2014年の御嶽山噴火
この記事は最新の出来事を扱っています。 |
2014年の御嶽山噴火 | |
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噴煙を上げる御嶽山 (2014年9月29日15時撮影) | |
火山 | 御嶽山 |
年月日 | 2014年9月27日 |
場所 | 日本 長野県・岐阜県 北緯35度53分36秒 東経137度28分45秒 / 北緯35.89333度 東経137.47917度座標: 北緯35度53分36秒 東経137度28分45秒 / 北緯35.89333度 東経137.47917度 |
影響 | 死者 : 47名[1] |
プロジェクト:地球科学、プロジェクト:災害 |
2014年の御嶽山噴火(2014ねんのおんたけさんふんか)では、2014年9月27日11時52分(日本時間)[2][3][4][5]に発生したとされる、長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山(標高3,067m)の噴火について、噴火前後からの各方面への影響・被害状況等も合わせて時系列順に説明する。
噴火活動の概要
噴煙高度は火口から最大7,000mに達したと推定される[6]。新たな火口は、1979年噴火の火口列の南西250 - 300m付近の位置に平行に複数個が形成され[7]、最初の噴火では火砕流も発生し火口南西側の地獄谷を約3km程度、火口北西側の尺ナンゾ谷にも流れ下った事が観測された[8][6][9]、27日の噴火での噴出量は50万トン程度と推定されている[10]。また、降下した火山灰を構成する粒子は大部分が変質岩片で構成され、マグマ由来の成分は検出されていないため、今回の噴火は水蒸気爆発と分析されている。なお、噴火の約11分前と噴火直後の約30分間に北東に11km 離れた高感度地震観測網の開田高感度地震観測施設(N.KADH)では火山性微動が観測されていた[11]ほか、7分前には傾斜計で山体が盛り上がる変位も観測されていた[6]。日本国内において噴火災害で死者を出したのは、1991年の雲仙・普賢岳の火砕流以来となり[12]、死者数も雲仙・普賢岳の43人を超え、戦後最悪の47人となった[1]。
時系列
下記は特に明記しない限り全て日本時間で表記する。
9月10日から9月27日11時まで
10日に火山性地震を52回、11日に85回観測、その後20回/日以下の小康状態が続いていた[13][14]。
9月27日
- 11時 - 17時までの6時間で火山性地震313回を観測[13][14]。
- 11時42分、火山性微動を観測[15][11]。
- 11時52分、噴火[2][3][4]。噴火直前まで噴火警戒レベルの設定は平常とされる1であり、登山客はほぼ無警戒の状態で被災した[16][3]。また、噴火警戒レベル3は2008年3月31日の御嶽山への噴火警戒レベル運用開始以来初であった[17]。
- 12時2分、気象庁東京航空路火山灰情報センター(東京VAAC)により、御嶽山の火山灰情報が発信される[18]。噴煙高度FL180 - 260(5,400m - 7,800m)、風速28ノット[18][4]。
- 12時36分、気象庁地震火山部により御嶽山の噴火が発表される。噴火警戒レベル3、入山規制、火口から4km程度の範囲に影響を及ぼす噴火を予想[19]。国土交通省中部地方整備局管轄の滝越カメラが南側斜面を3km超の噴煙が流れ下ったことを報告[19]。
- 13時頃、長野県木曽町観光協会が登山客2団体57人の登山客から(山小屋に)無事避難出来たとの電話連絡を受けたことを報道関係者に語る[20]。この時点で御嶽山にある複数の山小屋関係者が行政の避難指示を待つか、または避難指示を行い下山を進めていることが報道された[20]。
- 13時20分、長野県が警戒対策本部を設置。14時10分に長野県災害対策本部へ移行[21]。
- 13時23分、内閣府が情報連絡室を、警察庁が災害情報連絡室を設置[22]。
- 13時35分、気象庁の降灰予報に御嶽山の噴火発生時刻から18時までの降灰範囲予想図が初めて公開される[23]。
- 13時55分、長野県警察12名が出動[17]。
- 14時10分、長野県災害対策本部が設置される[24]。
- 14時17分、長野県警察管区機動隊員70名出動[17]。現地指揮所を田の原観光センターに設置[17]。
- 14時20分頃、長野県警が山頂付近に150人以上、御嶽剣ヶ峰山荘付近に100人以上の取り残された登山者を確認[25]。
- 14時30分、総務省消防庁が災害対策室を設置[21]。同刻、内閣府情報連絡室が官邸連絡室へ改組、警察庁災害情報連絡室が災害警備連絡室へ改組[22]。
- 14時31分、王滝村・木曽町からの要請により陸上自衛隊第13普通科連隊へ御嶽山周辺に災害派遣要請[26]。活動規模は人員約250名、車両70両、航空機7機[17]。
- 15時6分、長野県立木曽病院が医師・看護師5人で作る災害派遣医療チーム(DMAT)を出動させ、負傷者の救助活動を行うことが報道される[27]。
- 15時26分、長野県内のDMAT指定病院11箇所全てに長野県から出動要請[28]。
- 15時43分、長野県が広域災害救急医療システム(EMIS)を災害モードへ切り替え[17]。
- 18時5分、岐阜県がEMISを警戒モードへ切り替え[29]。岐阜県のEMISモードは同日22時14分に災害モードへ、28日14時29分に再度警戒モードへと切り替えられた[29]。
- 19時28分、第一回関係省庁関係局長級会議を開催[22]。
- 20時00分、長野県から近隣5県に対しDMATの派遣要請[17]。
- 20時30分、阿部守一長野県知事から消防庁長官に対し、緊急消防援助隊の派遣要請[21]。消防庁より火山性ガス検知資機材を保有する高度救助隊および山岳救助隊について、愛知県、静岡県、東京都、山梨県の4都県の消防本部に対し出動要請[29]。
- 23時00分、内閣府により長野県が御嶽山噴火の影響により長野県木曽郡の木曽町および王滝村に対し災害救助法の適用を決定したことを発表[30][31]。
- 23時41分、16人意識不明、32人重傷、死者も含む44人が視界不良などの要因により山頂付近の山小屋に留まっているとの報道があった[32]。しかしこのうち1箇所では岐阜県警の警察官3名を含む36名の安全を確認しており、二次災害のおそれもあることから翌28日朝まで対応を保留することを発表した[32]。
時刻不明
当日午後に安倍晋三首相が噴火災害に伴う救出活動のため自衛隊の派遣を指示したこと、首相と全閣僚が出席して首相官邸で対策会議を開き、関係機関が一体で救助に取り組む方針を確認したことが報道された[33]。
9月27日に長野県内の消防からは地元の木曽広域消防本部から約60名と県内13消防本部(木曽広域消防本部を除く県内全ての消防本部)から約100名が出動[21]、愛知県、静岡県、東京都及び山梨県4都県の消防本部からは長野県の27日20時30分緊急消防援助隊出動の要請を受け、合計50隊214名体制が出動[29]。このうち東京都隊の東京消防庁はハイパーレスキュー隊や山岳救助隊、航空隊など合わせて緊急消防援助隊51名を現地に派遣した[34]。岐阜県警察山岳警備隊の3人は登山客・山小屋従業員・下呂市消防本部山岳救助隊と共に山小屋の五の池小屋に残留[29]。翌28日朝、山小屋管理人および負傷者を含む登山客と共に下山した[35]。
27日中に気象庁が聞き取り調査を行った結果、岐阜県下呂市萩原町から山梨県甲府市飯田にかけての範囲で降灰が確認された[22]。
山小屋
飛騨頂上南にある山小屋の五の池小屋は27日の噴火直後から緊急の避難小屋として機能し、付近の子供も含む登山客を屋内避難させ、翌28日には管理人も含む26人が全員無事に下山した[35][36]。26人の中は重傷者2名が含まれ、鎖骨を骨折した女性1名は先に岐阜県警察ヘリで救助[29]・岐阜県高山市の病院へ搬送され、左腕を骨折した男性1名は他の24名とともに自力で下山した[37]。
同じく山頂付近の山小屋「二ノ池本館」も逃げ込んで来た登山者約50人にヘルメットを配布[38]、1時間後に噴火が小康状態になるのを待ち9合目の山小屋「石室避難小屋」へ誘導、既に100人近くが避難していた現場で合流した[39]。
9月28日
朝から警察・消防・自衛隊が合同550人体勢で救助を開始、昼前に山頂付近へ到着[40]。山頂へのヘリコプターによる救出も含め27人を救助した[41]ほか、前日山頂付近岐阜県側の山小屋に取り残されていた子供も含む登山者たち25人が朝から自力で下山を開始、岐阜県下呂市の登山口に到着した[40]。また、長野県警察本部による発表によると山頂付近で多くが火山灰に埋もれた心肺停止状態の31人を発見、このうち4人については麓に向けて搬送したが、それ以外の人たちについては検討するとし、山頂付近で有害な火山ガスが確認されたことから28日の捜索を14時に打ち切り[41]、救出活動を中断し下山を開始した[40]。このほか、27日中から山小屋で一晩を過ごした登山者などは全て下山が完了していることが警察から発表されている[42]。28日18時48分時点で行方不明者は43人にのぼっている[41]。
また、28日12時現在で長野県木曽広域消防隊は約90名体制の救助活動状況を報告[43][17]、東京消防庁及び愛知県・静岡県・山梨県の消防本部から緊急消防援助隊約210名体制、長野県内13消防本部から約100名体制の消防全体で410名体制で活動[17]。消防防災ヘリコプターが長野県側で1機、岐阜県側1機の合計2機が救急搬送に備え、それぞれ松本空港および濁河温泉高原スポーツレクリエーションセンターに待機中[17]。消防庁災害対策本部は28日12時00分時点での人的被害状況報告として長野県で負傷者30名(重症1名、中等症9名、軽症20名)・行方不明者45名、岐阜県で負傷者7名(重傷2名、軽傷5名)を報告し、建造物被害に関しては確認中とした[4]。
気象庁では、地震火山部が「御嶽山 火山の状況に関する解説情報 第11号」で、9月27日11時から24時までの火山性地震の合計回数が353回発生したことを発表[44][4]。また気象庁機動調査班が陸上自衛隊ヘリに同乗、上空から火山活動の状況を確認したほか、火山性ガスの観測を実施[4]、16時には火山噴火予知連絡会拡大幹事会を開催、見解を19時頃に発表した[4]。また、上空からの現地調査時に樹木の焦げた痕跡などを確認出来なかったことから流れ下った噴煙の温度は低いとして火砕流とは認識していなかったが、19時30分に行った火山噴火予知連絡会での会見時にはこれを翻し、低温火砕流であるとして噴火警報(火口周辺警報)に火砕流を追加[45]、対象市町村を長野県王滝村・木曽町、岐阜県高山市・下呂市の4市町村とした[22]。
12時41分に長野県は災害派遣精神医療チーム(DPAT)の派遣を決定。28日18時30分現在のDMATの派遣状況として、長野県側34チーム(長野県庁3、長野県立木曽病院28、信州大学医学部附属病院3)、岐阜県側2チーム(岐阜県庁1、岐阜大学医学部附属病院1)を報告[29]。
17時00分に長野県庁に松本文明内閣府大臣政務官を本部長とする非常災害現地対策本部を設置[22]。
警察庁では28日22時50分時点での人的被害報告として死者4人(うち23歳男性、45歳男性の2人が身元判明)、心肺停止27人、負傷者40人(長野県30人、岐阜県10人)を報告[17]。
9月29日
- 1時24分、身元不明であった死者4名の身元が判明したことが長野県警から発表された[46]。他に心肺停止状態の27名を確認、うち6人を収容[29]。
- 5時38分、長野県警察ヘリが飛行開始、現場付近の空撮映像を撮影、官邸などに配信[29]。警察庁からもヘリ1機が8時15分から映像を官邸等へ送信した[29]。
- 11時現在、負傷者は警察庁発表で63人(長野県53人、岐阜県10人)[29]。避難状況として長野県側約160人、岐阜県側30人の下山を確認しており、山小屋等に避難していた生存者は全員下山し残留者はいない[29]。
- 13時17分、木曽町の要請により、国土交通省の路面清掃車3台・散水車3台が派遣され、降灰除去作業を実施中であることを国土交通省公式Twitterが報告[47]。
- 13時30分頃、山頂付近の硫化水素濃度が高くなったことから警察や自衛隊合同の救助隊は活動を中止、下山を開始した[48]。
- 14時40分、岐阜県側のDPAT2チームが活動終了[29]。
消防は木曽広域消防本部から約60名、木曽広域消防本部以外の長野県内13本部が約110名、愛知・静岡・東京・山梨の緊急消防援助隊214名の約410名体制で救助活動、岐阜県内は28日をもって活動を終了した[29]。
9月30日以降
9月30日の救助隊人数は陸上自衛隊・警察・消防合同で後方支援も含めて850人体制、徒歩とヘリコプターによる空中支援で山頂の救助活動を行う予定だったが、早朝から再開していた救助作業を7時過ぎに中断。気象庁によると29日19時20分から30日1時15分まで火山性微動の大きな振幅が続き、一旦は収まったが6時12分より再び大きくなり、この振幅は27日夜と同程度と断定、長野県災害対策本部は再び噴火が起こるおそれ有りとして救助の中断を決定した[49]。
陸上自衛隊の活動規模は30日17時現在で人員380名、車両約85両、航空機12機となっており、松本駐屯地で人員約190名、車両約60両が待機中[22]。また、出動していた長野県・岐阜県両県のDMAT合計27チームは30日14時に活動を終了[22]。
10月1日は自衛隊、消防、警察合わせて1000人規模の体制で救出救助・捜索活動を実施[22]。これまで発見された心肺停止の被災者についてはふもとへ搬送した。土砂災害、ライフライン、通信、道路などの状況については9月30日 - 10月1日までの各省庁からの報告により被害がないことが確認された[22]。
影響
交通機関
- 道路
- 長野県内県道2路線が通行止めとなった[50][17]。長野県庁の2014年9月28日の発表では国道19号、中央自動車道の通行への影響はないとしている[51]。内閣府の発表では長野県道2路線で入山規制に伴う事前通行規制を28日14時20分から実施中としている[29]。
- 王滝村村道41号八海山より上部が通行止め、火口から4kmの範囲内は噴石の危険により立入禁止規制となっている[52]。
- 航空便
- 旅客機の航空エンジンが火山灰を吸い込むとエンジンが止まる可能性があることもあり[50]、国内航空会社は27日の噴煙情報が発信されてすぐに御嶽山上空から東に流れる噴煙を避けて迂回しつつ運航した結果、羽田空港を発着する便で最大1時間程度の遅れが発生。現地上空付近は羽田空港 - 北陸、中部国際空港 - 北海道・東北地方を結ぶ航空路となっており[53]、成田国際空港へ到着予定だった国際線2便[54]も噴火の影響を避けて関西国際空港へ目的地を変更した[55][56][57][50]。この影響で成田空港から出発する予定だった4便が欠航した[55]。
- 過去に火山灰の影響で上空を飛行中の旅客機のエンジンが全て停止した航空事故としてブリティッシュ・エアウェイズ9便エンジン故障事故の例があるほか、アイスランドの火山噴火によって航空交通が麻痺した事例もある。
- 鉄道
- JR東日本・JR東日本を始めとする鉄道各社の路線には影響が発生せず、また区間運休予定もないことが9月27日に報じられた[53]。御岳ロープウェイは27日12時55分以降運行を停止しており[17]、入山規制が解除されるまで再開しない見通しである[58]。
農作物
長野県で9月27日、白菜畑18ヘクタールに降灰が確認されたのを始めとして、被害調査を開始した[59]。同日、長野県庁農業技術課による火山灰対策に関する技術対策文書が公開。降灰による農作物への被害は相当長い期間続くおそれがあるとして対策を指導した[60]。
観光
御嶽山に近い長野県木曽町観光協会では2014年10月4日・5日に開催を予定していた開田高原そば祭り、木曽駒高原きのこまつりの2イベントを噴火に伴う影響を原因として28日に中止を発表[61][62]。
同じく御嶽山の麓にある開田高原では噴火の影響で観光客が激減[63]。降灰は1ミリあった程度だが、開田高原が閉鎖されたかどうかの問い合わせが相次ぎ、風評被害を心配し急遽公式HPを更新した[63]。
王滝村の旅館でも10月の予約客200人以上がキャンセルされた[63]。
御嶽山付近のスキー場に被害は及んでおらず[64][65]、通常通り冬へ向けて開業の準備が進められている。
在日米軍
東京都多摩地域の在日米軍横田基地は27日、降灰の影響に備えるように在日米軍に警告[66]。激しい降灰中には車両の使用を控えること、火山灰を車両の空気取入口が吸入しないようにする措置を講じると共に、清掃作業に従事する際は防護具を着用しなければならないとした[66]。この中で、火山灰は非常に強い研磨性があり、タービンその他のエンジンに損傷を与える可能性があることを指摘、2010年のアイスランドの噴火とそれによって生じた航空機の大混乱を引き合いに出し、横田基地施設関係者および近隣住民は降灰予報が変更され影響を受ける可能性が出て来た場合、暖房器具やエアコンを止める準備をしておくべきであるとした[66]。
日本国外
日本国外メディアは多くが28日(世界標準時)に速報を出しており、英国放送協会(BBC)は「43人が死亡した1991年の雲仙・普賢岳の噴火以降初となる日本での噴火死者発生であり、噴火前になぜ警報が出されなかったのかはっきりしていない」、AP通信は「救助隊が30人以上の意識不明者を山頂付近で確認」、ABCニュースは「7人救助、32人行方不明」、ロイターは「火山噴火により死者1名、30名以上負傷」、CNNは「日本の火山で噴煙により31人が死亡」などと報じた[56][57][67][68]。
29日、キャロライン・ケネディ駐日アメリカ合衆国大使が噴火の被災者に対し犠牲者の冥福を祈る声明を発表[69]。30日には大韓民国の尹炳世外務大臣が岸田文雄外務大臣宛にお見舞いのメッセージを送った[70]。
行政各省庁の対応
- 首相官邸
- 政府は29日、首相官邸危機管理センターに設置した官邸連絡室を官邸対策室へ格上げしたことを発表[71]。また御嶽山噴火に関する非常災害対策本部を設置、災害対策基本法に基づき、関係省庁会議を格上げした[72]。午後には西村康稔内閣府副大臣を団長とする調査団5名が現地をヘリで上空から視察し、長野県庁で阿部守一長野県知事に面会、全面協力を約束した[72][73]。また多数の犠牲者・行方不明者の存在に対し災害対策基本法を適用、御嶽山噴火非常対策本部を28日17時に設置、噴火に関する各省庁の対応状況の報告および今後の見通しについてを議題とした[74]
- 国土交通省
- 照明車両5台が27日夜から徒歩下山者および自衛隊等入山の支援として稼働[29][75]。
- 国土地理院は噴火周辺地域の空中写真撮影を実施、関係機関へ提供すると共に、写真から作られた正射画像をホームページ上で公開した(外部リンク参照)[29]。
- 金融庁
- 27日23時の災害救助法適用決定を受け、長野県内の関係金融機関等に対し、財務省関東財務局長野財務事務所長と日本銀行松本支店長の連名で「御嶽山噴火にかかる災害に対する金融上の措置」を発表、被災者の便宜を考慮した預金の払い戻し時の柔軟な取り扱いの適時的確な措置を講ずるよう要請[29]。
- 長野県
- 27日中に長野県健康福祉部政策課・環境部水大気環境課から噴火に伴う大気汚染による健康影響についての注意文書が発表された[79]。
- 王滝村役場では災害ボランティアの募集を行っていないことを公式HP上で公知[80]。
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
- 陸域観測技術衛星だいち2号を使用し、上空630キロメートルから噴火前27日11時23分の撮影を始めとして噴火後29日11時11分までの様子を撮影、29日に公開した[81][82]。
被害拡大の原因
噴火自体は他山の例と比較した場合小規模[38]で、1979年にほぼ同じ場所で発生した同規模の爆発では一人の死傷者も出さなかったにも関わらず、今回は日本国内では雲仙普賢岳以来、死者数は戦後最悪となる多数の人的被害を出し[1]、登山客が巻き込まれたものとしては明治以来最悪となった。これは、被害を増大する複数の要因が重なったためであった[83]。
- 噴火予知の難しさと広報の不足
- 今回の噴火は地下水がマグマに触れ、蒸発した水蒸気が圧縮されたことによる水蒸気爆発型噴火であった。9月10日には52回、翌11日には85回の火山性地震が観測されており、12日には気象庁は「火山灰等の噴出の可能性」[84]を発表し、各自治体にも通知した。しかし山の表面の膨張や火山性微動といったマグマの上昇を示すデータは観測されなかったため、警戒レベルは平常時と同じ1のままで、レベル2(火口周辺規制)には変更せず、その後地震の回数が減ったことから、自治体も注視するに留めていた。結果として登山者への喚起は特に行われず、ほとんどの登山者は噴火に対する備えや予備知識が無く、無警戒のままだった[85]。
- 気象庁火山課長の北川貞行は、「地震の回数だけで噴火の前兆と判断するのは難しい」との認識を示した[15][25][86]。
- 火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は、予知の難しさを始めとして、11日の地震が前兆であるかの保障もないとしたほか、「少しでも危険があるなら近づかないのも手」「自然現象に関しては完全に安全は有り得ない」「警戒レベルの上げ方を改善していく余地はある」などと述べ、死傷者が多数出たことに関しては「活火山に登ることはリスクがあるんだと考えて欲しい」「最低でもヘルメットは持って登るのが当然」「噴火規模の大きさで災害の大きさが決まるわけではない」などと発言した[87]。
- 登山人気
- 登山が折からのブームになっており、レジャーとしての人気が高まっていた。また、御嶽山は日本百名山であること、御嶽神社に代表される山岳信仰などで知名度が高かった[88]。さらに日本有数の高さを誇る3,000m級の高山にもかかわらず、登山の難易度は比較的低い[89]とされ、以前から家族連れなどにも人気が高い山であった。
- 発生した時期・日時と天候
- 御嶽山は紅葉の名所として知られ、特に9合目から頂上にかけての見ごろは9月下旬から10月上旬であった[90][88]。当日は土曜日、朝から天気は良好で登山しやすく[88]、「仕事終わりの前日金曜日に一泊し、翌日早朝に出発して天気の変わりやすい夕方前に下山する」という登山計画が立てやすく、近隣だけでなく遠方からも多くの登山客が訪れていた。また、発生の11時52分という時刻は、絶景を眺めながら昼食を取ろうと山頂付近に集結していた[38]。
- 火山弾・火山灰の危険
- 火口から噴出する火山弾は気象庁によれば時速720キロに達することがあり、上空から頭に飛んで来れば致命傷となる[38]。山頂付近の被災者の話では、軽トラック大の噴石も報告されている[38]。頂上付近は森林限界のため身を隠すような樹木はなく、避難場所となる小屋や御嶽神社の社務所などに逃げ込む前に多くの人が死傷した[91]。
- 火山灰の影響として、被災者が高温となった火山灰を吸い込み呼吸困難を起こした可能性があり、また一部の救助者は喉を火傷していた[38]。
- 行方不明者の把握困難
- 27日10時に長野県木曽消防本部からの情報で女性1名死亡と報道され、その後取り消しとなったり、負傷者・行方不明者の人数が錯綜した主原因として長野・岐阜の各2ルート4箇所に設置されている登山届投函ポストへの登山届の投函が任意提出であったこと、かつ記入率がそれほど高くなく、事前に記入し登山した人の実数は半数以下であったことと見ていることが28日21時に産経ニュースにより報じられた[92]。この原因により自治体は行方不明者の安否確認の根拠として山小屋の従業員や下山者への聞き取りを元にしているが、御嶽山の所在地が長野・岐阜の4市町村にまたがっていることなどの要因により断片的な情報とならざるを得ず、またそれを集約することは難しいとし、長野県は長野県側ルートから入山し岐阜県側から下山した登山者など、安否確認に不安が残る要因を取り除くために情報のすり合わせを目的として県と木曽町・王滝村間の情報集約を開始した、と報じている[92]。
- 岐阜県では北アルプスで遭難が相次いでいることを受け、入山者に登山届提出を義務付ける条例を制定する方針を2014年5月に発表し[93]、長野県も同年7月に長野県庁・岐阜県・長野県警との調整会議を開催したばかりで、施行は12月1日から2年の周知期間を予定していた。2014年7月時点で登山届の提出が義務付けられている県は富山県・群馬県の2県しかない[94]。
- 10月2日現在でも長野県対策本部は何人が入山していたかすら把握出来ておらず安否不明者数の公表は28日以降差し控えられており、専用フリーダイヤルからの情報、登山口の駐車車両の所有者情報、登山届を元に安否不明者情報を集約しているが、長野県警情報では9月30日までに死亡が確認された12人のうち5人が登山届非提出者であったことを明らかにしており、陸上自衛隊関係者も不明者と遺体の数の合致を確認出来なければ捜索の期間・範囲の設定判断が出来ないことを懸念している[95]。
脚注
- ^ a b c 御嶽山噴火の死者 警察が47人に訂正 - NHK NEWS WEB(2014年10月1日付、同日閲覧)
- ^ a b “御嶽山の火山活動解説資料” (PDF). 気象庁地震火山部 火山監視・情報センター. 2014年9月28日閲覧。
- ^ a b c d 【御嶽山噴火】噴火時刻、1分早める 気象庁が修正 - MSN産経ニュース
- ^ a b c d e f g “御嶽山噴火に係る関係省庁災害対策会議(第2回)” (PDF). 内閣府 (2014年9月28日). 2014年9月28日閲覧。
- ^ 当初11時53分とされていたが、翌日午前に気象庁が地殻変動を精査した結果、1分前の11時52分に修正された[3]。
- ^ a b c 御嶽山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会拡大幹事会見解 気象庁地震火山部火山課 平成26年9月28日
- ^ 御嶽火山の地質図(5万分の1地質図幅「御嶽山」(1988;左側)と「木曽福島」(1998;右側)を抜粋・合成した画像 産総研
- ^ 火山名 御嶽山 火山の状況に関する解説情報 第10号 気象庁
- ^ 御嶽山2014年噴火の火砕流到達範囲 (PDF) 静岡大学防災総合センター 小山真人
- ^ 御岳山2014年9月27日噴火 火山学者 早川由紀夫
- ^ a b 防災科研のHi-net高感度地震観測網で観測された御嶽山の噴火に伴う火山性微動 防災科学技術研究所 地震・火山防災研究ユニット 2014年9月29日 (PDF)
- ^ “御嶽山噴火―火山リスクの直視を”. 朝日新聞社 (2014年9月29日). 2014年10月1日閲覧。
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関連項目
- 雲仙岳の大火砕流 - 火山噴火の影響により死者を出した前例のひとつで直近の事例。
外部リンク
- 国土交通省 - 中部地方整備局
- 国土交通省外局 - 気象庁