栗子トンネル (東北中央自動車道)
栗子トンネル(山形側坑口) | |
概要 | |
---|---|
位置 | 福島県・ 山形県 |
座標 | 北緯37度51分25秒 東経140度16分02秒 / 北緯37.856858度 東経140.267269度座標: 北緯37度51分25秒 東経140度16分02秒 / 北緯37.856858度 東経140.267269度 |
現況 | 供用中 |
所属路線名 | E13 東北中央自動車道 |
起点 | 福島県福島市飯坂町中野 |
終点 | 山形県米沢市万世町刈安 |
運用 | |
建設開始 | 2002年(平成14年) |
完成 | 2015年(平成27年)3月 |
開通 | 2017年(平成29年)11月4日 |
管理 |
国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所 |
通行対象 | 自動車 |
通行料金 | 無料 |
日平均通行量 | - 台 |
技術情報 | |
設計技師 | 設計: 大日コンサルタント,オリエンタルコンサルタンツ 施工: 三井住友建設, 清水建設・大豊建設JV |
全長 |
本坑:8,972 m[1] 避難坑:8,989 m[1] 換気坑:2,609 m[1] |
道路車線数 | 片側1車線(暫定2車線) |
設計速度 |
100 km/h[2] (規制速度:70 km/h) |
幅 |
本坑:7 m[3] 避難坑:2.9 m[3] |
栗子トンネル(くりこトンネル)は、福島県福島市と山形県米沢市の県境にある栗子峠の下を通る東北中央自動車道のトンネルである[4][5]。全長8,972メートル (m) で、2017年(平成29年)11月4日に開通した[6]。
概要
[編集]同トンネルを含む区間は1999年(平成11年)、東北中央自動車道 福島 - 米沢間にて施工命令が下りたことに伴い事業化。施工命令が下りる前の整備計画区間に指定されていた段階では、同トンネルを含む県境付近は現在よりもやや南側を通るルート[注釈 1]で計画が進んでいたが[注釈 2]、比較的高低差があり冬期間の維持管理や安全面に対して懸念があったため、高低差を抑える代わりに約9キロメートル (km) に及ぶ長大トンネルを掘削する現在のルートに変更され[7]、2017年(平成29年)11月4日15時に開通した。
2002年(平成14年)の建設開始当初は日本道路公団によって事業が進められていたが、2003年(平成15年)度に同トンネルを含む区間が新直轄方式となり、それに伴い国土交通省 東北地方整備局 山形河川国道事務所および福島河川国道事務所に事業主体が移管された。
同トンネルの南側に並行する国道13号の栗子峠は急勾配や急カーブが連続し、冬期間は降雪量が多いため通行止や大型車の立往生が起きやすく[8]、本トンネルを含めた東北中央自動車道の併用によって、冬期間でも安定した通行が確保された。
本トンネルは日本の道路トンネルの長さ5位で[3]、東北地方では最長のトンネルである。また、新直轄方式であるため無料供用であり、無料の道路トンネルとしてはあつみトンネルや寒風山トンネルを抜いて日本一である[9]。なお、トンネル延長が5,000mを超えているため、道路法の規定により危険物積載車両はこのトンネルを通行できない[10]。また、金属製タイヤチェーンを装着した車両は、走行中にチェーンが切れ事故を誘発する恐れがあるため、通行が禁止されている[注釈 3]。このためスタッドレスタイヤを使用するか、トンネル部の福島県側にある大滝チェーン着脱場、山形県側にある刈安チェーン着脱場でチェーンの着脱作業を行う必要がある[11]。
非常時の進入規制のためトンネル前後にトンネル用信号機が設置されている[注釈 4]。本トンネルは約9kmに及ぶ長大トンネルのため、壁面は白色タイル貼りとなっており、タイル面には出口までの距離を1kmごとに表示してあるほか、電光掲示板による残距離表示もされている他福島県、山形県の県境を示すパネルが設置され、心理的圧迫感を軽減している。
前述の通り長大トンネルのため、本坑に並行して避難坑が、また換気用のトンネルである換気坑が設置されている。なお、避難坑の建設には福島県側をトンネルボーリングマシン (TBM) を用いて掘削した[3]。
福島県側は、1.26%、山形県側は、0.5%の勾配になっている[12]。
歴史
[編集]- 2002年(平成14年) : 工事着手。
- 2008年(平成20年)12月 : 避難坑貫通。
- 2014年(平成26年)3月22日 : 本坑貫通[13][14]。
- 2015年(平成27年)3月 : 本坑完成。
- 2017年(平成29年)11月4日 : 福島大笹生IC - 米沢北IC間開通に伴い供用開始[6]。
隣
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 現在供用している区間と、国道13号とのほぼ中間を通るルートで計画していた。
- ^ 当時の段階ではトンネル長は約6 km前後
- ^ 関越自動車道の関越トンネルで通行制限されているものと同様の措置である。
- ^ 福島県側は大滝トンネルの福島県側坑口にトンネル用信号機を設置。
出典
[編集]- ^ a b c “東北中央自動車道(福島〜米沢北間)工事状況” (PDF). 国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所. 2015年10月19日閲覧。
- ^ “東北中央自動車道 事業概要”. 国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所. 2017年11月24日閲覧。
- ^ a b c d “東北中央自動車道 栗子トンネル”. 国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所. 2015年10月19日閲覧。
- ^ “栗子隧道”. 米沢市. 2019年1月18日閲覧。
- ^ “東北中央自動車道(福島〜米沢)” (PDF). 国土交通省 東北地方整備局 山形河川国道事務所. 2015年10月19日閲覧。
- ^ a b “東北中央自動車道 福島大笹生IC〜米沢北IC間 平成29年11月4日(土)に開通します。 〜冬期間においても福島〜米沢間の安全、安心な通行を確保〜” (PDF). 国土交通省 福島河川国道事務所/山形河川国道事務所/福島県/山形県/東日本高速道路株式会社 東北支社 山形工事事務所 (2017年9月13日). 2017年9月14日閲覧。
- ^ “栗子峠貫き長大トンネル 東北中央道 福島 - 米沢間ルート見直し”. 山形新聞 (株式会社 山形新聞社). (1998年7月24日)
- ^ “東北最長の道路トンネルも 東北中央道の福島〜米沢間が通行無料で開通 交通はどう変わる?”. 乗りものニュース. 株式会社メディア・ヴァーグ (2017年11月2日). 2017年11月4日閲覧。
- ^ 浅井建爾 2015, p. 188.
- ^ “危険物積載車両を運転されるみなさまへ” (PDF). 国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所/山形河川国道事務所. 2017年11月9日閲覧。
- ^ “東北中央自動車道 栗子トンネル内は金属製タイヤチェーンでの通行禁止‼” (PDF). 国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所. 2017年11月23日閲覧。
- ^ のりものニュース
- ^ “栗子トンネル(仮称) 平成26年3月貫通 〜東北最長の道路トンネル誕生!〜” (PDF). 国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所/山形河川国道事務所 (2013年12月26日). 2017年2月23日閲覧。
- ^ “栗子トンネル(仮称)貫通式のお知らせ 〜全国最長の無料の道路トンネルが誕生!〜” (PDF). 国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所/山形河川国道事務所 (2014年2月5日). 2017年2月23日閲覧。
参考文献
[編集]- 浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3。
関連項目
[編集]- 東北中央自動車道
- 延長別トンネルの一覧
- 延長別日本の交通用トンネルの一覧
- 延長別日本の道路トンネルの一覧
- 大笹生トンネル : 福島JCT - 米沢八幡原IC間で2番目に長いトンネル。
- 西栗子トンネル : 付近を通る国道13号のトンネル。
- 東栗子トンネル : 付近を通る国道13号のトンネル。
- 甲子トンネル : 栗子トンネルが開通するまで、福島県で最長のトンネルだった。
- あつみトンネル : 栗子トンネルが開通するまで、東北地方で最長(山形県で最長)のトンネルだった。