「ヴィーナスとキューピッド (クラナッハ、エルミタージュ美術館)」の版間の差分
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1507年に、ドイツ・ルネサンス絵画の巨匠[[アルブレヒト・デューラー]]は、[[アルプス山脈|アルプス]]以北で最初の油彩によるルネサンス的裸体画『[[アダムとイヴ (デューラーの絵画)|アダムとイヴ]]』 ([[プラド美術館]]) を描いた<ref name="ReferenceMT">『名画への旅 第10巻 美はアルプスを越えて 北方ルネサンスII』、1992年、34頁。</ref>。その2年後に描かれた本作もドイツ・ルネサンス期の裸体画として最初期のものの1つであり、女神ヴィーナスの脚部の形態や小石の散らばった地面の描写、ならびに構図においてデューラーの『アダムとイヴ』に影響を受けている<ref name="WG" /><ref name="CT2">『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、168貢。</ref>。一方、本作はクラナッハが描いた一連のヴィーナス像の中で一番最初の作品であると同時に、アルプス以北でヴィーナスを裸体で描いた作品としても最初のものである{{R|"HM"|"CT"|"CT2"}}<ref name="ReferenceNHK2">NHK エルミタージュ美術館 3 近代絵画の世界、1989年、163頁。</ref><ref name="CT3">『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、128貢。</ref>。 |
1507年に、ドイツ・ルネサンス絵画の巨匠[[アルブレヒト・デューラー]]は、[[アルプス山脈|アルプス]]以北で最初の油彩によるルネサンス的裸体画『[[アダムとイヴ (デューラーの絵画)|アダムとイヴ]]』 ([[プラド美術館]]) を描いた<ref name="ReferenceMT">『名画への旅 第10巻 美はアルプスを越えて 北方ルネサンスII』、1992年、34頁。</ref>。その2年後に描かれた本作もドイツ・ルネサンス期の裸体画として最初期のものの1つであり、女神ヴィーナスの脚部の形態や小石の散らばった地面の描写、ならびに構図においてデューラーの『アダムとイヴ』に影響を受けている<ref name="WG" /><ref name="CT2">『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、168貢。</ref>。一方、本作はクラナッハが描いた一連のヴィーナス像の中で一番最初の作品であると同時に、アルプス以北でヴィーナスを裸体で描いた作品としても最初のものである{{R|"HM"|"CT"|"CT2"}}<ref name="ReferenceNHK2">NHK エルミタージュ美術館 3 近代絵画の世界、1989年、163頁。</ref><ref name="CT3">『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、128貢。</ref>。 |
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9等身に近いヴィーナスの後ろでは、キューピッドが愛の矢をつがえて、虎視眈々と鑑賞者を狙っている。ヴィーナスの頭上には、[[ラテン語]]で「ヴィーナス (愛欲) の虜とならぬよう、キューピッドに心せよ」という意味の語句が記されている<ref name="WG" /><ref name="HM" /><ref name="ReferenceNHK2 />。 |
9等身に近いヴィーナスの後ろでは、キューピッドが愛の矢をつがえて、虎視眈々と鑑賞者を狙っている。ヴィーナスの頭上には、[[ラテン語]]で「ヴィーナス (愛欲) の虜とならぬよう、キューピッドに心せよ」という意味の語句が記されている<ref name="WG" /><ref name="HM" /><ref name="ReferenceNHK2" />。 |
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クラナッハは色数を抑え、美しく、しなやかなヴィーナスとキューピッドの身体の造形に焦点を当てており、単純で線的な輪郭を持つ彼らの身体像は黒い背景の中、荘厳に浮かび上がっている<ref name="HM" /><ref name="ReferenceNHK2 />。画面の中で明るい部分は、ヴィーナスの首に掛かる[[トルコ石]]の[[ビーズ]]とキューピッドの首に掛かる赤いビーズである。ヴィーナスの引き伸ばされた身体像は、画家後期の作品に典型的な人物像を予期する<ref name="HM" />。 |
クラナッハは色数を抑え、美しく、しなやかなヴィーナスとキューピッドの身体の造形に焦点を当てており、単純で線的な輪郭を持つ彼らの身体像は黒い背景の中、荘厳に浮かび上がっている<ref name="HM" /><ref name="ReferenceNHK2" />。画面の中で明るい部分は、ヴィーナスの首に掛かる[[トルコ石]]の[[ビーズ]]とキューピッドの首に掛かる赤いビーズである。ヴィーナスの引き伸ばされた身体像は、画家後期の作品に典型的な人物像を予期する<ref name="HM" />。 |
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== ギャラリー == |
== ギャラリー == |
2024年5月29日 (水) 00:01時点における最新版
ロシア語: Венера и Амур 英語: Venus and Cupid | |
作者 | ルーカス・クラナッハ |
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製作年 | 1509年 |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 213 cm × 102 cm (84 in × 40 in) |
所蔵 | エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルグ |
『ヴィーナスとキューピッド』(露: Венера и Амур、英: Venus and Cupid)は、ドイツ・ルネサンス期の画家ルーカス・クラナッハ (父) が1509年に油彩で制作した絵画である。板上に描かれたが、キャンバスに移し替えられている[1][2]。クラナッハが描いた神話主題の最初の作品で[2][3]、等身大のヴィーナスとキューピッドを表している[4]。作品は、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に所蔵されている[1][2]。
作品
[編集]1507年に、ドイツ・ルネサンス絵画の巨匠アルブレヒト・デューラーは、アルプス以北で最初の油彩によるルネサンス的裸体画『アダムとイヴ』 (プラド美術館) を描いた[5]。その2年後に描かれた本作もドイツ・ルネサンス期の裸体画として最初期のものの1つであり、女神ヴィーナスの脚部の形態や小石の散らばった地面の描写、ならびに構図においてデューラーの『アダムとイヴ』に影響を受けている[2][6]。一方、本作はクラナッハが描いた一連のヴィーナス像の中で一番最初の作品であると同時に、アルプス以北でヴィーナスを裸体で描いた作品としても最初のものである[3][4][6][7][8]。
9等身に近いヴィーナスの後ろでは、キューピッドが愛の矢をつがえて、虎視眈々と鑑賞者を狙っている。ヴィーナスの頭上には、ラテン語で「ヴィーナス (愛欲) の虜とならぬよう、キューピッドに心せよ」という意味の語句が記されている[2][3][7]。
クラナッハは色数を抑え、美しく、しなやかなヴィーナスとキューピッドの身体の造形に焦点を当てており、単純で線的な輪郭を持つ彼らの身体像は黒い背景の中、荘厳に浮かび上がっている[3][7]。画面の中で明るい部分は、ヴィーナスの首に掛かるトルコ石のビーズとキューピッドの首に掛かる赤いビーズである。ヴィーナスの引き伸ばされた身体像は、画家後期の作品に典型的な人物像を予期する[3]。
ギャラリー
[編集]-
ルーカス・クラナッハ『ヴィーナスに訴えるキューピッド』、ナショナル・ギャラリー (ロンドン)、1526-1527年
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ルーカス・クラナッハ 『ヴィーナスとキューピッド』、絵画館 (ベルリン)、1530年
脚注
[編集]- ^ a b NHK エルミタージュ美術館 3 近代絵画の世界、1989年、164頁。
- ^ a b c d e “Venus and Cupid”. Web Gallery of Artサイト. 2024年4月27日閲覧。
- ^ a b c d e “Venus and Cupid”. エルミタージュ美術館公式サイト. 2024年4月27日閲覧。
- ^ a b 『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、130貢。
- ^ 『名画への旅 第10巻 美はアルプスを越えて 北方ルネサンスII』、1992年、34頁。
- ^ a b 『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、168貢。
- ^ a b c NHK エルミタージュ美術館 3 近代絵画の世界、1989年、163頁。
- ^ 『クラーナハ展500年後の誘惑』、2016年、128貢。
参考文献
[編集]- 『クラーナハ展500年後の誘惑』、国立西洋美術館、ウィーン美術史美術館、TBS、朝日新聞社、2016年刊行 ISBN 978-4-906908-18-9
- 五木寛之編著『NHK エルミタージュ美術館 3 近代絵画の世界』、日本放送出版協会、1989年刊行 ISBN 4-14-008625-4
- 高橋達史・高野禎子責任編集『名画への旅 第10巻 美はアルプスを越えて 北方ルネサンスII』、講談社、1992年刊行 ISBN 4-06-189780-2