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業法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

業法(ぎょうほう)とは、特定の業種の営業の自由を公共の福祉のために制限する内容の法律を指す。法令用語ではなく、講学上の用語ないしは俗語である。

説明 

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日本国憲法第22条第1項は、「公共の福祉に反しない限り」という留保を附して、職業選択の自由を保障する。職業選択の自由には、自己の選択した職業を遂行する自由、すなわち、営業の自由が含まれる[1]

したがって、どのような営業を行うかについて、公権力の干渉を受けないのが原則であるが、公共の福祉のためには、営業の自由は一定の制約を受ける。他人の権利・利益を侵害するような営業は、当然、許されない。

公共の福祉に反する営業により他人の権利・利益を侵害した場合、業者は、刑事上・民事上の責任追及を受ける(刑罰損害賠償など)。理性ある業者は、刑罰や損害賠償を避けるように行動するものであるから、刑事上・民事上の責任追及には、公共の福祉に反する営業をある程度、抑止する効果がある。

しかしながら、刑事上・民事上の制度のみでは、公共の福祉は十分に実現できない。ある種の営業は、公衆に与え得る危害が重大であるため、事後的な責任追及の制度のみでは、公衆の被害を未然に防ぐのに不十分である。また、ある種の営業は、国民の生活に不可欠であるが、業者にユニバーサルサービスを刑事上・民事上の制度によって義務付けることは難しい。

そこで、行政権が、公共の福祉の増進のために、特定業種の営業に干渉する活動を行うことが正当化される場合がある。経済学でも、市場の失敗を是正することは政府の役割の一つであると説かれる。

ところで、行政権が私人の自由を侵害する場合には必ず、根拠となる法律が必要である(法律の留保)。営業の自由にも、法律の留保の原則が及ぶ。

そこで、行政権が公共の福祉の目的で営業の自由に介入する根拠となる法律が必要になる。ところで、営業の持つ社会的意義、影響などは多種多様であり、規制が必要な理由も様々であるため、どのような規制が是認されるかは、一律に論ずることができない(薬局距離制限事件最高裁判決)。したがって、根拠法は、銀行法建設業法電気事業法など、業種別に制定される。この種の法律を業法と総称する。

現行の業法

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所管府省別。複数の府省が共管する法律は重複掲載。府省は建制順、法律は題名の五十音順

医師の業務や弁護士の業務は営利目的のものではないと解される[注釈 1]ので、医師法弁護士法は業法のうちに数えていない[注釈 2]。医師以外の医療関係専門職に関する法律や弁護士以外の士業に関する法律についても同様。

廃止された業法

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注釈

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  1. ^ 商法第501条に定める絶対的商行為、商法第502条に定める営業的商行為のいずれにも該当せず、したがって営業にも該当しない。
  2. ^ 営業に該当しない行為について定めた法律は「特定の業種の営業の自由を公共の福祉のために制限する」業法に該当しない。

参考文献

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  1. ^ 芦部信喜『憲法 新版 補訂版』(岩波書店、1999年、ISBN 4-00-000647-9)p. 201

関連項目

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