普明寺 (鹿島市)
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普明寺 | |
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本堂 | |
所在地 | 佐賀県鹿島市古枝甲2346 |
山号 | 円福山 |
宗派 | 黄檗宗 |
本尊 | 釈迦三尊 |
創建年 | 延宝5年(1677年) |
開山 | 桂厳明幢 |
開基 | 断橋(鍋島直孝) |
文化財 | 寺域:鹿島市指定史跡 |
法人番号 | 9300005003744 |
普明寺(ふみょうじ)は、佐賀県鹿島市にある黄檗宗の寺院。山号は円福山。本尊は釈迦三尊。
歴史・特徴
[編集]この寺は、延宝5年(1677年)肥前国佐賀藩(肥前藩)の支藩である鹿島藩の藩主鍋島直朝の長男の断橋(鍋島直孝)の開基により、桂厳明幢が開山となり創建された寺で、以後鹿島藩主の菩提寺となった[1]。
断橋が住居としていた土地約1万坪を寺域とし、5年かけて京都萬福寺に倣った黄檗宗様式の寺が造営された。入口には2つで1対の竜眼の池があり、参道は竜の首のように鍵型に曲がる。楼門をくぐった先は回廊に囲まれた中庭で、正面奥に本堂を構えている。ほかに仏堂、禅堂、方丈、鐘楼など計17の建物が伽藍を構成する。歴代鹿島藩主の墓域は本堂のさらに奥に設けられている。なお山号の円福山は、以前この地にあったという円福寺から採られている[1][2]。
南方の山の原生に近い二次林は境内付近まで連続しており、豊かな動植物相を持つ観察適地となっている[1]。佐賀県が調査を行う「佐賀県名木・古木」に登録されている巨樹や古木も複数あり、列挙すると樹高21 mのイチイガシ、推定樹齢400年の楠、樹高28 mのシイ、樹高31 mの杉、樹高25 m超のムクノキ2株がある[3]。
文化財
[編集]県指定文化財
[編集]市指定史跡
[編集]- 普明寺とその寺域[1]
その他
[編集]- 「普明寺のキンモクセイ」(1927年4月8日に「普明寺の金木犀」として国の天然記念物に指定、1986年12月1日解除[6][7]) - 本堂前の庭の一角にあった樹高約15 m・枝張り約18 m・根回り3.5 mの巨木。元禄年間に桂巌が手植えしたとの伝承があり、9月から10月になると花の芳香が遠くまで漂っていた[8][9]。1985年8月31日に台風(13号・12号)により倒れ、現在はその子木がある。その数年前の台風で根元に割れが生じていて補強されていたものの、この時根本から折れてしまった。一部は標本として鹿島市民俗資料館に展示されている[10][11]。なお、鹿島市の市の木は現在もキンモクセイとなっている[12]。
所在地
[編集]佐賀県鹿島市大字古枝字久保山
脚注
[編集]- ^ a b c d 鹿島市の文化財、p.43「普明寺とその寺域」
- ^ a b 佐賀県の歴史散歩編集委員会 編『佐賀県の歴史散歩』山川出版社、1995年、152-153頁。ISBN 4-634-29410-9。
- ^ “佐賀県名木・古木”. 佐賀県 (2023年6月14日). 2023年8月10日閲覧。
- ^ “佐賀県文化財データベース 県指定(美術工芸品の部)06”. 佐賀県 (2020年6月22日). 2023年8月10日閲覧。
- ^ 鹿島市の文化財、p.9「銅造菩薩形坐像」
- ^ 集計表 59.天然記念物(7/8)、『日本の自然環境』(文化庁編『史跡名勝天然記念物指定目録』1979年10月31日現在より)、2023年7月9日閲覧
- ^ 本間暁「樹木個体の天然記念物の変遷」『樹木医学研究』11巻第1号、2007年、doi:10.18938/treeforesthealth.11.1_27。
- ^ 『佐賀県大百科事典』、佐賀新聞社、1983年、p.726 松尾泰男「普明寺のキンモクセイ」 全国書誌番号:84038231
- ^ 『佐賀県下の文化財』 5巻、佐賀県教育庁社会教育課〈佐賀県文化財調査報告書〉、1956年3月31日(原著1956年3月31日)。doi:10.24484/sitereports.18458。 NCID BN11896364 。
- ^ 佐賀新聞朝刊、1985年9月2日付
- ^ 佐賀新聞朝刊、1994年8月28日付
- ^ “鹿島市の概要”. 鹿島市. 2023年8月10日閲覧。
参考文献
[編集]- 鹿島市の文化財、鹿島市、2023年8月10日閲覧(鹿島市教育委員会・発行『鹿島市の文化財 ふるさと歴史探訪』より抄録)