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火縄銃 (江戸川乱歩)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

火縄銃』(ひなわじゅう)は、江戸川乱歩の著した短編探偵小説である。

1932年昭和7年)、平凡社版『江戸川乱歩全集』第11巻に掲載されたが、乱歩自身による自注自解、および角川文庫の解説によると、本作は乱歩が早稲田大学在学中の大正2年(1913年)から大正3年(1914年)頃に日記帳の余白に書き留めて置いたものだという。『探偵小説四十年』では、1915年頃の執筆としている[1]

登場人物

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主人公で語り部の学生。
橘 梧郎(たちばな ごろう)
「私」の友人で探偵趣味のある学生。
林 一郎(はやし いちろう)
「私」の友人で、二郎の義兄。
林 二郎(はやし じろう)
一郎の義弟。義兄とは仲が悪い。
刑事
事件の捜査をしている田舎刑事。

あらすじ

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冬の小春日和のある日、わたしは友人の橘と共に、林兄弟の滞在しているホテルへ遊びに来た。ところが、一郎は殺されていた。その嫌疑者として義弟の二郎が勾引されたが、探偵趣味のある橘は二郎は犯人ではないと主張したのであった。一体何を根拠に橘はそういったのであろうか。

トリック

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モーリス・ルブランの『八点鐘』(1922年)中の「水壜」や、メルヴィル・デイヴィスン・ポーストの『アブナー伯父』(1918年)の「ズームドルフ事件」と同じトリックが用いられている。桃源社版『江戸川乱歩全集』(1963年)の「あとがき」では「トリックだけではポーストや、ルブランに先んじていたわけである」と自慢しているが[2]、『探偵小説四十年』では「私の着想は西洋の犯罪実話から来たのだから、余り威張れない」[1] と述べている。なお、「ズームドルフ事件」の初出は『サタデー・イヴニング・ポスト』1914年7月18日号である[3]

出版

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  • 角川文庫 『三角館の恐怖』 1974年1月
  • 河出文庫「江戸川乱歩コレクションⅥ 謎と魔法の物語 自作に関する解説」1995年5月
  • 『江戸川乱歩全集 第8巻 目羅博士の不思議な犯罪』(光文社〈光文社文庫〉、2004年)

注釈

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  1. ^ a b 『江戸川乱歩全集 第28巻 探偵小説四十年(上)』(光文社〈光文社文庫〉、2006年), p. 39.
  2. ^ 『江戸川乱歩全集 第8巻 目羅博士の不思議な犯罪』(光文社〈光文社文庫〉、2004年), p. 392.
  3. ^ 平山雄一「註釈」『江戸川乱歩全集 第8巻 目羅博士の不思議な犯罪』(光文社〈光文社文庫〉、2004年), pp. 753-754. 新保博久「註釈」『江戸川乱歩全集 第28巻 探偵小説四十年(上)』(光文社〈光文社文庫〉、2006年), p. 805.

外部リンク

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