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松本洋一郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
松本 洋一郎まつもと よういちろう
生誕 1949年
国籍 日本の旗 日本
教育 東京大学工学部卒業
東京大学大学院
工学系研究科修士課程修了
東京大学大学院
工学系研究科博士課程修了
業績
専門分野 機械工学
勤務先 東京理科大学
東京大学
理化学研究所
成果 キャビテーションの研究
流体工学の医療応用の研究
生命体シミュレーターの開発
知識構造化の研究
受賞歴 日本機械学会奨励賞1983年
日本機械学会論文賞1992年1998年2007年
日本機械学会会員功労者1997年
日本混相流学会論文賞(1998年)
日本機械学会計算力学部門功績賞(1998年)
日本機械学会流体工学部門フロンティア表彰1999年
ターボ機械協会論文賞(2004年
カルバン・W・ライス講演賞2005年
山崎賞(2007年)
日本機械学会流体工学部門賞(2007年)
日本計算力学賞(2007年)
流体科学研究賞(2007年)
テッド・ベリーツチコ応用力学賞2010年
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松本 洋一郎(まつもと よういちろう、1949年 - )は、日本の工学者流体工学計算力学分子動力学・希薄気体力学・ミクロ流体力学気泡力学)。学位は、工学博士東京大学1977年)。東京大学名誉教授。国立研究開発法人理化学研究所理事・国立研究開発法人国立がん研究センター理事(教育・評価担当)を歴任。

東京大学工学部教授、東京大学大学院工学系研究科教授、東京大学大学院工学系研究科研究科長、東京大学工学部学部長、東京大学総長特任補佐、東京大学副学長国立大学法人東京大学理事、内閣官房医療イノベーション推進室室長などを歴任した。2018年4月1日付で東京理科大学の学長に就任し[1]2020年4月1日付で外務大臣科学技術顧問(外務省参与)に就任した[2]

来歴

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生い立ち

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東京大学に進学し、工学部機械工学科にて学んだ[3]1972年3月、東京大学を卒業した[3]。そのまま東京大学の大学院に進学し、工学系研究科の機械工学専門課程にて学んだ[3]1974年3月、東京大学にて大学院の修士課程を修了した[3]1977年3月には、東京大学にて大学院の博士課程を修了した[3]。それにともない、東京大学から工学博士学位が授与された[3](論文タイトルは『液面燃焼伝播に関する研究』[4])。

研究者として

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2014年6月12日アメリカ合衆国エネルギー省副長官ダニエル・ポネマン(右)と

大学院修了後、1977年4月より、母校である東京大学にて工学部の講師を務めた[5]1978年4月、東京大学にて工学部の助教授に昇任した[5]学士号を得てからわずか6年、博士号を得てからわずか1年で、東京大学の助教授に就任したことになる。その後、1992年8月になって、東京大学の工学部にて教授に昇任した[5]。なお、1992年4月から1995年3月にかけて、大学院重点化のため工学系研究科が整備されたことにともない[6]、大学院の工学系研究科の教授が本務となった。工学系研究科では、主として機械工学専攻にて教鞭を執った。

2004年4月、国立大学の法人化にともない、東京大学の設置者から「国立大学法人東京大学」に変わったが、引き続き東京大学に勤務する。同月より、東京大学の評議員を務めるとともに、大学院の工学系研究科にて副研究科長に就任した[5]2006年4月1日平尾公彦の後任として、東京大学の大学院にて工学系研究科の研究科長に昇任した[7]。同時に、東京大学の工学部においても、学部長に就任した[5]2008年4月には、東京大学の副学長に就任するとともに、総長特任補佐も兼務することとなった[5]2009年4月、東京大学の設置者として管理・運営にあたる法人の理事にも就任した[5]。なお、教育・研究機関としての東京大学においても、引き続き副学長を務めた[5]。また、中村祐輔の退任にともない、2012年1月4日より、内閣官房の医療イノベーション推進室にて室長を兼任した[8]。この辞令は野田内閣の下で発令されたが、同月発足した野田第1次改造内閣の下でも引き続き務めた。

2015年、東京大学を退職した。その後、国立研究開発法人に移行した理化学研究所にて、2015年4月1日付で理事に就任した[9]。さらに、同じく国立研究開発法人に移行した国立がん研究センターにて、同年より理事(教育・評価担当)を務めた[10]

研究

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専門は工学であり、特に機械工学に関する研究に従事している。流体工学、計算力学、分子動力学、希薄気体力学、ミクロ流体力学、気泡力学といった分野の研究に取り組んでいる[11]。具体的には、混相流の研究や、キャビテーションの研究、流体工学の医療への応用の研究、さらには、生命体シミュレーターの開発や、知識構造化の研究、といった職務に従事している[11]

その業績は高く評価され、「液面燃焼伝ぱに関する研究」で日本機械学会奨励賞を受賞し[12][13]、「回転円盤上の薄膜形成」[14]と「自由表面を有する容器内の気泡プルームの数値解析」[15]と「クラウドキャビテーションの崩壊現象を利用した結石破砕法」[16]で、それぞれ日本機械学会論文賞を受賞した[12][17][18][19]。そのほか、日本機械学会会員功労者にも選ばれるとともに[12]日本機械学会計算力学部門功績賞[12]日本機械学会流体工学部門フロンティア表彰[12]日本機械学会流体工学部門賞[12]、などを受けている。アメリカ機械学会からは、Medical Application in Fluids Engineeringにてカルバン・W・ライス講演賞を授与され[12][20]、のちにテッド・ベリーツチコ応用力学賞を授与された[12][21]。また、「気泡モデルを用いた数値解析による軸流ポンプの吸込比速度予測」[22]にてターボ機械協会論文賞を受賞し[12][23]、「気泡力学の基礎とその応用に関する研究」にて流体科学研究賞を受賞している[12][24]。それに加えて、日本混相流学会論文賞[12][25]、山崎賞[12]、日本計算力学賞[12][26][27]、といった各賞も受賞した。

学術団体としては、日本機械学会、日本流体力学会、可視化情報学会、日本混相流学会、日本伝熱学会、日本工学アカデミーアメリカ機械学会アメリカ物理学会、などに所属している[28]

略歴

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2014年6月12日、アメリカ合衆国エネルギー省副長官ダニエル・ポネマン(右)と
外務大臣次席科学技術顧問の小谷元子とともに外務大臣の林芳正を表敬訪問(2022年6月)

主な所属学会

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  • 日本機械学会(第88期会長)
  • 日本機械学会計算力学部門部門長(1997)
  • 日本機械学会流体工学部門部門長(2001)
  • 可視化情報学会副会長・会長(2005-2006・2007)
  • 日本流体力学会副会長・会長(2003・2004)
  • 日本混相流学会副会長(2000)
  • 日本学術会議会員
  • 日本流体力学会
  • 可視化情報学会
  • 日本混相流学会
  • 日本伝熱学会
  • 日本工学アカデミー
  • アメリカ機械学会フェロー(終身会員)
  • アメリカ物理学会
  • 日本工学教育協会(第18期会長)
  • IAHR
  • EUROMECHなど

賞歴

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栄誉・叙勲

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  • 2015年 - 東京都功労者表彰。

著作

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共著

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編纂

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監修

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寄稿、執筆等

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脚注

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  1. ^ 東京理科大学長に松本氏 時事通信 2017年12月13日付
  2. ^ 外務大臣科学技術顧問(外務省参与)の交代 外務省 2020年4月1日付
  3. ^ a b c d e f 「学歴」『松本/高木研究室 (松本先生)東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室
  4. ^ 国立国会図書館. “博士論文『液面燃焼伝播に関する研究』”. 2023年4月7日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 「職歴」『松本/高木研究室 (松本先生)東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室
  6. ^ 「沿革」『東京大学工学系研究科 沿革・歴代研究科長東京大学工学部・大学院工学系研究科
  7. ^ 「歴代工学系研究科長」『東京大学工学系研究科 沿革・歴代研究科長東京大学工学部・大学院工学系研究科
  8. ^ 「【政府】イノベ室長に松本東大副学長」『【政府】イノベ室長に松本東大副学長 : 薬事日報ウェブサイト』薬事日報社、2012年1月6日
  9. ^ 「就任年月日」『役員・相談役 | 理化学研究所理化学研究所
  10. ^ 「松本洋一郎(まつもとよういちろう)」『理事(教育・評価担当)松本 洋一郎|国立がん研究センター国立がん研究センター
  11. ^ a b 「専門分野」『松本/高木研究室 (松本先生)東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m 「受賞歴、表彰歴」『松本/高木研究室 (松本先生)東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室
  13. ^ 日本機械学会賞受賞論文および製品』13頁。
  14. ^ 小原拓・大橋秀雄・松本洋一郎「回転円盤上の薄膜形成」『日本機械学會論文集』B編57巻543号、日本機械学会、1991年11月25日、3807-3814頁。
  15. ^ 松本洋一郎・村井祐一「自由表面を有する容器内の気泡プルームの数値解析」『日本機械学會論文集』B編61巻588号、日本機械学会、1995年8月25日、2818-2825頁。
  16. ^ 池田貞一郎ほか「クラウドキャビテーションの崩壊現象を利用した結石破砕法――第1報――クラウドキャビテーション制御手法の開発(流体工学,流体機械)」『日本機械学會論文集』B編70巻692号、日本機械学会、2004年4月25日、904-911頁。
  17. ^ 日本機械学会賞受賞論文および製品』23頁。
  18. ^ 「最近の受賞者一覧」『shou1-97』日本機械学会。
  19. ^ 「2006年度(平成18年度)日本機械学会賞受賞者」『2006年度日本機械学会賞受賞者』日本機械学会。
  20. ^ "RECORD OF CALVIN W. RICE LECTURES AWARD RECIPIENTS", Calvin W Rice Lecture Award - ASME, American Society of Mechanical Engineers.
  21. ^ "Winners of the Ted Belytschko Applied Mechanics Division Award", Ted Belytschko Applied Mechanics Division Award - ASME, American Society of Mechanical Engineers.
  22. ^ 深谷征史・田村善昭・松本洋一郎「気泡モデルを用いた数値解析による軸流ポンプの吸込比速度予測」『ターボ機械』30巻10号、日本工業出版、2002年10月10日、16-23頁。
  23. ^ 「ターボ機械協会賞論文賞」『ターボ機会協会賞 受賞者一覧』ターボ機械協会。
  24. ^ 「流体科学研究賞」『一般財団法人 機器研究会【流体科学研究賞】』機器研究会。
  25. ^ 「日本混相流学会『学会賞』受賞者一覧」『日本混相流学会 -The Japanese Society for Multiphase Flow-』日本混相流学会。
  26. ^ 「JACM Awardsについて」『JACM:JACM賞』日本計算力学連合。
  27. ^ 「JACM賞」『JACM:JACM賞』日本計算力学連合。
  28. ^ 「主な所属学会」『松本/高木研究室 (松本先生)東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻流体工学研究室

関連人物

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関連項目

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外部リンク

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学職
先代
平尾公彦
東京大学大学院
工学系研究科研究科長

2006年 - 2008年
次代
保立和夫
その他の役職
先代
深野徹
日本機械学会流体工学部門長
2001年 - 2002年
次代
辻裕
先代
有信睦弘
日本機械学会会長
2010年 - 2011年
次代
佐藤順一
先代
服部拓也
日本工学教育協会会長
2012年 - 2016年
次代
小豆畑茂