コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

札幌信金OL殺人事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

札幌信金OL殺人事件(さっぽろしんきんオーエルさつじんじけん)は1990年平成2年)12月に北海道札幌市西区西野で発生した殺人事件。

概要

[編集]

1990年12月19日、札幌市西区西野で札幌信用金庫(現北海道信用金庫)職員の24歳女性が行方不明になり、3日後の12月22日に自宅近くの民家軒下で刺殺体で発見された。

警察は被害女性の出身高校の2年後輩で現場近くに住んでいた無職の男N(1968年生まれ、事件当時22歳)を殺人容疑で指名手配した。N宅に「捕まらないため逃げる」との内容のメモがあったことや、現場付近に落ちていた被害女性のボストンバッグにあった預金通帳にNの指紋があったことが決め手になった[1]

しかし、Nの行方をつかめず、2005年12月19日午前0時をもって公訴時効が成立した[1][2]。奇しくもこの年、公訴時効は25年に延長されたが、遡及処罰事項が盛り込まれなかったため、2015年公訴時効→2010年公訴時効撤廃とはならず、このまま公訴時効が成立、N逮捕に至らない結果に終わってしまった[3]

その後、遺族は指名手配だったNに対し、逸失利益慰謝料など約1億340万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こす。裁判原告側は地検から入手した捜査資料のコピーなどを証拠として提出し、被告のNが出廷しないまま裁判は結審した。

2008年3月31日札幌地裁(竹田光広裁判長)は犯行を認めた上で約7497万円の支払いを命じた[4]

2017年2月7日、時効が2018年4月に迫ったとして、遺族らが時効の中断を求めて再び札幌地裁に提訴した[5]民法の規定で、確定から10年で時効となるため、損害賠償請求権を確認するための提訴となる。

しかし、Nの所在が分からないため、実際に損害回復はなされず、消滅時効が近くなるたびに延長の訴訟を提起、裁判で認められるという繰り返しとなっている。

脚注・出典

[編集]
  1. ^ a b 札幌の信金職員殺人が時効、容疑者の足取りつかめず」『読売新聞』2005年12月18日。2005年12月20日閲覧。
  2. ^ 母の思い届かず 札幌・信金職員殺害事件の時効成立」『朝日新聞』2005年12月18日。2005年12月21日閲覧。
  3. ^ 最高裁「殺人の時効撤廃、さかのぼって適用できる」なぜ「合憲」と判断したのか? - 弁護士ドットコム(参考文章は、「2010年の改正前であれば、罪に問えないケース」全文。2023年1月20日閲覧)
  4. ^ 時効の殺人、民事で認定 不明の元容疑者に賠償命令」『朝日新聞』2008年3月31日。2008年4月2日閲覧。
  5. ^ 賠償判決の時効中断求め提訴 札幌の女性殺害で遺族ら」『日本経済新聞』2017年2月7日。オリジナルの2017年2月7日時点におけるアーカイブ。

関連項目

[編集]