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星たちの息子 (武満徹)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

星たちの息子』(ほしたちのむすこ) は、武満徹による編曲作品。原曲は、エリック・サティ作曲の同曲から第1幕への前奏曲「天職」。1975年 (昭和50年) に編曲された。

編曲の経緯

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サティの没後50年にあたる1975年 (昭和50年)、秋山邦晴は「異端の作曲家エリック・サティ連続演奏会」を企画、東京の渋谷ジァン・ジァンで3年かけてサティの室内楽曲・器楽曲の全作品の演奏会を開いた[1][注 1]。第1回目の演奏会は、サティの誕生日である5月17日に行われ[3]、以後、大体隔月で17日に連続演奏会は続けられた[4]。ジァン・ジァンが小さな劇場だったせいもあるが、演奏会は毎回超満員だったという[4]。この連続演奏会の第2回は同年12月に公演され、その時のタイトルは「ペラダンのバラ十字教団とサティ」というもので、この演奏会のために秋山が友人の武満に編曲を依頼した[1]。演奏会の半年ほど前に秋山から依頼された武満は、3曲ある前奏曲のうち第1幕への前奏曲をフルートハープのために編曲し、秋山に手渡した[1]。武満自身、残りの2つの前奏曲を編曲する意思はあり、書かなきゃと言っていたが、結局、最初の前奏曲が編曲されただけに終わった[5]

編成

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初演

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1975年12月17日、東京・渋谷ジァン・ジァンにて、小泉浩 (フルート独奏)・木村茉莉 (ハープ独奏) により初演された[1][5]。初演は好評で、アンコールに2回演奏されたが[1]、小泉浩によるとコンサート会場は非常に暑くて難儀したという[5]

演奏時間

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約5分

出版

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ショット・ミュージック

録音

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  • Insomnia 眠れない夜、Philips PHCP-1812、ギドン・クレーメル (ヴァイオリン独奏)・吉野直子 (ハープ独奏)、1996年5月・紀尾井ホールで録音
  • 武満徹 響きの海 室内楽全集1、キングレコード KICC 581-582、小泉浩 (フルート独奏)・木村茉莉 (ハープ独奏)、2002年4月11日 東京オペラシティリサイタルホール、武満徹全室内楽曲連続演奏会 響きの海・Ⅰ、ライブ録音

脚注

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  1. ^ 演奏会は全部で12回開かれた[2]

出典

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  1. ^ a b c d e 秋山邦晴『エリック・サティ覚え書』青土社、1990年、427頁。ISBN 4-7917-5069-1 
  2. ^ アンヌ・レエ『エリック・サティ』白水社、2004年、218頁。ISBN 4-560-07371-6 (原著の発刊は1974年。)
  3. ^ レエ『サティ』p.215.
  4. ^ a b レエ『サティ』p.216.
  5. ^ a b c 武満徹 響きの海 室内楽全集1、キングレコード、KICC 581-582、ライナーノーツ