コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

池宮彰一郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
池宮 彰一郎/池上 金男
誕生 (1923-05-16) 1923年5月16日
日本の旗 日本東京都
死没 (2007-05-06) 2007年5月6日(83歳没)
職業 小説家脚本家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
ジャンル 歴史小説
主な受賞歴 新田次郎文学賞(1993年)
柴田錬三郎賞(1999年)
ウィキポータル 文学
テンプレートを表示

池宮 彰一郎(いけみや しょういちろう、1923年5月16日 - 2007年5月6日)は、日本脚本家小説家

本名の池上 金男(いけがみ かねお)で脚本家として活動、『十三人の刺客』など数多くの映画・テレビドラマの制作に関わった。1992年に小説『四十七人の刺客』を発表して以降、池宮彰一郎のペンネームを用いて歴史小説を著したが、2002年に司馬遼太郎作品との類似問題により活動をほぼ停止した。 作家の池上司は息子。

経歴

[編集]

東京府に生まれる。静岡県沼津市に育ち、静岡県立沼津商業学校(現・静岡県立沼津商業高等学校)を卒業する。

第二次世界大戦中は満州陸軍に徴兵される。兵舎に放火して南方送りとなり、ペリリュー島逆上陸作戦に参加、3000名いた部隊で生き残ったのは20~30名だったという。その後、台湾に引き上げる際も輸送船が撃沈され、またもや生還率1%以下の中で生き残った。

復員後は東京地方裁判所の書記官となるが退職、三村伸太郎への師事を経て、映画脚本家となる。本名の池上金男名義で脚本を書き、『十三人の刺客』『大殺陣』で京都市民映画脚本賞を受賞する。

1992年、69歳の時に池宮彰一郎として執筆した、小説家としては遅いデビュー作『四十七人の刺客』で新田次郎文学賞を受賞する。1999年、『島津奔る』で柴田錬三郎賞を受賞する。脚本作家である経歴を生かし、特に戦争や戦闘のシーンにおいて軽妙で迫力のある文章を得意として、人気を博した。

司馬遼太郎を深く尊敬しており、口演にて「日本の小説は私小説が主体であったが、司馬遼太郎の歴史小説は大河的であり、日本の小説の流れを変えた作家であった」との内容を述べている。また、「歴史小説はそれまでの歴史考証にとらわれ過ぎてもならないし、逆に歴史を全く無視してもならない」と述べ、独自の歴史考証を行うことで新感覚の歴史小説を生み出していた。特に『四十七人の刺客』では大胆な考証を多数織り交ぜ、映画化を果たしたこともあり話題となった。

作品全体を見れば独自の視点を沢山盛り込んでおりクリエイティブな作家であったが、デビュー時すでに老齢であり作品数には限界があった。さらに晩年、著作の文章の一部に他の作家の作品との類似が指摘され、以下のような盗作疑惑が持ち上がることとなった。

盗作疑惑

『遁げろ家康』(朝日新聞社)は司馬遼太郎の『覇王の家』との類似点を指摘され、2002年12月25日に絶版・回収となる。同じく『島津奔る』(新潮社)も司馬の『関ヶ原』との類似の問題で、2003年4月3日に絶版・回収となった。池宮は、「家内の病気や引っ越し、連載が重なり混乱し、資料と先輩作家たちの作品が混ざってしまった。自戒の意味から絶版をお願いした」とのコメントを発表した。ネタ元があまりにも有名すぎるだけに、この弁明にはある程度の信憑性もあるが、一方で話題性も大きく、作家生命を痛撃することになった。結果として、司馬遼太郎財団から、著作権侵害の訴訟等は起こされなかった。

この2作以外にも「類似」を指摘する声があり、事件以後は連作の『平家』を除いて新作が出版されることはなかった。ただし、その後も『密約―西郷と大久保』を雑誌『野性時代』に連載していたが、第一部で未完となった。

2007年5月6日午後8時26分、肺癌のため自宅で死去した。享年83。

受賞歴

[編集]

脚本家・池上金男としての受賞

小説家・池宮彰一郎としての受賞

主要作品

[編集]

映画脚本

[編集]

池上金男名義。

テレビドラマ脚本

[編集]

池上金男名義。

小説

[編集]

池上金男名義。

  • 『限りなき一つの道』(1979年、祥伝社
  • 『幻の関東軍解体計画』(1982年、祥伝社)→後に池宮彰一郎名義で『事変 リットン報告書ヲ奪取セヨ』として加筆出版(新潮文庫、のち角川文庫
  • 『鉄血の島 沖縄に燃えるいのち…』(1985年、東洋堂企画出版社)

以下、池宮彰一郎名義。各文庫化され、数作品が角川文庫で再刊

その他の著書

[編集]

池宮彰一郎名義。

  • 『池宮彰一郎が語る忠臣蔵のすべて』(PHP研究所、1994年)→後に再構成の上『忠臣蔵夜咄』に改題再刊
    • 『忠臣蔵夜咄』(角川書店 2002年、角川文庫、2006年)
  • 『義、我を美しく』(新潮社、1997年、新潮文庫、2000年)
  • 『池宮彰一郎 戦国歴史舞台を歩く』(毎日新聞社、2001年)
  • 『大将論』(朝日新聞社、2002年)

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]