Wikipedia‐ノート:スリー・リバート・ルール/改稿案 20220313
この文書の要旨:
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スリー・リバート・ルール (英語: three-revert rule、略称 3RR) とは、「24時間以内に3度を超えて同じページ上で差し戻し (リバート) をしてはならない」という、編集合戦を未然に防ぐことを目的としたウィキペディア日本語版のガイドラインです。
編集合戦は、他者の編集の取り消しや差し戻しを繰り返した際に発生します。3RRはこれを水際で防ぐためのルールであり、違反する編集は編集合戦予備軍と見做され、Wikipedia:管理者伝言板/3RRへの報告対象となり、投稿ブロックの方針により一定期間のブロックの対象となります。3RR違反の延長線上にある編集合戦にまで差し戻し合いが発展した場合、保護の方針により対象記事が全保護となったり、3RR違反の場合よりも長期の投稿ブロック措置が取られます。
3RRを適用する際の注意点として、本ガイドラインは「24時間以内」「3度」「同じ記事」という具体的な基準を掲げていますが、これらはあくまでも編集合戦の抑止が目的の相対的な目安にすぎないことに注意してください。3つの条件を完全に満たしていない場合でも、編集合戦に繋がりかねない、または編集合戦を引き起こしているとみなされる差し戻しを行った利用者は注意やブロックの対象となります。逆に、3つの条件を満たしていても本質的に編集合戦とは無関係のもの、編集合戦を回避する意思が見られるもの、または本項で例示する特殊なケースに該当するものは問題視されません。重要なのは編集合戦に繋がりうる差し戻しはしないことであり、編集の取り消しなどが必要と思える場合であっても、差し戻しは1回のみに留めることを強く推奨します。
編集内容を巡って対立が起こった場合、ウィキペディアでは対話による解決が望まれています(Wikipedia:論争の解決、Wikipedia:合意形成)。たとえ相手の編集があなたにとって取るに足らない誤った内容であったとしても、その編集を巡った差し戻し合戦は許容されません。記事のノートや相手の会話ページで議論を行い、対立の解消(合意)を目指してください。編集合戦は相手だけの問題ではなく、両者の問題です。
3RR
基本ルール
スリー・リバート・ルール自体は、「24時間以内に3度を超えて同じページ上で差し戻し (リバート) をしてはならない」という非常に単純なものです。例として、同じ記事上で24時間以内に以下のようなやり取りが起こった場合、3RRの違反となります。
- Aが編集する
- BがAの編集を差し戻す(B差し戻し1回目)
- AがBの差し戻しを差し戻す(A差し戻し1回目)
- Bが再度差し戻す(B差し戻し2回目)
- Aが再度差し戻す(A差し戻し2回目)
- Bが再度差し戻す(B差し戻し3回目)
- Aが再度差し戻す(A差し戻し3回目)
- Bが再度差し戻す(B差し戻し4回目)→3RR違反
この場合、当事者がWikipedia:管理者伝言板/3RRに報告されたり、気がついた管理者が任意で投稿ブロックやページの保護などの措置をとります。
ただし、以下の点に十二分に注意してください。
- 3RRは、3回までの差し戻しであれば許容するルールではありません。
- 3RRは、4回目の差し戻しを行った利用者を一方的に投稿ブロックするためのルールではありません。
- 3RRは、3回以内に差し戻しを留めている利用者を放免するルールではありません。
上記の例で喩えるならば、編集者Aは編集者Bがさらなる差し戻しをする火種を作っている点で、3RRに違反している編集者Bと同様に非難されるべきものです。(編集者Aが差し戻しをしなければ、編集者B側も差し戻しをできません。) 3RRは、編集合戦を防ぐためのルールであることを忘れないでください。本ガイドラインは、厳密な3RRの違反がなくとも、編集合戦と同じデメリットをもたらす差し戻しを否定します。
よって、以下のような、厳密には3RR違反に該当しない編集に対しても、管理者は投稿ブロックやページの保護などの措置を取ることができます。
- 24時間を超えた、散発的な中・長期の差し戻し合戦
- 同一利用者による、複数記事にまたがる差し戻し合戦
- 不適切な差し戻しを指摘された後のさらなる差し戻し (指摘前の差し戻し回数は不問)
また、ここでいう編集合戦には以下のような場合も含まれます。
- 移動とその差し戻しの繰り返し (移動合戦)
- 削除とその復帰の繰り返し、または削除前の問題記事の再投稿の繰り返し (削除合戦)
ただし、3RRは個々の編集者ごとの対立を念頭に置いており、不特定多数の場合には適用されません。一方、3RRを回避するために多重アカウントを用いた場合、あるいは集団(チーム)が個々に差し戻しを行った場合は、3RRとは別の観点から投稿ブロックの対象になります(Wikipedia:多重アカウント、Wikipedia:タッグチーム)。同様に、「3RR違反がない=ある差し戻しが適切なものである」ということも意味しません。不適切、不誠実な差し戻しは、3RR以外の別のルールによる対処の対象となり、3RR本来の主旨を捻曲して引用することは、規則の悪用にあたります(Wikipedia:規則の悪用)。
「差し戻し」とは
本ガイドラインにおける差し戻し(リバート)とは、他者の編集を一部であるか全部であるかを問わず、元に戻す行為をいいます。ウィキペディアには任意の版の編集を差し戻す「取り消し」という機能があり、3RRや編集合戦でよく用いられるものですが、これに限らず、通常編集で元に戻した場合も差し戻しに該当します。差し戻しの際、いくつかの単語の加除を伴っていようと、他の変更を同時に行っていようと、他者の編集を元に戻しているならば、差し戻しと見なされます。複雑なケースでは、新しい文章をつけ加えつつ、論争のある文章のみは (それが除去であろうと加筆であろうと) 差し戻すということもあります。これはしばしば、差し戻しではないという偽装として用いられますが、このタイプの編集も3RRのカウント対象に含みます。
ウィキペディアでは、特定の編集を元に戻す行為を(誤用も含めて)「差し戻し」「リバート」「取り消し」「巻き戻し」と多様に呼びますが、3RRの判定においてはどれも同じものとします。
3RR違反及び編集合戦を回避するには
記事における編集合戦の大きな原因は、編集内容に関する利用者間の意見の不一致です。このような場合、一番避けなければならないのは要約欄で自己意見を投げるのみの差し戻し合戦です。このような意見の不一致が認められた場合、まずはその記事のノートか、相手方の利用者会話ページにおいて編集内容について議論をし、意見交換が終了してから記事の編集を行いましょう。どうしても議論がまとまらない場合は、合意形成のためのコメント依頼を提出するのもよいでしょう。意見の不一致が起きた場合は、「差し戻し」ではなく「対話」が第一の選択肢でなければなりません。
もちろん、中にはわざわざノートや会話ページで対話するまでもなく、明らかに誤りや問題だと言えるものもあるでしょう。しかし、そうした考えに基づいて差し戻したあなたの編集が、相手によって再度差し戻された場合は、慎重になるべきです。あなたにとって取るに足らない誤った内容であったとしても、相手はそうは思っていない可能性が高いです。このような場合に、対話の努力をせず、編集合戦を引き起こすことは認められません。
また、あなたの差し戻し編集に他者が異を唱える可能性が高いことが想像できるときは、最初から差し戻しではなく、対話の選択肢を取ることも重要です。差し戻しの数自体は1回や、あるいは0回でも構わないのです(ワン・リバート・ルール、ゼロ・リバート・ルール)。
また、上記の通り、当事者以外の第三者が差し戻しを行う場合は原則として3RRを適用しませんが、十分に注意を払う必要があります。善意の編集を差し戻す場合は、差し戻しの理由を明らかにした上で、ノートページでの議論に誘導し、論争の解決を試みてください。黙って差し戻してしまうと、あなた自身が編集合戦や破壊行為に加担する結果になりかねません。
荒らし対応で3RRが懸念される場合
荒らしを発見した場合の基本的な対処として、まずは差し戻しを行って原状回復すること自体は問題ありません。ただし、荒らしの中には、その差し戻しを荒らしのある版へ差し戻してくる者がいます。こうした場合に再度の差し戻しを行っても、荒らし側もまた差し戻しを行うのが普通であり、結果として、非常に不毛な荒らしとの差し戻し合戦が発生します。(ひどいものは、たとえ相手方が明白な荒らしであっても、「過度の編集合戦」としてブロックの対象となります。)
荒らし利用者は自身に対する他者の反応を面白がるものであり、荒らしに対する執拗な差し戻しは、荒らしの餌となります。ウィキペディアの性質上完全には不可能ですが、荒らしへの最も有効な対処法は「無視」である(Wikipedia:認識を拒絶する)ことを強く念頭に置き、荒らしが楽しむ隙を与えずに迅速に編集不可能な状態に追いやってください(これには管理者の助けが必要です)。
よって、荒らしの内容如何を問わず(たとえ明白な誹謗中傷やプライバシー侵害といった内容のものであっても)、原則として以下の手順で対処してください(手順の1, 2は前後しても構いません)。
- 荒らし編集を差し戻す
- Wikipedia:管理者伝言板/投稿ブロックに報告する
- 荒らしが差し戻しをしてきても無視する
- 管理者が荒らしをブロックする
- 改めて荒らしの編集を差し戻す (必要に応じて即時版指定削除タグの貼り付けや削除依頼も行う)
注意点として、既に他の利用者により差し戻しが行われ、それが荒らしにより差し戻されている場合は、差し戻しは行わないのが最善です。
また、荒らしが可変IPや多重アカウントの場合、追加で以下の対応も必要な場合があります。
- Wikipedia:保護依頼で記事の保護を依頼する
- 管理者が記事を保護する
- 改めて荒らしの編集を差し戻す
差し戻しをしてくる荒らしへの対応として重要なのは、その行動をまずは封じることです。差し戻しは荒らしに対する抑止力にならず、荒らしの抑止力となるのは、管理者にのみ可能な投稿ブロックまたはページの保護のみです。荒らしとの編集合戦は有害無益のため、通常の場合と同様、荒らしの差し戻しも1回のみに留めることを意識してください。
また、もしこうした適切な対処方法を知らないと思われる利用者が荒らしと編集合戦を行っている場面を目撃した場合は、その利用者の会話ページなどで、このガイドラインにある適切な対処方法を教えてあげてください。
3RRの例外とするもの
慣習的に下記の例では3RRを適用しません。ただし、管理者伝言板や保護依頼を活用するなど、差し戻し以外による対応が可能かの検討が求められます。
荒らし対応
原則として、荒らしの差し戻しは3RRにカウントしません。しかし、これは荒らしと編集合戦を行っても良いという意味ではありません。また、3RRに関係なく、荒らしではない編集を荒らしと決めつけて差し戻してはいけません(Wikipedia:荒らし)。
ただし、荒らし利用者がブロックされた後の破壊編集の差し戻しは、どのような場合も3RRの例外となります。
荒らし投稿の差し戻しに関する詳細は#荒らし対応で3RRが懸念される場合を参照してください。
存命人物に対する中傷的記述の対処
存命人物の伝記 (BLP) の方針に違反する記述(すなわち、誹謗中傷、プライバシー侵害、信頼できる出典の提示がない批判的な内容など)を、差し戻しないし除去することは3RRの例外になります。しかし、BLPに基づく除去は、それ自体がしばしば論争に繋がり、(特に公人の場合)その記述は適切と判断される場合もあります。BLP関連の差し戻しが3RRの例外となるのは、明白な違反がある場合のみであることに注意してください。明白とは言えないのであれば、通常のWikipedia:論争の解決の手順に従い対処してください。1つの判断材料として、過去にノートや削除依頼などで不適切と判断された記述を差し戻しにより除去することは、3RRの例外適用の最たるものとなります。
重大なBLP違反はWikipedia:削除の方針のケースB2に該当するため、単純な差し戻しだけではなく、削除依頼による手続きも行ってください。また、同様の問題編集を繰り返す利用者に対しては、再度差し戻しをするのではなく、荒らしと同じように管理者伝言板への報告またはページの保護での対処が最善です。
自己差し戻し
自身の編集を差し戻す行為は、原則として3RRの適用対象外となります。しかし、編集内容の事前調査やプレビュー機能を活用することによってある程度防ぐことができます。実際に編集を行う前に、利用者サンドボックスで下書きを作成するのも非常に効果的です。連続投稿を減らすようにお願いするためのテンプレートなども存在するため、(特に自己差し戻しを含む) 投稿は無いように努めるのが望ましいでしょう。
利用者名前空間
3RRは、原則的に自身の利用者ページ (関連する会話ページとサブページを含む) 上での差し戻しに対しては適用されません。利用者は利用者ページを所有してはいませんが、利用者名前空間はプロジェクトに関連した目的のもと、利用者自身のものであるという原則があるからです。利用者名前空間における差し戻しであっても3RRが適用される例外としては、管理者によってある利用者がソックパペットとして認定されたのち、ソックパペット用タグが絶えずその利用者によって剥がされた場合などがあります。別の例外は、まだ有効な警告を会話ページから繰り返し除去する行為です。これらの状況下では、3RRが適用されます。
通常、アーカイブ化を除いて、会話ページから (個人攻撃の除去以外の) コメントを取り除くことは不作法であると考えられています。Wikipedia:ノートページのガイドラインも参照してください。
通知が主目的の取り消し
上記の通り、編集者間に対立が起こったときは、ノートや会話ページでの対話による解決が望まれます。しかし、アカウントの種別や環境、設定によっては、そうした対話の働きかけに相手が気づかない場合があります。特にノートでの議論展開は、記事をウォッチリストに入れていなければわからないことはありえます。
そうした場合、あえて再度の取り消しを行い、編集要約から相手を議論場所に誘導することができます。合わせて「編集合戦回避のためにこれ以上は自分からは取り消しをしない」という旨を宣言すれば、その差し戻し編集は編集合戦を回避しようとして行っているものだと周りにも理解してもらえるでしょう。3RRの目的は編集合戦の防止にあるため、このような場合は3RRの例外となります。
この方法が有効である1つの理由は、相手が履歴から「取り消し」機能を使って差し戻しをしている場合、必ずあなたの差し戻し版の要約を目にするからです。同時に、相手の「議論に気づかなかった」という言い訳を塞ぐ手立てにもなります。
3RRの実施にあたって
副次的な目的
- ウィキペディアの品質向上のためのイロハを理解しない利用者の教育
- 具体例の提示による、利用者間の共通理解の構築
特記事項
- 3RR方針への違反は、Wikipedia:管理者伝言板/3RRへ掲示することで、管理者と該当利用者の情報を共有できます。
- 過度の差し戻しによる破壊行為は、Wikipedia:管理者伝言板/投稿ブロックへ掲示することで、管理者と該当利用者の情報を共有できます。
- 不適切な差し戻しを繰り返し行う利用者に対して、コメント依頼や投稿ブロック依頼を提出できます。
- 3RR違反ののちブロックされた利用者に十分な反省が見られる場合、管理者は裁量によってブロックを解除できます。
論争に管理者が関わっている場合
管理者は自分自身が記事内容の議論に関わっている場合、差し戻しの相手方を3RRを理由にして投稿ブロックしてはなりません。その代わり、Wikipedia:管理者伝言板/3RRに掲示して他の管理者の判断を仰ぐべきです。ただし、相手が荒らしやスパムの場合はこの限りではありません。
3RR違反をしてしまった場合
まだブロックされていない場合
もし、誤って3RR違反してしまったと自覚した、あるいは他の利用者から3RR違反を指摘された場合、まず当然のことながらそれ以上の差し戻しはしないでください。続いて、既にノートや会話ページで議論が始まっている場合は、それに参加し、これ以上は差し戻しをしないと宣言してください。議論がまだ始まっていなければ、自分から議論を開始してください。既にWikipedia:管理者伝言板/3RRに報告されていれば、同様に、これ以上は差し戻しをしないと宣言してください。
この対処を行えばブロックされないという確実な保証はありませんが、反省の態度が受け入れられれば、ブロック対処が見送りになる可能性はあるかもしれません。
3RR違反でブロックされた場合
まず、ブロック理由が本当に3RR違反であるか確認してください。ブロック理由に「編集合戦」とある場合は、必ずしも3RR違反とは限りません。3RR違反以外でのブロックの場合は、その規定での対処に従ってください。
3RR違反でのブロックと確認できた場合は、24時間かそれに近い期間内に、3度を超える差し戻し、または不適切な差し戻しの繰り返しを実際に行ったかを確認してください。
- 行ったならば、自身の利用者会話ページにて弁解を行うか、ブロックした管理者または他の管理者にメールを送り、誤りを認めてブロック解除してもらうよう頼んでください (当然、解除されないかもしれません) 。
- 行っていないならば、自身の利用者会話ページにてブロック対処の正当性についての検討を求めるか、ブロックした管理者または他の管理者にメールを送り、礼儀正しくその事実を指摘して、ブロックを解除するよう頼んでください。
基本的にブロックした管理者を公然と非難しても、コミュニティがそれに同意し、ブロックが解除される可能性は非常に低いことに注意してください。もし、本当に管理者によるブロック対処に重大な瑕疵があったならば、管理者の罷免といった措置が検討されることになります。
関連項目
- Wikipedia:編集合戦
- Wikipedia:エチケット
- Wikipedia:腕ずくで解決しようとしない
- Wikipedia:管理者伝言板/3RR
- en:Wikipedia:Edit warring#The three-revert rule
- Wikipedia:認識を拒絶する
- Wikipedia:差し戻し・ブロック・無視