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環太平洋パートナーシップ協定

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  交渉参加国
  過去に関心を表明した国
  将来的な加盟の可能性が示唆されている国
環太平洋戦略的経済連携協定
TPP加盟国と将来の加盟国の指導者(2010年)
通称・略称 TPP
署名 2005年6月3日(ウェリントン
発効 2006年5月28日
寄託者 ニュージーランド政府
言語 英語スペイン語 相反発生の場合は英語が優先 (第20条10)
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環太平洋戦略的経済連携協定(かんたいへいようせんりゃくてきけいざいれんけいきょうてい、英語: Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement または単に Trans-Pacific Partnership、略称TPP、環太平洋連携協定、環太平洋経済連携協定、環太平洋パートナーシップ協定、環太平洋経済協定[1])は、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA) である[2]


概要

環太平洋戦略的経済連携協定は、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の経済連携協定として始まり、2006年5月に発効となった。

TPPは、2005年6月3日にシンガポールブルネイチリニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。

2010年3月から、原加盟4か国にアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4か国を加えた拡大交渉が開始された。2011年現在、アメリカオーストラリアマレーシアベトナムペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わっている。9カ国による拡大交渉は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指している[3]

2006年1月1日に加盟国間の全ての関税の90%を撤廃[要出典]。産品の貿易、原産地規則、貿易救済措置、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、サービス貿易、知的財産、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、競争政策を含む、自由貿易協定の全ての主要な項目をカバーする包括的な協定となっている。目的の一つは、「加盟国の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」である[2](CHAPTER 16 STRATEGIC PARTNERSHIP Article 16.2: Objectives 2. (d))

環太平洋パートナーシップ協定への拡大

米国の参加表明によって2010年3月から拡大交渉会合が始まり、レベルの高い自由化を目指す包括的な協定になるとされている。アジア太平洋地域の新たな経済統合の枠組みとして発展する可能性も指摘されている[4]。またTPPは原則非公開とされ全文の閲覧が行えるのは、この協定に関わる各国の3名ずつのみとなっている。 拡大交渉中のTPPについて、加盟国・交渉国に日本を加えた10か国のGDP(国内総生産)を比較すると域内GDPの91%を日本とアメリカの2か国が占めるため[5]、実質は日米のFTAだとする見方もあるが[6]、あくまで原加盟国4か国間で発効している環太平洋戦略的経済連携協定の拡大 (Expansion) である。

原協定

環太平洋戦略的経済連携協定 (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP) は、その名の通り、環太平洋の国々における (Trans-Pacific) 戦略的な (Strategic) 経済連携協定 (Economic Partnership Agreement) である。2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。

当初は、Pacific Three Closer Economic Partnership (P3-CEP) として知られ、2002年メキシコロス・カボスで開かれたAPEC首脳会議でチリ、シンガポール、ニュージーランドの3か国間で交渉が開始された。2005年4月に開かれた5回目の交渉会合で、ブルネイは完全な交渉当事者として加わった。 この成立の経緯から、この貿易圏を構成する原加盟国4か国は Pacific-4 (P4) と呼ばれるようになった。

拡大交渉中のTPP協定と区別するために、原協定 (original agreement) は、P4協定 (P4 Agreement) と呼ばれることがある。

条文は、ニュージーランド政府サイト上で公開[2]#外部リンク参照)されており、日本語への私訳も複数存在している(日本政府からは、農林水産省から第3章の仮訳が公開されているのみである)。

原協定の構成

  • 主文 (Main-Agreement)
    • 序文 (PREAMBLE)
    • 第1章 設立条項 (INITIAL PROVISIONS)
    • 第2章 一般的定義 (GENERAL DEFINITIONS)
    • 第3章 物品の貿易 (TRADE IN GOODS)
    • 第4章 原産地規則 (RULES OF ORIGIN)
    • 第5章 税関手続き (CUSTOMS PROCEDURES)
    • 第6章 貿易救済措置 (TRADE REMEDIES)
    • 第7章 衛生植物検疫措置 (SANITARY AND PHYTOSANITARY MEASURES)
    • 第8章 貿易の技術的障害 (TECHNICAL BARRIERS TO TRADE)
    • 第9章 競争政策 (COMPETITION POLICY)
    • 第10章 知的財産 (INTELLECTUAL PROPERTY)
    • 第11章 政府調達 (GOVERNMENT PROCUREMENT)
    • 第12章 サービス貿易 (TRADE IN SERVICES)
    • 第13章 一時的入国 (TEMPORARY ENTRY)
    • 第14章 透明性 (TRANSPARENCY)
    • 第15章 紛争解決 (DISPUTE SETTLEMENT)
    • 第16章 戦略的連携 (STRATEGIC PARTNERSHIP)
    • 第17章 行政および制度条項 (ADMINISTRATIVE AND INSTITUTIONAL PROVISIONS)
    • 第18章 一般的条項 (GENERAL PROVISIONS)
    • 第19章 一般的例外 (GENERAL EXCEPTIONS)
    • 第20章 最終規定 (FINAL PROVISIONS)
  • 付属書 I シンガポール (Annex I Schedule of Singapore)
  • 付属書 I ブルネイ (Annex I Schedule of Brunei Darussalam)
  • 付属書 I チリ (Annex I Schedule of Chile)
  • 付属書 I ニュージーランド (Annex I Schedule of New Zealand)
  • 付属書 II 原産地規則 (Annex II Specific Rules of Origin)
  • 付属書 III サービススケジュールその1 (Annex III Part One of the Services Schedules)
  • 付属書 IV サービススケジュールその2 (Annex IV Part Two of the Services Schedules)

拡大交渉

原協定の第20章 最終規定の第1条および第2条において、「別段の合意が無い限り、この協定に投資に関する章と金融に関する章を盛り込むことを目的として、この協定の発効(2006年5月28日)から遅くても2年後までに交渉を開始する」と定められている。これに従い協定の拡大交渉会合が開かれており、その後も続いている。

拡大交渉に伴い、拡大交渉中の協定は 環太平洋パートナーシップ協定 (Trans-Pacific Partnership, TPP) と表現されるようになったが、内容は、環太平洋戦略的経済連携協定 (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP, P4) の拡大である。

拡大交渉会合までの流れ

2008年2月4日、アメリカ合衆国通商代表部(以下、USTR)代表(当時)のスーザン・シュワブは、アメリカが投資と金融に関する交渉に参加すると表明し[7]、その後、リーマン・ショックから1週間後にあたる2008年9月22日に、USTR代表のスーザン・シュワブは、原加盟国4か国の代表と共に交渉の立ち上げの声明を出し、アメリカは最初に追加された交渉国となった[8]

翌日の2008年9月23日に、オーストラリアは参加の検討を発表した[9]

なお、アメリカは、参加表明に先立ち日本、オーストラリアなど数カ国に一緒に参加することを外交ルートなどを通じ呼びかけたが、日本は、当時の経済産業大臣・二階俊博(自由民主党・公明党の連立政権)が参加に意欲をみせたものの、同協定が原則関税撤廃であることから国内の同意が取れないと判断し、参加を見送っている。

2009年11月14日に、アメリカは改めて表明を示し、その中で、大統領バラク・オバマは初めてTPPに係合する意向を発表し、USTR代表のロン・カークは輸出拡大と雇用確保などのメリットを強く訴えている[10]

2010年3月14日に、ペルー貿易観光大臣のペレスは交渉参加を発表した[11]

拡大交渉会合の流れ

2010年3月の第1回の拡大交渉会合から、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4か国が交渉国として拡大交渉会合に加わり、2010年10月の第3回から更にマレーシアが加わった。

2010年11月14日2010年日本APECの最終日、原加盟国と交渉国の計9か国の政府首脳米大統領バラク・オバマを議長とし、「2011年のAPECまでに妥結と結論を得ることを目標にしたい」との呼びかけに賛同した[12]

2011年11月12日、ホノルルでの2011年アメリカAPECの会合で、交渉は大枠合意に至り、米大統領バラク・オバマは今後1年間での最終妥結を目指すことを明らかにした[3]

2012年11月12日の会合からカナダメキシコも正式な加盟交渉国に加わった[13]

大枠合意

2011年11月12日に拡大交渉は大枠合意に至り、輪郭が発表された[14]。その中で、以下の5つが「重要な特徴」として挙げられている。

  1. 包括的な市場アクセス(関税その他の非関税障壁を撤廃)
  2. 地域全域にまたがる協定(TPP参加国間の生産とサプライチェーンの発展を促進)
  3. 分野横断的な貿易課題(TPPに以下を取り込みAPEC等での作業を発展させる)
    1. 規制制度間の整合性:参加国間の貿易を継ぎ目のない効率的なものとする
    2. 競争力及びビジネス円滑化:地域の経済統合と雇用を促進する
    3. 中小企業:中小企業による国際的な取引の促進と貿易協定利用を支援
    4. 開発:TPPの効果的な履行支援等により、参加国の経済発展上の優先課題が前進
  4. 新たな貿易課題:革新的分野の製品・サービスの貿易・投資を促進し、競争的なビジネス環境を確保
  5. 「生きている」協定:将来生じる貿易課題や新規参加国によって生じる新しい課題に対応するため、協定を適切に更新

同大枠合意に示される以上の交渉内容の詳細については、交渉参加国から公表されていない。

守秘義務合意

2011年11月29日、ニュージーランド外務貿易省のマーク•シンクレアTPP首席交渉官は、率直かつ生産的な交渉を促進するために、通常の交渉慣行に沿って、交渉文書、政府の提案、添付資料、交渉の内容に関連した電子メール、交渉場面で交換されるその他の情報を、発効後4年間 秘密にすることに合意したことをニュージーランド公式サイトに掲載した。TPPが成立しなかった場合は、交渉の最後の会合から4年間秘匿される[15][16]。一方で、2011年10月3日、同首席交渉官は、ニュージーランド外務貿易省のウェンディ・ヒントンが、アナンド・グローバーの質問に対し、最終TPP文書は批准前の議会審査の時点で公的に利用可能になると2011年8月8日に回答したことをニュージーランド公式サイトに掲載した[17]

2012年1月27日に当時の総理大臣・野田佳彦はこれは通常の交渉の慣行に沿った扱いであるとした[18]

その後の流れ

2011年12月の第10回の拡大交渉会合の概要で、「『オブザーバー参加や交渉参加前の条文案の共有は認めない』との従来方針の再確認」と「『交渉会合中はこうした国との協議は行わない』ことで意見が一致した」となされている[19]

拡大交渉会合への参加手順

日本をはじめとした拡大交渉会合に参加していない国が、交渉国として拡大交渉会合に参加するには、現在の拡大交渉会合参加国9か国全ての承諾が必要である。なお、アメリカでは2-3か月の事前協議を経た上で、交渉開始の90日前に議会への伝達が必要とされている。

作業部会

拡大交渉会合では、以下の24の作業部会が設けられている[20]

  1. 首席交渉官会議
  2. 物品市場アクセス(農業)
  3. 物品市場アクセス(繊維・衣料品)
  4. 物品市場アクセス(工業)
  5. 原産地規制
  6. 貿易円滑化
  7. SPS(衛生植物検疫)
  8. TBT(貿易の技術的障害)
  9. 貿易救済(セーフガード 等)
  10. 政府調達
  11. 知的財産[21]
  12. 競争政策
  13. サービス(越境サービス)
  14. サービス(商用関係者の移動)
  15. サービス(金融サービス)
  16. サービス(電気通信サービス)
  17. 電子商取引
  18. 投資[22]
  19. 環境[23]
  20. 労働
  21. 制度的事項
  22. 紛争解決
  23. 協力
  24. 横断的事項特別部会

交渉会合スケジュール

TPPラウンドスケジュール
開催月 開催国 備考
2010年 3月 第1回 オーストラリアの旗 オーストラリア アメリカなど4か国が参加表明
6月 第2回 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
10月 第3回 ブルネイの旗 ブルネイ マレーシア参加表明
12月 第4回 ニュージーランドの旗 ニュージーランド
2011年 2月 第5回  チリ
3月 第6回 シンガポールの旗 シンガポール
6月 第7回  ベトナム
9月 第8回 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
10月 第9回 ペルーの旗 ペルー
12月 第10回 マレーシアの旗 マレーシア 概要
2012年 3月 第11回 オーストラリアの旗 オーストラリア 概要
5月 第12回 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 概要
7月 第13回 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 概要
9月 第14回 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 概要
12月 第15回 ニュージーランドの旗 ニュージーランド
2013年 3月 第16回 シンガポールの旗 シンガポール
5月 第17回 ペルーの旗 ペルー
7月 第18回 マレーシアの旗 マレーシア 日本参加
8月 第19回 ブルネイの旗 ブルネイ 追加開催
9月 第20回 カナダの旗 カナダ

その他会議・会合

交渉参加後発国の追加条件

後れて交渉参加を表明したカナダとメキシコが、既に交渉を始めていた九カ国から「交渉を打ち切る権利は九カ国のみにある」、「既に現在の参加国間で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できない」との追加条件を承諾した上で参加を認められていたと東京新聞は報じた(2013年3月)[30]

2013年3月8日、外務大臣の岸田文雄は、第183回国会の衆議院予算委員会にて、当事者であるメキシコやカナダ自身が自らの立場を明らかにしていない、日本はそうした条件の提示はされていないと答弁した[31]

2013年3月15日、総理大臣の安倍晋三は、メキシコとカナダに送付されたと報道されている念書は受け取っていないとしながらも、「遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは、厳然たる事実」として「だからこそ、1日も早く交渉に参加しなければならない」とした内容を参加表明と同時に発表した[32]

2013年4月18日、北海道新聞は、社説で、条件提示を政府が最近になってようやく認めたとしている[33]

2013年11月 合意条項

投資家対国家紛争解決(ISD)条項

2013年11月6日、「紛争解決」制度を導入することに合意した。この制度は、不利益を被った企業が国を訴えるルール。但し、訴訟の乱発を防ぐことが条件。日本経済新聞は、「海外進出する日本企業には追い風になりそう」と書いた[34]

ラチェット(Ratchet)条項

2013年11月23日、ラチェット条項[35]の導入に合意した。この条項は、国が自国の産業を守る為、外資を規制する等が、出来なくなる仕組み。原則、法律で再び規制すること等を禁止する。日本経済新聞は、「日本企業が安心して進出できる環境が整いそう」と報じた[36]

TPPの為替操作防止条項

2015年11月6日、米財務長官は、TPPに異例の為替関連条項が盛り込まれたことに関して発言。「貿易相手国が為替操作に従事することを防ぐ新たな手段が米政府に与えられる」として、このTPP為替条項を歓迎した[37]

また、為替の介入についての報道で、「一部の国は輸出競争力を高めるため自国の通貨を堂々と落としたりもする。 日本のアベノミクスも例外でない。為替市場への介入は程度の差があるだけだ。このため為替レート政策を含むことになればTPP妥結が難しいという観測が多かった。しかしこの部分に対する米国の立場は強硬であり、結局、相当部分が貫徹された。 」と、米国側の意見が通りTPPに為替操作防止条項が入ったと報道した[38]

各国の動向

シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国は原加盟国である。

アメリカオーストラリアベトナムペルーは参加を表明し、拡大交渉会合に第1回から参加している。

次いで、マレーシアコロンビアカナダも参加の意向を明らかにし[39]、その内、マレーシアが交渉国として認められた[40]。ただし、マレーシアでは、厚生大臣のリョウ・チョンライが米国の主張する医薬品の特許権保護期間算定方法に疑義を呈し、国益を大きく損なう、としてTPPには参加すべきでないと主張している[41]

マレーシアの旗 マレーシア
特許有効期間が現地で発売された時期から計算されるアメリカ案に対して、2012年8月6日、マレーシアのリュウ・ティオンライ厚生相は、ジェネリック医薬品の取得が遅れることを危惧し、「新薬の特許に関する米国の主張はマレーシアにマイナス」と懸念を表明している[42]
カナダの旗 カナダ
酪農などの市場開放が十分でないとの理由で2010年10月に一旦、参加を断られた[43]。その後、2012年11月に拡大交渉に参加したが[13]、カナダのファスト国際貿易相は、中国向け輸出拡大を目指す経済交流に参加する為、2014年5月19日の閣僚会合に欠席。首席交渉官が代理を務めた[44]
メキシコの旗 メキシコ
2012年11月に拡大交渉に参加した[13]
大韓民国の旗 韓国
参加に前向きな姿勢を見せていた[45]が、その後TPPへの参加が自国に不利に働くとみてアメリカとの二国間交渉に切り替え、米韓FTAで合意、妥結に至っている[46]
2011年11月16日には、韓国外交通商省が記者会見で、TPPは国益にならない、として正式に不参加の旨を明らかにした[47]
2013年11月29日、ヒョン・オソク経済副首相兼企画財政相が「(韓国政府が)まず、TPP交渉に参加することへの関心を示し、交渉参加各国との2カ国間協議を行う必要がある」と述べ、日本などTPP交渉参加国と個別協議を行う方針を表明[48]。これに対して2014年3月13日、米政府高官は、米韓自由貿易協定の問題が解決されるまで、韓国がTPP交渉に参加することは歓迎されないとの見方を示した[49]
中華人民共和国の旗 中国
関心を示し情報収集などを行っていたが、その後の判断で参加しないことを明らかにした[50]
 ベトナム
交渉国として交渉会合に参加しているものの、今後、正規の交渉メンバーとして臨む覚悟があるかどうかについて疑問視する見方もある[51]。しかし、マイケル・フロマン米通商代表はTPPで最も利益を受ける国であると重視しており[52]、甘利明TPP担当相によれば交渉でも主導的な役割を果たしており[53]世界銀行によればTPPで最も恩恵を受ける国である[54]。2014年5月19日の閣僚会合にブー・フイ・ホアン商工相は欠席し、首席交渉官が代理に出席した[44]
ブルネイの旗 ブルネイ
リム第2外務貿易相は、2014年5月19日の閣僚会合には欠席し、首席交渉官が代理として交渉に参加した[44]
 チリ
新政権が発足したばかりであった為、副大臣として交渉の責任者が、2014年5月19日の閣僚会合に参加した[44]
タイ王国の旗 タイ
2012年11月18日に、首相のインラックは米大統領バラク・オバマとの会談後の会見でTPPへの参加を表明していた[55][56]
インドネシアの旗 インドネシア
「自由化品目の割合が非常に高く、対象になった品目の関税撤廃を一気に進める」としてTPPに不参加の意向を明らかにしている[57]
2015年参加の意向を表明したことがある。
中華民国の旗 台湾
参加の意向を表明したことがある[58]
フィリピンの旗 フィリピン
参加の意向を表明したことがある[59]
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
原加盟国のニュージーランド政府は「TPPにそれほどメリットがあるとは考えていない」とアメリカの外交文書が伝えていたことがウィキリークスに暴露されている。その一方で表向きニュージーランド政府は、TPPは外交の主要な柱とすると国内の説得も行っている[60]。また同じくウィキリークスにおいて、ニュージーランドTPP主席交渉官マーク・シンクレアの「TPPが将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。もし、当初のTPP交渉8か国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば、それは日本、韓国その他の国に対して強い圧力となり、それは長期的な実質的利益となる。」とした発言が米外交公電経由で流出した[61]。当時の加盟予定国グループ内での貿易をお互いに有利にすることで、その外にある非加盟の日本、韓国その他の国の経済的優位性を奪えるという意味である。その後取材に応じた同氏は、真偽の確認を拒み、TPPの広域性の強調を繰り返した。

日本

アメリカ合衆国

アメリカ2000年以降、「Asia only」(アジアのみ)の経済ブロックを懸念していたが、TPPの拡大を進めることは「アメリカ締め出し防止」を推進するための機会にもなる[62]

2006年のAPEC首脳会議から本格化したアジア太平洋自由貿易圏 (FTAAP) 構想は、東アジア地域での経済統合にアメリカが関与する機会となる。2010年のAPEC首脳会議で、FTAAPの実現に向けた具体的な手段の基礎として、ASEAN+3ASEAN+6、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が挙げられている[63]。この3つの地域的な取り組みの中で、アメリカが直接関与できる取り組みはTPPのみである。アメリカは2008年にTPPの#拡大交渉を持ちかけ、最初に追加された交渉国となった。

サブプライム住宅ローン危機に端を発し2008年のリーマン・ショックで深刻な不況に陥ったアメリカは、2010年1月、5年間で海外輸出を二倍に増やすとする輸出倍増計画を立ち上げ、一般教書演説で大統領バラク・オバマは公にした[64][† 1](pp42-49)。輸出促進関係閣僚会議がこの計画の為に纏めた報告書では、「アメリカの経済的利益の増進を図る手段と輸出拡大のツールを生み出す」として、TPPの実現を明記しているとしている[† 1](p42)

また、同大統領は、APECに出席する為、来日した折、横浜市において輸出倍増計画の大部分はアジアにあり、アメリカにとって大きな機会、とし、TPPはその計画の一環であると演説した[† 2](pp78-80)。そのうえで国外に10億ドル輸出を増やすたびに、国内に5000人の職が維持される、と発言した[† 2](pp78-80)。また日本でのスピーチで、「巨額の貿易黒字のある国は輸出への不健全な依存を止め、内需拡大策を採るべきだ。いかなる国もアメリカに輸出さえすれば経済的に繁栄できると考えるべきではない」と発言したとしている。[† 2](pp78-80)

TPP推進のためのアメリカ企業連合

シティグループ、AT&Tベクテル、キャタピラー、ボーイング、コカ・コーラ、フェデックス、ヒューレット・パッカード、IBM、インテル、マイクロソフト、オラクル、ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、先進医療技術協会、生命保険会社協議会、ウォルマート、タイム・ワーナー、カーギル、モンサント、アメリカ大豆協会、トウモロコシ精製協会、全米豚肉生産者協議会等が参加する「TPP推進のための米国企業連合」は米国ホワイトハウスに対して、「アメリカの対外投資にとっての予測可能かつ非差別的な法的環境、強力な投資保護、市場アクセス条項、紛争解決手段を組み込むべき」等の市場アクセス、知的財産、投資、更なる貿易の簡素化、規制の調和、公正な競争の様々な要求を行なった[65]

例外要求事項

2011年3月28日に始まった第6回交渉会合で、アメリカは砂糖などを関税撤廃の例外とするよう求めている模様、と読売新聞がシンガポールからの記者の記事として報じている。これはアメリカ、オーストラリア間のFTAでは、砂糖など108品目を関税撤廃の例外としており、TPPでも同じ扱いを求める、との見方による[66]

しかし、第6回交渉会合を終えた2011年4月1日、ニュージーランドのシンクレア首席交渉官は「関税撤廃の例外は認めない」と改めて強調している[67]

2012年2月から3月にかけて、日本政府は各国との協議結果[68][69]を公表した。それによると、例外の扱いに関しては、各国での認識の相違がみられる発言がある。米国との協議結果資料においては、「日本側より、センシティブ品目の取扱いについて関税撤廃からの除外があり得るのか質問したのに対し、米側より、TPPは包括的な協定を目指している旨回答があった」と記載されている。

また、米国以外の国の発言として、「センシティブ品目の扱いは合意しておらず、最終的には交渉次第」、「全品目の関税撤廃が原則。他方、全品目をテーブルにのせることは品目の関税撤廃と同義ではない」との発言や、「90-95%を即時撤廃し、残る関税についても7年以内に段階的に撤廃すべしとの考えを支持している国が多数ある」、といった発言があった旨、記載されている。

米国内での反対の動き

2012年2月2日、ゼネラルモーターズフォード・モータークライスラーのアメリカ自動車大手3社で組織する米自動車貿易政策評議会 ( (American Automotive Policy Council, AAPC) のマット・ブラント (Matt Blunt会長は、TPP交渉への日本の参加を拒否するよう、大統領バラク・オバマに求めていることを明らかにし、「TPP交渉に日本が参加すれば、交渉が数年にわたって長引き、おそらく実を結ぶことはないだろう」と語った[70]。なお、これはUSTRが1月に意見を公募した結果でもある。

2013年10月1日、ローリー・ワラックは次のように伝えた(要旨)[71][72]

  • 米国では連邦議会がTPP草案文面を見ることが許された。
  • そこで議員たちの間では次に掲げる4点が懸念されている。
  1. 医薬品と関係する項目が大手製薬会社に有利
  2. 著作権がweb上の言論規制に利用される
  3. 食料安全基準/表示
  4. 米国ですら自由に金融政策をとれない

アメリカン大学のロースクールは、米韓FTAや偽造品の取引の防止に関する協定 (ACTA) の規定を超えた知的所有権強化を懸念し[73]、USTR代表(ロン・カーク)宛に下院議員10名による開発途上国、特にベトナムでの公衆衛生(public health)や医薬品の利用を脅かす事態を憂慮する書簡が提出されている[74]

関連資料

関係国の経済規模

人口 GDP (MER) 一人あたり
GDP (MER)
GDP (PPP) 一人あたり
GDP (PPP)
原加盟国 シンガポールの旗 シンガポール 473.7万人 1,819億ドル 38,972ドル 2,387億ドル 51,142ドル
 チリ 1724.8万人 1,695億ドル 10,121ドル 2,430億ドル 14,510ドル
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 426.6万人 1,284億ドル 30,030ドル 1,157億ドル 27,060ドル
ブルネイの旗 ブルネイ 40.0万人 145億ドル 37,076ドル 196億ドル 50,116ドル
交渉国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 3億1465.9万人 14兆2,646億ドル 46,859ドル 14兆2,646億ドル 46,859ドル
オーストラリアの旗 オーストラリア 2129.3万人 1兆0,106億ドル 47,395ドル 7,953億ドル 37,298ドル
 ベトナム 8423.8万人 898億ドル 1,040ドル 2,403億ドル 2,783ドル
ペルーの旗 ペルー 2916.5万人 1,275億ドル 4,451ドル 2,458億ドル 8,580ドル
マレーシアの旗 マレーシア 2746.8万人 2,222億ドル 8,140ドル 3,841億ドル 14,071ドル
カナダの旗 カナダ 3412.7万人 1兆5,109億ドル 46,215ドル 1兆3,032億ドル 39,182ドル
メキシコの旗 メキシコ 1億0961.0万人 1兆0,881億ドル 9,566ドル 1兆5,480億ドル 14,560ドル
日本の旗 日本 1億2805.6万人 5兆4,589億ドル 42,821ドル 4兆3,095億ドル 33,805ドル

試算

日本

PECC(太平洋経済協力会議)試算

ブランダイス大学ピータ・ペトリ教授[75]が担当したPECCの試算では、関税撤廃に加えて非関税措置の削減、サービス・投資の自由化の効果も含めて試算した。

TPP(12か国)に参加した場合は1050億ドル程度(10兆円程度,GDP比2.0%)、RCEPに参加した場合は960億ドル(GDP比1.8%)、FTAAPに参加した場合は2280億ドル(GDP比4.3%)の効果がそれぞれあるとしている[76]

ウィキリークスによる「TPPの草案」の一部公開

ウィキリークスがTPPの草案の一部を入手し書類を公開した。リークされたのは知的財産分野の条文草案で、TPP交渉会合の首席交渉官会合で配布された英文資料95ページとなっている[77][78]

文書では、以下のことが明らかになった[79]

*著作権侵害の非親告罪化
など

著作権侵害について、著作権を持っている権利者が権利侵害を申請していない状態であっても、警察などの非権利者が法的措置を実行できる「著作権侵害の非親告罪化」をし、商業的動機なく実行される著作権侵害に対しても刑事制裁を確実に適用することが見込まれている。

また、この条項について文書では米国など10カ国が賛成にまわり、日本とベトナムは反対をしていた。その他ソフトウェアの改造などの「デジタルロックの開錠」を違法とすることや安価なジェネリック医薬品などの利用が制限される提案が米国からなされている。

TPPの問題点の指摘

シドニー・モーニング・ヘラルドは公開文書から、以下の様に指摘した(2013年11月)[80]

「これは消費者の権利および利益を大きく度外視していると同時に、アメリカ政府と企業の利益を優先した内容であり、製薬企業、大手IT産業、ハリウッド音楽業界に有利な内容で、まるで大企業[81]へのクリスマスプレゼントだ」

ウィキリークスの編集長ジュリアン・アサンジは、以下の様に指摘した(2013年11月)[82][83]

「TPPによる知的財産保護の枠組みは個人の自由表現の自由を踏みにじるものだ。読む時、書くとき、出版する時、考える時、聴く時、踊る時、歌う時、発明する時、それらすべてがTPPの規制対象になる。『創作活動家』、『農家とその消費者』、また『病気を持つ人や今後病気になり得る人』がターゲットにされる」。
指摘に対するコメント

USTR米通商代表部代表のマイケル・フロマンは「ウィキリークスの公開文書から結論を導き出さないように」と発言、公開文書の信憑性についてはコメントせず、[いつ?]「合意はまだ存在せず、引き続き交渉中で最終的な条文は存在しない」と述べた[要出典]

日本のTPP担当相甘利明はウィキリークスが公開した文書について、[いつ?]公開文書の信憑性や事実関係はかなり疑わしい[要出典]」と述べた。

関連項目

脚注・注釈

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    ウィキリークス Secret Trade in Services Agreement (TISA) - Financial Services Annex 2014-06-19
    各論のドラフト Trade in Services Agreement (on 2015-06-03)

書籍

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  2. ^ a b c 中野剛志『TPP亡国論』集英社新書、2011年3月。ISBN 978-4087205848 

外部リンク

台湾民衆党