明日は遠く
「明日は遠く」はエルヴィス・プレスリーのコンピレーション・アルバム。
解説
[編集]1966年5月から1968年1月に映画とは無関係に録音され、サウンド・トラックのボーナスソングやシングルとして発表されていた曲を収録。 1966年6月10日録音の「毎日がクリスマスなら」と1967年9月11日録音の「ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン」「ウィ・コール・オン・ヒム」の3曲はクリスマス・ソング、ゴスペルであるためか収録されていない。 収録曲の録音場所は全てナッシュビルのRCAスタジオBである。 ボブ・ディランはエルヴィスの「明日は遠く」をこの曲のカバーの中で最も気に入っていると語っており[1]、私の宝物だとコメントしている[2]。 この曲は、ディラン自身のものとしては正式には録音されておらず、『グレーテスト・ヒット第2集 (アルバム)』で1963年のライヴ・バージョンが発表されているのみである。 エルヴィスは当時よく聴いていたオデッタのアルバム“Odetta Sings Dylan”でこの曲を覚えたという[3]。 「ギター・マン」はエルヴィスがラジオで聴いて気に入り、カバーすることを望んでいたが、ジェリー・リードのようなギターを再現出来なかったため、ついにジェリー・リード本人を呼ぶことにした。 釣り旅行中だったジェリー・リードがスタジオにやってきた時には、リードは1週間ほど髭を剃っておらず、古い泥だらけの服を着て現れ、フェルトン・ジャーヴィスによるとアラバマの野生人のように見えたため、エルヴィスは驚いたという[4]。 「ギター・マン」はフェードアウトして終わるが、エルヴィスはこの後に続けて「ホワッド・アイ・セイ」を歌っており、そのバージョンは『フロム・ナッシュヴィル・トゥ・メンフィス ジ・エッセンシャルズ60’sマスターズ』で発表されている。 「ギター・マン」と「ビッグ・ボス・マン」の録音後、ジェリー・リードに「ギター・マン」の版権を譲るよう交渉が行われたがリードはそれを拒否したためビジネス上のトラブルが起き、リードは帰ってしまった。 1968年1月のセッションでリードは呼び戻され録音に参加し、自作曲の「アメリカ魂」を提供している。 チャック・ベリーのカバーである「モンキー・ビジネス」では歌詞の横浜の部分をヴェトナムに変えて歌っており、時代を反映している。 「いつも夢中」と「アイル・リメンバー・ユー」は『フロム・ナッシュヴィル・トゥ・メンフィス ジ・エッセンシャルズ60’sマスターズ』と同様、オリジナル・リリースとは異なるテイク、またはバージョン(「アイル・リメンバー・ユー」は間奏等を含む、未編集のロング・バージョン)が収録されている。 「ラヴ・レター」のセッションではフロイド・クレイマーの到着が遅れたため、デヴィッド・ブリッグス(David Briggs)が代わりにピアノを弾き、 フロイド・クレイマーが到着してもエルヴィスはデヴィッド・ブリッグスにピアノを弾いてもらうように希望したため[4] 彼がそのままピアノを担当したが、1970年にデヴィッド・ブリッグスの希望で[5]再録音され『ラヴ・レター・フロム・エルヴィス』に収録された。
収録曲
[編集]Track | 録音日 | 邦題 | 曲名 | 作曲者 | 時間 |
---|---|---|---|---|---|
1. | 68/1/15 | モンキー・ビジネス | Too Much Monkey Business | チャック・ベリー | 2:32 |
2. | 67/9/10 | ギター・マン | Guitar Man | Jerry "Reed" Hubbard | 2:17 |
3. | 66/5/25 | 明日は遠く | Tomorrow Is A Long Time | ボブ・ディラン | 5:22 |
4. | 68/1/16 | アメリカ魂 | U.S. Male | Jerry "Reed" Hubbard | 2:43 |
5. | 67/9/10 | ビッグ・ボス・マン | Big Boss Man | Luther Dixon, Al Smith | 2:52 |
6. | 66/5/26 | ラヴ・レター | Love Letters | Edward Heyman, Victor Young | 2:52 |
7. | 66/6/10,12 | 青い涙 | Indescribably Blue | Darrell Glenn | 2:49 |
8. | 66/5/28 | 恋のあわてん坊 | Fools Fall In Love | Jerry Leiber, Mike Stoller | 2:07 |
9. | 67/9/11 | ハイ・ヒール・スニーカーズ | Hi-Heel Sneakers | Robert Higginbottham | 4:33 |
10. | 66/5/26 | 横丁を下って | Down In The Alley | Jesse Stone, Clovers | 2:49 |
11. | 66/5/28 | いつも夢中 | Come What May | Franklin Tableporter | 1:59 |
12. | 67/9/10 | 私のもの | Mine | Roy C. Bennett, Sid Tepper | 2:37 |
13. | 67/9/10 | ジャスト・コール・ミー・ロンサム | Just Call Me Lonesome | Rex Griffin | 2:06 |
14. | 67/9/10 | 愛しているのに | You Don't Know Me | Cindy Walker, Eddy Arnold | 2:28 |
15. | 67/9/11 | ステイ・アウェイ | Stay Away | Sid Tepper, Roy C. Bennett | 2:21 |
16. | 67/9/11 | シンギング・トゥリー | Singing Tree | A.L. Owens, A.C. Solberg | 2:18 |
17. | 68/1/15 | ゴーイング・ホーム | Going Home | Joy Byers | 2:30 |
18. | 66/6/10,12 | アイル・リメンバー・ユー | I'll Remember You | Kui Lee | 4:06 |
参加ミュージシャン
[編集]1966年5月25~28日セッション
[編集]- エルヴィス・プレスリー - Elvis Presley - ヴォーカル
- スコティ・ムーア - Scotty Moore - ギター
- チップ・ヤング - Chip Young - ギター
- ボブ・ムーア - Bob Moore - ベース
- ヘンリー・ストレゼレッキ - Henry Strzelecki - bass
- チャーリー・マッコイ - Charlie McCoy - ギター、ベース、ハーモニカ
- D.J.フォンタナ - D. J. Fontana - ドラム
- バディ・ハーマン - Buddy Harman - ドラム、ティンパニ
- フロイド・クレイマー - Floyd Cramer - ピアノ
- ヘンリー・スローター - Henry Slaughter - ピアノ、オルガン
- デヴィッド・ブリッグス - David Briggs - ピアノ、オルガン
- ピート・ドレイク - Pete Drake - スティールギター
- ルーファス・ロング - Rufus Long - サクソフォーン
- ブーツ・ランドルフ - Boots Randolph - サクソフォーン
- レイ・スティーヴンス - Ray Stevens - トランペット
- ザ・ジョーダネアーズ - The Jordanaires - バッキングヴォーカル
- ジ・インペリアルズ - The Jordanaires - バッキングヴォーカル
- ミリー・カーカム、ジューン・ペイジ、ドロレス・エドジン - Millie Kirkham, June Page, Dolores Edgin バッキング・ヴォーカル
1966年10月10日~12日セッション
[編集]- エルヴィス・プレスリー - Elvis Presley - ヴォーカル
- スコティ・ムーア - Scotty Moore - ギター
- チップ・ヤング - Chip Young - ギター
- ハロルド・ブラッドリー - Harold Bradley ギター
- ボブ・ムーア - Bob Moore - ベース
- D.J.フォンタナ - D. J. Fontana - ドラム
- バディ・ハーマン - Buddy Harman - ドラム、ティンパニ
- デヴィッド・ブリッグス - David Briggs - ピアノ
- ヘンリー・スローター - Henry Slaughter - オルガン
- ピート・ドレイク - Pete Drake - スティールギター
- ルーファス・ロング - Rufus Long - サクソフォーン
- ザ・ジョーダネアーズ - The Jordanaires - バッキングヴォーカル
- ジ・インペリアルズ - The Jordanaires - バッキングヴォーカル
- ミリー・カーカム、ジューン・ペイジ、ドロレス・エドジン - Millie Kirkham, June Page, Dolores Edgin バッキング・ヴォーカル
1967年9月10日~11日セッション
[編集]- エルヴィス・プレスリー - Elvis Presley - ヴォーカル
- フロイド・クレイマー - Floyd Cramer - ピアノ
- ホイト・ホーキンス - Hoyt Hawkins - オルガン
- チャーリー・マッコイ - Charlie McCoy - オルガン、ギター、ハーモニカ
- ブーツ・ランドルフ - Boots Randolph - サクソフォーン
- ピート・ドレイク - Pete Drake - スティールギター
- ザ・ジョーダネアーズ - The Jordanaires - バッキングヴォーカル
- ミリー・カーカム - Millie Kirkham バッキング・ヴォーカル
- スコティ・ムーア - Scotty Moore - ギター
- ジェリー・リード - Jerry Reed - ギター
- ハロルド・ブラッドリー - Harold Bradley ギター
- チップ・ヤング - Chip Young - ギター
- ボブ・ムーア - Bob Moore - ベース
- D.J.フォンタナ - D. J. Fontana - ドラム
- バディ・ハーマン - Buddy Harman - ドラム
1968年1月15日~17日セッション
[編集]- エルヴィス・プレスリー - Elvis Presley - ヴォーカル
- スコティ・ムーア - Scotty Moore - ギター
- ジェリー・リード - Jerry Reed - ギター
- チップ・ヤング - Chip Young - ギター
- ボブ・ムーア - Bob Moore - ベース
- D.J.フォンタナ - D. J. Fontana - ドラム
- バディ・ハーマン - Buddy Harman - ドラム
- フロイド・クレイマー - Floyd Cramer - ピアノ
- ピート・ドレイク - Pete Drake - スティールギター
- チャーリー・マッコイ - Charlie McCoy - ハーモニカ
- ザ・ジョーダネアーズ - The Jordanaires - バッキングヴォーカル