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2008年のチベット騒乱

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ファイル:Tibet flags 02.jpg
中国領事館外から抗議する人々

2008年のチベット動乱(-どうらん)は2008年3月10日のデモから始まった。 この日は、中国支配に対する1959年のチベット蜂起の失敗を記念する49回目のチベット蜂起記念日であった。3月14日には、この抗議運動はたちまちの内に独立への呼びかけから、暴動や放火、略奪へと移行していった。抗議運動に伴い、非チベット民族集団への攻撃もまた行われている。この反抗は中国共産党の支配に対するこの20年間で最大の抵抗活動の一つであると言われている。[1]この騒乱は自治区代表が北京の全国人民代表大会の例会のために現地を離れていた週に勃発した。

チベットはその政情から、非常に不安定な地域となっている。チベットは1951年以降正式に中華人民共和国の自治区となっている。ほとんどの国家と国連により認められている一方で、事実上の状況やダライ・ラマ自身は独立の可能性をまったく除外しているにも関わらず、チベット独立の支持者らは中国の主権の合法性に疑問を呈している。

中国当局が国外および香港[2]報道機関の同地域への入境および報道を規制していることから、情報は欠乏している。エコノミスト紙の特派員ジェームズ・マイルズはその例外であり、彼は偶然に緊張の増加の時期に生じた一週間の滞在許可を承認されていた。[3][4]

ラサにおける暴動

チベット自治区

現地の目撃者の一人は、ラサにある小さな寺院の付近で、警官によりデモを停止された後に、僧侶らがパトカーに放火したと述べた。「僧侶らはまだ抵抗を続けている。パトカーと軍用車両が燃やされた。泣き叫んでいる人々がいる」と彼女は述べた。[5]この二十年間で最大の抵抗運動の最中に、ラサの最大の寺院3つが数千名の兵士と武装警官により封鎖された事から、ラサにおける緊張は高まった。報告によれば、中国当局は数百名のデモ参加者を解散させ、更に50名の僧侶を検束するために、威嚇射撃を行い、催涙弾と電気警棒を使用した。[5]AP通信に対し北京のアメリカ合衆国大使館は、ラサ市内の合衆国市民が現地の銃撃と暴動を報告していると伝えた。[6]

デモ参加者らは、中国における支配的な民族である漢民族により所有されている商店や乗用車を襲撃の対象としている様に見えた。 [7]BBCの報道によれば、デモ参加者らは漢民族により所有されている企業へ放火や略奪の矛先を向けている。[1]CNNの報道によれば、チベット人のグループから殴打された事により、漢民族の少女が入院した。[7]

エコノミスト紙によれば、「(伝統的なチベット式の刀である程度武装した)若者の小集団から、女性や子供を含む無数の群集にまで至る暴徒が、チベット地区の細い路地で暴れまわっている。彼らは商店のシャッターを叩き壊して乱入し、肉の塊からガスボンベや衣類まで、手の届く所にある物は何でも持ち去っていた。幾つかの商品が運び去られる一方で、残された商品は大通りにある大きな炎の中に投げ込まれていた」[1]「また、おもちゃ屋を略奪している幼い子供の姿を見ることも出来た」。[4]

ガーディアン紙は、外国人目撃者の証言によれば、デモ参加者は、外国人ではなく、漢民族、回族、その他の少数民族を攻撃していると報告した。[8]同紙はチベット人に所有されているホテルを除く、他の多数のホテルが襲撃され破壊されたと述べた。[8]その目撃者は、3人のデモ参加者が意識不明の男性を突き刺しているのを見たと報告した。[8]月曜日の締め切りの後に、暴動に参加した後に投降した者であれば誰でも寛大に扱う旨を、中国警察は拡声器で呼びかけた。[9]

あるチベット人は、3月14日の午後3時頃に、緑色の装甲車が群集を轢き殺しながら走り回っているところを自分の同僚が見たと述べた。後に軍用トラックは、100名以上の人々を検束するのに使われた。[10]新華社とロンドンに本拠を置くFree Tibet Campaignによれば、ラサ市内のある目撃者は、金曜日(3月14日)の夜遅くに、おそらくは勢力を増しつつあるラサの回族コミュニティへの反抗のために、暴徒がモスクに放火しているのを見た。[11][12]

月曜日に中華人民共和国の国営通信社である新華社は、学校、病院、銀行、報道施設、商店を含むラサの160箇所が暴徒により炎上したと報告した。[13]

ローマの教皇庁立外国伝道団の機関紙であるAsiaNewsは、北京当局は否定しているが、四川省アバ州にあるキルティ寺で、3月16日に、僧侶と400名の尼僧、現地のチベット人中学生を含む群集が、「自由なチベット」とダライ・ラマを支持するスローガンを讃えた後に、抗議運動の開始(3月10日)から同寺院を監視していた中国警察が、群集に発砲したと報告している。AsiaNewsによれば20名の犠牲者が確認されており、その内9名の身元が特定された。それらの犠牲者には15歳と17歳の少年も含まれている。[14]

イギリスの新聞タイムズ紙は、3月18日に準憲兵隊が爆破され、4人の隊員が負傷あるいは死亡したと報告した。その後に、警官隊は暴徒を解散させるために催涙弾を発射しながら現場に急行した。[15]

チベットから帰国した欧米の旅行者が、抗議運動の数日間に見出された暴力のレベルについて述べている。ある欧米人旅行者は、群集に声援されたチベット人のグループにより、中国人が殴打されたり、死ぬまで投石される様子を見たと述べた。ある者はそのような暴行が、高齢者に対しても行われたと主張している。[16][17]

チベットから帰国したカナダ人旅行者ジョン・ケンウッドは、タイムズ紙に彼の経験を述べている。「それがどちらの側で発生したのかを見定めるのは困難であり、チベット人には彼ら自身の文化があるのに私は同意しますが、人々がやった事には同意できません。しばらくの後には、それはもうチベットの自由のための行為ではなくなっていました」[16]

関連項目

出典

  1. ^ a b c "Deaths reported in Tibet protests", BBC News, 15 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  2. ^ "HK journalists thrown out of Tibet", The Standard, 18 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  3. ^ "Monks on the march", The Economist, 13 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  4. ^ a b "Fire on the roof of the world", The Economist, 14 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  5. ^ a b "Tibetan protests turn violent", Al Jazeera, 14 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  6. ^ "Shops on fire amid Tibet protests", BBC News, 14 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  7. ^ a b "Clashes leave 10 dead in Tibet", CNN, 15 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  8. ^ a b c "['http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/15/tibet.china2 Oh my God, someone has a gun ...']", The Guardian, 15 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  9. ^ "Tibetan prisoners are paraded on trucks as China tightens its grip", The Times, 18 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  10. ^ "Armored vehicle 'plowed into protesters' in Tibet", Yomiuri Shimbun, 17 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  11. ^ "Turmoil in Tibet after deadly violence", Yahoo! News, 14 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  12. ^ "Uneasy calm follows Tibet rampage", Yahoo! News, 15 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  13. ^ "China's premier blames Dalai Lama 'clique' for violence in Tibet", CNN, 18 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  14. ^ "Photos of the massacre in Tibet", AsiaNews.it, 18 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  15. ^ "Bomb attack on police in Tibet as China issues wanted list of 12", The Times, 19 March 2008. Retrieved on 2008-03-19.
  16. ^ a b http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,25197,23401794-25837,00.html The Australian. Tourists tell of Tibetans' violence] Mar 19, 2008
  17. ^ The Telegraph. Tibetans attacked Chinese, say Lhasa tourists Mar 19, 2008