新宿タイガー
新宿タイガー(しんじゅくタイガー、1948年 - )は、東京都新宿区などに出没する元新聞配達員。本名:原田 吉郎[1][2][3][4]。
一般的には「新宿タイガーさん」「タイガーマスクおじさん」「歌舞伎町のタイガーマスク」とも呼ばれる。
人物
[編集]歌舞伎町の稲荷鬼王神社の祭りでタイガーマスクのお面[5][6]を30枚買い込み[2]、以来安手の服や原色の衣装、カーリーヘアのかつらを身に付け現れるのが常。タイガーマスク以外のお面(公式サイトでは持っていないと語っているが)や花、ぬいぐるみ(本人曰く「ファミリー」[3])も身に付け、季節による変化も見られる。
かつての職業は朝日新聞の新聞販売店「株式会社 朝日新聞新宿東ステーション」に勤務するベテラン新聞配達員。配達の担当エリアは新宿三丁目で、朝刊・夕刊の配達のほか集金も行う[2][3]。仕事中は前述の扮装で、赤や黄色の派手なデコレーションを施した自転車に乗り、ラジカセから演歌を鳴り響かせ走り去る。趣味の映画館や新宿ゴールデン街、休憩中に立ち寄る喫茶店や、販売店の海外研修でもこの姿のままである[7]。一方で正体を隠すことには固執しておらず、酒席や取材などではお面を外すこともある[4][7][8]
大の映画・役者好きで、新宿の映画館で上映される映画はほぼ全て鑑賞している[9]。休日には1日に数本の映画を鑑賞するときもある。座席は「映画に没入できるから」との理由で、最前列の中央と決めている[2]。映画文化の継続のため、基本的に映画館でチケットを購入し鑑賞するがDVDで鑑賞するときもある。
行動範囲は新宿、池袋、原宿、渋谷、日比谷、銀座[3]。新宿界隈の映画館や、役者・映画関係者が集まるゴールデン街、新宿三丁目のクラブ「ローリング・ストーン」に出没する。ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のファンでもある。
心の師匠として「スーパーマン」「ブルース・リー」「ジェームズ・ボンド」、ミューズ(女神)として「マリリン・モンロー」「オードリー・ヘプバーン」「エリザベス・テイラー」「イングリッド・バーグマン」を挙げている[2][3]。
人生のテーマに「シネマ、美女、夢、ロマン、酒」を掲げている[10]。
経歴
[編集]1948年、長野県東筑摩郡波田村(現:松本市波田)生まれ[5][1]。長野県梓川高等学校卒業後、大東文化大学進学と共に上京。当初は読売新聞の新聞奨学生として、中野区江古田の新聞販売店に住み込む[3][4]。大学は2年で中退するも、17歳で始め上京後も行っていた新聞配達を継続する[1]。
フリーライターの鶴見済による1994年のインタビューでは、この活動を始めた切っ掛けを「夜店で売られていたお面を見て『少しでも新宿が明るくなれば』と、1977年にタイガーマスクのお面を付け始めた」と語っている[11]。
勤務先である「朝日新聞新宿東ステーション」の公式サイトにバナーが有り、クリックすると映像(ゲーム形式)が流れ、活動を始めた切っ掛けや、お面を被っている理由、子供の頃憧れていたヒーローなどが分る[12]。
タワーレコード新宿店のオープン時(1998年)、リニューアル時(2012年)の両方でポスターに起用された[13]。
2019年3月、新宿タイガーを題材としたドキュメンタリー映画『新宿タイガー』公開[1]。寺島しのぶがナレーションを担当、本人のほか八嶋智人や渋川清彦らが出演。
2020年2月をもって、新聞配達員を引退した[14][15]。本人は続けたかったが、高齢であることを理由に辞退を勧められたことによる。以降は集金作業に携わっている[10]。
出演
[編集]テレビドラマ
[編集]映画
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d “「新宿タイガー」原田吉郎さん映画に”. 市民タイムス. (2019年3月20日) 2019年3月20日閲覧。
- ^ a b c d e 田嶋章博 (2019年3月20日). “新宿を「虎のお面」で新聞配達する71歳の正体”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2020年10月15日閲覧。
- ^ a b c d e f 楳田佳香 (2019年4月18日). “やりつづければ本物になる。47年も虎のお面をつけて暮らす「新宿タイガー」の生き様”. 新R25. Cyber Now. 2020年10月15日閲覧。
- ^ a b c 安井孝之 (2020年5月3日). “「お金より夢だよ」72歳独身、住み込みの新聞配達員は幸せそうだった”. プレジデントオンライン. プレジデント社. 2020年10月15日閲覧。
- ^ a b 『朝日新聞』2015年12月4日29面・東京地方版
- ^ 額部分に赤い宝石が象られているため、初代ではなく二世がモチーフだと思われる。
- ^ a b 八雲ふみね (2019年3月29日). “新宿タイガー、お面の下の“素顔”とは…”. ニッポン放送 NEWS ONLINE. ニッポン放送. 2020年10月15日閲覧。
- ^ 2022年11月7日放送『よじごじDays』(テレビ東京)
- ^ a b c d 長野辰次 (2011年12月31日). “新宿の劇場に通い詰める名物男が語る2011年、本当に面白かった邦画・洋画”. 日刊サイゾー. サイゾー. 2020年10月15日閲覧。
- ^ a b 扶桑社『週刊SPA!』2023年5月30日・6月6日合併号 106頁
- ^ 「秘・境・探・検 近くて遠いニッポン'94 東京・新宿 名物男『タイガーマスク』の"虎の穴"」(『FRIDAY』 1994年9月23日号 講談社)取材・文/鶴見済
- ^ “(株)朝日新聞新宿東ステーション ASA大久保・ASA新宿支店” (2008年8月28日). 2009年11月29日閲覧。
- ^ “タワー新宿店リニューアル記念ポスター完成! 新宿の有名人5組が出演”. TOWER RECORDS ONLINE (2012年4月19日). 2017年2月5日閲覧。
- ^ YahooNewsTopicsの2020年10月18日13時33分のツイート- X(旧Twitter)
- ^ “知る人ぞ知るあの男 新宿タイガーと歌舞伎町の今を歩く:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2020年10月4日). 2020年11月15日閲覧。
参考資料
[編集]- 「風俗スケッチ」(『週刊明星』 1984年8月16日号 集英社)
- 「秘・境・探・検 近くて遠いニッポン'94 東京・新宿 名物男『タイガーマスク』の"虎の穴"」(『FRIDAY』 1994年9月23日号 講談社)取材・文/鶴見済
- 「新宿名物・タイガーマスク引退説を追う」(『宝島』 1998年2月4日号 宝島社)
- 「俺だけ崖から落ちるのはやだ」(『テレビブロス』 2007年11月10日号 東京ニュース通信社)文/箭内道産
- 「繁華街を疾走する"新宿タイガー"は美女と映画をこよなく愛するロマンチスト」(『サイゾー』 2008年2月号 株式会社サイゾー)文/長野辰次
関連項目
[編集]- 大根仁 - 親交のある映画関係者の一人で、ドラマ出演に抜擢した
- キャンディ・ミルキィ - 原宿界隈に出没したロリータファッションの女装愛好者
- メリーさん - 横浜に出没した白塗り・白装束の老娼婦
- 河原町のジュリー - 京都の四条河原町付近を徘徊していたホームレス
- 広島太郎 - 広島市内に出没するガラクタを身にまとった人物
- 宮間英次郎 - 横浜で活動する異形のアウトサイダー・アーティスト。通称:帽子おじさん
- 安穂野香 - 女子高校生の姿で歌手活動をする男性。通称:セーラー服おじさん
外部リンク
[編集]- (株)朝日新聞新宿東ステーション ASA大久保 - 事実上の公式サイト
- DOKODEMODOJO - YouTubeチャンネル
- DOKODEMODOJO (@dokodemodojo) - TikTok
- ギャラリー山(2006-10-24)
- 映画関連
- ドキュメンタリー映画「新宿タイガー」
- 新宿タイガー (shinjukutiger) - Facebook
- 映画「新宿タイガー」公式 (@shinjuku_tiger1) - X(旧Twitter)