松本洋一郎
生誕 | 1949年 |
---|---|
国籍 | 日本 |
教育 |
東京大学工学部卒業 東京大学大学院 工学系研究科修士課程修了 東京大学大学院 工学系研究科博士課程修了 |
業績 | |
専門分野 | 機械工学 |
勤務先 |
東京理科大学 東京大学 理化学研究所 |
成果 |
キャビテーションの研究 流体工学の医療応用の研究 生命体シミュレーターの開発 知識の構造化の研究 |
受賞歴 |
日本機械学会奨励賞(1983年) 日本機械学会論文賞(1992年・1998年・2007年) 日本機械学会会員功労者(1997年) 日本混相流学会論文賞(1998年) 日本機械学会計算力学部門功績賞(1998年) 日本機械学会流体工学部門フロンティア表彰(1999年) ターボ機械協会論文賞(2004年) カルバン・W・ライス講演賞(2005年) 山崎賞(2007年) 日本機械学会流体工学部門賞(2007年) 日本計算力学賞(2007年) 流体科学研究賞(2007年) テッド・ベリーツチコ応用力学賞(2010年) |
松本 洋一郎(まつもと よういちろう、1949年 - )は、日本の工学者(流体工学・計算力学・分子動力学・希薄気体力学・ミクロ熱流体力学・気泡力学)。学位は、工学博士(東京大学・1977年)。東京大学名誉教授。国立研究開発法人理化学研究所理事・国立研究開発法人国立がん研究センター理事(教育・評価担当)を歴任。
東京大学工学部教授、東京大学大学院工学系研究科教授、東京大学大学院工学系研究科研究科長、東京大学工学部学部長、東京大学総長特任補佐、東京大学副学長、国立大学法人東京大学理事、内閣官房医療イノベーション推進室室長などを歴任した。2018年4月1日付で東京理科大学の学長に就任し[1]、2020年4月1日付で外務大臣科学技術顧問(外務省参与)に就任した[2]。
来歴
[編集]生い立ち
[編集]東京大学に進学し、工学部の機械工学科にて学んだ[3]。1972年3月、東京大学を卒業した[3]。そのまま東京大学の大学院に進学し、工学系研究科の機械工学専門課程にて学んだ[3]。1974年3月、東京大学にて大学院の修士課程を修了した[3]。1977年3月には、東京大学にて大学院の博士課程を修了した[3]。それにともない、東京大学から工学博士の学位が授与された[3](論文タイトルは『液面燃焼伝播に関する研究』[4])。
研究者として
[編集]大学院修了後、1977年4月より、母校である東京大学にて工学部の講師を務めた[5]。1978年4月、東京大学にて工学部の助教授に昇任した[5]。学士号を得てからわずか6年、博士号を得てからわずか1年で、東京大学の助教授に就任したことになる。その後、1992年8月になって、東京大学の工学部にて教授に昇任した[5]。なお、1992年4月から1995年3月にかけて、大学院重点化のため工学系研究科が整備されたことにともない[6]、大学院の工学系研究科の教授が本務となった。工学系研究科では、主として機械工学専攻にて教鞭を執った。
2004年4月、国立大学の法人化にともない、東京大学の設置者が国から「国立大学法人東京大学」に変わったが、引き続き東京大学に勤務する。同月より、東京大学の評議員を務めるとともに、大学院の工学系研究科にて副研究科長に就任した[5]。2006年4月1日、平尾公彦の後任として、東京大学の大学院にて工学系研究科の研究科長に昇任した[7]。同時に、東京大学の工学部においても、学部長に就任した[5]。2008年4月には、東京大学の副学長に就任するとともに、総長特任補佐も兼務することとなった[5]。2009年4月、東京大学の設置者として管理・運営にあたる法人の理事にも就任した[5]。なお、教育・研究機関としての東京大学においても、引き続き副学長を務めた[5]。また、中村祐輔の退任にともない、2012年1月4日より、内閣官房の医療イノベーション推進室にて室長を兼任した[8]。この辞令は野田内閣の下で発令されたが、同月発足した野田第1次改造内閣の下でも引き続き務めた。
2015年、東京大学を退職した。その後、国立研究開発法人に移行した理化学研究所にて、2015年4月1日付で理事に就任した[9]。さらに、同じく国立研究開発法人に移行した国立がん研究センターにて、同年より理事(教育・評価担当)を務めた[10]。
研究
[編集]専門は工学であり、特に機械工学に関する研究に従事している。流体工学、計算力学、分子動力学、希薄気体力学、ミクロ熱流体力学、気泡力学といった分野の研究に取り組んでいる[11]。具体的には、混相流の研究や、キャビテーションの研究、流体工学の医療への応用の研究、さらには、生命体シミュレーターの開発や、知識の構造化の研究、といった職務に従事している[11]。
その業績は高く評価され、「液面燃焼伝ぱに関する研究」で日本機械学会奨励賞を受賞し[12][13]、「回転円盤上の薄膜形成」[14]と「自由表面を有する容器内の気泡プルームの数値解析」[15]と「クラウドキャビテーションの崩壊現象を利用した結石破砕法」[16]で、それぞれ日本機械学会論文賞を受賞した[12][17][18][19]。そのほか、日本機械学会会員功労者にも選ばれるとともに[12]、日本機械学会計算力学部門功績賞[12]、日本機械学会流体工学部門フロンティア表彰[12]、日本機械学会流体工学部門賞[12]、などを受けている。アメリカ機械学会からは、Medical Application in Fluids Engineeringにてカルバン・W・ライス講演賞を授与され[12][20]、のちにテッド・ベリーツチコ応用力学賞を授与された[12][21]。また、「気泡モデルを用いた数値解析による軸流ポンプの吸込比速度予測」[22]にてターボ機械協会論文賞を受賞し[12][23]、「気泡力学の基礎とその応用に関する研究」にて流体科学研究賞を受賞している[12][24]。それに加えて、日本混相流学会論文賞[12][25]、山崎賞[12]、日本計算力学賞[12][26][27]、といった各賞も受賞した。
学術団体としては、日本機械学会、日本流体力学会、可視化情報学会、日本混相流学会、日本伝熱学会、日本工学アカデミー、アメリカ機械学会、アメリカ物理学会、などに所属している[28]。
略歴
[編集]- 1949年 - 誕生。
- 1972年 - 東京大学工学部卒業。
- 1974年 - 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。
- 1977年 - 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。
- 1977年 - 東京大学工学部講師。
- 1978年 - 東京大学工学部助教授。
- 1992年 - 東京大学工学部教授。
- 2004年 - 東京大学評議員。
- 2004年 - 東京大学大学院工学系研究科副研究科長。
- 2006年 - 東京大学大学院工学系研究科研究科長。
- 2006年 - 東京大学工学部学部長。
- 2008年 - 東京大学総長特任補佐。
- 2008年 - 東京大学副学長。
- 2009年 - 東京大学理事。
- 2012年 - 内閣官房医療イノベーション推進室室長。
- 2015年 - 東京大学退職。
- 2015年 - 理化学研究所理事。
- 2015年 - 国立がん研究センター理事。
- 2015年 - 東京大学名誉教授。
- 2018年 - 東京理科大学学長。
- 2020年 - 外務大臣科学技術顧問(外務省参与)。
主な所属学会
[編集]- 日本機械学会(第88期会長)
- 日本機械学会計算力学部門部門長(1997)
- 日本機械学会流体工学部門部門長(2001)
- 可視化情報学会副会長・会長(2005-2006・2007)
- 日本流体力学会副会長・会長(2003・2004)
- 日本混相流学会副会長(2000)
- 日本学術会議会員
- 日本流体力学会
- 可視化情報学会
- 日本混相流学会
- 日本伝熱学会
- 日本工学アカデミー
- アメリカ機械学会フェロー(終身会員)
- アメリカ物理学会
- 日本工学教育協会(第18期会長)
- IAHR
- EUROMECHなど
賞歴
[編集]- 1983年 - 日本機械学会奨励賞。
- 1992年 - 日本機械学会論文賞。
- 1997年 - 日本機械学会会員功労者。
- 1998年 - 日本機械学会論文賞。
- 1998年 - 日本混相流学会論文賞。
- 1998年 - 日本機械学会計算力学部門功績賞。
- 1999年 - 日本機械学会流体工学部門フロンティア表彰。
- 2004年 - ターボ機械協会論文賞。
- 2005年 - カルバン・W・ライス講演賞。
- 2007年 - 日本機械学会賞論文賞。
- 2007年 - 山崎賞。
- 2007年 - 日本機械学会流体工学部門賞。
- 2007年 - 日本計算力学賞。
- 2007年 - 流体科学研究賞。
- 2010年 - APACM Award for Computational Mechanics。
- 2010年 - テッド・ベリーツチコ応用力学賞。
栄誉・叙勲
[編集]- 2015年 - 東京都功労者表彰。
著作
[編集]共著
[編集]- 小竹進ほか共著『熱流体ハンドブック――現象と支配方程式』丸善、1994年。ISBN 4621039954
- 高城敏美ほか著『燃焼・希薄流・混相流・電磁流体の解析』東京大学出版会、1995年。ISBN 4130651056
- 笠木伸英・松本洋一郎・大橋弘忠著『計算熱流体力学』岩波書店、2002年。ISBN 4000109952
- 堀井秀之ほか共著『東京大学テクノロジー&サイエンス』日経BPコンサルティング、2007年。ISBN 4861302889
編纂
[編集]- 松本洋一郎編著『マイクロバブル最前線』共立出版、2009年。ISBN 9784320081673
監修
[編集]- 松本洋一郎・小宮山宏監修、藤原毅夫・丸山茂夫・伊東乾編『知識・構造化ミッション――大学は表現する』日経BP出版センター、2005年。ISBN 4822232018
- 松本洋一郎監修、山口浩樹著『道具としての流体力学』日本実業出版社、2005年。ISBN 453403945X
寄稿、執筆等
[編集]- 矢川元基編『計算力学1――新しい応用と展開』養賢堂、1989年。ISBN 4842589124
- 保原充・大宮司久明編『数値流体力学――基礎と応用』東京大学出版会、1992年。ISBN 4130668005
- 合原一幸編著『応用カオス――カオスそして複雑系へ挑む』サイエンス社、1994年。ISBN 4781907334
- 日本機械学会編『原子・分子の流れ――希薄気体力学とその応用』共立出版、1996年。ISBN 4320081137
- 平田賢・岡本史紀責任編集『熱流体とコンピュータアナリシス』日刊工業新聞社、1997年。ISBN 4526040304
- 大宮司久明・三宅裕・吉澤徴編『乱流の数値流体力学――モデルと計算法』東京大学出版会、1998年。ISBN 4130661132
- Multiphase Flow Handbook, Clayton T. Crowe (ed.), Taylor & Francis, 2005. ISBN 9781420040470
- 日本機械学会編『機械工学便覧』基礎編α4巻、5版、丸善、2006年。ISBN 4888981353
- 日本機械学会著『計算力学ハンドブック』2巻、丸善、2006年。ISBN 4888981175
- 日本機械学会編『機械工学便覧』応用システム編γ2巻、5版、丸善、2007年。ISBN 9784888981606
脚注
[編集]- ^ 東京理科大学長に松本氏 時事通信 2017年12月13日付
- ^ 外務大臣科学技術顧問(外務省参与)の交代 外務省 2020年4月1日付
- ^ a b c d e f 「学歴」『松本/高木研究室 (松本先生)』東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室。
- ^ 国立国会図書館. “博士論文『液面燃焼伝播に関する研究』”. 2023年4月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 「職歴」『松本/高木研究室 (松本先生)』東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室
- ^ 「沿革」『東京大学工学系研究科 沿革・歴代研究科長』東京大学工学部・大学院工学系研究科。
- ^ 「歴代工学系研究科長」『東京大学工学系研究科 沿革・歴代研究科長』東京大学工学部・大学院工学系研究科。
- ^ 「【政府】イノベ室長に松本東大副学長」『【政府】イノベ室長に松本東大副学長 : 薬事日報ウェブサイト』薬事日報社、2012年1月6日。
- ^ 「就任年月日」『役員・相談役 | 理化学研究所』理化学研究所。
- ^ 「松本洋一郎(まつもとよういちろう)」『理事(教育・評価担当)松本 洋一郎|国立がん研究センター』国立がん研究センター。
- ^ a b 「専門分野」『松本/高木研究室 (松本先生)』東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 「受賞歴、表彰歴」『松本/高木研究室 (松本先生)』東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室。
- ^ 『日本機械学会賞受賞論文および製品』13頁。
- ^ 小原拓・大橋秀雄・松本洋一郎「回転円盤上の薄膜形成」『日本機械学會論文集』B編57巻543号、日本機械学会、1991年11月25日、3807-3814頁。
- ^ 松本洋一郎・村井祐一「自由表面を有する容器内の気泡プルームの数値解析」『日本機械学會論文集』B編61巻588号、日本機械学会、1995年8月25日、2818-2825頁。
- ^ 池田貞一郎ほか「クラウドキャビテーションの崩壊現象を利用した結石破砕法――第1報――クラウドキャビテーション制御手法の開発(流体工学,流体機械)」『日本機械学會論文集』B編70巻692号、日本機械学会、2004年4月25日、904-911頁。
- ^ 『日本機械学会賞受賞論文および製品』23頁。
- ^ 「最近の受賞者一覧」『shou1-97』日本機械学会。
- ^ 「2006年度(平成18年度)日本機械学会賞受賞者」『2006年度日本機械学会賞受賞者』日本機械学会。
- ^ "RECORD OF CALVIN W. RICE LECTURES AWARD RECIPIENTS", Calvin W Rice Lecture Award - ASME, American Society of Mechanical Engineers.
- ^ "Winners of the Ted Belytschko Applied Mechanics Division Award", Ted Belytschko Applied Mechanics Division Award - ASME, American Society of Mechanical Engineers.
- ^ 深谷征史・田村善昭・松本洋一郎「気泡モデルを用いた数値解析による軸流ポンプの吸込比速度予測」『ターボ機械』30巻10号、日本工業出版、2002年10月10日、16-23頁。
- ^ 「ターボ機械協会賞論文賞」『ターボ機会協会賞 受賞者一覧』ターボ機械協会。
- ^ 「流体科学研究賞」『一般財団法人 機器研究会【流体科学研究賞】』機器研究会。
- ^ 「日本混相流学会『学会賞』受賞者一覧」『日本混相流学会 -The Japanese Society for Multiphase Flow-』日本混相流学会。
- ^ 「JACM Awardsについて」『JACM:JACM賞』日本計算力学連合。
- ^ 「JACM賞」『JACM:JACM賞』日本計算力学連合。
- ^ 「主な所属学会」『松本/高木研究室 (松本先生)』東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室。
関連人物
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]学職 | ||
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先代 平尾公彦 |
東京大学大学院 工学系研究科研究科長 2006年 - 2008年 |
次代 保立和夫 |
その他の役職 | ||
先代 深野徹 |
日本機械学会流体工学部門長 2001年 - 2002年 |
次代 辻裕 |
先代 有信睦弘 |
日本機械学会会長 2010年 - 2011年 |
次代 佐藤順一 |
先代 服部拓也 |
日本工学教育協会会長 2012年 - 2016年 |
次代 小豆畑茂 |