日産ディーゼル・P系エンジン
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日産ディーゼル・P系エンジン(にっさんディーゼル・ピーけいエンジン)とは、日産ディーゼル工業(現・UDトラックス)が1960年代後半 - 2005年にかけて生産していたディーゼルエンジンである。大型トラック・バス、鉄道車両に搭載され、またコジェネレーションなど産業用エンジンとしても幅広く採用されていた。
シリーズの解説
[編集]- 最初に発売された直列6気筒のPD6型は、PRに搭載され、多少重量は増えるが4ストロークエンジン特有の静粛性と来るべき排出ガス規制を踏まえたもので、1973年(昭和48年)までにUDエンジンの生産中止とともに全数が4ストローク化された[注 1]。
- また、私鉄や第三セクター鉄道に向けた富士重工業(当時、現:SUBARU)製の新世代レールバスであるLE-Carや、鉄道車両と同等の車体構造を持つLE-DCに水平シリンダー型のPE6HまたはPE6HT、PF6HTが搭載された[注 2]。なお、バスにおいて排気量が拡大されたり(KC-規制車(KC-UA460)ではPF6からPG6に拡大されていた。KL-規制車(KL-UA452)では水平シリンダー化および過給化され排気量自体は回帰した。さらにADG-/PKG-規制車(ADG-/PKG-RA27x)ではMD92エンジンに移行することで排気量が縮小)している)、富士重工業が鉄道車両製造から撤退し、気動車の製造が新潟トランシスに継承された現在でも、PF6HTが搭載された車両が継続生産されている。
- 基本構造は直列6気筒OHV、バルブは吸排気1個ずつの2バルブ、直噴式が主体であるが、低騒音で燃料(軽油)の質にばらつきがあった1980年代までは予燃焼室式のPP6Hがあり、低公害化を狙いにPF6Hをベースに開発されたCNG(圧縮天然ガス)仕様のPU6型はオットーサイクル化に合わせてガスミキサーと点火プラグが追加された。
- 無過給 (NA) とターボ過給仕様がある。1995年(平成7年)の平成6年排出ガス規制適合を機に、ターボエンジンはすべてインタークーラー化され、NAはバス専用となった。排気量は最終的に13.3リッターにまで拡大したが、日野自動車のK13Uと排気量は同程度であるにもかかわらず、排ガス対策と実用トルクを重視して最高出力は235馬力である。
ラインアップ
[編集]- PD6型
- PD6(T) 型
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- 直接噴射式、ボア 125 mm × ストローク 140 mm、10,308 cc
- 最大出力: 260 PS / 2300 rpm
- 最大トルク: 92 kgf⋅m (900 N⋅m) / 1400 rpm
- PD6H型
- PP6H型
- PE6型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 140 mm、11,670 cc
- 最大出力: 220 PS / 2300 rpm
- 最大トルク: 83 kgf⋅m (810 N⋅m) / 1200 rpm
- PE6T型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 140 mm、11,670 cc
- 最大出力: 280 PS / 2200 rpm
- 最大トルク: 115 kgf⋅m (1,130 N⋅m) / 1200 rpm
- PE6TB型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 140 mm、11,670 cc
- 最大出力: 330 PS / 2200 rpm
- 最大トルク: 125 kgf⋅m (1,230 N⋅m) / 1200 rpm
- PE6TC型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 140 mm、11,670 cc
- 最大出力: 300 PS / 2200 rpm
- 最大トルク: 120 kgf⋅m (1,200 N⋅m) / 1200 rpm
- PE6H型
- PF6型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 150 mm、12,503 cc
- 最大出力: 235 PS / 2100 rpm
- 最大トルク: 85 kgf⋅m (830 N⋅m) / 1300 rpm
- PF6T型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 150 mm、12,503 cc
- 最大出力: 290 PS / 2100 rpm
- 最大トルク: 122 kgf⋅m (1,200 N⋅m) / 1300 rpm
- PF6TA型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 150 mm、12,503 cc
- 最大出力: 330 PS / 2100 rpm
- 最大トルク: 142 kgf⋅m (1,390 N⋅m) / 1400 rpm
- PF6TB型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 150 mm、12,503 cc
- 最大出力: 360 PS / 2100 rpm
- 最大トルク: 157 kgf⋅m (1,540 N⋅m) / 1400 rpm
- PF6TC型
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- 直接噴射式、ボア 133 mm × ストローク 150 mm、12,503 cc
- 最大出力: 390 PS / 2100 rpm
- 最大トルク: 170 kgf⋅m (1,700 N⋅m) / 1400 rpm
- PF6H型
- PF6HTA型
- PF6HTB型
- PG6H型
- PU6型
搭載車種
[編集]バス
[編集]- PD6型
- PD6H型
- PP6H型
- PE6H型
- PE6T型
- PE6TB型
- PF6H型
- PF6型
- PG6型
- PF6HTA型・PF6HTB型
- PU6型(CNGエンジン)
トラック
[編集]- PD6型
- 日産ディーゼル・サングレイト
- 日産ディーゼル・Cシリーズ (CK/CD/CV/CW/CF)
- PE6型・PE6T型・PE6TB型・PE6TC型
- 日産ディーゼル・Cシリーズ (CK/CD/CV)
- 日産ディーゼル・レゾナ
- PF6T型・PF6TA型・PF6TB型・PF6TC型
- PU6型(CNGエンジン)
鉄道車両
[編集]- PE6H型
- 樽見鉄道ハイモ180-100形気動車
- →有田鉄道ハイモ180-100形気動車
- 樽見鉄道ハイモ180-200形気動車
- 名鉄キハ10形気動車
- →くりはら田園鉄道KD10形気動車
- 三木鉄道ミキ180形気動車
- 北条鉄道フラワ1985形気動車
- →紀州鉄道キテツ1形気動車
- 樽見鉄道ハイモ180-100形気動車
- PE6HT03型
- わたらせ渓谷鐵道わ89-100形気動車
- わたらせ渓谷鐵道わ89-200形気動車
- わたらせ渓谷鐵道わ89-300形気動車
- わたらせ渓谷鐵道わ89-310形気動車
- いすみ鉄道いすみ100型気動車
- →いすみ鉄道いすみ200型気動車(全車改造済)
- のと鉄道NT100形気動車
- のと鉄道NT800形気動車
- 明知鉄道アケチ1形気動車
- 明知鉄道アケチ6形気動車
- 長良川鉄道ナガラ1形気動車
- 長良川鉄道ナガラ2形気動車
- 天竜浜名湖鉄道TH1形気動車
- 樽見鉄道ハイモ230-300形気動車
- 樽見鉄道ハイモ230-310形気動車
- 名鉄キハ20形気動車
- 名鉄キハ30形気動車
- 伊勢鉄道イセI型気動車
- 伊勢鉄道イセII型気動車
- 近江鉄道LE10形気動車
- 信楽高原鐵道SKR200形気動車
- 信楽高原鐵道SKR300形気動車
- 平成筑豊鉄道100形気動車
- 平成筑豊鉄道200形気動車
- 平成筑豊鉄道300形気動車
- 甘木鉄道AR100形気動車
- 甘木鉄道AR200形気動車
- PF6HT03型
後継機
[編集]参考文献
[編集]- 「歴代スペースウイング/スペースアローのすべて」『 バスマガジン』 vol.19[要文献特定詳細情報]
- ベストカー編集部 編『日産ディーゼルU/UA系完全ガイド』 7巻、2004年10月25日、77–78頁。ISBN 978-4-06-366219-1。
- 「豊かな暮らしを運ぶ」 『日産ディーゼルパンフレット』(A1 1282.7911-100-1001)[要文献特定詳細情報]
- 「Moving the World for tomorrow」(日産ディーゼル)26th モーターショー[要文献特定詳細情報]
- 『自動車ガイドブック』 Vol.24‐52 各号商用車関連ページの日産ディーゼル車両の紹介部分より[要文献特定詳細情報]
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 2ストロークのUDエンジンは爆発回数が4ストロークの2倍という利点を活かし、他社製品が直列6気筒エンジンを要する場合でも直列4気筒、場合によっては直列3気筒でも十分に対抗できた。
- ^ 水平シリンダー型は、型式の気筒数の後に Horizontal を示す H が入る。
- ^ a b 大型トラック・バス用がMD92系に移行した後に新製された。日本国内には鉄道車両用ディーゼルエンジンに対する排出ガス規制が存在しない。
- ^ 譲渡先。
- ^ 譲渡先。
- ^ 譲渡先。
- ^ 譲渡先。
- ^ AR305 - AR307の3両は大型トラック・バス用がMD92系に移行した後に新製された。日本国内には鉄道車両用ディーゼルエンジンに対する排出ガス規制が存在しない。