日本のイスラム教霊園
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日本のイスラム教霊園(にほんのイスラムきょうれいえん)とは、日本にあるイスラム教の墓地のことである。
概要
[編集]イスラム教徒は、その教義から土葬とすることが原則である[1]。だが、ほとんどの国民が火葬をおこなう日本の場合、自治体単位の条例で土葬を禁じている例が少なくない[1]。土葬が可能な自治体で新たにイスラム教墓地を設ける際に、大きな障害となるのは住民の反対であるとされる[1]。
地域分布で見た場合、中国地方より西の地域には1箇所も存在していない[1]。大分県日出町では墓地の建設計画が立てられたが、土葬による水質への影響、風評被害を懸念する地域住民の反対により実現できない状態が続いていた[1][2][3][4]。このため、キリスト教の大分トラピスト修道院が、2021年2月以降、イスラム教徒3人を敷地内の土葬可能な墓地に一時的に仮埋葬した[5][6]。2023年5月9日、別府ムスリム協会と地域住民が設置条件について合意した[7]。しかし、その後2024年8月の町長選挙ではイスラム教墓地の建設計画の是非が争点となり、反対派である元町議の新人候補が、建設を容認していた現職町長を破って当選したことで、町有地の売却を認めない姿勢に転じた[8][9]。
日本で最初のイスラム教徒専用の墓地は、山梨県甲州市にある文殊院塩山イスラム霊園であるとされ、1962年から埋葬が行われている[10]。
埼玉県本庄市の本庄児玉聖地霊園は、日本人向けの土葬用施設だった場所に、2019年に外国人も含めたイスラム教徒の埋葬を認めたものである[11]。
国内のイスラム教墓地
[編集]2022年8月時点で日本にあるイスラム教徒が埋葬できる霊園は、以下の10か所である。
- よいち霊園(北海道余市町)[1][5]
- 谷和原御廟霊園(茨城県常総市)[1][5]
- MGIJムスリム墓地(茨城県小美玉市)[5]
- 本庄児玉聖地霊園(埼玉県本庄市)[11]
- 多磨霊園(東京都府中市)[1][5]
- 文殊院塩山イスラム霊園(山梨県甲州市)[1][5][10]
- 清水霊園イスラーム墓地(静岡県静岡市)[1][5]
- 高麗寺霊園(京都府南山城村)[12]
- 神戸市立外国人墓地(兵庫県神戸市)[1][5]
- 大阪イスラミックセンター墓地(和歌山県橋本市)[1][5]
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l ムスリムの墓 - 終活Style(2020年11月27日)2022年8月27日閲覧。
- ^ “「やっと見つけた場所」イスラム土葬墓地に“待った” 住民から反対”. 西日本新聞. (2020年11月3日) 2022年8月27日閲覧。
- ^ “ムスリム墓地建設「適合」 日出町、条例に基づき判断”. 読売新聞. (2022年5月21日) 2022年8月27日閲覧。
- ^ “99.99%…世界一の火葬大国・日本で「土葬」がこれから増えなければいけない納得の理由”. PRESIDENT Online (2022年11月17日). 2023年1月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 王榮(木下貴雄)「外国人の高齢化 多文化共生社会の先にある現実海を越える遺骨 異国での最期をどう支えるか : 異文化としての“終活”問題を考える」『金城学院大学論集. 人文科学編』第18巻第2号、金城学院大学、2022年3月、187-206頁、CRID 1050855809822257792、ISSN 18800351。
- ^ “【国山ハセン取材】父の死をきっかけに…「イスラム教徒の墓が足りない」 日本の“土葬”墓地の課題を考える【news23】”. TBS NEWS DIG (2022年12月21日). 2023年1月3日閲覧。
- ^ “ムスリム土葬墓地 地元住民と設置条件で合意 大分・別府”. 毎日新聞. (2023年5月9日) 2023年5月10日閲覧。
- ^ イスラム土葬墓地建設「断固反対」の安部氏が初当選 大分・日出町長選「将来リスクある」 「移民」と日本人 - 産経ニュース 2024年8月25日
- ^ 「憲法に抵触」イスラム教の土葬墓地計画 新町長が町有地売却手続き停止の意向 大分・日出町 - 大分放送 2024年9月19日
- ^ a b 平畑玄洋 (2018年7月18日). “山梨フカボリ特集#3 日本初のムスリム霊園、実は山梨だった! 建設の裏、奇跡のお告げ”. withnews 2022年8月27日閲覧。
- ^ a b “土葬できる墓地、ムスリムの申し込み途切れず かつての風習つなぐ”. 朝日新聞. (2022年4月13日) 2022年8月27日閲覧。
- ^ 京都 高麗寺国際霊園土葬墓地へようこそ - 京都高麗寺国際霊園土葬墓地
参考資料
[編集]- 生きた地で眠る自由― 日本におけるムスリム墓地の今 ― - 早稲田政経瀬川ゼミ生のwebマガジン(2018年3月21日
- 清水霊園イスラーム墓地 勝澤(katsuzawa)のブログ
- Islamic Information from Japan(2019年8月15日)