エレクトラ (ソポクレス)
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『エレクトラ』(エーレクトラー、ギリシア語: Ἠλέκτρα、ラテン語: Electra)は、古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人であるソポクレスが書いた悲劇。執筆された年は不明だが、後期の作品であると考えられている。本作の他に同じくミケーネの王アガメムノンの娘エレクトラを主役にしたエウリピデスの作品と、同じ伝説を扱っているがアガメムノンの息子のオレステースを主役に据えたアイスキュロスの作品がある。
あらすじ
トロイア戦争から帰還したアガメムノンは妻のクリュタイムネストラとその情夫アイギストスによって暗殺された。劇は暗殺されたアガメムノンの墓前にアガメムノンの遺児オレステスが現れるところから始まる。オレステスは従者に、デルフォイの神託所でアポロンから授けられた策を説明し、二人はそれを実行に向かう。
オレステスが退場するのに代わってエレクトラが登場。アガメムノンの死やオレステスの不在を嘆く。そこにエレクトラの妹クリュソテミスや母クリュタイムネストラが現れる。エレクトラと彼女らが口論したのち、使者がオレステスが競技中に事故死したとの知らせを持ってくる。知らせを聞いたクリュタイムネストラやクリュソテミスは勝ち誇りながらその場を去る。残されたエレクトラが嘆いていると、そこにオレステスが現れ、先の知らせがアポロンの策による偽報なのだと説明する。
策を知らされたエレクトラはオレステスと協力してクリュタイムネストラを殺害。さらに偽報を聞いてやってきたアイギストスも捕らえて屋敷の中に引き立てていく。コロスが二人の勝利を称えながら劇は終わる。
日本語訳
- 『エレクトラ』 山形治江訳、劇書房、2003年
- 『希臘悲壯劇 ソポクレース』 理想社、1941年
- 『ギリシア悲劇全集2』 人文書院、1960年
- 『ギリシャ悲劇全集2」 鼎出版会、1978年
- 『ギリシア悲劇2』 ちくま文庫、1986年
- 元版 『世界古典文学全集8 アイスキュロス・ソポクレス』 筑摩書房、1964年
- 『ギリシア悲劇全集4』 岩波書店、1990年
- 『古典劇大系 第一巻・希臘編1』 近代社、1925年
- 『世界戯曲全集 第一巻・希臘編』 近代社、1927年
- 『ギリシア劇集』 新潮社、1963年