利用者:JuthaDDA/ジャズ・スタンダード関連下書き
「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングズ」(“Just One of Those Things”)は、1935年のミュージカル『ジュビリー』のためにコール・ポーターが作詞・作曲した楽曲[1]。邦題は「よくあることさ」[1]「よくあることよ」[1]「そんなことなの」[2]「ただひとつのもの」[3]「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」[2]とも。
作詞・作曲の経緯
ポーターは、1935年初頭の長期海上クルージングの間に『ジュビリー』のための作曲を終えていた。しかし同年9月にオハイオ州の友人の農場を訪れているとき、同行者で『ジュビリー』の台本作者であるモス・ハートから、第2幕に1曲足りないと言われたポーターは、翌朝までに本楽曲を書き上げた。なお、“Just One of Those Things”という題名は、1930年のミュージカル『ザ・ニューヨーカーズ』のために作曲してお蔵入りになった曲にも使われているが、両曲には題名以外に関係はない[4]。ポーターのオリジナル歌詞にはa trip to the moon on gossamer wings
という一節には形容詞が欠けており、gossamer
の語は友人のEd Tauchの案によって後日付け加えられたものである[5]。
劇中歌として
『ジュビリー』は1935年10月12日の初演のあと169回の公演をおこなった[6]。この公演ではジューン・ナイトとチャールズ・ウォルタースが本楽曲を歌唱している[2][6]。映画においても繰り返し取り上げられており、
- レナ・ホーン(『パナマ・ハッティ』、1942年)
- ジニー・シムズ(『夜も昼も』、1946年)
- ドリス・デイ(『ブロードウェイの子守唄』、1951年)
- ペギー・リー(『ジャズ・シンガー』、1952年)
- フランク・シナトラ(『ヤング・アット・ハート』、1954年)
- モーリス・シュヴァリエ(『カンカン』、1960年)
- マデリーン・カーン(『アット・ロング・ラスト・ラブ』、1975年)
による歌唱が挙げられる[7]。
録音史
リチャード・ヒンバーによる1935年の録音はチャートの10位に、ペギー・リーによる1952年の録音もビルボード・チャートの14位にランク・インしている[8][6]。
主な録音
リーダー/ヴォーカル | 収録アルバム | 録音年 | 推薦者 |
---|---|---|---|
フランク・シナトラ[1](Vo.) | スイング・イージー | 1954[9] | CDジャーナル (2004) |
バド・パウエル(Pf.) | The Complete Bud Powell on Verve | 1955 | Baerman (n.d.) |
アート・テイタム(Pf.[10]) | ジ・アート・テイタム・トリオ | 1956[10] | CDジャーナル (2004) |
ソニー・クリス(A.Sax) | ソニー・クリス・プレイズ・コール・ポーター | 1956[11] | CDジャーナル (2004) |
マックス・ローチ(Dr.) | マックス・ローチ・プラス・フォー | 1956 | Baerman (n.d.) |
ギル・エヴァンス(Pf.[12]) | ギル・エヴァンス&テン | 1957 | |
ルイ・アームストロング(Vo.・Tp.) | ルイ・アームストロング・ミーツ・オスカー・ピーターソン | 1957 | Baerman (n.d.) |
キャノンボール・アダレイ(A.Sax[13]) | シングス・アー・ゲッティング・ベター | 1958 | Baerman (n.d.) |
アニタ・オデイ(Vo.) | スウィングズ・コール・ポーター・ウィズ・ビリー・メイ | 1959[14] | CDジャーナル (2004) |
デイヴ・ブルーベック(Pf.) | エニシング・ゴーズ | 1965 - 1966[15] | CDジャーナル (2004) |
清水靖晃(T.Sax[16])&サキソフォネッツ | 北京の秋 | 1983[16] | CDジャーナル (2004) |
ハリー・アレン(T.Sax) | テナーズ・エニワン | 1996[17] | CDジャーナル (2004) |
そのほかの主な録音としては以下のミュージシャンによるものも挙げられる[要出典]。
出典
- ^ a b c d 小学館 n.d.
- ^ a b c CDジャーナル 2004.
- ^ “Just One Of Those Things/ただひとつのもの”. ヤマハミュージックデータショップ. ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス. 2021年12月8日閲覧。
- ^ Schwartz 1992, pp. 144 & 307.
- ^ McBrien 2000, p. 183.
- ^ a b c Wilson n.d.
- ^ Jasen 2002, p. 111.
- ^ Whitburn 1986, p. 535.
- ^ “Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May”. AllMusic. NetAktion. 2021年12月8日閲覧。
- ^ a b “ジ・アート・テイタム・トリオ”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. ユニバーサルミュージック (c. 2013). 2021年12月8日閲覧。
- ^ “ソニー・クリス・プレイズ・コール・ポーター”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク. 2021年12月8日閲覧。
- ^ “Gil Evans & Ten | Credits”. AllMusic. NetAktion. 2021年12月8日閲覧。
- ^ “シングス・アー・ゲッティング・ベター+2[SHM-CD]”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. ユニバーサルミュージック. 2021年12月8日閲覧。
- ^ Turner, John Frayn (2004). Frank Sinatra. Taylor Trade Publishing. p. 85. ISBN 1-58979-145-2
- ^ “エニシング・ゴーズ”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク. 2021年12月8日閲覧。
- ^ a b “清水靖晃&サキソフォネッツ / 北京の秋〔UHQCD〕”. NIPPON COLUMBIA CO., LTD.. 日本コロムビア (c. 2017). 2021年12月8日閲覧。
- ^ “Tenors Anyone?”. AllMusic. NetAktion. 2021年12月8日閲覧。
参考文献
- Whitburn, Joel (1986). Joel Whitburn’s Pop Memories 1890-1954. Wisconsin, USA: Record Research Inc. ISBN 0-89820-083-0
- Schwartz, Charles (1992). Cole Porter - a biography (2nd paperback printing ed.). New York: Da Capo Press. ISBN 978-0-306-80097-9
- McBrien, William (2000). Cole Porter (1st Vintage Books ed.). New York: Vintage Books. ISBN 0-679-72792-2
- Jasen, David A. (2002). A Century of American Popular Music — 2000 Best‐loved and Rememberd Songs (1899 – 1999). Routledge. ISBN 0-415-93700-0
- CDジャーナル 編「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングズ」『ジャズ・スタンダード名曲徹底ガイド』 上、音楽出版社〈CDジャーナルムック — 名曲コレクション〉、2004年7月、109頁。ISBN 4-900340-93-6。
- “Just One of Those Things (1935)”. JazzStandards.com. 2021年12月8日閲覧。
- Wilson, Jeremy. “Origin and Chart Information”.
- Baerman, Noah. “Recommendations for This Tune”.
- Burlingame, Sandra. “Recommendations for This Tune”.
- Luthro, Jon. “Recommendations for This Tune”.
- 「よくあることさ」『デジタル大辞泉プラス』、小学館(『コトバンク』、VOYAGE MARKETING)。2021年12月8日閲覧。
外部リンク
- {{AllMusic}}テンプレートでIDを指定していないかウィキデータに入力していません。
- Just One of Those Things - SecondHandSongs
- Just One of Those Things - Geniusの歌詞ページ