に、回転する可動式のプラットフォームが取り付けられ、[[オービタ]](機体)を保護するとともに、ペイロードベイに垂直向きの[[ペイロード (航空宇宙)|ペイロード]]を搬入することが出来るようになった<ref name="pad1" /><ref name="pad3">{{Cite web
|url=http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/launch/launch-complex39-toc.html
|title=Feature: Launch Complex 39|accessdate=September 30, 2007|publisher=NASA|year=2006|author=NASA}}</ref>。スペースシャトル以後のNASAの[[コンステレーション計画]]に際しては、2基の発射台はアポロ計画時代に近い状態に戻される一方で、[[アレスI]]と[[アレスV]]を落雷の危険から守るための[[避雷針]]が設置された。

LC-39は1967年のサターンVの打ち上げで初めて使用され、無人のアポロ4号を輸送した。2度目の無人宇宙船[[アポロ6号]]の打ち上げでもLC-39Aが使用された。LC-39B発射台を使用した[[アポロ10号]]を除いては、[[アポロ8号]]に始まるアポロ計画のすべての有人ミッションは、LC-39Aを使用して実行された。1973年のスカイラブの打ち上げ以降、LC-39Aはスペースシャトル用に再構成され、1981年の[[スペースシャトル・コロンビア|コロンビア号]]([[STS-1]])の初打ち上げに使用された<ref
name="mods">{{Cite web|url=http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/launch/pad-mods.html|title=Shuttle-Era Pad Modifications|accessdate=September 30, 2007|publisher=NASA|year=2006|author=NASA}}</ref>。アポロ10号の打ち上げの後、LC-39BはLC-39Aが万一の事故などの不具合により使用できなくなった場合のバックアップ発射施設として保持された。アポロ・ソユーズテスト計画後は、LC-39Aと同様の改造が施されることとなったが、予算削減のため、1986年まで使用可能な状態になかった。そして、39Bを使用した最初のスペースシャトルの打ち上げは不幸にも打ち上げに失敗した[[STS-51-L]]であり、[[チャレンジャー号爆発事故]]を引き起こすこととなった。

2008年5月31日に実行された[[STS-124]]の打ち上げの際に、LC-39Aの発射台は、固体ロケットブースタの炎を逸らすために使用されるコンクリート製トレンチを中心に、大きな損害を受けた<ref name="damage">[http://www.space.com/missionlaunches/080602-sts124-pad39a-damage.html#comments SPACE.com -- NASA Eyes Launch Pad Damage for Next Shuttle Flight]</ref>。その後の調査により、この損害はエポキシ樹脂の炭化、およびトレンチ内部で耐火レンガを支える鉄製の錨が腐食したことによってもたらされたことが判明した。固体ロケットブースタの副産物として[[塩化水素]]ガスが排出されるという事実により、一層事態を悪化させることとなった<ref>{{cite journal | url=http://pbma.nasa.gov/docs/public/pbma/images/msm/STS-124FlameTrench_SFCS.pdf | title=Hit the Bricks | journal=System Failure Case Studies | publisher=NASA | date=August 2010 | volume=4 | issue=8 | pages=1–4 | author=Lilley, Steve K. | accessdate=July 20, 2011 }}</ref>。

<gallery>
File:launch Apollo4.jpg|LC-39A発射台から初めて打ち上げられるサターンVロケット (無人の[[アポロ4号]]を積載)
File:LC39B Ares Conversion Work.JPG|アレスロケットの打ち上げに向けた改造作業が進むLC-39B
</gallery>

=== スペースシャトル計画での運用 ===
==== シャトルの組み立て ====
スペースシャトルを軌道に投入するために必要な推力は、2基の[[固体ロケットブースタ]] (Solid Rocket Booster, SRB) とスペースシャトルの3基の[[SSME|メインエンジン]] (SSME) によって生み出される。SRBはその名の通り、[[ロケットエンジンの推進剤|固体燃料]]を使用している。スペースシャトルのメインエンジンは、外部燃料タンク (ET) 内の[[液体水素]]と[[液体酸素]]を配合して使用される。これは、[[オービタ]]本体にはメインエンジン用の燃料タンクが備わっていないためである。通常打ち上げの数ヶ月前には、スペースシャトルを構成する3つの主要な構成要素となるオービタ、SRB、外部燃料タンクが[[スペースシャトル組立棟|シャトル組立棟]] (VAB) に運び込まれる。そこで組み立てられたスペースシャトルは移動式発射プラットフォーム (MLP) に載せられる。SRBは[[ユタ州]]の製造工場からセグメント毎に鉄道で輸送され、外部燃料タンクは[[ルイジアナ州]]の製造工場から船で輸送される。この間、スペースシャトル・オービタはオービタ整備施設 (OPF) で整備が進められる。VABでは、まず2基のSRBがMLP上に固定されて組み立てられる。次に外部燃料タンクがSRBに結合され、OPFからVABに移動したオービタがクレーンで吊り上げられて、外部燃料タンクに結合され、スペースシャトルの組み立てが完成する。

==== 発射台への輸送 ====
[[Image:STS-118 Launchpad.jpg|thumb|right|180px|第39A発射台で打ち上げを待つ[[スペースシャトル]]・[[スペースシャトル・エンデバー|エンデバー]]]]
組み立てが完了したスペースシャトルは、移動式発射プラットフォーム (MLP)の上に固定されたまま、クローラ・トランスポータ([[無限軌道]]輸送車両)に載せられ、8時間近くかけて5 - 6km離れた39番発射台まで運ばれる。発射台に到着すると、MLP が支柱に固定され、クローラ・トランスポータは発射台から離れていく。なお、[[ペイロード (航空宇宙)|ペイロード]](搭載物)はスペースシャトルとは別に、ペイロード輸送キャニスタの中に入れられて発射台まで運ばれる。

[[コロンビア号空中分解事故]]以降は、緊急時に備えてバックアップ用のシャトルが1-2ヶ月以内に打上げ可能になるようなスケジュールで、後続のシャトルの打上げ準備作業が進められるようになった。

==== 音響抑制システム ====
それぞれの発射台近くには、打ち上げ時に発生する[[騒音]]を抑え、機体を[[衝撃波]]から保護するために利用する大量の[[水]]を溜めておく給水タンクが設置されている。この水を用いた音響抑制システム (Sound Suppression System) では、高さ88mの給水塔に1.1メガリットルの水を蓄えておき、エンジン点火直前に水を放出する。発射台への放水によってスペースシャトルのエンジンから発生する強烈な[[音波]]のエネルギーは、多くが水を振動させることに消費され残りのエネルギーが[[空気]]を振動させる。この際、放出された水は周囲の熱により大量の[[水蒸気]]となる。

==== 発射台からの緊急避難 ====
万一の発射台での事故に備えて、緊急時にシャトル乗組員が迅速に避難できるように、発射施設では特別な緊急退避システムが用いられる。発射台で爆発などの事故が起きた際は、乗組員はスペースシャトル・オービタから退出して、すぐさまこの非常用のスライドワイヤー式のバスケットに駆け込んで、固定を解除する事で、射点から離れた場所にまで急降下する。その速度は最大で時速88kmにも達する。乗組員たちは地上に降りると、次に退避壕に待機させてある改良型の[[M113装甲兵員輸送車#運用国|M113装甲兵員輸送車]]に乗り込み、ヘリポートへと向かう。そして、そこから離れた安全な区域へと退避する。NASAの安全規則では、乗組員以外の全職員は、打ち上げ時には発射台から十分離れた安全な場所にいなければならないことになっているため、乗組員たちには一切外部からの援助なしで避難行動をとることが要求されている。

== 現在の状況 ==
[[File:LC39A and LC39B.jpg|thumb|上空から39A (手前) および39Bの両発射台を望む]]

2011年のスペースシャトルの退役をもって<ref name=bw20101028>[http://www.businessweek.com/magazine/content/10_45/b4202066178314.htm?campaign_id=mag_Oct28&link_position=link23 NASA: Lost in Space], ''Business Week'', 2010-10-28, accessed 2010-10-31.</ref>、2010年に[[コンステレーション計画]]の中止が発表されたことにより、約2年ほどLC-39の将来的な用途は不透明な状況が続いた。

=== LC-39A ===
[[File:LC39A.jpg|thumb|LC-39A]]
LC-39Aは、スペースシャトルの最後の飛行となった[[STS-135]]ミッション以降、使用計画が未定となっていたが、2014年4月14日に[[スペースX]]社に20年間リースする調印式が行われ<ref>{{cite news | title = NASA Signs Agreement with SpaceX for Use of Historic Launch Pad
| url = http://www.nasa.gov/press/2014/april/nasa-signs-agreement-with-spacex-for-use-of-historic-launch-pad/
| publisher = NASA | date = 2014-04-15 | accessdate = 2014-4-22}}</ref>、[[2017年]]から[[ファルコン9]]と[[ファルコンヘビー]]の射点として使用されている<ref name="sorae20170218" />。2020年5月30日に有人型の[[ドラゴン2]]がLC-39Aから打ち上げられ、ISSへの宇宙飛行士の有人テスト飛行に成功した([[Crew Dragon Demo-2]])<ref name=":1">{{Cite web|和書|title=米国商業有人宇宙船 クルードラゴン 有人試験飛行(Demo-2)ミッション - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA|url=https://iss.jaxa.jp/iss/flight/spx-demo2/|website=iss.jaxa.jp|accessdate=2020-06-06}}</ref>。今後のISSへの商業打上げもここから行われることになる予定である<ref name="201404LC">{{cite news|title=SpaceX's mega-rocket to debut next year at pad 39A|url=http://www.spaceflightnow.com/news/n1404/15pad39a/|publisher=Spaceflightnow.com|date=2014-04-15|accessdate=2014-4-22}}</ref>。

=== LC-39B ===
NASAは、2006年12月9日に[[STS-116]]の打ち上げを行い、LC-39Bでの最終シャトルミッションを終えた。

その後、STS-125のミッションまでの期間には、STS-125を支援するための[[STS-400]]救援ミッションのために、[[スペースシャトル・エンデバー|エンデバー]]をLC-39Bに待機させた。打ち上げを休止していたこの期間に、新たに{{convert|600|ft|m}} の避雷針が3本設置された。これは、[[ケープカナベラル空軍基地|ケープカナベラル]]付近にある[[アトラス V]]や[[デルタ IV]]の発射台で使用されるものと類似している。同時に、それまで設置されていた射点頂部に設置されていた1本の避雷針とクレーンが撤去された(このクレーンはアポロ時代から存在したものである)。[[STS-125]]ミッションの完了を待って、STS-400ミッションの打ち上げ待機の任務も解かれ、アレスロケットの試験機である[[アレスI-X]]の打ち上げが2009年10月28日にLC-39Bで実施され成功した。

アレスI-Xのフライト以降、NASAは発射台設備の大幅な刷新を実施し、[[液体水素]]、[[液体酸素]]および[[水]]の貯蔵タンクのみを残して他の設備(FSSやRSS等の大型の射点構造物)を撤去した<ref name="sound">{{Cite web|url=http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/launch/sound-suppression-system.html|title=Sound Suppression System|accessdate=September 30, 2007|publisher=NASA|year=2006|author=NASA}}</ref><ref>{{cite web|url=http://spaceflightnow.com/shuttle/sts127/status.html|title=STS-127 Rollaround starts|first=2009-05-31|publisher=Space Flight Now|accessdate=2012-06-02}}</ref>。

39B射点は2017年以降に、NASAとロッキードマーチン社が開発中の[[オリオン (宇宙船)|オリオン宇宙船]]を搭載する[[スペース・ローンチ・システム]] (SLS) の打上げに使用される予定。SLSの打上げ頻度はあまり高くないため、打上げ計画がない期間は[[民間宇宙飛行#民間宇宙飛行会社|民間企業]]の有人打上げに使うことも可能とNASAは説明している<ref name="201404LC"/>。

<gallery>
File:Space shuttles Atlantis (STS-125) and Endeavour (STS-400) on launch pads again.jpg|スペースシャトル計画では最後の光景となった、39Aおよび39Bの両発射台に並んで[[STS-125]]ミッションに向けて待機するスペースシャトル「アトランティス」と「エンデバー」
File:Ares I-X launch 08.jpg|2009年10月28日15:30 (UTC) にLC-39Bから打ち上げられた、アレスI-X
</gallery>

=== LC-39C ===
==== 建設 ====

発射台の建設は2015年1月に始まり、同年6月に完成した。ケネディ宇宙センター長のロバート・D・カバナと、地上系開発および運用 (Ground Systems Development and Operations; GSDO) 計画、中心企画および開発 (Center Planning and Development; CPD)、エンジニアリング役員からの代表者らは、2015年7月17日、完成記念式典でテープカットをして新しい発射台の完成を祝った。

ロバート・D・カバナは「アメリカ最高の宇宙港として、アメリカの打ち上げ需要に応えるため、我々は常に、新しくて革新的な方法を探し求めている。そして、欠けていた一つの区域は小さい等級の[[ペイロード (航空宇宙)|ペイロード]]だったのである。」と述べ、「21世紀の基金を使い、我々は39C発射台を建てた。」とも述べた。

GSDOは、このプロジェクトを監督し、ケネディ宇宙センターにおいて、CPDと協働して商業宇宙活動の成長に向けて努力を払った。

「射点39Cは、我々の発射台の取り揃えに最新の追加となるものだ。」とCPD局長のスコット・コロレードは述べた。「小さい等級の市場はここにある。そのような種類の打上げ機の需要は増加している。ここで重要なのは、これは本当に小さい等級の打上げ機のための驚くべき発射場のように見える必要があるということだ。」

コンクリート製の発射台は、幅が約{{convert|50|ft|m}}、長さが約{{convert|100|ft|m}} あり、燃料を積載したローンチ・ビークル、ペイロード、顧客から提供されたものを合わせた{{convert|132,000|lb|kg}} までの重量を支えることができるとされる。そして、中央の塔の構造、流体ライン、ケーブルおよび中央部分のアームは約{{convert|47,000|lb|kg}} までの重さがある。

GSDOは、様々な小さな等級のロケットに液体酸素と液体メタンの燃料を供給する能力を提供するために、ユニバーサル・プロペラント・サービシング・システム (Universal Propellant Servicing System; UPSS) も開発した。このシステムは2016年の夏にも運用上の準備ができることになっている。

==== 将来性 ====
ケネディ宇宙センターの最新の発射台 (LC-39C) は、小さな等級の宇宙機に対応するために設計された。LC-39B周辺の南東区域に位置するこのコンクリート製の発射台は、幅が約{{convert|50|ft|m}}、長さが約{{convert|100|ft|m}} ある。LC-39Cは多目的発射場として、民間会社がより小さい等級のロケットをテストすることができるようになっており、より小規模の会社が商業宇宙飛行の市場に参入する余裕をもたせることを可能にしている。

== 脚注 ==
{{Reflist|30em}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{Commons&cat|Kennedy Space Center Launch Complex 39}}
* [[ケネディ宇宙センター]]
* [[ケネディ宇宙センター]]
* [[メリット島の発射施設一覧]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
*[http://science.ksc.nasa.gov/facilities/tour.html Launch Complex 39 Facilities (KSC)] {{en icon}}
* [http://science.ksc.nasa.gov/facilities/tour.html Launch Complex 39 Facilities (KSC)] {{en icon}}
* {{Cite web|url=http://www.nasa.gov/mission_pages/constellation/main/Constellationfacilities.html

|title=Kennedy Prepares to Host Constellation |accessdate=2008年12月16日}} {{en icon}}
{{DEFAULTSORT:けねていうちゆうせんたあしうこうはつしやしせつ39}}
* {{Cite web|url=http://spaceflightnow.com/news/n1107/24complex39/index.html
[[Category:NASA]]
|title=
[[Category:アメリカ合衆国のロケット発射場]]
Voyages to deep space will originate from shuttle pads |accessdate=2011年7月24日}} {{en icon}}


{{メリット島}}
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{{DEFAULTSORT:けねていうちゆうせんたあたい39はつしやしせつ}}
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[[Category:ケネディ宇宙センター|たい39はつしやしせつ]]
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[[Category:アメリカ合衆国のロケット発射場]]
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[[fr:Complexe de lancement 39]]
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[[nl:Kennedy Space Center lanceercomplex 39]]
[[sk:Štartovací komplex 39]]

2024年10月21日 (月) 08:48時点における最新版

ケネディ宇宙センター第39発射施設
上空から見た第39発射施設 (手前:ビークル組立棟 (VAB)、左奥:39B発射台、右奥:39A発射台)
上空から見た第39発射施設
(手前:ビークル組立棟 (VAB)、左奥:39B発射台、右奥:39A発射台)
基地名 ケネディ宇宙センター
位置 北緯28度36分30.2秒 西経80度36分15.6秒 / 北緯28.608389度 西経80.604333度 / 28.608389; -80.604333
略称 LC-39
運営者
総打ち上げ回数 244回(サターンV 13回、サターンIB 4回、スペースシャトル 135回、アレスI 1回、ファルコン9 79回、ファルコンヘビー 11回、スペース・ローンチ・システム・ブロックI 1回)
発射台数 3
最小/最大
軌道傾斜角
28度 - 62度
LC-39A 打ち上げ歴
状態 運用中およびスターシップの運用に向けた増設が進行中
打ち上げ回数 184回(サターンV 12回、スペースシャトル 82回、ファルコン9 79回、ファルコンヘビー 11回)
初打ち上げ 1967年11月9日
サターンV / アポロ4号
最終打ち上げ 2024年10月14日
ファルコンヘビー / エウロパ・クリッパー
関連ロケット
LC-39B 打ち上げ歴
状態 運用中およびSLSの打ち上げに向けた増設が進行中
打ち上げ回数 60回(サターンV 1回、サターンIB 4回、スペースシャトル 53回、アレスI-X 1回、スペース・ローンチ・システム・ブロックI 1回)
初打ち上げ 1969年5月18日
サターンV / アポロ10号
最終打ち上げ 2022年11月16日
スペース・ローンチ・システム・ブロックI/ アルテミス1号
関連ロケット
LC-39C 打ち上げ歴
状態 2015年6月に建設完了
打ち上げ回数 0回
初打ち上げ 未定
関連ロケット エレクトロン

ケネディ宇宙センター第39発射施設(ケネディうちゅうセンターだい39はっしゃしせつ、英語: Launch Complex 39、略称: LC-39)は、アメリカ合衆国フロリダ州メリット島にあるケネディ宇宙センター内のロケット発射場である。発射場および施設群は元々アポロ計画のために建設され、後にスペースシャトル計画のために改修された。2023年現在、39A発射台 (LC-39A) が、スペースX社のファルコン9ファルコンヘビーの打ち上げに、39B発射台 (LC-39B) がNASAのスペース・ローンチ・システム (SLS) の打ち上げに使用されている。新しく、小さな39C発射台 (LC-39C) は2015年に完成し、小規模な打ち上げに対応するが、まだ使用されていない。

LC-39は、39A39B39Cの3基の発射台、およびビークル組立棟 (VAB)、VABと発射台との間でクローラー・トランスポーター移動式発射プラットフォーム英語版を輸送するために敷かれた運搬路であるクローラーウェイ英語版オービタ整備施設 (OPF)、制御室 (the firing rooms) が入る打ち上げ管制センター、テレビ中継や写真撮影で象徴的に映されるカウントダウン時計で有名な報道関係者向け施設英語版に加え、さまざまな補給拠点や運用支援施設から構成されている[1]

スペースX社は39A発射台をNASAからリースして改修を施し、2017年以降のファルコン9の打ち上げに対応している[2][3][4]NASAコンステレーション計画のために2007年から39B発射台の改修を開始していたが、2010年に同計画が中止となったため、現在は2019年12月に最初の打ち上げが予定されている[5]スペース・ローンチ・システム (SLS) での運用に向けて準備中である[6][7]。C発射台は元々アポロ計画のために建設する計画が挙がっていたが、実現することはなく、(もし建設されていたとしても)39Aと39Bの発射台の複製になっていたであろうとされる。その後、軽量級のロケットの打ち上げに対応できる、より小さな発射台となる39C発射台が2015年1月から6月までの期間に建設された[8]

NASAによるLC-39AおよびLC-39Bからの打ち上げは、発射台から約3マイル (4.8 km)離れた場所に位置する打ち上げ管制センター (LCC) から管制が行われてきた。LC-39は、東部射場 (Eastern Rangeのレーダー管制および追尾業務を共に担う、数ある発射場のうちの一つである。

歴史

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前史

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現在の第39発射施設周辺一帯の用地開発は、1890年に少数のハーバード大学出身の資産家が1エーカーあたり1ドルの地価で18,000エーカー (73 km2)の土地を購入したことに始まる。資産家たちは、後に第39A発射台が設置されることになる辺りに、クラブ会員向けに20室を備えた3階建ての木造(マホガニー製)のクラブハウスを建設した。施設内には、広い食堂、ワイン貯蔵庫、トロフィールーム、そして大量の武器や弾薬の保管庫も備え付けられていた。また、クラブハウスの上から眺める、大西洋と周囲の湿地に群がる野生生物の風景は壮観であった。1920年代に入ると、当時、水道・歩道・街灯・庭園などを完備した保養都市開発計画が推し進められていたこの土地の買い手を誘致しようと、自動車会社スチュードベーカー社の創業者の息子であったP. E. スチュードベーカーによって、カナベラル灯台の北13kmにあるデ・ソト・ビーチに小さなカジノが建てられた。発射施設が建設される以前は、用地の東側を州道A1A号線英語版が通っており、その道沿いには1885年からアメリカ沿岸警備隊の部署が置かれていた。

1948年に、アメリカ海軍はケープ・カナベラルの南に位置したバナナリバー航空基地を、ドイツから接収したV2ロケットを試験するために、空軍へと移譲した[9]。人口密集地から離れた海上へ向けて打ち上げを実行できるという目的のためには、フロリダ東海岸に面するこの基地の立地は理想的なものであった。1949年に当地は統合長射程試験基地となり、翌1950年にはパトリック空軍基地英語版と改称した。1951年、空軍はケープカナベラルの一部を北側に建て増して、空軍ミサイル試験センターとした。これが後にケープカナベラル空軍基地 (CCAFS) となる。1950年代の間は、ミサイルおよびロケットの試験と開発は当地で実施された[10]

NASAによる運用

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1958年にNASAが設立されると、マーキュリー計画ジェミニ計画などの初期のミッションで使用されたロケットは、ケープカナベラル空軍基地の発射台から打ち上げられた[11]

1961年にケネディ大統領は1960年代末までに人類をへと送り込む目標(アポロ計画)を発表した。この月探査計画の発表により、基地の運用範囲はケープカナベラルから隣接するメリット島まで拡張された[12]。NASAは早速、1962年から土地の取得を開始し、すぐさま131平方マイル (340 km2)を買い取り、さらにフロリダ州との交渉により87平方マイル (230 km2)を追加で購入した。1962年7月、当地は打ち上げ運用センター (Launch Operations Center) と命名された。当時、CCAFSに設置されていた発射台の中で最も大きな番号が振られていたのは第37発射施設であったが、月発射施設が設計されるとともに現在の名称へと改称された。

初期の設計

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発射施設のプラン - 1963年

1963年の発射施設の初期構想では、5基の発射台 (39A - 39E) が、発射台での爆発などの損害を避けるために、8,700フィート (2,700 m)間隔で均等に配置されることになっていた。そのうちの3基 (39A・39B・39C) は実際に建設する計画が持ち上がったが、残る2基は保留となった。当時、発射台の番号は北から南へと順につけられており、北端が39A、南端が39Cであった。ところが、この39Aは結局建設されることはなく、のちに当初の39Cは39Aに名称変更された。それ以後、北側が39B、南側が39Aとなっている。現在の39A・39Bの2基態勢が整ったのは1965年のことであった[13]。右図の当初計画案では、建設されなかった核組立棟 (Nuclear Assembly Building; NAB) の存在も確認できる。

初期の打ち上げ

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発射台を最初に使用することとなったのは、アポロ計画の月ミッションの一環として打ち上げることとなったサターンVロケットである。それに後れて、スカイラブ計画およびアポロ・ソユーズテスト計画 (ASTP) では、サターンIBロケットが打ち上げられた。発射台の元の構造は次期のスペースシャトルの需要に応じて改造されることになり、スカイラブを輸送したサターンVの最終打ち上げの後にLC-39Aが1973年より、アポロ・ソユーズテスト計画を終えたLC-39Bが1977年より、それぞれ改造期間に入った。

アポロ時代にはこれらは単なる発射台(発射プラットフォームに備え付けられたアンビリカル/サービスタワー)だったが、改良工事によりサターンVロケット用の発射台を使用してサターンIBロケット (すべてのスカイラブ有人ミッション、スカイラブ・レスキュー英語版、ASTP) を打ち上げることが出来るようになった。スペースシャトルに対しては、発射台に固定された(アポロ=サターン時代から残された)発射塔に、回転する可動式のプラットフォームが取り付けられ、オービタ(機体)を保護するとともに、ペイロードベイに垂直向きのペイロードを搬入することが出来るようになった[6][14]。スペースシャトル以後のNASAのコンステレーション計画に際しては、2基の発射台はアポロ計画時代に近い状態に戻される一方で、アレスIアレスVを落雷の危険から守るための避雷針が設置された。

LC-39は1967年のサターンVの打ち上げで初めて使用され、無人のアポロ4号を輸送した。2度目の無人宇宙船アポロ6号の打ち上げでもLC-39Aが使用された。LC-39B発射台を使用したアポロ10号を除いては、アポロ8号に始まるアポロ計画のすべての有人ミッションは、LC-39Aを使用して実行された。1973年のスカイラブの打ち上げ以降、LC-39Aはスペースシャトル用に再構成され、1981年のコロンビア号STS-1)の初打ち上げに使用された[15]。アポロ10号の打ち上げの後、LC-39BはLC-39Aが万一の事故などの不具合により使用できなくなった場合のバックアップ発射施設として保持された。アポロ・ソユーズテスト計画後は、LC-39Aと同様の改造が施されることとなったが、予算削減のため、1986年まで使用可能な状態になかった。そして、39Bを使用した最初のスペースシャトルの打ち上げは不幸にも打ち上げに失敗したSTS-51-Lであり、チャレンジャー号爆発事故を引き起こすこととなった。

2008年5月31日に実行されたSTS-124の打ち上げの際に、LC-39Aの発射台は、固体ロケットブースタの炎を逸らすために使用されるコンクリート製トレンチを中心に、大きな損害を受けた[16]。その後の調査により、この損害はエポキシ樹脂の炭化、およびトレンチ内部で耐火レンガを支える鉄製の錨が腐食したことによってもたらされたことが判明した。固体ロケットブースタの副産物として塩化水素ガスが排出されるという事実により、一層事態を悪化させることとなった[17]

スペースシャトル計画での運用

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シャトルの組み立て

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スペースシャトルを軌道に投入するために必要な推力は、2基の固体ロケットブースタ (Solid Rocket Booster, SRB) とスペースシャトルの3基のメインエンジン (SSME) によって生み出される。SRBはその名の通り、固体燃料を使用している。スペースシャトルのメインエンジンは、外部燃料タンク (ET) 内の液体水素液体酸素を配合して使用される。これは、オービタ本体にはメインエンジン用の燃料タンクが備わっていないためである。通常打ち上げの数ヶ月前には、スペースシャトルを構成する3つの主要な構成要素となるオービタ、SRB、外部燃料タンクがシャトル組立棟 (VAB) に運び込まれる。そこで組み立てられたスペースシャトルは移動式発射プラットフォーム (MLP) に載せられる。SRBはユタ州の製造工場からセグメント毎に鉄道で輸送され、外部燃料タンクはルイジアナ州の製造工場から船で輸送される。この間、スペースシャトル・オービタはオービタ整備施設 (OPF) で整備が進められる。VABでは、まず2基のSRBがMLP上に固定されて組み立てられる。次に外部燃料タンクがSRBに結合され、OPFからVABに移動したオービタがクレーンで吊り上げられて、外部燃料タンクに結合され、スペースシャトルの組み立てが完成する。

発射台への輸送

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第39A発射台で打ち上げを待つスペースシャトルエンデバー

組み立てが完了したスペースシャトルは、移動式発射プラットフォーム (MLP)の上に固定されたまま、クローラ・トランスポータ(無限軌道輸送車両)に載せられ、8時間近くかけて5 - 6km離れた39番発射台まで運ばれる。発射台に到着すると、MLP が支柱に固定され、クローラ・トランスポータは発射台から離れていく。なお、ペイロード(搭載物)はスペースシャトルとは別に、ペイロード輸送キャニスタの中に入れられて発射台まで運ばれる。

コロンビア号空中分解事故以降は、緊急時に備えてバックアップ用のシャトルが1-2ヶ月以内に打上げ可能になるようなスケジュールで、後続のシャトルの打上げ準備作業が進められるようになった。

音響抑制システム

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それぞれの発射台近くには、打ち上げ時に発生する騒音を抑え、機体を衝撃波から保護するために利用する大量のを溜めておく給水タンクが設置されている。この水を用いた音響抑制システム (Sound Suppression System) では、高さ88mの給水塔に1.1メガリットルの水を蓄えておき、エンジン点火直前に水を放出する。発射台への放水によってスペースシャトルのエンジンから発生する強烈な音波のエネルギーは、多くが水を振動させることに消費され残りのエネルギーが空気を振動させる。この際、放出された水は周囲の熱により大量の水蒸気となる。

発射台からの緊急避難

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万一の発射台での事故に備えて、緊急時にシャトル乗組員が迅速に避難できるように、発射施設では特別な緊急退避システムが用いられる。発射台で爆発などの事故が起きた際は、乗組員はスペースシャトル・オービタから退出して、すぐさまこの非常用のスライドワイヤー式のバスケットに駆け込んで、固定を解除する事で、射点から離れた場所にまで急降下する。その速度は最大で時速88kmにも達する。乗組員たちは地上に降りると、次に退避壕に待機させてある改良型のM113装甲兵員輸送車に乗り込み、ヘリポートへと向かう。そして、そこから離れた安全な区域へと退避する。NASAの安全規則では、乗組員以外の全職員は、打ち上げ時には発射台から十分離れた安全な場所にいなければならないことになっているため、乗組員たちには一切外部からの援助なしで避難行動をとることが要求されている。

現在の状況

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上空から39A (手前) および39Bの両発射台を望む

2011年のスペースシャトルの退役をもって[18]、2010年にコンステレーション計画の中止が発表されたことにより、約2年ほどLC-39の将来的な用途は不透明な状況が続いた。

LC-39A

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LC-39A

LC-39Aは、スペースシャトルの最後の飛行となったSTS-135ミッション以降、使用計画が未定となっていたが、2014年4月14日にスペースX社に20年間リースする調印式が行われ[19]2017年からファルコン9ファルコンヘビーの射点として使用されている[4]。2020年5月30日に有人型のドラゴン2がLC-39Aから打ち上げられ、ISSへの宇宙飛行士の有人テスト飛行に成功した(Crew Dragon Demo-2[20]。今後のISSへの商業打上げもここから行われることになる予定である[21]

LC-39B

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NASAは、2006年12月9日にSTS-116の打ち上げを行い、LC-39Bでの最終シャトルミッションを終えた。

その後、STS-125のミッションまでの期間には、STS-125を支援するためのSTS-400救援ミッションのために、エンデバーをLC-39Bに待機させた。打ち上げを休止していたこの期間に、新たに600フィート (180 m) の避雷針が3本設置された。これは、ケープカナベラル付近にあるアトラス Vデルタ IVの発射台で使用されるものと類似している。同時に、それまで設置されていた射点頂部に設置されていた1本の避雷針とクレーンが撤去された(このクレーンはアポロ時代から存在したものである)。STS-125ミッションの完了を待って、STS-400ミッションの打ち上げ待機の任務も解かれ、アレスロケットの試験機であるアレスI-Xの打ち上げが2009年10月28日にLC-39Bで実施され成功した。

アレスI-Xのフライト以降、NASAは発射台設備の大幅な刷新を実施し、液体水素液体酸素およびの貯蔵タンクのみを残して他の設備(FSSやRSS等の大型の射点構造物)を撤去した[22][23]

39B射点は2017年以降に、NASAとロッキードマーチン社が開発中のオリオン宇宙船を搭載するスペース・ローンチ・システム (SLS) の打上げに使用される予定。SLSの打上げ頻度はあまり高くないため、打上げ計画がない期間は民間企業の有人打上げに使うことも可能とNASAは説明している[21]

LC-39C

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建設

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発射台の建設は2015年1月に始まり、同年6月に完成した。ケネディ宇宙センター長のロバート・D・カバナと、地上系開発および運用 (Ground Systems Development and Operations; GSDO) 計画、中心企画および開発 (Center Planning and Development; CPD)、エンジニアリング役員からの代表者らは、2015年7月17日、完成記念式典でテープカットをして新しい発射台の完成を祝った。

ロバート・D・カバナは「アメリカ最高の宇宙港として、アメリカの打ち上げ需要に応えるため、我々は常に、新しくて革新的な方法を探し求めている。そして、欠けていた一つの区域は小さい等級のペイロードだったのである。」と述べ、「21世紀の基金を使い、我々は39C発射台を建てた。」とも述べた。

GSDOは、このプロジェクトを監督し、ケネディ宇宙センターにおいて、CPDと協働して商業宇宙活動の成長に向けて努力を払った。

「射点39Cは、我々の発射台の取り揃えに最新の追加となるものだ。」とCPD局長のスコット・コロレードは述べた。「小さい等級の市場はここにある。そのような種類の打上げ機の需要は増加している。ここで重要なのは、これは本当に小さい等級の打上げ機のための驚くべき発射場のように見える必要があるということだ。」

コンクリート製の発射台は、幅が約50フィート (15 m)、長さが約100フィート (30 m) あり、燃料を積載したローンチ・ビークル、ペイロード、顧客から提供されたものを合わせた132,000ポンド (60,000 kg) までの重量を支えることができるとされる。そして、中央の塔の構造、流体ライン、ケーブルおよび中央部分のアームは約47,000ポンド (21,000 kg) までの重さがある。

GSDOは、様々な小さな等級のロケットに液体酸素と液体メタンの燃料を供給する能力を提供するために、ユニバーサル・プロペラント・サービシング・システム (Universal Propellant Servicing System; UPSS) も開発した。このシステムは2016年の夏にも運用上の準備ができることになっている。

将来性

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ケネディ宇宙センターの最新の発射台 (LC-39C) は、小さな等級の宇宙機に対応するために設計された。LC-39B周辺の南東区域に位置するこのコンクリート製の発射台は、幅が約50フィート (15 m)、長さが約100フィート (30 m) ある。LC-39Cは多目的発射場として、民間会社がより小さい等級のロケットをテストすることができるようになっており、より小規模の会社が商業宇宙飛行の市場に参入する余裕をもたせることを可能にしている。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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