ブラック企業
ブラック企業(ブラックきぎょう)またはブラック会社(ブラックがいしゃ)とは、「新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業」[1](今野晴貴による定義)[1]を指す。「従業員の人権を踏みにじるような全ての行為を認識しつつも適切な対応をせずに放置している企業」との指摘もある[2]。対義語はホワイト企業。
英語では劣悪な労働環境・労働条件の工場をスウェットショップ(sweatshop)という[3]。ただ、日本語の「ブラック企業」は工場での非正規労働者のみを念頭に置いた語ではない。
語義
日本語の「ブラック企業」の由来には求人広告業界の隠語や、パソコン通信時代のネットワークコミュニティからなど諸説ある。2008年には書籍『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』が出版され、翌2009年に映画化、2013年には「ブラック企業」が新語・流行語大賞を受賞し、NPO法人POSSE代表で一橋大学大学院生の今野晴貴が授賞式に出席した。
将来設計が立たない賃金(貧困、ワーキングプア)で私生活が崩壊するサービス残業(長時間労働)を強制し、なおかつ若者を「使い捨て」るところに「ブラック」といわれる所以である[4]。
英語では劣悪な労働環境・労働条件の工場をスウェットショップ(英: Sweatshop)(英語版記事)という[3]。また、中国語では血汗工場(中: 血汗工廠)(中国語版記事)という。ただし、英語圏でのスウェットショップや中国語圏での血汗工場の問題とはまた異なり、ブラック企業問題の被害の対象は主に正社員であった[5]のだが、2013年に中京大学教授・大内裕和が提唱した、非正規労働者が被害者となるブラックバイトという派生語も登場している。
なお、日本以外の工場非正規雇用労働者の事例にも「ブラック企業」の語が用いられることがある[6][7]。
日本のブラック企業問題
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
元々は暴力団などの反社会的団体との繋がりを持ち、違法行為を繰り返す会社を指していたが、近年では労働基準法や関連法令を無視し、あるいは法の網や不備を悪用して従業員に長時間労働やサービス残業などを強制する企業を主に指す[PR 1]。
ブラック企業は突如として現れたのではなく、日本型雇用が変容する過程で台頭してきた[8]。従来の日本型雇用においては、単身赴任や長時間労働にみられる企業の強大な指揮命令が労働者に課される一方で、年功賃金や長期雇用、企業福祉が保障されてきた。しかし、ブラック企業では見かえりとしての長期雇用保障や手厚い企業福祉がないにもかかわらず指揮命令の強さが残っている[9]。
企業側が指揮命令をする際に何のルールも課されない状態、すなわち「労使関係の喪失状態」にある[10]とする指摘がある。
民間企業ではない公務員(教師・警察官など)や医者や議員の場合でも、上記のようにサービス残業が常態化している場合、ブラック企業と例えられることもある[11]。
1991年のバブル景気崩壊・失われた20年の始まり以降、企業の経営体制は「なるべく無駄を省く」として「コスト削減」に比重を置いてきた。そうしたことからブルーカラー・ホワイトカラーや正規・非正規雇用を問わず、末端の従業員に過重な心身の負担や極端な長時間の労働など劣悪な労働環境での勤務を強いて改善しない企業を指すようになっている。すなわち、入社を勧められない企業、早期の転職が推奨されるような体質の企業がブラック企業と総称される。
前述における、「従業員の扱い」や「待遇の問題」とは別に、事業所の周辺環境や地元への環境・経済面への配慮・貢献、消費者のニーズ・アフターケアに対する考慮が薄い企業や、サービスと質が劣悪である場合、債務超過の場合または産業構造の転換によって斜陽産業となり創造的破壊もなされずゾンビ企業化している場合、または自らの利益のために悪徳商法(詐欺、ボッタクリなど)や脱税(所得隠し)をいとわない企業もまた、ブラック企業と呼ばれることがある。
また、この言葉の元々の意味もあり、経営者の怠慢や不適切ないわゆる“黒い交際”によって反社会的勢力やそれに関連する人物の会社組織への侵入や干渉を許し、組織下層部の従業員に大きな精神的負担を強いている企業をブラック企業の範疇に含めることもあるため、少なくとも以下の要件が当てはまればブラック企業と呼称される(2点以上あてはまる企業も存在しうる)。
- 企業および経営者の負うべき責任を明示していない場合(組織的に責任を免れようとする企業)
- 企業コンプライアンスの精神が欠如した企業
このようなブラック企業の体質や内情は社会問題・民事訴訟・労災申請・労働基準法違反・事件(侮辱罪・暴行罪・傷害罪・背任罪)などの形で表面化することもあるが、悪質な法令違反が露呈し経営者の逮捕などが起きない限り、社名やその実態が公に報道されることがない(仮に社名が報道され、強制捜査が入ったとしても、せいぜい書類送検のみでしかなく、罰則が課されることもない。また逮捕されても略式起訴により罰金刑や執行猶予で済まされる場合もある)。
例えば、合理的理由のないリストラ、不当懲戒処分や名ばかり管理職、サービス残業強要、パワーハラスメント、偽装請負、過労死[12]、社会保険の保険料逃れ、派遣切り、不当労働行為、遺族による公害病・労災の認定を求める訴訟およびその責任を免れる行為などがある。
労働問題以外に企業統治や法令遵守、企業の社会的責任にまつわる諸問題が取り沙汰される場合もあり、一般的な企業と比べればコンプライアンス全般について著しく軽視する傾向がある。また、現在ではコンプライアンス違反の発覚が発端となり最終的に企業が経営危機や破綻にまで追い込まれるケースが増えている[PR 2]。
ブラック企業は基本的に日本の企業・経営者が慢性的に抱える体質・慣習に根ざした問題だが、風説・通説に基づいたレッテル貼りという一面も全否定はできず、「会社を解雇になった人間や就職活動で採用されず会社で働いたことすらない人間が腹いせに流布しているだけに過ぎない」という批判も存在する。しかし、従業員や就職希望者にとってのブラック企業の存在とは単に自身の経歴や履歴書の評価を貶める脅威のみならず、健康や人生設計、そして最悪生命までをも破壊されかねない大きなリスク要因であり、例え不景気のような悪環境下であってもそのような企業への就職を避けようとインターネットなどでは活発な議論・情報交換は広範に行われており、その中で情報は分析され、「腹いせ」や「出まかせ」で書き込まれた情報は一律に偽物とみなされる。[12]。したがって、「会社を解雇になった人間や就職活動で採用されず会社で働いたことすらない人間が腹いせに流布しているだけに過ぎない」という批判がそのまま対抗言論として成り立っているとは言いがたい。
特徴
お願い:例ですので、大量に挙げずにわかりやすく説明してください。 |
「ブラック企業」体質の具体例としては、以下のような点が挙げられる。これらの実態が分かると誰も入社しないので、後述するように求人誌などで虚偽あるいは意図的に誤解を招くよう、曖昧な情報を掲載してでも入社させようとする。
役員・管理職の従業員に因する問題
- 責任感の欠如
- 役員・管理職の従業員に「社内で強大な権限を持つ代わりに重い責任も負っている」という根本的な責任の自覚がない(実際は権限だけ大きく責任は末端に押し付けている)。
- 従業員を監禁し従業員に不利になるような契約書にサインするまで監禁する。
- 労働関係法規の遵守や労働安全衛生を軽視し、換気、採光、照明、保温、防湿等、労働者の健康、風紀及び生命の保持のために必要な措置を怠る。一定の危険性・有害性が確認されている化学物質の調査や危険作業に従事する労働者に対する安全衛生教育を怠る。
- 経営者・上層部の負うべき責任を(広告、公式サイトなどで)明示していない。
- 独裁的経営、恐怖政治的経営、ワンマン経営、同族(親族)経営、社会的成功による増長(「成功者」としてマスメディアによるインタビュー、密着取材による)などが要因となり、成り行き任せの経営、法制度に対する軽視が蔓延している。
- 部下に対する精神的なものも含めた暴力制裁の横行。確信犯的にパワーハラスメントを繰り返し、それを指摘されると言いがかりであると主張する。実際に暴力を自覚していないことも多い。指導とは名ばかりで単なる憂さ晴らしや依怙贔屓による特定の社員に対し執拗に行ってる場合もある。
- 暴言や暴力などのパワーハラスメント、職場いじめが起こっても「言われたことができないから」「これぐらい耐えて当然」「自分もそうやって育った」「愛の鞭」などと黙認、正当化する。または上司や幹部が職場いじめに加担している。問題化(暴行や暴言の動画、音声が報道された場合)した際には「指導が行き過ぎた」など激励・叱責・教育などと主張したり、または「世間から見ればそう見えるかもしれないが、そんなことをした(言った)つもりはない」「指導の一環であり問題ではない」「思わず感情的になってやってしまったことであり本心ではない」「相手の被害妄想だ」と管理責任の全否定に走る。
- 公害病や労働災害(過労など)の被害者および遺族から損害賠償や未払いの給与の支払い、懲戒解雇の無効を求める訴訟が発生しても、その責任を認めようとしない(報道されても「担当者がいない」「訴状が届いていないのでコメントできない」と言って話をはぐらかす)。訴訟相手に対し示談交渉や和解調停を求める裁判を起こしたり、訴訟相手を名誉棄損罪、恐喝罪、虚偽告訴罪、窃盗罪(例:会社の備品を勝手に持ち帰ったと言いがかりをつける)、相手を逆に損害賠償請求で告訴するなど、いわゆる「スラップ訴訟」のような姿勢をとることもある。
- 仮に損害賠償の支払いを命ぜられたりスラップ訴訟が認められなかったとしても、前者はその責任を免れようと、後者は相手を有罪にしようと控訴し、更には「出るところまで出てやる」として最高裁まで争う姿勢を見せる。
- 末端従業員の犠牲と大量消費を前提とした経営
- 一時的に大量採用したり、従業員を全員名ばかり管理職にするなど、従業員の過剰な負担や、短期の雇用による使い捨てを前提としたビジネスモデルが構築されている。
- 上記により、人材配置もただの数合わせに過ぎないので、本人の適性は全く考慮されず、それも短期間(数ヶ月、数週間ないし数日)で異動や転勤がある。近隣の勤務地や、同じ社屋内の別部署であっても頻繁に転勤・異動を繰り返している。従業員にとっては、転居や転勤を伴わなくても異動先の別部署での新たな人間関係の構築など、その都度従業員やその家族に相当なストレスが生じる。給与も変動し、降格になった場合は減らされ、特に「名ばかり管理職」から末端の従業員降格になった場合、非管理職に支給されるはずの残業手当は「今まで管理職扱いだったから末端の従業員降格になっても管理職の給与体系のまま」と理由をつけられ支給されない。
- 雇われ店長、名ばかり管理職などの一部の現場の責任者がまともな権限や待遇を与えられず責任だけを負わされる。不祥事や事故が起きても末端の従業員刑事責任・社会的責任や国家資格の剥奪などのペナルティを全て負わせ、経営陣には一切の責任が及ばないシステムを構築している。
- 家族経営・同族経営のブラック企業の場合、役員と末端の従業員や管理職の従業員には血縁(役員が全て親族で占められていて、ほとんどの場合、親族以外は一定の役職までしか昇進できないことが多い。昇進するには親族や取引先関係者との結婚が条件)といった、決して越えられない壁がある。
- 周辺人物や交友関係が原因の労働環境の悪化
- 「ブラック企業」の元の意味であったと言われる「暴力団などの反社会的勢力との関わりが疑われる会社」のように、経営者・上層部・従業員に暴力団どの反社会的勢力やフロント企業との関係がある。あるいは、それらの構成員や関連の深い人物が内密ないし公然と経営に関与・干渉している。
- 同様に役員が宗教団体の信者であり、会社組織やその指揮命令関係を利用した教勢拡大が行われている。実際に宗教団体への入信強要が行われ、入信を拒否した場合、その従業員に対して会社側が解雇や昇進・昇給で差別したり給与支払いを拒否した事例もある[PR 3]。
- 会社経営の知識が一切なく、経営的責任を負う立場でもない社外の人物(元官僚や県市町村職員の天下り、経営者の親族や時には愛人など)や、経営者や会社と特定の利害関係を持つ人物が会社組織に入り込んで我が物顔で跋扈したり、会社や資産を私物化している。現場の実情や現実性を無視した素人経営や、反社会的勢力による組織や経営への介入・干渉が引き起こされるなど、労働環境悪化の原因となる。
- 会社の宗教化
- 経営者・創業者およびその家族を神格化し、個人崇拝を強制する。職場に経営者・創業者の写真、肖像画、銅像が飾られており朝礼や出社・退社時、通りがかる際に礼をする。経営者の偉業を湛えることを趣旨とした社内行事があるなど。更に、経営者の個人歴や言語録の暗記、経営者の著書の購入の強制、その著書の感想文の提出の強制などが通常の業務の一環もしくは「業務外で創業者の著書を読み感想文を書いて後日提出しろ」として義務付けられており、経営者への信仰心が仕事の評価に繋がる仕組みになっている。
- サービス残業など劣悪な労働環境を正当化しており、それらを自主的に行わざるを得ない雰囲気が作られている。外部で問題化した際は「従業員が自主的にやっている」などと主張したり、信仰心の強い社員の言動を盾に「これを問題化することは従業員(あるいは会社)に対する侮辱だ」と主張する。
組織の欠陥
- 組織の硬直化
- 職務分掌がまともに機能していない。合理的かつ合法的に仕事を行う組織やルールを作らない、作ることができない。存在していても、むしろ守らないことがルールになっている。
- 社訓があっても守られていないか、逆に違法あるいは違法すれすれのルールが社訓になっている。
- 「『はい』以外の返答の禁止」「サービス残業、暴力制裁はわが社の誇りである」「暴力制裁で体や頭を鍛える」「パワハラ(暴力)ではない、愛の鞭」といった異常なポジティブ思考の強制など、上意下達と絶対服従のみが徹底化された組織。下層の従業員は会議にも参加できず、業務上の問題点の指摘もできない。
- 問題行為の横行、上層部の自己保身が容易
- 自分の成績や自己保身のために部下や周囲を次々と食い潰すクラッシャー上司[13]や、同様の行為を部下や同僚に行う正社員・従業員を放置し、また職場の問題として認識・対処するシステムがない。
- 従業員の人格や人権を軽視した洗脳的な教育や研修。具体的には、「能力開発」「社員研修」「自己啓発」と称して人里離れた交通アクセスの不便な場所への泊り込みのセミナー参加を強制し、会社や経営者に対する絶対服従など従業員への洗脳を施し、本来的な研修であるはずの事務的技術ないし専門技術の習得という目的を外れ、「マナー研修」「社会人としての心得」として人格改造・人格破壊を行い(外部の「プロの」研修会社に委託する場合もある[注 1][注 2])会社のために命を投げ打つことも厭わなくさせる。
- 自分たちが責任を負うべき指示を口頭のみで済ませる。レコーダーなどで録音[注 3]しない限り証拠が残らないので、指示者がミスをしても証拠がない。
- 一方「従業員が責任を負う」とする念書や誓約書を強要するうえ、従業員にコピーの控えを持たせない。
- 恣意的かつ報復的な業務命令や人事(パワーハラスメント)の横行。客観的な業績の評価が行われないため、適材適所の人材配置ができない。
- 前述の「パワーハラスメント、職場いじめ」、後述の「社内カースト」により従業員を屈服させ、経営者や幹部に逆らえないようにさせる。軽微なミスや営業成績が低い場合、多数(従業員、顧客、公衆)の面前や外からでも声が聞こえる部屋に監禁し声高に罵倒したり暴力を振るったりして始末書や退職届を書かせて、自主退職強要(俗に言う追い出し部屋、退職勧奨、リストラ教育)を強い、解雇に近い自主退職に追い込む(労働基準法では、単に「仕事が遅い」「営業成績が悪い」などという主観的な理由では容易に解雇できないため。ハローワーク経由で採用したにもかかわらず解雇したら補助金が打ち切られるためでもある)。逆を言えば、ハローワーク経由を強調している場合は補助金目当てであることも言える。求人だけなら民間求人誌やハローワークでも掲示するだけでハローワーク紹介状を使わなくても良いため、ハローワーク紹介状が必要ということは補助金目当てでもある。
- 仕事のできる部下、できない部下で態度を変える。できる部下には優しいが、できない部下には厳しい態度をとる。できる部下がミスをした際には、できない部下に「お前のせいでこうなった」と責任を取らせる。できない部下が得た成果もできる部下が横取りしたり、上層部ができる部下とつるんで、できない部下にいじめを行う。
- 監査役が形だけで機能せず、取締役と共に企業犯罪に加担しているケースもある。名義だけ監査役の人間がいる場合もある。会社の不正や法律違反・問題が起きた場合に取締役会に問題提起をしたり警察、法律機関に通告をしない。もしくは役員指示または不祥事が上役員明るみになると制裁が待っているので社従業員るみで隠蔽する。また、それを内部告発や犯罪行為への加担を断った従業員対しては社内いじめ、懲戒解雇、反社会勢力を使った脅しを行う。
- 不明瞭な指示で部下や顧客を混乱させる。相手が知るはずもないことも知っている前提で、主語や要点を省略した指示をする、本人にしか理解できない独自の表現を用いるなど。改善を求めても「ピンと来ない方が悪い」と譲らない。
- 社内カースト、正社員と非正規雇用者、営業の成績優秀者と低位置者とを意図的に階層化することを目的とした労働規約。上司より先に退社してはいけない、トイレは上司の許可が必要、末端の従業員や有期雇用の従業員エレベーターを使用してはいけない、営業成績最下位の者は屈辱的な罰ゲームをさせる、愛の鞭と称した暴力を社従業員の面前で振るわれる、など。
- 勤務時間外での朝礼や終礼、業務の準備、ラジオ体操を強制的に行わせる。
- 従業員への過重な負担
- 強烈なプレッシャーとストレスが掛かり続ける結果、会社組織末端の従業員や下級管理職が鬱病やPTSDなどを発症して次々と倒れていく。最悪の場合、自殺者が発生する。
- 肉体労働において作業環境、必要人数や従業員個人の力量を無視した過重労働。従事する従業員に極度の疲弊や過労を誘発。やはり心身への悪影響、ひいては重大な災害や上記のようなケースに至る。
- 仕事とプライベートの区別がない。業務に私情を持ち込み、私情に業務を紐付ける。親睦を深めることを口実にしたプライバシーへの干渉、業務の効率化を目的とした生活指導など。
- 上層部が仕事に一切関与しない。単に現場を視察するだけで何もしなかったり(トラブルがあっても「自分で何とかしろ」と責任を押し付ける)、事務整理や外回りと称して仕事とは無関係な遊びに没頭している。それにもかかわらず過重労働している部下に比べて高給をもらっている。
- 勤務時間外や休日での会社の行事(飲み会、懇親会、運動会、ボランティアなど)や政治活動にも参加を強制(建前上は自由参加の場合も多い)。欠席者を無断欠勤扱い、職場で告げるべき重要な連絡を酒の席に持ち込むなどして、参加せざるを得ない状況を作り上げる者も。
- 従業員の家族までも対象にした社外活動や、それを契機にした「家族会」の活動、社内結婚・見合いの半強制的な“推奨”、冠婚葬祭への介入などで家族ごと会社に縛り付ける。
- SNSを通じた24時間体制での干渉。特にFacebookやLINEでの実名アカウントの作成を強制、もしくはプライベートアカウントの情報提示と仕事関係者のフォローを強制し、24時間365日体制の公私混同ネットワークを形成する(深夜でもメールを送りすぐに返信しなければ翌日の出社時に叱責を受ける)。それは個人ブログにおいても例外ではなく、実名登録や情報開示、会社関係者の友人登録などを強制し、社員を四六時中監視する。
- 従業員の対抗への封じ込め
- 労働組合は存在しないか、形骸化している。御用組合に強制的に加入させる(黄犬契約で違法)。御用組合が「'第二人事部'のような存在となり、加入している組合員を監視させている場合もある。労働争議が起こった際も御用組合が会社の主張を労働者側に無理やり認めさせて「和解」させるケースも。
- 経営陣が従業員の言動を徹底的に監視する。社内の盗撮や電話の盗聴、監視カメラ、密告の奨励、交友関係の監視やサーバー上に保存されているメール・インターネットのアクセス履歴やキャッシュの盗み見[注 4]、SNSやブログでの発言の監視やプライベート活動の監視など。目的は従業員同士の団結をさせないこと。およびプライベート(勤務時間外)での活動や人間関係を盾にした制裁や脅迫。このような会社は労働組合、御用組合すらない会社もある。
- 行政機関(労働基準監督署・社会保険事務所など)に呼び出され、または職員が訪問した際、経営者に不都合な話を聞かせないよう社員を隔離し、会話に立ち会わせない。
給与・待遇の問題
- サービス残業の恒常化・過重な責任
- 常に収益の向上を名目とし、人件費削減を過剰に追求しているため、仕事量と内容に対して人数が絶対的に不足しており、作業量が過重な上に増員や分業もできない。例えば技術的な知識の浅い素人が「セールスエンジニア」「技術営業部」などの肩書きで、「外回り営業」をしながら同時に「自社製品のメンテナンス」を兼任させ、本来は專門技術や資格が必要な「修理作業」も行わせる。
- サービス残業が恒常化し、定時に終わらせることなど到底無理な仕事量を押し付ける。定時に社員全員のタイムカードを押させるなど工作し勤怠記録の偽造や捏造、あるいは悪質なケースでは勤怠記録の改竄する場合もある。または「定時までに仕事をこなせなかったお前が悪い」などと叱責し、サービス残業を強制することも。
- 残業手当を大幅な時間ごとで区切る。1時間の場合は1時間になる前(59分)にタイムカードを切らせ、1時間分の残業手当を支給させないようにする。
- 病気(余程の重症や周囲に支障が発生するものでない限り)になっても休暇・早退を認めない、あるいは解雇する。虫歯の場合治療の時間が取れず重症化した例もある[PR 6]。
- 勤務時間外や休日の「接待」(特に「接待ゴルフ」)の頻度が異常に高い。
- 部下や社員を付き人や家政婦のような扱いをする。休日に私的に呼び出し、雑用係として連れまわしたり、社長宅の掃除や家事をさせたりする。自分からの呼出しに最優先で応じられるように休日の過ごし方も指導する(ほとんどの場合「社員が自主的に応じた」として「休日出勤」の扱いにしない)[注 5]。
- 過労や心身の不調、労働災害に対し自己責任論を持ち出す。従業員に非現実的な身体能力や根性論(絶対に疲れない、眠くならない、人体に有害な環境でも平気、泥酔しても安全運転etc)を求め、全ては従業員の能力不足に起因するというスタンスを貫く。
- 人事考課制度や給与システムの恣意的な運用
- 「成績や頑張りに見合う」「努力が報われる」など、客観性のない給与制度として成果主義や年俸制を導入する。営業部門・技術部門だけでなく定量的な判断が難しい人事・総務部門にすら導入。上層部は難癖をつけて社員の俸給を上げないように意図的に悪い評価を付ける。
- 残業手当の支給を免れるため、裁量労働制やフレックスタイム制やみなし労働時間制を悪用して、社員の拘束時間を無制限に延ばす。
- トライアル雇用や若者チャレンジ訓練といった、国(厚生労働省)の就業支援のための雇用制度の悪用。補助金などを搾取し、相手をしごき(後述)で肉体的、精神的に疲弊させ用済みとなったところで解雇する。
- 当直の労働基準監督署への届出をしていないのに、当直と言い張り、時間外の勤務に対して労働対価を支払わない[14]。
- 交代勤務(2交代)の場合、拘束時間が12時間であることを直接記載せず、実働時間が8時間であるように誤認させる。
- 例:「昼勤 9:00 - 18:00 / 夜勤 21:00 - 6:00」(昼勤の18時 - 21時、夜勤の6時 - 9時も残業として拘束時間に含まれる)。交代勤務の中で休憩が与えられていないにもかかわらず休憩を取得したように申告させる。
- 週休一日のみで週40時間の労働を順守できないにもかかわらず、届出に「週40時間」などの虚偽を記載させる(残業時間を除く)。
- 有給休暇を認めない、あるいは可能であっても取得理由の提示、日時の変更、私事では利用できないなどの条件、制限などがある。もしくはセミナーや焼肉大会など強制参加の行事を有給扱いとし消化させる。
- 「不況で給与(賞与)が出ない」と言っても実際は減らした分を経営者・上層部が私的に流用したり、上層部の給与に上乗せしている。
- 「毎年全社員の給与をゼロベースで見直す」といった荒唐無稽な制度を社内制度と公言して憚らず、実際に運用する。本来、賃金の減額は賃金の「減額事由、減額方法、減額幅等の点において、基準としての一定の明確性」(ユニデンホールディングス事件(東京地裁平成28年7月20日))を持つ賃金規定を持っていなければできないが、そのような公正な制度を持っているわけではない。
- 薄給の上に経費が自腹。
- 転勤(引越し)や備品の購入に要する諸経費の全額(または一部)を自己負担させて、会社側で全額を負担しない。出張に必要な交通費や宿泊費でさえ、自己負担もしくは給与から天引きされる。
- 勤務に必要な制服や道具などを会社が負担・支給せず、逆に従業員に購入させる。購入が入社の条件というケースもある。
- 勤務に必要な設備や備品を「稟議が通らない」「なくても仕事はできる」などの理由を付けて購入せず、「どうしても欲しかったら自分で買え」と事実上の自己負担を強制する。さらに、自腹で購入させた後に社用物扱いにさせ、会社のものにしてしまうケースもある。
- ノルマ未達成の苛烈なペナルティ
- ノルマが達成できない場合、所得税や保険料などを控除した手取り額を時給に換算した場合の額が最低賃金以下になる。「罰金」などの名目で控除したり、給与を自主返納させたり、成績下位や未達成者の給与を成績上位者や達成者に何らかの形で移転したり、「自爆営業」「自爆」行為[注 6]を強制させて手取りがマイナスになる場合もある。
- ノルマの達成率向上を理由に日勤教育、訓練道場、追い出し部屋などの職場いじめや事実上の退職勧奨状態に置かれる。
- 仮にノルマを達成しても「できて当たり前」の認識しかないため、売上や利益が賃金に還元されない(ノルマの達成・超過に対するインセンティブがない)[注 7]。
- あらゆる不可抗力に対しても罰金を取る。
- 例:設備の自然故障や、悪天候・自然災害などによる電車の遅延(「遅れるのであればもう1本早い電車に乗れ、始発に乗れ」と叱責する場合もあり)や運休、事件・事故の被害者になった場合でも例外なく罰金を取る(従業員が死亡した場合でさえ遺族へ請求する)。
- また、こうして徴収した罰金や半ば強制的に「自主返納」させた給与を上司や経営者側が記録に残さず詐取して私的に使用したり、膨大な内部留保、不正蓄財の根幹を成している。
- 心身の健康を害するほどの身体的・精神的ストレス
- 2交代制や3交代制の交代勤務や、交代制勤務でなくても終電過ぎまでの勤務や何日も会社に泊まり込んでの仕事など、体調を崩したり、鬱病(うつ)などの精神疾患を発症する。さらに過剰なストレスによるPTSDの発症、発作的な自殺や過労死など生命を失う事態もある。
- 上述の「クラッシャー上司」にまつわる諸問題。「クラッシャー上司」の部下にされた者は過剰なプレッシャーとストレスを掛け続けられ鬱病を発症し、次々と倒れていく。
- スキルアップとキャリアアップは皆無
- ブラック企業では従業員は数カ月から数年、又は数日や数週間で退職に追い込まれる羽目になるが、仮に何年も勤続したところで業務スキルや専門的なノウハウがほとんど身に付かないなど、キャリアアップのシステムや支援は実質的にない。
- 対外的に通用しスキルアップに繋がる国家資格など公的資格の取得に対しては、消極的な姿勢を取る。資格取得は使役する側にとっては資格手当など人件費増加の要因でもあり、特にブラック企業では企業が必要とする従業員である場合にも対外的に通用する資格の取得完了が退職の契機になるため。さらには受験資格の証明などの必要書類を発行しない、社内行事の日程を資格試験の当日にぶつける、実技試験がある場合でも社内の機械・工具での練習を許可しないなど、受験自体を妨害する。
- 同業他社などにもその様な実情が知られており、退職後の転職活動では職歴がマイナスにのみ働く。
- 資格取得のノルマ化
- 「社内全体のスキルアップ」などを名目に、社外では通用しない内容の社内資格制度が乱発され、その取得数を部署や営業拠点の単位で競わされ、従業員単位で見れば事実上ノルマ化している(「接客マイスター」「お客様対応エキスパート」など)。
- 社外でも通用する資格の取得を会社が命令することもあるが、この場合、会社と取引関係がある企業の運営する民間資格・ベンダー資格であったり、国家資格・公的資格の場合は合格率の低い難関資格など、会社の都合による資格の取得で、これが絶対ノルマとして課される。
- 忌引制度の有名無実化
- 肉親や配偶者、実子が死亡しても職場の都合を優先させて忌引を認めない。あるいは、有給休暇がない場合、事実上忌引を認めないか、忌引制度を行使できる対象が制限される。
退職
- 円満退職は期待できない
- 従業員側からは短期間かつ単純には辞められない。「どこに行っても通用しない」「違約金を払え」などと脅迫したり、退職日を勝手に先延ばしする。一方で会社側からは自由に退職(実質的には解雇)させられる。
- 退職届を受理せず、全て懲戒解雇にしたり、さらには退職後に会社から損害賠償や違約金を請求してくる(いずれも労働基準法第16条の賠償予定の禁止になる)。悪質になると家族に請求する。
- 退職金の支払いを回避するために懲戒解雇にでっち上げたり、法的根拠の有無は関係なく感情と腹いせで請求する。
- 違約金は雇用契約書に「雇用後○ヶ月以内に退職する場合に払う」と書かれている。
- 強制的な借金や強制貯金。退職する際に借金返済を迫るなど、会社に縛り付けるために行われる。風俗業や日雇業に見られる。
- 退職の理由欄に「自己都合」や「一身上の都合」などと記入させたり退職届と称して辞表を提出するよう強制し、いかなる理由であれ「会社都合」として処理しない。再就職に影響が出ると脅す場合もある。
- 退職者が離職票を請求しても「法律で義務付けられていない」などの口実をつけて渡さない。同様に会社に預ける必要があり、退職時に本人に返却しなければならない国家資格などの資格証明書を自主的に返却しない。
外部からの見分け方
ブラック企業の見分け方はいくつかの方法がある[PR 7]。
「常識的な企業」か「ブラック企業」であるかを見極める、簡単な方法は離職率・平均勤続年数・および社員の待遇だ。離職の理由は様々であり、全ての離職がブラック企業であることに起因するわけではないが、離職率の高い企業や平均勤続年数の短い企業はどのような大手・有名企業・上場企業や外資系・老舗でも、また逆に新興企業・零細企業でもブラック企業と名指しされる一因となり得る。しかし、離職率や退職者数は外部にほとんど公開されず、たとえ公開されていたとしてもその数字の信憑性もまた別であり、企業が急拡大している最中であったり、株式上場やM&Aなどの影響で短期的にデータと現況が激変することもあるので、企業ごとに実状を見抜く、あるいは推し量ることは難しい。
経済誌や趣味誌などの専門雑誌やニュースサイトによる報道・記事という形で企業・事業所の内部が紹介されることも少なくないが、ブラック企業でも継続的な広告出稿やサンプル提供により報道サイドと密接な関係を築いて労働問題が露呈することを防いだり、記事があっても企業のイメージアップを目的に書かせた提灯記事ということも多く、参考にならない。
なお、2012年11月7日の日本経済新聞に、厚生労働省がまとめたとされる大卒3年目(平成21年度卒)の離職率が掲載された[15]。それによると、全産業の平均は28.8%であり、産業別では以下の通り[15]。
- 教育、学習支援業 48.8%
- 宿泊業、飲食サービス業 48.5%
- 生活関連サービス業、娯楽業 45.0% ※理容、クリーニング業、冠婚葬祭業、パチンコ、カラオケなど
- 医療、福祉 38.6%
- 不動産業、物品賃貸業 38.5%
- 小売業 35.8%
- サービス業(他に分類されないもの) 33.9% ※廃棄物処理、自動車整備、業務請負、労働者派遣、ビルメン、警備、ディスプレイ業など
- 学術研究、専門・技術サービス業 31.7% ※士業、デザイン事務所、広告、撮影、獣医(動物医院)業など
- 建設業 27.6%
- 卸売業 26.8%
- 情報通信業 25.1%
- 運輸業、郵便業 20.8%
- 金融・保険業 18.9%
- 複合サービス業 16.4% ※協同組合など
- 製造業 15.6%
- 電気・ガス・熱供給・水道業 7.4%
- 鉱業、採石業、砂利採取業 6.1%
それによると、教育や宿泊、飲食、生活関連サービスといった労働集約型の業種での離職率が高い(45%以上)ことが伺えるが、このデータでは離職した理由に触れておらず、ここでの「離職者」には転職や結婚・出産などによる「自発的な離職」も含まれているため、十分な参考にはならない。
2011年にはあるNPOの主催で、就職活動中の学生を対象とした“ブラックとそうでない企業を見分ける法”のセミナーが開催された[16]が、若者が「入社して内実をその身で痛感して初めて実態を思い知った」ということになったり、さらには生涯一度の新卒就職の機会をブラック企業への就職で棒に振ってしまうなどということがたびたび発生していることも現実だ。
平均勤続期間が短い上に離職率も高い、すなわち従業員の入れ替わりが激しいことから、概して同一業界内の末端各所や企業所在地の周辺地域には数多くの若年層・中年層の元従業員がおり、口コミやインターネットの業界関係や地元関係のコミュニティなどを通じて企業にまつわる多くはネガティブな噂も立つ。結局、地元地域で出稿しても人材を集められなくなり、地元企業としての地縁や知名度が無い、数十kmも離れた遠隔地や隣県で求人広告やハローワークの求人を繰り返し出稿したり、人材派遣会社を介する形で人材を集めるような企業もある。
また、ブラック企業は他者や周囲の犠牲や過重な負担、自業界の発展への阻害などを省みずに自己と経営陣の経済的利益のみを追求する利己主義的体質もその特徴であり、地元貢献・社会奉仕・地域共生・業界成長などという理念も有名無実のものであるため、元従業員との関係のみならず、事業所所在地の行政との関係も微妙なものであったり、あるいは同業者や地域の商工関係者との関係・交流が希薄・皆無であることは珍しいものではなく、さらには設立や進出から何年も経ち、幾ら規模が拡大しても地元企業や事業所としての地域社会からの実質的認知や、優良企業としての業界からの認知も得られぬまま、「内実の怪しい会社」と陰口を叩かれていたり、ヨソ者扱いをされ続けているということも多い。
以下に挙げるのは、一般的にブラック企業の可能性があるといわれている例だ。
お願いです!:例ですので、あまり大量に挙げないようお願い致します。 |
求人広告/採用広告
以下は、ブラック企業が求人広告において劣悪な労働環境を示唆したり、それを隠したりするために用いる表現の例だが、このような文言があるからといって、一律にブラック企業と断定できるわけではないため、注意を要する。
- 求人広告/採用広告
- 企業独自の採用サイト、入社案内などのほか、就職情報会社が運営する就職サイトなどを採用広告と呼び、フリーペーパーなどの求人情報を求人広告と呼ぶことが多い。
- 求人広告/採用広告は、求人している会社が自社制作することは皆無で、就職情報会社など外部の会社が請け負って制作するケースがほとんどだ。
- 制作を依頼する際、数万円〜数十万円の広告料を支払っているため、否定的な内容が記されることはない。
- 学校のキャリアセンターに掲載される求人票とハローワークの求人票は上述とは異なり、学校やハローワークの書式に企業の担当者が情報を記すケースが多い。
- 近年は、FacebookなどのSNSを利用して、ダイレクトに求職者に情報を開示するケースが、新卒採用においては増えつつある。[注 8]
- 募集人数
- 企業の現在の従業員数に対して、大量(高い割合)の募集人数(一例:現在の従業員1,000人に対して300人の募集[17])である場合→社員の退職が多く、社員の入れ替わりが激しい可能性がある。
- 特定の時期や業種で人手が不足する場合もあるため、雇用の期間を明示したうえで大量に募集する場合は含まれない(年度末の引越し作業など)。
- 離職率
- 「従業員の平均年齢が○歳前後」と、記載が曖昧
- 大半が平均年齢前後で退職しており、ベテランがあまりいない。
- 「若い仲間が多く…」
- ベテランはいるが、若手社員の退職が多く、社員の入れ替わりが激しい。期間を明示しない短期の雇用または使い捨て・使い潰しを前提とした大量雇用を行っている疑いあり(あらかじめ雇用の期間を明示している場合を除く)。
- ノルマ
- 「若い社員にも重要な仕事を任せる」
- 未経験者同然なのに仕事の指導やアドバイスがほとんどなく、入社と同時にベテランと同等の仕事をこなすことを要求し、その責任が若手社員に転嫁される。若手社員に重量物の運搬や、危険を伴う作業を押し付けたり、名ばかり管理職に就ける場合もある。
- 「ノルマなし」を強調する
- 「ノルマ」という文言を一切用いず、「従業員が定めた自主目標(売上額など)」などと言い換え、会社側が設定するよう強要する。年度の変わり目などに「自主目標」を少しずつ高く設定するよう強要する。達成できなければ懲戒解雇などの制裁が待っている(仮にノルマを達成しても、その分の手当がない)。
- 「その他」
- ノルマ達成や取引を円滑に進めるため取引先の相手と肉体関係を結んだり、取引先の社員、およびその親族と政略結婚をさせられる(いわゆる『枕営業』)。
- 長時間労働・サービス残業
- 「アットホームな雰囲気」[17]
- 「残業なし」
- 「残業手当がない」という意味。タイムカードで残業の記録を途中まで付けてそれ以降も残業を継続させたり、「本人の意思で残業する」と帳簿に書かせたりする。「自己責任」などという名目でサービス残業させることを指す(拒否すれば解雇をちらつかせる)。
- 「少数精鋭」
- 仕事量に対する人員配置がきわめて過少な状況で、まともに分業できていない。残業や休日出勤も恒常化し、社員のプライバシーが干渉されやすくなる。
- 給与
- 主観のみで「高給」を強調する
- 「あなたの努力(がんばり)を正当に評価」
- 経営者の主観的・恣意的な基準のみでしか評価せず、難癖付けて給料を上げようとしない。またはノルマ達成を当たり前と思い込み、給与はノルマを大幅に上回ったときでしか増額されない。
- イメージの偽装
- 「明るい雰囲気」「明るい明日」「明るい未来」など曖昧かつポジティブな理想・将来像を強調する
- 「明るい」という感想を強制される雰囲気。体育会系的な体質の企業、根性論中心の営業職、精神論中心の社風、理不尽な暴力や暴言が日常茶飯事であり現状は程遠く、具体的な将来像もない。「明るい」と言っても過剰なノルマ、パワハラを受ける従業員の表情は暗い。
- 求人誌での好々爺風の初老の男性や綺麗目な女性の写真や、社長と社員が笑顔で語らう写真など無害そうなイメージを前面に出す企業
- 印象操作によりブラック会社であることを逆に隠そうとしていることを疑わせる。
- 求人広告や会社の求人用パンフレットでの「働きやすい」「実力を発揮できる」「私(僕)の人生を変えた」などの体験談
- 求人サイトにおける「学生に人気のある企業ランキング」の投票でアルバイトを雇ったり社員を動員させたりして「組織票」を入れさせ、あたかも大学生に人気があるかのように偽装する。
- 求人パンフレットで社内の雰囲気や自己啓発、体験談などにページを割くのは、企業をアピールする魅力がない、もしくは内容の異常さを指摘できる者がいないため。
- 業種・職種の偽装
- 不人気な業種・職種で募集する際、カタカナ語や専門用語、あるいは独自の造語で誤認を導く表現を多用する[17]。
- 高給を強調する職種には、単に「営業」「販売」(悪徳商法・詐欺的な訪問販売や勧誘の可能性あり)「接客」(違法風俗の業種・職種の可能性あり)「データ入力」(迷惑メール業者や出会い系サイトのサクラ役などパソコンやインターネットを使った犯罪を生業とする会社の可能性)などとしか書かれていない企業もあり、業種や職種を明確に記していないのもある。
- 「講師募集」
- 悪徳教材会社の訪問販売。また、実際の「教室」である場合でも、異業種の会社が手掛けるサイドビジネスであることも珍しいものではなく、全く門外漢の上司に振り回されたり、講師業とはかけ離れた会社の本業を手伝わされることもある。
- 内勤事務の求人にもかかわらず「要普免」とする。
- 物品の調達や別の事務所での打ち合わせ、顧客の送迎などで社用車を運転する必要性もあるが、入社後に「人手不足」「適性が欠如している」などの口実をつけ、営業職へ強制的に職種転換させるケースもある。ただし、地方では純粋に交通が不便だったり、広大な敷地を持つ会社で車での移動が必要なため、業務内容に関係なく通勤に車(運転免許証)が必須の場合もある。
- 業務請負会社・人材派遣会社(特に中小企業)の「営業」や「コーディネーター(内勤営業)」、「事務」
- 募集職種が「幹部候補生」
- 小売業や飲食業など、接客業に多い。実際はただの店長募集で、正社員募集とセットになっている。店長が「名ばかり管理職」扱いをされる可能性も。
- 「簡単な仕事で高収入」
面接
- 面接が一切ないか、形骸化している。大量に離職するか、またはすぐに代替の人材を確保できるため、よほどのことがない限り採用される。
- 面接時に履歴書や職務経歴書を提出(または面接前に郵送)しても、内容を精読せず質問する。正社員雇用でも履歴書も要らないところや面接時は普段着でもOKという企業もある。
- 質問の際、労働者に好都合な質問(給与・休日など)をすると、曖昧な返答しかせず、言葉を濁そうとする。
- 面接の担当者が応募者よりはるかに年上である場合や、低学歴者(中卒者)、または応募者の職業経験が浅い(転職が多い)場合、応募者を見下す態度を取る。
- 応募者の「学歴不問」を「中卒可」とすべきにもかかわらず、正当な理由[注 10]もないまま中卒者を採用しない。
- 中卒者である場合「なぜ高校に進学しなかったのか?(退学したのか?)」など、見下す態度を取る。
- 面接の担当者が応募者に対し、家族構成や親兄弟の職業・誕生日・応募者の血液型など、業務で必要のない項目を質問する(またはアンケートに記入させる)。
- 面接時に「担当者がしてはならない質問」のことを問い詰めると、突如面接を終わらせる。
- 派遣の募集の場合は、派遣先企業での事前面接。
- 顔合わせ・打ち合わせ・面談・職場見学などの名目で行われる。交通費や拘束時間分の賃金は支給されない。
労働者派遣法により、紹介予定派遣[注 11]を除き、事前面接行為や履歴書など個人を特定する書類審査は違法だ。登録型(一般職)のみならず、常用型(専門職)派遣で無期契約であっても違法行為となる。 - スキルシートなどと呼ばれる、個人情報や学校名を隠した学歴、会社名を隠した職歴、所有資格などスキルだけ紹介する書類を派遣先に渡すのであれば、個人特定行為ではないのでグレーゾーンだ。
- 顔合わせ・打ち合わせ・面談・職場見学などの名目で行われる。交通費や拘束時間分の賃金は支給されない。
- 休業日、あるいは業務とは無関係な場所で面接や説明会・選考試験を行う。
- 「今の時間はたいして忙しくないから」「個人情報を扱っているので」などとの口実をつけ、不都合なものを見せないようにするため職場の見学を拒否する。
- 不採用になった場合、応募者の履歴書・職務経歴書などの応募書類を返却してこない。または会社の経費として送料を負担すべきところが、応募者に負担させる(返信用の封筒と切手を添付するよう要求する)。
職場
- トイレや玄関だけではなく事務所、休憩室、商品保管場所ですら整理整頓がされておらず、不衛生な環境になっている。
- 人数の多い企業や部署にもかかわらず、制服・作業服などに名札・刺繍など従業員の名前・所属を簡単に確認できるものがない。
- 事務所の規模が、求人票の従業員数と大きく隔たりがある。派遣や請負で成り立っている会社である可能性があり、会社間で契約書と出勤表を回して中間マージンを搾取しているだけの企業である可能性が高い。
- 同業種の企業と比較して異常に高齢者が多い。若手は過酷な労働条件とキャリアアップが望めない環境を嫌ってすぐに退職してしまい、辛抱強い中高年や家族がいるためやむなく働いている従業員しか続かない状態になっている可能性がある。
- 経営者や一部の社員の私物が不必要に散逸している(会社の私物化が行われている可能性がある)。
採用
- 採用通知を書面で通達しない。採用通知の電話連絡や雇用契約の締結後に、雇用条件を口頭のみで次々と変える。これらは録音しない限り証拠が残らない。就業規則など雇用に関する重要書類のコピーすら渡さない。
- 個人事業者として採用する。社員でない場合、労災の責任や社会保険の会社負担がない。正社員で採用されたと思っていても、労働契約書の記載が違う場合がある。あるいは正社員で採用したかのように誤認させる。
- 採用後に雇用契約書を書かせない。労働者に不利な雇用契約を締結させるため、コピーの控えを渡さない。
- 採用後に従業員の給与振込み用の口座を尋ねないか(給与が現金での支払いを除く)、または従業員に給与のシステム(タイムカード制か歩合制かなど)を一切伝えない。働きが悪ければ、給与未払いまたは減給や解雇しようと目論んでいるため。
- 法人ならば加入義務がある社会保険の制度がない、あるいは入社後一定期間を経なければ加入できない(社会保険や厚生年金や国民健康保険などは即日加入の義務がある)
- 従順な人間だけを絞り込もうとしている。試用期間中に新人教育と称して暴力行為・しごきを行ったり、過重なノルマを与えたりして絞り込もうとしている。それを耐えたとしても試用期間後に用済みとして解雇する。
- 試用期間が長い。試用期間は基本2か月か3か月以内で、最長は1年だ。
- 内定通知を出しておきながら、年度が替わる前に研修などを行い、働きがよくなかったり、都合で研修に参加できない場合、そこで内定を取り消す[注 12]。初めから正社員として雇用する気がないにもかかわらず、試用期間だけ雇って能力や適性が欠如していて仕事が務まらないとして試用期間終了後(あるいは期間中)に解雇する新卒切りもある。
退職者
- 退職者の多くが勤務履歴を隠したり、勤務した事実自体を否定している。
- 退職者の多くが勤務中に発症したうつ病やPTSDなどに、退職後も長期間にわたり苦められている。
- 退職者にまつわる自殺や自殺未遂などといった話が事業所の周辺地域で繰り返し聞かれている。
- 退職者がその企業が関与する製品やサービスを一切購入しない。知人が購入しようとした場合も制止しようとする。
- 退職者がその会社との関係を一切断ち切るために引越しを行う。
- 会話において、退職者がその企業や上司、経営者を「最初から存在しなかった」というタブー扱いにしている。語ったとしてもネガティブな内容に限定される。
- 企業買収を行っている場合、買収成立に前後して被買収企業由来の従業員が管理職も含めて大量に退職している。
データ・その他
- 上記のことが常態化していても「それが当たり前」「ウチは優しいほう」等と言って従業員を時間をかけて洗脳するようなことを行う。
- オフィスバイオレンス(職場内暴力)であるパワーハラスメント、セクハラや職場いじめ、企業不正や企業犯罪に関する裁判例・報道事例が多数ある。
- 過去にいた従業員(解雇、自主退職、自殺)についても話題があっても「最初から雇ってない」「話をするな」とタブー扱いにする。
- 書類や備品の紛失など事務処理や管理がずさんだったり、契約書で責任範囲が明らかにされるのを嫌い、口約束のみで済ませるなど、適切な労務管理がなされていない。
- 過去に労災事故を何度も発生させている(同様の事故を未然に防ぐための安全対策が施されるも、教育が定期的に実施されていない。発生しても謝罪を一切行わない)。
- 経営者の自家用車が会社の雰囲気に似合わない高級車もしくは改造車、また日常的に外部からその車が出入りしている。フロント企業やその関係者から援助を受けている可能性がある。
- 「労災隠し」「パワハラ隠し」「セクハラ隠し」や、この様な被害を受けた従業員への退職強要にまつわる情報や噂が事業所周辺で絶えない。
- 俗にいう規制5業種(建設、通信、銀行、空運、電力)ではないにもかかわらず、高額な費用が必要になるヤメ検弁護士や大物警察OBを取締役・監査役・顧問などのポストに迎えている。
- 関係各所との関係が良好ではない。あるいはそもそも希薄だ。
- 行政や所轄官庁、労働基準監督署、商工会・業界団体などとの関係が順調・正常ではない。またはそのような情報が存在する。
- 規制逃れや査察・検査忌避などの話がある。
- 労働基準監督署や労災の責任などから逃れるため(またはイメージダウンを偽装する)ため、社名の変更や社屋の移転(引越し)が頻繁に行われている。社名変更後は過去の会社名は存在しないと言ってタブー扱いにする。
- 社長など経営幹部が、勤務時間中に毎日ブログを更新したり、SNSで毎日書き込みをしている(勤務時間外による私的な書き込みを除く)。または本業をないがしろにし、ブログやSNS、ほかの遊びに熱中している場合もある。
- 取引がある場合、突然担当者が交代する。そして前任者と後任者の引継ぎが行われていないことが多い。前任者の突然の退休職、転勤、解雇によるものだ。後任者に対して前任者について質問しても後任者は把握していないと答えざるを得ず、取引が円滑に進まなくなる。
- 取引の際、相手に過剰なノルマを与え、ノルマを達成しても「気が変わった」と理由をつけ契約を破棄する。
- 事業所の近辺で募集すると応募者が集まらないため、事業所から離れた地域のハローワーク(職業安定所)などを通じて求人票を出す。
ブラックバイト
「ブラック企業」から派生して、アルバイトやパートタイマーでも、従業員の休みや定期試験や子供の学校行事といった従業員の希望を無視したシフトを組んだり長時間労働をさせたりといった働かせ方をさせる「ブラックバイト」という呼称が登場してきている。
特に高校生や大学生のアルバイトの場合、学業を優先すべきにもかかわらず「テスト前なのに休めない」といった声があり、中にはそれが原因で高校や大学の中退を余儀なくされたケースまである。このような状況に甘んじてしまう背景には
- 正社員または契約社員が行うべき業務を、アルバイトで代用している
- 社会経験のほとんどない労働者の知識不足につけ入る(特に法律面の無知など)
- 労働者の資金難(仕送り減、ひとり親世帯、就活費用など)
- バイト・フリーター間の競争激化による再雇用が難しい現実
がある。またアルバイトに対する年長者(学生の親世代など)の意識に「嫌なら辞めればいい」「バイトは気楽」といったジェネレーションギャップがあるため、苦境が伝わりにくいとも指摘されている。[18]
労働者側の対応
- 単独での対応は無理である(前述のように、ブラック会社の労働組合は存在しないか、存在していても「御用組合」の場合が多くまともな対応は期待できない)。状況が悪化する前に厚生労働省本省労働基準局、都道府県労働局、または、労働基準監督官に告訴状(または、告発状)を提出、もしくは、口頭で告訴、告発、暴行・セクハラに遭った場合は警察に被害届を提出、ユニオン(個人単位で加入できる外部の労働組合)、労働問題を主体に受け付ける弁護士(例:日本労働弁護団)や相談窓口への相談など外部の力を借りる [17]。
- 書面のコピーや記帳(日記など含む)、写真、音声、動画、医師の診断書などできる限りの証拠を残し(仕事内容、サービス残業、暴言、暴行、仕事ができるようにするための教育の有無など)、都道府県労働局、労働基準監督署、労働基準監督官に相談するのが最も主流なやり方である[注 13]。
政府の対応
厚生労働省は離職率が高かったり、長時間労働で労働基準法違反の疑いがあったりする全国の約4千社に対し、2013年9月より実態調査を始め 重大で悪質な違反や改善が見られない、企業の社名や違反内容を公表すると発表をした[20]。
2015年(平成27年)4月1日に、東京労働局と大阪労働局の局内に『過重労働撲滅特別対策班』(通称:かとく)を設置し、労働基準法違反の事業所摘発を強化している。
各党の対応
自民党
2013年4月8日、自由民主党雇用問題調査会はその対策としてブラック企業の社名公表などの措置を政府に提言する方針を固め、同年夏の第23回参議院議員通常選挙に党の公約として明記することを検討した[21]が、最終的には見送られた[22]。
日本共産党
2013年5月15日、参議院予算委員会で、日本共産党の山下芳生がブラック企業の実態を示し、日本国政府に対策を求めた[23]。
市民団体の対応
ブラック企業対策プロジェクト
職場で法が順守される社会、ブラック企業によって若者が使い潰されることのない社会を目指して、2013年9月に設立された団体。政策提言やセミナーの開催、関係機関との連携などをおこなっている。
発展途上国のスウェットショップ問題
国際問題化
発展途上国ではサプライチェーンを含めたスウェットショップが問題になっている[3]。1990年代以降、先進国のアパレル、スーパーマーケット、スポーツメーカー、おもちゃ産業などが低賃金での労働力を求めて途上国に進出した[24]。
発展途上国のスウェットショップ問題は、コスト圧力の下、低賃金だけでなく、劣悪な工場環境で厳しい労働を強いられている状況も問題として指摘されている[24]。発展途上国に進出した欧米企業の中にはスウェットショップ問題について企業の社会的責任を問われ、市民によるボイコット運動が起き、売り上げや株価の下落など大きな影響が出た例もある[24]。
国際的な企業行動規格
アメリカのNGOであるSAI(Social Accountability International)は国際労働機関(ILO)や国連の人権や労働に関する条約に基づき国際的な企業行動規格としてSA8000を規格化した[25]。2005年8月現在の認証企業数は50か国881社となっている[26]。
関連書籍
- 大内裕和:著。斎藤貴男、佐々木賢、児美川孝一郎、今野晴貴:対話 『ブラック化する教育』(青土社、2015年5月22日)ISBN 978-4-7917-6863-9
- 中沢彰吾 『中高年ブラック派遣 : 人材派遣業界の闇』講談社現代新書(講談社、2015年4月16日)ISBN 978-4-06-288314-6
- 大内裕和、今野晴貴 『ブラックバイト』(堀之内出版、2015年4月9日)ISBN 978-4-906708-57-4
- 松田茂利 『学校は究極のブラック企業』(文藝書房、2015年1月16日)ISBN 978-4-907158-10-1
- 川村雅則、角谷信一、井沼淳一郎、笹山尚人、首藤広道、中嶌聡:著 『学校で労働法・労働組合を学ぶ : ブラック企業に負けない!』(きょういくネット、桐書房、2014年11月11日)ISBN 978-4-87647-845-3
- しんぶん赤旗日曜版編集部 『追及!ブラック企業』(新日本出版社、2014年11月8日)ISBN 978-4-406-05837-7
- 小西誠 『自衛隊この国営ブラック企業 : 隊内からの辞めたい死にたいという悲鳴』(社会批評社、2014年10月)ISBN 978-4-907127-11-4
- NPO法人POSSE 『しごとダイアリー2』(堀之内出版、2014年6月20日)ISBN 978-4-906708-53-6
- 秋山謙一郎 『ブラック企業経営者の本音』(扶桑社、2014年3月3日)ISBN 978-4-594-07002-1
- 今野晴貴 『ブラック企業ビジネス』(朝日新聞出版、2013年11月9日)ISBN 978-4022735317
- 今野晴貴 『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか』(星海社、2013年4月26日)ISBN 978-4061385320
- バベル編集部 『ブラック企業名鑑』(バベル、2013年)ASIN B00F5HT5MC
- 恵比須半蔵 『あらゆる就職情報は操作されている 〜ブラック企業が仕掛ける就活のワナ〜』(扶桑社、2012年11月30日)ISBN 978-4594067168
- 今野晴貴 『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(文藝春秋、2012年11月16日)ISBN 978-4166608874
- 恵比須半蔵(作), ichida(画) 『うちの会社ブラック企業ですかね?』(彩図社、2012年6月20日)ISBN 978-4883928699
- 蟹沢孝夫 『ブラック企業、世にはばかる』(光文社新書、2010年4月)ISBN 978-4334035600
- 間宮理沙 『内定取消!終わりがない就職活動日記』(日経BP社、2010年3月)ISBN 978-4822248017
- 恵比須半蔵 『実録・ブラック企業の真実』(彩図社、2009年)ISBN 978-4883926817
- ムネカタスミト 『ブラック企業の闇 - それでもあなたは働きますか?』(晋遊舎、2008年5月)ISBN 978-4883807758
- 恵比須半蔵 『就職先はブラック企業 - 20人のサラリーマン残酷物語』(彩図社、2008年)ISBN 978-4883926718
- 笹山尚人『人が壊れてゆく職場 - 自分を守るために何が必要か』(光文社新書、2008年)ISBN 978-4334034627
- 宮本政於 『お役所の掟 - ぶっ飛び「霞が関」事情』(講談社、1993年4月)ISBN 978-4062064279
- 原俊 『「シロアリ社員」があなたの会社を食いつぶす』(幻冬舎メディアコンサルティング、2013年)ISBN 978-4344999428
- 原作:とんたにたかし 漫画:鈴木マサカズ『ダンダリン一〇一』(講談社モーニングKC、2010年)ISBN 978-4063729436
脚注
注釈
- ^ 研修会社自ら「地獄」と謳っている[PR 4]。
- ^ 軍隊式、自己否定と人格改造を主眼とした外部研修会社の研修の内容の様子がテレビで放映された[PR 5]。
- ^ ICレコーダーなどのデジタル機器による録音(MP3などの形式)ではコンピュータで音声を容易に改竄できるため、裁判時の証拠として認められない場合もある。
- ^ クライアント側のブラウザで、プライバシーモード(プライベートブラウジング)にすれば履歴やキャッシュが残りにくくなるが、サーバ側でアクセスした端末のIPアドレス・日時・サイトが記録されるため、完全には履歴を消去できない。
- ^ 芸能人の「付き人」制度自体も付き人が「労働者」か「手伝い」なのか立ち位置がはっきりしていないため、ブラックといわれている。詳しくは同項目付き人参照。
- ^ 営業社員が自社製品を自分や家族名義を用いて自腹で購入したり契約を結ぶ隠語のこと。悪質なものになると金銭だけを支払わせて「購入した」事実だけを作り、製品を渡さない場合もある。
- ^ 悪質なものになるとノルマの達成・未達成にかかわらず給与の自主返納が社内全体の暗黙のルールのようになっており、それが「当たり前」になっている場合もある
- ^ 離職率などを公開し、自らをブラック企業と称した採用サイトも存在する[PR 8]
- ^ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に基づく「遊技場」にはゲームセンター、雀荘、カラオケボックスなども含まれるため、適用範囲が広くなる。
- ^ 「年齢の下限」による制限がある場合(18歳以上でないと普通免許や国家資格が取得できない)など。
- ^ 派遣後に正社員や契約社員などとして派遣先企業に直接雇用を前提としているため、個人特定行為が認められている。
- ^ これは「内定切り」として卒業寸前の大学生や専門学校生などが企業の内定を得ていながらリーマンショックや東日本大震災など不況によって多くの学生が内定切りを受けて社会問題化したのが有名だ。
- ^ 「職場でのできごとを毎日書き込むことで、『しごとダイアリー』はそのまま強力な「法的証拠」になります。・・・・つまり、ブラック企業と実際に戦うための最良の武器なのです」[19]
出典
- ^ a b “説明会や就活サイトより「ブラック企業」見抜けるアイテム”. AERA dot.. AERA. (2014年1月15日) 2018年3月27日閲覧。
- ^ 武神健之 (2017年10月26日). “ブラック企業に就職してしまった! まさかの事態に産業医が勧める3つの処方箋”. ハーバー・ビジネス・オンライン. 扶桑社. 2017年11月8日閲覧。
- ^ a b c 谷本寛治『CSR 企業と社会を考える』NTT出版ライブラリーレゾナント25、2006年、71頁
- ^ 今野晴貴『ブラック企業―日本を食いつぶす妖怪』文春新書、2012年、187頁
- ^ 2013年12月29日南日本新聞社説「[ブラック企業 根絶へ向け対策を急げ」]
- ^ NHK ドキュメンタリーWAVE - “ブラック企業”と闘う 〜非正規雇用の労働者たち〜
- ^ NHKドキュメンタリー - ドキュメンタリーWAVE▽“ブラック企業”と闘う〜アメリカ非正規雇用の労働者達
- ^ 2013年7月5日産経新聞記事「「ブラック企業」広まった背景は 社会問題に“成長”したスラング」
- ^ 2013年12月18日朝日新聞社説「ブラック企業 根絶のために行動を」
- ^ 今野晴貴『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』星海社新書、2013年、207頁
- ^ 現役教師が「このままでは過労死」と訴える“ブラック部活”の実態 週刊女性2017年6月6日号
- ^ a b 『ブラック企業の闇』
- ^ 部下を追い詰める「クラッシャー上司」に気をつけろ! ダイヤモンド・オンライン
- ^ 当直の割増賃金求め提訴 刈谷の女性医師「規定外の分娩、手術」中日新聞2010年9月22日[リンク切れ]
- ^ a b “低い新人の定着率 情報開示で離職抑制”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2012年11月7日) 2017年10月29日閲覧。
- ^ 「ブラック企業」見分け方学ぼう 就活学生、研究し自衛1/2 2/2 朝日新聞2011年1月14日
- ^ a b c d e "就活の落とし穴! "ブラック企業"にご用心". 週刊ニュース深読み. 1 December 2012. NHK総合。
{{cite episode}}
: 不明な引数|1=
が空白で指定されています。 (説明) - ^ ブラックバイト:横行 「契約無視」「試験前も休めず」1/2 2/2 毎日新聞2013年8月8日
- ^ 今野晴貴監修『しごとダイアリー2』、堀之内出版)
- ^ ブラック企業4000社の実態調査へ 厚労省、9月から :日本経済新聞
- ^ 自民が「ブラック企業」公表提言へ 参院選公約 :日本経済新聞
- ^ “自民、民主が公約盛り込み見送る ブラック企業「社名公表」”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2013年7月5日) 2017年10月29日閲覧。
- ^ 共産・山下氏「ブラック企業調査を」焦点採録・代表質問 - 朝日新聞デジタル
- ^ a b c 谷本寛治『CSR 企業と社会を考える』NTT出版ライブラリーレゾナント25、2006年、80頁
- ^ 谷本寛治『CSR 企業と社会を考える』NTT出版ライブラリーレゾナント25、2006年、92頁
- ^ 谷本寛治『CSR 企業と社会を考える』NTT出版ライブラリーレゾナント25、2006年、93頁
自主公表された情報源・公式サイト・プレスリリース
- ^ “「ブラック企業」批判は資本主義の精神を傷つける”. ザ・リバティweb. 幸福の科学出版 (2013年9月26日). 2013年10月31日閲覧。
- ^ 東京商工リサーチ、2011年度「コンプライアンス違反」企業の倒産動向を発表日経プレスリリース 2012年4月9日
- ^ 『しんぶん赤旗』創価学会入らぬなら昇給差別、朝礼で聖教新聞読み合わせ40人突然解雇の内装会社
- ^ 管理者養成学校 地獄の訓練
- ^ 『ブラック研修』で出鼻をくじかれる新入社員
- ^ 全日本民医連特集1口から貧困がみえる 「歯科酷書」民医連歯科の告発
- ^ 大学生向けガイド「ブラック企業の見分け方」
- ^ ブラック企業へようこそ
- ^ オレオレ詐欺の受け子とは知らず、高時給に釣られいつの間にか犯罪の加担者!?知らなかったで済まされる?
- ^ 公正な採用選考について厚生労働省
関連項目
- 中間搾取
- 大企業病
- 国際労働機関
- NPO法人労働相談センター
- ブラック企業被害対策弁護団
- パブリックアイ賞
- 外国人労働者
- 日系ブラジル人
- 経済連携協定
- 外国人研修制度 - 技能実習制度
- 公益通報者保護法
- black company