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水酸化白金(II)
水酸化白金(II) Platinum(II) hydroxide
特性
化学式
Pt(OH)2 , PtO・H2 O
モル質量
227.331 g/mol
外観
黒色の粉末
密度
酸化白金(IV) と同等
融点
°C ( K) (分解)
沸点
°C ( K)
熱化学
標準生成熱 Δf H o
−351.9 kJ mol−1 [ 1]
危険性
引火点
K (;°C )
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
水酸化白金(II) は、白金 の水酸化物 で、化学式Pt(OH)2 で表される物質である
空気を遮断してテトラクロリド白金(II)酸カリウム 水溶液に熱水酸化カリウム 水溶液を作用させると沈殿する[ 2] 。
[
PtCl
4
]
2
−
+
2
OH
−
⟶
Pt
(
OH
)
2
(
s
)
+
4
Cl
−
{\displaystyle {\ce {[PtCl4]^{2-}\ + 2 OH^- -> Pt(OH)2(s)\ + 4 Cl^-}}}
黒色の粉末で、空気中では容易に酸化され酸化白金(IV)水和物となる。室温で生成した沈殿は、ほぼ PtO・2H2O の組成に相当し、200 - 250℃で水和水をほぼ失うが300℃でも完全には脱水できず、分解反応も進行する。
過酸化水素 と接触すると還元 されて、白金となる。
Pt
(
OH
)
2
+
H
2
O
2
⟶
Pt
+
2
H
2
O
+
O
2
{\displaystyle {\ce {Pt(OH)2\ + H2O2 -> Pt\ + 2 H2O\ + O2}}}
熱アルカリ水溶液や塩酸によって白金(II)化合物を生成するが、一部、不均化 が起こり、微粉末状の白金および白金(IV)化合物を生成する。酢酸 およびシュウ酸 などの有機酸を酸化して二酸化炭素 を生成する[ 2] 。
溶解度積 は 1×10^{-35} 程度と水酸化物としては非常に小さい[ 3] 。
Pt
(
OH
)
2
(
s
)
⇄
Pt
2
+
(
aq
)
+
2
OH
−
(
aq
)
,
{\displaystyle {\ce {Pt(OH)2(s)\ \rightleftarrows \ Pt^{2+}(aq)\ +2OH^{-}(aq)\ ,\ }}}
K
s
p
=
1
×
10
−
35
{\displaystyle K_{sp}=1{\times }10^{-35}}
^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem . Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
^ a b 『化学大辞典』 共立出版、1993年
^ 日本化学会編 『化学便覧 基礎編 改訂2版』 丸善、1975年