横須賀火力発電所
横須賀火力発電所 | |
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横須賀火力発電所(2010年3月) | |
正式名称 | JERAパワー横須賀合同会社横須賀火力発電所 |
国 | 日本 |
所在地 | 神奈川県横須賀市久里浜9-2-1 |
座標 | 北緯35度12分56秒 東経139度42分59秒 / 北緯35.21556度 東経139.71639度座標: 北緯35度12分56秒 東経139度42分59秒 / 北緯35.21556度 東経139.71639度 |
現況 | 運転中 |
運転開始 |
新1号機:2023年6月30日 新2号機:2023年12月22日 |
運転終了 |
1号機:2004年12月20日 2号機:2006年3月27日 3号機~8号機:2017年3月31日 1、2号GT:2017年3月31日 |
事業主体 |
新1号機:JERAパワー横須賀合同会社 東京電力 |
発電所 | |
主要動力源 |
新1号、2号機:石炭 1、2号機:重油 3~8号機:重油、原油 1号GT:軽油 2号GT:都市ガス、軽油 |
発電機数 | 2基 |
熱効率 |
新1号機:43.0%(HHV) 新2号機:43.0%(HHV) 1、2号機:42.4%(LHV) 3~8号機:42.2%(LHV) 1号GT:24.2%(LHV) 2号GT:32.8%(LHV) |
発電量 | |
定格出力 | 総出力:130万kW |
ウェブサイト JERA 横須賀火力発電所 | |
2023年7月1日現在 |
種類 | 合同会社 |
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本社所在地 | 神奈川県横須賀市久里浜9丁目2番1号 |
設立 | 2017年3月 |
業種 | 電気・ガス業 |
法人番号 | 9010003025076 |
外部リンク | http://jera-yokosuka.co.jp/ |
横須賀火力発電所(よこすかかりょくはつでんしょ)は神奈川県横須賀市久里浜にあるJERAグループの石炭火力発電所。JERAパワー横須賀合同会社が運営する。元は東京電力の発電所であった。
概要
[編集]東京電力が1957年に建設を開始し、1960年に1号機が運転を開始、8号機までとガスタービン発電設備2基が建設された。1961年、2号機を建設していた最中にボイラーが崩壊して10人が死亡、3人が重軽傷を負う災害も発生している[1]。
8号機完成後は、当時世界最大の出力を持つ火力発電所であったが、老朽化や燃料情勢の変化などにより5〜8号機と2号ガスタービンが2004年10月から長期計画停止(5号機以外は2005年夏季に再開するも同年10月に再度長期計画停止)となり、さらには1、2号機および2号ガスタービンが廃止された[2][3]。
2007年9月に柏崎刈羽原子力発電所停止による電力不足解消のため、7、8号機の運転を再開、一度廃止した2号ガスタービンを再稼働させたが、リーマンショック後の不況による電力需要の落ち込みや柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の再稼働を要因として、2010年4月に稼働していた全号機が長期計画停止となった[4]。
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震と津波により複数の発電施設が被災し、電力供給力が大幅に低下したため、3、4号機と1、2号ガスタービンを同年7月までに再稼働させたが[5]、被災火力発電所の復旧等により、2014年4月1日に3、4号機と1、2号ガスタービンは再び長期計画停止となった[6]。
2016年4月、東京電力の分社化により、当発電所は東京電力フュエル&パワーに移管された。2017年3月31日をもって全号機廃止となった[7]。
3号機の運転開始から50年以上が経過したため、設備更新が計画され、2019年8月、着工に至った[8]。事業主体は、株式会社JERAの100%子会社であるJERAパワーインベストメント合同会社の100%子会社(JERAの孫会社)であるJERAパワー横須賀合同会社である[9]。2023年6月30日に新1号機が[10]、同年12月22日に新2号機が営業運転を開始した[11]。
新1号機・新2号機で使用する燃料は海外炭であり、外航船から川崎港の三井埠頭・横浜港の国際埠頭に陸揚げされ、内航船に積み替えて当発電所まで輸送されている[12]。当発電所の構内には、約10万トンの石炭を貯蔵する屋内式貯炭場がある[12]。新1号機・新2号機の両機がフル稼働すると1日当たり約1万トンの石炭を消費する[12]。
発電設備
[編集]- 新1号機
- 発電方式:汽力発電方式
- 定格出力:65万kW
- 使用燃料:石炭
- 蒸気条件:超々臨界圧(Ultra Super Critical)
- 熱効率:43.0%(高位発熱量基準)
- 着工:2019年8月[8]
- 営業運転開始:2023年6月30日[10]
- 新2号機(建設中)
- 発電方式:汽力発電方式
- 定格出力:65万kW
- 使用燃料:石炭
- 蒸気条件:超々臨界圧(USC)
- 熱効率:43.0%(高位発熱量基準)
- 着工:2020年4月
- 営業運転開始:2023年12月22日[11]
廃止された発電設備
[編集]1、2号機は運転開始当初は石炭専焼であったが、のちに石油専焼に転換した。3~8号機は当初より石油専焼である。
- 発電方式:1~8号機:汽力発電方式
- (旧)1号機(廃止)
- 定格出力:26.5万kW(GE)
- 使用燃料:重油(当初は石炭)
- 熱効率:42.4%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1960年10月 - 2004年12月20日(2001年4月より長期計画停止)
- (旧)2号機(廃止)
- 定格出力:26.5万kW(東芝)
- 使用燃料:重油(当初は石炭)
- 熱効率:42.4%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1962年9月 - 2006年3月27日(2004年10月より長期計画停止)
- (旧)3号機(廃止)
- 定格出力:35万kW(GE)
- 使用燃料:重油、原油
- 熱効率:42.2%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1964年5月 - 2017年3月31日(2014年4月より長期計画停止)
- (旧)4号機(廃止)
- 定格出力:35万kW(東芝)
- 使用燃料:重油、原油
- 熱効率:42.2%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1964年7月 - 2017年3月31日(2014年4月より長期計画停止)
- (旧)5号機(廃止)
- 定格出力:35万kW(東芝)
- 使用燃料:重油、原油
- 熱効率:42.2%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1966年7月 - 2017年3月31日(2004年10月より長期計画停止)
- (旧)6号機(廃止)
- 定格出力:35万kW(東芝)
- 使用燃料:重油、原油
- 熱効率:42.2%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1967年1月 - 2017年3月31日(2005年10月より長期計画停止)
- (旧)7号機(廃止)
- 定格出力:35万kW(東芝)
- 使用燃料:重油、原油
- 熱効率:42.2%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1969年9月 - 2017年3月31日(2010年4月より長期計画停止)
- (旧)8号機(廃止)
- 定格出力:35万kW(東芝)
- 熱効率:42.2%(低位発熱量基準)
- 使用燃料:重油、原油
- 営業運転期間:1970年1月 - 2017年3月31日(2010年4月より長期計画停止)
- (旧)1号ガスタービン(非常用)(廃止)
- 発電方式:ガスタービン発電方式
- 定格出力:3万kW
- 使用燃料:軽油
- 熱効率:24.2%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1971年7月 - 2017年3月31日(2014年4月より長期計画停止)
- (旧)2号ガスタービン(廃止)
- 発電方式:ガスタービン発電方式
- 定格出力:14.4万kW
- 使用燃料:都市ガス、軽油
- 熱効率:32.8%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:1992年7月 - 2017年3月31日(2014年4月より長期計画停止)
- (2000年3月廃止、2003年7月再設置)
- (2005年10月より長期計画停止、2006年3月27日廃止、2007年9月11日再設置)
緊急設置電源
[編集]2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震と津波により複数の発電施設が被災し、電力供給力が大幅に低下したため、緊急設置電源が新設された[13]。
電力需給が逼迫した際に稼働していたが、被災火力発電所の復旧等により、2013年3月31日に3号系列が廃止、同年5月10日に5、6号系列が廃止され、当発電所の緊急設置電源は全廃された[14]。
- 総出力:32万9,600kW(全設備完成当時)
- 3号系列ガスタービン(緊急設置電源)(廃止)
- 発電方式:ガスタービン発電方式
- 定格出力:7万5,900kW
- 2万5,300kW× 3台 (リース)
- 使用燃料:軽油
- 熱効率:35.1%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:3-1~3号:2011年8月2日 - 2013年3月31日
- 5号系列ガスタービン(緊急設置電源)(廃止)
- 発電方式:ガスタービン発電方式
- 定格出力:10万2,100kW
- 2万6,300kW × 3台 (リース) ※5-1、2、4号
- 2万3,200kW × 1台 (リース) ※5-3号
- 使用燃料:軽油
- 熱効率
- 34.1%(低位発熱量基準) ※5-1、2、4号
- 32.6%(低位発熱量基準) ※5-3号
- 営業運転期間:5-1~4号:2011年8月2日 - 2013年5月10日
- 6号系列ガスタービン(緊急設置電源)(廃止)
- 発電方式:ガスタービン発電方式
- 定格出力:15万1,600kW
- 2万6,300kW × 4台 (リース) ※6-1、3、5、6号
- 2万3,200kW × 2台 (リース) ※6-2、4号
- 使用燃料:軽油
- 熱効率
- 34.1%(低位発熱量基準) ※6-1、3、5、6号
- 32.6%(低位発熱量基準) ※6-2、4号
- 営業運転期間
- 6-1~3、5、6号:2011年8月2日 - 2013年5月10日
- 6-4号:2011年6月30日 - 2013年5月10日
アクセス
[編集]横須賀線久里浜駅・京急久里浜線京急久里浜駅より野比海岸行き路線バス利用、「東電前」下車。
発電もなか
[編集]完成当時、発電所としての総出力が世界最大であったため、地元商店街の和菓子屋から地元銘菓として「発電もなか」という名称で発電機を模した形状の最中が土産品として1970年代頃から販売され人気を集めたが、2008年に和菓子店が閉店したことに伴い販売終了となった[4]。
登場作品
[編集]脚注
[編集]- ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、156頁。ISBN 9784816922749。
- ^ 横須賀火力発電所1号機および横浜火力発電所4号機の廃止について 2004年12月17日
- ^ 川崎火力発電所1〜6号機などの廃止について 2006年3月6日
- ^ a b 横須賀火力発電所、運転再開へ−地元銘菓「発電もなか」、懐かしむ声も 2011年3月28日 横須賀経済新聞
- ^ 電気の供給力確保に向けた取り組み(2) 長期計画停電発電所の運転再開
- ^ 東京電力横須賀火力発電所の長期計画停止について(報告) 2014年3月28日 横須賀市
- ^ 横須賀火力発電所3号機~8号機および1、2号ガスタービンの廃止について 2017年3月31日 東京電力フュエル&パワー株式会社
- ^ a b 株式会社神奈川新聞社 (2019年8月2日). “横須賀火力発電所が工事着手: 中止求め住民抗議”. カナロコ (株式会社神奈川新聞社)
- ^ 横須賀市. “(仮称)横須賀火力発電所新1・2号機建設計画”. 横須賀市. 2019年9月14日閲覧。
- ^ a b 横須賀火力発電所1号機の営業運転開始について
- ^ a b 横須賀火力発電所2号機の営業運転開始について
- ^ a b c 株式会社JERA. “横須賀火力発電所パンフレット”. 株式会社JERA. 2024年6月8日閲覧。
- ^ 供給力確保に向けた緊急設置電源の新設について 2011年5月6日
- ^ 東日本大震災における発電設備に関する復旧計画 (PDF)
- ^ 発電所内部のシーンは全編スタジオセットで撮影。