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== 歴史 ==
== 歴史 ==
人工衛星より地球を観測する試みは[[1959年]]の[[ヴァンガード (ロケット) |ヴァンガード2号]]から試みられてきたが、これらはまだ気象衛星と呼べるようなものではなかった。最初の本格的な気象衛星は、[[アメリカ航空宇宙局]](NASA)が[[1960年]]4月1日打ち上げた[[タイロス1号]]である。
人工衛星より地球を観測する試みは[[1959年]]の[[ヴァンガード (ロケット) |ヴァンガード2号]]から試みられてきたが、これらはまだ気象衛星と呼べるようなものではなかった。最初の本格的な気象衛星は、[[アメリカ航空宇宙局]](NASA)が[[1960年]]4月1日打ち上げた[[タイロス1号]]である。

人工衛星による[[台風]]観測は、初期は[[人工衛星の軌道要素#極軌道|極軌道]]を周回する「ノア型人工衛星」による赤外写真及び可視光写真、その後は[[静止軌道]]に打ち上げた気象衛星で行われている。なお、現在は水蒸気量観測も同衛星による観測が行われている。

ノア型極軌道気象衛星による観測時間間隔は、12時間毎であった。WMO条約に基づく静止気象衛星による観測時間間隔は、初期型の衛星では3時間毎、現在の衛星では1時間ごとである。


== 気象衛星による観測 ==
== 気象衛星による観測 ==

2008年10月6日 (月) 12:57時点における版

アメリカ合衆国の気象衛星GOES-8
GOES-9からの映像。ハリケーン「Felix」

気象衛星(きしょうえいせい)とは、気象観測のための人工衛星である。

気象衛星は可視光線での観測を行うカメラの他、夜間でも観測可能なように雲から放射される赤外線を観測するカメラや、水蒸気による赤外線の吸収を観測するカメラ、また海上風や降雨量を測定するためのマイクロ波散乱計などを具えている。

気象衛星は大別して 静止衛星太陽同期軌道衛星、その他の衛星がある。

静止軌道衛星

静止軌道衛星は地球から見て赤道上空に静止し、恒に同じ半球を観測する。地球全体の気象観測は世界気象機関(WMO)の地球大気観測計画GARP)の一環に基づいた5つの静止軌道衛星とその他の独自に打ち上げられた静止衛星によって行われている。

  • 東経140度:ひまわり(GMS)→ひまわり6号より(MTSAT運輸多目的衛星)

日本では、ひまわり5号が寿命を迎えたことによりアメリカ合衆国からGOES-9を借りる形で観測が行われていたが、2005年6月からはひまわり6号の運用を開始している。

地球大気観測計画

「ひまわり」は世界気象機関(WMO)と国際学術連合会議(ICSU)が共同で行なった地球大気観測計画(GARP)の一環として計画されたもので、得られた気象情報を日本国内だけでなく、東アジア・太平洋地域の多国に提供している。このプログラムに参加した衛星は以下のとおりである。

衛星の名称 運用国 静止位置 観測区域 備考
GOES-EAST アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 西経75度 南北アメリカ・西大西洋 GOES-12で運用
GOES-WEST アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 西経135度 北アメリカ西部・東太平洋 GOES-11で運用
ひまわり 日本の旗 日本 東経140度 東アジア・太平洋西部 ひまわり6号 (MTSAT-1R) で運用中
風雲 中華人民共和国の旗 中国 東経105度 中東部アジア・インド洋・西太平洋 FY-2Cにて運用中
INSAT インドの旗 インド 東経93.5度 中東部アジア・インド洋 INSAT-3Aにて運用中
Kalpana-1 インドの旗 インド 東経74度 中近東・中東部アジア・インド洋 METSAT 1より改名。運用中
METEOSAT EUMETSAT 東経63度 中西部アジア・インド洋 METEOSAT-5,2007年2月にMETEOSAT-7に移行
GOMS ロシアの旗 ロシア 東経76度 中西部アジア・インド洋 運用中止
METEOSAT EUMETSAT 東経0度 欧州・アフリカ・大西洋 METEOSAT-8,9で運用中

太陽同期軌道衛星

太陽同期軌道衛星は恒に直下の地方時が一定になるような軌道を巡っている衛星で、極軌道衛星となるので赤道上空より観測する静止軌道衛星では観測しにくい両極(北極南極)の観測を行うのに重要である。

その他

その他の衛星としては低軌道を回る衛星などがある。短時間ごとの変化を観測することができる。

  • TRMM(熱帯降雨観測衛星)

歴史

人工衛星より地球を観測する試みは1959年ヴァンガード2号から試みられてきたが、これらはまだ気象衛星と呼べるようなものではなかった。最初の本格的な気象衛星は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が1960年4月1日打ち上げたタイロス1号である。

人工衛星による台風観測は、初期は極軌道を周回する「ノア型人工衛星」による赤外写真及び可視光写真、その後は静止軌道に打ち上げた気象衛星で行われている。なお、現在は水蒸気量観測も同衛星による観測が行われている。

ノア型極軌道気象衛星による観測時間間隔は、12時間毎であった。WMO条約に基づく静止気象衛星による観測時間間隔は、初期型の衛星では3時間毎、現在の衛星では1時間ごとである。

気象衛星による観測

気象衛星に搭載される観測機器は運用する国によって異なるものの、主に次の種類に分けられる。

イメージャー観測
光学系を主とした観測機器で、地球の画像を観測する。天気予報などで目にする衛星からの雲画像は、この光学系観測による。
サウンダー観測
ある一定の波長帯の電磁波を捉えて、鉛直構造、あるいは精度の高いオゾンなどのガスを観測する。静止気象衛星の系統では、アメリカのGOESに搭載されている。極軌道衛星の多くには、特定の波長帯の電波を発射し、その強度から水蒸気や風、オゾンなどの分布を観測する。
宇宙環境監視システム
GOESはSEM、SXIイメージャーが搭載されている。静止軌道上において、太陽から到来するX線や、高 / 低エネルギー荷電粒子磁力陽子、太陽を直接撮影して、地球上の電離層擾乱や衛星の運用警報、さらには宇宙船外活動などに役立てることを目的としている。かつてGMS-4まで、宇宙環境モニターを観測していた(現在、GMS-5、MTSATには装備されていない)。
現在、世界気象機関(WMO)では静止気象衛星にサウンダーによる観測装置を積むことが決議されているので、日本もMTSAT-2後の衛星で搭載される見通しである。

観測スケジュールは、日本、アメリカ、ヨーロッパ気象衛星観測機構などで公開されている。主だった観測スケジュールは特にことわりがない限り、次の通り(全球観測):

  • 毎時:日本(MTSAT)、中華人民共和国(FY-2)
  • 3時間毎:アメリカ(GOES)、ヨーロッパ(METEOSAT-8/9)、インド(kalpana)
  • 6時間毎:ヨーロッパ(METEOSAT-5/7 インド洋上空)

関連項目

外部リンク